JP2008184477A - ポリ乳酸系可塑剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
ラクチドとポリエーテルグリコールとの重合反応によってポリ乳酸系可塑剤を製造するに際し、生産性よく、耐加水分解性、長期貯蔵時の品質安定性が良好で、かつ、ポリ乳酸との相溶性に優れたポリ乳酸系可塑剤を提供する。
【解決手段】
ラクチドとポリエーテルグリコールとからポリ乳酸系可塑剤を製造するに際し、触媒存在下、101.3kPaを超え、304.0kPa以下の範囲内の圧力で重合反応させた後、触媒失活剤を添加することを特徴とするポリ乳酸系可塑剤の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ラクチドとポリエーテルグリコールの重合反応によって得られるポリ乳酸系可塑剤の製造方法に関するものである。詳しくは、重合反応中のラクチドの昇華を抑制することができ、生産性が向上したポリ乳酸系可塑剤の製造方法である。本発明の製造方法によって得られるポリ乳酸可塑剤は、ラクチド含有量が極めて少なく、耐加水分解性、長期貯蔵時の品質安定性に優れ、ポリ乳酸との相溶性も良好であるので、ポリ乳酸用として好適に用いることができる。本発明の製造方法から得られるポリ乳酸系可塑剤をポリ乳酸に配合することで、フィルム、シートなどの成形加工品の柔軟性、耐衝撃性が向上し、得られるフィルム、シートは包装用ラップフィルム、レジ袋、農業用マルチシートなどの用途に好適に使用することができる。
近年、環境問題等から、植物由来成分を原料とし、酵素や微生物で分解される生分解性を有するプラスチックを広く活用しようという研究が盛んに行われている。その中でも、最近、特に積極的な研究開発が行われている生分解性の脂肪族ポリエステルとして、ポリ乳酸が挙げられる。
ポリ乳酸は、トウモロコシや芋類などから得られるでんぷんなどを原料として乳酸を製造し、この乳酸をモノマーとする重合体である。ポリ乳酸は、脂肪族ポリエステルの中でも機械的物性や耐熱性、透明性に優れているため、フィルム、シート、テープ、繊維、不織布、容器などの各種成型品を目的とした開発が行われている。しかしながら、ポリ乳酸は本来硬質な樹脂であるため、成形加工品の柔軟性が包装用フィルムなどの用途によっては十分でなく、可塑剤の添加による柔軟化技術が検討されてきた。
例えば、特許文献1には乳酸や線状の乳酸オリゴマーまたは環状の乳酸オリゴマーをポリ乳酸に配合し柔軟性を向上させる技術が開示されている。特許文献2にはポリ乳酸とポリアルキレンエーテルの共重合体中に、ポリアルキレンエーテルを主成分とする可塑剤を混合することによって、組成物の柔軟性を改善する技術が開示されている。
しかしながら、これらポリ乳酸のオリゴマーまたはポリ乳酸とその他のポリマーとの共重合体の可塑剤は、概して、可塑剤中に残存した原料のラクチドが原因となって、成形加工時の熱安定性が低く、また成形加工品は、通常の使用条件下において容易に加水分解される。そのため、このような組成物からフィルムなどの成型品を製造すると、比較的短時間に強度が落ちて、成型品の実用面で問題となる場合があった。
これは、ポリマー中にラクチドが重合反応後も残存することによる。ラクチドを原料とする開環付加重合によるポリ乳酸合成法は、ラクチドの開環付加−環化の平衡反応であるため、ラクチドのポリマーへの転化率が100%に到達することはなく、重合反応終了後もラクチドが数%残存する。ポリマー中に残存したラクチドは、大気中の水分により加水分解し、乳酸となり、ポリマー鎖を切断し、成形加工品を劣化させる。
そのため、ポリ乳酸またはポリ乳酸とその他のモノマーとの共重合体などの乳酸系ポリマーでは残留ラクチド量を低減するため、乳酸系ポリマーからラクチドを除去する方法が検討されている。例えば、特許文献3には二軸押出機によってポリマーを加熱溶融させながら減圧下にラクチドおよび低重合体を除去する方法が、特許文献4には減圧下のポット内に溶融ポリマーを連続的に押出し、ラクチドと低重合体を除去する方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法では、ポリマー中に重合触媒が活性なまま残存しているため、一度減圧、加熱下でラクチドを除いても、成形加工の際にポリマーを再溶融するとラクチドの生成反応によって、ポリマー中のラクチドが増加してしまうという問題があった。
特許文献5にはジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルとポリ乳酸の共重合ポリマーの製造方法について記載されており、アルキルホスフェート及び/又はアルキルホスホネートを添加することによって重合触媒を失活させて、減圧下ラクチドを除去する方法が開示されている。しかし、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルとポリ乳酸との共重合体ではポリ乳酸との相溶性が十分ではなかった。また、アルキルホスフェートとアルキルホスホネートでは、触媒との失活反応が十分ではなく、反応系内を減圧とすることによって製造直後のラクチド含有量は一時的には減少させることができるが、ポリマー再溶融時にラクチドの生成反応によってポリマー中のラクチドが増加し、得られるポリエステルとポリ乳酸との共重合体の耐加水分解性は満足のいくものではなかった。
