JP2008185447A - マルチセンサ制御システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】センサ200a〜200cが出力した探知データを、データ相関・統合部120が入力し、相関・統合して目標情報を生成する。センサ制御方法決定部150は、センサ情報設定・管理部170が記憶したセンサの能力や、制御ルール設定・管理部180が記憶した制御ルールに基づいて、目標情報からセンサ制御方法を決定する。センサ制御方法決定部150が決定したセンサ制御方法に基づいて、制御コマンド発行部190がセンサ200a〜200cに対して、センサ制御コマンドを送信する。
【選択図】図1
Description
センサの個数が増えると、その制御の手間が増加する。特に、1人乗りの航空機などに搭載した観測システムでは、複数のセンサに対する制御を自動化したり、少ない指示で複数のセンサを制御できるようにする要請が強い。
電波を放射するタイプのセンサは、距離が観測できるなどの利点がある一方、相手に発見される危険がある。
データ相関・統合部と、センサ情報設定・管理部と、運用レベル設定・管理部と、制御ルール設定・管理部と、センサ制御方法決定部と、制御コマンド発行部とを有し、
上記データ相関・統合部は、複数のセンサから目標物の観測データを入力し、入力した複数の観測データを相関・統合して目標情報を生成し、
上記センサ情報設定・管理部は、上記複数のセンサの能力及び実施可能な制御を表わす情報を記憶し、
上記運用レベル設定・管理部は、運用要求を基準に必要な観測精度を求めるための判断条件を表わす情報を記憶し、
上記制御ルール設定・管理部は、上記複数のセンサの制御方法を決定するためのルールを表わす情報を記憶し、
上記センサ制御方法決定部は、上記データ相関・統合部が生成した目標情報と、上記センサ情報設定・管理部が記憶した上記複数のセンサの能力及び実施可能な制御を表わす情報と、上記運用レベル設定・管理部が記憶した上記判断条件を表わす情報と、上記制御ルール設定・管理部が記憶した上記複数のセンサの制御方法を決定するためのルールとに基づいて、上記複数のセンサの制御方法を決定し、
上記制御コマンド発行部は、上記センサ制御方法決定部が決定した制御方法に基づいて、上記複数のセンサに対して、センサ制御コマンドを出力することを特徴とする。
実施の形態1について、図1〜図7を用いて説明する。
観測システム800は、マルチセンサ制御システム100と、複数のセンサ200a〜200cと、インタフェース部300とを有する。
センサ200a〜200cは、同種のセンサであってもよいし、異種のセンサであってもよい。
また、センサの数は3つに限らず、もっと多くてもよいし、少なくてもよい。
観測制御信号は、センサ制御部230aが出力する信号であり、観測部210aを制御する情報を含む。観測制御信号は、例えば、レーダが電波を発射する方向、発射する電波の強度などを指示する情報を含む。
観測部210aは、観測制御信号にしたがって、観測を行う。
観測信号は、センサが受信した電波や赤外線の強度などを表わす信号である。
探知部220aは、例えば、入力した観測制御信号に基づいて、観測部210aが電波を発射した時刻及び方向を求め、入力した観測信号に基づいて、反射波を受信した時刻を求め、これらの情報に基づいて、方向や距離を計算する。
探知データは、探知部220aが計算した方向などを表わすデータである。また、探知データには、観測部210aが観測した観測時刻を表わすデータも含まれる。
センサ制御部230aは、センサ制御コマンドを入力し、観測制御信号を出力する。
制御コマンドは、マルチセンサ制御システム100がセンサの動作を制御する命令を表わすデータであり、マルチセンサ制御システム100が出力する。
制御コマンドは、例えば、センサモードの変更、捜索覆域、センサ指向方向などを指示する命令である。
センサ制御部は、入力した制御コマンドに基づいて、観測部の具体的な動作を決定し、決定した動作を指示する観測制御信号を出力する。
インタフェース部300は、例えば、目標情報管理部124の目標情報などを表示する。
インタフェース部300は、また、入力装置を用いて、利用者からの指示を入力し、マルチセンサ制御システム100へ伝達することもできる。
なお、インタフェース部300を含まない構成としてもよい。マルチセンサ制御システム100は、ユーザへの情報提示や操作を提供しないものとしても実現可能である。
マルチセンサ制御システム100は、データ相関・統合部120と、センサ制御方法決定部150と、運用レベル設定・管理部160と、センサ情報設定・管理部170と、制御ルール設定・管理部180と、制御コマンド発行部190とを有する。
データ相関・統合部120は、入力した探知データが表わす位置などの観測結果を相関・統合して目標情報を生成する。
データ相関・統合部120は、生成した目標情報を管理する。
相関とは複数の情報の対応関係を決定する処理であり、統合とは相関の結果に基づいて対応する情報をまとめて統合した情報を生成する処理である。複数センサの情報を利用するシステムでは、複数のセンサの情報間での相関・統合と、同一センサの時系列の情報間での相関・統合がある。以下の説明では、複数のセンサの情報間での相関・統合を、相関・統合として説明する。
追尾処理は、センサの時系列の探知情報間で相関・統合を実施する。対応があるとした時系列の情報を利用して平滑化等を行い、目標の時間変化の微分から速度を算出したり、予測位置を算出したりする処理である。追尾処理の結果として出力される情報が航跡情報である。航跡情報には、観測対象の位置、速度等が含まれる。
探知データ相関・統合部123では、相関・統合と追尾処理を同時に実施する。ここでは、探知データ相関・統合部123では、複数センサの探知情報が混在した航跡情報を生成する。この航跡と複数センサからの探知データの情報の間で相関判定を行い、統合(対応有りとした探知データを新たに追加した航跡情報の生成)を行う。このような処理を実行することで、複数センサ間での相関・統合と、追尾処理(時系列の情報間での相関・統合)を同時に実施する。
相関・統合と追尾処理で利用するアルゴリズムには、例えば、NN(Nearest Neighbor)方式や、航跡型MHT(Multiple Hypothesis Tracking)などがある。
探知データ相関・統合部123は、目標情報を生成する。目標情報には、航跡情報と、航跡情報の観測精度と観測に利用したセンサ別の最終観測時刻を含む。
