JP2008181971A - 不揮発性記憶装置、磁気抵抗素子および磁気抵抗素子の製造方法 - Google Patents

不揮発性記憶装置、磁気抵抗素子および磁気抵抗素子の製造方法 Download PDF

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Takashi Osanaga
隆志 長永
Takeharu Kuroiwa
丈晴 黒岩
Yutaka Takada
裕 高田
Junichi Tsuchimoto
淳一 土本
Akifumi Matsuda
亮史 松田
Shuichi Ueno
修一 上野
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Abstract

【課題】記録層の形状変化にともなう反転磁界の変化量を抑制することのできる磁気抵抗素子を提供する。さらに、情報の書込みに要する電流のばらつきを抑制することのできる不揮発性記憶装置を提供する。
【解決手段】磁気抵抗素子であるトンネル接合素子100は、固定層PLと、非磁性層14と、記録層RLとを備えている。固定層PLは、固定された磁化方向を有している。非磁性層14は、固定層PL上に形成されている。記録層RLは、非磁性層14を介した固定層PLとの対向面IFを有し、外部磁界により反転する磁化方向を有し、コバルトと鉄とホウ素と酸素とを含んでいる。
【選択図】図3

Description

本発明は、磁気抵抗素子およびそれを用いた不揮発性記憶装置に関するものである。
近年、新世代の不揮発性記憶装置として、MRAM(Magnetic Random Access Memory)デバイスが注目されている。MRAMデバイスは、半導体集積回路に形成された複数のメモリセルを用いて不揮発のデータ記録を行ない、かつ、メモリセルの各々に対してランダムアクセスが可能な不揮発性記憶装置である。
一般的に、このようなメモリセルは、磁化方向が固定された強磁性層を有する固定層と、外部磁界に応じてその磁化方向が変化する強磁性層からなる記録層とが、非磁性層を介して配置された構造(スピンバルブ(Spin Valve)構造)の磁気抵抗素子を含む。そして、このスピンバルブ構造の磁気抵抗素子は、記録層の磁化方向の変化に応じて生じる電気抵抗値の変化に対応付けてデータを記録する。
多くの磁気抵抗素子では、記録層の磁化方向が、固定層の磁化方向と平行または反平行となるような磁気異方性をもつように形成されている。そして、平行状態と反平行状態とのそれぞれに対応して、「0」および「1」の2値の各々が記録される。このように、固定層の磁化方向と平行または反平行となる方向が、記録層の磁化容易軸(easy axis)と称され、この磁化容易軸と直交する方向が磁化困難軸(hard axis)と称される。なお、記録層の磁化方向は、外部磁界に応じて磁化容易軸上を反転する際にはヒステリシス曲線を描く。
磁気抵抗素子において磁化方向に対応して電気抵抗値の変化が生じる原理としては、トンネル磁気抵抗(Tunnel Magneto Resistive:以下「TMR」と略記する)効果や、巨大磁気抵抗(Giant Magneto Resistive)効果などが知られている。これらの効果のうち、TMR効果による磁気抵抗素子が用いられることで、MRAMデバイスの性能が飛躍的に向上することが知られている。
このTMR効果による電気抵抗値の変化率をより大きくするために、記録層(自由層(free layer))としてCoFeB(コバルト鉄ボロン)を用いる技術が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
TMR効果が用いられたMRAMは、たとえば、特開2003−188439号公報に開示されている。この公報によれば、MRAMには相互に交差する2種類の配線(ワード線およびビット線)が設けられており、この交差部のそれぞれにTMR素子(磁気抵抗素子)が配置されている。
上記2種類の配線のそれぞれを流れる電流により、各TMR素子には、磁化容易軸方向および磁化困難軸方向の各々に外部磁界が印加される。各TMR素子においては、磁化容易軸方向および磁化困難軸方向の合成磁界に応じて、自由層(記録層)の磁化方向が反転し得る。この反転が可能な合成磁界の向きおよび大きさの特性は、いわゆるアステロイド曲線により規定される。特定のTMR素子を交差部に有する2種類の配線に選択的に電流が流されることで、特定のTMR素子においてのみ、アステロイド曲線で規定される磁化反転条件が満たされ、情報の書込みが行なわれる。すなわち、情報の書込みにおけるランダムアクセスが実現される。
磁化方向の反転に要する磁界(反転磁界)については、たとえば、非特許文献2において検討がなされている。この文献によれば、反転磁界(switching field)は記録層(free magnetic layer)の面内方向の幅にほぼ反比例し、かつ、厚さに比例する。すなわち、記録層の形状に依存して反転磁界が変化することになる。
特開2003−188439号公報 D. Wang et al., "70% TMR at Room Temperature for SDT Sandwich Junctions With CoFeB as Free and Reference Layers", IEEE Transactions on Magnetics,vol.40, No.4, July 2004, pp.2269-2271 E. Y. Chen et al., "Submicron spin valve magnetoresistive random access memory cell", Journal of Applied Physics, vol.81,No.8, 15 April 1997, pp.3992-3994
上記従来の磁気抵抗素子は、記録層の形状が変化すると、上記非特許文献2に示されるように、反転磁界が変化してしまう。よって、製造工程に起因して記録層の形状がばらつくと、情報の書込みに要する反転磁界にもばらつきが発生するという問題があった。また、このような磁気抵抗素子が用いられた従来の不揮発性記憶装置は、上記の反転磁界のばらつきに起因して、情報の書込みに要する電流にばらつきが発生するという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、磁気抵抗素子において、記録層の形状変化にともなう反転磁界の変化量を抑制することを目的とする。また、磁気抵抗素子を備えた不揮発性記憶装置において、情報の書込みに要する電流のばらつきを抑制することも目的とする。