特許文献6にも、ジカルボン酸成分及びジオール成分から成るポリエステルと、乳酸系ポリエステルに、キレート剤及び酸性リン酸エステル類とを、溶融混練することによって乳酸系ポリエステルの重合時に用いた重合触媒を失活させる方法が開示されている。しかし、キレート剤及び酸性リン酸エステル類は、乳酸系ポリエステルの重合触媒に対してだけでなく、ジカルボン酸成分及びジオール成分から成るポリエステルの重合触媒に対しても作用するため、失活が不十分となる場合があった。そのため、減圧によって製造直後のラクチド含有量は減少させることができるが、再溶融時にラクチドが再生し、得られる成形体の耐加水分解性において、十分でない場合があった。
さらには、これらポリ乳酸のオリゴマーまたはポリ乳酸とその他のポリマーとの共重合体の製造においては、原料のラクチドの取扱いが課題であった。原料のラクチドは昇華性の化合物であり、融点(95℃)以上で不活性ガス下加熱すると、溶融して液状となるのと同時に一部が昇華する。重合反応進行中に原料のラクチドは昇華により反応系外に放出されてしまうため、重合反応の収率が低くなったり、昇華したラクチドが重合反応缶上や減圧ラインの配管へ付着し、生産性が低下するという問題があった。
特開平6−306264号公報 特開平8−199052号公報 欧州特許第532154号公報 特開平5−93050号公報 特開平8−301993号公報 特開平9−104809号公報
本発明の目的は、前記した従来技術の問題点を解決することにあり、ラクチド含有量が極めて少なく、耐加水分解性、長期貯蔵時の品質安定性に優れ、かつ、ポリ乳酸との相溶性も良好な、生産性のよい、ラクチドとポリエーテルグリコールの重合反応によって得られるポリ乳酸系可塑剤の製造方法を提供することである。
前記した、本発明の課題は、ラクチドとポリエーテルグリコールとからポリ乳酸系可塑剤を製造するに際し、触媒存在下、101.3kPaを超え、304.0kPa以下の範囲内の圧力で重合反応させた後、触媒失活剤を添加することを特徴とするポリ乳酸系可塑剤の製造方法によって達成できる。
本発明はラクチドとポリエーテルグリコールとの重合反応によってポリ乳酸系可塑剤を製造するに際し、触媒存在下、特定範囲内の圧力で重合反応を行った後、触媒失活剤を添加することによって、重合反応中のラクチドの昇華を抑制し、生産性よく、かつ、ラクチドの再生が抑制されるため、ラクチド含有量が極めて少なく、耐加水分解性、長期貯蔵時の品質安定性に優れたポリ乳酸系可塑剤を得ることができる。さらに、本発明の製造方法によって得られるポリ乳酸系可塑剤はポリ乳酸との相溶性に優れ、ポリ乳酸用の可塑剤として好適に用いることができる。本発明の製造方法によって得られるポリ乳酸系可塑剤をポリ乳酸に配合することで、汎用樹脂に使用されている既存装置を用いて、押出成形、射出成形、インフレーション成形、積層成形、プレス成形等の種々の方法によりシート、フィルム、容器などに成形加工を行うことが可能である。得られる成形加工品は柔軟性、耐衝撃性が優れているため、従来以上に広い分野での利用が可能となる。具体的な用途としては、例えばフィルム用途としては、ゴミ袋、レジ袋、一般規格袋等の袋類、農業用、食品用、工業用、繊維用、雑貨等の包装材用途や、結束テープ、農業用マルチフィルム等、またシート、射出成形用途としては、農業用、食品用、工業用シートをはじめ、トレー、日曜雑貨、食品容器、苗木ポット、産業資材、工業用品等として有用である。
本発明における可塑剤は、ラクチドとポリエーテルグリコールとの重合反応によって製造されるポリ乳酸系の可塑剤である。本発明のラクチドは乳酸の環状二量体であり、さらに乳酸にはL−乳酸とD−乳酸の光学異性体が存在し、その環状二量体であるラクチドもD−ラクチド、L−ラクチド、メソ−ラクチドの光学異性体が存在するが、本発明におけるラクチドの光学異性体の純度は特に限定されない。本発明のポリ乳酸系可塑剤はラクチドの光学異性体の純度を調整することによって、得られるポリ乳酸系可塑剤の融点や結晶化温度などの樹脂特性をコントロールすることができる。ポリ乳酸系可塑剤の高融点化、高結晶性付与、あるいは、ポリ乳酸との相溶性の点から、使用するラクチドは、L−ラクチドを75%重量以上を含むものが好ましく、より好ましくは、90重量%以上である。
本発明におけるポリエーテルグリコールは、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、またはこれらのブロック共重合体等を挙げることができる。上記したポリエーテルグリコール成分は、一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中で、ポリ乳酸との相溶性、得られる成形加工品の柔軟性、耐衝撃性の点から、ポリエチレングリコールが特に好ましい。