航跡情報と、航跡情報の観測精度に含まれる項目は、航跡算出で利用した探知データ(観測源のセンサ)に依存する。例えば、レーダの探知データを含む目標情報では距離と角度の情報を含むが、距離を観測不可能な光学センサの探知データのみの目標情報では角度の情報だけになる。
探知データ相関・統合部123は、目標情報を生成する。目標情報とは、算出した位置・速度などを表わす情報である。
探知データ相関・統合部123は、生成した目標情報を出力する。
目標情報は、たとえば、観測結果、観測精度、最終観測時刻などからなる。観測結果には、例えば、距離、角度、速度、識別情報などがある。観測精度は、観測結果の精度を表わす。最終観測時刻は、最後に観測した時刻を表わす。センサの種類によっては、観測項目の一部しか観測できないものもあり、観測精度や最終観測時刻は、観測項目ごとに異なる場合がある。
すなわち、目標情報管理部124は、探知データ相関・統合部123が出力した目標情報を入力する。
目標情報管理部124は、入力した目標情報を、対応する目標ごとに分類して保管する。
例えば、インタフェース部300が利用者の操作を入力することにより、目標の運用レベルや制御モードなどを入力する。目標情報管理部124は、インタフェース部300が入力した目標の運用レベルや制御モードなどの情報を入力し、記憶する。
なお、この図は表形式となっているが、運用レベル設定・管理部160が記憶する判断条件は、表形式に限らず、他の形式であってもよい。
目標運用レベル条件531は、目標の運用レベルについての条件を表わす。目標の運用レベルには、例えば、「分離移動体誘導対象」「状況認識対象(プライマリ)」「状況認識対象(ペア内)」「状況認識対象(グループ内)」「状況認識対象(空域内)」「状況認識対象外」「無視」などがある。
観測項目条件532は、センサ200a〜200cのいずれかが観測できる項目の種類についての条件を表わす。観測項目には、例えば、「距離」「角度」「速度」「識別情報」などがある。
必要観測レベル533は、その目標について要求される観測精度のレベルを表わすものであり、目標運用レべル条件531と観測項目条件532とに基づいて判断される。この例では、目標運用レベル条件531のうち目標の運用レベルが該当する行と、観測項目条件532のうち観測項目が該当する列との交点が、その条件を満たす場合の必要観測レベルを表わしている。例えば、目標の運用レベルが「分離移動体誘導対象」で、観測項目が「距離」なら、必要観測レベル「A」の観測精度が必要であることを表わす。必要観測レベルには、例えば、「A」「B」「C」「D」「E」などがある。この例では、必要観測レベル「A」が最も高い精度が必要なことを表わし、必要観測レベル「B」、「C」、「D」となるにつれて必要な精度が低くなる。また、必要観測レベル「E」は、観測不要であることを表わす。
センサ制御方法決定部150が目標の運用レベルを自動的に判別する構成のほうが、利用者の負荷を減らずことができ、好ましい。
なお、この図は表形式となっているが、センサ情報設定・管理部170が記憶するセンサ能力は、表形式に限らず、他の形式であってもよい。
この例では、センサの方向を瞬時に任意に変更できる方式を「指向性あり」とし、指向方向を連続した領域にのみ変更できる方式を「指向性なし」として示している。
この例では、覆域を簡易に説明するため、センサ200a〜200cの覆域を方位角と仰角とによって表わしている。例えば、センサ200aは、正面方向に向けて取り付けられており、正面(方位角0度、仰角0度)を中心として、方位角±45度、仰角±45度の範囲を観測できる。
代表的なセンサモードの例として、捜索、追尾などがある。捜索モードでは、指定された覆域内を走査し、目標の探知結果を出力する。追尾モードでは、指定された方向にセンサを指向する。その後、継続して目標を観測できるように、目標の予測位置方向にセンサを指向する制御を継続して実施する。なお、捜索と追尾では、捜索範囲、制御タイミング、パルス繰り返し周期等、様々な条件を組み合わせたモードとして実現されることもある。
この例は、センサ制御モードを大きく3つに分け、それぞれのモードから他のモードへ遷移する条件を状態遷移図によって表わしている。
「電波封止」とは、電波の放射をできるだけ抑えるモードである。電波を放射すると、目標のパッシブ電波センサに発見される可能性が高くなるからである。そのため、例えば、電波を放射するレーダなどのセンサの使用を抑えるなどのセンサ制御をする。
「観測優先」とは、目標を正確に観測することを優先するモードである。そのため、電波を放射するレーダなども積極的に使う制御をする。
「バランス」とは、「電波封止」と「観測優先」との間の中間的なモードである。
センサ制御モードは、利用者が操作することにより切り替えることができる。この場合、利用者の操作は、インタフェース部300が入力する。
センサ制御モードは、目標の観測状況によっても遷移する。パッシブ電波センサの観測結果から、目標に発見されたと推定された場合には、センサ制御モードを、「電波封止」から「観測優先」に変更する。既に発見され、電波の放射を抑える意味がないと判断したためである。
なお、運用条件と観測した目標情報などを利用して、センサ制御モードの遷移の判定条件を設け、マルチセンサ制御システム100内部で自動的に遷移するよう構成することもできる。
この例において、必要観測レベル、センサ制御モード及び目標との相対距離が、センサ制御のトリガになる条件である。また、条件が成立したときに実施する制御方法を、ルールとして記載している。なお、センサ制御のトリガになる条件としては、この他に、目標情報管理部124が出力した目標情報に含まれる観測結果、観測精度や最終観測時刻の情報がある。
各ルールでは、適用時に目標情報管理部124が出力する目標情報に含まれる情報を基準に、センサ200a〜200cで実施するセンサ制御方法が記載されている。
この図は、図3に示した判断条件に基づいて判断した必要観測レベルと、図5に示したセンサ制御ルールに基づいて判断したセンサ制御モードと、目標との距離との3つの条件に基づいて、適用するルールを選択することを表わしている。
この例では、必要観測レベルが5段階、センサ制御モードが3種類、目標との距離が3段階に分かれているので、この3つの条件に基づいて、45通りのルールのなかから適用するルールを選択する。