本発明の一実施の形態による磁気抵抗素子は、固定された磁化方向を有する固定層と、固定層上に形成された非磁性層と、記録層とを備えている。この記録層は、非磁性層を介した固定層との対向面を有し、外部磁界により反転する磁化方向を有し、コバルトと鉄とホウ素と酸素とを含んでいる。
本発明の一実施の形態による不揮発性記憶装置は、複数の上述した磁気抵抗素子と、電流磁界を発生させるための第1および第2配線とを備えている。第2配線は、第1配線と交差部を有するように設けられている。磁気抵抗素子は、この交差部に設けられている。
本発明の一実施の形態による磁気抵抗素子の製造方法は以下の工程を備えている。
まず、固定された磁化方向を有する固定膜と、非磁性膜と、コバルトと鉄とホウ素とを含む強磁性膜とが順に積層された構成を有する積層膜が形成される。積層膜がパターニングされることにより積層体が形成される。上記強磁性膜の形成途中において酸素分圧が変化される。
本発明の他の実施の形態による磁気抵抗素子の製造方法は以下の工程を備えている。
まず、固定された磁化方向を有する固定膜が形成される。固定膜上に非磁性膜が形成される。非磁性膜上にコバルトと鉄とホウ素とを含む強磁性膜が形成される。強磁性膜が酸化される。磁性膜と、前記非磁性膜と、前記強磁性膜とを含む積層膜がパターニングされて、積層体が形成される。
上記の磁気抵抗素子およびその製造方法によれば、記録層が酸素を含んでいる。これにより、酸素を含まない場合と比較して、磁気抵抗素子の形状がばらついた場合の反転磁界のばらつきを抑制することができる。
上記の不揮発性記憶装置によれば、磁気抵抗素子の反転磁界のばらつきが抑制されるため、情報の書込みに要する電流値のばらつきを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
はじめに本実施の形態の不揮発性記憶装置の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における不揮発性記憶装置として、MRAMデバイスの模式的回路構成を示す図である。
図1を参照して、MRAMデバイス1は、外部からの制御信号およびアドレス信号に応答してランダムアクセスを実行し、入力データDinの書込みおよび出力データDoutの読出しを実行するように構成されている。MRAMデバイス1におけるデータ書込み動作およびデータ読出し動作は、たとえば、外部からのクロック信号に同期したタイミングで実行されるように構成されている。なお、外部からのクロック信号に同期する代わりに、MRAMデバイス1の内部で動作タイミングが定められるように構成されてもよい。
MRAMデバイス1は、行方向(図中横方向)にn行、列方向(図中縦方向)にm列に配列されている複数のメモリセルMCからなるメモリアレイを備えている。なお、nおよびmは自然数である。
メモリアレイのそれぞれの列は、ワード線WL1〜WLmの各々と、ワード線/WL1〜/WLmの各々とを有している。ワード線WL1〜WLmのそれぞれと、ワード線/WL1〜/WLmの各々とは、各列において2本の相補的なワード線対WL1,/WL1〜WLm,/WLmを構成している。また、それぞれの列は、書込みワード線(第1配線)WWL1〜WWLmも有している。メモリアレイのそれぞれの行は、ビット線(第2配線)BL1〜BLnを有している。
以下においては、ワード線対、ワード線、書込みワード線およびビット線のそれぞれが総称されて表現される場合には、符号WL,/WL、WL(/WL)、WWLおよびBLにより表記される。また、信号、信号線およびデータなどの2値的な高電圧状態および低電圧状態は、それぞれ「H」レベルおよび「L」レベルとも称される。
各メモリセルMCは、TMR効果を利用した磁気抵抗素子であるトンネル接合素子100と、アクセストランジスタATRとを有している。トンネル接合素子100と、アクセストランジスタATRとは、トンネル接合素子100を流れるトンネル電流経路と、アクセストランジスタATRを流れるチャネル電流経路とが直列接続されるように連結されている。各メモリセルMCにおいて、上記直列接続された部分の一方端は対応するメモリアレイ列のワード線/WLに接続され、他方端は対応するメモリアレイ行のビット線BLと接続されている。また、各メモリセルMCにおいて、アクセストランジスタATRのゲートは、対応するメモリアレイ列のワード線WLと接続されている。
また、MRAMデバイス1は、ワード線WLと接続されているワード線ドライバ帯6をさらに備えている。このワード線ドライバ帯6は、データ読出し(以下、単にデータアクセスとも称される)時において、列選択結果に応じて、データアクセスの対象となるメモリセルMCに対応するワード線WLを選択的に活性化する機能を有している。
また、MRAMデバイス1は、書込みデータおよび読出しデータを伝達するためのデータ線DWと、書込みデータを伝達するための書込みビット線WBLと、読出しビット線RBLと、カラムデコーダ8a,8bと、データ書込回路2と、データ読出回路4とを有している。
読出しビット線RBLは、ワード線/WLのそれぞれと、データ読出回路4とを接続している。データ書込回路2は、外部からライトイネーブル信号WEおよび入力データDinを受け、データ線DWおよび書込みビット線WBLに所定の電圧を印加する機能を有している。データ読出回路4は、外部からリードイネーブル信号REを受け、読出しビット線RBL上の電圧をセンスアンプで増幅し、図示しない参照抵抗の電圧値と比較し、その比較結果に基づいて出力データDoutを出力する機能を有している。
また、MRAMデバイス1は、メモリアレイ行に対応したカラム選択ゲートCSG1〜CSGnと、それぞれのメモリアレイ列に対応した書込みカラム選択ゲートWCSG1〜WCSGmとを有している。以下においては、カラム選択ゲートおよび書込みカラム選択ゲートのそれぞれが総称されて表現される場合には、符号CSGおよびWCSGにより表記される。