ポリエーテルグリコールの数平均分子量は特に限定されないが、ポリ乳酸系可塑剤をポリ乳酸の可塑剤として使用した場合の成型品の柔軟性、耐加水分解性の点から2000〜20000であることが好ましく、より好ましくは5000〜10000である。数平均分子量が2000未満であると耐加水分解性が低下する場合があり、数平均分子量が20000を超えると柔軟性に劣る場合がある。
このようなポリエーテルグリコールの添加量は、ポリ乳酸との相溶性、柔軟性の点から、得られるポリ乳酸系可塑剤に対して5〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは40〜60重量%である。5重量%未満では耐衝撃性や柔軟性が十分でないことがあったり、80重量%以上を超えると、ポリ乳酸との相溶性、ポリ乳酸系可塑剤の生分解性が低下したりする場合がある。
本発明の製造方法のラクチドおよびポリエーテルグリコールの含有水分率は特に限定されないが、重合反応率向上の点から、ラクチドまたはポリエーテルグリコールの少なくともどちらか一方が水分率3000ppm以下であることが好ましい。より好ましくはラクチドおよびポリエーテルグリコールともに3000ppm以下であり、さらに好ましくはラクチドおよびポリエーテルグリコールともに2000ppmである。ラクチドおよびポリエーテルグリコールの水分率が3000ppmを超えると、重合触媒の一部が失活するため重合反応の進行が妨げられたり、ラクチドの一部が加水分解して乳酸になり、得られるポリ乳酸系可塑剤の分子量が低下する場合がある。
本発明のラクチドとポリエーテルグリコールの重合反応は、重合触媒の存在下で行う必要がある。重合触媒としては、特に限定されないが、例えば、錫、亜鉛、鉛、チタン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム、コバルト等の誘導体を挙げることができ、誘導体としては、金属有機化合物、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物などが挙げられる。重合反応によって得られるポリ乳酸系可塑剤の高分子量化や色調が良好であるなどの点から、好ましくは、アルキル酸スズ、塩化錫、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩化チタン、チタニウムアルコキサイド、酸化ゲルマニウムアルコキサイド、ジルコニウムアルコキサイドであり、なかでもアルキル酸スズが好ましく、さらに好ましくはオクチル酸スズである。
本発明の重合触媒の添加量は、重合反応性の点から得られるポリ乳酸系可塑剤に対して0.005〜0.5重量%が好ましい。0.005%未満であると、重合反応速度が遅く、高分子量のポリ乳酸系可塑剤を得ることができない場合がある。一方、0.5%を超えると、重合反応と併行してポリマーの分解反応が促進されるため、得られるポリ乳酸系可塑剤の色調が悪化したり、耐加水分解性が低下する場合がある。より好ましくは、重合反応速度、反応率の点から0.02〜0.3重量%である。
本発明では、ラクチドおよびポリエーテルグリコールを触媒存在下、101.3kPaを超え、304.0kPa以下の圧力で重合反応する必要がある。但し、ここでいう重合反応とは、ラクチドおよびポリエーテルグリコールに重合触媒を添加した後から、触媒失活剤を添加する前までをいう。
重合反応の圧力が101.3kPa以下であると、重合反応中にラクチドが連続的に昇華する。ラクチドは非常に昇華性の高い化合物であり、常圧で例えば110℃に加熱すると、昇華によって、2時間で約8%、3時間で約10%が反応系から失われる。ラクチドが昇華することによって、重合反応の収率が低下するだけでなく、昇華したラクチドは、重合反応缶の壁面や重合反応缶と真空ポンプ、コンデンサーをつなぐ配管などに付着するため、重合反応後に行う減圧下でのポリマーからのラクチドおよび低分子量体の除去の効率を低下させ、ポリ乳酸系可塑剤中のラクチド量を低減することができない。重合反応時の圧力は101.3kPaを超え304.0kPa以下の範囲内であれば、一定としても良いし、変動させてもよいが、重合反応の収率や得られるポリ乳酸系可塑剤の耐加水分解性の点から、重合反応時の圧力は、重合反応温度におけるラクチドの蒸気圧より高いことが好ましく、具体的には101.3kPaを超え250.0kPa以下の範囲内が好ましい。さらに好ましくは、101.3kPaを超え160.0kPa以下である。
重合反応温度は特に限定されないが、重合反応性や得られるポリ乳酸系可塑剤の耐加水分解性の点から、100〜180℃が好ましい。より好ましくは、熱劣化による分子量低下抑制の点から、145〜170℃である。180℃を超えると、ラクチドの重合−環化の平衡が環化側に偏り、ラクチドの平衡濃度が著しく高くなり、得られるポリ乳酸可塑剤の耐加水分解性、長期貯蔵時の品質安定性が低下することがある。ラクチドおよびポリエーテルグリコールの加水分解、重合反応触媒の失活を抑制するため、重合反応中の雰囲気は乾燥した不活性ガスが好ましく、特に窒素、アルゴンガスによって加圧条件とすることが好ましい。重合反応時間は特に限定されないが、ポリ乳酸系可塑剤の分子量やポリ乳酸との相溶性の点から1〜10時間が好ましい。
