JP4639661B2 - 金属微粒子分散体の製造方法、該方法で製造された金属微粒子分散体を用いた導電性インキ、および非接触型メディア - Google Patents

金属微粒子分散体の製造方法、該方法で製造された金属微粒子分散体を用いた導電性インキ、および非接触型メディア Download PDF

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Description

本発明は、導電性インキ、特に感光性導電性インキの原料として有用な金属微粒子分散体の製造方法、およびこの金属微粒子分散体を含む導電性インキに関する。また、本発明は、前記導電性インキを用いて形成された導電回路と、ICチップとを具備する非接触型メディアに関する。
基板上に回路パターン、電極等を形成する際には、広く導電性ペースト等が用いられているが、回路パターン、電極等には優れた導電性が要求される。この導電性ペーストとしては、従来、導電性粉末や、金属微粒子を樹脂成分や有機溶媒で練りこんだものが広く使われている。しかし、導電性粉末として、例えば銀粉を使用したものは、導電体の膜厚を10〜20μm程度確保しなければ十分な抵抗値が得られなかった。
また、最近ではナノオーダーの金属微粒子を使用することによって、薄膜で10-6Ω・cmオーダーの体積抵抗値が得られることが知られているが、この抵抗値を発現させるためには、200℃以上の高温で焼成しなければ十分な導電性が発現しないといった問題があった。
金属微粒子の製造方法については、気相法、液相法に共に様々な方法が報告されているが、多くは金属微粒子の濃度が低いヒドロゾルであった。導電性ペースト等の用途に用いるためには、金属微粒子濃度は濃い方が有利であるため、金属微粒子分散体の高濃度化が課題であった。今までに高濃度化のため、還元生成した金属微粒子を沈澱させて取り出した後に有機溶剤に再分散させる方法や、高濃度の金属塩水溶液を還元した後に有機溶剤層中に抽出するという方法等も報告されている。しかし、一度沈澱した粒子は凝集が進み、粗大粒子が多く生成してしまうため、高濃度化は困難であった。また、還元後に有機溶剤層中に抽出する方法においては、有機溶剤層に顔料分散剤を有しているため高濃度化が可能であるが、合成における水層と有機溶剤層との分離が悪いために満足な収率が得られない上、十分な導電性が得られなかった。
また、導電性被膜や回路形成においては、紫外線等の活性エネルギー線を用いた塗膜化が主流となってきており、使用するペーストは、揮発有機溶剤の排出規制等の問題を考慮すると無溶剤であるほうが望ましい。しかし、上記の方法では無溶剤化することが困難であり、ヒドロゾルを用いた場合では揮発有機溶剤は発生しないものの、含有されている水分が硬化阻害等を引き起こす恐れがある。
特開平11−80647号公報
本発明は、導電回路形成に利用可能であり、環境負荷の大きい有機溶剤を含まず、分散安定性に優れた、金属微粒子分散体の製造方法の提供を目的とする。
また、本発明は、安定性に優れ、無溶剤での調製が可能であるため環境への負荷が少なく、高温で焼成しなくても十分な導電性が発現する導電性インキの提供を目的とする。
また、本発明は、薄膜で高い導電性を発現する導体回路を具備する非接触型メディアの提供を目的とする。
本発明は、金属化合物水溶液と25℃で液状であるエチレン性不飽和単量体と顔料分散剤とを混合した後、金属化合物を還元し、その後水相を除去することを特徴とする、粒子径が0.1〜200nmの金属微粒子が前記エチレン性不飽和単量体に分散してなる金属微粒子分散体の製造方法に関する。
本発明の金属微粒子分散体の製造方法において、金属化合物を構成する金属が貴金属であることが好ましい。
また、本発明の方法で製造される金属微粒子分散体中の金属微粒子の濃度は、金属微粒子分散体を基準として、20〜90重量%であることが好ましい。
また、本発明の導電性インキは、上記本発明の方法で製造される金属微粒子分散体および平均円相当径が1〜20μm、平均厚さが0.01〜0.5μmの箔状金属粉を含有する。
また、本発明の非接触型メディアは、上記本発明の導電性インキを用いて形成された導電回路と、該導体回路に導通された状態で実装されたICチップとを具備することを特徴とする。
本発明の方法で製造される金属微粒子分散体は、液相法で製造されるため金属微粒子の粒径分布が狭く、高濃度にした場合でも分散安定性に優れており、また25℃で液状のエチレン性不飽和単量体に金属微粒子が分散されているため、必要に応じて導電性粉末や光重合開始剤を混合し導電性インキを調製した後、活性エネルギー線の照射によって容易に導電体を得ることができる。
また、本発明の導電性インキは、流動性、安定性が優れているため、エチレン性不飽和単量体を選択することにより、フレキソ印刷、ロータリースクリーン印刷、オフセットグラビア印刷、レタープレスといった印刷方式にも対応することが可能であり、本発明の導電性インキを用いることにより、導電回路の大量生産が可能となった。これらの印刷法により形成される厚さ数μm程度の導電回路は、非接触型メディアのアンテナ回路に要求される抵抗値を十分満たすと同時に、その抵抗値は高温高湿の環境下でも安定しており、信頼性に優れている。
本発明の導電性インキを使用することによって、省エネルギー、環境保護に貢献し、また、低コストの新しい非接触型メディアの普及が可能になった。
