JP2008189160A - 自動車用複合部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量化を犠牲とせずに、むしろ軽量化させた上で、ハイテンを用いる自動車用中空部材の最大荷重や初期剛性、エネルギ吸収特性を向上できる自動車用複合部材を提供することを目的とする。
【解決手段】高張力鋼製中空部材2の少なくとも長手方向中央部2cの中空部内に、補強リブ6を有するアルミニウム合金補強材5が挿入され、この中空部内面2dに、補強材5の外縁部7、8が当接するように嵌合されている自動車用複合部材1として、補強材5の0.2%耐力と中空部材2との引張強度とを特定の範囲として、軽量化を犠牲とせずに、複合部材の最大荷重や初期剛性、エネルギ吸収特性を高める。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用ドアビームなどに用いられる自動車用複合部材に関し、高張力鋼製中空部材とアルミニウム合金補強材とが組み合わされ、単位重量当たりの強度、剛性に優れた自動車用複合部材に関する。
本発明自動車用複合部材によれば、単位重量当たりの強度、剛性(以下、単に強度、剛性とも言う)が向上するため、アルミニウム合金補強材付加による重量増加が最小限に抑制される。また、更に、設計によっては、複合部材の全体重量として、高張力鋼製中空部材単体の場合よりも軽量化が可能である。
したがって、本発明自動車用複合部材は、ドアビーム、ピラー(A、B、Cの各ピラー)、ロッカー(サイドロッカー)、ウエイスト(ドアウエイスト)ル−フサイドレールなどの自動車用の高張力鋼製中空部材に適用できる。ただ、以下の説明は、自動車のドア用補強部材としてのドアビームを中心に行なう。
自動車においては、側方から衝突された場合に発生するドアの車室内への陥入を防止して乗員を保護するため、ドアの内部に、ドア自体を補強し、車体側面への衝突時(側突時)などの衝撃を吸収するドアビーム(インパクトビームとも言う)が一般に装着されている。
図11はドアビームの取付状態を示す図で、ドア100の内部の略中央部に地面と平行にドアビーム50が装着され、車両の側面からの衝突に対して、ドア100が車両内部に陥入するのを防止している(図示は車体前部に向かって左側のドア)。このドアビーム50には、軽量化および低コスト化を図るため、通常は高張力鋼(高張力鋼板)が使用されている。
ドアビーム50の構造は、例えば、図12に示すように、各々高張力鋼板(薄板)を成形した、略円形断面がその長手方向に亙って延在する中空ビーム部51と、この中空ビーム部51の長手方向の両端部に取り付けられた、平坦な取付ブラケット部52、53とからなる。この取付ブラケット部52、53によって、ドアビーム50はドア100(インナパネル)へ接合、取付される。
このようなドアビームは、自動車の車室外の側方からの衝突(以下、側突とも言う)において、ドアビームの横断面方向に衝突荷重が負荷される。この際、ドアビームには曲げ荷重が加わり、中央部で最大の応力を受けることになるり、曲げ荷重を効果的に克服する強度(座屈強度)が必要となる。また、車両用補強部材としてのドアビームには、自動車の燃費向上の観点から、前記強度とともに、軽量かつ低コストであることが要求されている。
このようなドアビームには、従来から、前記した軽量化および低コスト化を図るために、引張強さが490MPa以上、最近では、約1000MPa級以上の高張力鋼鈑(以下、ハイテンとも言う)が使用されている。
しかし、使用するハイテンの引張強さを高くしても、薄肉化されたハイテン製ドアビームでは、管の径(d)と肉厚(t)との比、径厚比(d/t)によって定まる耐局部変形性はどうしても弱くなる。このため、ハイテンを高強度化して薄肉化したドアビームほど、耐局部変形性は弱くなり、座屈荷重(座屈強度)が低く、荷重を高くするためには薄肉化に限界がある。これは、耐局部変形性を支配する座屈荷重は、材料の強度よりも、弾性率または塑性域での接線係数の影響を受けるためである。
この局部変形を向上させようとすると、どうしてもハイテンの肉厚を厚くする必要があるが、これでは高強度化による軽量化の方が犠牲となるために、ハイテンをドアビーム用いる意義自体が失われる。これは、ドアビームに限らず、前記したハイテンを用いる自動車用中空部材に共通する問題である。
また、ドアビームでは、側突において、ドアビームの横断面方向に衝突荷重が負荷される。この際、ドアビームには曲げ荷重が加わり、中央部で最大の応力を受けることになり、曲げ荷重を効果的に克服する強度、剛性が必要となる。
これに対して、従来から、ハイテン製ドアビームの中央部に部分的に補強材を設けて、補強する手段が提案されている。例えば、特許文献1には、円形中空断面のドアビームの中央部に、ドアインナパネルにドアビームを支持する補強ブラケット(保持部材)を設けることが提案されている。特許文献1では、この補強ブラケットによって、ドアビーム長手方向の中間部を保持し、ドアビームの支持点を増して、座屈荷重(座屈強度)を向上させようとするものである。
また、特許文献2には、円形中空断面のドアビームに鋼板をプレス成形する際に、鋼板の幅方向の両端部同士を中空断面内に収容する形で更に折り曲げ、想定される側突方向に平行に延在する折り曲げ部(リブ部)を設けることが提案されている。特許文献2では、この側突方向に平行に延在する折り曲げ部(リブ部)によって、自動車の側面衝突時における荷重の入力方向が車幅方向と一致しない場合でも、十分な衝撃エネルギ吸収効率を得ようとしている。更に、特許文献3には、棒状の中空ドアビームの中央部の断面を、両端部側よりも大きく、太径とすることが提案されている。特許文献3では、肉厚の代わりに、ドアビームの中央部の径を大きくして、肉厚増加と同じ、座屈荷重(座屈強度)向上効果を得ようとしている。
