JP2008182314A - 位相調整装置およびその関連技術 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速撮影が要求されている場合に、短時間で位相調整を行いたい。
【解決手段】撮像素子2によるアナログ撮像信号Saを画素毎に変換して得られたデジタル撮像信号Sdが入力され、デジタル撮像信号に基づいて撮像用のパルスの位相を調整する位相調整装置であって、所定の位相シフト間隔で検出対象の画素を順次に指定しながら複数の画素についてデジタル撮像信号の輝度レベルを検出する輝度レベル検出部11と、輝度レベル検出部による輝度レベルの検出結果に応じて輝度レベルが所定値または所定範囲の位相をパルスの最適位相として位相調整を行うタイミング調整部13と、撮影条件Cに応じて輝度レベル検出部11の位相シフト間隔を切り替えるシフト間隔切替手段14とを備える。撮影条件によってシフト間隔切替手段14が位相シフト間隔を切り替えて輝度レベル検出部11に指示することにより、最適位相の探索を短時間で実現可能とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、デジタルカメラにおける撮像に用いるパルスの位相(タイミング)調整を行う位相調整装置、およびこの位相調整装置が組み込まれたデジタルカメラに関する。また、位相調整駆動装置、位相調整方法に関する。本発明の位相調整技術が対象とする主なパルスは、撮像素子から出力される撮像信号のレベルを検出するためのピークサンプルパルス、相関二重サンプリングの基準となる信号レベルを検出するための基準サンプルパルス、外部のAD変換器へ出力されるADクロック信号の少なくともいずれか1つとする。
デジタルカメラ(デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付き携帯電話等)は、CCDやMOSセンサといった撮像素子によって撮像されたアナログ撮像信号をデジタル撮像信号へと変換し、所定の処理を加えた上で記録する。撮像素子によって被写体を撮像するためには、撮像素子を駆動するパルスや信号レベルを検出するパルスなどが必要である。これらのパルスの位相については、製造に起因するばらつきがあることから、ハードウェア設計時に調整することがむずかしい。そこで、製造後に技術者が位相調整を行い、調整された位相を示す情報を記憶領域に格納し、実使用において記憶領域から位相情報を読み出して最適位相を設定するようにしている。
従来、また、露光時間を最小としてもっぱらノイズ成分を取り込むようにし、高周波成分(ノイズ成分)が最小となる条件で位相を調整するようにした技術が知られている(図11、特許文献1参照)。
特開2005−151081号公報(第4−8頁、第1−5図)
デジタルカメラの分野において、位相調整装置を組み込むシステムを種々に変更する場合がある。特に医療用カメラなどの領域においては、デジタルカメラの製造後に撮像素子の交換を行う可能性が出てきている。組み込むシステムや撮像素子が異なると、当然に、それを駆動するパルスの位相も異なることになるため、位相を再調整することとなる。しかし、技術者がマニュアル的に位相を再調整するのでは、組み込むシステムの変更や撮像素子の交換を迅速・容易に行うことはむずかしい。
また、調整対象のパルスは複数種類あるが、上記特許文献1の場合には、個々のパルスの特性は考慮せず、すべてのパルスに対して同じ手法で最適位相を求めているため、精度があまり高くない。
また、最適位相は温度や電圧変化等の外的要因によっても変化し、撮影条件が変わるたびに調整することが望ましい。しかし、パルスの位相調整は、工場出荷時等に実施することが想定されているだけで、ユーザが頻繁に行う場合の位相調整時間に関してはあまり考慮されておらず、事実、位相調整に手間がかかっている。
本出願人の近似の提案として、所定の位相シフト間隔で検出対象の画素を順次に指定しながら複数の画素についてデジタル撮像信号の輝度レベルを検出する輝度レベル検出部と、前記輝度レベル検出部による前記輝度レベルの検出結果に応じて輝度レベルが所定値または所定範囲の位相をピークサンプルパルスや基準サンプルパルスの最適位相として位相調整を行うタイミング調整部とを備えた位相調整装置がある。しかし、複数の画素を順次に指定する際の位相シフト間隔が常時固定であることから、次のような新しい課題が生じている。位相調整の精度を高いものにするためには、位相シフト間隔を充分に小さく設定することになる。しかし、位相シフト間隔が小さいと、最適位相を探索するのに大きな時間がかかる。これでは、シャッタースピードが速い高速撮影が要求されるような場合には対応することがむずかしい。逆に、最適位相の探索を高速に行うためには、位相シフト間隔を大きく設定することになる。しかし、位相シフト間隔が大きいと、位相調整の精度が低いものになってしまう。
本発明は、このような事情に鑑みて創作したものであり、撮像素子の駆動のためのパルスの位相の調整を、技術者がマニュアルで行う場合に比べてより迅速・容易に、また高精度に行えるようにするとともに、シャッタースピードが速い高速撮影時の位相調整にも対応することができる位相調整装置を提供することを目的としている。
本発明による位相調整装置は、撮像素子で得られたアナログ撮像信号を画素毎にデジタル値に変換することにより得られるデジタル撮像信号が入力され、前記デジタル撮像信号に基づいて撮像に用いられるパルスの位相を調整するものであって、
所定の位相シフト間隔で検出対象の画素を順次に指定しながら複数の画素について前記デジタル撮像信号の輝度レベルを検出する輝度レベル検出部と、
前記輝度レベル検出部による前記輝度レベルが所定値または所定範囲の位相を前記パルスの最適位相として位相調整を行うタイミング調整部と、
撮影条件に応じて前記輝度レベル検出部の前記位相シフト間隔を切り替えるシフト間隔切替手段とを備えたものである。
この構成の位相調整装置においては、所定の画素領域内の複数の画素でのデジタル撮像信号について、輝度レベル検出部が輝度レベルを検出し、得られた輝度情報をタイミング調整部に与える。タイミング調整部は、受け取った輝度情報に基づいて、パルスの位相の最適位相を割り出し、その最適位相の設定をタイミングジェネレータなどに指示する。この輝度情報に基づくパルスの位相調整は、例えば、信号期間においてピークとなる信号成分をサンプリングするためのピークサンプルパルスの位相調整、あるいは相関二重サンプリングで基準となる信号成分をサンプリングするための基準サンプルパルスの位相調整に適している。以上の位相調整の処理が、輝度レベル検出部とタイミング調整部との協働により自動的に行われる。また、撮像素子から得られたアナログ撮像信号において輝度レベル検出部が輝度を実際に測定して、その輝度を加味した状態でパルスの位相を調整しているので、撮像素子の駆動のためのパルスの位相調整の精度が高いものとなる。つまり現在の撮像素子の状況に即した位相調整が可能となっている。また、撮像素子の駆動のためのパルスの各位相を自動調整するので、技術者がマニュアルでパルスの位相を調整する場合に比べて、調整処理に要する時間を短縮することが可能となる。