以下、本発明について、実施の形態について更に詳しく説明するが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
まず、本発明の金属微粒子分散体の製造方法について説明する。
本発明の方法で製造される金属微粒子分散体は、25℃で液状であるエチレン性不飽和単量体中に金属微粒子が均一に分散された分散体である。この金属微粒子分散体は、金属化合物水溶液と、25℃で液状であるエチレン性不飽和単量体とを混合した後、金属化合物を還元することにより製造される。金属化合物の還元を行う際には、顔料分散剤等の分散剤が存在していることが好ましい。
また、金属化合物を還元したのちに、水相を除去することにより容易に、金属微粒子がエチレン性不飽和単量体中に分散された金属微粒子分散体を製造することができる。水相の除去方法としては、例えば、濾過、共沸、遠心分離、デカンテーションなどが挙げられる。一般的なエチレン性不飽和単量体は、比重が1.0前後であることが多く、この中に金属微粒子が分散されているため、水より比重が大きくなり、金属微粒子分散体は下層に沈澱もしくは分離することが多い。そのため、下層部のエチレン性不飽和単量体層を取り出した後、数回水で洗浄したのちに共沸すると、ほぼ系内に残っていたほぼ全ての水分を除去することが可能である
上記金属化合物としては、水に溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、塩化金酸、塩化白金酸、塩化銀等の塩化物、硝酸銀等の硝酸塩、酢酸銀、酢酸銅(II)等の酢酸塩、過塩素酸銀等の過塩素酸塩、硫酸銅(II)等の硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩等の金属塩が挙げられ、所望の金属に応じて適宜選択することができる。
金属化合物を構成する金属としては、生成する金属微粒子の安定性や導電性インキとしての物性を考慮すると、金、銀、白金族元素、水銀等からなる貴金属元素の群から選ばれる少なくとも一種の金属であることが望ましく、中でも銀が好ましい。
また、これらの金属化合物は、一種類でも数種の金属化合物を併用していてもよい。
上記エチレン性不飽和単量体は、25℃で液状のものでなければならない。25℃で固体のエチレン性不飽和単量体は、単独で用いると分散体の操作性が悪くなり、塗膜化時に不都合を生じ、また、還元された金属微粒子がエチレン性不飽和単量体中に取り込まれる際に効率が悪く、収率が落ちてコストの面でも悪影響を及ぼすため、単独では用いることができない。ただし、25℃で固体のエチレン性不飽和単量体であっても、25℃で液状のエチレン性不飽和単量体に溶解し、全体として25℃で液状となる場合には、25℃で液状のエチレン性不飽和単量体と組み合わせて用いることができる。
25℃で液状であるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート化合物、ビニルエーテル化合物、ポリアリル化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種または2種以上を使用することができる。
(メタ)アクリレート化合物のうち、単官能(メタ)アクリレート化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルホルムアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイロキシエチルサクシネート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
また、多官能の(メタ)アクリレート化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化イソシアヌール酸トリアクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート、プロポキシレートグリセリルトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ロジン変性アクリレート等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物のうち、単官能のビニルエーテル化合物として、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
多官能のビニルエーテル化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジビニルエーテル、ビスフェノールAジエトキシジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル等が挙げられる。
また、25℃で液状のエチレン性不飽和単量体と併用可能な、25℃で固体のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、N−ビニルアセトアミド、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、2−メタリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、ステアリルアクリレート、テトラメチルピペジリルメタクリレート等が挙げられる。
