JP2008195070A - プロピレン系樹脂積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】プライマー等の下塗り無しでも著しく良好な塗装密着性をもち、優れた成形性、易延伸性を有するポリプロピレン系樹脂積層体を提供する。
【解決手段】
結晶性ポリプロピレン系樹脂から成るベース層と、該ベース層上に少なくともポリプロピレン系樹脂組成物からなるスキン層が積層されてなり、且つ下記(1)及び(2)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層体。
(1)該スキン層は、少なくともベース層との積層面と反対の面のX線光電子分光法(XPS)によるO/C(炭素原子に対する酸素原子存在比)が0.001以上であること
(2)該スキン層を構成するポリプロピレン系樹脂組成物からなるシートの引張破壊伸びが250%以上であること
【選択図】 なし

Description

本発明はポリプロピレン系樹脂からなる積層体に関する。詳しくは、本発明はベース層にポリプロピレン系樹脂の特徴である優れた成形性を持つ結晶性のポリプロピレン樹脂材料を用い、該ベース層に積層されるスキン層に特定の物性を有するポリプロピレン系樹脂組成物を用いた積層体に関する。本積層体は、優れた塗装特性を有し、特にプライマー等の前塗装なしに優れた塗料付着性、接着性、印刷性を示し、更には延伸性を兼ね備えたプロピレン系樹脂積層体である。
ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂は成形加工性、耐有機溶剤性に優れ、また安価なことから家電製品の外板、自動車の外装、及び内装部品等広く用いられている。特に自動車用外装部品の用途においては、軽量化とコストの両面からポリオレフィン系樹脂の利用はますます広まっている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は分子構造が非極性のため、ほかの物質との親和性が乏しく、塗料付着性、接着性、印刷性が著しく劣っている。
これらの性能を改善する方法として、ポリオレフィン系重合体に極性モノマーをグラフト重合したり、グラフト化した重合物をブレンドしたりする方法などが知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。しかしながら、性能を発揮させるために、これらのグラフトポリマーを多量にポリプロピレン中へ含有させようとすると、ポリプロピレンの成形性が低下し分散性が悪くなるため、得られる成形品には場所による塗料付着性、接着性、印刷性の性質むらがあり、満足するものは得られ難い。一方、シート等の熱可塑性樹脂成形品に塗装を施さない方法として、透明層を両外層に、中間層に着色層を配した多層フイルムを、別途成形した熱可塑性樹脂成形品に貼り付ける方法(特許文献5)も提案されているが、色合わせが困難で、バリエーションが限定されるので応用範囲が狭く、バリエーションを増やすとコストがかかるので実際的ではない。
特開昭62−257946号公報 特開平05−039383号公報 特開平07−109437号公報 特開平09−048885号公報 特開平10−250010号公報
被塗装物に対するプライマー等の下塗りは、コストの点で不利なのはもちろんのこと、特にプライマー塗布工程では本塗装に比べ多くの溶剤を必要とするため、環境問題に対しても影響が大きい。本発明は、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂を多層に積層し、各層にそれぞれ必要な機能を持った材料を用いた積層体となすことにより、ポリプロピレン系樹脂の塗料付着性、接着性、印刷性等の性質を改善するものである。即ち、ポリプロピレン系樹脂積層体のスキン層(表層)には塗装性に適した物性の材料を、それ以外の層には成形性、易延伸性等に有効な材料を組み合わせて用いることによって、プライマー等の下塗りを施さなくても著しい塗装密着性をもち、優れた成形性と易延伸性をもったプロピレン系樹脂積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、プライマー等の下塗り無しでも著しい塗装密着性をもち、優れた成形性と易延伸性をもったポリプロピレン系樹脂積層体に関して鋭意検討した結果、スキン層に極性基を含有する特定構造のプロピレン系エラストマーを、またベース層に結晶性ポリプロピレンを共に使用することにより、プライマー等の下塗り無しでも著しい塗装密着性をもち、成形性と易延伸性のバランスの良好なポリプロピレン系樹脂積層体を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、結晶性ポリプロピレン系樹脂から成るベース層と、該ベース層上に少なくともポリプロピレン系樹脂組成物からなるスキン層が積層されてなり、且つ下記(1)及び(2)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層体に存する。
(1)該スキン層は、少なくともベース層との積層面と反対の面のX線光電子分光法(XPS)によるO/C(炭素原子に対する酸素原子存在比)が0.001以上であること
(2)該スキン層を構成するポリプロピレン系樹脂組成物からなるシートの引張破壊伸びが250%以上であること。
本発明の他の要旨は、結晶性ポリプロピレン系樹脂から成るベース層と、該ベース層上にポリプロピレン系樹脂組成物からなるスキン層が直接積層されてなる積層体であって、該ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)メタロセン触媒を用いた重合法によるプロピレン系エラストマーに官能基含有モノマーがグラフト結合した官能基含有エラストマーを10〜60重量部、及び(B)結晶性プロピレン系重合体を90〜40重量部含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層体に存する。
本発明のポリプロピレン系樹脂積層体は、優れた塗装特性を有し、特にプライマー等の前塗装なしに優れた塗料付着性、接着性、印刷性を示し、更には延伸性を兼ね備えたポリプロピレン系樹脂積層体シートを提供することができる。本積層体は、プレス成形、ブロー成形などによって熱成形し、塗装が必要なバンパー材、スポイラー等の自動車外装部品及び家電製品等の外観部品などに有用である。
本発明のポリプロピレン系樹脂積層体は、基本的に結晶性ポリプロピレン系樹脂から成るベース層と、該ベース層上に積層されたポリプロピレン系樹脂組成物からなるスキン層から構成され、該スキン層が下記(1)及び(2)を満たすことが必要である。
(1)該スキン層は、少なくともベース層との積層面と反対の面のX線光電子分光法(XPS)によるO/C(炭素原子に対する酸素原子存在比)が0.001以上であること
(2)該スキン層を構成するポリプロピレン系樹脂組成物からなるシートの引張破壊伸びが250%以上であること
ポリプロピレンは非極性であるため、ポリプロピレンからなる基材に塗装を施すと、当然のことながら塗料官能基とポリプロピレン基材間の反応が行われず、塗装密着性は低い。そこで、塗装密着性を克服すべく、極性基を含有する樹脂(極性樹脂)をポリプロピレン基材に導入し基材の表面官能基濃度を増大させることで塗装密着性を向上させているが、官能基濃度を高めるために多量の極性樹脂を導入するとポリプロピレンの成形性を低下させるので、成形性の低下を生ずることなくさらなる塗装密着性向上が求められている。
基材自身の引張破壊伸び(引張破断点伸び)が低い場合、塗装した基材に応力が加わって変形が起きたときに、基材の塗膜追随性が悪いため、塗膜と基材間との反応が十分行われていたとしても、基材自身の脆さゆえに、基材の凝集破壊が起こりやすく塗膜が基材ごと脱落し易くなる。一方、基材自身の引張破壊伸びが大きいと、塗膜が変形したときの変位に対して基材が追随しやすく、塗装密着性が良好となる。
塗装密着性を向上させるための、このような塗膜−基材間の反応性、塗膜−基材間の粘弾性の観点から、本発明の積層体では、(1)ベース層に積層されたスキン層が、少なくともベース層との積層面と反対の面のXPSによるO/Cが0.001以上であること、及び(2)該スキン層を構成するポリプロピレン系樹脂組成物からなるシートの引張破壊伸びが250%以上であることの要件を満たすことが必要であり、これにより塗装密着性を向上させ得るのである。
スキン層のXPSによるO/Cは、0.001以上とするが、好ましくは0.002以上である。また通常、0.02以下とし、好ましくは0.01以下とする。XPSによるO/Cが0.001未満では基材−塗膜界面の接着力が低くなり、0.02を超えて高すぎると、極性官能基含有プロピレン系重合体の濃度が高すぎることを意味し、マトリクスとなる結晶性ポリプロピレンと極性官能基含有プロピレン系重合体の相溶性が低下し、最表面にある極性官能基含有プロピレン系重合体がポリプロピレンから脱落しやすくなり好ましくない。
引張破壊伸びは250%以上とするが、好ましくは350%以上であり、より好ましくは400%以上であり、特に好ましくは500%以上である。通常、10,000%以下である。引張破壊伸びが250%未満では基材の塗膜追随性が低下するため塗膜密着力が低くなり、10,000%を超えると、基材自体が易変形性の特性を持つ粘着材のような性質を有するようになるため、成形体の形を保持することが難しくなり、いずれも好ましくない。
本発明におけるX線光電子分光法(XPS)と引張試験による引張破壊伸びの測定法を以下に示す。
<XPSの測定法>
X線光電子分光法を使用して求められる表面に存在する原子種と濃度とから、酸素原子濃度/炭素原子濃度、窒素原子濃度/炭素原子濃度で与えられる。アルバックファイ「ESCA5800」を使用して14kV、400Wの条件で得られたMgのKα線を使用し、C(1S)、O(1S)、N(1S)由来のスペクトルを測定し、それらのピーク面積を次の原子感度係数を使用して補正し表面濃度を見積もった。次いで、C(1S)由来の濃度を使用して各原子濃度を規格化することにより、酸素原子存在比(O/C)、窒素原子存在比(N/C)を求めた。
原子感度係数は次の通りである。C(1S)=0.314、O(1S)=0.733、N(1S)=0.499
<引張試験の測定法>
東洋精機製ラボプラストミルを用いて、スキン層を構成するポリプロピレン系樹脂組成物と同組成比にて原料樹脂の混錬を行う。混錬条件は設定温度200℃、スクリュー回転数150rpm、混錬時間5分間に設定し、1バッチあたりの樹脂は40gとした。ラボプラストミルで得られたコンパウンド物を、200℃に加熱して熱プレス成形(厚み2mm)を行い、成形シートを打ち抜き刃でJIS2号試験片に打ち抜いた。試験片をJISK7113号に準拠して引張試験を行い、引張破壊伸びを求めた。
本発明の他の積層体は、結晶性ポリプロピレン系樹脂からなるベース層と、該ベース層上にポリプロピレン系樹脂組成物からなるスキン層が直接積層されてなる積層体であって、該ポリプロピレン系樹脂組成物は、以下の(A)及び(B)から構成されることを要件とする。
(A)メタロセン触媒を用いた重合法によるプロピレン系エラストマーに官能基含有モノマーがグラフト結合した官能基含有エラストマーを10〜60重量部、及び
(B)結晶性プロピレン系重合体を90〜40重量部
