JP2008193243A - 導波管 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導波管の変換器寸法を小型化すること、またマイクロストリップ線路を設けた高周波回路層とバックショートを積層基板内に一括作製することで量産性に優れた変換器構造を備えた導波管を提供する。
【解決手段】 マイクロストリップ線路と導波管の伝送モード変換を相互に行う積層基板を用いた導波管において、上記導波管は、高周波回路層に設けられたマイクロストリップ線路が上記積層基板内の片端を短絡した誘電体充填導波管内部に挿入された変換部を備え、これら変換部は少なくとも2枚以上の誘電体基板が積層されて導波管を形成し、前記変換部側の導波管接続口と対抗側の接続口とを接続する際に、前記変換部と対抗側に挟まれる位置の基台に誘電体が充填され、該誘電体はテーパ加工が施されて所定の誘電率を生じることを特徴とする導波管。
【選択図】 図1

Description

本発明は、導波管に関し、特に、立体伝送回路である金属導波管と平面伝送線路であるマイクロストリップ線路間の相互の伝送モード変換を高効率で行う導波管モジュールの小型化およびその量産を容易にする変換器を含む導波管の構造に関する。
従来より無線装置などに使用される導波管として、マイクロストリップ線路を伝送する電力を相互に変換する変換器を備えた導波管がある。
例えば、特許文献1には従来の導波管に関する技術が記載されている。
図4に従来技術による変換器構造200を示す。
誘電体基板11にはマイクロストリップ線路10が設けられ、その一端が導波管9の内部に挿入されている。
この誘電体基板11は一般にバックショートと呼ばれる短絡導波管ブロック8と導波管9とで挟み込むようにして固定される。
マイクロストリップ線路10の伝送モードと導波管9の伝送モードとを高効率で変換するために、短絡導波管ブロック8の短絡面とマイクロストリップ線路10との距離は導波管管内波長λの約1/4に設定される。
従来構造200に使用される短絡中空導波管ブロックによるバックショート8の寸法は、使用する導波管9の断面寸法と使用波長によって一意に定まる。
すなわち、バックショート8の断面寸法は使用導波管9の断面寸法と同一となり、バックショートの長さは使用波長λの約1/4となる。
したがって、バックショートを含んだ変換器寸法は導波管の断面寸法と同等もしくはそれよりも大きな面積を必要としていた。
このため、誘電体基板11とバックショート8を含んだ変換器全体の自由な小型化は困難であり、このことは変換器を含む高周波回路の小型化の阻害要因となり問題となっていた。
また従来構造200は、図4のように誘電体基板11と短絡中空導波管ブロックによるバックショート8を個別に作製した後、それらを接合する作業を要するものであり、ミリ波等の高周波数帯の場合、高い接合精度を要するため、作業工数の増加や量産の際の特性ばらつきに繋がるという問題があった。
特開平10-126114
しかしながら、上記従来の技術の問題を解決する技術開発がされる必要があり、本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたものである。
そこで、本発明の目的は、マイクロストリップ線路−導波管変換器のバックショート部を誘電体材料で充填し、導波管の変換器寸法を小型化すること、またマイクロストリップ線路を設けた高周波回路層とバックショートを少なくとも2枚以上の誘電体基板を積層した積層基板内に一括作製することで量産性に優れた変換器構造を備えた導波管を提供することである。
上記従来の問題点を解決するため請求項1に記載の発明は、マイクロストリップ線路と導波管の伝送モード変換を相互に行う積層基板を用いた導波管において、上記導波管は、高周波回路層に設けられたマイクロストリップ線路が上記積層基板内の片端を短絡した誘電体充填導波管内部に挿入された変換部を備え、これら変換部は少なくとも2枚以上の誘電体基板が積層されて導波管を形成し、前記変換部側の導波管接続口と対抗側の接続口とを接続する際に、前記変換部と対抗側に挟まれる位置の基台に誘電体が充填され、該誘電体はテーパ加工が施されて所定の誘電率を生じることを特徴とする。