なお、これは一例であって、必要観測レベルは5段階でなくてもよいし、センサ制御モードは3種類でなくてもよいし、目標との距離は3段階でなくてもよい。任意の段階数で異なる条件を設定することも可能である。また、対象の種類や項目を変更することも可能である。
また、記載するルールは、すべて異なる必要はない。45通りのルールがすべて異なる必要はなく、異なる条件で同じルールを選択することとしてもよい。
「ルール3」においては、必要観測レベルが「A」なので、電波放射の有無を考慮せず、観測精度など、観測に有利なセンサリソースを集中して対象の目標に対する観測を行う制御を実施する。
各ルールでセンサ制御を決定するときには、目標情報に含まれる観測結果、観測精度や最終観測時刻の情報を考慮したセンサ制御を行う。例えば角度情報の精度が低い時には、角度の観測で有利なセンサを指向して目標の観測を行う制御を行う。例えば、図4の例において、センサ200bが角度精度で有利ならば、センサ200bを指向する制御を実施する。
また、距離精度の精度が低い時には、距離の観測で有利なセンサを指向して目標の観測を行う制御を行う。図4の例においては、距離はセンサ200aでのみ観測可能なため、センサ200aを指向する制御を実施する。
「ルール9」においては、必要観測レベルが「A」、センサ制御モードが「電波封止」なので、電波放射ありのセンサ使用を極力抑えて、観測精度など、観測に有利なセンサリソースを集中して対象の目標に対する観測を行う制御を実施する。
すなわち、センサ制御方法決定部150は、目標情報管理部124が記憶した目標情報を入力する。
センサ制御方法決定部150は、運用レベル設定・管理部160が事前に記憶した判断条件と、センサ情報設定・管理部170が事前に記憶したセンサ能力と、制御ルール設定・管理部180が事前に記憶したセンサ制御ルールとを入力する。
センサ制御方法決定部150は、入力した判断条件と、センサ能力と、センサ制御ルールとを基準にして、データ相関・統合部120が生成した目標情報から現在の状況を判断し、複数のセンサに対して実施するセンサの制御方法を決定する。
センサ制御方法決定部150は、決定したセンサ制御方法を表わす情報を出力する。
制御コマンド発行部190は、センサ情報設定・管理部170が記憶したセンサ能力のうち、各センサ200a〜200cに対して送付可能なコマンドを表わす情報を入力する。
制御コマンド発行部190は、入力した情報が表わす送付可能なコマンドに基づいて、入力した情報が表わすセンサ制御方法を、センサ200a〜200cに対して具体的に指示するセンサ制御コマンドを生成する。
制御コマンド発行部190は、センサ200a〜200cに対して、生成したセンサ制御コマンドを送付する。
その場合、利用者が表示したセンサ制御方法を承諾するか否かをインタフェース部300が入力してもよい。
利用者が表示したセンサ制御方法を承諾しない場合、インタフェース部300は、利用者の操作を入力することにより、利用者が選択したセンサ制御方法を入力する。
その場合、制御コマンド発行部190は、インタフェース部300が入力したセンサ制御方法に基づいて、センサ制御コマンドを生成する。
これにより、センサ制御方法決定部150が決定したセンサ制御方法に利用者が不満な場合など、利用者が強制的にセンサ制御方法の変更を指示できる。
センサ200b・200cでも同様に、観測部210b・210cが観測を行う。
センサ200b・200cでも同様に、観測部210b・210cが出力した観測信号に基づいて、探知部220b・220cが探知データを生成する。
探知データ相関・統合部123は、入力された探知データを利用して、相関・統合と追尾処理を同時に実行する。相関・統合と追尾処理の結果として、航跡情報と、航跡情報の観測精度と観測に利用したセンサ別の最終観測時刻を含む目標情報を出力する。
目標情報管理部124は、入力した目標情報を記憶する。
目標運用レベルは、利用者がインタフェース部300から指定してもよいし、マルチセンサ制御システム100内部で、目標情報を基準に算出してもよい。
センサ制御方法決定部150は、運用レベル設定・管理部160が記憶した判定条件を入力する。
センサ制御方法決定部150は、入力あるいは算出した目標運用レベルに基づいて、判定条件を参照して、必要観測レベルを算出する。
センサ制御方法決定部150は、入力した目標情報に基づいて、目標との相対距離(近距離、中距離または遠距離)を取得する。
センサ制御方法決定部150は、入力したセンサ制御モードと、算出した必要観測レベルと、取得した目標との距離とを、入力したセンサ制御ルールに当てはめて、現在の状況に適用するルールを取得する。
センサ制御方法決定部150は、センサ情報設定・管理部170が記憶したセンサの能力を入力する。
センサ制御方法決定部150は、入力した目標情報に基づいて取得した目標の方向や項目ごとの予測誤差、入力したセンサの能力などを、取得したルールに当てはめて、センサ制御方法を決定する。
センサ制御方法決定部150は、このルールにしたがって、各センサ200a〜200cの制御方法を決定する。
制御コマンド発行部190は、センサ情報設定・管理部170が記憶したセンサの能力のうち、センサに対して送付可能なコマンドを表わす情報を入力する。
制御コマンド発行部190は、入力した情報が表わす送付可能コマンドに基づいて、入力した情報が表わすセンサ制御方法を各センサ200a〜200cに対して具体的に指示するセンサ制御コマンドを生成する。
制御コマンド発行部190は、センサ200a〜200cに対して、生成したセンサ制御コマンドを出力する。
センサ制御部230aは、入力したセンサ制御コマンドにしたがって、観測部210aを制御する観測制御信号を生成する。
センサ制御部230aは、生成した観測制御信号を出力する。
同様に、センサ200b・200cでは、センサ制御部230b・230cが、制御コマンド発行部190がセンサ200b・200cに対してそれぞれ出力したセンサ制御コマンドにしたがって、観測制御信号を出力する。
また、運用レベル設定・管理部160や制御ルール設定・管理部180が、あらかじめ設定した判定条件やセンサ制御ルールを記憶しておくことにより、センサ制御方法決定部150が自動的にセンサ制御方法を決定するので、利用者が各センサ別に詳細な制御を実施する必要がなく、利用者の制御負荷を低減したマルチセンサ制御システムを実現することができる。
データ相関・統合部120と、センサ情報設定・管理部170と、運用レベル設定・管理部160と、制御ルール設定・管理部180と、センサ制御方法決定部150と、制御コマンド発行部190とを有することを特徴とする。