本発明の積層体では、スキン層がこのような構成のポリプロピレン系樹脂組成物から形成されることにより、該スキン層は、XPSによるO/Cが0.001以上であり、且つこの樹脂組成物からなるシートの引張破壊伸びが250%であるとの要件を満たすことが出来、その結果、該積層体はプライマーの下塗りを要することなく塗料による塗装が可能となるのである。
上記(A)成分であるプロピレン系エラストマーに官能基含有モノマーをグラフト結合した官能基含有エラストマーは、スキン層上に塗料で塗装が施された場合に、該塗料中の官能基との結合機能を担うものである。官能基含有エラストマーとしては、メタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン系エラストマー、即ち(A1)アイソタクチックブロックと非晶性ブロックからなるステレオブロック構造を有するプロピレン系エラストマー、及び/又は(A2)プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィン1ないし2種以上との共重合体からなるプロピレン系エラストマーを、官能基含有モノマーでグラフト化したものであることが好ましい。
官能基含有プロピレン系エラストマーの主鎖が結晶性の高いアイソタクチックポリプロピレンである場合、塗膜との反応に関与するエラストマー自体の性状が硬いため塗膜変形時の塗膜追随性が悪く、塗装積層体に変形が加わったとき、(A)成分自身の脆さゆえに、凝集破壊が起こりやすく塗膜が脱落する。一方、官能基含有プロピレン系エラストマーの主鎖が低結晶性のプロピレン系エラストマーである場合、塗膜変形時の(A)成分の塗膜追随性が良好であるため、エラストマー自体の破壊が起こりにくく塗膜は基材に残りやすい。
スキン層を形成するポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)官能基含有エラストマーを10〜60重量部、及び(B)結晶性プロピレン系重合体を90〜40重量部含有する。(A)成分がこの範囲を超えて少なすぎると塗膜との反応が十分行われず塗装密着性が悪くなり、多すぎると、シート同士のブロッキングが起き易い傾向となるので、好ましくは15〜45重量部である。また(B)成分が少なすぎると、積層体の成形性が劣り、多すぎると塗膜との密着性が低下するので、好ましくは85〜55重量部である。
スキン層を形成するポリプロピレン系樹脂組成物に含有される(A)成分及び(B)成分について説明する。
(A)成分:官能基含有プロピレン系エラストマー
官能基含有エラストマーとしては、その主鎖となるメタロセン触媒を用いた重合法によって得られるプロピレン系エラストマー、即ち(A1)アイソタクチックブロックと非晶性ブロックからなるステレオブロック構造を有するプロピレン系エラストマー、及び/又は(A2)プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィン1ないし2種以上との共重合体からなるプロピレン系エラストマーに、官能基含有モノマーがグラフト結合したものであることが好ましい。
(i)プロピレン系エラストマー
(A1)ステレオブロック構造を有するプロピレン系エラストマー
本発明におけるプロピレン系エラストマーは、メタロセン触媒を用いた重合により得られ、その主鎖におけるプロピレン連鎖部分がステレオブロック構造、即ちアイソタクチックブロック(結晶性ブロック)と非晶性ブロックを交互に2以上有する構造を持つものである。ここで、プロピレン系エラストマーは、プロピレンを主要な構成単位とするものであり、エチレンや炭素数4〜20のα−オレフィンをコモノマーとして含んでいてもよい。プロピレン系エラストマーのステレオブロック構造は、後述する13C−NMRスペクトルの測定方法により、特定ペンタッドのピーク面積から決められる。
(A1)ステレオブロック構造を有するプロピレン系エラストマーとしては、(A1)−(i)ステレオブロック構造を有するプロピレンの単独重合体からなるプロピレン系エラストマーおよび(A1)−(ii)ステレオブロック構造を有するプロピレンとエチレンや炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体からなるプロピレン系エラストマーが挙げられる。
(A1)−(i)ステレオブロック構造を有するプロピレンの単独重合体からなるプロピレン系エラストマー
ステレオブロック構造を有するプロピレンの単独重合体からなるプロピレン系エラストマー((A1)−(i)成分)は、プロピレンをシングルサイト触媒である、メタロセン触媒を用いた重合方法により製造したものが好ましい。((A1)(i)成分)としてのエラストマーは、特開2004−300192号公報に記載されている重合触媒の調整法、重合の方法等を適宜採用して製造することが出来、主鎖の構造も13C−NMRスペクトルの測定方法により特定することができる。
本発明における(A1)成分としてのエラストマーにおいては、13C−NMRスペクトルにおいて、頭−尾(head to tail)結合からなるプロピレン単位連鎖部のメチル基の炭素原子に由来するピークを観測し、mmmmで表されるペンタッドに帰属されるピークトップのケミカルシフトを21.8ppmとした際に、19.8ppmから22.1ppmに現れるピークの総面積Sに対する、21.8ppmをピークトップとするピークの面積S1の比率(S1/S)が特定割合であることが好ましい。
((A1)−(i)成分)としてのエラストマーは、その主鎖のアイソタクティシティが不完全であり、全ペンタッド中のmmmmペンタッドの割合(S1/S)が10%以上90%以下であることが好ましい。(S1/S)の下限としては、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。また、上限としては、80%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、60%以下が更に好ましく、50%以下が最も好ましい。下限値より高いほどべたつき度合いが小さくなる傾向があり、また上限値より低いほど結晶化度が低くなり樹脂分散体の調製が容易になる傾向がある。
本発明で使用する((A1)−(i)成分)としてのエラストマーの分子量は、その重量平均分子量(Mw)がGPCによる測定で、通常、5,000〜500,000、好ましくは10,000〜300,000である。後述するようにGPCの測定は、オルトジクロロベンゼンなどを溶媒とし、ポリスチレンを標準試薬として市販の装置を用いて測定することができる。
(A1)−(ii)ステレオブロック構造を有するプロピレンとエチレンや炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体からなるプロピレン系エラストマー
ステレオブロック構造を有するプロピレンとエチレンや炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体からなるプロピレン系エラストマー((A1)−(ii)成分)は、プロピレンおよびエチレンや炭素数4〜20のα−オレフィンを共重合成分として含有し、プロピレンおよびエチレンや炭素数4〜20のα−オレフィンをシングルサイト触媒である、メタロセン触媒を用いた重合方法により製造したものが好ましい。((A1)−(ii)成分)としてのエラストマーは、特開2003−292700号公報に記載されている重合触媒の調整法、重合の方法等を適宜採用して製造することが出来、主鎖の構造も13C−NMRスペクトルの測定方法により特定することができる。
ステレオブロック構造を有するプロピレンとエチレンや炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体からなるプロピレン系エラストマー((A1)−(ii)成分)に対して13C−NMRスペクトルの測定を行うと、ステレオブロック構造を有するプロピレンの単独重合体からなるプロピレン系エラストマー((A1)−(i)成分)と異なり、ピークが多すぎるためmmmmで表されるペンタッドに帰属されるピークトップのケミカルシフトの解析が不可能となる。
そこで、まずプロピレン単独重合体((A1)−(i)成分)を重合して、mmmmで表されるペンタッドに帰属されるピークトップのケミカルシフトを解析する。次いで、エチレンや炭素数4〜20のα−オレフィンを加えることを除いて、プロピレン単独重合体を重合したときと同様の重合条件でステレオブロック構造を有するプロピレンとエチレンや炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体からなるプロピレン系エラストマーを重合する。得られた共重合体のmmmmで表されるペンタッドに帰属されるピークトップのケミカルシフトを、前記プロピレン単独重合体((A1)(i)成分)のmmmmで表されるペンタッドに帰属されるピークトップのケミカルシフトと同様なものとすることで、共重合体のmmmmを定義することとする。
((A1)−(ii)成分)としてのエラストマーは、主鎖のアイソタクティシティが不完全であり、全ペンタッド中のmmmmペンタッドの割合(S1/S)が10%以上90%以下であることが好ましい。(S1/S)の下限としては、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。また、上限としては、80%以下が好ましく、75%以下がより好ましい。下限値より高いほどべたつき度合いが小さくなる傾向であり、また上限値より低いほど結晶化度が低くなり樹脂分散体の調整が容易になる傾向がある。
プロピレンとエチレンや炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体におけるプロピレン含量は、40〜95重量%が好ましく、50〜90重量%が更に好ましい。α−オレフィンとしては、具体的にエチレン、ブチレン、ペンテン、へプテン、オクテン等が挙げられるが、これらの中、エチレンが好ましい。
本発明で使用する((A1)−(ii)成分)としてのエラストマーの分子量は、その重量平均分子量(Mw)がGPCによる測定で、通常、5,000〜500,000、好ましくは10,000〜300,000である。尚、GPCの測定は、下記の通りである。
本発明における13C−NMRスペクトルの測定方法及びGPCの測定法は以下の通りである。
13C−NMRスペクトルの測定方法>
試料350〜500mgを、10mmφのNMR用サンプル管中で、約2.2mlのオルトジクロロベンゼンを用いて完全に溶解させる。次いで、ロック溶媒として約0.2mlの重水素化ベンゼンを加え、均一化させた後、130℃でプロトン完全デカップリング法により測定を行う。測定条件は、フリップアングル90°、パルス間隔5T1以上(T1は、メチル基から由来するスピン−格子緩和時間のうち最長の値)とする。プロピレン重合体において、メチレン基およびメチン基のスピン格子緩和時間はメチル基のそれよりも短いので、この測定条件では、炭素すべての磁化の回復は99%以上である。なお、定量精度を上げるため、13C核の共鳴周波数として125MHz以上のNMR装置を使用し、20時間以上の積算を行うのが好ましい。
<GPCの測定法>
装置: Waters社製「150CV型」
カラム温度: 135℃
溶媒: オルトジクロロベンゼン
流量: 1.0ml/min
カラム: 東ソー株式会社製TSKgel GMHXL−L
注入量: 500μl(濾過処理)
溶液濃度: 1.0mg/ml