上記従来の問題点を解決するため請求項2に記載の発明は、マイクロストリップ線路と導波管の伝送モード変換を相互に行う積層基板を用いた導波管において、上記導波管は、高周波回路層に設けられたマイクロストリップ線路が上記積層基板内の片端を短絡した誘電体充填導波管内部に挿入された変換部を備え、これら変換部は少なくとも2枚以上の誘電体基板が積層されて導波管を形成し、前記変換部側の導波管接続口と対抗側の接続口とを接続する際に、前記変換部と対抗側に挟まれる位置の基台に誘電体が充填され、該誘電体はテーパ加工により所定の角度を為し、且つ、少なくとも1つのスルーホールを形成することにより、所定の誘電率を生じることを特徴とする。
このような導波管は、無線装置、特に例えば、60GHz帯等のミリ波、ギガヘルツ波といった高周波の信号を用いる無線伝送装置に適したものとすることができる。
本発明によると、マイクロストリップ線路−導波管変換器のバックショート部を誘電体材料で充填し、導波管の変換器寸法を小型化すること、またマイクロストリップ線路を設けた高周波回路層とバックショートを積層基板内に一括作製することで量産性に優れた変換器構造を備えた導波管を提供することができる。
本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る変換回路100の斜視図であり、すなわち、マイクロストリップ線路−導波管変換器の構造を示している。
図2は、本発明の実施の形態に係り、図1のa-a’を横切る断面図を示す。
図5は、本発明の実施の形態に係り、図1のb-b’を横切る断面図を示す。
図3は、本発明の実施の形態に係り、導体パターンの各層の平面図を示す。
本変換器1は少なくとも2枚以上の誘電体基板を積層した積層基板(例えば、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics))で構成され、図1、図2及び図5、図3には例として全4層の場合を示している。
図3中、図3(a)は変換器の最下層面Aにおける導体パターン、図3(b)は面Bにおける導体パターン図、図3(c)は面Cにおける導体パターン図、図3(d)は面Dにおける導体パターン図、図3(e)は変換器の最上面Eにおける導体パターン図である。
各層の基板1a、1b、1c、1dには多数のスルーホール6が貫通形成されており、この貫通スルーホールで囲まれた内部が誘電体充填導波管7として動作する。
図3(b)の面Bにはマイクロストリップ線路4が設けられ、線路の一端がスルーホール6で囲まれた誘電体充填導波管7の内部に挿入されている。
最上面である面Eはその全面が金属メタライズされ、誘電体充填導波管部7の短絡面として動作する。
マイクロストリップ線路4と誘電体充填導波管7の各伝搬モードが効率の良いモード変換を行うためには、面Bのマイクロストリップ線路4と面Eの短絡面との間隔が誘電体充填導波管7の持つ管内波長の約1/4となるように設定する必要がある。
そのような間隔となるように、面Bと面Eを形成する層の間には面Cおよび面Dの導体パターンを持つ中間層1b、1cを複数層挿入する。
各層1a、1b、1c、1dに多数のスルーホール6を貫通させて構成した誘電体充填導波管7の断面寸法は、誘電体の波長短縮効果によって、同機能を持つ中空導波管の断面寸法に比べ小さくすることができる。
同様に、面Bのマイクロストリップ線路4と面Eの短絡面との間隔も、誘電体の波長短縮効果により同機能を持つ中空導波管に比べ短くなる。したがって、本構造100により変換器1の体積は従来構造200のものに比べて減少させることができる。
このように、この積層基板による本変換器1は、マイクロストリップ線路を設けた高周波回路層とバックショートを積層基板内に一括作製することが可能である。
したがって従来構造200のように、誘電体基板11と金属バックショート8とを個別に作製した後、それらを接合するといった作業が不要になる。
本構造の変換器100はその小型化の結果、面Aにある変換器側の導波管接続口は金属導波管2の接続口に比べ、その断面寸法は小さくなる。