加えて、シフト間隔切替手段を備えていることによって、次のような作用が発揮される。すなわち、シフト間隔切替手段は、シャッタースピードや温度等の撮影条件に応じて位相シフト間隔を切り替え、輝度レベル検出部に指示を与える。位相調整を高速で行わなくてもよい通常モードでは、位相シフト間隔を位相シフトの最小単位間隔に設定する。この通常モードでは、最小単位間隔の基で輝度レベル検出を行い、最適位相を求める。また、位相調整を高速で行う高速モードでは、位相調整を初期の粗調整サイクルとそれに続く微調整サイクルとの2段階に分け、位相シフト間隔を、粗調整サイクルでは大きい位相シフト間隔に設定し、微調整サイクルでは小さい位相シフト間隔に設定する。輝度レベル検出部は、シフト間隔切替手段によって指示された位相シフト間隔のもとで順次に画素を選択しながら輝度レベル検出を行う。粗調整サイクルで大きい位相シフト間隔の基で一応の最適位相を求め、微調整サイクルでは一応の最適位相を基準に小さい位相シフト間隔の基で最終的な最適位相を求める。大きい位相シフト間隔による一応の最適位相までの位相シフトの回数が少なく、また、一応の最適位相からの小さい位相シフト間隔による最終的な最適位相までの位相シフトの回数も少なくてすむ。このような粗調整サイクルと微調整サイクルとの組み合わせにより、最適位相へのアプローチを高速化することが可能である。
上記構成の位相調整装置において、前記シフト間隔切替手段は、通常モードでは前記位相シフト間隔を小間隔に固定し、位相調整を高速で行う高速モードでは初期の粗調整サイクルとそれに続く微調整サイクルとの2段階に分け、前記位相シフト間隔を前記粗調整サイクルでは大間隔に設定し前記微調整サイクルでは小間隔に設定するという態様がある。
また、本発明による位相調整装置は、撮像素子で得られたアナログ撮像信号を画素毎にデジタル値に変換することにより得られるデジタル撮像信号が入力され、前記デジタル撮像信号に基づいて撮像に用いられるパルスの位相を調整するものであって、
粗調整サイクルにおいて大きい位相シフト間隔で検出対象の画素を順次に指定しながら複数の画素について前記デジタル撮像信号の輝度レベルを検出することにより輝度レベルが所定値または所定範囲となる位相を一応の最適位相に仮決定し、続く微調整サイクルにおいて前記一応の最適位相を基準にして小さい位相シフト間隔で検出対象の画素を順次に指定しながら複数の画素について前記デジタル撮像信号の輝度レベルを検出することにより輝度レベルが所定値または所定範囲となる位相を割り出す輝度レベル検出部と、
前記輝度レベル検出部による前記微調整サイクルでの輝度レベルが所定値または所定範囲の位相を前記パルスの最適位相として位相調整を行うタイミング調整部とを備えたものである。
これは、前述のシフト間隔切替手段を特に必要としないものに相当する。主眼は、粗調整サイクルと微調整サイクルとの組み合わせにより、撮影条件のいかんに関係なく、最適位相へのアプローチを高速化するものである。
上記構成の位相調整装置において、前記小間隔は位相シフトの最小単位間隔であり、前記大間隔は前記位相シフトの最小単位間隔の2以上の整数倍の倍間隔であるという態様がある。
また上記構成の位相調整装置において、前記倍間隔の位相シフト間隔は可変可能であるという態様がある。このように構成すれば、位相調整の速度を自由にコントロールすることが可能となる。
また上記構成の位相調整装置において、前記粗調整サイクルと前記微調整サイクルのうち少なくともいずれか一方は複数回繰り返すという態様がある。このように構成すれば、ノイズ等により瞬間的に輝度レベルが増大している位相を最適な位相として誤決定することが防止され、位相調整の精度向上が図られる。
また上記構成の位相調整装置において、前記位相調整対象のパルスは、前記撮像素子から出力されるアナログ撮像信号のレベルを検出するためのピークサンプルパルスと、相関二重サンプリングの基準となる信号レベルを検出するための基準サンプルパルスの少なくともいずれか一方のパルスであるという態様がある。ピークサンプルパルスが調整対象であるときは、輝度レベルが最大のときを一応の最適位相または最適位相とすればよい。また、基準サンプルパルスが調整対象であるときは、輝度レベルが安定領域にあるときの、安定領域の中心を一応の最適位相または最適位相とすればよい。
また上記構成の位相調整装置において、さらに、所定の位相シフト間隔で検出対象の画素を順次に指定しながら複数の画素について前記デジタル撮像信号の画素間の信号ばらつきを示す分散を算出する分散演算部を備え、前記タイミング調整部は、前記輝度レベル検出部と前記分散演算部の演算結果に応じて前記パルスの最適位相を割り出すように構成されているという態様がある。
また上記構成の位相調整装置において、前記シフト間隔切替手段は、撮影条件に応じて前記分散演算部の前記位相シフト間隔を切り替えるという態様がある。
また上記構成の位相調整装置において、前記位相調整対象のパルスは、外部のAD変換器へ供給されるADクロック信号であるという態様がある。このように構成すれば、シャッタースピードや温度等の撮影条件が変わっても、ADクロック信号の位相調整において最適位相へのアプローチを高速化することが可能である。
上記の構成によれば、分散演算部は、指示された位相シフト間隔のもとで順次に画素を選択しながら分散の算出を行う。粗調整サイクルで大きい位相シフト間隔の基で一応の最適位相を求め、微調整サイクルでは一応の最適位相を基準に小さい位相シフト間隔の基で最終的な最適位相を求める。大きい位相シフト間隔による一応の最適位相までの位相シフトの回数が少なく、また、一応の最適位相からの小さい位相シフト間隔による最終的な最適位相までの位相シフトの回数も少なくてすむ。このような粗調整サイクルと微調整サイクルとの組み合わせにより、最適位相へのアプローチを高速化することが可能である。この分散の情報に基づくパルスの位相調整は、例えば、アナログ撮像信号をデジタル撮像信号にAD変換するときの動作クロックであるADクロック信号の位相調整に適している。