カラムデコーダ8aは、カラムアドレスCAのデコード結果、すなわち行選択結果に応じて、データ書込み時およびデータ読出し時の各々において、カラム選択ゲートCSGを選択的に活性化する機能を有している。活性化されたカラム選択ゲートCSGは、データ線DWを、対応するビット線BLと電気的に結合する機能を有している。
同様に、カラムデコーダ8bは、カラムアドレスCAのデコード結果、すなわち列選択結果に応じて、データ書込み時において、書込みカラム選択ゲートWCSGを選択的に活性化する機能を有している。活性化された書込みカラム選択ゲートWCSGは、書込みビット線WBLを、対応する書込みワード線WWLと電気的に結合する機能を有している。
図2は、本発明の実施の形態1における不揮発性記憶装置のメモリセルおよびその周辺の構成を概略的に示す断面図である。
図2を参照して、ビット線BLは、一の方向(図中横方向)に延在するように、半導体基板40上に層間絶縁膜42を介して形成されている。このビット線BLは、銅配線44およびバリアメタル46を有している。なお、バリアメタル46は、銅の拡散を防止するために層間絶縁膜42と銅配線44との間に配置された膜である。
書込みワード線WWLは、ビット線BLの延在方向と直交する方向で、かつ、ビット線BLと半導体基板40との間に形成されている。よって、平面パターンにおいて、書込みワード線WWLはビット線BLと交差部を有している。なお、ビット線BLと同様に、書込みワード線WWLも銅配線44およびバリアメタル46を有している。
ワード線/WLは、書込みワード線WWLと同一方向に延在している。なお、ワード線/WLも、ビット線BLと同様に、銅配線44およびバリアメタル46を有している。
ワード線WLは、ゲート絶縁膜52を介して、半導体基板40上に形成されている。ワード線WLの延在方向は、書込みワード線WWLおよびワード線/WLと同一である。なお、ワード線WLの側面(図中横側の面)にはサイドウォール54bが形成されている。
トンネル接合素子100は、半導体基板40の厚み方向(図中縦方向)におけるビット線BLと書込みワード線WWLとに挟まれた位置であって、平面パターンにおけるビット線BLと書込みワード線WWLとの交差部の位置に配置されている。トンネル接合素子100は、固定層PLと、トンネル絶縁層BALと、記録層RLと、非磁性層17とが順に積層された積層体である。なお、この積層体の積層面は半導体基板40の面と平行である。
アクセストランジスタATRは、半導体基板40の上面側(図中上側)に形成されたソース領域54sおよびドレイン領域54dを有している。このソース領域54sとドレイン領域54dとに挟まれた位置において、半導体基板40上に、ゲート絶縁膜52を介して、ワード線WLが形成されている。これにより、ワード線WLはアクセストランジスタATRのゲートとして機能を有している。
ビット線BLの下面と、トンネル接合素子100の非磁性層17の上面とは、コンタクト56を介して電気的に接続されている。また、トンネル接合素子100の固定層PLの下面は、導電層48と、コンタクトプラグ50aと、コンタクトプラグ50bとを介して、アクセストランジスタATRのドレイン領域54dに電気的に接続されている。アクセストランジスタATRのソース領域54sと、ワード線/WLとは、コンタクトプラグ50cを介して、電気的に接続されている。
これにより、ビット線BLとワード線/WLとの間が、互いに直列に接続されたトンネル接合素子100およびアクセストランジスタATRにより電気的に接続されている。
図3は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子の積層構成を概略的に示す断面図である。図3を参照して、上述したように、トンネル接合素子100は、固定層PLと、トンネル絶縁層BALと、記録層RLと、非磁性層17とを有している。
固定層PLは、反強磁性層10と、強磁性層11と、非磁性層12と、強磁性層13とがこの順に積層された構成を有している。トンネル絶縁層BALは、絶縁性を有する非磁性層14を有している。
記録層RLは第1強磁性領域15および第2強磁性領域16を有している。記録層RLの第1強磁性領域15は、非磁性層14を介して、固定層PLの強磁性層13との対向面IFを有している。なお、トンネル接合素子100の最上面には、保護膜として非磁性層17が形成されている。
固定層PLの磁化方向は、トンネル接合素子100が使用される外部磁界の強度の範囲内においては固定されている。一方、記録層RLの磁化方向は、外部磁界に応じて反転し得る。
反強磁性層10の材質としては、たとえば、PtMn、FeMn、IrMnを用いることができる。
強磁性層11の厚さは、たとえば2nmである。材質としてはCoFe合金を用いることができる。
非磁性層12の厚さは、たとえば1nmである。材質としてはRuを用いることができる。なお、Cu、Taなどの金属膜を用いることもできる。
強磁性層13の厚さは、たとえば2nmであり、材質としてはCoFeB合金を用いることができる。なお、強磁性層11および強磁性層13の具体的な材質としては、上述した材質に限定されるものではなく、たとえば、Co、FeおよびNiなどを主成分とする金属材料を用いることができる。具体的には、CoFe合金、CoFeB合金、NiFe合金、Co、Fe、CoNi合金、CoFeNi合金などを用いることができる。
非磁性層14の厚さはたとえば1nmであり、材質としてはアルミニウムの酸化物(AlOx)を用いることができる。これにより、非磁性層14は、トンネル効果の生じる絶縁層であるトンネル絶縁層BALとしての機能を有している。なお、非磁性層14はトンネル効果を生じる絶縁物であればよい。よって、アルミニウムの酸化物の代わりに、酸化マグネシウム(MgO)、タンタルの酸化物(TaOX)、酸化シリコン(SiO2)など他の金属酸化膜を用いることもできる。
第1強磁性領域15の厚さは、たとえば1.5nmであり、材質としてはCoFeB合金が用いられている。すなわち、第1強磁性領域15は、コバルトと、鉄と、ホウ素とを含んでおり、酸素を実質的には含んでいない。