本発明の製造方法においては、重合触媒の活性を低減させる触媒失活剤を用いる必要がある。触媒失活剤の種類は、重合触媒により変化し、特に限定されないが、リン化合物、カルボン酸およびその誘導体、硫酸およびその誘導体、硝酸およびその誘導体などを挙げることができる。なかでも、重合触媒との反応性と得られるポリ乳酸系可塑剤の耐熱性やラクチド再生の抑制の点から、リン化合物が好ましく、より好ましくはリン酸、及びこれらのエステル類や無機金属塩が好ましい。具体的な構造としては、リン酸、亜リン酸、モノメチルホスフェート、ジメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、ジエチルホスフェート、モノプロピルホスフェート、ジプロピルホスフェート、モノイソプロピルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノペンチルホスフェート、ジペンチルホスフェート、モノヘキシルホスフェート、ジヘキシルホスフェート、モノオクチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、モノエチルヘキシルホスフェート、ジエチルヘキシルホスフェート、モノデシルホスフェート、ジデシルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェート、モノウンデシルホスフェート、ジウンデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、ジドデシルホスフェート、モノテトラデシルホスフェート、ジテトラデシルホスフェート、モノヘキサデシルホスフェート、ジヘキサデシルホスフェート、モノオクタデシルホスフェート、ジオクタデシルホスフェート、モノフェニルホスフェート、ジフェニルホスフェート、モノベンジルホスフェート、ジベンジルホスフェート、モノメチルメチルホスホネート、モノエチルエチルホスホネート、モノプロピルプロピルホスホネート、モノイソプロピルイソプロピルホスホネート、モノブチルブチルホスホネート、モノペンチルペンチルホスホネート、モノヘキシルヘキシルホスホネート、モノオクチルオクチルホスホネート、モノエチルヘキシルエチルヘキシルホスホネート、モノデシルデシルホスホネート、モノイソデシルイソデシルホスホネート、モノウンデシルウンデシルホスホネート、モノドデシルドデシルホスホネート、モノテトラデシルテトラデシルホスホネート、モノヘキサデシルヘキサデシルホスホネート、モノオクタデシルオクタデシルホスホネート、モノフェニルフェニルホスホネート、モノベンジルベンジルホスホネート、ジメチルホスホネート、ジエチルホスホネート、ジプロピルホスホネート、ジイソプロピルホスホネート、ジブチルホスホネート、ジペンチルホスホネート、ジヘキシルホスホネート、ジオクチルホスホネート、ジエチルヘキシルホスホネート、ジデシルホスホネート、ジイソデシルホスホネート、ジウンデシルホスホネート、ジドデシルホスホネート、ジテトラデシルホスホネート、ジヘキサデシルホスホネート、ジオクタデシルホスホネート、ジフェニルホスホネート、ジベンジルホスホネート、およびこれらの無機金属塩が挙げられる。これらは1種のみで用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、ポリ乳酸系可塑剤の耐熱性やラクチド抑制の効果の点から、リン酸もしくは亜リン酸がさらに好ましく、特に好ましくは、ポリ乳酸系可塑剤の耐加水分解性の点から、純度98%以上の結晶状態の高純度リン酸または高純度亜リン酸である。
本発明の触媒失活剤の添加量は特に限定されないが、反応性、耐熱性、耐加水分解性の点から、重合触媒に対して1〜20倍モルとすることが好ましい。重合触媒に対する触媒失活剤の添加量が1倍モル未満である場合、重合触媒の失活が十分でなかったり、ポリ乳酸系可塑剤の耐加水分解性が低下する場合がある。一方、20倍モルを超えると、連続的にポリ乳酸系可塑剤を製造する際に、重合反応缶内の残留物によって後続バッチの反応率が低下したりする場合がある。より好ましくは、3〜10倍モルである。
本発明における触媒失活剤を添加する温度は特に限定されないが、重合反応性や得られるポリ乳酸系可塑剤の耐加水分解性の点から、100〜190℃が好ましい。より好ましくは、熱劣化による分子量低下、ポリ乳酸系可塑剤の色調の点から、145〜170℃である。190℃を超えると、ポリ乳酸系可塑剤が熱劣化し、色調が悪化する場合がある。
触媒失活反応時間は特に限定されないが、5分〜2時間とすることがポリ乳酸系可塑剤の耐加水分解性、色調の点から好ましい。2時間を超えると、ポリ乳酸系可塑剤の色調が悪化する場合がある。