また、本発明による位相調整駆動装置は、上記のいずれかの位相調整装置と、
前記パルスとして、前記撮像素子から出力される撮像信号のピークレベルを検出するためのピークサンプルパルスと、相関二重サンプリングの基準となる信号レベルを検出するための基準サンプルパルスと、外部のAD変換器へ供給されるADクロック信号の少なくともいずれか1つを生成するタイミングジェネレータとを備えたものである。
また、本発明によるデジタルカメラは、上記のいずれかの位相調整駆動装置と、撮像素子と、レンズユニットとを備えたものである。
また、本発明による位相調整方法は、
撮像素子から出力される撮像信号のピークレベルを検出するためのピークサンプルパルスと、相関二重サンプリングの基準となる信号レベルを検出するための基準サンプルパルスの各位相を調整するための位相調整方法であって、
前記パルスの位相を大きい位相シフト間隔で順次にシフトさせながら、各位相で輝度レベルを検出することにより、輝度レベルが所定値または所定範囲の位相を一応の最適位相に仮決定する粗調整サイクルと、
前記一応の最適位相を基準にして前記パルスの位相を小さい位相シフト間隔で順次にシフトさせながら、各位相で輝度レベルを検出することにより、輝度レベルが所定値または所定範囲の位相をを最終的な最適位相に決定する微調整サイクルとを含むものである。
この位相調整方法においては、組み込むシステムが変更された場合や撮像素子が交換された場合のパルスの位相調整に際し、複数の画素でのデジタル撮像信号について、実際に、輝度レベル検出部が輝度を測定し、その輝度を加味した状態でパルスの位相を調整しているので、撮像素子の駆動のためのパルスの位相調整の精度が高いものとなる。また、撮像素子の駆動のためのパルスの各位相を自動調整するので、技術者がマニュアルでパルスの位相を調整する場合に比べて、調整処理に要する時間を短縮することが可能となる。
上記構成の位相調整方法において、前記大きい位相シフト間隔は位相シフトの最小単位間隔の2以上の整数倍の倍間隔であり、前記小さい位相シフト間隔は前記最小単位間隔であるという態様がある。
また上記構成の位相調整方法において、前記粗調整サイクルと前記微調整サイクルのうち少なくともいずれか一方は複数回繰り返すという態様がある。このように構成すれば、ノイズ等により瞬間的に輝度レベルが増大している位相を最適な位相として誤決定することが防止され、位相調整の精度向上が図られる。
また上記構成の位相調整方法において、前記位相調整対象のパルスは、前記撮像素子から出力されるアナログ撮像信号のレベルを検出するためのピークサンプルパルスと、相関二重サンプリングの基準となる信号レベルを検出するための基準サンプルパルスの少なくともいずれか一方のパルスであるという態様がある。
また上記構成の位相調整方法において、前記粗調整サイクルと前記微調整サイクルの組み合わせのモードに加えて、前記位相シフト間隔が固定のまま前記パルスの位相を順次にシフトさせながら前記輝度レベルを検出することにより、輝度レベルが所定値または所定範囲の位相を最終的な最適位相に決定するモードを有し、前記両モードを撮影条件に応じて切り替えるという態様がある。シャッタースピードや温度等の撮影条件に応じた適切なモード選択が可能となる。
また上記構成の位相調整方法において、さらに、
前記パルスの位相を大きい位相シフト間隔で順次にシフトさせながら、各位相で前記デジタル撮像信号の画素間の信号ばらつきを示す分散を算出することにより、分散が最小となる位相を一応の最適位相に仮決定する粗調整サイクルと、
前記一応の最適位相を基準にして前記パルスの位相を小さい位相シフト間隔で順次にシフトさせながら、各位相で分散を算出ることにより、分散が最小となる位相を最終的な最適位相に決定する微調整サイクルとを含むという態様がある。この分散の情報に基づくパルスの位相調整は、例えば、アナログ撮像信号をデジタル撮像信号にAD変換するときの動作クロックであるADクロック信号の位相調整に適している。
本発明によれば、撮像素子から得られたアナログ撮像信号において輝度を実際に測定し、それに基づいてパルスの位相を調整するので、つまり現在の撮像素子の状況に即した位相調整を行うので、パルス位相調整の精度を高いものとすることができる。また、パルスの各位相を自動調整するので、技術者がマニュアルで調整する場合に比べて、調整処理に要する時間を短縮することが可能となる。さらに、粗調整サイクルと微調整サイクルとの組み合わせにより、最適位相へのアプローチを高速化することができ、シャッタースピードが速い高速撮影等にも良好に対応することができる。
以下、本発明にかかわる位相調整装置搭載のデジタルカメラの実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるデジタルカメラの全体的な構成を示すブロック図である。本実施の形態におけるデジタルカメラは、被写体像を撮像素子2上に集光するための光学レンズ1と、光学レンズ1によって集光された被写体像を撮像する撮像素子2(以下はCCDを例に説明)と、撮像素子2から出力されるアナログ撮像信号Saに所定の処理を加えてデジタル撮像信号Sdに変換するアナログフロントエンド10と、アナログフロントエンド10から出力されるデジタル撮像信号Sdに所定の処理(色補正、YC処理等)を加えて映像信号を生成するDSP(Digital Signal Processor)20とを備えている。撮像素子2は複数の画素を有しており、これらの複数の画素は、被写体の撮像に用いられる有効画素領域と、有効画素領域の周辺に遮光された状態で配置されてOB(OpticalBlack)レベルの検出に用いられるOB画素領域とから構成されている。
アナログフロントエンド10は、撮像素子2から出力されるアナログ撮像信号Saの信号レベルを確定するために相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)を行う相関二重サンプリング部3と、相関二重サンプリング部3から出力される信号を調整可能なゲインで増幅する自動利得制御部(AGC:AutomaticGain Control)4と、自動利得制御部4によって増幅された信号をデジタル撮像信号Sdへと変換するAD変換器(Analog DigitalConverter)5と、撮像に用いるためのパルスを生成するタイミングジェネレータ(Timing Generator)6と、タイミングジェネレータ6によって生成されたパルスを撮像素子2へと出力するための垂直ドライバ7とを備えている。