データ相関・統合部120は、複数のセンサ200a〜200cから目標物の観測データ(探知データ)を入力し、入力した複数の観測データ(探知データ)を相関・統合して、目標情報を生成することを特徴とする。
センサ情報設定・管理部170は、複数のセンサ200a〜200cの能力及び実施可能な制御を表わす情報を記憶することを特徴とする。
制御ルール設定・管理部180は、複数のセンサ200a〜200cの制御方法を決定するためのルールを表わす情報(センサ制御ルール)を記憶することを特徴とする。
センサ制御方法決定部150は、データ相関・統合部120が生成した目標情報と、センサ情報設定・管理部170が記憶した複数のセンサ200a〜200cの能力及び実施可能な制御を表わす情報と、運用レベル設定・管理部160が記憶した判断条件を表わす情報と、制御ルール設定・管理部180が記憶した複数のセンサ200a〜200cの制御方法を決定するためのルール(センサ制御ルール)とに基づいて、複数のセンサ200a〜200cの制御方法を決定することを特徴とする。
制御コマンド発行部190は、センサ制御方法決定部150が決定した制御方法に基づいて、複数のセンサ200a〜200cに対して、センサ制御コマンドを出力することを特徴とする。
センサ200a〜200cから入力される観測情報(探知データ)を相関・統合して目標情報を生成するデータ相関・統合部120と、
事前に設定した制御の判断条件、センサの能力及び制御ルール等を基準に、生成した目標情報から現在の状況を判断し、複数のセンサに対して実施するセンサの制御方法を決定するセンサ制御方法決定部150と、
運用要求を基準に必要な観測精度等の判断条件を事前に設定する運用レベル設定・管理部160と、
制御対象のセンサの能力(観測可能な領域や項目、観測精度等)及び制御対象のセンサに対して実施可能な制御(送付可能な制御コマンド)の情報を事前に設定するセンサ情報設定・管理部170と、
決定した制御内容に従ってセンサ制御コマンドを発行するセンサコマンド発行部(制御コマンド発行部190)とを有することを特徴とする。
実施の形態2について、図8を用いて説明する。
この実施の形態では、好ましいセンサ制御を実現するセンサ制御ルールの一例について説明する。
この例において、センサ200a〜200cは、同種のセンサである。
センサ200a〜200cは、取り付けられている位置が異なるため、覆域が異なる。
センサ200aは、方位角−60度〜+60度の範囲を観測できる。
センサ200bは、方位角−180度〜−60度の範囲を観測できる。
センサ200cは、方位角+60度〜+180度の範囲を観測できる。
センサの覆域は、センサ情報設定・管理部170がセンサの能力の一種として記憶している。
その方向を観測できるセンサが見つかった場合、そのセンサを使用するというセンサ制御方法を決定する。見つからない場合は、他のセンサがその方向を観測できるか否かを判断する。
実施の形態3について、図9〜図10を用いて説明する。
図9は、この実施の形態における観測システム800の全体構成の一例を示すブロック構成図である。
なお、実施の形態1で説明した観測システム800の機能ブロックと共通するブロックについては、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
追尾部240bは、探知部220bが出力した探知データに基づいて、追尾を実施し、航跡を算出する。この追尾処理は、実施の形態1で説明した探知データ相関・統合部123の追尾処理と、基本的に同様であり、既存の航跡データに観測した探知データを追加して航跡を生成していく。ただし、追尾部240bが利用する探知データは、同じセンサ200bの探知部220bが出力した探知データだけである点が異なる。追尾部240bが算出する航跡情報は、探知部220bが出力した時系列の探知データの集合になる。
追尾部240bは、追尾データを出力する。追尾データとは、推定した目標物の位置・速度など目標物の航跡を表わすデータである。
センサ制御部230bは、入力した航跡情報に基づいて、センサ指向時の目標物の位置を予測し、観測部210bへ予測位置にセンサを指向する観測制御信号を生成する。
航跡相関・統合部125は、センサ200cが出力した航跡情報を入力する。
航跡相関・統合部125は、探知データ相関・統合部123が出力した目標情報を入力する。
航跡相関・統合部125は、入力した追尾データが表わす航跡と、入力した目標情報が表わす航跡とを、相関・統合する。航跡情報は、時系列の探知情報を使用して生成するため、速度情報を有する。航跡相関・統合部125は、速度情報と航跡を生成した時刻から、相関・統合を実施する時刻での予測位置を算出し、予測位置の差から、異なるセンサで観測した航跡情報の相関を決定し、相関対象となった航跡同士を統合する。この統合では、観測不可能な項目の情報を補完したり、観測精度を基準に航跡間の情報を合成する処理を実施して、統合航跡を算出する。
航跡相関・統合部125は、算出した統合航跡を、目標情報管理部124へ出力する。なお、探知データ相関・統合部123及び追尾部240cが出力する航跡情報には、実施の形態1と同様に観測精度等の情報が含まれる。この情報と算出した統合航跡の情報をまとめて目標情報として、目標情報管理部124へ出力する。
なお、実施の形態1で説明した目標物観測処理の工程と共通する工程については、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
追尾部240bは、入力した探知データに基づいて、追尾処理を実施し、航跡情報を算出する。
追尾部240bは、推定した目標物の航跡を表わす航跡情報を出力する。
センサ200cでも同様に、追尾部240cが追尾処理を実施し、航跡情報を算出する。
航跡相関・統合部125は、相関統合工程S11で探知データ相関・統合部123が出力した目標情報を入力する。
この統合航跡を、目標情報管理部124へ出力する。なお、探知データ相関・統合部123及び追尾部240cが出力する航跡情報には、実施の形態1と同様に観測精度等の情報が含まれる。この情報と算出した統合航跡の情報をまとめて目標情報として、目標情報管理部124へ出力する。