試料調整: オルトジクロロベンゼンを用い、1.0mg/mlの溶液に調整し135℃で1〜3時間溶解させる。
分子量の算出:標準試料として市販の単分散のポリスチレンを使用し、該ポリスチレン標準試料およびポリプロピレンの粘度式から、保持時間と分子量に関する校正曲線を作成し、プロピレン重合体の分子量の算出を行う。なお、粘度式としては、[η]=KMαを使用し、ポリスチレンに対しては、K=1.38E−4、α=0.70、ポリプロピレンに対しては、K=1.03E−4、α=0.78を使用する。
(A2)プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィン1乃至2種以上からなる共重合体からなるエラストマー
本発明におけるプロピレン系エラストマーの一例は、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィン、例えば炭素数2、4〜20のα−オレフィン1乃至2以上とからなる共重合体である。α−オレフィンとしては、具体的にエチレン、ブチレン、ペンテン、ヘプテン、オクテン等が挙げられるが、これらの中でも、エチレン及びブチレンが好ましい。該共重合体におけるプロピレン含量は、40〜90重量%が好ましく、50〜85重量%が更に好ましい。このようなプロピレンとα−オレフィンとの共重合体は、通常行われているメタロセン触媒を用いた重合法により製造することができる。メタロセン触媒を用いたプロピレン系エラストマーによれば、チーグラー系のプロピレン系エラストマーより結晶組成分布が狭いため、コンパウンド後の最終物性に必要とされる柔軟性や融点の制御を行いやすい。そのような市販品としては、例えば三井化学(株)製の商品名「タフマーXM」、エクソンモービル(株)製の「VISTAMAXX」等が挙げられる。
<結晶性>
本発明で使用する官能基含有プロピレン系エラストマーは、その主鎖となるプロピレン系エラストマーとして結晶性の低いプロピレン重合体を用いることにより、塗膜との結合機能を担う成分の塗膜追随性を向上させることができ、それによって塗装密着性を高めることができる。また、低結晶性のプロピレン系重合体は、後述する官能基含有モノマーによるグラフト反応の際、主鎖の切断等を生起せず分子量を高い状態に維持し得る。この低結晶性は、官能基含有プロピレン系エラストマーのDSCによる融解熱量が50J/g未満であるとき、特に顕著に現れる。
本発明におけるDSCの測定法は以下の通りである。
PERKIN−ELMER社製熱分析システムDSC7を使用し、以下の方法で測定を行った。試料(約5〜10mg)を、200℃で5分間融解後、10℃/minの速度で−20℃まで降温し、5分間同温度で保持した後に、10℃/minで200℃まで昇温することにより融解曲線を得て、最後の昇温段階における主吸熱ピークのピークトップ温度を融点として求めた。融解熱量は、この主吸熱ピークとベースラインとで囲まれる領域の面積から求めた。ところで、融解熱量が小さい場合、ベースラインの変動と真の吸熱ピークとの判別が困難な場合がある。この場合には、上述の降温過程において、結晶化による発熱ピークが存在し、それが、吸熱ピークと対応するかどうかを確認する。対応する発熱ピークが存在すれば、結晶融解にもとづく真の吸熱ピークが存在すると判別し、そうでない場合には、ベースラインの変動と判別する。
(ii)官能基(極性基ということもある)
本発明における官能基含有プロピレン系エラストマーは、上述のようにその主鎖をなすプロピレン系エラストマーが低結晶性であると同時に、官能基を含有している。官能基としては、スキン層上に塗布される塗料成分と親和性を有する官能基であれば任意の官能基が使用できるが、極性基が好ましい。好適な官能基の具体例としては、カルボキシル基、エステル基、アミド基、イミド基、酸無水物基、水酸基が挙げられるが、特に好ましくは、酸無水物基、水酸基である。
プロピレン系エラストマーへの官能基の導入方法には特に制限はなく、従来公知の方法が使用できる。具体的には、官能基を有するモノマーをプロピレンと共重合させる方法、有機溶媒の溶液中でプロピレン系エラストマーと官能基含有モノマーを、有機過酸化物を開始剤としてグラフト反応させる溶液法、押出機等の溶融混練装置を用いて、官能基含有モノマーをプロピレン系エラストマーにグラフト反応させる溶融混練法等を挙げることができる。なお、官能基の導入については、ここに挙げた手法を組み合わせたり、同一または異なる手法を複数回実施したりしてもよい。
(A)成分である官能基含有プロピレン系エラストマー中における官能基含有モノマーの含有量は、プロピレン系エラストマー重量に対し、一般に、0.8重量%以上、15.0重量%以下、好ましくは1.5重量%以上、6.0重量%以下である。該官能基含有モノマーの含有量(グラフト率とも言う)が0.8重量%未満では塗料との密着性に乏しく、15.0重量%を超えると、(A)成分がマトリクスとなる結晶性ポリプロピレンと相溶性が低下し、最表面にある官能基含有プロピレン系エラストマーがポリプロピレンから脱落しやすくなり、それぞれ好ましくない。
(iii)官能基(極性基)の導入
プロピレン系エラストマーに官能基を導入する代表的な具体例としては、官能基を含有するモノマーをグラフト共重合させる方法が挙げられる。官能基含有モノマーとしてカルボキシル基を有する極性モノマーをグラフト共重合させる場合、極性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸およびその酸誘導体並びにモノオレフィンジカルボン酸、その無水物およびそのモノエステル類が挙げられる。
(メタ)アクリル酸およびそのエステル誘導体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の炭素数6〜12のアリール基またはアリールアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
さらに、他の(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイドの付加物等のヘテロ原子(窒素原子、酸素原子等)含有置換基で置換された炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル等のフッ素原子を含有する炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジメチルアミド等の(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
モノオレフィンジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、クロロマレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、3−メチル−2−ペンテン・二酸、2−メチル−2−ペンテン・二酸、2−ヘキセン・二酸等が挙げられる。また、モノオレフィンジカルボン酸モノアルキルエステルとしては、炭素数1〜12のアルキルアルコールとこれらのジカルボン酸とのモノエステルが挙げられ、アルキルアルコールとしては、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、オクチルアルコール、シクロヘキシルアルコール等が挙げられる。
モノオレフィンジカルボン酸モノアルキルエステルをグラフト共重合単位として含有するプロピレン系エラストマーは、例えば、モノオレフィンジカルボン酸モノアルキルエステルを該プロピレン系エラストマーにグラフト共重合する方法:モノオレフィンジカルボン酸もしくはその無水物を、該プロピレン系エラストマーにグラフト共重合させた後に、アルキルアルコールによりカルボン酸基の1つをエステル化する方法によって得ることができる。
また、官能基としてアミド基、イミド基、水酸基を含有するプロピレン系エラストマーは、上述の如きカルボキシル基を含有させたポリプロピレン系エラストマーを、さらにアミンなどで変性することによって製造できる。また、アミノ基と水酸基の両者を有する極性モノマーを用いて、上述のカルボキシル基含有ポリプロピレン系エラストマーを再度変性することによって、水酸基含有プロピレン系重合体を製造することができる。なお、これらの官能基の変換は、従来公知の方法、例えば、エステル基の還元などが使用できる。
プロピレン系エラストマーと官能基含有モノマーとのグラフト共重合反応に用いられるラジカル重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤から適宜選択して使用することができ、有機過酸化物、アゾニトリル等を挙げることができる。有機過酸化物としては、ジイソプロピルパーオキシド、ジ(t−ブチル)パーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、クミルヒドロパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカルボナート、ジシクロヘキシルパーオキシカルボナート等が挙げられる。アゾニトリルとしてはアゾビスブチロニトリル、アゾビスイソプロピルニトリル等が挙げられる。これらの中で、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシドが好ましい。
上記グラフト共重合反応を有機溶媒中で行う場合、その有機溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素;トリクロロエチレン、パークロルエチレン、クロルベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられ、これらの中でも、芳香族炭化水素もしくはハロゲン化炭化水素が好ましく、特にトルエン、キシレン、クロルベンゼンが好ましい。
本発明における官能基含有プロピレン系エラストマーとしては、上記(A1)ステレオブロック構造を有するプロピレン系エラストマー或いは(A2)プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体に、それぞれ官能基含有モノマーをグラフト反応により結合させて変性(グラフト変性ということもある)したものを、単独で用いてもよいし混合して用いてもよい。また、(A1)ステレオブロック構造を有するプロピレン系エラストマーと(A2)プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体を混合した後、官能基含有モノマーによるグラフト変性を行ったものでもよい。更に、(A1)ステレオブロック構造を有するプロピレン系エラストマーを単独でグラフト変性した後、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体と混ぜたものでもよく、またプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体をグラフト変性した後、(A1)ステレオブロック構造を有するプロピレン系エラストマーと混ぜたものでもよい。
(iv)分子量