DSP20は、所定の領域内で所定の位相シフト間隔で検出対象の画素を順次に指定しながら複数の画素についてデジタル撮像信号Sdの輝度レベルを検出する輝度レベル検出部11と、所定の位相シフト間隔で検出対象の画素を順次に指定しながら複数の画素についてデジタル撮像信号Sdの画素間の信号ばらつきを示す分散を算出する分散演算部12と、これら輝度レベル検出部11と分散演算部12の検出・演算結果に基づいて、基準サンプルパルスDS1、ピークサンプルパルスDS2およびADクロック信号ACKの最適位相を求めて、タイミングジェネレータ6へ設定するタイミング調整部13と、シャッタースピードや温度等の撮影条件Cにより輝度レベル検出部11と分散演算部12の位相シフト間隔を切り替えるシフト間隔切替手段14とを有している。タイミングジェネレータ6は、基準サンプルパルスDS1およびピークサンプルパルスDS2を垂直ドライバ7を介して撮像素子2に供給するとともに相関二重サンプリング部4にも供給する。また、タイミングジェネレータ6は、ADクロック信号ACKをAD変換器5へ供給する。E1はDSP20とシフト間隔切替手段14を含む位相調整装置、E2は位相調整装置E1とタイミングジェネレータ6からなる位相調整駆動装置である。
図2は撮像素子2から出力されるアナログ撮像信号Saを時系列で表した図である。図2に示すように、アナログ撮像信号Saは、リセット期間T1と基準期間T2と信号期間T3とから構成されている。リセット期間T1は、撮像素子2をリセットするのに用いられる期間である。
基準期間T2は撮像素子2から基準電圧が出力される期間であり、相関二重サンプリング部3が動作する際の基準となる信号を検出する期間である。信号期間T3は信号電圧が出力される期間であり、信号期間T3においてピークとなる信号電圧と基準期間T2における基準電圧とをサンプリングし、差分をとることによってアナログ撮像信号Saの信号レベルVsを得ることが可能となる。なお、図2では、図中の下方向を信号成分が正の方向として規定している。
図3は本実施の形態1における位相調整方法の切り替え部を示している。図3において、シフト間隔切替手段14は、DSP20の動作モードに対して、撮影条件C(シャッタースピード・温度等)に基づいて、通常位相調整モード21、高速位相調整モード22、位相調整なしモード23の切り替えを行う。
シフト間隔切替手段14により撮影条件Cに応じて通常位相調整モード21または高速位相調整モード22が選択された場合、位相調整は、主に輝度レベル検出部11、分散演算部12、タイミング調整部13によって行われる。本実施の形態で調整対象とするパルスは、基準サンプルパルスDS1、ピークサンプルパルスDS2およびADクロック信号ACKとする。基準サンプルパルスDS1とは、相関二重サンプリングで基準となる信号成分をサンプリングするためのパルスである。したがって、基準期間の中心において立ち上がりエッジがくるように位相調整されることが望ましい。ピークサンプルパルスDS2とは、信号期間T3においてピークとなる信号成分をサンプリングするためのパルスである。したがって、撮像素子2から出力される信号成分がピークとなるときに立ち上がりエッジがくるように位相調整されることが望ましい。ここで、相関二重サンプリング部3によって求められる信号レベルVsとは、ピークサンプルパルスDS2の立ち上がりにおけるピークの信号成分と、基準サンプルパルスDS1の立ち上がりによって定まる基準期間内の信号成分との差分に他ならない。ADクロック信号ACKはAD変換器5の動作用のクロック信号であり、AD変換結果がばらつかないように位相調整されることが望ましい。
図4は高速位相調整モード時の動作を示すフローチャートである。図4において、高速位相調整モードは、粗調整サイクルS1と微調整サイクルS2で構成されている。
まず、粗調整サイクルS1では、各パルスの最適な位相を決定するために必要なデータ(輝度レベル、分散等)を算出し(ステップS12)、位相を位相シフトの最小単位間隔τ0のN倍(N:2以上の整数)間隔で後ろにずらす(ステップS13)。1周期の期間にわたってステップS12とステップS13を繰り返し、粗調整サイクルS1での一応の最適位相を検出する。
次に、微調整サイクルS2において、粗調整サイクルS1での一応の最適位相から位相シフトの最小単位間隔τ0のL倍(L:1以上の整数)前にずらす(ステップS14)。さらに、最終的な最適位相を決定するために必要なデータ(輝度レベル、分散等)を算出し(ステップS16)、位相を位相シフトの最小単位間隔τ0で後ろにずらす(ステップS17)。ステップS16とステップS17を2L回繰り返し、微調整サイクルS2での最適位相を検出する。微調整サイクルS2での最適位相を各パルスの最終的な最適位相として決定する。2L回の繰り返しとするのは、粗調整サイクルS1での一応の最適位相を前後に挟む状態で対称的に調べるためである。一応の最適位相の前方でL回、一応の最適位相の後方でL回の、合計2L回である。
また、撮影条件C(シャッタースピード・温度等)に基づいて、粗調整サイクルS1と微調整サイクルS2の少なくとも1つを繰り返し(ステップS11,S15)、各パルスの最適な位相を決定する。粗調整サイクルS1の繰り返しをM回(M:2以上の整数)、微調整サイクルS2をK回(K:2以上の整数)としている。
以下、シフト間隔切替手段14により高速位相調整モード22が選択された場合の各パルスの最適位相の決定に関して説明する。
季節による気温の変化や自宅と旅行先の気温の違い等により、撮像時の温度に変化がある場合、基準サンプルパルスDS1、ピークサンプルパルスDS2およびADクロック信号ACKの最適な位相が変化する。一定以上の温度変化が検出された場合、シフト間隔切替手段14により高速位相調整モード22が選択される。あるいは、シャッタースピードが速い高速撮影が要求された場合、シフト間隔切替手段14により高速位相調整モード22が選択される。
図5は各パルスの位相調整の全体的な動作を示すフローチャートを示す。
