JP2008189758A - 導電性インキ、導電回路および非接触型メディア - Google Patents

導電性インキ、導電回路および非接触型メディア Download PDF

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Abstract

【課題】導電物質および活性エネルギー線重合性化合物を含み、活性エネルギー線によって硬化する導電性インキにおいて、印刷に適した流動性を有し、活性エネルギー線の照射による硬化後の導電回路が低抵抗値である活性エネルギー線硬化型導電性インキ、それを用いた導電回路の製造方法、およびその印刷物を用いた非接触型メディアの提供。
【解決手段】導電物質およびバインダー成分を含有する導電性インキにおいて、バインダー成分として同一分子内にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレート化合物、および活性エネルギー線重合性化合物を含む活性エネルギー線硬化型導電性インキに関し、さらに、この活性エネルギー線硬化型導電性インキを用いて導電回路を印刷し、活性エネルギー線を照射することによって、導電回路を形成させる導電回路の製造方法に関し、また、この導電回路及びICチップを積載した非接触型メディアに関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型導電性インキ、それを用いて基材上に印刷または塗工して形成される印刷物、さらに活性エネルギー線硬化型導電性インキを用いた導電回路および導電回路に導通された状態で実装されたICモジュールとを具備する非接触型メディアに関する。さらに、詳しくは、耐熱性が乏しい基材に対しても導電回路の形成が可能で、かつ活性エネルギー線照射により硬化が瞬時に終了するため、導電回路の量産性向上が図ることが可能である活性エネルギー線硬化型導電性インキに関する。
電子部品あるいは電磁波シールド用の薄膜形成あるいは導電回路の形成は一般的に、熱硬化型、熱可塑型の導電性インキなどにより基材に印刷をし、熱処理による乾燥、硬化する方法、または銅張り基材からのエッチング法等が知られている。
エッチング法とはすなわち化学加工の一種であり、主に金属表面に希望のパターン形状を得るために行われるが、一般的に工程が煩雑であり、また後工程で廃液処理が必要であるため、コスト面、環境面において問題が多い。また、エッチング法によって形成された導電回路は、アルミニウムや銅など金属のみで形成されたものであるため、折り曲げ等の物理的衝撃に対して弱いという問題がある。
導電性インキは、電子部品の小型軽量化あるいは生産性の向上、低コスト化が期待でき、また基材に印刷あるいは塗工し、乾燥、硬化させることによって容易に導電性を付与できることから、近年急速に需要が高まっている。
熱硬化型の導電性インキは、バインダー成分として熱硬化性樹脂およびガラスフリットなどの無機物質を用いているため、基材に印刷または塗工後に高温で過熱する必要がある。加熱による硬化には多大なエネルギー、時間、装置設置のための床面積を必要とし、不経済であるばかりでなく、次に示すような大きな制約がある。
すなわち、ガラスフリット等の無機物質をバインダーとする導電性インキは、通常800℃以上での焼成を必要とするため、合成樹脂系の基材には適用できない。一方、熱硬化性樹脂をバインダーとする導電性インキは、合成樹脂系の基材に対して適用可能であるが、導電性インキを硬化させる際の加熱によって基材が変形し、得られた導電回路を用いた後工程の部品搭載に支障を来たすなどの大きな障害がある。
また、熱可塑型の導電性インキを使用した導電回路なども、パーソナルコンピューターのキーボード等に多用されているが、ポリエチレンテレフタレート等の基材が導電性インキの乾燥工程で収縮するため、その対策として、アニーリング等の基材の前処理が必要であった。更に、乾燥には30〜60分の時間が必要で、かつ得られる導電回路は耐溶剤性がないなどの欠点がある。
紫外線や電子線等の活性エネルギー線により硬化する活性エネルギー線硬化型導電性インキは、揮発性有機溶剤を含まないか、含んでいても僅かであり、かつ活性エネルギー線の照射により瞬時に硬化が可能であるため、エネルギー消費が少なく、生産性、環境保全の観点から多くの検討が盛んに行われている。
例えば、特開2001−64547号公報、特開2002−72468号公報、特表2002−542315号公報、特開2004−127529号公報には、バインダー成分として活性エネルギー線重合性化合物を含有する活性エネルギー線硬化型導電性インキの例が挙げられている。
特開2001−64547号公報、特開2002−72468号公報、特表2002−542315号公報、特開2004−127529号公報では、いずれもバインダー成分として活性エネルギー線重合性化合物を含む導電性インキのため、印刷された導電回路は、電子線または紫外線などの活性エネルギー線によって瞬間硬化することから、量産性が優れている。しかし、導電物質を含有する導電性インキにおいて、印刷された導電回路の抵抗値を低くするためには導電物質を大量に入れなくてはならず、そのため粘度は高く、流動性が悪くなるために印刷が困難となる。
そのため、導電性インキの粘度を低くする目的で、一般的には、粘度の低い単官能アクリレートモノマーなどを使用するが、単官能アクリレートモノマーは硬化性が劣るため、導電物質が大量に入ったインキや、高速印刷時には十分な硬化が起こらない。活性エネルギー線重合型導電性インキにおいて、硬化が不十分であると抵抗値は高くなってしまう傾向があり、上記の発明においてこれらの問題に対しての所作は開示されておらず、本発明の1つの目的である印刷された導電回路の抵抗値を低くするためには不十分である。