この実施の形態では、探知結果を入力するセンサ200bと追尾情報だけを入力するセンサ200cが混在する例について説明したが、追尾情報だけを入力する複数センサの構成でもよい。その場合も、実施の形態1と同様の効果を奏する。その場合には、探知データ相関・統合部123に入力するデータが存在しないため、探知データ相関・統合部123を含まないデータ相関・統合部120として構成してもよい。
利用する複数のセンサ間で、センサが観測できる項目や、観測精度、観測周期等に差がある場合には、探知データ相関・統合と航跡相関・統合とを適材適所に適用して、組み合わせたシステム構成が有効である。このため、本装置は適用範囲が広い利点がある。
このように、内部に複数のセンサの機能を有したセンサを組合わせたマルチセンサシステムでも、同様の効果を発揮できる。
以上説明したマルチセンサ制御システム100は、更に、航跡・相関統合実施部(航跡相関統合部)を有するので、探知データだけでなく、航跡情報(追尾データ)も利用可能である。
実施の形態4について、図11〜図12を用いて説明する。
なお、実施の形態1で説明した観測システム800の機能ブロックと共通するブロックについては、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
センサ状況管理部136は、センサ状況信号を入力する。
センサ状況管理部136は、入力したセンサ状況信号に基づいて、各センサ200a〜200cの現在の状況を取得する。
センサ状況管理部136は、取得した各センサ200a〜200cの現在の情報を表わす情報を記憶する。
センサ制御方法決定部150は、入力した信号に基づいて、センサの現在の状況を取得する。
センサ制御方法決定部150は、取得したセンサの現在の状況に基づいて、センサの制御方法を決定する。
機械式レーダは、機械制御でセンサを搭載した制御板などの向きを変えて、指向方向を変える。このため、現在の指向方向と指示された指向方向との差異が大きいと、指向方向の変更に時間がかかる。
センサ制御方法決定部150は、センサ200bの現在の指向方向から、指向方向の変更にかかる時間も考慮して、観測に有利なセンサ制御方法を選択する。
目標の情報を継続して観測するには、目標方向に継続してセンサを指向する必要がある。目標は単純に等速直線運動しない可能性がある。高機動目標に対処する場合、観測からセンサの指向までに時間が掛かると、目標の移動可能な範囲が広くなり、センサを目標に指向できる確率が低下する。
センサ指向までの時間が少ないセンサ制御を選択することで、目標方向に継続してセンサを指向し、観測能力の高いセンサシステムを実現できる利点がある。
観測状況判定部137は、センサの現在状況と目標の観測情報を比較し、センサの観測の有効性を判定し、センサ制御方法決定部150に出力する。
例えば、レーダでは、ドップラ(目標の接近速度。目標方向の速度成分)が小さくなると観測が不利になる場合がある(このように観測が不利になる目標の機動方法をビーム機動と呼ぶ)。観測状況判定部137は、センサの現在状況と目標の観測情報を比較し、レーダがドップラが0に近い目標を観測するようなケースでは、レーダの観測が不利になる情報を、センサ制御方法決定部150に出力する。
電波放射量記録部147は、入力したセンサの制御方法に基づいて、センサが放射した電波放射量の情報(放射電力、放射時間など)を算出して記録する。
電波放射量記録部147は、入力した目標情報に基づいて、目標別の電波放射量(放射電力、放射時間など)を算出して記録する。
電波放射量記録部147は、算出した目標別の電波の総放射量や放射時間を表わす情報を出力する。
センサ制御方法決定部150は、入力した情報に基づいて、それぞれの目標に対する電波の総放射量が所定の値を超えないように、センサの制御方法を決定する。
なお、センサ制御方法決定部150は、目標情報管理部124が記憶した目標情報に基づいて、目標の識別情報(種類・機種など)を取得し、目標の種類に応じて、電波の総放射量の上限値を変化させてもよい。例えば、パッシブ電波センサを搭載していない種類の目標と判断した場合は、電波の総放射量の上限値を大きくし、あるいは、制限しないこととする。逆に、高感度のパッシブ電波センサを搭載している種類の目標と判断した場合は、電波の総放射量の上限値を小さくする。
これにより、目標に探知される確率を最小限に抑えることができる。
これにより、例えば、まだ探知できていない目標が存在したとしても、その目標に探知される危険を減らすことができる。また、脅威が存在すると予測する方向への電波放射量を低減することができるという効果を奏する。
なお、実施の形態1で説明した目標観測処理と共通する工程については、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
センサ200b・200cでも同様に、センサ制御部230b・230cが、センサ状況信号を出力する。
センサ状況管理部136は、入力したセンサ状況信号に基づいて、センサ200a〜200cの状況を把握する。
センサ状況管理部136は、把握したセンサ200a〜200cの状況を表わす情報を記憶する。
観測状況判定部137は、入力した情報に基づいて、観測の有効性を判定する。
観測状況判定部137は、判定した観測の有効性を表わす情報を出力する。
電波放射量記録部147は、入力した情報に基づいて、目標に対して放射した電波の放射量を算出する。
電波放射量記録部147は、算出した電波の放射量を表わす情報を出力する。
センサ制御方法決定部150は、入力した情報に基づいて、センサの制御方法を決定する。
状況把握工程S16の後に制御方法決定工程S13を実施することにより、センサ状況管理部136を加えた構成で、センサ状況管理部136の効果を得ることができる。
状況把握工程S16、有効性判定工程S17の後に制御方法決定工程S13を実施することにより、センサ状況管理部136と観測状況判定部137を加えた構成で、センサ状況管理部136と観測状況判定部137の効果を得ることができる。
放射量算出工程S18(状況把握工程S16と有効性判定工程S17はなし)の後に制御方法決定工程S13を実施することにより、電波放射量記録部147を加えた構成で、電波放射量記録部147の効果を得ることができる。
電波放射量記録部147は、複数のセンサ200a〜200cが目標を観測するために上記目標に対して放射した電波の量を記録することを特徴とする。
センサ制御方法決定部150は、電波放射量記録部147が記録した電波の量に基づいて、上記目標に対して放射する電波の量が所定の値以下となるように、複数のセンサ200a〜200cの制御方法を決定することを特徴とする。