第2強磁性領域16の厚さは、たとえば2nmであり、材質としてはCoFeB合金に酸素が導入された材質が用いられている。すなわち、第2強磁性領域16は、コバルトと、鉄と、ホウ素と、酸素とを含んでいる。
非磁性層17の材質としては、Taが用いられている。なお、Taの代わりに、Cu、Ruなどを用いることもできる。また、非磁性層17は金属膜である必要はなく、金属の酸化膜であってもよい。
なお、固定層PLの磁化方向が固定されている原理を以下に説明する。まず、反強磁性層10および強磁性層11との交換結合により、反強磁性層10が強磁性層11の磁化方向を固定している。さらに、強磁性層11および強磁性層13との非磁性層12を介した交換結合により、強磁性層11が強磁性層13の磁化方向を固定している。
また、強磁性層11と強磁性層13とは互いに打消し合うような磁化方向を有している。すなわち、非磁性層12を介した強磁性層11および強磁性層13の積層構造は、人工的な反強磁性構造を有している。この反強磁性構造と、反強磁性層10とは、それぞれ磁化がほぼゼロとなっている。よって、固定層PL全体としても、磁化はほぼゼロとなっている。
図4は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗素子の記録層の酸素濃度プロファイルのグラフである。図3および4を参照して、グラフの横軸は、記録層RLの上面を原点とし、対向面IFに向かう方向を正の方向とした場合の、記録層RLの厚み位置を示している。グラフの縦軸は、上記厚み位置における酸素原子濃度を示している。
図4を参照して、第1強磁性領域15は実質的に酸素を含有していない領域である。第2強磁性領域16は、酸素を原子濃度として約20%含有している領域である。記録層RLの酸素原子濃度は、第2強磁性領域16と第1強磁性領域15との境界周辺において、対向面IFに向かって減少している。
なお、第1強磁性領域15と第2強磁性領域16との境界部分においては、グラフが完全に垂直にはならず、ある程度の傾きを有しているが、これは原子の拡散現象によるためである。第1強磁性領域15の厚みt1と、第2強磁性領域16の厚みt2とを規定するためには、たとえば第2強磁性領域16における酸素原子濃度の半分の濃度となる厚み位置を境界とすることができる。
好ましくは、第1強磁性領域15の厚み寸法t1は、0.5nm以上とされる。これは、対向面IFから厚み方向に0.5nmの範囲内は、磁性膜として機能しない状態の層(Dead Layer)となり得るため、それ以上の厚みの第1強磁性領域15を形成することが望ましいためである。
図5は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子の平面パターンを示す図である。主に図5を参照して、本実施の形態のトンネル接合素子100は、半導体基板40(図2)の基板面内方向において、磁気異方性を有している。すなわち、トンネル接合素子100は、基板面内方向において、磁化容易軸と、磁化困難軸とを有している。
トンネル接合素子100は、平面パターンとして楕円形状を有しており、上記の磁化容易軸方向と磁化困難軸方向とが楕円の主軸方向と一致している。トンネル接合素子100の磁化容易軸方向(図中横方向)の寸法である長さ寸法Lは、たとえば400nmである。また、磁化困難軸方向の寸法である幅寸法Wは、たとえば200nmである。
図6は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子のアステロイド曲線を示す説明図である。主に図6を参照して、トンネル接合素子100は、基板面内方向において、ビット線BLと書込みワード線WWLとの交差部にその中心が一致するように配置されている。なお、基板厚み方向については、図2に示されるように、トンネル接合素子100はビット線BLと書込みワード線WWLとに挟まれた位置に配置されている。
また、トンネル接合素子100は、磁化容易軸(図5)方向が書込みワード線WWLの延在方向と一致し、かつ、磁化困難軸(図5)方向がビット線BLの延在方向と一致する向きに配置されている。
すなわち、トンネル接合素子100は、ビット線BLを流れるビット線電流Ibにより磁化容易軸方向の外部磁界H(Ib)を受け、書込みワード線WWLを流れる書込み線電流Iwにより磁化困難軸方向の外部磁界H(Iw)を受けるように配置されている。つまり、トンネル接合素子100は、外部磁界H(Ib)およびH(Iw)の合成磁界Hを受けるように配置されている。
図7(a)および(b)は、本発明の実施の形態1における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子の磁化方向の状態を示す説明図である。図7(a)および(b)を参照して、本実施の形態のトンネル接合素子100は、この磁化方向の向きが異なる2つの状態、すなわち、反平行状態(図7(a))と、平行状態(図7(b))との2つの状態をとることができるように構成されている。
図7(a)を参照して、反平行状態とは、記録層RLの磁化方向が固定層PLの強磁性層13の磁化方向と反平行(反対方向)となり、トンネル接合素子100が高抵抗となる状態である。図7(b)を参照して、平行状態とは、記録層RLの磁化方向が固定層PLの強磁性層13の磁化方向と平行(同方向)となり、トンネル接合素子100が低抵抗となる状態である。
次に、本実施の形態の磁気抵抗素子としてのトンネル接合素子100の記録層RLの特性について説明する。
図8は、本発明の実施の形態1の記録層に用いられる磁性膜と、その比較例1とのそれぞれの磁化特性を実線および破線の各々により概略的に示すグラフである。ここで比較例1は、本実施の形態の記録層RLの磁性膜と異なり酸素を含有していないが、それ以外の点では本実施の形態の記録層RLの磁性膜と同一の構成を有する膜である。なお、この磁化特性は、磁性膜に対して微細パターニングが施されていない状態での特性である。
図8を参照して、磁化がほぼ飽和に至る磁界の絶対値が、比較例1(破線)よりも本実施の形態(実線)は高くなっている。また、飽和磁化の絶対値は、比較例1(破線)よりも本実施の形態(実線)は低くなっている。