本発明の製造方法では、ポリマー中に残留したラクチドおよび低分子量体を取り除き、ポリ乳酸系可塑剤の耐加水分解性を向上させるために、触媒失活反応終了後、減圧下とすることが好ましい。減圧下でラクチドおよび低分子量体を除去する温度は特に限定されないが、ラクチドを効率的に除去し、かつ、ポリ乳酸系可塑剤の熱分解を抑制する点から、温度は140℃〜200℃が好ましい。圧力は、1.33kPa〜1.33Paが好ましく、減圧時間は30〜300分とすることが好ましい。
本発明の製造方法においては、減圧により残留ラクチドが低減されたポリ乳酸系可塑剤は、重合缶から取出し、ブロック状、シート状、ガット状、ペレット状などの目的とする形状に成形することができる。成形方法は特に限定されないが、得られたポリ乳酸系可塑剤の吸湿を避けるため、溶融状態のポリ乳酸系可塑剤を湿度・温度管理された雰囲気下に取り出し、迅速に冷却し結晶化させることが好ましい。吸湿するとポリ乳酸系可塑剤中にわずかに残存したラクチドが加水分解し、乳酸となり、ポリマーの加水分解を促進し、ポリ乳酸系可塑剤の長期貯蔵時の品質安定性が劣る場合がある。ラクチドおよびポリエーテルグリコールとの重合反応によって得られたポリ乳酸系可塑剤は、非常に吸湿性が高いため、成形時の吸湿防止管理は重要である。脱揮反応後のポリ乳酸系可塑剤を取り出す雰囲気は、相対湿度65%以下に管理されていることが好ましく、より好ましくは相対湿度50%以下である。相対湿度が65%より高くなると、ポリ乳酸系可塑剤を冷却、結晶化させる間に吸湿し、ポリ乳酸系可塑剤の貯蔵安定性が低下する場合がある。
さらに、ペレット、シート、フィルムなど目的とした形状に成形されたポリ乳酸系可塑剤は、成形時と同様に、湿度管理された雰囲気下で保存することが好ましい。
本発明の製造方法によって得られるポリ乳酸系可塑剤の数平均分子量は、特に限定されないが、8000〜20000が好ましく、ポリ乳酸との相溶性、柔軟性の点からより好ましくは10000〜15000である。数平均分子量が8000未満であると耐熱性が低下する場合がある。数平均分子量が20000を超えると柔軟性が劣る場合がある。
本発明の製造方法によって得られるポリ乳酸系可塑剤の融点は、特に限定されないが、柔軟性、成形加工性の点から、120〜180℃が好ましく、より好ましくは130〜150℃である。120℃未満であると、耐熱性に劣る場合があり、180℃以上であると、柔軟性が低下する場合がある。
本発明の製造方法によって得られるポリ乳酸系可塑剤の残留ラクチド量は、耐加水分解性、長期貯蔵時の品質安定性の点から、ポリ乳酸系可塑剤に対して3.0重量%以下にすることが好ましく、より好ましくは2.5重量%以下である。残留ラクチド量が3.0%を超えると、ポリ乳酸系可塑剤の耐加水分解性や長期貯蔵時の品質安定性が低下する場合がある。
本発明の製造方法によって得られるポリ乳酸系可塑剤は、酸価が120当量/t以下であることが好ましい。酸価は、残存したラクチドが加水分解した乳酸の量や、重合触媒に対して余剰に添加された失活剤により、増加する。酸価が120当量/tを超えると、長期貯蔵時の品質安定性が悪化する場合がある。
本発明の製造方法によって得られるポリ乳酸可塑剤の含有水分率は、耐加水分解性、長期貯蔵時の品質安定性の点から、5000ppm以下とすることが好ましく、より好ましくは2000ppm以下である。5000ppmより高くなると、長期貯蔵時の品質安定性が劣る場合がある。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
・ 収率
重合反応缶から取り出したポリ乳酸系可塑剤の重量を測定し、下記式(1)から反応収率を算出した。
(ポリ乳酸系可塑剤の重量(kg))/(ラクチド、ポリエーテルグリコール、重合触媒、触媒失活剤の投入量の合計(kg))*100・・・(1)
(2)水分率
ポリエーテルグリコール、ラクチド、ポリ乳酸系可塑剤の水分率は、カールフィッシャー水分計MKC−510(京都電子工業株式会社製)を使用して、窒素下、測定温度120℃にて測定した。
(3)数平均分子量
ポリエーテルグリコールおよびポリ乳酸系可塑剤の分子量測定は、ゲルパーミエーショクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレン標準で実施した。
0.1重量%に調整したポリエーテルグリコールもしくはポリ乳酸系可塑剤のテトラヒドロフラン溶液を、カラム温度30℃のゲルパーミエーショクロマトグラフィー(島津製作所LC−10A)に注入し、RI検出によって保持時間を測定した。溶媒はテトラヒドロフランを用い、カラムは昭和電工社製SHODEX KF−806L、KF−804Lを直列接続した。測定した保持時間と、別途に測定したポリスチレン標準物質の保持時間から算出した検量線より、数平均分子量を算出した。
(4)融点
示差走査熱量分析装置(セイコー電子工業製、RDC220)を用いて測定した。ポリ乳酸系可塑剤5mgを使用して、昇温速度20℃/分で20〜200℃の条件下で測定し、吸熱ピークを融点とした。但し、吸熱ピークが複数存在する場合は、最も高温側の吸熱ピークのピーク温度を融点とした。