特許文献4には、円形中空断面の鋼製ドアビームの中央部に、鋼製内部シェルと称する鋼製中空部材を挿入して補強するに際して、発泡などの熱膨張する樹脂層を介在させて、必要な剛性を満たすことが開示されている。特許文献5には、鋼管の内部に、田型あるいは日型の横断面形状にて補強リブを有する軽合金製か樹脂製の補強管を設けた車両複合材が開示されている。
特開1998−138757号公報 特開1999−59181号公報 特開2002−154327号公報 特開2001−507647号公報 特開2003−312404号公報
特許文献1のように、円形中空断面のドアビームの中央部に補強ブラケットを設ける場合には、この補強ブラケットを接合するための、ドア(インナパネル)側の構造変更が必要となる。また、補強ブラケットを設ける工程も負荷されることとなる。そして、座屈荷重を向上させるだけの鋼製補強ブラケットとしては、十分な大きさや厚さが当然必要となり、その分の重量も増加される。
また、特許文献2も、十分な衝撃エネルギ吸収効率を得るためには、側突方向に平行に延在する折り曲げ部(リブ部)の十分な厚みが必要となる。この厚みが薄くては、衝撃エネルギ吸収効果が薄く、折り曲げ部(リブ部)を設ける意味が無い。このため、この厚みを確保するためには、当然、ドアビームに成形される鋼板の厚みを厚くする必要があり、軽量化が犠牲にならざるを得ない。また、帯鋼板をプレス成形して折り曲げ、更に継ぎ目を設けるなどの複雑な加工を行なうため、加工性が優れた鋼板しか使用できず、加工性が劣る高張力鋼板を使うには大きな制約がある。このため、低強度の鋼板を使わざるを得ず、板厚が厚くなり、軽量化が犠牲にならざるを得ない。
更に、特許文献3も、座屈荷重(座屈強度)や曲げ剛性向上効果を得るためには、中空ドアビームの中央部の断面を相当太径化する必要があり、ドア内部の狭い設置スペースと矛盾することとなる。また、一枚の鋼板を成形して、両端部の小径部と中央部の太径部を作る場合には、中央部の太径化部分では、当然板厚が減少する。したがって、この板厚減少によっても座屈荷重向上効果を得るためには、元の鋼板板厚を大きくする必要があり、結局、軽量化が犠牲にならざるを得ない。
また、特許文献4では、樹脂層を介在させて軽量化しているものの、ドアビームなどにおいて、樹脂層の座屈荷重(座屈強度)や曲げ剛性は低く、側突などの衝撃吸収効果は少ない。このため、衝撃吸収効果を高めるためには、結局、ドアビームか補強材かのどちらかの鋼材側を厚肉化して、軽量化が犠牲にならざるを得ない。この点、特許文献5でも、同様に、側突などの衝撃吸収効果を高めるためには、結局、軽合金製か樹脂製の補強管側か、鋼製ドアビーム側かのいずれかを厚肉化して、軽量化が犠牲にならざるを得ない。
したがって、これら従来技術に共通しているのは、ハイテン製ドアビームの座屈荷重(座屈強度)や曲げ剛性を高めるなどの補強をするためには、ドアビームの軽量化が犠牲にならざるを得ない点である。これらは、ドアビームに限らず、前記したハイテンを用いる自動車用中空部材に共通する課題である。この点に鑑み、本発明は、軽量化を犠牲にせずに、ドアビームなどの高張力鋼製中空部材の補強が可能な自動車用複合部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明自動車用複合部材の要旨は、高張力鋼製中空部材の少なくとも長手方向中央部の中空部内にアルミニウム合金補強材が挿入された自動車用複合部材であって、このアルミニウム合金補強材は、前記中空部の径方向に延在するリブと、このリブの両端側に在って前記中空部の内周方向に沿った形状を有する両外縁部とを、その長手方向に亙って延在させた形状を有して、これら両外縁部が、前記中空部内面に当接するように、前記中空部内に挿入されており、このアルミニウム合金補強材の0.2%耐力が130MPa以上であるとともに、前記高張力鋼製中空部材の引張強度が980MPa以上、1350MPa以下の範囲であることとする。
この際、防食上、前記補強材の両外縁部が、樹脂を介して、前記中空部内面に当接するように、前記中空部内に挿入されていることが好ましい。また、前記補強材の取り付け上、前記高張力鋼製中空部材が電縫管であり、電縫管の溶接部内面側に凸状の溶接ビードが形成されており、この溶接ビードにおいて前記アルミニウム合金補強材が位置決めされていることが好ましい。同じく、前記アルミニウム合金補強材における、前記両外縁部の互いの円周方向に沿った長さが異なることが好ましい。また同じく、前記アルミニウム合金補強材における長手方向の両端部が、長手方向に対して斜め方向に傾いた端面を各々有していることが好ましい。
更に、本発明自動車用複合部材の用途はドアビームであることが好ましい。
本発明では、高張力鋼製中空部材の少なくとも長手方向中央部の中空部内にアルミニウム合金補強材を挿入して補強する。但し、このアルミニウム合金補強材は、前記中空部の径方向に延在するリブと、このリブの両端側に在って前記中空部の内周方向に沿った形状を有する両外縁部とを、その長手方向に亙って延在させた形状を有するものとする。そして、これらの外縁部が、好ましくは樹脂(樹脂層)を介して、前記中空部内面に当接するように前記中空部内に挿入されたものとする。