観測状況判定部137は、複数のセンサ200a〜200cによる観測が有効であるか否かを判定することを特徴とする。
センサ制御方法決定部150は、観測状況判定部137が判定した判定結果に基づいて、観測が有効でないセンサを使用しないように、上記複数のセンサの制御方法を決定することを特徴とする。
以上説明したマルチセンサ制御システム100は、更に、目標に対する電波放射量を記録する電波放射量記録部を有するので、電波放射量による被探知性を考慮したセンサ制御を行える。
実施の形態5について説明する。
この実施の形態における観測システム800の全体構成は、実施の形態1で説明したものと同様なので、ここでは説明を省略する。
単体のセンサの中には、センサの捜索と追尾を時分割で切り替えて観測するような、連続した時刻に対する時系列の制御を実施できるものがある。ただし、複数センサの制御を、事前に設定した時分割の制御手順で制御する機能はない。
例えば、複数の目標に対処しながら、複数領域の捜索を時間の間隔がないように実施するために、センサ200aとセンサ200bを組み合わせて、4周期の捜索と1周期の追尾などを時分割の制御手順として、制御ルール設定・管理部180に登録し、実施することとができる。
実施の形態6について、図13を用いて説明する。
なお、実施の形態1で説明した機能ブロックと共通するブロックについては、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
移動体位置姿勢管理部111は、観測した移動体821の位置などを表わす情報を出力する。
移動体運動予測部112は、移動体機動制御信号を入力する。移動体機動制御信号とは、移動体821の運動を制御する信号である。移動体機動制御信号は、例えば、加速、減速、左旋回、右旋回、上昇、下降などの指示を表わす。移動体制御信号は、例えば、利用者がインタフェース部300などから入力する。あるいは、後述する移動体機動制御部115が出力する。
移動体821は、移動体機動制御信号に基づいて運動し、位置、速度、向き、姿勢などを変化する。移動体821の位置などの変化は、移動体位置姿勢管理部111が観測するが、前もってどのような指示が出ているかを知ることにより、移動体位置姿勢管理部111が観測する前に、予測することができる。
移動体に搭載されたセンサの制御では、移動体自身の姿勢の変化量を補正してセンサを目標に指向する。移動体自身の姿勢の変化量は、移動体位置姿勢管理部111が取得し、センサに送信されるが、この情報伝送にかかる時間により、姿勢変化量の補正計算結果がずれ、センサを目標に指向できない場合がある。
そこで、未来の時刻における移動体821の位置などを予測し、センサ200a〜200cが実際に目標に観測する時刻における移動体821の位置などに基づいてセンサの制御方法を決定したほうが、最適な制御方法を決定できる。
例えば、移動体821の向きが変化すれば、目標の方向は同一であっても、その目標の方向を観測できるセンサが変わる場合がある。
センサ制御方法決定部150は、移動体821の位置などを考慮してセンサの制御方法を決定する。これにより、最適なセンサ制御を実施できる。
電波放射量記録部147は、実施の形態4で説明した電波放射量記録部147と同様であるが、以下の点が異なる。
電波放射量記録部147は、更に、移動体位置姿勢管理部111が出力した移動体821の位置などを表わす情報を入力する。
電波放射量記録部147は、入力した情報に基づいて、目標に対して放射した電波の放射量を算出する。
移動体821の位置、向きなどが変化すれば、方向に対する基準が変化する。したがって、電波放射量記録部147は、移動体821の位置、向きなどを考慮して、電波の放射量を算出し、記録する。
センサ制御方法決定部150は、入力した情報に基づいて、それぞれの方向に対する電波の放射量が所定の値を超えないように、センサの制御方法を決定する。
センサ制御方法決定部150は、センサ200a〜200cによる観測が有利になるように、移動体制御方法を決定する。例えば、センサ制御方法決定部150は、ある目標についてある項目を観測したい場合、その項目を観測できるセンサをその目標の方向に向けるよう、移動体制御方法を決定する。
あるいは、センサ制御方法決定部150は、目標との距離が遠すぎて必要な項目が観測できない場合に、その目標に近づいて、観測したい項目を観測できるよう、移動体制御方法を決定する。逆に、目標との距離が近すぎる場合に、目標に発見される危険を小さくするため、センサが観測できるギリギリの距離まで遠ざかるように、移動体制御方法を決定してもよい。
移動体機動制御部115は、入力した情報が表わす移動体制御方法に基づいて、移動体機動制御信号を生成する。
移動体機動制御部115は、生成した移動体機動制御信号を出力する。
移動体機動制御部115が出力した移動体機動制御信号は、移動体821の推進装置や操舵装置が入力し、移動体821の加速、減速、方向転換などが行われる。これにより、移動体機動制御部115は、移動体821の位置、速度、向き、姿勢などを制御する。
この実施の形態におけるマルチセンサ制御システム100は、移動体821に搭載した場合であっても、方位ごとの電波放射量を把握してセンサ制御を実施できる利点がある。
移動体位置姿勢管理部111は、複数のセンサ200a〜200cが設置された移動体821の位置及び向きの少なくともいずれかを表わす情報を取得することを特徴とする。
センサ制御方法決定部150は、移動体位置姿勢管理部111が取得した移動体821の位置及び向きの少なくともいずれかを表わす情報に基づいて、複数のセンサ200a〜200cの制御方法を決定することを特徴とする。
センサ制御方法決定部150は、複数のセンサ200a〜200cによる観測が有利になるように、移動体821の位置及び向きの少なくともいずれかを制御する移動体制御方法を決定することを特徴とする。
移動体機動制御部115は、センサ制御方法決定部150が決定した移動体制御方法に基づいて、移動体821の位置及び向きの少なくともいずれかを制御することを特徴とする。
実施の形態7について、図14〜図18を用いて説明する。
図14は、この実施の形態における観測システム800の全体構成の一例を示すブロック構成図である。
なお、実施の形態1で説明した機能ブロックと共通するブロックについては、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