まず、基準サンプルパルスDS1およびADクロック信号ACKの位相をあらかじめ定められた初期値に固定した上で、ピークサンプルパルスDS2の位相を初期値からずらしながら、ピークサンプルパルスDS2の位相を決定するのに必要となるデータを測定する(ステップS21)。次に、そのデータを評価することによって、ピークサンプルパルスDS2の最適位相を決定する(ステップS22)。ピークサンプルパルスDS2の位相が決定されると、ピークサンプルパルスDS2の位相を決定された最適値として固定するとともに、ADクロック信号ACKの位相は初期値に固定したままで、基準サンプルパルスDS1の位相を初期値からずらしながら、基準サンプルパルスDS1の位相を決定するのに必要となるデータを測定する(ステップS23)。次に、そのデータを評価することによって、基準サンプルパルスDS1の最適位相を決定する(ステップS24)。基準サンプルパルスDS1およびピークサンプルパルスDS2の位相が決定されると、これらを最適値として固定した上で、ADクロック信号ACKの位相を初期値からずらしながら、ADクロック信号ACKの位相を決定するのに必要となるデータを測定する(ステップS25)。次に、そのデータを評価することによって、ADクロック信号ACKの最適位相を決定する(ステップS26)。基準サンプルパルスDS1、ピークサンプルパルスDS2およびADクロック信号ACKの最適位相が決定されると、決定された最適位相に関する情報をタイミングジェネレータ6内のレジスタに設定する(ステップS27)。これによって、最適位相でパルスが発生される。
次に、ピークサンプルパルスDS2、基準サンプルパルスDS1およびADクロック信号ACKの位相調整の具体的内容について説明する。
(ピークサンプルパルスDS2の位相調整)
図6はピークサンプルパルスDS2の位相調整に用いられる信号成分のタイミングチャートを示している。図6において、W1は撮像素子出力信号を、W2は輝度レベルを示しており、図4におけるNをN=3、LをL=1としている。ここで、ピークサンプルパルスDS2の位相調整における輝度とは、撮像素子2の有効画素領域の部分領域または全域(ピークサンプルパルス検出領域と称す)において選択された各画素の信号レベルの平均値として定義される。
粗調整サイクルS1では、基準サンプルパルスDS1およびADクロック信号ACKの位相を固定して、ピークサンプルパルスDS2の位相をP1のA1〜A4のように位相シフトの最小単位間隔τ0の3倍間隔τ3でずらしていき、輝度レベル算出(S12)において輝度レベルW2が最大となる位相を検出し、この位相を粗調整サイクルS1での一応の最適位相とする。ここでは、P1のA4が粗調整サイクルS1での一応の最適位相として検出される。
次に、ピークサンプルパルスDS2の位相を、粗調整サイクルS1で求めた一応の最適位相から前後に、P1のA5〜A7のように位相シフトの最小単位間隔τ0でずらしていき、輝度レベル算出(S12)において輝度レベルW2が最大となる位相を検出する。ここでは、P1のA6が微調整サイクルS2での最適位相として検出され、ピークサンプルパルスDS2の最適位相として決定される。
上記において、粗調整サイクルS1で位相シフト間隔を3倍間隔τ3とするのは、ピークサンプルパルスDS2の位相の予想位置が信号期間T3にあって、リセット期間T1や基準期間T2にはないと予想されることから、リセット期間T1や基準期間T2での探索は粗くしてもよいとの考え方に立ち、十分に大きい位相シフト間隔で位相を進めることとしている。そして、信号期間T3で一応の最適位相を求めても、その精度が低いことから、改めて微調整サイクルS2で位相シフト間隔を最小単位間隔τ0とし、密な状態で探索する。このとき、粗調整サイクルS1での一応の最適位相の前後を調べる必要があるので、最小単位間隔τ0のL倍前へいったん戻してから探索することとしている。そして、これを2L回繰り返すのは、粗調整サイクルS1での一応の最適位相を前後に挟む状態で対称的に調べるためであり、一応の最適位相の前方および後方でそれぞれL回の、合計2L回である。
上記において、位相を1回ずらすのに要する時間をTとした場合、ピークサンプルパルスDS2の位相調整に要する時間は、P1(A1〜A7)に示すように7Tとなる。従来の位相調整に要する時間は、1周期の期間にわたって位相シフトの最小単位間隔τ0でずらしていくため、P2(B1〜B12)に示すように12Tとなる。したがって、位相調整を粗調整サイクルS1、微調整サイクルS2の2段階にすることによって、所要時間を5T削減することができ、位相調整の高速化が実現されている。
(基準サンプルパルスDS1の位相調整)
図7は基準サンプルパルスDS1の位相調整に用いられる信号成分のタイミングチャートを示している。図7においては、N=2、L=1としている。基準サンプルパルスDS1の位相調整においても、輝度とは撮像素子2の有効画素領域の部分領域または全域(基準サンプルパルス検出領域と称す)において選択された各画素の信号レベルの平均値として定義される。
粗調整サイクルS1では、ピークサンプルパルスDS2およびADクロック信号ACKの位相を固定して、基準サンプルパルスDS1の位相をP11のA1〜A6のように位相シフトの最小単位間隔τ0の2倍間隔τ2でずらしていき、輝度レベル算出(S12)において算出された輝度レベルW2と前位相で算出された輝度レベルW2との差分が所定の値以下となった場合、この位相を安定領域内とする。位相を1周期ずらした後、検出した安定領域の中心の位相を粗調整サイクルS1での一応の最適位相とする。ここでは、P11のA8が粗調整サイクルS1での一応の最適位相として検出される。
次に、基準サンプルパルスDS1の位相を、粗調整サイクルS1で求めた一応の最適位相から前後に、P11のA7〜A9のように位相シフトの最小単位間隔τ0でずらしていき、輝度レベル算出(S12)において算出された輝度レベルW2と前位相で算出された輝度レベルW2との差分が所定の値以下となった場合、この位相を安定領域内とする。位相を所定の回数ずらした後、検出した安定領域の中心の位相を微調整サイクルS2での最適位相とする。ここでは、P11のA8が微調整サイクルS2での最適位相として検出され、基準サンプルパルスDS1の最適位相として決定される。
上記において、粗調整サイクルS1で位相シフト間隔を2倍間隔τ2とするのは、基準サンプルパルスDS1の位相の予想位置が基準期間T2にあって、リセット期間T1にはないとされることから、リセット期間T1での探索は粗くしてもよいとの考え方に立ち、大きい位相シフト間隔で位相を進めることとしている。そして、基準期間T2で一応の最適位相を求めても、その精度が低いことから、改めて微調整サイクルS2で位相シフト間隔を最小単位間隔τ0とし、密な状態で探索する。
上記において、位相を1回ずらすのに要する時間をTとした場合、基準サンプルパルスDS1の位相調整に要する時間は、P11(A1〜A9)に示すように9Tとなる。従来の位相調整に要する時間は、1周期の期間にわたって位相シフトの最小単位間隔τ0でずらしていくため、P12(B1〜B12)に示すように12Tとなる。したがって、位相調整を粗調整サイクルS1、微調整サイクルS2の2段階にすることによって、所要時間を3T削減することができ、位相調整の高速化が実現されている。