アルミニウム合金は比較的軽量であるために、高張力鋼製中空部材にとって大きな重量増加にならない範囲で、このアルミニウム合金補強材の肉厚乃至板厚をある程度(比較的)厚くすることができる。また、断面形状が請求項のように最適化されているため、大きな重量増加にはならない。
このアルミニウム合金補強材の肉厚乃至板厚増加効果によって、肉厚の大きさ(肉厚効果)によって定まる耐局部変形性が大幅に向上する。このため、ハイテンのように鋼を高強度化して薄肉化したドアビームでも、耐局部変形性を大幅に向上できる。この結果、側突などの衝突荷重による、曲げ荷重や衝撃力の負荷に対する耐局部変形性が向上し、座屈強度や曲げ剛性を高くできる。
更に、このアルミニウム合金補強材の前記特定の形状から来る、全体変形効果により、側突などの衝突荷重を吸収できる効果が高い。例えば アルミニウム合金補強材が中空部内に挿入された場合、負荷された衝突荷重は、高張力鋼製中空部材に対して曲げ荷重として負荷される。この際、曲げモーメントが大きくなる中空部材の中央部付近において、中空部材の中空断面の局部的な座屈による変形を、アルミニウム合金補強材が断面方向に圧縮を受けながら抑制する効果がある。これによって、変形が進んだ段階でも、大きな荷重の低下を生じることなく、負荷された衝突エネルギを吸収することができる。
これらの特性を、自動車用複合部材における荷重−変位関係で言うと、衝突時の荷重の立ち上がりが速く、高くなり、最大荷重(Pmax)を大きくし、初期剛性を高めることができる。また、荷重の低下を遅くすることもでき、これらの複合効果によって、衝突エネルギ吸収量が増加する。
この効果は非常に高く、本発明複合部材(ドアビーム)の、高張力鋼製中空部材(ドアビーム)単体に対する、最大荷重や初期剛性を大きくできる。ここで、高張力鋼製中空部材(ドアビーム)は、本発明に係るアルミニウム合金補強材を設けない以外は、全て形状要件や使用条件を同じとした場合である。
本発明に係るアルミニウム合金補強材を設けた分は当然重量増加になる。しかし、本発明では、このように最大荷重や初期剛性の向上効果が大きく、かつ補強材の断面形状が最適化されている。このため、高張力鋼製中空部材側の負荷、負担を減らすことが可能で、大きな重量増加にならない。このため、従来は限界のあった中空部材側に用いる高張力鋼の更なる高強度化と薄肉化とを両立することができる。また、この高張力鋼の更なる高強度化、薄肉化と合わせて、実施する場合に必要な上記最大荷重と初期剛性とを選択設計すれば、複合部材全体として軽量化することができる。
具体的には、本発明に係るアルミニウム合金補強材を設けない高張力鋼製中空部材単体であって、同じ高張力鋼を用い、最大荷重と初期剛性とを前記複合部材と同じレベルとした、高張力鋼製中空部材単体の肉厚よりも小さくできる。
したがって、本発明自動車用複合部材は、軽量化を犠牲とせずに、むしろ軽量化させた上で、ドアビームに限らず、ハイテンを用いる自動車用中空部材の単位重量当たりの最大荷重や初期剛性を向上できる。
しかも、これら自動車用高張力鋼製中空部材の単位重量当たりの最大荷重(Pmax)やエネルギ吸収量は、鋼製中空部材側が超高強度の高張力鋼の場合よりも、引張強度がより低い高張力鋼の場合の方が、却って大きくなる。即ち、同じアルミニウム合金補強材を設けた場合に、引張強度が1350MPaを超える超高強度の鋼製中空部材よりも、引張強度が1350MPa以下の鋼製中空部材の方が、却って最大荷重やエネルギ吸収量が大きくなる。
以下、本発明の実施の形態について、図面などを用いて以下に説明する。
(鋼製中空部材)
先ず、本発明における自動車用複合部材の構造の前提として、高張力鋼製中空部材側は、構造形状に関しては、通常の高張力鋼製中空部材と同じものを用いて良い。例えば、通常の自動車用の高張力鋼製中空部材としての、ドアビーム、ピラー(A、B、Cの各ピラー)、サイドロッカー、フードヒンジ、フードロックなどの各車種に応じて設計される構造形状が適用可能である。以下、高張力鋼製中空部材を、単に鋼製中空部材、中空部材とも言う。
ただ、本発明では、高張力鋼製中空部材側の肉厚(板厚)減少効果があるので、厳密には、これら通常の高張力鋼製中空部材と同じではなく、設計上は、肉厚(板厚)減少効果の分だけ、肉厚(板厚)を薄くできる。
(中空部材の強度)
後述するドアビームなどを含めて、高張力鋼製中空部材側は、部材としての必要な強度、剛性を確保し、軽量化および低コスト化を図るため、前提として、引張強さが980MPa以上の高強度とする。中空部材の引張強さが980MPa未満では、厚み(板厚)を厚くしないと、中空部材として必要な、側突などの衝突荷重による曲げ荷重や衝撃力の負荷に対する座屈強度や曲げ剛性を高くできず、軽量化が犠牲となる。
但し、この高張力鋼製中空部材の引張強度の上限は1350MPa以下とする。前記した通り、中空部材の単位重量当たりの最大荷重(Pmax)やエネルギ吸収量は、アルミニウム合金補強材の強度が一定以上であることを前提にすると、中空部材の引張強度が1350MPaを超える場合よりも、中空部材の引張強度が1350MPa以下の方が、後述する通り、却って大きくなる。この点、中空部材の引張強度は980MPa以上、1350MPa以下の範囲とする。
アルミニウム合金補強材と組み合わせた場合に、中空部材の最大荷重やエネルギ吸収量が、中空部材の引張強度が1350MPaを超える場合よりも、中空部材の引張強度が1350MPa以下の方が、却って大きくなるのは、アルミニウム合金補強材との組み合わせ(複合化)による相乗効果による。