本発明の方法で製造される金属微粒子分散体中に含まれる金属微粒子の濃度は、必要に応じて調節可能であるが、20〜90重量%であることが好ましく、20〜70重量%であることが特に好ましい。導電性等物性に与える効果を考慮すると、20重量%より低濃度であると添加量に対する効果が小さいため好ましくない。また、90重量%より高濃度であると、粒子の安定性が落ちるため好ましくない。
また、金属微粒子の粒子径は、必要に応じて調節可能であるが、0.1〜200nmであり、好ましくは1〜100nmである。粒子径は粒子合成時の反応条件、還元剤、顔料分散剤、原料濃度等により調整が可能である。
本発明の金属微粒子分散体の製造方法においては、顔料分散剤の存在下で還元反応を行う。このとき顔料分散剤は、エチレン性不飽和単量体中または該単量体と水相との界面にも存在しており、水相からの金属微粒子の抽出を助け、また、抽出された金属微粒子を安定化させる働きをしていると考えられる。
上記顔料分散剤とは、顔料親和性基を1個または複数個有し、一般的に顔料分散剤として知られている化合物である。顔料親和性基としては、アミノ基、4級アンモニウム、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、チオール基、スルホン酸基等の極性基が挙げられる。顔料親和性基は、化合物の主鎖に含まれていても、側鎖もしくは側鎖と主鎖の双方に含まれていてもよい。
顔料分散剤としては、一般に顔料分散剤として市販されているものを使用することができ、例えば、アビシア株式会社製のソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース17000、ソルスパース24000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース35100、ソルスパース36000、ソルスパース41000、エフカアディティブズ社製のEFKA4009、EFKA4046、EFKA4047、EFKA4080、EFKA4010、EFKA4015、EFKA4050、EFKA4055、EFKA4060、EFKA4330、EFKA4300、EFKA7462、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーPB821、アジスパーPB711、アジスパーPB822、アジスパーPN411、アジスパーPA111、コグニスジャパン株式会社製のTEXAPHORUV20、TEXAPHORUV21、TEXAPHORP61、ビッグケミー・ジャパン株式会社製のDisperbyk−101、Disperbyk−103、Disperbyk−106、Disperbyk−110、Disperbyk−111、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−163、Disperbyk−164、Disperbyk−166、Disperbyk−167、Disperbyk−168、Disperbyk−170、Disperbyk−171、Disperbyk−174、Disperbyk−180、Disperbyk−182等が挙げられる。顔料分散剤は、一種類でも複数種を組み合わせて用いても良い。
上記顔料分散剤の分子量は特に限定されないが、効果的に分散安定性を持たせるためには分子量が大きいほうが有利であり、好ましくは数平均分子量1000〜100000程度の化合物であるとよい。数平均分子量が1000未満であると、十分な分散効果が得られない上、分子量が小さいため塗膜生成後、塗膜表面に染み出したりして塗膜物性を劣化させるおそれがあるため好ましくない。また、数平均分子量が100000を超えると、分散体の粘度が上がり操作性が悪くなる。また、導電性材料用途に使用する場合には、導電性を阻害するため好ましくない。
上記顔料分散剤の添加量は、特に限定されないが、好ましくは分散体中の金属微粒子100重量部に対し、10〜2000重量部となる割合である。顔料分散剤の添加量が10重量部未満の場合、分散剤としての十分な効果が得られない。2000重量部を超える場合、分散安定化に寄与しない過剰の顔料分散剤が存在することとなり、コスト的に不利である上、分散体中の金属濃度の低下や導電性の阻害等の悪影響を与えるおそれがあるため好ましくない。
金属化合物の還元方法としては、特に限定されないが、例えば、化合物を添加して還元させる化学還元法、紫外線を照射して還元させる光照射法、音波照射法などが挙げられる。化学還元法に用いられる化合物としては、例えば、クエン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ホルマリン等のアルデヒド類、硫酸第一鉄等の金属塩類、蟻酸等のカルボン酸類、グリセリン等の多価アルコール類、過酸化水素及びコハク酸等の公知の還元剤やアルカノールアミン等のアミン類、ブドウ糖等が挙げられる。これらの化合物は、1種または2種以上を併用しても良い。光照射法には、例えば、高圧水銀灯等を用いることができるが特に限定されない。
化学還元法における化合物の添加量については、金属塩の種類や濃度によっても異なるが、通常は金属塩溶液から金属か還元析出するのに必要な化学量論比の量を使用すればよい。還元後に水相を除去する際余剰の還元剤も一緒に除去できるため、化学量論比以上の還元剤を使用してもよく、その上限は特に定められるものではないが、洗浄工程やコストを考えると化学量論比で金属の6倍以下であると好ましい。