(ADクロック信号ACKの位相調整)
図8はADクロック信号ACKの位相調整に用いられる信号成分のタイミングチャートを示している。図8において、W1は撮像素子出力信号を、W3は分散を示している。分散とは、この例では、撮像素子2を遮光した状態において、有効画素領域または/およびOB画素領域の部分領域または全域(ADクロック信号検出領域と称す)における各画素の信号レベルの分散として定義される。すなわち、分散とは、撮像素子2が遮光されているために理想的な状況では一定となる各画素の信号レベルがどの程度ばらついているかを示す値である。したがって、分散W3が小さくなるようにADクロック信号ACKの位相は設定される必要がある。また、図8におけるNをN=3、LをL=1としている。
粗調整サイクルS1では、基準サンプルパルスDS1およびピークサンプルパルスDS2の位相を最適値として固定して、ADクロック信号ACKの位相をP21のA1〜A4のように位相シフトの最小単位間隔τ0の3倍間隔τ3でずらしていき、分散の算出(S12)において、分散W3が最も小さな値となる位相を検出する。この分散W3が最も小さな値となるような位相をADクロック信号ACKの最適位相に決定すべきであるが、何らかの要因によって誤った位置で分散W3が最小となる可能性がある。したがって、分散W3が最小と判断された位相において、ADクロック信号検出領域内の輝度を所定の期待値と比較する。OB画素領域は遮光されているために、設計仕様におけるDCオフセットとしての期待値が存在する。ADクロック信号検出領域内の輝度がこの期待値とかけ離れている場合には、ADクロック信号ACKの位相が最適であるとはいえない。したがって、分散W3が最小と判断された位相において、輝度と所定の期待値との差分が一定の閾値以下である場合には、その位相を粗調整サイクルS1での一応の最適位相とする。しかし、輝度と所定の期待値との差分が一定の閾値より大きい場合には、分散W3がその次に小さな位相において、輝度と所定の期待値との差分が一定の閾値以下であるかを判断することになる。ここでは、P21のA3が粗調整サイクルS1での一応の最適位相として検出される。
次に、ADクロック信号ACKの位相をP21のA5〜A7のように位相シフトの最小単位間隔τ0でずらしていき、分散W3が最も小さな値となる位相を検出し、その位相における輝度を所定の期待値と比較する。輝度と所定の期待値との差分が一定の閾値以下である場合には、その位相を微調整サイクルS2での最適位相とし、輝度と所定の期待値との差分が一定の閾値より大きい場合には、分散W3がその次に小さな位相において、輝度と所定の期待値との差分が一定の閾値以下であるかを判断する。微調整サイクルS2での最適位相がADクロック信号ACKの最適位相として決定される。ここでは、P21のA7をADクロック信号ACKの最適位相として決定される。
上記において、位相を1回ずらすのに要する時間をTとした場合、ADクロック信号ACKの位相調整に要する時間は、P21(A1〜A7)に示すように7Tとなる。従来の位相調整に要する時間は、1周期の期間にわたって位相シフトの最小単位間隔τ0でずらしていくため、P22(B1〜B12)に示すように12Tとなる。したがって、位相調整を粗調整サイクルS1、微調整サイクルS2の2段階にすることによって、所要時間を5T削減することができ、位相調整の高速化が実現されている。
基準サンプルパルスDS1、ピークサンプルパルスDS2およびADクロック信号ACKの2段階位相調整にかかる時間P1,P11,P21の合計値は7T+9T+7T=23Tとなる。従来の位相調整の場合には12T+12T+12T=36Tである。2段階位相調整を行うことにより、全体として所要時間を13T削減することができ、位相調整の高速化が実現されている。
次に、ピークサンプルパルスDS2の微調整サイクルS2を3回(ステップS15のKをK=3)繰り返した場合について、図9を用いて説明する。図9は図6におけるP1の位相A5〜A7付近を拡大した図である。
微調整サイクルS2において、ピークサンプルパルスDS2の位相をP31のA5−1〜A7−1のように位相シフトの最小単位間隔τ0でずらしていき、輝度レベル算出(S12)において輝度レベルW2が最大となる位相を検出する。ここで、P31では位相A6−1が検出されたとする。
同様にして、P32のA5−2〜A7−2における輝度レベルW2が最大となる位相としてA5−2が検出され、P33のA5−3〜A7−3における輝度レベルW2が最大となる位相としてA5−3が検出されたとする。
この場合、A5(2回)およびA6(1回)での輝度レベルW2の3回の平均を算出し、比較する。ここで、A5の輝度レベルW2の平均値XとA6の輝度レベルW2の平均値Yの関係がX>Yとなった場合、A5を微調整サイクルS2での最適位相として検出し、ピークサンプルパルスDS2の最適位相として決定される。このことは、A6のピークがノイズに起因していると想像される。
この調整方法により、ノイズ等により瞬間的に輝度レベルが増大している位相を最適位相として誤決定することを防止することができる。つまり、ピークサンプルパルスDS2の最適位相を本来どおりにA5と決定することができ、位相調整の精度向上を図ることができる。
ピークサンプルパルスDS2の位相調整において、微調整サイクルS2を3回繰り返し、基準サンプルパルスDS1およびADクロック信号ACKの位相調整は各1回の調整により位相を決定した場合、位相調整に要する全時間は、位相を1回ずらすのに要する時間をTとした場合、13T+9T+7T=29Tとなる。したがって、従来の位相調整にかかる時間36Tより7T速く調整することができる。さらに、ピークサンプルパルスDS2の位相調整の精度が向上する。
基準サンプルパルスDS1およびADクロック信号ACKに関しても同じことがいえる。
これまで説明してきた方法によって、基準サンプルパルスDS1、ピークサンプルパルスDS2およびADクロック信号ACKの各位相を自動で調整することが可能となる。したがって、組み込むシステムが変更された場合や、撮像素子2自体が交換された場合や、外的要因(温度、経年劣化等)によって撮像素子2の特性が変化した場合においても、ユーザ仕様および製品製造時に適切な信号(色)や周期と位相調整量を特定することにより、タイミングジェネレータ6から出力されるパルスの位相を自動調整することが可能となる。しかも、各パルスの特性を考慮した上で個別の方法でパルスの位相を画質面と速度面において最適な条件でを調整しているので、高精度・高速度な自動調整が可能となる。