図9は、本発明の実施の形態1、比較例1および比較例2における磁気抵抗素子としてのトンネル接合素子の記録層の反転磁界と、記録層の幅寸法との関係を概略的に示すグラフである。ここで比較例1は、酸素を含有していないがそれ以外の点では本実施の形態の記録層RLと同一の構成を有する層である。比較例2は、層の厚み寸法が3nmである点で比較例1(層の厚み寸法が3.5nm)と異なるが、それ以外の点では比較例1と同一の構成を有する層である。なお、ここでの反転磁界HSWとは、磁化容易軸方向に外部磁界が掃引された際のヒステリシス幅の半分の強度の磁界のことである。
図9を参照して、互いに膜厚が等しい実施の形態1と比較例1とを比べると、実施の形態1のグラフ(図中実線)の方が、比較例1のグラフ(図中一点鎖線)よりも勾配が緩やかである。すなわち、本実施の形態の方が、比較例1よりも、トンネル接合素子100の幅寸法Wに対する反転磁界HSWの依存性が低い。
また、トンネル接合素子100の幅寸法が400nm程度では、本実施の形態(図中実線)と比較例1(図中一点鎖線)とで、反転磁界HSWはほぼ同じである。しかし、幅寸法が約300nm以下になると、実施の形態1の方が比較例1に比して反転磁界HSWが低くなっている。
なお、本実施の形態のトンネル接合素子100と比較例2とは、幅寸法Wが250nmにおいて、反転磁界HSWがほぼ同じである。すなわち、単に反転磁界HSWを低減するだけの目的であれば、記録層RLの膜厚を低減すればよいことになる。しかし、その場合は、比較例2のグラフに示されるように、トンネル接合素子100の幅寸法Wに対する反転磁界HSWの依存性が高くなってしまう。
次に、本実施の形態において、記録層RLの平面パターン形状に対する反転磁界HSWの依存性が低くなる原理について説明する。
記録層RLの異方性磁界Hk、トンネル接合素子100の幅寸法Wおよび長さ寸法L、記録層RLを構成する第1強磁性領域15の飽和磁化Ms1、第1強磁性領域15の厚さt1、第2強磁性領域16の飽和磁化Ms2、第2強磁性領域16の厚さt2により、記録層RLの反転磁界HSWは近似的に以下の(1)式のように表される。
SW=Hk+4π×C(L/W)×(Ms1×t1+Ms2×t2)/W・・・(1)
なお、C(L/W)は、記録層RLの長さ寸法Lおよび幅寸法Wの寸法比L/Wに依存した係数であり、0≦C(L/W)≦1である。
また、第1強磁性領域15および第2強磁性領域16とが積層化された見かけ上の磁気異方性エネルギーをKuとすると、異方性磁界Hkは以下のように表される。
k=2×Ku×t/(Ms1×t1+Ms2×t2)・・・(2)
式(2)で、tは記録層RLの総厚み寸法t=t1+t2である。
ここで、第1強磁性領域15および第2強磁性領域16とが積層化された見かけ上の飽和磁化Ms=(Ms1×t1+Ms2×t2)/(t1+t2)が用いられると、式(1)および(2)から
SW=2×Ku/Ms+4πt×Ms{C(L/W)/W}・・・(3)
となる。
式(3)において、第1項は記録層RLの平面パターン形状に依存する値を含んでいない。一方、第2項は、平面パターン形状に依存する部分{C(L/W)/W}を含んでいる。また、第1項はMsに反比例し、第2項はMsに比例する。よって、Msを低減することにより、記録層RLの平面パターン形状に依存しない第1項の値を大きくできるとともに、第2項の記録層RLの平面パターン形状に依存する部分{C(L/W)/W}に掛かる係数を小さくできる。すなわち、Msを低減することにより反転磁界HSWの記録層RLの平面パターン形状依存性を抑制できる。
再び図8を参照して、本実施の形態の記録層RLに用いられる磁性膜の飽和磁化は、酸素を含まない比較例1の飽和磁化よりも小さくなっている。すなわち、酸素導入により、飽和磁化Msが低減されていることがわかる。よって、式(3)によれば、反転磁界HSWの記録層RLの平面パターン形状依存性を抑制できる。
次に、本実施の形態における記録層RLの磁化方向の熱擾乱に対する安定性について説明する。
熱擾乱による記録層RLの磁化方向の反転確率は、飽和磁化Ms、反転磁界HSWおよび記録層RLの磁化を有する領域の体積Vに依存して小さくなる。この反転確率の指標として、下記の値Δを用いることができる。
Δ=Ku’V/KbT・・・(4)
ここで、K’はMs×HSWに比例する記録層RLの実効的な異方性エネルギー、Kbはボルツマン定数、Tは温度である。
このΔが大きいほど、熱による記録層の意図しない反転確率が減少し、熱擾乱に対する磁化方向の安定性が向上する。MRAMの集積化において、寸法比L/Wおよび厚さtが一定の下で記録層RLが微細化された場合、Wの減少により(1)式で表されるHSWは第2項の影響で増大する。よって、K’が増大する。一方、記録層RLの体積Vは幅寸法Wの減少に伴い減少する。この結果、式(4)によりΔが減少し、熱擾乱に対する磁化方向の安定性が劣化する。
なお、HSWの増大を抑制すること自体は、前述したように、記録層RL全体の厚さtを減少させることにより可能である。しかし、この場合、体積Vが減少し、かつ、HSWも減少するため、Δが減少し、熱擾乱に対する磁化方向の安定性が劣化してしまう。
次に、本実施の形態におけるトンネル接合素子100のTMR効果について説明する。本実施の形態における記録層RLは、トンネル絶縁層BALに接しておりTMR効果への影響の大きい第1強磁性領域15において、酸素を含有しないCoFeB膜を用いている。これによりTMR効果による抵抗変化率を、酸素を含有しないCoFeB単体の記録層が用いられた場合とほぼ同等とすることができる。たとえば、低抵抗状態に比して高抵抗状態においては60%大きな抵抗値を得ることができる。
なお、酸素を含有しない従来のトンネル接合素子において、記録層としてNiFe膜を用いた場合は、低抵抗状態に比して高抵抗状態の抵抗値は40%ほど大きくなる。よって、CoFeB膜を用いることによって、TMR効果として1.5倍の変化率が得られていることになる。
次に、本実施の形態の不揮発性記憶装置1のデータ書込み動作について説明する。
図1を参照して、カラムデコーダ8aは、選択されたメモリアレイ行に対応するカラム選択ゲートCSGを「H」レベルに活性化し、当該メモリアレイ行に対応するビット線BLをデータ線DWと電気的に接続する。同様に、カラムデコーダ8bも選択されたメモリアレイ列に対応する書込みカラム選択ゲートWCSGを「H」レベルに活性化し、当該メモリアレイ列に対応する書込みワード線WWLを書込みビット線WBLと電気的に接続する。