この高張力鋼製中空部材の低強度化が可能になると、中空部材側の利点が非常に大きくなる。先ず、中空部材の低強度化が可能になると、中空部材の低温脆化の問題がなくなる。高張力鋼の場合、引張強度が1350MPaを超えて高強度化するほど、自動車の寒冷地などの低温での走行や使用が増すと、衝撃や腐食などの因子をきっかけに割れが起こりやすくなる。これに対して、中空部材(高張力鋼)の引張強度が1350MPa以下の低強度となるほど、低温脆性の問題がなくなる。
更に、中空部材の低強度化が可能になると、中空部材の製造に対して大きな効果がある。即ち、中空部材が低強度化されると、ロールフォーミングによる成形や電縫管方式など、筒状中空部材形状への、素材高張力鋼板の成形や溶接工程が極めて容易となる。また、1350MPaを超えて超高強度化させるための、別途の特別な熱処理工程(焼き入れ処理工程)が不要となるため、中空部材の製造の大幅なコストダウンができる。
なお、本発明で用いる、中空部材の素材高張力鋼は、中空部材を、電縫管製造などによって、中空部材に成形、溶接できる薄鋼鈑(帯鋼板)が主であるが、場合によっては、鋼管、型鋼などを使用してもよい。
(ドアビームの態様)
図1は本発明自動車用複合部材の用途の一つであるドアビームの一実施態様を示す斜視図、図2は図1のA−A線断面図である。
図1では、ドアビーム1の高張力鋼製中空部材側の構造は、略円形断面が長手方向に亙って延在する中空ビーム部2と、この中空ビーム部2の両端部に取り付けられた、図示しないドアへの取付ブラケット部3、4とからなる。
なお、これら取付ブラケット部3、4によるドア(主としてドアインナパネル)への取付の具体的な態様は、前記した図7、8に示すような、従来の態様と同じである。即ち、この取付ブラケット部3、4のドア(インナパネル)へ接合、取付は、ボルトなどの機械的な接合手段、あるいは溶接などの接合手段が適宜選択されて用いられる。
中空ビーム部2は、高張力鋼鈑のロールフォーミングによる成形や電縫管方式によって、円筒形状、具体的には、半径方向の断面(横断面)が閉断面な略円形状、あるいは略円管(パイプ)状に成形されている。なお、この中空ビーム部2の半径方向の断面は、閉断面でなくとも、略U字状など外縁部(外周部)の一部が開放された開断面などでも良い。
取付ブラケット部3、4は、中空ビーム部2と同じく高張力鋼鈑の成形によって、中空ビーム部2の両端2a、2bとの取り付け用の中空部分3a、4aと、ドアへの取り付け用の外方向に向かって開く平板状の3b、4bとが形成されている。
図1の態様では、取付ブラケット部3、4を、中空ビーム部2と、各々別個に作成して、互いに嵌合して一体化している。この点、前記図6に示すように、中空ビーム部2と取付ブラケット部3、4とを、一枚の鋼板から予め一体化して成形するようにしても良い。
(アルミニウム合金補強材)
図1において、本発明自動車用複合部材は、以上説明したドアビームなどの自動車用部材の構造を前提として、高張力鋼製中空部材である中空ビーム部2の少なくとも長手方向中央部2cの中空部内に、アルミニウム合金補強材(以下、単に補強材とも言う)5が挿入されている。
図1、2において、補強材5は、例えば、アルミニウム合金押出形材から構成され、一例として、中空ビーム部2の円筒状中空部中央部2cの径方向に延在する直線状(板状)のリブ6と、このリブ6の両端に、前記中央部2cの円周方向に沿った円弧形状を有する両外縁部(フランジ、外縁片)7、8を有している。この補強材5の外縁形状(両外縁部7、8形状)は、中空ビーム部2の円筒状中空部中央部2cに適合した、略円形状あるいは略円管状を有している。
本発明自動車用複合部材は、この補強材5の肉厚乃至板厚増加効果によって、高強度化して薄肉化した高張力鋼製中空ビーム部2でも、耐局部変形性を大幅に向上できる。このため、側突などの衝突荷重による曲げ荷重や衝撃力の負荷に対する座屈強度や曲げ剛性を高くできる。更に、このアルミニウム合金補強材5の全体変形効果により、横断面方向に圧壊しつつ、負荷された衝突荷重を吸収することができる。
(アルミニウム合金補強材の長さ、位置)
アルミニウム合金補強材5の長さは、中空ビーム部2の長さよりも短かい方が好ましい。中空ビーム部2の長手方向中央部2cの中空部内のみに補強材5を設ける場合、補強材5の好ましい長さは、中空ビーム部2の長さの1/3〜1/2の範囲である。
補強材5の上記各補強効果を発揮させるためには、必ずしも、中空ビーム部2の長手方向全域に亙って設ける、あるいは、中空ビーム部2の長さと同じにする必要が無い。前記した通り、例えばドアビームでは、側突において、ドアビームの中央部で衝突荷重による最大の応力を受けるから、最低限、この中央部のみを補強してやれば良い。また、補強材5の追加分は、純粋にドアビームの重量増加になり、この重量増加は、本発明自動車用複合部材全体の軽量化達成のためにも抑制したい。この観点からは、補強材5の長さは極力短かい方が好ましい。
この点は、ドアビームに限らず、前記したハイテンを用いる自動車用中空部材に共通しており、衝突荷重による最大あるいは大きな応力を受ける部分(補強が必要な部分)のみを、最低限補強材5で補強すれば良い。