本発明の金属微粒子分散体の製造方法における還元反応は、室温でも十分に終了するが、還元剤滴下後に加熱しても差し支えない。但し、その場合、あまり高温になると金属粒子のブラウン運動が激しくなり、凝集が起こりやすくなる恐れや、顔料分散剤が変性してしまう恐れがあるため、好ましくは90℃以下で還元反応を行うのがよい。
本発明の金属微粒子分散体の製造方法において、反応は大気中で行っても差し支えないが、生成した金属微粒子の酸化や硫化を防ぐ、または酸素が存在することによる副反応の生成を防ぐため、窒素雰囲気下で行っても良い。
本発明の金属微粒子分散体は、必要に応じて他の導電性粉末や、光重合開始剤等の添加剤を加えたのち、紙、フィルム等上に塗布し、活性エネルギー線等で硬化させることで塗膜化が可能である。また、金属化合物を還元した後に、水相を除去する場合には、得られる金属微粒子分散体が有機溶剤を含まないため、塗布後に溶剤を除去する必要がない上、環境への負荷も少ない。
次に、本発明の導電性インキについて説明する。
本発明の導電性インキは、本発明の方法で製造される金属微粒子分散体および金属粉を含むものである。金属粉は、箔状、フレーク状、球状、針状、その他いずれの形状のものでもよく、これらの混合物を使用することもできる。
金属粉としては、例えば、図1に示す形状(箔状)のものが好ましく、平均円相当径:a(金属粉の投影面積と同じ面積を持つ円の直径の平均値)が1〜20μm、平均厚さ:bが0.01〜0.5μmの箔状金属粉が特に好ましい。箔状金属粉の平均円相当径が1μm未満の場合は、導電性が不十分で導電回路として使用できなくなり、20μmを超える場合は、インキの安定性、流動性を損ない印刷適性が低下するためである。また、箔状金属粉の平均厚さが、0.01μm未満の場合は、インキの安定性が不十分となり、0.5μmを超える場合は、薄膜での低抵抗値を得ることが困難なためである。
箔状金属粉の平均円相当径:aは、金属粉の電子顕微鏡画像をLUZEX(株式会社ニレコ製)等の画像解析装置で解析することにより求めることができる。また、平均厚さ:bは、例えば箔状金属粉を含む塗膜の電子顕微鏡写真をLUZEX等の画像解析装置で画像解析することにより求めることができる。
上記のように非常に薄い箔状金属粉を用いることで、薄膜での積層効果が増し、低温かつ短時間の乾燥条件でも十分な導電性を発揮する。同時に、箔状金属粉が何層にも積層されていることにより、基材に印刷された導電回路を折り曲げたり戻したりした時の抵抗値の変化も小さく、非接触メディアとして十分な性能を維持することができる。
また、金属微粒子分散体と上記箔状金属粉を混合して使用することで、金属微粒子が箔状金属粉に対してころの役目を果たし、導電性インキの流動性を向上させることができる。更に、他の形状の金属粉を併用して使用すると、金属微粒子のころの効果がより増す。そのため、箔状金属粉が効率的に何層にも重なり合い、導電回路の抵抗値を低下させることができる。
本発明で使用される金属粉の金属の種類としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、チタン、インジウム、イリジウム、ロジウム、コバルト、鉄、ニッケル等の金属が挙げられる。なかでも導電性、コストの点で銀が好ましい。
導電性インキ中の金属微粒子と金属粉の混合比は、印刷適性に優れた導電性インキを得て、活性エネルギー線による硬化後、導電回路として十分な抵抗値を得ることができることから、重量比で金属微粒子/金属粉=5/95〜50/50であることが好ましく、5/95〜40/60であることがより好ましい。金属微粒子の混合比が上記範囲より少ない場合は、インキ流動性向上効果が不十分であり、上記範囲より多い場合は、塗膜物性が低下する。
また、導電性インキ中の金属微粒子と金属粉の合計含有量は、インキの総固形分を基準として70〜95重量%であることが好ましく、75〜92重量%であることがより好ましい。金属微粒子と金属粉の合計含有量が70重量%未満の場合は導電性が十分ではなく、95重量%を超える場合は印刷適性及び導電性が低下するためである。
本発明の導電性インキには、他の導電性物質、例えば銀メッキ銅、銀−銅複合体、銀−銅合金、アモルファス銅等の金属、これらの金属で被覆した無機物粉末、酸化銀、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物等の金属酸化物、またはカーボンブラック、グラファイト等を含有させることができる。これらの導電性物質は、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
導電性インキ中には、25℃で液状であるエチレン性不飽和単量体に溶解可能な樹脂を含ませることができる。これらは、金属微粒子分散体と金属粉を各種基材に固着させたり、物性を付与したり印刷インキとしての性能を維持する働きをする。
樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、ロジン、ロジンエステル、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂等から選ばれる1種または2種以上を、印刷方法の種類及び使用基材の種類や、非接触メディアの用途に応じて使用することができる。
本発明の導電性インキは、印刷適性を向上させる目的で、各種溶剤を含ませて使用することができる。