特開2004−67991号公報では、低粘度、高硬化性である同一分子内にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有する活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インクが開示されているが、目的はインキジェット記録方式に好適に適用することであり、本発明の導電回路を形成する導電性インキとは用途が異なり、さらに導電性を有していないことは明らかである。
特開2001−64547号公報 特開2002−72468号公報 特表2002−542315号公報 特開2004−127529号公報 特開2004−67991号公報
本発明の課題は、導電物質および活性エネルギー線重合性化合物を含み、活性エネルギー線によって硬化する導電性インキにおいて、印刷に適した流動性を有し、活性エネルギー線の照射による硬化後の導電回路が低抵抗値である活性エネルギー線硬化型導電性インキの提供をすることを目的とする。また、本発明は、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷等の印刷方式により形成される導電回路を具備し、大量生産性、低コスト化、省エネルギー化に寄与する新しい活性エネルギー線硬化型導電性インキ、それを用いた導電回路の製造方法、およびその印刷物を用いた非接触型メディアを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、導電回路を印刷する活性エネルギー線硬化型導電性インキにおいて、バインダー成分として同一分子内にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有することによって、低粘度化、また流動性を向上させることができるため、印刷適性が非常に優れ、また印刷された導電回路を低抵抗値化ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、導電物質およびバインダー成分を含有する導電性インキにおいて、バインダー成分として同一分子内にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレート化合物、および活性エネルギー線重合性化合物を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型導電性インキに関するものである。
また、本発明は、同一分子内にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレート化合物が、下記化学式(1)で表される化合物であることを特徴とする上記の活性エネルギー線硬化型導電性インキに関するものである。
化学式(1)
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数2〜5の有機残基を表す。)
さらに、本発明は、活性エネルギー線硬化型導電性インキにおいて、導電物質のバインダー成分に対する割合(重量比)が60〜95%の範囲であることを特徴とする上記の活性エネルギー線硬化型導電性インキに関するものである。
また、本発明は、導電物質が銀であることを特徴とする上記の活性エネルギー線硬化型導電性インキに関するものである。
さらに、本発明は、導電物質がBET比表面積0.1〜0.5m/gで、アスペクト比が3以上のフレーク状粉を用いることを特徴とする上記の活性エネルギー線硬化型導電性インキに関するものである。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型導電性インキの粘度が25℃で1Pa・s〜15Pa・sであることを特徴とする上記の活性エネルギー線硬化型導電性インキに関するものである。
さらに、本発明は、基材上に、請求項1〜6いずれか記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキを用いて導電回路を印刷し、活性エネルギー線を照射することによって、導電回路を形成させることを特徴とする導電回路の製造方法に関するものである。
また、本発明は、上記の印刷方法として、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、凸版印刷あるいは凹版印刷であることを特徴とする導電回路の製造方法に関するものである。
さらに、基材上に、上記の導電回路及びICチップを積載した非接触型メディアに関するものである。
本発明は、導電物質および活性エネルギー線重合性化合物を含む、活性エネルギー線によって硬化する導電性インキにおいて、同一分子内にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有させることによって、印刷された導電回路を低抵抗値化することができる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型導電性インキは流動性が優れているため、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷等の印刷方式による導電回路の大量生産が可能となる。これらの印刷法により形成される導電回路は、エッチング法のようなアルミニウムや銅など金属のみで形成されたものと比べて、生産性、折り曲げ等の物理的衝撃に対しても安定しており、信頼性に優れている。
以下、本発明について、実施の形態に基づいて更に詳しく説明をするが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
