JP2008185347A - フードデント性能評価方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 3次元CAD設計データに基づき所定箇所に所定の静荷重を加える場合のCAE解析を行い付加荷重とこれによって生ずる該フードの歪みとを解析する解析工程(S0乃至S2)と、CAE解析によって得られた付加荷重と該フードの変形とから飛び移り座屈の有無を判断する座屈判断工程(S3)と、飛び移り座屈が有ったと判断した場合に予め定める目標荷重と座屈現象が発生した座屈荷重とを比較し座屈荷重が目標荷重以上であれば合格と判定する飛び移り座屈判定工程(S4)と、飛び移り座屈が無かったと判断した場合に予め定める主歪みの目標歪み量と最大主歪み量とを比較し最大主歪み量が目標歪み量以下の場合には合格と判定する主歪み判定工程(S5)とからなる。
【選択図】 図1
Description
他方でエンジンフードは、人が手を付いたり或は多少の衝撃ではへこみや変形が起こらないような剛性が必要であり、高いデント性能が必要とされる。
これら静閑力性能・歩行者保護性能とデント性能とは相反する性能であり、これらを満足させるためにはエンジンフードの性能予測が欠かせない。
以下詳細に説明する。エンジンフードのデント性能は、エンジンフードの材質、板厚、ロックリンフォースとアウタパネルとの間に施したマスチック点の数、ロックリンフォースとアウタパネルとの間に施したマスチック点のピッチ(間隔)、ロックリンフォースの幅、アウタパネルの曲率半径、エンジンフードの断面形状、のそれぞれを比較して被検体であるエンジンフードのフードデント性能を予測していた。エンジンフードの材質および板厚は、エンジンフードのフードデント性能を予測する上で大きなファクタをしめる。また、ロックリンフォースとアウタパネルとの間に施したマスチック点数は、アウタパネルとロックリンフォースとの固着強度に関わり、マスチック点数が多いほどフードデント性能が良いものと予測できる。同様にマスチックを施したマスチック点間のピッチもアウタパネルとロックリンフォースとの固着強度に関わり、ピッチが狭いほどフードデント性能がよいものと予測される。また、ロックリンフォース幅は、ロックリンフォース相互の間隔であり、幅が大きいほど機械的性能は劣るので幅が狭いほどフードデント性能が良いと予測できる。また、アウタパネルの曲率半径が小さいほど外部からの衝撃等による外圧に対して強くフードデント性能がよいものと予測できる。
同図では、被検体であるエンジンフードをフードAとし、既に市場に出回っており市場適合性が認められているとする現行車種のエンジンフードを比較対象としてフードB乃至フードDとしている。
また、図6(a)に表すロックリンフォースのマスチック点数では、被検体であるフードAが5点でマスチックしてアウタパネルとロックリンフォースとを止めているのに対し、フードBでは7点で、フードCでは10点でマスチックが施されている。また、該マスチック相互のピッチは、被検体であるフードAでは140(mm)であるのに対し、フードBでは該ピッチが70(mm)、フードCでは91(mm)であり、被検体であるフードAは比較対象であるフードB、Cに対してピッチが広くフードデント性能が劣るものと判断される。
また、ロックリンフォース幅では、フードAが600(mm)であるのに対し、比較対象であるフードB乃至フードDでは、330(mm)、400(mm)、400(mm)とフードAより狭いので、フードAは比較対象に比してフードデント性能が劣るものと判断される。
更に、図6(b)に表す各断面線で表されるエンジンフードの断面形状が図6(c)で表されるが、A−A線断面では曲率にさほどの違いは見られないもののフードBに対しフードAでは同図中下方の厚みが薄くフードBに対してフードAのフードデント性能が劣っていることが伺え、更にB−B線断面ではフードAが両端部で薄くなっているのに対しフードBでは両端部においても厚みがあり、フードBに対してフードAのフードデント性能が劣っていることが伺える。
これらの結果、フードAは比較対象に対してフードデント性能が劣っており、市場適合に疑問が持たれると判断される。
また、従来の車両横並びによるフードデント性能の性能予測では、被検体であるフードAが現行の車種であり市場に出回っていて特に市場適合性に問題が無いとする他車種のエンジンフードと比較し、材質、板厚、ロックリンフォースとアウタパネルとの間に施したマスチック点の数、ロックリンフォースとアウタパネルとの間に施したマスチック点のピッチ(間隔)、ロックリンフォースの幅、アウタパネルの曲率半径、エンジンフードの断面形状、のそれぞれにおいて劣っているか否かの比較がなされるのみであり、フードAの定量的なフードデント性能を見ることができないという問題点を有した。