本発明の積層体の塗装密着性を向上させるためには、積層体を構成するスキン層の表面にできるだけ多くの官能基を存在させることが好ましく、そのためには、スキン層中の官能基含有プロピレン系エラストマーの配合量を増やすことが考えられる。一方、従来の結晶化度の高いアイソタクチックポリプロピレンをグラフト変性したものは、そのグラフト反応を高温状態で過酸化物を用いて行わなければならないため、変性中にポリプロピレンの主鎖が切断されて低分子量体となりやすい。その結果、このような変性ポリプロピレンを用いて積層体を成形すると、成形溶融時における樹脂の粘度制御が困難であるため成形不良が起こりやすい。また、低分子量の変性ポリプロピレンを含有する成形シートは膜切れが起きやすいため延伸性も悪く、延伸後の積層体の外観が悪化し実用性に欠ける。
これに対し、本発明では、(A)成分、すなわち、低結晶性のプロピレン系エラストマーを主鎖に持った官能基含有プロピレン系エラストマーを用いるが、このような低結晶性のプロピレン系エラストマーは、低温でもトルエンやキシレン等の汎用溶媒に可溶であるため、過酸化物を用いたグラフト反応による変性を低温で行うことが可能であることから、変性時におけるポリプロピレンの主鎖の切断が起こりにくく、変性後の分子量が大きい状態で保たれる。そのため、このような(A)成分を用いると、(B)成分として用いられる結晶性プロピレン系重合体に対する配合量が多くても成形性を低下させず、また延伸時の膜切れが起きにくく外観が良好な積層体を得ることができるので、塗装密着性の向上も達成し得る。
(B)結晶性プロピレン系重合体
本発明における結晶性プロピレン系重合体は、スキン層を形成するポリプロピレン系樹脂組成物の一成分(B成分)である。ここで、結晶性プロピレン系重合体とは、プロピレンを主要な構成単位とする重合体であり、プロピレン単独重合体や、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体、または、これらの混合物である。なお、主要な構成単位とは、プロピレン系重合体中、プロピレン単位が少なくとも90重量%以上、好ましくは95重量%以上であることを表す。結晶性プロピレン系重合体は、結晶性を有する限りその構造、たとえば、立体規則性、分子量、分子量分布、プロピレン含量等については特に制限はなく、目的に応じて必要な構造を有するものを使用することができる。
結晶性ポリプロピレン系重合体は、DSC測定時の融点Tmが130℃以上であることが好ましい。より好ましくは140℃以上であり、更に好ましくは150℃以上で、最も好ましくは160℃以上である。130℃より高いほど、結晶性が高いため成形体の剛性・耐熱性が向上する。また結晶性ポリプロピレン系重合体は、DSC測定時の結晶融解熱量ΔHが60J/g以上であることが好ましく、より好ましくは70J/g以上であり、更に好ましくは80J/g以上であり、最も好ましくは90J/g以上である。ΔHが60J/gより大きいほど、結晶性が高いため成形体の剛性・耐熱性が向上する。
本発明の積層体を工業部品に応用する場合、結晶性プロピレン重合体としては、一般的には、(i)プロピレン・エチレンブロック共重合体、(ii)プロピレン単独重合体、(iii)プロピレン・エチレンランダム共重合体が、好適に用いられる。以下、これらについて、さらに詳しく説明する。
(i)プロピレン・エチレンブロック共重合体
プロピレン・エチレンブロック共重合体としては、アイソタクチックペンタッド分率が0.9以上のプロピレン単独重合体部分と、ガラス転移温度が−30℃以下であり、135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]が3〜15(dl/g)のエチレン・プロピレン共重合体部分を有するものが好ましく用いられる。
プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率は、0.9以上、1.0以下であって、好ましくは0.950以上、より好ましくは0.980以上、通常0.995以下である。アイソタクチックペンタッド分率が高いほど、一般に、成形体の剛性や耐熱性が向上する。アイソタクチックペンタッド分率とは、13C−NMRを使用する方法で測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。換言すれば、アイソタクチックペンタッド分率は、プロピレンモノマー単位が5個接続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。具体的には、13C−NMRスペクトルにおけるメチル炭素原子に由来する全吸収ピーク中のmmmmで表されるペンタッドのピークの強度分率として、アイソタクチックペンタッド分率を測定する。
アイソタクチックペンタッド分率が0.9以上のプロピレン単独重合体部分は、立体規則性触媒を用いて製造することができる。立体規則性触媒としては、(a)三塩化チタン系触媒、(b)マグネシウム化合物担持触媒、(c)シングルサイト触媒を例示することができる。三塩化チタン系触媒(a)の代表的な例として、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、さらに各種の電子供与体および電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物ならびにカルボン酸エステルを組み合わせた触媒を挙げることができる。マグネシウム化合物担持触媒(b)の代表的な例としては、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと電子供与体を接触させた固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物ならびにアルコキシシランを組み合わせた触媒を挙げることができる。シングルサイト触媒(c)は、シクロペンタジエニル配位子を有するメタロセン触媒と、シクロペンタジエニル配位子を持たないいわゆるポストメタロセン触媒の二つに大別でき、いずれも、遷移金属錯体と活性化剤との組み合わせからなる触媒である。
プロピレン単独重合体部分のメルトフローレート(MFR)は、通常0.1g/10min以上、好ましくは0.2g/10min以上、より好ましくは0.5g/10min以上であり、通常300g/10min以下、好ましくは250g/10min以下、より好ましくは200g/10min以下である。MFRを0.1g/10min以上とすることで、該結晶性プロピレン系重合体を含むプロピレン系樹脂組成物の流動性が高まり、また300g/10min以下とすることで耐衝撃性の低下を防ぐことができるため、それぞれ好ましい。なお、プロピレン単独重合体部分のMFRは、JIS K7210条件14に基づき、温度230℃、荷重21.18Nで測定する。プロピレン単独重合体部分のMFRは、プロピレン単独重合体部分の重合時に、重合温度や水素濃度を制御することによって調整することができる。
プロピレン・エチレン共重合体部分は、エチレンとプロピレンが前記した触媒のもとで共重合させることにより製造されるが、その他の共重合モノマーとして、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等の任意のα−オレフィンも使用することができる。最も好ましい共重合体は、プロピレン単独重合体部分との相溶性や靭性の観点から、プロピレンとエチレンの共重合体である。
このプロピレン・エチレン共重合体部分の135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]は通常3dl/g以上、好ましくは4dl/g以上、より好ましくは5dl/g以上であり、通常15dl/g以下、好ましくは12dl/g以下、より好ましくは10dl/g以下である。固有粘度が3未満の場合、共重合体部分そのものの靭性が劣り、15を超えると共重合体成分の分散性が低下し、それぞれ耐衝撃性の低下要因となる。なお、このプロピレン・エチレン共重合体部分の固有粘度は、重合温度や、共重合体成分を重合する際に添加する水素の添加量を調整することによって制御される。
また、プロピレン・エチレン共重合体部分は、ガラス転移温度が−30℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が−30℃より高いと、低温での耐衝撃特性が低下するため、特に、低温耐衝撃性が要求される用途においては好ましくない。なお、プロピレン・エチレン共重合体部分のガラス転移温度は、動的固体粘弾性測定装置により測定する。また、プロピレン・エチレン共重合体成分のガラス転移温度は、エチレンと共重合モノマーの共重合比によって制御することができる。一般的には、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィン(エチレンおよびプロピレンを除く)との共重合比は、重量比で、通常1/99以上、好ましくは10/90以上、さらに好ましくは20/80以上であって、通常99/1以下、好ましくは90/10以下、さらに好ましくは80/20以下である。
このプロピレン・エチレンブロック共重合体は、従来公知の任意の重合方法により製造することができる。例えば、気相重合法、塊状重合法、溶液重合法、スラリー重合法などを挙げることができ、1つの反応器でバッチ式に重合したり、複数の反応器を組み合わせて連続式に重合したりしてもよい。
(ii)プロピレン単独重合体
プロピレン単独重合体として好ましく用いられるのは、アイソタクチックペンタッド分率0.9以上、MFRが、通常0.1g/10min以上、好ましくは0.2g/10min以上、より好ましくは0.5g/10min以上であって、通常300g/10min以下、好ましくは250g/10min以下、より好ましくは200g/10min以下のプロピレン単独重合体である。MFRを0.1g/10min以上とすることで、該結晶性プロピレン系重合体を含むプロピレン系樹脂組成物の流動性が高まり、また300g/10min以下とすることで耐衝撃性の低下を防ぐことができるため、それぞれ好ましい。本重合体を得るための触媒としては、上記(i)プロピレン・エチレンブロック共重合体の項に記載した触媒を使用することができる。MFRの制御方法や製造プロセスについても同様である。
(iii)プロピレン・エチレンランダム共重合体
プロピレン・エチレンランダム共重合体として好ましく用いられるのは、エチレン含量が0.1〜10重量%、MFRが通常0.1g/10min以上、好ましくは0.2g/10min以上、より好ましくは0.5g/10min以上であって、300g/10min以下、好ましくは250g/10min以下、より好ましくは200g/10min以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体である。MFRを0.1g/10min以上とすることで、該結晶性プロピレン系重合体を含むプロピレン系樹脂組成物の流動性が高まり、また300g/10min以下とすることで耐衝撃性の低下を防ぐことができるため、それぞれ好ましい。本重合体を得るための触媒としては、上記(1)プロピレン・エチレンブロック共重合体の項に記載した触媒を使用することができる。MFRの制御方法についても同様である。なお、プロピレンとエチレン以外に、他の少量のα−オレフィンを共重合しても良い。エチレン含量は、重合槽において、プロピレンとエチレンの比率を変えることによって制御できる。一般的には、エチレン含量は、0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、10重量%以下、好ましくは8重量%以下である。