本発明は、導電物質およびバインダー成分を含有する活性エネルギー線硬化型導電性インキにおいて、バインダー成分として同一分子内にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレート化合物、および活性エネルギー線重合性化合物を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型導電性インキである。バインダー成分として同一分子内にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレート化合物を使用することによって、流動性が向上し、導電回路などを形成する際、印刷適性が非常に優れ、精細な印刷が可能となり、また印刷された導電回路の抵抗値も低い値となる。
本発明におけるバインダー成分とは、活性エネルギー線重合性化合物、非重合性のバインダーポリマー、光重合開始剤、光重合禁止剤、可塑剤、滑剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、硫化防止剤などの添加剤で、導電性インキ中に含まれる導電物質、揮発性有機溶剤以外の物質をいう。
本発明における同一分子内にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレート化合物とは、下記化学式(1)で表される化合物である。
化学式(1)
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数2〜5の有機残基を表す。)
の炭素数2〜5の有機残基とは、一般式(1)で表される化合物中の当該化合物を構成する基本構造に結合している有機基を意味する。たとえば鎖状に炭素のみが−(C−C)−結合したもの、あるいは炭素の結合中に−(C−O−C)−のように酸素を含んで含有しているものを表す。本発明では、そのR中の含まれる炭素数が2〜5のものを表す。
化学式(1)の例としては、下記化学式(2)で表されるアクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルがある。
化学式(2)
また、化学式(1)の例としては、下記化学式(3)で表されるメタアクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルが挙げられる。
化学式(3)
本発明において、導電物質のバインダー成分に対する割合とは、バインダー成分(重量部)+導電物質(重量部)に対する導電物質(重量部)に100をかけたものであり、下記の式である。
下記の通り定義する。
本発明の活性エネルギー線硬化型導電性インキにおいて、導電物質のバインダー成分に対する割合(重量比)が60〜95%の範囲であることが好ましく、より好ましくは70〜95%である。導電物質が60%より少ない場合は導電物質の量が少ないため、導電物質同士の接触が少なくなり抵抗値は高くなってしまい、また導電物質が95%を超える場合、バインダー成分が少ないため、流動性が悪くなり、印刷が困難となり、精細な導電回路を印刷することが難しい。
本発明の活性エネルギー線硬化型導電性インキにおいて、導電物質は例えば、金、銀、銅、銀メッキ銅粉、銀−銅複合粉、銀−銅合金、アモルファス銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ケイ素、アルミニウム、タングステン、モリブデン、白金などの金属粉、これらの金属で被覆した無機物粉末、酸化銀、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化ルテニウム、インジウム−スズ複合酸化物等の金属酸化物、およびカーボンブラック、グラファイト等を用いることができる。これらの導電性物質は、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、抵抗値、酸化などによる安定性、コストの点から銀が好ましい。
導電物質の形状としては、BET比表面積が0.1〜0.5m/gで、アスペクト比が3以上であることが好ましい。BET比表面積が0.1m/g以下では導電物質同士の接点が少なくなるため、印刷した導電回路の抵抗値が高くなってしまう。0.5m/g以上では、活性エネルギー線硬化型導電性インキのチキソトロピー性が高くなってしまい、印刷が困難となり、精細な導電回路を印刷することが難しい。また、アスペクト比が3以下であると、導電物質同士の接点が少なくなり、印刷した導電回路の抵抗値が高くなってしまう。また、中心粒径(D50)は0.5〜20μmが好ましく、0.5μm以下では活性エネルギー線硬化型導電性インキのチキソトロピー性が高くなってしまい、印刷が困難となり、20μm以上では導電物質同士の接触点が少なくなるため抵抗値が高くなってしまう。
本発明の活性エネルギー線硬化型導電性インキの粘度は25℃で1〜15Pa・sであることが好ましい。粘度が1Pa・s以下では粘度が低すぎることから導電物質が沈降してしまい、印刷が困難となり、粘度が15Pa・s以上では流動性が劣るために、やはり印刷が困難となる。また本発明における粘度とは、25℃環境下、ブルックフィールド型粘度計RE80H(東機産業株式会社製)でローター回転数が5回転時の測定粘度とする。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型導電性インキには、粘度を調整する目的で揮発性有機溶剤を添加することができる。揮発性有機溶剤としては、例えばケトン類、芳香族類、アルコール類、セロソルブ類、エーテルアルコール類、エステル類、脂肪族系溶剤類などを使用できる。これらの溶剤は、2種類以上を組み合わせても良い。
ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等が挙げられ、芳香族類としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、クロロベンゼン等が挙げられる。
アルコール類としてはメタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、ネオペンチルブタノール、ヘキサノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンンジルアルコール等が挙げられる。セロソルブ類としてはメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ等が挙げられる。
エーテルアルコール類では、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル等が挙げられる。
エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、ノルマルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。
脂肪族系溶剤としては、n−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型導電性インキには、粘度、造膜性、硬化皮膜の物性等を調整するために非重合性のバインダーポリマーを含有させても良い。バインダーポリマーとしては、重合度10〜10000、あるいは数平均分子量が103〜106のバインダーポリマーが好ましい。バインダーポリマーとして、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、ロジン、ロジンエステル、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂等から選ばれる1種または2種以上を、印刷方法の種類及び使用基材の種類や、非接触メディアの用途に応じて使用することができる。
本発明における活性エネルギー線重合性化合物とは、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物であり、オリゴマーとしてはエポキシオリゴマー、ポリエステルオリゴマー、ウレタンオリゴマー、ビニル/アクリルオリゴマー等が例示される。
エチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、1官能モノマーとしてアルキル(カーボン数が1〜18)(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートがあり、さらにベンジル(メタ)アクリレート、ブチルフェノール、オクチルフェノールまたはノニルフェノールまたはドデシルフェノールのようなアルキルフェノールエチレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート等が例示される。
さらに2官能モノマーとしてエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート(通称マンダ)、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート等が例示される。
さらに3官能モノマーとしてグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が例示される。
さらに4官能以上のモノマーとしてペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネート、テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイドヘプタ(メタ)アクリレート等が例示される。
本発明は、活性エネルギー線硬化型導電性インキを用いて基材上に導電回路を印刷し、活性エネルギー線を照射することによって、導電回路を形成させることができる。活性エネルギー線は、活性エネルギー線硬化型導電性インキを印刷後に硬化させるためのエネルギー線であり、例えば、紫外線、電子線、γ線、赤外線、可視光線などが挙げられるが、本発明においては、紫外線が好適である。
紫外線による硬化の場合には、活性エネルギー線硬化型導電性インキに光重合性開始剤を添加するのが一般的である。すなわち、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−アクリルベンゾイン等のベンゾイン系、2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651:チバ・スペシャリティケミカルズ社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、:チバ・スペシャリティケミカルズ社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173::チバ・スペシャリティケミカルズ社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュア2959:チバ・スペシャリティケミカルズ社製)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907:チバ・スペシャリティケミカルズ社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369:チバ・スペシャリティケミカルズ社製)、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