図1においては、衝突荷重による最大応力を受ける部分として、中空ビーム部2の長手方向中央部2cの中空部内のみに補強材5が挿入されている。この他、中空ビーム部2の長手方向中央部2cに加えて、中空ビーム部2の長手方向の両端部2a、2bの中空部内にも、衝突荷重による大きな応力を受ける部分として、補強材5を挿入しても良い。
(樹脂介在)
ここで、図1、2に示すように、異種金属同士である補強材5と中空ビーム部2との間に、樹脂層40を介させて絶縁することにより、電食と称せられる、異種金属同士の界面に生じやすい腐食を確実に防止できる。この樹脂層40の介在がないと、アルミニウム合金と鋼との異種金属同士の接触により、電食が必然的に生じ、外観の問題だけではなく、ドアビームなどの自動車用中空部材の本来の機能を損なうような結果となる。
この種の樹脂としては、金属の絶縁用あるいは防食用に、汎用乃至市販されている種々の樹脂が使用できる。また、樹脂層の必要な厚みも、これら汎用乃至市販されている樹脂の使用マニアルに従うが、1μm〜500μmのごく薄い厚みで良い。したがって、本発明で上記のように介在させる樹脂あるいは樹脂層は、前記した各引例のような部材ではなく、樹脂補強材として補強効果を発揮するものでも、金属部材の代替えとして剛性効果を発揮するものでも無い。
(アルミニウム合金補強材の挿入)
アルミニウム合金補強材5を中空ビーム部2に挿入して補強する際、ここで、挿入された補強材5は、図2に示すように、中空ビーム部2の中空部内面2dに、補強材5の外縁部7、8が(樹脂層を介して)当接するように挿入、および嵌合されていることが、効果を発揮するために好ましい。
中空ビーム部2に挿入された中空部内の補強材5が、大きな隙間などを有して、嵌合されていない場合、中空ビーム部2と補強材5とが、衝突荷重による大きな応力を受けた場合に一体の部材として機能しない。また、中空ビーム部2の中空部内で、補強材5が移動したり、逃げたりするために、補強材5の前記効果が十分発揮されない。
この嵌合を促進するために、補強材5を中空ビーム部2の中空部内に単に挿入するだけでなく、挿入、位置決め後に、アルミニウム合金補強材5と中空ビーム部2同士を積極的に接合、一体化しても良い。この接合、一体化の手段として、例えば、中空ビーム部2の外側から、加圧してかしめる、あるいはボルトなどの機械的接合や溶接を加えても良い。
したがって、本発明で嵌合されているとは、衝突荷重による大きな応力を受けた場合に、中空ビーム部2と補強材5とが一体の部材として機能し、中空ビーム部2の中空部内で、補強材5が移動しないような、中空ビーム部2(中空部内面2d)との接合度を有していることである。
(補強材の位置決め)
この点、短尺なアルミニウム合金補強材5を、中空ビーム部2に挿入する際に、中空ビーム部2を高張力鋼鈑の電縫管とすれば、補強材5の中空ビーム部2の中空部内での、円周方向や長手方向の位置決めがしやすい。
補強材5の設置の際の位置決めは、中空ビーム部2の長手方向での位置決めであり、例えば、図1でいう、補強材5を中空ビーム部2の長手方向中央部2cの中空部内に設置する位置決めである。また、補強材5の設置の際の、中空ビーム部2の円周方向での位置決めも重要である。後述する通り、補強材5の補強効果を発揮させるためには、補強リブ6を、想定される衝突荷重負荷方向(矢印F)に対して略平行方向(図の左右方向)に延在させたり、両外縁部7、8を中空ビーム部中空部内面2dと嵌合させることが重要となるからである。
この点、図3に示すように、中空ビーム部2を高張力鋼鈑の電縫管とすれば、この電縫管の溶接部10の内面側に、凸状の溶接ビード11を形成するか残すことができる。この凸状の溶接ビード11は、電縫管の溶接部10外面側の凸状の溶接ビード12とともに、電縫管の溶接工程条件によって、無くすか形成するか(残すか)を調整することができる。したがって、電縫管の溶接工程において、この凸状の溶接ビード11を形成するか残して、補強材5の中空ビーム部2の中空部内での、円周方向や長手方向の位置決めのガイドとすることができる。なお、溶接部10、溶接ビード11、12は、中空ビーム部2の長手方向に亙って延在している。
また、この図3の態様においては、補強材5側にも、比較的短尺な外縁部8側の外表面に、中空ビーム部2の内面側凸状の溶接ビード11と形状、大きさが対応する凹部9を、補強材5の長手方向に亙って延在させて設けている。なお、この図3の態様では、中空ビーム部2側に溶接ビード11、12を有する点、補強材5側に凹部9を有する点以外は、図1、2の態様と同じである。
図4に、電縫管からなる中空ビーム部2に、図1のように、中空ビーム部2の長手方向中央部2cの中空部内のみに補強材5を挿入する態様を示す。
図4(a)では、先ず、この補強材5の短尺な外縁部8側の凹部9と、中空ビーム部2の内面側凸状の溶接ビード11とを、互いに軸線同士の芯合わせすることにより、補強材5の、中空ビーム部2の円周方向に対する位置決めが簡便にできる。これによって、中空ビーム部2に対する矢印Fで示す側突方向に対して、剛性が比較的高い長尺な外縁部7側を前面側(外側)に設けることができ、補強材5の補強効果を発揮乃至高めることができる。
ここで、補強材5の外縁部7、8表面(外側)には、予め、中空ビーム部内面2dと外縁部7、8との間に介在させる樹脂層40を各々、部分的あるいは全面的に、塗布、貼り付け、被覆などして設けておく。