(5)ラクチド含有量
(a)試料液の調整
粉砕した試料約1gを秤量し、別途調整した内部標準母液(2、6−ジメチル−γ−ピロンの塩化メチレン溶液(0.1mg/ml))1mlを添加し、塩化メチレンで20mlにフィルアップし、溶解液を調整する。次に、溶解液1ml、アセトン3mlをメスフラスコに秤量し、超音波攪拌しながら、シクロヘキサンを滴下していき、フィルアップする。これによりポリ乳酸とポリエーテルグリコールからなるブロック共重合体は析出、沈殿してくるのでディスクフィルター(PTEE0.45μm)で濾過し、試料液を調整する。
(b)測定
ガスクロマトグラフ測定装置(島津製作所製、GC−17A)に(a)の試料液1μlを注入し、80℃から200℃まで昇温測度10℃/分で昇温し、測定した。
(6)酸価
中和滴定法を用いて測定した。サンプル0.2gを秤量し、クロロホルムに溶解後、指示薬(1%ブロモフェノールレッド)を数滴滴下し、0.02mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液で滴定した。オレンジ色から青に変わるまで、0.02mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液を滴定し、次式(2)を用いて酸価を算出した。
[KOHmg/g]={(A−B)×f×1/25×56.11}/W
酸価[eq/t]=[KOHmg/g]×1000/56.11・・・式(2)
A:サンプル滴定量(ml)
B:試薬ブランク滴定量(ml)
f:エタノール性水酸化カリウム溶液の力価
W:試薬採取量(g)
(7)ポリ乳酸との相溶性
ポリ乳酸系可塑剤30重量部とポリ乳酸樹脂(カーギルダウ社製:数平均分子量130000)70重量部の混合物を100℃で6時間減圧乾燥した後、シリンダー温度220℃の2軸混練押出機に供給して混練し、ペレットに成形した組成物を得た。得られた組成物を用いて、200℃の熱プレスで厚み150μmのシートに成形した。得られたシートを相対湿度65%、温度25℃で1週間保管した。保管後のシート表面(100cm)をキーエンス社製デジタルマイクロスコープVH(450倍)で観察し、10μm以上の析出物の個数を相溶性の指標とした。
○・・・析出物個数が、0〜10個
△・・・析出物個数が、11〜30個
×・・・析出物個数が、30個を超える
(8)ポリ乳酸系可塑剤の長期貯蔵時の品質安定性
ポリ乳酸系可塑剤を相対湿度65%、5℃の冷蔵庫にて1ヶ月間貯蔵した。貯蔵前後の分子量、酸価の差から品質安定性を判定した。
◎・・・貯蔵1ヶ月後の分子量低下が10%未満で、酸価の増加が10%未満。
○・・・貯蔵1ヶ月後の分子量低下が10%以上20%未満で、酸価の増加が10%以上50%未満。
×・・・貯蔵1ヶ月後の分子量低下が20%以上で、酸価の増加が50%以上。
実施例1
ポリエチレングリコール(数平均分子量:8300)59重量部を重合反応缶に添加したのち、140℃で加熱溶融し、攪拌しながら160℃、1.33kPaで90分間水分除去を行った。このときのポリエチレングリコールの水分率は850ppmであった。
その後、乾燥窒素で常圧に戻し、水分率500ppmのL−ラクチド/D−ラクチド混合物(ネイチャーワークス社製、L−ラクチド含有率95%)41重量部を添加し、ポリエーテルグリコールに混合、溶融させた。次いで、重合触媒としてオクチル酸スズ0.1重量部を添加し、反応温度160℃、反応圧力140.0kPaで重合反応を実施した。
重合反応開始3時間後を重合反応終了として、重合反応缶内圧力を常圧にし、重合反応缶内温度を160℃で高純度リン酸(純度98%以上、アルドリッチ社製)を0.1重量部添加し、乾燥窒素雰囲気下で30分攪拌し、重合触媒のオクチル酸スズの失活反応を行った。
引き続き、約10分かけて約1.33kPa以下に減圧し、その状態を維持したまま、3時間減圧にし、ラクチドおよび低重合体を除去した。次いで、反応缶を乾燥窒素で常圧に戻し、重合反応缶から相対湿度40%の雰囲気下に取出し、冷却し、結晶化させ、ペレット上に成形し、ポリ乳酸系可塑剤を得た。ポリ乳酸系可塑剤の収率は95.2%であった。
得られたポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表3に示した。数平均分子量は13500で、融点は139℃であった。ラクチドの含有量は1.8%と良好であった。水分率は1200ppm、酸価は95(eq/t)であった。
得られたポリ乳酸可塑剤30重量部とポリ乳酸樹脂(カーギルダウ社製:数平均分子量130000)70重量部の混合物を100℃で6時間減圧乾燥した後、シリンダー温度200℃でベント付き二軸押出機で混練を行ったところ、ベントへの昇華したラクチドの付着も少なく、問題なく混練できた。これを熱プレスでシートに成形後、相対湿度65%、温度25℃で1週間保管した。保管後のシート表面をマイクロスコープ(450倍)で析出物の有無を確認したところ、析出物は全く観察されなかった。またポリ乳酸系可塑剤を相対湿度65%、5℃の冷蔵庫にて1ヶ月間貯蔵した。貯蔵前後の分子量、酸価を評価したところ、貯蔵後の分子量低下、酸価の増加は10%未満であり、長期貯蔵時の品質安定性が良好であった。