(イルガキュア819:チバ・スペシャリティケミカルズ社製)、2、4、6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO:チバ・スペシャリティケミカルズ社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア127:チバ・スペシャリティケミカルズ社製)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(イルガキュア379:チバ・スペシャリティケミカルズ社製)、2、4−ジエチルチオキサントン(カヤキュアーDETX-S:日本化薬社製)、2−クロロチオキサントン(カヤキュアーCTX:日本化薬社製)、ベンゾフェノン(カヤキュアーBP−100:日本化薬社製)、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン(カヤキュアーBMS:日本化薬社製)、エチルアントラキノン(カヤキュアー2−EAQ:日本化薬社製)、エサキュアーKIP100(シイベルヘグナー社製)、ジエトキシアセトフェノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(BAPO1:チバスペシャルティケミカルズ社製)、BTTB(日本油脂(株)製)等が例示される。
印刷方式は、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷等の印刷方式で行うことができる。これらの印刷方式より形成される導電回路は、エッチング法のようなアルミニウムや銅など金属のみで形成されたものと比べて、折り曲げ等の物理的衝撃に対しても安定しており、信頼性に優れている。
印刷時の基材は、紙基材としては、コート紙、非コート紙、その他、合成紙、ポリエチレンコート紙、含浸紙、耐水加工紙、絶縁加工紙、伸縮加工紙等の各種加工紙が使用できるが、非接触メディアとして安定した抵抗値を得るためには、コート紙、加工紙が好ましい。コート紙の場合は、平滑度の高いものほど好ましい。
また、プラスチック基材としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロハン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリスチレン、ビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール、ナイロン、ポリイミド、ポリカーボネート等の通常のタグ、カードとして使用されるプラスチックからなる基材を使用することができる。
導電回路を印刷、形成する前の行程において、基材との密着性を高める目的で、基材にアンカーコート剤や各種ワニスを塗工してもよい。また、導電回路印刷後に回路の保護を目的としてオーバープリントワニス、各種コーティング剤等を塗工してもよい。これらの各種ワニス、コーティング剤としては、通常の熱乾燥型、活性エネルギー線硬化型のいずれも使用できる。また、導電回路上に接着剤を塗布し、そのまま絵柄等を印刷した紙基材やプラスチックフィルムを接着、または、プラスチックの溶融押出し等によりラミネートして非接触メディアを得ることもできる。勿論、あらかじめ粘着剤、接着剤が塗布された基材を使用することもできる。
上記の方法で製造された導体回路は、基材上にICモジュールと共に積載され、非接触IDが得られる。基材は導体回路およびICチップを保持するものであり、導体回路の基材と同様な紙、フィルムなどを用いることができる。また、ICチップは、データの記憶、蓄積、演算をおこなうものである。非接触IDは、RFID(RadioFrequnecy Identification)、非接触ICカード、非接触ICタグ、データキャリア(記録媒体)、ワイヤレスカードとして、リーダー、あるいはリーダーライターとの間で、電波を使用して個体の識別やデータの送受信を行うものである。その使用用途としては、料金徴収システム等のID管理と履歴管理、道路利用状況管理システムや貨物、荷物追跡・管理システム等の位置管理がある。
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は重量部を表す。
[実施例1]
活性エネルギー線重合性化合物(1)としてエポキシオリゴマー Ebecryl3700(ダイセル・サイテック社製)15部、活性エネルギー線重合性化合物(2)としてアクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル(VEEA、日本触媒社製)5部、光重合開始剤としてイルガキュア907(チバ・スペシャリティケミカル社製)2部、揮発性有機溶剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルDPM(ダイセル化学工業社製)10部をし、ディソルバーで完全に混合するまで撹拌し、バインダー成分1を調製した。
次に、このバインダー成分1に導電物質として、銀粉末であるAA0981(メタロー社製)180部を加え、ディソルバーで15分撹拌して、活性エネルギー線硬化型導電性インキ1を得た。
[実施例2]
実施例1のアクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル VEEA(日本触媒社製)をメタアクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル( VEEM、日本触媒社製、化学式(1)で表される化合物の一例である下記化学式(3)で表される化合物)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、活性エネルギー線硬化型導電性インキ2を得た。