次に、図4(b)では、この補強材5の凹部9内に、中空ビーム部2の内面側凸状の溶接ビード11を収容していくよう、これらを互いに係合させて、補強材5を、一方の端部2aから挿入する態様を示している。この際の補強材5は、前記した中空ビーム部2の長さの1/3〜1/2程度の長さである。このような挿入方法によって、補強材5を、中空ビーム部2の円周方向に対する位置決めをしたまま、図1のように、中空ビーム部2の長手方向中央部2cの中空部内に、補強材5を挿入できる。したがって、補強材5の、中空ビーム部2の長手方向の位置決めも簡便にできる。
なお、中空ビーム部2の内面側凸状の溶接ビード11さえあれば、補強材5の、中空ビーム部2の円周方向に対する位置決めは可能である。このため、補強材5の外縁部側の外表面の凹部9は必ずしも無くても良い。
(補強材の位置決めのその他の態様)
補強材のこの他の位置決めの態様として、補強材5の径方向や長手方向の形状を非対称とする手段もある。
例えば、図1、2における補強材5は、長尺の外縁部7側は比較的重く、短尺の外縁部8は比較的軽い、径方向で非対称な形状をしている。このため、中空ビーム部2と適当なクリアランスを有する補強材5の挿入時に、中空ビーム部2の円筒状中空部中央部2c内で、補強材5を自重(重心のアンバランス)によって周方向に回転させる。そして、重い長尺の外縁部7側を下側、軽い短尺の外縁部8を上側と各々して、円周方向や長手方向の位置決めをし、この下側に位置する長尺の外縁部7側を側突側(外側)とする。
また、図5に示すように、図1、2における補強材5の長手方向の両端部を長手方向に対して斜め方向に切断し、長手方向に対して斜め方向に傾いた端面(斜面状の端部)35、36を各々有するようにしてもよい。この場合、補強材5の径方向の形状がやはり非対称となり、長尺の外縁部7側は比較的重く、短尺の外縁部8は比較的軽い、径方向で非対称な形状をしている。このため、図1、2における補強材5と同じく、中空ビーム部2の円筒状中空部中央部2c内で、補強材5を自重によって周方向に回転させる。そして、重い長尺の外縁部7側を下側、軽い短尺の外縁部8を上側と各々して、円周方向や長手方向の位置決めをし、この下側に位置する長尺の外縁部7側を側突側(外側)とする。これらの場合、図3、4で説明した、補強材5の芯合わせ用の凹部9や、中空ビーム部2の内面側凸状の溶接ビード11は、あっても良いが、無くても良い。
(アルミニウム合金補強材の形状)
アルミニウム合金補強材5は、上記図1、2の態様で例示した通り、中空ビーム部2の円筒状中空部2cの径方向に延在するリブ(補強リブ)6を有する。また、このリブ6の両端側に在って中空ビーム部2の円筒状中空部2cの円周方向に沿った形状を有する両外縁部7、8とを、その長手方向に亙って延在させた断面形状(横断面形状、径方向断面形状)を有する。このような補強材形状は、アルミニウム合金押出形材によって好適に得られる。
ここで、補強材5の補強効果を発揮するためには、補強材自身の形状、即ち、補強リブ6の存在と、外縁部(フランジ、外縁片)7、8の形状とが最も重要となる。
先ず、図2に示すように、補強リブ6は、補強材5を中空ビーム部2の長手方向中央部2cの中空部内に設置する際に、矢印Fで示す、ドアビーム1の想定される側突(側面衝突)荷重負荷方向に対して、略平行方向(図の左右方向)に延在するように位置決めされる。
このような補強リブ6の存在によって、補強材5の重量を増加させずに、肉厚乃至板厚の増加効果を増すことができる。また、補強材5の全体変形効果を増し、側突などの衝突荷重を吸収できる効果を増すことができる。そして、自動車用複合部材の荷重変位関係で言う、最大荷重や初期剛性を大きく高めることができ、エネルギ吸収量が増加する。
このような補強リブ6の効果は、上記したように、補強リブ6を当該自動車用複合部材の想定される衝突荷重負荷方向に対して略平行方向に延在することによって最大に発揮される。補強リブの設置方向がこれと異なり、想定される衝突荷重負荷方向と大きく異なる(ずれる)場合には、上記補強リブ6の効果が小さくなる。
次に、補強材5の補強効果は、前記した通り、中空ビーム部2の中空部内面2dと上記した嵌合ができ、中空ビーム部2と一体化されて発揮される。このために、補強材5の外縁部7、8の面積や形状は、中空ビーム部2の中空部内面2dとの嵌合のために、できるだけ大きな面積(領域)だけ適合、当接する横断面(径方向の断面)形状なり、周方向の形状を有していることが好ましい。
図1、2における補強材5は、これらの条件に適合する、中空ビーム部2の円筒状中空部中央部2cの径方向に延在する直線状(板状)のリブ6と、このリブ6の両端に、前記中央部2cの円周方向に沿った円弧形状を有する両外縁部7、8を、その長手方向に亙って有している。また、円周方向に間隔を開けて分断された外縁部7、8は、側突方向側のより剛性が高い長尺の外縁部7と、短尺の外縁部8とからなる。このため、補強材5は、補強効果が高く、かつ、後述する図6(a)の、外縁部が円周方向に一体である略円筒、円管状の補強材13よりも、形状要件が同じであれば軽量化が図れる利点がある。
(アルミニウム合金補強材の別の態様)
以上のような効果を発揮するアルミニウム合金補強材の横方向断面の形状の別の態様を、図6〜10を用いて説明する。これらもアルミニウム合金押出形材とすれば簡便に製作することができる。ただ、図6〜10以外でも、本発明に係る補強材の補強リブと外縁部(フランジ、外縁片)とを有し、補強効果が発揮できる形状のものは、本発明に係る補強材の範囲に含まれる。
図6のアルミニウム合金補強材13は、図1〜3と同じ補強リブ6を補強材13の長手方向に亙って有する、外縁部が円周方向に一体である略円筒、円管状(パイプ形状)をしている。