溶剤は、上記樹脂、導電回路を形成する基材、印刷方法等の種類に応じて、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール系溶剤、水等を使用することができ、2種類以上を混合して使用することもできる。溶剤を使用した場合は、導電回路を得るために乾燥工程が必要となるが、乾燥工程を経てから活性エネルギー線を照射する工程が好ましい。
また、本発明の導電性インキに電子線を照射して硬化する場合は、エチレン性不飽和単量体の分子鎖切断によってラジカル重合が起こるが、紫外線を照射する場合は、導電性インキに光重合開始剤を添加するのが一般的である。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系として、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3‘−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等が、チオキサントン系として、チオキサントン、2−クロロオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルキサントン等が、アセトフェノン系として、2−メチル−1−[(4−メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシアセエトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が、ベンゾイン系として、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール等が、アシルフォスフィンオキサイド系として、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの他に、ビスイミダゾール系、アクリジン系、カルバゾール−フェノン系、トリアジン系、オキシム系等の光重合開始剤を使用することができる。
更に、光重合開始剤と共に、光重合促進剤、増感剤を併用することができる。光重合促進剤および増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4、4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル等の脂肪族や芳香族のアミン類が挙げられる。
本発明の導電性インキには、エチレン性不飽和単量体が含まれるので、導電性インキの安定性を高める目的で、(熱)重合禁止剤を含ませることができる。(熱)重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、2,6−t−ブチル−p−クレゾ−ル、2,3−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、アンスラキノン、フェノチアジン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。
導電性インキには、必要に応じて可塑剤、滑剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、耐電防止剤、酸化防止剤、キレート剤等の通常用いられる各種添加剤を含ませることができる。更に、本発明の目的に反しない範囲で、その他の通常用いられる有機・無機充填剤を含ませてもよい。
本発明の導電性インキは、上記金属微粒子分散体と、金属粉を秤取った後、用途、基材に応じて選択した樹脂および/またはエチレン性不飽和単量体を加え、更に必要に応じて可塑剤、滑剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、耐電防止剤、酸化防止剤、キレート剤等の添加剤を混合して、従来公知の方法で、例えばミキサー、ディソルバー、フーバーマーラー、3本ロールミル、サンドミル等を用いて分散することにより製造することができる。本発明の導電性インキは、金属微粒子および金属粉を含むことで、流動性、分散安定性が容易に確保されるため、簡単に分散することができる。
最後に、本発明の導電性インキを用いて形成された導電回路と、該導体回路に導通された状態で実装されたICチップとを具備する非接触型メディアについて説明する。
本発明の導電性インキを、使用用途に応じて紙、プラスチック等の基材の片面または両面上に、フレキソ印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、オフセット印刷、ロータリースクリーン印刷、レタープレス等、従来公知の印刷方法を用いて印刷することで導電回路を形成することができる。
紙基材としては、コート紙、非コート紙、その他、合成紙、ポリエチレンコート紙、含浸紙、耐水加工紙、絶縁加工紙、伸縮加工紙等の各種加工紙が使用できるが、非接触メディアとして安定した抵抗値を得るためには、コート紙、加工紙が好ましい。コート紙の場合は、平滑度の高いものほど好ましい。
プラスチック基材としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロハン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリスチレン、ビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール、ナイロン、ポリイミド、ポリカーボネート等の通常のタグ、カードとして使用されるプラスチックからなる基材を使用することができる。