データ線DWおよびデータ書込み線WBLのそれぞれには、データ書込回路2により、入力データDinに応じた所定の電圧が与えられる。これにより、選択されたメモリアレイ行およびメモリアレイ列に対応するメモリセルMCには、図6に示されるように、ビット線BLの電流Ibにより生じる外部磁界H(Ib)と、書込みワード線WWLの電流Iwにより生じる外部磁界H(Iw)とが同時に与えられる。
図6を参照して、この結果、アステロイド曲線のグラフにおいて、トンネル接合素子100に与えられる合成磁界Hのベクトル終点は、アステロイド曲線により囲まれた領域の外側に位置することになる。これにより、記録層RLの磁化は、磁化容易軸上の+Mまたは−M方向のいずれかに変化する。すなわち、合成磁界Hのベクトル終点がアステロイド曲線を+M側に超えると、記録層RLの磁化方向は、磁化容易軸上の+M方向に変化し、−M側に超えると、記録層RLの磁化方向は、磁化容易軸上の−M方向に変化する。この結果、トンネル接合素子100の記録層RLが、入力データDinに応じた方向に磁化される。
ここで、たとえば反平行状態(図7(a))が「0」値、平行状態(図7(b))が「1」値という定義が適用されれば、入力データDinに応じて、トンネル接合素子100に「0」値または「1」値のいずれかが記録されることになる。このようにして、カラム選択ゲートCSGおよび書込みカラム選択ゲートWCSGにより選択された1つのメモリセルMCに対してデータ書込みが実行される。
なお、図1および図6を参照して、選択されたメモリアレイ行に配置されている複数のメモリセルMCのうち非選択のメモリセルMCにおいては、ビット線BLを流れる電流Ibによる外部磁界H(Ib)が加わるが、書込みワード線WWLからの外部磁界H(Iw)が加わらないので、磁化方向は不変である。同様に、選択されたメモリアレイ列に配置されている複数のメモリセルMCのうち非選択のメモリセルMCにおいては、書込みワード線WWLを流れる電流Iwによる外部磁界H(Iw)が加わるが、ビット線BLからの外部磁界H(Ib)が加わらないので、磁化方向は不変である。
次に、本実施の形態の不揮発性記憶装置1のデータ読出し動作について説明する。
図1を参照して、ワード線ドライバ帯6は、選択されたメモリアレイ列に対応するワード線WLを「H」レベルに活性化して、対応するメモリアレイ列に配置されたメモリセルMCのアクセストランジスタATRを活性化させる。すると、活性化されたアクセストランジスタATRと直列接続されているトンネル接合素子100の両端のそれぞれが、ワード線/WLおよびビット線BLの各々と電気的に接続される。
一方、カラムデコーダ8aは、選択されたメモリアレイ行に対応するカラム選択ゲートCSGを「H」レベルに活性化し、このメモリアレイ行のビット線BLをデータ線DWと電気的に接続する。そして、データ書込回路2が所定の参照電圧をデータ線DWに与える。すると、データ線DW、カラム選択ゲートCSG、ビット線BL、メモリセルMC、ワード線/WLおよび読出しビット線RBLの経路で読出し電流が生じる。ここで、データ読出回路4は、読出しビット線RBLを流れる電流値を基にして、選択されたメモリセルMCの電気抵抗値を検出する。
この電気抵抗値が高抵抗状態であれば、トンネル接合素子100は反平行状態であると判別される。すなわち、メモリセルMCには「0」値が記録されていることが判別される。逆に、この電気抵抗値が低抵抗状態であれば、トンネル接合素子100は平行状態であると判別される。すなわち、メモリセルMCには「1」値が記録されていることが判別される。このようにして、ワード線ドライバ帯6により選択されたメモリアレイ列と、カラム選択ゲートCSGにより選択されたメモリアレイ行とにより特定される1つのメモリセルMCに対してデータ読出しが実行される。
次に、本実施の形態の磁気抵抗素子として、トンネル接合素子100の製造方法について説明する。図3を参照して、反強磁性層10、強磁性層11、非磁性層12および強磁性層13となる膜が連続的に積層成膜されることで、積層構造を有する固定膜が形成される。反強磁性層10、強磁性層11、13となる膜が成膜される際には、磁気異方性が付与されるように、半導体基板40(図2)の面内方向の磁化容易軸とすべき方向に100Oe程度の磁界が印加される。これにより、固定された磁化方向を有する固定膜が形成される。
続いて、この固定膜上に、トンネル絶縁層BAL(非磁性層14)となる非磁性膜が形成される。このためには、まずアルミニウム(Al)膜が成膜される。次に、このAl膜が、たとえば酸素プラズマに曝されることにより酸化され、AlOxからなる非磁性膜が形成される。
続いて、この非磁性膜上に、記録層RLの第1強磁性領域15および第2強磁性領域16となる強磁性膜が連続的に成膜される。成膜方法としては、たとえば、コバルトと鉄とホウ素とを含むターゲットが用いられたスパッタ法が用いられる。この成膜の際、まずは、プロセスガスとしてたとえばアルゴン(Ar)100%のガスが用いられる。よって、雰囲気中の酸素分圧は実質的にゼロである。この雰囲気の下で、記録層RLとなる強磁性膜のうち、第1強磁性領域15に相当する部分が形成される。
次に、プロセスガスが、たとえばAr100%のガスから、Arと酸素との混合ガスに切り替えられる。これにより実質的に酸素分圧が存在する状態で、第2強磁性領域16となる部分が形成される。成膜法としては、たとえば、コバルトと鉄とホウ素とを含むターゲットが用いられたスパッタ法が用いられる。
なお、上記の強磁性膜の成膜の際には、前述した固定膜の形成と同様の方法により、磁気異方性が付与される。
続いて、この強磁性膜上に非磁性層17となる膜が形成される。
上記一連の成膜工程は、大気から遮断された雰囲気で行なわれる。これにより、強磁性膜のうち記録層RLの第2強磁性領域16となる部分と、トンネル絶縁層BALとなる非磁性膜とは酸素を含有し、それ以外の膜は実質的に酸素を含有しない。なお、非磁性層17については酸素を含有してもよい。