本発明の積層体におけるベース層は、結晶性ポリプロピレン系樹脂から形成される。該結晶性ポリプロピレン系樹脂としては特に制限はなく、上記(B成分)の項で記載した結晶性ポリプロピレン系重合体と同様のものが使用される。本発明の積層体において、ベース層を形成する結晶性ポリプロピレン系樹脂とB成分としての結晶性ポリプロピレン系重合体は、同じでも異なっていてもよい。
[2] 成形
本発明のポリプロピレン系樹脂積層体は、スキン層とベース層とを積層してなるものであり、各層を形成する前記各成分を、それぞれ必要に応じドライブレンドし、直接積層体製造装置(例えば、共押出成形装置)に供給し積層体を成形することができる。スキン層の厚さは、通常2〜100μm、好ましくは20〜70μm、ベース層は成形品の目的・用途に応じて特に制限的ではないが、通常100〜5000μmの範囲から選択される。
本発明における積層体の製造は、公知の任意の成形方法に従うことができる。例えば、まず連続的に積層体を製造する方法としては、溶融状態の樹脂材料を平板状に押し出し、これを表面が平滑な回転する一対のロールで挟み込みながら連続的に冷却固化と表面への平滑性賦与を行う方法、ロールの代わりに表面が平滑なベルトを1つあるいは2つ用いる方法、一旦表面の平滑性にかまわず平板状に固化させたものを再度加熱した上で表面が平滑なロールやベルトを押し当て、最終的に表面が平滑なシートを得る方法、さらに溶融状態の樹脂材料を円筒状に押し出し周囲から水流や気流によって冷却固化する方法等が挙げられる。
また、非連続的に製造する方法としては、一旦何らかの方法で平板状にした表面が平滑でない積層体を、表面が平滑な一対の板の間に置き熱を加えながら板同士を押しつけることによって表面を平滑にする方法、溶融状態の樹脂原料を表面が平滑な一対の板の間に供給し板で圧力を加えながら冷却固化させる方法等が挙げられる。以上に述べた製造方法のうち、品質の安定性や生産性の面からは、表面が平滑なロールやスチールベルトで連続的に成形する方法が好ましく、特に片面もしくは両面からスチールベルトで押さえ込む方法が好ましい。
上記の積層体シートを製造する方法としては、樹脂原料を溶融状態でシート状に押出すと同時に積層し、その後に冷却固化して多層積層体とする共押出法、一旦平板状にしたもの同士を溶融樹脂や接着剤等によって張り合わせるラミネーション法、一方の平板に他方を溶融状態で積層した後に直ちに冷却固化し積層体を得る熱ラミネーション法もしくは押出コーティング法等が挙げられる。
本発明の積層体を成型用として用いる場合、積層体のスキン層には、上述した成分の他に、必要に応じて、本発明の効果が著しく損なわれない範囲内で、その他の成分が配合されていてもよい。このようなその他の配合成分としては、着色するための顔料や染料、フェノール系、イオウ系、リン系などの酸化防止剤、帯電防止剤、ヒンダードアミン等光安定剤、紫外線吸収剤、有機アルミ・タルク等の各種核剤、分散剤、中和剤、発泡剤、銅害防止剤、滑剤、ガスバリア剤、マイカ、熱伝導フィラー、磁性体、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。
本発明の積層体、例えば積層シートは、各種の熱成形法により所望形状の成形品に加工される。加工のための成形法としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、片板熱成形法等を用いることができる。成型品は、その用途により塗装されることが多いが、本発明の積層体から成形された成形品は、その表面のスキン層(A)が特定の樹脂組成物から構成されているので、従来の塗装工程では不可欠であったプライマー塗布を省くことができる。すなわち、本発明の積層体を成形加工した後、その成型品を直接塗料で塗装できるのである。
塗料の塗布方法としては、スプレーによる吹き付け塗装、刷毛塗り、ローラーによる塗布等があるが、いずれの方法も使用可能である。使用できる塗料としては、一般に使用されている塗料、例えば、アクリル系塗料、エポキシ系塗料、ポリエステル系塗料、ウレタン系塗料、メラミン系塗料、アルキド系塗料等が使用できる。いずれの塗料を用いても結晶性ポリプロピレン系樹脂からなる成型品(ベース層のみからなる成形品)に比べて塗膜の剥離強度に優れており、工業的有用性は大きい。
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
<製造例>
以下の諸例において、メタロセンの合成工程は全て精製窒素雰囲気下で行い、エ−テルおよびTHFはNa−ベンゾフェノンで乾燥したものを用いた。トルエン及びn−ヘキサンは関東化学社より市販されている脱水溶媒を用いた。重合工程は、全て精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は、モレキュラーシーブ(MS−4A)で脱水した後に、精製窒素でバブリングして脱気して使用した。プロピレン系重合体の分子量、固有粘度ならびに融点の測定については、本明細書記載の方法で行った。
[製造例1]
<ステレオブロック単独プロピレン系重合体>
(1) ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウムの合成
特開2003−201322号に記載の合成方法により配位子および金属錯体の合成を行った。得られた錯体の1H−NMRデータは以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl3):δ0.85(s,3H),0.86(s,3H),1.47 (d,J=7.1 Hz,3H), 2.25(s,3H),3.42−3.52(m,1H),5.42(dd,J=4.7,10.1 Hz,1H),5.80−5.85 (m,2H),5.90−5.95(m,1H),6.16−6.20(m,2H),6.65(d,J=11.4H),6.80−6.85(m,1H),6.98−7.02(m,1H)
(2) 粘土鉱物の化学処理
1000mL丸底フラスコに、脱塩水(72mL)、硫酸リチウム・1水和物(11g)および硫酸(17g)を採取し、攪拌下に溶解させた。この溶液に、市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL)22gを分散させ、100℃まで昇温し、5時間攪拌を行った。その後、1時間かけて室温まで冷却し、得られたスラリーを濾過してウェットケーキを回収した。回収したケーキを1000mL丸底フラスコにて、脱塩水(500mL)にて再度スラリー化し、濾過を行った。この操作を3回繰り返した。最終的に得られたケーキを、窒素雰囲気下200℃で1時間減圧下に乾燥し、化学処理モンモリロナイト(15.6g)を得た。
(3) 触媒調整
(2)で得られた化学処理モンモリロナイト(3g)に、トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(0.5mmol/ml)12.0mlを加え、室温で30分間攪拌した。この懸濁液にトルエン(75ml)を加え、攪拌後、上澄みを除いた。この操作を2回繰り返した後、トルエンを加えて、粘土スラリー(スラリー濃度=99mg粘土/ml)を得た。
別のフラスコに、トリイソブチルアルミニウム(0.18mmol、日本アルキルアルミ社製)を採取し、ここで得られた粘土スラリー全量及び[製造例1]の(1)で得られた錯体(46.7mg,90μmol)のトルエン希釈液を加え、室温で10分間撹拌し、触媒スラリーを得た。
(4) プロピレン重合
内容積24リットルの誘導攪拌式オートクレーブ内に、トルエン(13リットル)、トリイソブチルアルミニウム(1.5mmol)及び液体プロピレン(3.2リットル)を導入した。室温で、上記触媒スラリーを全量導入し、50℃まで昇温し重合時の全圧を0.6MPaで一定に保持しながら、同温度で2時間攪拌を継続した。攪拌終了後、未反応プロピレンをパージして重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を全量回収し、溶媒を除去したところ、2.76kgのプロピレン重合体が得られた。
(5)分析
得られた重合体を分析したところ、以下の結果が得られた。
GPCによる重量平均分子量 Mw:328,000(ポリスチレン換算)
13C−NMRによるアイソタクチックペンタッド分率:mmmm42.1%
DSCによる融点と結晶融解熱:融点、結晶融解熱、共に明確なピーク確認されず。
本発明におけるGPCの測定法は下記のとおりである。
装置: Waters社製「150CV型」
カラム温度: 135℃
溶媒: オルトジクロロベンゼン
流量: 1.0ml/min
カラム: 東ソー株式会社製TSKgel GMHXL−L
注入量: 500μl(濾過処理)
溶液濃度: 1.0mg/ml
試料調整: オルトジクロロベンゼンを用い、1.0mg/mlの溶液に調整し135℃で1〜3時間溶解させる。
分子量の算出:標準試料として市販の単分散のポリスチレンを使用し、該ポリスチレン標準試料およびポリプロピレンの粘度式から、保持時間と分子量に関する校正曲線を作成し、プロピレン重合体の分子量の算出を行う。なお、粘度式としては、[η]=KMαを使用し、ポリスチレンに対しては、K=1.38E−4、α=0.70、ポリプロピレンに対しては、K=1.03E−4、α=0.78を使用する。
本発明における13C−NMRスペクトルの測定方法は、下記の通りである。
試料350〜500mgを、10mmφのNMR用サンプル管中で、約2.2mlのオルトジクロロベンゼンを用いて完全に溶解させる。次いで、ロック溶媒として約0.2mlの重水素化ベンゼンを加え、均一化させた後、130℃でプロトン完全デカップリング法により測定を行う。測定条件は、フリップアングル90°、パルス間隔5T1以上(T1は、メチル基から由来するスピン−格子緩和時間のうち最長の値)とする。プロピレン重合体において、メチレン基およびメチン基のスピン格子緩和時間はメチル基のそれよりも短いので、この測定条件では、炭素すべての磁化の回復は99%以上である。なお、定量精度を上げるため、13C核の共鳴周波数として125MHz以上のNMR装置を使用し、20時間以上の積算を行うのが好ましい。13C−NMRによる頭−尾(head to tail)結合からなるプロピレン単位連鎖部のメチル基の炭素原子に由来するピークを観測し、mmmmで表されるペンタッドに帰属されるピークトップのケミカルシフトを21.8ppmとした際に、19.8ppmから22.1ppmに現れるピークの総面積Sに対する、21.8ppmをピークトップとするピークの面積S1の比率(S1/S)を求める。
[製造例2]
<無水マレイン酸基含有ステレオブロック単独プロピレン系重合体1>
温度計、冷却管、及び攪拌機を備えたガラスフラスコ中に、[製造例1]で合成したポリプロピレン200g及びトルエン1800gを仕込み、窒素雰囲気下、系内温度を110℃に昇温し溶解した。続いて、無水マレイン酸を30分おきに20gずつ5回(合計100g)、及びパーオキサイド(日本油脂(株)製 商品名 パーブチルI)を30分おきに5gずつ7回(合計35g)、同温度で滴下した後(無水マレイン酸は2時間かけて滴下、パーブチルIは3時間かけて滴下)、2時間熟成反応を行った。反応終了後、室温付近まで冷却し、反応液を4.0kgのアセトン中に投入し、析出した無水マレイン酸変性ポリプロピレンを濾別した。得られた変性ポリプロピレンを、再度2.0kgのアセトン中に投入して精製した後、濾別し真空乾燥した。得られた白色粉末状の変性ポリプロピレンの量は182gであった。