以上で説明したように本実施の形態によれば、基準サンプルパルスDS1、ピークサンプルパルスDS2およびADクロック信号ACKのすべてにおいて位相調整を行っており、しかも、各パルスの特性を考慮した上で個別の方法でパルスの位相を調整しているので、高精度な自動調整が可能となる。
また、外的要因(温度、経年劣化等)によって撮像素子2の特性が変化し、かつシャッタースピードが速い高速撮影が要求される場合においても、タイミングジェネレータ6から出力されるパルスの位相を自動調整することが可能となる。
なお、3つのパルスのうちいずれか1つまたはいずれか2つの位相を調整するのでもよい。
なお、構成要素である輝度レベル検出部11、分散演算部12、タイミング調整部13はハードウェアとして回路で構成することも可能であり、マイコンを用いてソフトウェアで実現することも可能である。その他にも、これまで述べてきた実施の形態はあくまで一例に過ぎず、様々な変形が可能であることはいうまでもない。また、ADクロック信号ACKの2段階位相調整の精度向上として、以下の変形も可能である。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、ADクロック信号ACKの位相調整の精度をさらに向上させるものである。
図10はADクロック信号ACKの位相調整に用いられる信号成分のタイミングチャートを示す図である。また、図4におけるNをN=3、LをL=1としている。
粗調整サイクルS1では、基準サンプルパルスDS1およびピークサンプルパルスDS2の位相を最適値として固定してADクロック信号ACKの位相をP41のA1〜A4のように位相シフトの最小単位間隔τ0の3倍間隔τ3でずらしていき、分散の算出(S12)において、分散W3が最も小さな値となる位相を検出する。このとき、図10に示すように分散W3が小さくなる分散値小部分31,32が2つある場合、各分散値小部分31,32での分散W3が最小となる位相(P41のA2とA4)の両方に関して検出された各位相における輝度レベルと所定の期待値との比較を行い、各分散値小部分31,32においてそれぞれ1つずつの位相を粗調整サイクルS1での一応の最適位相として検出する。ここでは、P41のA2とA4が検出される。
次に、ADクロック信号ACKの位相をP42のA5−1〜A7−1とA5−2〜A7−2のように位相シフトの最小単位間隔τ0でずらしていき、各分散値小部分31,32で分散W3の算出(S12)を行い、分散W3が最小となる位相を各分散値小部分31,32で検出する。検出された各位相における輝度レベルと所定の期待値との比較を行い、各分散値小部分31,32においてそれぞれ1つずつの位相を微調整サイクルS2での最適位相として検出する。ここでは、P42のA5−1とA7−2が検出される。
次に、微調整サイクルS2で検出された位相P42のA5−1とA7−2においてS/Nを算出し、S/Nが大きい値となる位相をADクロック信号ACKの最適位相として決定される。ここでは、位相P42のA7−2がADクロック信号ACKの最適位相として決定される。
しかし、仮に分散値小部分31内の位相にADクロック信号ACKを調整し、取り出した映像信号の色がG(緑)、分散値小部分32内の位相にADクロック信号ACKを調整し、取り出した映像信号の色がR(赤)とした場合、P42のA5−1とA7−2のうちどちらをADクロック信号ACKの最適位相とするかによって映像信号の色が変わってしまう。また、DSP20側でアナログフロントエンド10から入力される映像信号の色の順番は決まっているため、色が反転するおそれがある。
そこで、各分散値小部分31,32で検出された位相の輝度レベルを比較することにより色を判断し、S/Nの比較によりADクロック信号ACKの最適位相として決定された信号の色が、DSP20側で決まっている色と異なる場合は、DSP20側の設定を変えることにより映像信号の色反転を防止する。以上の方法により高精度にADクロック信号ACKの位相を調整することができる。
以上の説明では撮像素子2および光学レンズ1の交換を必要としないデジタルスチルカメラを例としたが、撮像素子2および光学レンズ1の交換が必要となる医療カメラにおいても前述の位相調整方法により位相調整が可能である。
なお、以上で説明した実施の形態はあくまでも一例であり、発明の主旨の範囲内で様々に変更可能であることはいうまでもない。
本発明によって、デジタルスチルカメラまたは医療カメラにおける撮像に用いるパルスのタイミング調整を自動かつ高速に行うことが可能になるため、少なくともデジタルスチルカメラまたは医療カメラにおいて利用可能性がある。
本発明の実施の形態1における位相調整装置搭載のデジタルカメラの全体的な構成を示すブロック図 撮像素子から出力される信号成分を時系列で表した図 本実施の形態1における位相調整方法の切り替え部を示す図 本発明の実施の形態における高速位相調整モード時の動作を示すフローチャート 本発明の実施の形態における位相調整の全体的な動作を示すフローチャート 本発明の実施の形態1においてピークサンプルパルスの位相調整に用いられる信号成分のタイミングチャート 本発明の実施の形態1において基準サンプルパルスの位相調整に用いられる信号成分のタイミングチャート 本発明の実施の形態1においてADクロック信号の位相調整に用いられる信号成分のタイミングチャート 本発明の実施の形態1においてピークサンプルパルス位相調整の微調整サイクルを3回行った場合の例を示す図 本発明の実施の形態2においてADクロック信号の位相調整に用いられる信号成分のタイミングチャート 特許文献1の全体構成を示す図
符号の説明
1 光学レンズ
2 撮像素子
3 相関二重サンプリング部(CDS)
4 自動利得制御部(AGC)
5 AD変換器(ADC)
6 タイミングジェネレータ(TG)
7 垂直ドライバ
10 アナログフロントエンド
11 輝度レベル検出部
12 分散演算部
13 タイミング調整部
14 シフト間隔切替手段
21 通常位相調整モード
22 高速位相調整モード
23 位相調整なしモード
ACK ADクロック信号
C 撮影条件
DS1 基準サンプルパルス
DS2 ピークサンプルパルス
E1 位相調整装置
E2 位相調整駆動装置
S1 粗調整サイクル
S2 微調整サイクル
Sa アナログ撮像信号
Sd デジタル撮像信号
W2 輝度レベル
W3 分散
τ0 位相シフトの最小単位間隔
τ2 最小単位間隔τ0の2倍間隔
τ3 最小単位間隔τ0の3倍間隔

Claims (18)