図7のアルミニウム合金補強材14は、図1〜3の補強材5とほぼ同じ形状だが、円弧状外縁部16、17が同じ形状、長さであり、左右が対称形状である点が、図1〜3の補強材5と異なる。
図8のアルミニウム合金補強材18は、横断面形状が矩形中空形状をしている。即ち、想定される衝突荷重負荷方向に対して略平行方向(略水平方向、図の左右方向)に、2本平行に間隔を開けて延在するリブ19、20と、このリブ19、20の左右両端部を結んで、各々垂直(縦)方向に延在する円弧状外縁部21、22とからなる。この円弧状外縁フランジ21、22も、図1〜3の補強材5の外縁部7、8と同じく、前記中空ビーム部2の中空部内面2dに適合、当接する円弧状形状をしており、補強材18を中空部内面2dに嵌合させる役割を果たす。
図9のアルミニウム合金補強材23は、基本的には、前記した図7の補強材14と同様の形状をしており、略水平方向(図の左右方向)に延在するリブ24と、このリブ24の左右両端部に各々略垂直方向(図の縦方向)に延在する、円弧状外縁部25、26とからなる。補強材23は、ただ、この円弧状外縁部25、26が、図7の補強材14の円弧状外縁部16、17に比して、より短尺なだけである。
図10のアルミニウム合金補強材27は、想定される衝突荷重負荷方向に対して略平行方向に延在するリブ28と、これに直交して垂直方向に延在するリブ29とを2本有した十字状形状をしている。そして、これらのリブ28、29の両端部に、各々略垂直方向(図の縦方向)や水平方向(図の横方向)に各々延在する、4つの円弧状外縁部30、31、32、33とからなる。
(アルミニウム合金補強材板厚)
アルミニウム合金補強材の板厚は、上記板厚効果や衝突エネルギ吸収効果などの各効果を発揮させるためには大きい方が良いが、重量が増加する。このために、補強材の板厚は、軽量化が必要な複合材としての重量増加許容量からも決定される。この点、アルミニウム合金補強材の板厚は、上記効果発揮のためには最低でも1.5mm以上とし、軽量化のためには最大でも5mm以下とすることが好ましい。
(アルミニウム合金補強材の製造)
以上説明したアルミニウム合金補強材の形状は、横方向(半径方向)の断面形状をその長手方向に亙って有している。このような補強材の形状は、前記した通り、熱間押出による押出形材によって簡便に得られる。ただ、補強材は、これに限らず、アルミニウム合金の鍛造や鋳造(鍛造材や鋳造材)によって得ても良い。また、形状によっては、アルミニウム合金板から成形や加工によって得る方法もある。しかし、これらの方法は、製造や成形などが困難な形状もあり、押出形材に比してコストが高くなる可能性も高い。
(アルミニウム合金)
アルミニウム合金補強材の強度は、上記比較的薄肉の板厚条件下で板厚効果や衝突エネルギ吸収効果などの各効果を発揮させるためには、大きい方が良い。具体的には、0.2%耐力で130MPa以上、好ましくは150MPa以上の強度であることとする。このような条件を満たすアルミニウム合金としては、JIS乃至AA規格で言う、Al−Mg−Si系の6000系やAl−Mg−Zn系の7000系の熱処理型アルミニウム合金、あるいはAl−Mg系の5000系アルミニウム合金が、上記した製法による製造後に、必要な調質処理(熱処理)を施して使用される。
図1に示したアルミニウム合金補強材5を設けた本発明複合材ドアビームの特性である、最大荷重や初期剛性、ストローク150mmまでのエネルギ吸収量(EA量)を、FEM解析による荷重−変位関係から各々求めて評価した。この結果を表1に示す。
解析対象とした図1のドアビームの形状は、ブラケットを装着しない中空ビーム部2のみとし、共通して、中空ビーム部2をΦ30mmの円筒形状、長さを900mmとした。アルミニウム合金補強材の長さは、共通して200mmとした。なお、補強材5と鋼製中空ビーム部2との間に介在させる樹脂層40は、ドアビームの特性に影響がないので、無いものとして解析した。
この際、アルミニウム合金補強材5の板厚は3.0mmとした。補強材5を設ける鋼製中空ビーム部2の板厚は1.6mmとした。比較例8として、補強材5を設けない、図1に示す鋼製中空ビーム部2単体であって、板厚を1.6mmとしたものも同時に解析した。
鋼製中空ビーム部2の高張力鋼板(ハイテン)の引張強度は、表1の通り種々変え、アルミニウム合金補強材のアルミニウム合金は6000系の6063−T5調質材:0.2%耐力150MPaと全て一定にした。
FEM解析には、汎用の動的陽解法ソフトLS−DYNA r.960を用いて動的圧壊試験解析を行なった。荷重データ採取は、ドアビームの両端部を、支点間距離を800mmとして支持した上で、ドアビーム中央部へ準静的に載荷(荷重)する3点曲げ試験の要領とした。
アルミニウム合金補強材の各外径は、上記各板厚条件に応じて、中空ビーム部2の中空部内にアルミニウム合金補強材を挿入でき、かつ、図2に示すように、中空ビーム部2の中空部内面2dにアルミニウム合金補強材の各外縁部が当接、嵌合できるよう、アルミニウム合金補強材の外径を、中空部内径よりも若干小さい径とした。また、アルミニウム合金補強材を挿入後に、中空ビーム部2の中空部内面2dと、アルミニウム合金補強材外縁部とをかしめて嵌合した。
表1の解析結果から、アルミニウム合金補強材の0.2%耐力が150MPa以上であることを前提に、鋼製中空ビーム部2の引張強度を980MPa以上、1350MPa以下の範囲とした発明例1〜4は、アルミニウム合金補強材が無い比較例5〜8に比して、初期剛性が高くなり、最大荷重、EA量(エネルギ吸収量)ともに著しく向上していることが分かる。