この接続口断面寸法の不一致による伝送効率の低下を防ぐため、変換器1の開口部と金属導波管2の開口部とを滑らかな直線で繋ぐように基台3にはテーパ加工された導波管5が設けられる。
また、誘電体充填導波管7の誘電率ε2と金属導波管2内部の誘電率ε1との差が大きくなると、各導波管の持つ特性インピーダンスの差が大きくなり伝送効率は低下する。
この伝送効率の低下を防ぐため、式(1)の関係を持つ誘電率ε3の材料でテーパ加工された導波管5の内部を充填する。
ε1<ε3<ε2 (式1)
これにより、誘電体充填導波管7、テーパ加工された導波管5、金属導波管2の3種類の導波管の特性インピーダンスの差は小さくなり、伝送効率の低下が防止できる。
以上説明したように、本変換器1は構成誘電体材料の誘電率の大小に従い、変換器寸法を自由に設計することができる。
従来構造200の場合、バックショートを含んだ変換器の面積を金属導波管の断面寸法より小さくすることは不可能であったが、本構造100では、金属導波管2の断面寸法より小さな面積の変換器1を実現することも可能であり、高周波回路部の小型化に有効である。
また、その際に生じる導波管接続口寸法の不一致による伝送効率の低下は、式(1)の関係を持つ誘電率ε3の材料が充填されテーパ加工を施した導波管を基台に構成することで解消される。
以上説明したように本発明は、マイクロストリップ線路−導波管変換器のバックショートを誘電体材料で充填し、変換器寸法を小型化することが可能である。
またマイクロストリップ線路を設けた高周波回路層とバックショート部を少なくとも2枚以上の誘電体基板を積層した積層基板内に一括作製することができるので量産性に優れた変換器構造の実現を可能とする。
本発明の実施の形態によると、バックショートを構成する短絡導波管部を誘電体材料で充填すると、誘電体の持つ波長短縮効果によって、従来の短絡中空導波管と同機能を保持しつつそのバックショート部の体積を減らすことができる。
また、本発明の実施の形態では、このような誘電体で充填されたバックショート部を例えば、LTCC積層基板などの少なくとも2枚以上の誘電体基板を積層した積層基板内部に実現する。
また、積層基板内にスルーホールを貫通させるように構成すると、この貫通したスルーホールで囲まれた部分が誘電体で充填された導波管として動作する。
このようなスルーホールを設けることにより誘電率を所定の値に設定し、積層部分の所定の角度のテーパ部と併せて、より小型化に寄与する積層部分を形成することができる。
さらにスルーホールを複数設定することで、これらのスルーホールで囲まれた部分は、金属壁で囲まれた誘電率充填導波管の働きとより等価となり、すなわち、積層部分の複数のスルーホールの内側部分において、誘電体が充填された状態と同等の誘電率を持ちつつ、小型軽量化を実現することができる。
このことは、基本的には誘電率の設定は基板材料の持つ誘電率で決まるが、積層基板に複数のスルーホールを貫通させる(これらのスルーホールが密に配置されている)ことで、スルーホールに金属の壁の役割を持たせ、より理想的な誘電体充填導波管(金属の導波管の内部に誘電体を充填)を形成することとなる。
よって、スルーホールを複数設定し、さらに前述したテーパ加工と併せて所定の誘電率を設定することで、より小型化に寄与する導波管を形成することができる。
また、積層基板の最上面を全面金属メタライズすることによって、上記の誘電体充填導波管の一端が短絡されるので、従来構造の変換器200のバックショート8と同機能で動作する。
この方法によると、誘電体基板とバックショートを個別に作る必要が無くなり、積層基板内に変換器全体の一括作製が可能になる。これにより小型かつ量産性に優れた変換器構造を実現することが出来る。
すなわち、従来は、導波管およびマイクロストリップ線路を伝送する電力を相互変換する変換器として、従来構造では、変換器の寸法は使用する導波管の断面寸法と使用波長によって一意に決定され、その変換器寸法の自由な小型化は困難であったが、本発明の実施の形態により、バックショートを構成する短絡導波管部を誘電体材料で充填することにより、誘電体の持つ波長短縮効果によって、従来の中空短絡導波管と同機能を保持しつつそのバックショート部の体積を減らすことができ、このような誘電体で充填されたバックショートはLTCC積層基板などの少なくとも2枚以上の誘電体基板が積層された積層基板内部に実現される。