実施例2
高純度リン酸を高純度亜リン酸に変更し、重合反応圧力を120kPaとする以外は実施例1と同様の方法でポリ乳酸系可塑剤を製造し、その後ポリ乳酸と混練し、シートを得た。原料組成と水分率を表1に、製造条件を表2に示した。得られたポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表3に示した。ポリ乳酸系可塑剤の収率、ラクチド含有量、水分率、酸価とも良好であり、ポリ乳酸との相溶性、長期貯蔵時の品質安定性にも優れていた。
実施例3
ポリエチレングリコール(数平均分子量:8300)を脱水処理をせずに使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリ乳酸系可塑剤を製造した。その後、得られたポリ乳酸系可塑剤とポリ乳酸を混練し、シートを成形した。ポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表3に示した。実施例1と比較して、分子量が低くなったが、酸価、ポリ乳酸との相溶性、長期貯蔵時の品質安定性も良好であった。
実施例4
ラクチドの光学純度をL−ラクチド85%、ポリエーテルグリコールとしてポリプロピレングリコール(数平均分子量15000)を使用した以外は実施例1と同様の方法で、ポリ乳酸系可塑剤を製造し、その後ポリ乳酸系可塑剤とポリ乳酸を混練し、シートを成形した。ポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表3に示した。ラクチド含有量、水分率、酸価、長期貯蔵時の品質安定性、ポリ乳酸との相溶性ともに良好であった。
実施例5
ラクチドとポリエチレングリコールの添加量比、高濃度リン酸を0.3重量%添加し、重合反応圧力を182.3kPaに変更し、重合反応缶から得られたポリ乳酸系可塑剤を相対湿度60%の雰囲気に取出し、冷却し、結晶化させた以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系可塑剤を製造した。その後、ポリ乳酸系可塑剤とポリ乳酸を混練し、シートを成形した。ポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表3に示した。ポリ乳酸系可塑剤の評価結果はいずれも良好であった。
実施例6
水分率2100ppmのラクチドおよびポリエチレングリコールを使用し、触媒失活剤としてジメチルホスフェートを0.2重量%添加し、重合反応缶から得られたポリ乳酸系可塑剤を相対湿度70%の雰囲気に取出し、冷却し、結晶化させた以外は、実施例1と同様の方法でポリ乳酸系可塑剤を得た。その後、ポリ乳酸系可塑剤とポリ乳酸を混練し、シートを成形した。ポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表3に示した。実施例1と比較して、可塑剤の分子量が低く、水分率が高くなったが、ポリ乳酸系可塑剤の評価結果はいずれも良好であった。
実施例7
触媒失活剤として高純度リン酸の代わりにリン酸水溶液(85%水溶液)を0.2重量部添加する以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系可塑剤を得た。その後、ポリ乳酸系可塑剤とポリ乳酸を混練し、シートを成形した。ポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表3に示した。実施例1と比較して、ポリ乳酸系可塑剤の分子量が低く、ラクチド含有量が高くなったが、ポリ乳酸との相溶性、長期貯蔵時の品質安定性はいずれも良好であった。
実施例8
重合触媒としてブタン酸ジルコニウム0.05重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法でポリ乳酸系可塑剤を得た。その後、ポリ乳酸系可塑剤とポリ乳酸を混練し、シートを成形した。ポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表3に示した。実施例1と比較して、ポリ乳酸系可塑剤の分子量が低くなったが、ポリ乳酸系可塑剤の評価結果はいずれも良好であった。
実施例9
ポリエチレングリコールの数平均分子量を16000、重合触媒のオクチル酸スズの添加量を0.4重量とし、重合反応圧力を182.3kPaに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリ乳酸系可塑剤を得た。その後、ポリ乳酸系可塑剤とポリ乳酸を混練し、シートを成形した。ポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表3に示した。実施例1と比較して、ラクチド含有量、酸価が高くなったが、ポリ乳酸との相溶性、長期貯蔵時の品質安定性はいずれも良好であった。