即ち、従来の方法では、比較対象であるフードデントに対して被検体であるフードAが劣っているとフードデント性能が適正でないと判断せざるを得ないが、実際の機械的強度等ではフードデント性能が市場適合しているにも拘らず適正でないと判断されてしまい、精度の高い予測が不可能であるという問題点を有した。
CAE解析によって得られた付加荷重と該フードの変形とから飛び移り座屈の有無を判断する座屈判断工程と、
座屈判断工程で飛び移り座屈が有ったと判断した場合に実行され、予め定める目標荷重と座屈現象が発生した座屈荷重とを比較し、座屈荷重が目標荷重以上であれば合格と判定しそれ以外は不合格であると判定する飛び移り座屈判定工程と、
座屈判断工程で飛び移り座屈が無かったと判断した場合に実行され、予め定める主歪みの目標歪み量とCAE解析による最大主歪み量とを比較し、最大主歪み量が目標歪み量以下の場合には合格と判定しそれ以外は不合格であると判断する主歪み判定工程と、
からなることを特徴とするフードデント性能評価方法、
座屈判断工程では、解析工程において求められた荷重および該荷重に対するエンジンフードの変形量とから、飛び移り座屈の発生があったか否かを判断する。この判断は、飛び移り座屈が荷重の減少に対してフード変形量の増加を続けることから判断される。
座屈判断工程で飛び移り座屈有りと判断された場合には飛び移り座屈判定工程によって該飛び移り座屈の発生が、予め定める目標荷重以上発生している場合には合格と判定し、それ以外は不合格と判定する。飛び移り座屈判定工程における目標荷重は飛び移り座屈に対する耐荷重といえる。
座屈判断工程で飛び移り座屈無しと判断された場合には、主歪み判定工程によって発生した主歪みの量と予め定める主歪みの許容量である目標歪みとが比較され、最大歪み量が目標歪み量以下の場合には合格と判定し、それ以外の場合には不合格と判定する。
座屈判断工程で飛び移り座屈が有ったと判断した場合には続いて飛び移り座屈判定工程が実行される。飛び移り座屈判定工程では、予め定める目標荷重と座屈現象が発生した座屈荷重とを比較し、座屈荷重が目標荷重以上であれば合格と判定しそれ以外は不合格であると判定する。
座屈判断工程で飛び移り座屈が無かったと判断した場合には続いて主歪み判定工程が実行される。主歪み判定工程では、予め定める主歪みの目標歪み量とCAE解析による最大主歪み量とを比較し、最大主歪み量が目標歪み量以下の場合には合格と判定しそれ以外は不合格であると判定する。
図2に表すエンジンフード1は、CADによる3次元設計図であり、該設計データはコンピュータ(図示せず)の外部記憶装置(図示せず)上に記憶されている。また、該設計データにはそれぞれの部品が設計データ上の部品に関連付けて記憶されており、例えばアウタパネル11は厚さ0.65(mm)のSCGA340BHで表される鋼板で形成されているというようにデータ化されている。
他方、前記外部記憶装置(図示せず)には、エンジンフード1を構成する各部品材料の機械的強度が、その部品材料に対応して記憶されている。例えばSCGA340BHで表す鋼板の引張強度等のデータや、マスチック15であれば超弾性ソリッド要素を使用し実測値に基づいたデータを記憶している。
これらのデータは、図5に表すように、外部記憶装置であるハードディスクHDDに記憶されており、ハードディスクHDDと接続される中央演算処理装置CPUを含む処理装置COMによって演算処理されCAE解析がなされる。尚、処理装置COMには中央演算処理装置CPUの他に入出力インターフェースを介して入出力装置等が接続されておりメモリやその他の一般的なコンピュータが備える装置が接続され処理されるが、一般的なコンピュータの操作と何ら代りはないので詳細は省略する。
そしてCADで作図された設計図の設計データ上に前記各メッシュサイズのメッシュを施して設計された部品を小領域に分割して分析モデルデータをハードディスクHDDに記憶する。
即ち、S0では、これらのデータに基づくエンジンフードモデルの作成が行われる。モデル作成工程S0では、通常一般的に行われている3次元CADによる設計なので詳細は省略する。モデル作成工程S0では、既に作成され外部記憶装置であるハードディスクHDDに記憶されている3次元設計図を中央演算処理装置CPUが呼び出すと共に、アウタパネル11全体のメッシュサイズ、フードデント先端部分11aのメッシュサイズ、アウタパネル周辺11bのメッシュサイズに基づき、該3次元設計図をこれらメッシュサイズに細分化し、細分化されたデータを領域データとしてそれぞれ該領域が3次元設計図中の部位と対応させてハードディスクHDDに記憶する。更にモデル作成工程S0では、細分化された各領域に対して、該領域を構成する素材や素材の機械的強度等のデータを、該領域に対応させてハードディスクHDDに記憶する。