本発明の導電性インキを用いることにより、通常の印刷方法によって導電回路が形成できるため、既存の設備を生かした設計が可能である。すなわち、絵柄等の非接触メディアの意匠性を高めるための通常の印刷を施した後に、そのまま導電回路を印刷、形成することが可能なため、従来、エッチング法や転写法で行っていた回路形成法と比較して、生産性、初期投資コスト、ランニングコストの点ではるかに優れている。
導電回路を印刷、形成する前の行程において、基材との密着性を高める目的で、基材にアンカーコート剤や各種ワニスを塗工してもよい。また、導電回路印刷後に回路の保護を目的としてオーバープリントワニス、各種コーティング剤等を塗工してもよい。これらの各種ワニス、コーティング剤としては、環境面から活性エネルギー線硬化型が好ましい。
また、導電回路上に接着剤を塗布し、そのまま絵柄等を印刷した紙基材やプラスチックフィルムを接着、または、プラスチックの溶融押出し等によりラミネートして非接触メディアを得ることもできる。勿論、あらかじめ粘着剤、接着剤が塗布された基材を使用することもできる。
また、上記印刷方式を用いて導電回路を印刷し、活性エネルギー線を用いて硬化させた後、回路の抵抗値を更に低減させる、あるいは抵抗値の安定性を高める目的で、熱風乾燥オーブンを通して導電回路を加熱する工程を加えても良い。加熱温度は特に限定されないが、使用する基材や印刷速度によって使用可能な温度で加熱することが好ましい。
上記乾燥オーブンを通す工程の他に、熱ロール、または熱プレスロールを通す工程を加えても良い。これらの工程を経ることによって、回路の抵抗値が安定し、ひいては非接触型メディアとして電波の送受信の安定化につながるため好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中、「部」及び「%」とは、「重量部」及び「重量%」をそれぞれ表す。また、銀濃度は、熱分析測定装置(株式会社日立製作所製「TG−DTA」)で測定したデータである。
[実施例1]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置を取り付け、1M硝酸銀水溶液を100部仕込み、攪拌しながら顔料分散剤(アビシア株式会社製「Solsperse36000」)3.8部を、トリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM−220」)12.4部中に溶解させた溶液を滴下した。室温で30分攪拌した後、ジメチルアミノエタノール38.1部を滴下し、そのまま室温で一晩攪拌し反応を進行させた。下層を取り出し、数回蒸留水で洗浄・分離を繰返すことで過剰の還元剤と不純物の洗浄を行い、分散体を得た。得られた分散体は、415nmに強い吸収を持ち、平均粒子径が3nmの均一な銀微粒子分散体であり、銀濃度は45%であった。
[実施例2]
顔料分散剤をアビシア株式会社製「Solsperse32000」)に変更した以外は、実施例1と同様にして分散体を得た。得られた分散体は、420nmに強い吸収を持ち、平均粒子径が5nmの均一な銀微粒子分散体であり、銀濃度は48%であった。
[実施例3]
ジメチルアミノエタノールの滴下量を38.1部から19.0部に変更した以外は、実施例2と同様にして分散体を得た。得られた分散体は、415nmに強い吸収を持ち、平均粒子径が4nmの均一な銀微粒子分散体であり、銀濃度は50%であった。
[実施例4]
トリプロピレングリコールジアクリレートをエチレンオキサイド変性(6モル)トリメチロールプロパントリアクリレート(BASFジャパン社製「Laromer LR8863」)に変更した以外は、実施例2と同様にして分散体を得た。得られた分散体は、430nmに強い吸収を持ち、平均粒子径が10nmの均一な銀微粒子分散体であり、銀濃度は43%であった。
[実施例5]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置を取り付け、1M塩化金酸4水和物水溶液を100部仕込み、攪拌しながら顔料分散剤(アビシア株式会社製「Solsperse32000」)3.34部を、トリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM−220」)10.8部中に溶解させた溶液を滴下した。室温で30分攪拌した後、ジメチルアミノエタノール38.1部を滴下し、そのまま室温で一晩攪拌し反応を進行させた。下層を取り出し、数回蒸留水で洗浄・分離を繰返すことで過剰の還元剤と不純物の洗浄を行い、分散体を得た。得られた分散体は、530nmに強い吸収を持ち、平均粒子径が10nmの均一な金微粒子分散体であり、金濃度は56%であった。
[実施例6]
実施例1で得られた銀微粒子分散体16.7部、箔状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製「ナノメルトAg−XF301」、平均円相当径6μm、平均厚さ0.1μm)67.5部、トリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM−220」)10.8部、ポリエステルアクリレート(ダイセル・ユーシービー株式会社製「Ebecryl812」)5部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア907」)2.5部を混合し、プラネタリーミキサーを用いて30分間撹拌して導電性インキを得た。次に、この導電性インキをハンドKロックス(R.K.Print Coat Instruments製、アニロックス:100線/インチ)を用いてポリエステルフィルム(ユニチカ株式会社製「エンブレットTA」、厚さ100μm)に印刷後、コンベア型紫外線照射器を使用して紫外線を照射し、導電性インキ塗工物を得た。