実施例10
ラクチドとポリエチレングリコールの添加量比と、重合反応圧力を300.0kPaに、重合反応温度を180℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリ乳酸系可塑剤を得た。その後、ポリ乳酸系可塑剤とポリ乳酸を混練し、シートを成形した。ポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表3に示した。ラクチド含有量、水分率、長期貯蔵時の品質安定性、ポリ乳酸との相溶性ともに良好であった。
実施例11
重合触媒としてオクチル酸スズを0.8重量%添加し、重合反応缶から得られたポリ乳酸系可塑剤を取り出す雰囲気を相対湿度50%とした以外は、実施例1と同様の方法でポリ乳酸系可塑剤を得た。その後、ポリ乳酸系可塑剤とポリ乳酸を混練し、シートを成形した。ポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表3に示した。実施例1と比較して、ポリ乳酸系可塑剤の分子量が低下したが、ラクチド含有量、水分率、長期貯蔵時の品質安定性、ポリ乳酸との相溶性ともに良好であった。
比較例1
重合反応時の圧力を常圧(101.3kPa)とした以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系可塑剤を得た。ポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表3に示した。ポリ乳酸系可塑剤の収率は73.0%であった。重合反応後に確認したところ、重合反応装置内にはラクチド昇華物が多数付着していた。ポリ乳酸系可塑剤のラクチド含有量は4.0%であった。長期貯蔵時の品質安定性も劣っていた。得られたポリ乳酸系可塑剤30重量部とポリ乳酸70重量部とをベント付き二軸押出機で混練したところ、混練することはできたが、ベント上部にラクチドと思われる昇華物が析出した。これを熱プレスでシートに成形後、相対湿度65%、温度25℃で1週間保管した。保管後のシート表面をマイクロスコープ(450倍)での析出物の有無を確認したところ、析出物を多数確認した。またポリ乳酸系可塑剤を相対湿度65%、5℃の冷蔵庫にて1ヶ月間貯蔵した。貯蔵前後の分子量、酸価を評価したところ、貯蔵後の分子量低下は20%以上で、酸価の増加は50%以上であった。
比較例2
触媒失活剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法でポリ乳酸系可塑剤を得た。ポリ乳酸系可塑剤の収率は75.0%であった。反応終了後、重合反応装置内を確認したところ、ラクチドの昇華物が多量に付着していた。得られたポリ乳酸系可塑剤の評価結果を表1に示した。得られたポリ乳酸系可塑剤は、残存ラクチド量が多く、色調も黄色に着色していた。長期貯蔵時の品質安定性も劣っていた。得られたポリ乳酸系可塑剤30重量部とポリ乳酸70重量部とをベント付き二軸押出機で混練したところ、ベント上部にラクチドと思われる昇華物が析出した。ポリ乳酸との相溶性も不十分であった。
Figure 2008184477
Figure 2008184477
Figure 2008184477

Claims (7)

  1. ラクチドとポリエーテルグリコールとからポリ乳酸系可塑剤を製造するに際し、触媒存在下、101.3kPaを超え、304.0kPa以下の範囲内の圧力で重合反応させた後、触媒失活剤を添加することを特徴とするポリ乳酸系可塑剤の製造方法。
  2. ラクチドおよびポリエーテルグリコールのいずれか一方の水分率が3000ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系可塑剤の製造方法。
  3. 触媒失活剤がリン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリ乳酸系可塑剤の製造方法。
  4. リン化合物がリン酸、及び/または亜リン酸であること特徴とする請求項3に記載のポリ乳酸系可塑剤の製造方法。
  5. 触媒失活剤を添加した後、ラクチド含有量が3.0重量%以下になるまで、減圧とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリ乳酸系可塑剤の製造方法。
  6. ポリエーテルグリコールがポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリ乳酸系可塑剤の製造方法。
  7. ポリ乳酸系可塑剤を、相対湿度65%以下の雰囲気下で冷却し、結晶化させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリ乳酸系可塑剤の製造方法。
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