成膜法としては、トンネル絶縁層BALおよび第2強磁性領域16となる膜については、たとえば、RF(Radio Frequency)マグネトロンスパッタリング法を用いることができる。これ以外の膜については、たとえばDC(Direct Current)マグネトロンスパッタリング法により、Arガス雰囲気中で行なうことができる。
上記工程により、固定された磁化方向を有する固定膜と、非磁性膜と、コバルトと鉄とホウ素とを含む強磁性膜とが順に積層された構成を有する積層膜が形成される。
続いて、この積層膜上に、フォトリソグラフィ法により、エッチングマスクが形成される。このマスク形状は、トンネル接合素子100の平面パターン(図5)に対応するものであり、膜形成時の磁界印加方向と楕円形状の長軸方向とは同一方向とされる。次に、このマスクを用いた反応性イオンエッチングにより、上記積層膜のパターニングが行なわれる。これにより、トンネル接合素子100となる積層体が形成される。
続いて記録層RLおよび固定層PLに対して熱処理が行なわれる。一例としては、記録層RLおよび固定層PLを構成する強磁性層11、13の磁化容易軸とすべき方向に、すべての強磁性層を飽和させることのできる磁界強度である10kOe程度の磁界が印加されつつ、約300℃で10時間程度保持される。この熱処理により、記録層RLおよび固定層PLに磁気異方性が付与される。以上により、トンネル接合素子100が形成される。
本実施の形態によれば、図3に示すように、記録層RLが酸素を含む第2強磁性領域16を有している。これにより、図8に示すように、酸素を含まない場合(比較例1)と比較して、飽和磁化Msが低くなっている。よって、式(3)により、反転磁界HSWのトンネル接合素子100の幅寸法Wおよび長さ寸法Lに対する依存性を小さくすることができる。
なお、本実施の形態において反転磁界HSWの幅寸法Wに対する依存性が抑制されていることは、図9に示す実施の形態1のグラフと比較例1のグラフとの比較によっても明らかである。このように、トンネル接合素子100の形状ばらつきに伴う反転磁界HSWのばらつきを抑制することができる。
また、トンネル接合素子100の反転磁界HSWのばらつきが上記のように抑制可能であるため、不揮発性記憶装置1(図1)において、情報の書込みのためにビット線BLおよび書込みワード線WWLに流される必要のある電流値のばらつきも抑制することができる。
また、図4に示すように、記録層RLの酸素原子濃度が対向面IFに向かって減少している。これにより、上記のように記録層RLは酸素を含んでいるが、対向面IF近傍の位置においては酸素原子濃度を低くすることができる。これにより、酸素の存在によるTMR効果の低減を抑制することができる。
特に、対向面IFの位置に酸素原子濃度がゼロの第1強磁性領域15が設けられることにより、TMR効果の低減をさらに抑制することができる。
また、トンネル接合素子100は、幅寸法W(図5)が300nm以下とされている。これにより、図9に示すように、酸素を含まない場合(比較例1)と比して、トンネル接合素子100における反転磁界HSWを小さくすることができる。
また、このように反転磁界HSWが小さいトンネル接合素子100が用いられた不揮発性記憶装置1においては、書込み電流を低減することができるため、不揮発性記憶装置1の消費電力を低減することができる。
また、上記の反転磁界HSWの低減は、記録層RLの厚みtを低減せずに行なうことができる。このため、式(3)における体積Vを維持することができる。よって、熱擾乱により記録層RLの磁化方向が反転してしまうことを防止することができる。この結果として、不揮発性記憶装置1において、データ保持特性が低下することを防止することができる。
また、記録層RLとして、CoFeB合金が用いられている。これにより、たとえばNiFeが用いられる場合と比して、高いTMR効果を得ることができる。
また、上記強磁性膜の形成途中において、酸素分圧が変化される。これにより、強磁性膜の厚み方向に、酸素原子濃度を変化させることができる。
(実施の形態2)
最初に、本発明の実施の形態2における磁気抵抗素子の構成について説明する。
図10は、本発明の実施の形態2における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子の積層構成を概略的に示す断面図である。図10を参照して、本実施の形態の構成は、実施の形態1のトンネル接合素子100の構成(図3)と比較して、固定層PL、トンネル絶縁層BAL、記録層RLからなる積層体の積層の順番が反転している。なお、記録層RLの第1強磁性領域15がトンネル絶縁層BALを介して固定層PLの強磁性層13との対向面IFを有している点は、実施の形態1と共通である。
言い換えれば、実施の形態1のトンネル接合素子100の構成は、いわゆるボトム型スピンバルブと呼ばれる構成であり、本実施の形態のトンネル接合素子100Tの構成は、いわゆるトップ型スピンバルブと呼ばれる構成である。
なお、本実施の形態2の不揮発性記憶装置は、実施の形態1の不揮発性記憶装置(図2)と異なり、固定層PL側が非磁性層17を介してビット線BLと接続され、記録層RL側が、導電層48と、コンタクトプラグ50aと、コンタクトプラグ50bとを介して、アクセストランジスタATRのドレイン領域54dに電気的に接続されている。
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態1の構成とほぼ同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、本実施の形態の磁気抵抗素子として、トンネル接合素子100Tの製造方法について説明する。
図10を参照して、まず、記録層RLとなる強磁性膜が形成される。具体的には、最初に、第2強磁性領域16となる膜が成膜される。成膜法は実施の形態1における第2強磁性領域16となる部分の成膜方法と同様である。すなわち、プロセスガスとしては、たとえば、Arと酸素との混合ガスを用いることができる。これにより実質的に酸素分圧が存在する状態で、第2強磁性領域16となる膜が形成される。