[実施例7]
実施例2で得られた銀微粒子分散体17.7部、箔状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製「ナノメルトAg−XF301」)45部、フレーク状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製「AgC−A」、平均円相当径5μm、平均厚さ1μm)31.5部、トリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM−220」)2.8部、ポリエステルアクリレート(ダイセル・ユーシービー株式会社製「Ebecryl812」)3部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア907」)1.5部を混合し、プラネタリーミキサーを用いて30分間撹拌して導電性インキを得た。次に、この導電性インキを用いて、実施例6と同様にして導電性インキ塗工物を得た。
[実施例8]
実施例3で得られた銀微粒子分散体9部、箔状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製、ナノメルトAg−XF301))45.5部、フレーク状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製「AgC−A」)20部、球状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製、「AgC−143」、平均粒子径4μm)20部、トリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM−220」)3.5部、ポリエステルアクリレート(ダイセル・ユーシービー株式会社製「Ebecryl812」)2部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア907」)1部を混合し、プラネタリーミキサーを用いて30分間撹拌して導電性インキを得た。次に、この導電性インキを用いて、実施例6と同様にして導電性インキ塗工物を得た。
[実施例9]
実施例4で得られた金属微粒子分散体19.8部、箔状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製「ナノメルトAg−XF301」)76.5部、トリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM−220」)0.7部、ポリエステルアクリレート(ダイセル・ユーシービー株式会社製「Ebecryl812」)3部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア907」)1.5部を混合し、プラネタリーミキサーを用いて30分間撹拌して導電性インキを得た。次に、この導電性インキを用いて、実施例6と同様にして導電性インキ塗工物を得た。
[実施例10]
実施例5で得られた金微粒子分散体43.8部、箔状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製「ナノメルトAg−XF301」)45.5部、トリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM−220」)4.7部、ポリエステルアクリレート(ダイセル・ユーシービー株式会社製「Ebecryl812」)6部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア907」)3部を混合し、プラネタリーミキサーを用いて30分間撹拌して導電性インキを得た。次に、この導電性インキを用いて、実施例6と同様にして導電性インキ塗工物を得た。
[実施例11]
実施例3で得られた銀微粒子分散体9部、フレーク状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製「AgC−A」)60部、球状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製「AgC−143」)25.5部、トリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM−220」)3.5部、ポリエステルアクリレート(ダイセル・ユーシービー株式会社製「Ebecryl812」)2部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア907」)1部を混合し、プラネタリーミキサーを用いて30分間撹拌して導電性インキを得た。次に、この導電性インキを用いて、実施例6と同様にして導電性インキ塗工物を得た。
[比較例1]