得られた白色粉末状の変性ポリプロピレン20mg取り出し、重水素化o−DCB(オルトジクロロベンゼン)0.65mlに溶解し5mmφ試料管に入れ100℃で1H−NMRを、ブルカーバイオスピン社製 AV400にて測定した。試料の1H−NMRスペクトルを見ると、0.2ppm〜2.2ppmにポリプロピレンのピーク(a)があり、無水マレイン酸が結合した部分は2.2〜3.2ppmにピーク(b)があった。
変性ポリプロピレン中の無水マレイン酸含量は以下の計算式により求めた。
xは化学シフト範囲xの積分値を意味する。また、PP(ポリプロピレン)については1ユニットあたり水素6個として計算するため、無水マレイン酸と反応した分の水素を割り戻して計算した。
計算式;
PP:{(Ia+Ib/3)/6}/[{(Ia+Ib/3)/6}+Ib/3]
無水マレイン酸:(Ib/3)/[{(Ia+Ib/3)/6}+Ib/3]
本式から求められる、変性ポリプロピレン中の無水マレイン酸基を含有するポリプロピレンユニットのmol比は2.1mol%であった。無水マレイン酸のみの重量%を、無水マレイン酸基を含有するポリプロピレンユニットのmol比から換算すると、4.7重量%であった。
[製造例3]
<無水マレイン酸基含有ステレオブロック単独プロピレン系重合体2>
無水マレイン酸添加量を30分おきに8.0gずつ5回(合計40.0g)、及びパーブチルI添加量を30分おきに2.8gずつ7回(合計19.6g)とした以外は、[製造例2]と同様の方法によって無水マレイン基含有ステレオブロック単独プロピレン系重合体を得た。無水マレイン酸の含有量は1.8重量%であった。
[製造例4]
<無水マレイン酸基含有ステレオブロック単独プロピレン系重合体3>
無水マレイン酸添加量を30分おきに2.0gずつ5回(合計10.0g)、及びパーブチルI添加量を30分おきに1.4gずつ7回(合計9.8g)とした以外は、[製造例2]と同様の方法によって無水マレイン基含有ステレオブロック単独プロピレン系重合体を得た。無水マレイン酸の含有量は0.6重量%であった。
[製造例5]
<ステレオブロックプロピレン−エチレン共重合体>
(1)ジクロロ{(1,1’−ジメチルシリレン〔2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル〕〔2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル〕}ハフニウムの合成
(i)Li〔2−メチルベンゾ〔e〕インデニル〕塩(A)の合成
2−メチルベンゾ〔e〕インデン(1.87g、10.4mmol)をn−ヘキサン(38mL)に溶解させた溶液に、n−ブチルリチウム(6.6mL、10.5mmol、1.59mol/L)を0℃でシリンジにて添加した。はじめ透明だった溶液は、しだいに濁り、沈殿を形成した。白色懸濁液を室温で24時間撹拌し、カニューレにて濾過した。得られた白色固体を乾燥n−ヘキサン(10mL×2回)で洗浄し、減圧下に乾燥してふわふわした白色固体のリチウム塩(A)(1.84g、収率95%)を得た。
(ii)Li〔2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)アズレニル〕塩(B)の合成
4−t−ブチルフェニルブロミド(8.99g、42.2mmol)のヘキサン/ジイソプロピルエーテル(120mL/60mL)混合溶液を−40℃に冷却し、それにt−ブチルリチウム(59.4mL、84.4mmol、1.42mol/L)のペンタン溶液をゆっくり滴下した。その後、その内温を−5℃まで昇温し、その温度で1.5時間撹拌した。得られた4−t−ブチルフェニルリチウム塩の懸濁液に、2−メチルアズレン(5.6g、39.4mmol)を0℃で添加した。得られた濃青色懸濁液を0℃で3時間撹拌した後、0.5時間かけて室温まで昇温した。ベージュ色の懸濁液から固体成分をカニューレで濾別し、得られた固体を50mLのn−ヘキサンで2回洗浄した。減圧下に恒量まで乾燥し、11gのリチウム塩(B)を得た。
(iii)ジメチル(2−メチルベンゾ〔e〕インデニル)クロロシランの合成
上記のリチウム塩(A)(1.504g、8.0mmol)をテトラヒドロフランとジエチルエーテル(1/1)との混合溶液(64mL)に溶解させた。一方、ジメチルジクロロシラン(4.16g、32.32mmol)をテトラヒドロフランとジエチルエーテル(1/1)との混合溶液(32mL)で希釈し、この溶液を、先に得られたリチウム塩(A)の溶液に、−5℃にて1時間かけて滴下した。滴下終了後、速やかに0℃に昇温して撹拌し、さらに室温で2時間撹拌した。淡黄色サスペンジョンから減圧下に溶媒を除去し、黄色ペーストを得た。このペーストからジエチルエーテル(16mL×3回)で抽出操作を行い、得られた溶液をカニューレにて濾過した。濾液を集め、減圧下に溶媒を除去した後、恒量になるまで減圧乾燥を行い、ジメチル(2−メチルベンゾ〔e〕インデニル)クロロシランの粘稠な黄色オイルを得た(2.16g、収率99%)
(iv)ジメチル(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−1−アズレニル)シランの合成
上記(iii)で得られた2−メチルベンゾ〔e〕インデニルジメチルクロロシラン(1.39g、4.9mmol)をジエチルエーテル(30mL)に希釈した溶液を、上記(ii)で得られたリチウム塩(B)(1.43g、5.1mmol)のN−メチルイミダゾール(10μmol)を含むテトラヒドロフランとジエチルエーテル(1/1)との混合溶媒(30mL)に溶解させた溶液に、温度0℃にて15分間で添加した。同温度で1時間撹拌し、さらに室温で2時間撹拌した。その後、30mLの氷水を反応混合物に加え、迅速に撹拌して反応をクエンチした。水層を分離し、ジエチルエーテル(30mL×2回)で抽出を行った。油層を集め、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、溶媒並びに揮発分を除去した。更に揮発分を完全に除去し、黄色の固体生成物を得た(2.48g、収率95%)。
(v)ジクロロ{(1,1’−ジメチルシリレン〔2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル〕〔2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル〕}ハフニウムの合成
上記(iv)で得られた化合物(2.0g、3.9mmol)をジエチルエーテル(10mL)に溶解させ、この溶液に、−78℃でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(5.1mL、8.0mmol、1.58mol/L)を、シリンジを用いて5分間で添加した。
混合物を撹拌しながら、ゆっくりと室温まで昇温させた後、更に室温にて3時間撹拌を行った。そこにトルエン(70mL)添加し、−75℃まで冷却した後、四塩化ハフニウム(1.28g、4.0mmol)を添加した。懸濁液を徐々に室温まで昇温し、室温で15時間撹拌した。得られた懸濁液をセライト濾過し、減圧下に溶媒を除去し、黄色の粗錯体を得た(2.82g)。
1H−NMRにて得られた粗錯体を分析したところ、主成分は2種類の異性体(アンチ/シン=57/43)であった。粗錯体にトルエン(5mL×3回)にて再結晶を施し、固体残渣を減圧乾燥し、アンチ−ジクロロ{1,1,−ジメチルシリレン〔2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル〕〔2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル〕}ハフニウムを淡黄色の粉末として得た(0.45g、収率15%)。また、母液を濃縮・精製することでシン体リッチなジクロロ{1,1,−ジメチルシリレン〔2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル〕〔2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル〕}ハフニウムが得られた。
exo−アンチ立体異性体:1H−NMR(CDCl3):δ8.04(d,J=8.08Hz,1H),7.71(d,J=7.84Hz,1H),7.54−7.61(m,2H),7.43−7.49(m,1H),7.41(S,1H),7.21−7.31(m,2H),7.21−7.12(m,3H),6.92(d,J=11.6Hz,1H),6.17(dd,J=11.6,5.56Hz,lH),5.86−5.99(m,2H),5.53(s,lH),4.98−5.02(m,1H),2.59(s,3H),2.16(s,3H),1.22(s,9H),1.21(s,3H),1.14s,3H)。
exo−シン立体異性体:1H−NMR(CDCl3):δ8.06(d,J=7.36Hz,lH),7.77(d,J=7.84Hz,1H),7.58−7.63(m,2H),7.48−7.54(m,2H),7.17−7.31(m,5H),6.98(d,J=7.84Hz,1H),6.03(dd,J=11.6,5.8Hz,1H),5.78(ddd,J=10.6,5.8,2.0Hz,1H),5.69(dd,J=10.8,5.0Hz,1H),5.64(s,1H),4.63−4.68(m,1H),2.59(s,3H),2.37(s,3H),1.26(s,9H),1.23(s,3H),1.13(s,3H)。
(2)粘土鉱物の化学処理
300mL丸底フラスコに、脱塩水(94mL)、硫酸リチウム・1水和物(14.5g)及び硫酸(21.9g)を採取し、撹拌下に溶解させた。この溶液に、市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL、30.5g)を分散させ、10分間かけて沸騰するまで昇温し、沸点(105℃)で120分間撹拌を行った。その後、脱塩水(200mL)を加えて冷却し、得られたスラリーを濾過してウェットケーキを回収した。
回収したケーキを1,000mLビーカーにて、脱塩水(500mL)を用いて再度スラリー化し、濾過を行った。この操作を2回繰り返した。最終的に得られたケーキを、空気下100℃で3時間乾燥し、化学処理モンモリロナイト(26.2g)を得た。
(3)予備重合
上記(2)で得られた化学処理モンモリロナイト(1.02g)を200℃で2時間減圧乾燥した。これに、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.50mmol/mL、4.0mL)を加え、室温で30分間撹拌した。この懸濁液にトルエン(25mL)を加え、撹拌後、上澄みを除いた。この操作を2回繰り返して粘土スラリーを得た。
別のフラスコに、東ソー・アクゾ社製トリイソブチルアルミニウム(0.06mmol)と、合成例(1)(v)で得た錯体(v)(exo−シン立体異性体/exo−アンチ立体異性体=57/43(モル比)、21.1mg、30.0μmol)を加えてあらかじめ反応させトルエン溶液とした。この錯体溶液全量を上記粘土スラリーに加え、室温で1時間撹拌し、触媒スラリーを得た。
次いで、内容積2リッターの誘導撹拌式オートクレーブ内に、上記触媒スラリーを全量導入した。さらに、トリイソブチルアルミニウム(0.06mmol)を含有するトルエン(90mL)を導入し、オートクレーブ内に、30℃で液化プロピレン(30mL)を導入し、30℃で90分間予備重合を行った。得られた予備重合触媒スラリーを200mL丸底フラスコに回収し、上澄みを除いた後、トリイソブチルアルミニウム(0.018mmol)を含有したトルエン(70mL)で洗浄した。この予備重合触媒は、固体触媒成分1gあたりポリプロピレン4.0gを含有していた。