以下、相関・統合・追尾処理をするためのパラメータの一例を説明するため、追尾処理を実現するアルゴリズムとして、航跡型MHTを用いる場合について説明する。
センサの観測(探知部220a〜220cでの探知処理)では、クラッタ(clutter)の探知確率(誤警報確率)を低減し、目標の探知確率だけを高くするため、センサが観測した信号強度に対して、一定のスレッショルド(閾値)以上の観測結果だけを探知データとする。
図15に示すように、この閾値の値を大きくすると、観測される探知データの個数が減少し、誤警報確率が低下するが、目標の探知確率も低下する。一方で、この閾値の値を小さくすると、観測される探知データの個数が増加し、目標の探知確率が高くなるが、誤警報確率も増加する。なお、また、誤警報確率が高い環境で追尾処理を行う場合には、航跡型MHTのような高度な追尾アルゴリズムが有効であることが知られている。
センサの探知処理での閾値では、このようなトレードオフの関係にあるため、このスレッショルドの値は、一般に観測に利用するセンサの諸元と、採用する追尾アルゴリズムを考慮して事前に算出した値を設定する。
これに対して、この実施の形態における探知部220a〜220cでは、このスレッショルドの値(探知閾値)をパラメータとして設定する。各センサの諸元や能力から、探知閾値のパラメータには、デフォルト設定の初期値を設定している。
新航跡生成パラメータとは、仮航跡を本航跡に格上げする信頼度の閾値を表わすパラメータである。すなわち、仮航跡の信頼度が、新航跡生成パラメータが表わす閾値を超えた場合に、その航跡を本航跡として扱う。新航跡生成パラメータ(閾値)が高いと、本航跡が生成しにくくなり、誤警報により誤った航跡を生成する確率が低くなるが、探知データから本航跡(目標情報)する時間(追尾開始)が遅くなる。一方で、新航跡生成パラメータが低いと、本航跡が生成し易くなり、追尾開始が早くなるが、誤航跡の生成確率も増加する。
追尾維持パラメータの値を上げると本航跡が削除されやすくなるが、クラッタの影響等で追尾が外れた時に、メモリトラックで間違った位置に情報を提示する時間を短くできる。一方で、追尾維持パラメータの値を下げると本航跡が削除されにくくなり、目標を長い時間継続して追尾できる利点があるが、メモリトラックが長くなる欠点がある。
これに対し、この実施の形態では、追尾諸元制御部126を設け、新航跡生成パラメータや追尾維持パラメータを変更する制御をする。
また、探知データ相関・統合部123は、新航跡生成パラメータや追尾維持パラメータを変更可能なパラメータとして管理している。このパラメータには、デフォルト設定の初期値を設定しておき、追尾諸元制御部126の指示で変更できる。
追尾諸元制御部126は、センサ制御方法決定部150が決定した追尾諸元パラメータに基づいて、探知データ相関・統合部123が相関・統合・追尾処理をするためのパラメータを制御する。
ここで、センサの探知閾値とは、探知部220a〜220cが探知データを生成する処理で参照するパラメータのことである。
目標推測数のほうが多い場合、センサ制御方法決定部150は、探知閾値を下げるセンサ制御方法を決定する。また、センサ制御方法決定部150は、新航跡生成の閾値を下げる追尾諸元パラメータを決定する。
目標推測数と、生成した本航跡の数とが等しい場合や、生成した本航跡の数のほうが多い場合、センサ制御方法決定部150は、探知データ生成の閾値を上げるセンサ制御方法を決定する。また、センサ制御方法決定部150は、新航跡生成の閾値を上げる追尾諸元パラメータを決定する。
この条件では、探知閾値を下げて、目標に対する探知データ取得の確率を上げる。同時に、新航跡生成の閾値を下げて、入力された探知データから本航跡の生成を容易にする制御を行う。これにより、追尾開始を早くすることができる。
センサを搭載したシステムでは、追尾開始により航跡情報を出力した後でのみ、目標に対する制御を実施可能になる場合が多い。追尾開始を早くすることで、センサシステム及びセンサシステムを搭載したシステム全体の能力向上が行える効果がある。
探知閾値及び新航跡生成の閾値を下げた状態では、クラッタの探知確率が高く、また、本航跡が生成されやすい状態であり、クラッタによる誤航跡を生成しやすい状態である。このため、本航跡の個数が目標推測数に到達した後は、探知閾値及び新航跡生成の閾値を上げて通常の設定値に戻す。
この制御を実施することで、本航跡が目標推測数に到達した後は、クラッタの探知確率を抑制し、かつ、新しい本航跡の生成を抑えることができ、誤航跡の発生を抑えることができる。
センサ制御方法決定部150は、目標推測数と、センサ200a〜200cから入力した探知データの数とを比較する。
目標推測数が探知データ数より多い場合、センサ制御方法決定部150は、探知データ生成の閾値を下げるセンサ制御方法を決定する。また、センサ制御方法決定部150は、新航跡生成の閾値を上げる追尾諸元制御方法を決定する。
探知データ数が目標推測数より多い場合、センサ制御方法決定部150は、探知データ生成の閾値を上げるセンサ制御方法を決定する。また、センサ制御方法決定部150は、新航跡生成の閾値を下げる追尾諸元制御方法を決定する。
目標推測数の算出方法としては、センサ200a〜200cで同時に探知した目標の個数や、目標推測数用にセンサの探知閾値を設定し、設定値を超えた目標の観測数を利用する方法がある。また、今回の制御に関与しない他のセンサが出力した対象の方位の航跡数を目標推測数に設定する方法などがある。
誘導目標の航跡の信頼度が低下し、追尾維持パラメータの閾値に近づいた場合、センサ制御方法決定部150は、追尾維持パラメータの閾値を低下させ、かつ、探知閾値も低下させる制御を決定する。
追尾維持パラメータの閾値と探知閾値とを低下させたのち、誘導目標の航跡の信頼度が高くなり、当初設定していた追尾維持パラメータの閾値より十分大きくなった場合には、センサ制御方法決定部150は、追尾維持パラメータの閾値及び探知閾値を上げて元に戻す。
そこで、誘導目標の航跡の信頼度が低下し、追尾維持パラメータの閾値に近づいた場合には、追尾維持パラメータの閾値を低下させ、本航跡を削除されにくくして、追尾の維持に努める。同時に、探知閾値も低下させて探知確率を上げ、追尾を維持するとともに、誘導目標の航跡に対する信頼度の回復を図る。
また、センサ制御方法決定部150は、データ相関・統合部120が目標の位置などの状態を推定するためのパラメータを決定することにより、状況に応じた観測が可能になる。