従って、ハードディスクHDDにはモデル作成工程S0によって細分化された各領域毎に、該領域を構成する素材の種類、サイズ、機械的強度等のデータが該領域対応されて領域データとして記憶されることとなる。尚、CAE解析に先立ち、ハードディスクHDDにはエンジンフード1を構成するアウタパネル11、インナパネル12、デントリンフォース13、ロックリンフォース14、および、マスチック15等の各材料に関する機械的強度等のCAE解析に用いる基礎データが各材料に対応してハードディスクHDDに記憶されている。
そして計算実行工程S1を行うに当たり、中央演算処理装置CPUでは、前記各部材の基礎データと前記モデル作成工程S0で行ったエンジンフード1の設計データとから得た領域データを元に、前記試験治具Gを所定の条件で位置Tに仮想的に作用させCAE解析を行う。即ち、仮想的に試験治具Gに0(kg)から予め定める静荷重を順次加えていき、順次加える各荷重毎に各領域の領域データを算出し、エンジンフード1のその時の荷重作用時の領域データとしてハードディスクHDDに記憶する。この作業を0(kg)から予め定める静荷重まで順次繰り返し行い、各領域領域データから各荷重作用時におけるエンジンフード1の変形データを算出してハードディスクHDDへ記憶させる。
尚、エンジンフード1のCAE解析に当たっては、ロックR位置で自動車ボディーとロックされ且つストッパゴムSG位置で自動車ボディーに支持された状態として解析を行う。このロック位置および支持位置も予め解析に用いるデータとして記憶されている。
このように、解析工程としてモデル作成工程S0乃至解析結果出力工程S2が各処理を行う。
そして、現象判断工程S3では、ハードディスクHDDから各領域の静荷重作用前後の領域データを連続的に比較して座屈現象の有無を判断し、有りあるいは無しの判断結果を出力し、バッファメモリ(図示せず)等に記憶しておく。この時、飛び移り座屈現象があった場合には該現象の出現した際の飛び移り出現荷重も記憶する。
更に、解析結果出力工程S2では、仮想的に試験治具Gが負荷をかけていないときの各領域データと予め定める静荷重(最大負荷荷重)を加えたときの各領域データとを比較しその結果からエンジンフード1全体の歪み量を算出し、予め定める静荷重(最大負荷荷重)を加えた際のエンジンフード1の最大歪み量としてバッファメモリ(図示せず)等に記憶しておく。
座屈判定工程S4は、荷重の作用により出現した飛び移り座屈現象が予め定める負荷荷重目標値以内で出現したか否かを判断する。負荷荷重目標値は、予め定めて記憶されており、フードデント性能評価を行うプログラムソフト読み込み時に処理装置COMに読み込まれて記憶されている。座屈判定工程S4では、予め記憶されている負荷荷重目標値を記憶されている手段(例えばバッファメモリ)から読み込むと共に、解析結果出力工程S2で記憶した飛び移り出現荷重を記憶した手段(例えばバッファメモリ)から飛び移り出現荷重を読み込み、負荷荷重目標値と飛び移り出現荷重とを比較する。そして、飛び移り出現荷重が負荷荷重目標値以下であれば合格であると判定し、それ以外は不合格であると判定し、その判定結果をする。
尚、この実施例では、飛び移り出現荷重の算出記憶および最大歪み量の算出記憶を現象判断工程S3で行うが、これらの算出を解析結果出力工程S2あるいは計算実行工程S1で行っても良く、各工程における作用は適宜変更可能である。
S1 計算実行工程
S2 解析結果出力工程
S3 現象判断工程
S4 座屈判定工程
S5 主歪み判定工程
S6 合格出力工程
S7 不合格出力工程
1 エンジンフード
11 アウタパネル
11a フードデント先端部分
11b アウタパネル周辺
12 インナパネル
13 デントリンフォース
14 ロックリンフォース
15 マスチック
Claims (1)
- 3次元CAD上で設計したエンジンフードに対し該フードの所定箇所に所定の静荷重を加える場合のCAE解析を行い付加荷重とこれによって生ずる該フードの歪みとを解析する解析工程と、
CAE解析によって得られた付加荷重と該フードの変形とから飛び移り座屈の有無を判断する座屈判断工程と、
座屈判断工程で飛び移り座屈が有ったと判断した場合に実行され、予め定める目標荷重と座屈現象が発生した座屈荷重とを比較し、座屈荷重が目標荷重以上であれば合格と判定しそれ以外は不合格であると判定する飛び移り座屈判定工程と、
座屈判断工程で飛び移り座屈が無かったと判断した場合に実行され、予め定める主歪みの目標歪み量とCAE解析による最大主歪み量とを比較し、最大主歪み量が目標歪み量以下の場合には合格と判定しそれ以外は不合格であると判定する主歪み判定工程と、
からなることを特徴とするフードデント性能評価方法。
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