(4)ステレオブロックプロピレン単独重合体
精製窒素で置換された、いかり型撹拌翼を内蔵する2リッターの誘導撹拌式オートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(0.1mmol/mL、5.0mL)を装入した。上記(3)で得た予備重合触媒スラリーを、固体触媒成分として90.4mg装入し、液化プロピレン(500g)を装入した。62℃まで昇温し、重合開始とした。100分後に、モノマーをパージして重合を終わらせた。重合前後のオートクレーブ重量変化よりプロピレン重合体の収量を求めたところ、329gであった。
得られた重合体を分析した。13C−NMRから、mmmmは71.3であった。
(5)ステレオブロックプロピレン−エチレン共重合体
精製窒素で置換された、いかり型撹拌翼を内蔵する2リッターの誘導撹拌式オートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(0.1mmol/mL、5.0mL)を装入した。上記(3)で得た予備重合触媒スラリーを、固体触媒成分として90.4mg装入し、液化プロピレン(500g)を装入した。さらにエチレンをエチレン分圧として0.70MPa装入後、62℃まで昇温し、重合開始とした。100分後に、モノマーをパージして重合を終わらせた。重合前後のオートクレーブ重量変化よりプロピレン・エチレン共重合体の収量を求めたところ、218gであった。なお、重合中、気相部のエチレン濃度をガスクロマトグラフにより求めたところ、平均34.2mol%であった。
得られた共重合体を分析したところ、以下の結果が得られた。13C−NMRにて求めた共重合体中のエチレン含量は、17.1mol%(12.1wt%)であった。また、GPCによる重量平均分子量Mwは294,000(ポリスチレン換算)であった。GPCの測定法は上述のとおりである。DSC測定を行ったところ、融点ピークは115.6℃、結晶融解熱量は28.9J/gであった。
プロピレン−αオレフィン共重合体のmmmmの定義については前述の通りである。本製造例で得られたプロピレン−エチレン共重合体のmmmmは、同様の触媒および重合条件で得られた(4)ステレオブロックプロピレン単独重合体のmmmmが71.3であったことから、71.3と同程度であると考えられる。
[製造例6]
<無水マレイン酸基含有ステレオブロックプロピレン−エチレン共重合体>
予め、パーオキサイド(日本油脂(株)製 商品名 パーロイルTCP)20gをトルエン80gと混合し、滴下漏斗に仕込んでおく。温度計、冷却管、滴下漏斗、及び撹拌機を備えたガラスフラスコ中に、[製造例5]で合成した(5)ステレオブロックプロピレン−エチレン共重合体を200g及びトルエン910gを仕込み、窒素雰囲気下、系内温度を110℃に昇温し溶解した。続いて、40gの無水マレイン酸を一括で投入し10分間撹拌させた。次に、予め用意してあった滴下漏斗からパーオキサイドとトルエンからなる混合物の滴下を開始した。滴下には30分を要し、滴下終了後4時間熟成反応を行った。反応終了後、室温付近まで冷却し、反応液を2.4kgのアセトン中に投入し、析出した無水マレイン酸変性プロピレン−エチレン共重合体を濾別した。得られた変性プロピレン−エチレン共重合体を、再度0.5kgのアセトン中に投入して精製した後、濾別し真空乾燥した。得られた白色粉末状の変性プロピレン−エチレン共重合体の量は193gであった。無水マレイン酸含有量は4.5重量%であった。
[製造例7]
<無水マレイン酸基含有軟質プロピレン系重合体1>
温度計、冷却管、及び撹拌機を備えたガラスフラスコ中に、三井化学(株)製タフマーXM7070(プロピレン−ブテン共重合体 融点77℃ 結晶融解熱40J/g)を3
00g及びトルエン600gを仕込み、窒素雰囲気下、系内温度を110℃に昇温し溶解した。続いて、無水マレイン酸を30分おきに6gずつ5回(合計30g)、及びパープチルIを30分おきに1.7gずつ7回(合計11.9g)、同温度で滴下した後(無水マレイン酸は2時間かけて滴下、パーブチルIは3時間かけて滴下)、2時間熟成反応を行った。反応終了後、室温付近まで冷却し、反応液を1.2kgのアセトン中に投入し、析出した無水マレイン酸変性軟質ポリプロピレンを濾別した。得られた変性軟質ポリプロピレンを、再度0.5kgのアセトン中に投入して精製した後、濾別し真空乾燥した。得られた白色粉末状の変性軟質ポリプロピレンの量は282gであった。無水マレイン酸含有量は4.2重量%であった。
[製造例8]
<無水マレイン酸基含有軟質プロピレン系重合体2>
無水マレイン酸添加量を30分おきに8.0gずつ5回(合計40.0g)、及びパーブチルI添加量を30分おきに2.8gずつ7回(合計19.6g)とした以外は、[製造例7]と同様の方法によって無水マレイン酸基含有軟質プロピレン系重合体2を得た。無水マレイン酸の含有量は1.7重量%であった。
[製造例9]
<水酸基変性無水マレイン酸基含有ステレオブロック単独プロピレン系重合体1>
温度計、冷却管、及び攪拌機を備えたガラスフラスコ中に、トルエンを900g、2−アミノエタノールを13g投入し、系内温度を90℃に昇温した。次いで[製造例2]で得られた無水マレイン酸基含有ステレオブロック単独プロピレン重合体1を、10分おきに17gずつ6回(計102g)ガラスフラスコ内に投入した。投入後系内温度を110℃に昇温させ、同温度で2時間熱熟成させた。反応終了後、室温付近まで冷却し、2―ブタノンを300g、アセトンを1500g投入し、水酸基変性の無水マレイン酸基含有ポリプロピレンを濾別した。得られた水酸基変性無水マレイン酸基含有ポリプロピレンを、再度1.0kgのアセトン中に投入して精製した後、濾別し真空乾燥した。
得られた白色粉末状の水酸基変性無水マレイン酸基含有ポリプロピレンを20mg取り出し、重水素化o−DCB0.65mlに溶解し5mmφ試料管に入れ100℃で1H−NMRを、ブルカーバイオスピン社製 AV400にて測定した。試料の1H−NMRスペクトルを見ると、0.2ppm〜2.2ppmにポリプロピレンのピーク(a)があり、無水マレイン酸が結合した部分のピーク(b)が2.2〜3.2ppmにあり、水酸基変性無水マレイン酸が結合した部分のピーク(c)が3.2〜4.0ppmにあった。
水酸基変性無水マレイン酸基含有ポリプロピレン中の無水マレイン酸、及び水酸基変性無水マレイン酸の含有量は以下の計算式により求めた。また、PPについては1ユニットあたり水素6個として計算するため、無水マレイン酸と反応した分の水素を割り戻して計算した。
計算式;
PP:{(Ia+Ib/3)/6}/[{(Ia+Ib/3)/6}+ Ib/3]
無水マレイン酸:(Ib/3−Ic/4)/[{(Ia+Ib/3)/6}+Ib/3]
水酸基変性無水マレイン酸:(Ic/4)/[{(Ia+Ib/3)/6}+Ib/3]
無水マレイン基含有ポリプロピレンユニットと水酸基変性無水マレイン酸基含有ポリプロピレンユニットとのモル比はそれぞれ0.9mol%と1.2mol%であった。無水マレイン酸、及び水酸基変性無水マレイン酸の重量%を、無水マレイン酸基を含有するポリプロピレンユニットのmol比と水酸基変性無水マレイン酸基を含有するポリプロピレンユニットのmol比から換算すると、無水マレイン酸の含有量は2.0重量%、水酸基変性無水マレイン酸の含有量は3.8重量%であった。
[製造例10]
<水酸基変性無水マレイン酸基含有ステレオブロック単独プロピレン系重合体2>
2−アミノエタノール量を5.0gとすることと、無水マレイン酸基含有ステレオブロックプロピレン系重合体として[製造例3]で得られた生成物を用いること以外は、[製造例9]と同様な方法によって水酸基変性無水マレイン酸基含有ステレオブロック単独プロピレン系重合体2を得た。無水マレイン酸の含有量は0.5重量%、水酸基変性無水マレイン酸の含有量は1.9重量%であった。
[製造例11]
<水酸基変性無水マレイン酸基含有ステレオブロック単独プロピレン系重合体3>
2−アミノエタノール量を1.3gとすることと、無水マレイン酸基含有ステレオブロックプロピレン系重合体として[製造例4]で得られた生成物を用いること以外は、[製造例9]と同様な方法によって水酸基変性無水マレイン酸基含有ステレオブロック単独プロピレン系重合体を得た。無水マレイン酸の含有量は0.1重量%、水酸基変性無水マレイン酸の含有量は0.6重量%であった。
[製造例12]
<水酸基変性無水マレイン酸基含有ステレオブロックプロピレン−エチレン共重合体>
温度計、冷却管、及び撹拌機を備えたガラスフラスコ中に、トルエンを900g、2−アミノエタノールを13g投入し、系内温度を90℃に昇温した。次いで[製造例6]で得られた無水マレイン酸基含有ステレオブロックプロピレン−エチレン共重合体を、10分おきに17gずつ6回(計102g)ガラスフラスコ内に投入した。投入後系内温度を110℃に昇温させ、同温度で2時間熱熟成させた。反応終了後、室温付近まで冷却し、2−ブタノンを300g、アセトンを1500g投入し、水酸基変性の無水マレイン酸基含有ポリプロピレンを濾別した。得られた水酸基変性無水マレイン酸基含有ポリプロピレンを、再度1.0kgのアセトン中に投入して精製した後、濾別し真空乾燥した。無水マレイン酸成分含有量は1.8重量%、水酸基変性無水マレイン酸成分含有量は3.1重量%であった。
[製造例13]
<水酸基変性無水マレイン酸基含有軟質プロピレン系重合体1>
温度計、冷却管、及び攪拌機を備えたガラスフラスコ中に、トルエンを900g、2−アミノエタノールを13g投入し、系内温度を90℃に昇温した。次いで[製造例7]で得られた無水マレイン酸基含有軟質プロピレン系重合体を、10分おきに17gずつ6回(計102g)ガラスフラスコ内に投入した。投入後系内温度を110℃に昇温させ、同温度で2時間熱熟成させた。反応終了後、室温付近まで冷却し、2−ブタノンを300g、アセトンを1500g投入し、水酸基変性の無水マレイン酸基含有軟質ポリプロピレンを濾別した。得られた水酸基変性無水マレイン酸基含有軟質ポリプロピレンを、再度1.0kgのアセトン中に投入して精製した後、濾別し真空乾燥した。無水マレイン酸成分含有量は1.9重量%、水酸基変性無水マレイン酸成分含有量は3.2重量%であった。
[製造例14]
<水酸基変性無水マレイン酸基含有軟質プロピレン系重合体2>
2−アミノエタノール量を5.0gとすることと、無水マレイン酸基含有軟質プロピレン系重合体として[製造例8]で得られた生成物を用いること以外は、[製造例13]と同様な方法によって水酸基変性無水マレイン酸基含有軟質プロピレン系重合体を得た。無水マレイン酸の含有量は0.4重量%、水酸基変性無水マレイン酸の含有量は1.8重量%であった。
[製造例15]
<水酸基変性無水マレイン酸基含有アイソタクチックプロピレン系重合体>