  1. 撮像素子で得られたアナログ撮像信号を画素毎にデジタル値に変換することにより得られるデジタル撮像信号が入力され、前記デジタル撮像信号に基づいて撮像に用いられるパルスの位相を調整する位相調整装置であって、
    所定の位相シフト間隔で検出対象の画素を順次に指定しながら複数の画素について前記デジタル撮像信号の輝度レベルを検出する輝度レベル検出部と、
    前記輝度レベル検出部による前記輝度レベルが所定値または所定範囲の位相を前記パルスの最適位相として位相調整を行うタイミング調整部と、
    撮影条件に応じて前記輝度レベル検出部の前記位相シフト間隔を切り替えるシフト間隔切替手段とを備えた位相調整装置。
  2. 前記シフト間隔切替手段は、通常モードでは前記位相シフト間隔を小間隔に固定し、位相調整を高速で行う高速モードでは初期の粗調整サイクルとそれに続く微調整サイクルとの2段階に分け、前記位相シフト間隔を前記粗調整サイクルでは大間隔に設定し前記微調整サイクルでは小間隔に設定する請求項1に記載の位相調整装置。
  3. 撮像素子で得られたアナログ撮像信号を画素毎にデジタル値に変換することにより得られるデジタル撮像信号が入力され、前記デジタル撮像信号に基づいて撮像に用いられるパルスの位相を調整する位相調整装置であって、
    粗調整サイクルにおいて大きい位相シフト間隔で検出対象の画素を順次に指定しながら複数の画素について前記デジタル撮像信号の輝度レベルを検出することにより輝度レベルが所定値または所定範囲となる位相を一応の最適位相に仮決定し、続く微調整サイクルにおいて前記一応の最適位相を基準にして小さい位相シフト間隔で検出対象の画素を順次に指定しながら複数の画素について前記デジタル撮像信号の輝度レベルを検出することにより輝度レベルが所定値または所定範囲となる位相を割り出す輝度レベル検出部と、
    前記輝度レベル検出部による前記微調整サイクルでの輝度レベルが所定値または所定範囲の位相を前記パルスの最適位相として位相調整を行うタイミング調整部とを備えた位相調整装置。
  4. 前記小間隔は位相シフトの最小単位間隔であり、前記大間隔は前記位相シフトの最小単位間隔の2以上の整数倍の倍間隔である請求項2または請求項3に記載の位相調整装置。
  5. 前記倍間隔の位相シフト間隔は可変可能である請求項4に記載の位相調整装置。
  6. 前記粗調整サイクルと前記微調整サイクルのうち少なくともいずれか一方は複数回繰り返す請求項2から請求項5までのいずれかに記載の位相調整装置。
  7. 前記位相調整対象のパルスは、前記撮像素子から出力されるアナログ撮像信号のレベルを検出するためのピークサンプルパルスと、相関二重サンプリングの基準となる信号レベルを検出するための基準サンプルパルスの少なくともいずれか一方のパルスである請求項1から請求項6までのいずれかに記載の位相調整装置。
  8. さらに、所定の位相シフト間隔で検出対象の画素を順次に指定しながら複数の画素について前記デジタル撮像信号の画素間の信号ばらつきを示す分散を算出する分散演算部を備え、前記タイミング調整部は、前記輝度レベル検出部と前記分散演算部の演算結果に応じて前記パルスの最適位相を割り出すように構成されている請求項1から請求項7までのいずれかに記載の位相調整装置。
  9. 前記シフト間隔切替手段は、撮影条件に応じて前記分散演算部の前記位相シフト間隔を切り替える請求項8に記載の位相調整装置。
  10. 前記位相調整対象のパルスは、外部のAD変換器へ供給されるADクロック信号である請求項8または請求項9に記載の位相調整装置。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれかに記載の位相調整装置と、
    前記パルスとして、前記撮像素子から出力される撮像信号のピークレベルを検出するためのピークサンプルパルスと、相関二重サンプリングの基準となる信号レベルを検出するための基準サンプルパルスと、外部のAD変換器へ供給されるADクロック信号の少なくともいずれか1つを生成するタイミングジェネレータとを備えた位相調整駆動装置。
  12. 請求項11に記載の位相調整駆動装置と、撮像素子と、レンズユニットとを備えたデジタルカメラ。
  13. 撮像に用いられるパルスの位相を調整するための位相調整方法であって、
    前記パルスの位相を大きい位相シフト間隔で順次にシフトさせながら、各位相で輝度レベルを検出することにより、輝度レベルが所定値または所定範囲の位相を一応の最適位相に仮決定する粗調整サイクルと、
    前記一応の最適位相を基準にして前記パルスの位相を小さい位相シフト間隔で順次にシフトさせながら、各位相で輝度レベルを検出することにより、輝度レベルが所定値または所定範囲の位相を最終的な最適位相に決定する微調整サイクルとを含む位相調整方法。
  14. 前記大きい位相シフト間隔は位相シフトの最小単位間隔の2以上の整数倍の倍間隔であり、前記小さい位相シフト間隔は前記最小単位間隔である請求項13に記載の位相調整方法。
  15. 前記粗調整サイクルと前記微調整サイクルのうち少なくともいずれか一方は複数回繰り返す請求項13または請求項14に記載の位相調整方法。
  16. 前記位相調整対象のパルスは、前記撮像素子から出力されるアナログ撮像信号のレベルを検出するためのピークサンプルパルスと、相関二重サンプリングの基準となる信号レベルを検出するための基準サンプルパルスの少なくともいずれか一方のパルスである請求項13から請求項15までのいずれかに記載の位相調整装置。
  17. 前記粗調整サイクルと前記微調整サイクルの組み合わせのモードに加えて、前記位相シフト間隔が固定のまま前記パルスの位相を順次にシフトさせながら前記輝度レベルを検出することにより、輝度レベルが所定値または所定範囲の位相を最終的な最適位相に決定するモードを有し、前記両モードを撮影条件に応じて切り替える請求項13から請求項16までのいずれかに記載の位相調整方法。
  18. さらに、
    前記パルスの位相を大きい位相シフト間隔で順次にシフトさせながら、各位相で前記デジタル撮像信号の画素間の信号ばらつきを示す分散を算出することにより、分散が最小となる位相を一応の最適位相に仮決定する粗調整サイクルと、
    前記一応の最適位相を基準にして前記パルスの位相を小さい位相シフト間隔で順次にシフトさせながら、各位相で分散を算出ることにより、分散が最小となる位相を最終的な最適位相に決定する微調整サイクルとを含む請求項13から請求項17までのいずれかに記載の位相調整方法。
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