更に、センサ制御方法決定部150が、センサの感度を制御する制御方法と、データ相関・統合部120が目標の位置などの状態を推定するためのパラメータとを、関連づけて決定することにより、更に状況に最適な観測が可能になる。
センサ制御方法決定部150は、複数のセンサ200a〜200cがそれぞれ有する観測の閾値を制御する制御方法を決定し、決定した制御方法により制御される複数のセンサ200a〜200cの観測の閾値に基づいて、データ相関・統合部120が相関・統合するためのパラメータ(新航跡生成パラメータ・追尾維持パラメータ)を決定することを特徴とする。
データ相関・統合部120は、センサ制御方法決定部150が決定したパラメータに基づいて、複数のセンサ200a〜200cから入力した複数の観測データを相関・統合することを特徴とする。
以上説明したマルチセンサ制御システム100は、センサの閾値と、追尾処理のパラメータを同時に制御可能である。
実施の形態8について、図19を用いて説明する。
なお、実施の形態1で説明した観測システム800の機能ブロックと共通するブロックについては、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
情報送受信部127は、通信装置915を用いて、他の観測システム800や基地局との間でデータの送受信をする。
あるいは、情報送受信部127は、センサ200a〜200cが出力した探知データを入力し、他の観測システム800や基地局に対して送信する。
あるいは、情報送受信部127は、目標情報管理部124が管理する目標情報のうち、探知データ相関・統合部123が生成した目標情報を入力し、他の観測システム800や基地局に対して送信する。
あるいは、情報送受信部127は、基地局が決定したセンサ制御方法を表わす情報を受信してもよい。その場合、情報送受信部127が受信したセンサ制御方法を表わす情報を、センサ制御方法決定部150が入力する。センサ制御方法決定部150は、情報送受信部127がセンサ制御方法を受信した場合には、基地局の指示にしたがってセンサ制御方法を決定し、情報送受信部127がセンサ制御方法を受信しなかった場合には、独自にセンサ制御方法を決定する。
Claims (7)
- データ相関・統合部と、センサ情報設定・管理部と、運用レベル設定・管理部と、制御ルール設定・管理部と、センサ制御方法決定部と、制御コマンド発行部とを有し、
上記データ相関・統合部は、複数のセンサから目標物の観測データを入力し、入力した複数の観測データを相関・統合して目標情報を生成し、
上記センサ情報設定・管理部は、上記複数のセンサの能力及び実施可能な制御を表わす情報を記憶し、
上記運用レベル設定・管理部は、運用要求を基準に必要な観測精度を求めるための判断条件を表わす情報を記憶し、
上記制御ルール設定・管理部は、上記複数のセンサの制御方法を決定するためのルールを表わす情報を記憶し、
上記センサ制御方法決定部は、上記データ相関・統合部が生成した目標情報と、上記センサ情報設定・管理部が記憶した上記複数のセンサの能力及び実施可能な制御を表わす情報と、上記運用レベル設定・管理部が記憶した上記判断条件を表わす情報と、上記制御ルール設定・管理部が記憶した上記複数のセンサの制御方法を決定するためのルールとに基づいて、上記複数のセンサの制御方法を決定し、
上記制御コマンド発行部は、上記センサ制御方法決定部が決定した制御方法に基づいて、上記複数のセンサに対して、センサ制御コマンドを出力する
ことを特徴とするマルチセンサ制御システム。 - 上記マルチセンサ制御システムは、更に、電波放射量記録部を有し、
上記電波放射量記録部は、放射した電波の量を記録し、
上記センサ制御方法決定部は、上記電波放射量記録部が記録した電波の量に基づいて、上記複数のセンサの制御方法を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサ制御システム。 - 上記マルチセンサ制御システムは、更に、センサ制御記録部を有し、
上記センサ制御記録部は、上記センサ制御方法決定部が決定した上記複数のセンサの制御方法を記録し、
上記センサ制御方法決定部は、上記センサ制御記録部が記録した過去の制御方法に基づいて、上記複数のセンサの制御方法を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサ制御システム。 - 上記制御ルール設定・管理部は、上記複数のセンサの時系列の制御方法を決定するためのルー路を表わす情報を記憶し、
上記センサ制御方法決定部は、上記制御ルール設定・管理部が記憶した上記複数のセンサの時系列の制御方法を決定するためのルールに基づいて、上記複数のセンサの制御方法を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサ制御システム。 - 上記マルチセンサ制御システムは、更に、移動体位置姿勢管理部を有し、
上記移動体位置姿勢管理部は、上記複数のセンサが設置された移動体の位置及び速度及び姿勢を表わす情報を取得し、
上記センサ制御方法決定部は、上記移動体位置姿勢管理部が取得した上記移動体の位置及び速度及び姿勢を表わす情報に基づいて、上記複数のセンサの制御方法を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサ制御システム。 - 上記マルチセンサ制御システムは、更に、観測状況判定部を有し、
上記観測状況判定部は、上記複数のセンサによる観測状況を判定し、
上記センサ制御方法決定部は、上記観測状況判定部が判定した判定結果に基づいて、観測が有利になるように、上記複数のセンサの制御方法を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサ制御システム。 - 上記センサ制御方法決定部は、上記複数のセンサがそれぞれ有する観測の閾値を制御する制御方法を決定し、決定した制御方法により制御される複数のセンサの観測の閾値に基づいて、上記データ相関・統合部が相関・統合するためのパラメータを決定し、
上記データ相関・統合部は、上記センサ制御方法決定部が決定したパラメータに基づいて、上記複数のセンサから入力した複数の観測データを相関・統合する
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサ制御システム。
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