数平均分子量7000、密度0.89g/cm3、融点132.2℃、結晶融解熱96J/gの高結晶性ポリプロピレン300g、無水マレイン酸20gを、還流管を付けた反応器の中に仕込み、キシレン700gを加えた後に窒素置換した。攪拌下、窒素を少量導入しながら150℃に昇温し、均一に溶解した後、パーオキサイド(日本油脂(株)製 商品名 パークミルD)16.5重量部を3時間かけて添加し、更に4時間反応を続けた。その後、最初常圧で、次いで180℃、3mmHgの減圧下、2時間かけてキシレン及び未反応のマレイン酸を除去した。続いて、トルエン1250gを添加し、トルエン溶液中に無水マレイン酸変性ポリプロピレンを溶解させた後、モノエタノールアミン12gを加え、50℃で60分間反応させた。得られた変性ポリプロピレンの水酸基変性無水マレイン酸の含有量は11.6重量%であった。
表1に各製造例のプロピレン系重合体の主骨格ポリマー、官能基の種類及び量をまとめて示す。
Figure 2008195070
[実施例1〜7及び比較例1〜5]
<共押出成形シートの成形>
上記製造例の項で得られた各重合体粉末を、テクノベル社製2軸混練機「KZW15」を使用し、ペレットに造粒した。シート成形はプラコー製3層シートTダイ成形機を用いた。層A(スキン層)の原料となる樹脂を表1に記載の配合比でドライブレンドにより混合した混合物、層B及び層Cの原料となる各樹脂をそれぞれシート成形機の押出機に供給し、溶融混練しながら共押出成形し、3層構造の積層体シートを製造した。表1に層A/層B/層Cの各層の樹脂及び配合比(重量比)をまとめて示した。層Bには,日本ポリプロ(株)製のポリプロピレン(商品名 ノバテック PP FG4)、層Cには、同社のポリプロピレン(商品名 ノバテック PP FY4)をそれぞれ使用した。
設定温度に関しては、押出機は最上流を200℃とし、徐々に設定を上げながら先端を220℃とした。以降、途中の接続管、フィードブロック、ダイまで全て220℃とした。溶融樹脂の冷却固化は、ロール引取機で行った。ロール内部は、一定温度の水の循環によって冷却される構造となっており、この時の水の温度は全て40℃とした。ロール引取速度を8.4m/分とし、層A/層B/層C=20/100/20(単位:μm)となるように樹脂を供給した。
<共押出成形シートの熱延伸>
350μm厚みのポリプロピレン基材を、中央に直径160mmの穴を有する2枚の鉄枠(200mm×200mm×6mm)の間に挟み、断熱箱の中に水平にセットする。次に鉄枠にサンドイッチされたポリプロピレン基材をその上下面より均一に加熱出来るように、その基材の上下に490℃に加熱されたヒーターをスライドさせる(上下ヒーターは、設置されたポリプロピレン基材から15cm離れたところからポリプロピレン基材を加熱)。鉄枠に挟まれたポリプロピレン基材は、加熱によって一旦、下面ヒーター方向に垂れ下がり、その後、シートの厚み方向に均一に昇温が進むと、基材シートは再び水平となる。ポリプロピレン基材の上下にある490℃に加熱された上下ヒーターを、スライドさせることで取り除き、前記共押出成形シートの層C側をポリプロピレン基材に貼り合わせ積層シートを作成する。積層シートを鉄枠上にて上下反転させ、ポリプロピレン基材面を上にして再度挟み、断熱箱の中に水平にセットする。
次に鉄枠にサンドイッチされた積層シートを均一に加熱出来るように490℃に加熱された上下ヒーター(上下ヒーターは、設置された積層シート面から15cm離れたところから積層シートを加熱)を積層シート上下面にスライドさせる。鉄枠内の積層シートは、加熱によって一旦、下面ヒーター方向に垂れ下がり、その後、積層シートの厚み方向に均一に昇温が進むと、積層シートは再び水平となる。積層シートの上下にある490℃に加熱された上下ヒーターを、スライドさせることで取り除き、一方の先端が直径80mmの半球状の形状を持った深85mmの円筒の周りに溶融積層シートを密着させながら、積層シートの鉛直上方から加圧空気供給によって押し込むことで延伸させた後、空冷・固化を行った。延伸後の積層シートの厚みは150μmであった。
<塗装方法>
(1)塗料;本実施例で用いた塗料は一般的に自動車メーカー等で用いられている塗料であるウレタン系塗料である。塗料は日本ビーケミカル社製のウレタン系塗料(ベース塗料:R333(1C0) クリア塗料 主剤:R298−1 硬化剤:H298)を使用した。
(2)塗装方法:試験片の表面をイソプロピルアルコールで脱脂し、剥離強度の測定のためセロハンテープを試験片上半分に貼り付け、エアスプレーガンを用いて、ベース塗料の塗膜厚さが約15μmになるようにスプレー塗装を行い、約5分間自然乾燥させた後、塗膜厚さが全体で約40μmになるようクリア塗料による塗装を行った。その後、約5分間自然乾燥させ、次に90℃のオーブンで60分間焼き付け乾燥を行った。
<塗膜物性の評価>
塗膜剥離強度(ピール強度)試験
試験片の上半分に塗料が付着しないよう、セロハンテープを貼り付けた。その上から塗装を行い、試験片に20mm巾で縦方向に素地にまで切傷をつけた。その上から、切傷に沿うように幅を20mmに裁断した市販両面粘着テ―プ(日東電工(株)製「両面接着テープNo.500」)の片面に紙を貼り付けた粘着テープを貼り付けた。両面粘着テープの端を引張試験機のロードセルに装着し、試験片をクロスヘッドに取り付けて、引張速度300mm/分で180°方向に引き剥がした時の平均負荷(gf)を記録した。試験片から塗膜が剥離せずに粘着テープが塗膜から剥離する場合は、最大負荷は数値で表現できないので「ND」としたが、ピール強度は「1300gf/cm以上」となる。
表2に示した配合組成に従い、樹脂を混合し成形を行った。得られた成形シートを熱延伸し、ウレタン系塗料にて塗装を施した後塗膜剥離強度試験を行った。
また、成形シートの成形性及び延伸性の評価は目視により確認した。
評価 成形性
○:安定したシート成形が可能。
×:成形中にサージングやアバタのような表面あれが起きる。
延伸性
○:延伸時に破断しない
×:延伸時に破断する
試験結果を纏めて表2に示した。
尚、表2には成形シートのXPSによるO/Cの値、及びスキン層構成樹脂の引張試験時の引張破壊伸びも記載した。
Figure 2008195070
表中
PP−A:日本ポリプロ(株)製 ノバテック PP FG4
PP−B:日本ポリプロ(株)製 ノバテック PP FY4
以上の実施例、及び比較例から明らかなように、(1)層A(スキン層)のXPSによるO/Cが0.001以上で、かつ(2)層Aを構成する樹脂からなるシートの引張破壊伸びが250%以上であることの要件を満たすときは積層シートの塗装密着性が良好となるが、(1)及び(2)の要件のどちらか一方を満たさない場合、並びに両方とも満たさない場合には、塗装密着性が良好でない。
また、比較例4、5に示されるように、スキン層を構成する官能基含有プロピレン系エラストマーが官能基を有していても、その主骨格が、高結晶性のプロピレン系重合体だと、成形性、延伸性、塗装密着性の良好な物性値を得ることはできない。また、官能基含有プロピレン系エラストマーの主骨格が低結晶性のプロピレン系エラストマーだとしても、比較例1〜3のように官能基量が少ない場合は、塗装密着性の良好な成形物を得ることができない。スキン層を構成する成分(A)として本発明に規定した低結晶性のプロピレン系エラストマーを主骨格とした官能基含有プロピレン系エラストマーを適正な量だけ用いた積層体シートでは、プライマー等の下塗り無しでも著しく良好な塗装密着性をもち、優れた成形性、易延伸性を有することがわかる。

Claims (10)

  1. 結晶性ポリプロピレン系樹脂から成るベース層と、該ベース層上に少なくともポリプロピレン系樹脂組成物からなるスキン層が積層されてなり、且つ下記(1)及び(2)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層体。
    (1)該スキン層は、少なくともベース層との積層面と反対の面のX線光電子分光法(XPS)によるO/C(炭素原子に対する酸素原子存在比)が0.001以上であること
    (2)該スキン層を構成するポリプロピレン系樹脂組成物からなるシートの引張破壊伸びが250%以上であること
  2. 結晶性ポリプロピレン系樹脂から成るベース層と、該ベース層上にポリプロピレン系樹脂組成物からなるスキン層が直接積層されてなる積層体であって、該ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)メタロセン触媒を用いた重合法によるプロピレン系エラストマーに官能基含有モノマーがグラフト結合した官能基含有エラストマーを10〜60重量部、及び(B)結晶性プロピレン系重合体を90〜40重量部含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層体。
  3. 請求項2に記載の積層体は、ベース層を構成する結晶性ポリプロピレン系樹脂とスキン層を構成する該ポリプロピレン系樹脂組成物とを共押出成形することにより形成されることを特徴とする請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂積層体。
  4. 前記(A)官能基含有エラストマーにおけるメタロセン触媒を用いた重合法によるプロピレン系エラストマーが、(A1)アイソタクチックブロックと非晶性ブロックからなるステレオブロック構造を有するプロピレン系エラストマー、及び/又は(A2)プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィン1種以上との共重合体であるプロピレン系エラストマーであることを特徴とする請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂積層体。
  5. 前記プロピレン系エラストマーの示差走査熱量測定(DSC)による結晶融解熱が、50J/g未満であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂積層体。
  6. 前記官能基含有エラストマーの官能基が、水酸基、酸無水物基、カルボキシル基、エステル基、アミド基及びイミド基からなる群より選ばれる1以上の基であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂積層体。
  7. 前記官能基含有エラストマーの官能基の量が、前記プロピレン系エラストマーに対して0.8〜15重量%であることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂積層体。
  8. 前記結晶性ポリプロピレン系樹脂が、プロピレン単独重合体及び/又はプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィン1種以上との共重合体であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂積層体。
  9. 前記スキン層上に接して、ウレタン系塗料を含む層を有することを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂積層体。
  10. 請求項2乃至9のいずれか1項に記載の積層体であって、下記(1)及び(2)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層体。
    (1)該スキン層は、少なくともベース層との積層面と反対の面のX線光電子分光法(XPS)によるO/C(炭素原子に対する酸素原子比)が0.001以上であること
    (2)該スキン層を構成するポリプロピレン系樹脂組成物からなるシートの引張破壊伸びが250%以上であること
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