そして、この方法によると従来構造のように、誘電体基板とバックショートを個別に作った後にそれらを接合する必要が無くなり、積層基板内に変換器全体の一括作製が可能になり小型かつ量産性に優れた変換器構造を実現することが出来る。
また変換器を小型化した結果生じる接続導波管口寸法の不一致による伝送効率の低下は、誘電体が充填されテーパ加工を施した導波管を基台に構成することで解消される。
この基台構造を持つことにより、変換器寸法の自由な設計が可能になる。
本発明によると、高周波信号を伝送するマイクロストリップ線路と導波管の伝送モード変換を相互に行う積層基板を用いたマイクロストリップ線路−導波管変換器であって、上記変換器は高周波回路層に設けられたマイクロストリップ線路が、上記積層基板内に貫通したスルーホールで構成された片端を短絡した誘電体充填導波管内部に挿入された構造を持ち、これらの構造を、例えばLTCC積層基板など少なくとも2枚以上の誘電体基板が積層された積層基板内部に作製することでその変換器構造の小型化および量産化が容易になることを特徴とするマイクロストリップ線路−導波管変換器を実現することができる。
また、このようなマイクロストリップ線路−導波管変換器において、変換器側の導波管接続口と金属導波管の接続口とを接続する際に断面寸法の不一致による伝送効率の低下を防ぐため、変換器と金属導波管に挟まれる位置の基台に、誘電体が充填されかつテーパ加工が施された導波管構造を有することを特徴とするマイクロストリップ線路−導波管変換器を実現することができる。

本発明の実施の形態に係る変換回路100の斜視図であり、すなわち、マイクロストリップ線路−導波管変換器の構造を示している。 本発明の実施の形態に係り、図1のa-a’を横切る断面図を示す。 本発明の実施の形態に係り、導体パターンの各層の平面図を示す。 従来の変換器構造200を示す。 本発明の実施の形態に係り、図1のb-b’を横切る断面図を示す。
符号の説明
1:変換器、1a:第1の誘電体基板、1b:第2の誘電体基板、1c:第3の誘電体基板、1d:第4の誘電体基板、2:金属導波管、3:基台、4:マイクロストリップ線路、5:テーパ構造導波管、6:スルーホール、7:誘電体充填導波管部、A:第1の導体パターン、B:第2の導体パターン、C:第3の導体パターン、D:第4の導体パターン、E:第5の導体パターン、ε1:金属導波管内部の誘電率、ε2:変換器を構成する誘電体基板の誘電率、ε3:テーパ構造導波管に充填される誘電率。

Claims (2)

  1. マイクロストリップ線路と導波管の伝送モード変換を相互に行う積層基板を用いた導波管において、
    上記導波管は、高周波回路層に設けられたマイクロストリップ線路が上記積層基板内の片端を短絡した誘電体充填導波管内部に挿入された変換部を備え、
    これら変換部は少なくとも2枚以上の誘電体基板が積層されて導波管を形成し、
    前記変換部側の導波管接続口と対抗側の接続口とを接続する際に、前記変換部と対抗側に挟まれる位置の基台に誘電体が充填され、
    該誘電体はテーパ加工が施されて所定の誘電率を生じることを特徴とする導波管。
  2. マイクロストリップ線路と導波管の伝送モード変換を相互に行う積層基板を用いた導波管において、
    上記導波管は、高周波回路層に設けられたマイクロストリップ線路が上記積層基板内の片端を短絡した誘電体充填導波管内部に挿入された変換部を備え、
    これら変換部は少なくとも2枚以上の誘電体基板が積層されて導波管を形成し、
    前記変換部側の導波管接続口と対抗側の接続口とを接続する際に、前記変換部と対抗側に挟まれる位置の基台に誘電体が充填され、
    該誘電体はテーパ加工により所定の角度を為し、且つ、少なくとも1つのスルーホールを形成することにより、所定の誘電率を生じることを特徴とする導波管。
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