銀微粒子のエタノール分散体(日本ペイント株式会社製「ファインスフェアSVE102」、平均粒子径10nm、銀含有量30%)28.3部、箔状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製、「ナノメルトAg−XF301」)45部、フレーク状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製、「AgC−A」)31.5部、トリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM−220」)12部、ポリエステルアクリレート(ダイセル・ユーシービー株式会社製「Ebecryl812」)3部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア907」)1.5部を混合し、プラネタリーミキサーを用いて30分間撹拌して導電性インキを得た。次に、この導電性インキを用いて、実施例6と同様にして導電性インキ塗工物を得た。
[比較例2]
銀微粒子のトルエン分散体(日本ペイント株式会社製「ファインスフェアSVT001」、平均粒子径10nm、銀含有量25%)20部、フレーク状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製、「AgC−A」)60部、球状金属粉(福田金属箔粉工業株式会社製、「AgC−143」)25.5部、トリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM−220」)8部、ポリエステルアクリレート(ダイセル・ユーシービー株式会社製「Ebecryl812」)2部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「イルガキュア907」)1部を混合し、プラネタリーミキサーを用いて30分間撹拌して導電性インキを得た。次に、この導電性インキを用いて、実施例6と同様にして導電性インキ塗工物を得た。
実施例および比較例で得られた導電性インキの流動性、および導電性インキ塗工物の体積抵抗値、耐折り曲げ性について、以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
[インキ流動性]
導電性インキを所定量容器に秤り取り、B型粘度計を使用して、6及び60回転の粘度を25℃環境下で測定した。次に、チキソトロピックインデックス値(TI値)、即ち(6回転時の粘度)÷(60回転時の粘度)の値をそれぞれ算出してインキ流動性の指標とした。
○:流動性良好、TI値<2.0
△:使用可能な範囲、2.0≦TI値≦8.0
×:流動性悪い、TI値>8.0
[体積抵抗値]
導電性インキ塗工物を3mmの幅にカットして短冊状の試料を得た。この3mm幅の短冊を30mm間隔で挟み、抵抗値を四探針抵抗測定器(三和電気計器株式会社製「DR−1000CU型」)で測定した。また、塗工物の塗膜厚さを膜厚計(株式会社仙台ニコン製「MH−15M型」)で測定し、得られた抵抗値と塗膜厚さから体積抵抗値を算出した。
[耐折り曲げ性]
導電性インキ塗工物の抵抗値を測定後に、塗工面を内側にして180°折り曲げ、ついで塗工面を外側にして180°折り返してから、再び抵抗値を測定して体積抵抗値を算出し、折り曲げ前後での体積抵抗値の変化の度合いを評価した。
○:体積抵抗値の変化が20%未満
△:体積抵抗値の変化が20%以上30%未満
×:体積抵抗値の変化が30%以上
Figure 0004639661
実施例6、実施例9、実施例10、実施例11において、本発明の方法で製造された金属微粒子分散体と箔状金属粉を混合することにより、インキ流動性が得られ、体積抵抗値も10-5Ω・cmオーダーの値が得られた。更に、実施例7、実施例8においては、TI値が2.0未満のインキ流動性と、より低い体積抵抗値が得られた。これは、フレーク状金属粉および球状金属粉を併用することで、金属微粒子のころの効果が増して流動性が改善され、また、箔状金属粉が効率的に重なり合って導電性インキ塗工物の体積抵抗値が低下したためと考えられる。一方、比較例1、2においては、流動性向上の効果が得られず、また、体積抵抗値も十分な値が得られなかった。
箔状金属粉の形状の一例を示す斜視図である。
符号の説明
a 平均円相当径
b 平均厚さ

Claims (7)

  1. 金属化合物水溶液と25℃で液状であるエチレン性不飽和単量体と顔料分散剤とを混合した後、金属化合物を還元し、その後水相を除去することを特徴とする、粒子径が0.1〜200nmの金属微粒子が前記エチレン性不飽和単量体に分散してなる金属微粒子分散体の製造方法。
  2. 金属化合物を構成する金属が貴金属である請求項記載の金属微粒子分散体の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の方法で製造される金属微粒子分散体。
  4. 金属微粒子の濃度が、金属微粒子分散体を基準として、20〜90重量%である請求項3記載の金属微粒子分散体。
  5. 請求項3または4記載の金属微粒子分散体および平均円相当径が1〜20μm、平均厚さが0.01〜0.5μmの箔状金属粉を含む導電性インキ。
  6. 金属粉が銀である請求項5記載の導電性インキ。
  7. 基材上に、請求項5または6記載の導電性インキを用いて形成された導電回路と、該導体回路に導通された状態で実装されたICチップとを具備する非接触型メディア。
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