[比較例1]
実施例1のエポキシオリゴマー Ebecryl3700(ダイセル・サイテック社製)を20部とし、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル(VEEA、日本触媒社製)を含まず、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルDPM(ダイセル化学工業社製)を15部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、活性エネルギー線硬化型導電性インキ3を得た。
[比較例2]
実施例1のアクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル(VEEA、日本触媒社製)をイソボニルアクリレートIB−XA(共栄社化学社製)とし、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルDPM(ダイセル化学工業社製)を12部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、活性エネルギー線硬化型導電性インキ4を得た。
[比較例3]
実施例1のアクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル(VEEA、日本触媒社製)を2−ヒドロキシエチルアクリレートライトエステルHOA(共栄社化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、活性エネルギー線硬化型導電性インキ5を得た。
得られた活性エネルギー線硬化型導電インキ1〜5およびこのインキを使用して以下のように印刷した印刷物を以下のように評価し、表1に示す。
(1)インキ流動性評価
調整した活性エネルギー線硬化型導電性インキをブルックフィールド型粘度計RE80H(東機産業株式会社製)を用いて、25℃環境下でローター回転数が5回転時の粘度を測定した。
(2)印刷適性評価
CI型6色フレキソ印刷機 SOLOFLEX(Windomoeller& Hoelscher KG社製)の第2ユニットに導体回路パターンを有するフレキソ版を装着し、UV照射装置はメタルハライドランプ1灯(120W)、アニロックスロールは165線(セル容量25.6cc/m)を用いてポリエステルフィルム(ユニチカ株式会社製「エンブレットTA」、厚さ100μm)上に70m/分の速度でインキ1〜5を順次印刷し、印刷物を目視により評価した。
(3)体積抵抗値の測定
印刷によって得られた導電回路に対して、4探深抵抗測定器を用いて抵抗値を測定し、シート抵抗と膜厚より体積抵抗値を算出した。
表1
表1に示す結果から明らかなように、本発明の活性エネルギー線硬化型導電性インキによれば、印刷適性が非常に優れて、また印刷された導電回路の抵抗値も低い値となる。
本発明により、活性エネルギー線硬化型導電性インキの流動性は向上し、導電回路を形成する際、印刷適性が非常に良好なため精細な印刷が可能となり、また抵抗値も低い値となった。

Claims (9)

  1. 導電物質およびバインダー成分を含有する導電性インキにおいて、バインダー成分として同一分子内にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレート化合物、および活性エネルギー線重合性化合物を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型導電性インキ。
  2. 同一分子内にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレート化合物が、下記化学式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ。
    化学式(1)
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数2〜5の有機残基を表す。)
  3. 活性エネルギー線硬化型導電性インキにおいて、導電物質のバインダー成分に対する割合(重量比)が60〜95%の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ。
  4. 導電物質が銀であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ。
  5. 導電物質がBET比表面積0.1〜0.5m/gで、アスペクト比が3以上のフレーク状粉を用いることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ。
  6. 活性エネルギー線硬化型導電性インキの粘度が25℃で1Pa・s〜15Pa・sであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキ。
  7. 基材上に、請求項1〜6いずれか記載の活性エネルギー線硬化型導電性インキを用いて導電回路を印刷し、活性エネルギー線を照射することによって、導電回路を形成させることを特徴とする導電回路の製造方法。
  8. 請求項7記載の印刷方法として、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、凸版印刷あるいは凹版印刷であることを特徴とする導電回路の製造方法。
  9. 基材上に、請求項7または8記載の導電回路及びICチップを積載した非接触型メディア。
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