この内、鋼製中空ビーム部2の引張強度が発明例と同じ1350MPa以下である比較例5〜7よりも、発明例1〜4の方が、最大荷重、EAがともに著しく向上しているのは、アルミニウム合金補強材の有無の差であると理解できる。しかし、鋼製中空ビーム部2の引張強度が1650MPaと著しく高い比較例8よりも、これより引張強度が低い発明例1〜4の方が、最大荷重、EA量がともに著しく向上しているのが特異である。
この解析結果から、本発明効果が裏付けられるとともに、本発明のアルミニウム合金補強材と複合化させた場合の、鋼製中空ビーム部2の引張強度規定の意義が裏付けられる。
表1の解析結果から、発明例1〜4は、補強材5を設けない鋼製中空ビーム部2単体の比較例5〜8に比して、最大荷重、EA量ともに著しく向上している。このことから、最大荷重と初期剛性とを同じレベルとするのであれば、本発明複合部材ドアビームは、アルミニウム合金補強材を設けたことによって、鋼製中空ビーム部2側の板厚(肉厚)をより薄く(小さく)できることも分かる。アルミニウム合金補強材を設けた分は、通常であれば、また、本発明複合部材にとっても、当然重量増加になる。しかし、これらの解析結果から、本発明複合部材は、最大荷重や初期剛性の向上効果が著しく大きいために、複合部材の高張力鋼製中空部材側の負荷、負担を減らすことが可能となることが分かる。即ち、実施する場合に必要な上記最大荷重と初期剛性とを選択設計すれば、複合部材の高張力鋼製中空部材側(ドアビーム側)の板厚を逆に減少させ、軽量化できることが分かる。
したがって、本発明自動車用複合部材は、軽量化を犠牲とせずに、むしろ軽量化させた上で、ドアビームに限らず、ハイテンを用いる自動車用中空部材の単位重量当たりの耐局部変形性である最大荷重や、エネルギ吸収特性を向上させることができる。
Figure 2008189160
以上のように、本発明自動車用複合部材は、軽量化を犠牲とせずに、むしろ軽量化させた上で、ドアビームに限らず、ハイテンを用いる自動車用中空部材の単位重量当たりの耐局部変形性である最大荷重や初期剛性、エネルギ吸収特性を向上させることができる。したがって、本発明自動車用複合部材は、軽量化要求と衝突時のエネルギ吸収要求のある、ドアビーム、ピラー(A、B、Cの各ピラー)、ロッカー(サイドロッカー)、ヒンジ(フードヒンジ)、ロック(フードロック)、ウエイスト(ドアウエイスト)ル−フサイドレールなどの自動車用の高張力鋼製中空部材に好適である。
本発明自動車用複合部材の一つであるドアビームの一実施態様を示す斜視図である。 図1のAA線断面図である。 本発明ドアビームの他の実施態様を示す斜視図である。 図3への製造過程の一態様を示す斜視図である。 本発明に係る補強材の他の実施態様を示す斜視図である。 本発明に係る補強材の他の実施態様を示す斜視図である。 本発明に係る補強材の他の実施態様を示す斜視図である。 本発明に係る補強材の他の実施態様を示す斜視図である。 本発明に係る補強材の他の実施態様を示す斜視図である。 本発明に係る補強材の他の実施態様を示す斜視図である。 従来のドアビームのドアへの取付状態を示す斜視図である。 従来のドアビームを示す斜視図である。
符号の説明
1:ドアビーム、2:ビーム部、3、4:取付ブラケット部、
5、13、14、18、23、27:アルミニウム合金補強材、
6、15、19、20、24、28、29:補強リブ、
7、8、16、17、21、22、25、26、30、31、32、33:外縁部

Claims (6)

  1. 高張力鋼製中空部材の少なくとも長手方向中央部の中空部内にアルミニウム合金補強材が挿入された自動車用複合部材であって、このアルミニウム合金補強材は、前記中空部の径方向に延在するリブと、このリブの両端側に在って前記中空部の内周方向に沿った形状を有する両外縁部とを、その長手方向に亙って延在させた形状を有して、これら両外縁部が、前記中空部内面に当接するように、前記中空部内に挿入されており、このアルミニウム合金補強材の0.2%耐力が130MPa以上であるとともに、前記高張力鋼製中空部材の引張強度が980MPa以上、1350MPa以下の範囲であることを特徴とする自動車用複合部材。
  2. 前記補強材の両外縁部が、樹脂を介して、前記中空部内面に当接するように、前記中空部内に挿入されている請求項1に記載の自動車用複合部材。
  3. 前記高張力鋼製中空部材が電縫管であり、電縫管の溶接部内面側に凸状の溶接ビードが形成され、この溶接ビードにおいて前記アルミニウム合金補強材が位置決めされている請求項1または2に記載の自動車用複合部材。
  4. 前記アルミニウム合金補強材における前記両外縁部の長さが異なる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動車用複合部材。
  5. 前記アルミニウム合金補強材における長手方向の両端部が、長手方向に対して斜め方向に傾いた端面を各々有している請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動車用複合部材。
  6. 前記自動車用複合部材の用途がドアビームである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動車用複合部材。
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