続いて、プロセスガスが、たとえばAr100%ガスなどの酸素を含まないガスに切り替えられる。これにより、雰囲気中の酸素分圧は実質的にゼロとなる。この雰囲気において、第2強磁性領域16となる膜の上に、第1強磁性領域15となる膜が連続的に成膜される。成膜法は、実施の形態1における第1強磁性領域15となる部分の成膜方法と同様である。
なお、上記の強磁性膜の形成時に磁気異方性が付与される点は、実施の形態1と同様である。
続いて、この強磁性膜の上に、トンネル絶縁層BAL(非磁性層14)となる非磁性膜が形成される。成膜法は実施の形態1と同様である。
続いて、この非磁性膜の上に、固定層PLとなる固定膜が形成される。具体的には、強磁性層13、非磁性層12、強磁性層11および反強磁性層10となる膜が、この順に連続的に成膜される。
なお、固定膜の形成時に磁気異方性が付与される点は、実施の形態1と同様である。
続いて、この固定膜の上に非磁性層17となる膜が形成される。
上記工程により、コバルトと鉄とホウ素とを含む強磁性膜と、非磁性膜と、固定された磁化方向を有する固定膜とが順に積層された構成を有する積層膜が形成される。
続いて、この積層膜から、実施の形態1と同様の方法により、トンネル接合素子100Tが形成される。
本実施の形態によれば、トップ型スピンバルブの構成を有する磁気抵抗素子において、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
最初に、本発明の実施の形態3における磁気抵抗素子の構成について説明する。
図11は、本発明の実施の形態3における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子の積層構成を概略的に示す断面図である。図11を参照して、本実施の形態の構成は、実施の形態1のトンネル接合素子100の構成(図3)と異なり、記録層RLが強磁性層19から構成されている。強磁性層19は、コバルトと、鉄と、ホウ素と、酸素とを含んでいる。強磁性層19の厚み寸法は、たとえば3nmである。
図12は、本発明の実施の形態3における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子の記録層の酸素濃度プロファイルのグラフである。図11および12を参照して、グラフの横軸は、記録層RLの上面を原点とし、対向面IFに向かう方向を正の方向とした場合の、記録層RLの厚み位置を示している。グラフの縦軸は、上記厚み位置における酸素原子濃度を示している。図12を参照して、強磁性層19の酸素原子濃度は、対向面IFに向かって徐々に減少している。
次に、本実施の形態の磁気抵抗素子として、トンネル接合素子101の製造方法について説明する。
図11を参照して、まず、実施の形態1と同様の方法により、固定層PLとなる固定膜と、その上に形成されたトンネル絶縁層BAL(非磁性層14)となる非磁性膜とが形成される。
次に、記録層RLとなる強磁性膜が形成される。この形成は、酸素分圧が実質的にゼロの雰囲気で行なわれる。これにより、酸素を実質的に含まない強磁性膜が形成される。具体的には、たとえばAr100%のプロセスガスと、コバルト、鉄およびホウ素を含むターゲットとが用いられたスパッタ法を用いることができる。
続いて、この強磁性膜を酸化する工程が行なわれる。具体的には、強磁性膜を酸素を含むプラズマに曝す方法を用いることができる。なお、酸化方法はこれに限定されるものではなく、ラジカル酸化、オゾンによる酸化または熱酸化など、他の方法を用いることもできる。この酸化により、強磁性膜の中に酸素が導入される。
続いて、この酸化された強磁性膜の上に非磁性層17となる膜が形成される。
上記工程により、固定された磁化方向を有する固定膜と、非磁性膜と、コバルトと鉄とホウ素と酸素とを含む強磁性膜とが順に積層された構成を有する積層膜が形成される。
続いて、この積層膜から、実施の形態1と同様の方法により、トンネル接合素子101が形成される。
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態1の構成とほぼ同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、強磁性膜の成膜が1段階で行なわれる。よって、実施の形態1または2のように第1強磁性領域15と、第2強磁性領域16とを形成するために、成膜条件の異なる2段階の成膜工程を経る必要がない。よって、磁気抵抗素子の製造工程を簡便にすることができる。
また、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様に、記録層RLが酸素を含んでいる。よって、実施の形態1におけるトンネル接合素子100と同様に、トンネル接合素子101の形状ばらつきに伴う反転磁界HSWのばらつきを抑制することができる。
また、トンネル接合素子101の反転磁界HSWのばらつきが上記のように抑制可能であるため、不揮発性記憶装置1(図1)において、情報の書込みのためにビット線BLおよび書込みワード線WWLに流される必要のある電流値のばらつきを抑制することができる。
また、図12に示すように、記録層RLの酸素原子濃度が対向面IFに向かって減少している。これにより、上記のように記録層RLは酸素を含んでいるが、TMR効果への影響の大きい対向面IF近傍の位置においては酸素原子濃度を低くすることができる。これにより、酸素の存在によるTMR効果の低減を抑制することができる。
また、強磁性膜を酸化する工程が行なわれる。これにより、強磁性膜の露出表面側から酸化が進行する。よって、強磁性膜の露出表面側から非磁性膜に向かって酸素濃度が減少するように酸化が進行する。これにより、記録層RLの酸素原子濃度が対向面IFに向かって減少するように酸素を導入することができる。
また、トンネル接合素子101は、幅寸法W(図5)が300nm以下とされている。これにより、実施の形態1におけるトンネル接合素子100と同様に、トンネル接合素子101における反転磁界HSWを小さくすることができる。
また、このように反転磁界HSWが小さいトンネル接合素子101が用いられた不揮発性記憶装置1においては、書込み電流を低減することができるため、不揮発性記憶装置の消費電力を低減することができる。
なお、上記の反転磁界HSWの低減は、記録層RLの厚みtを低減することなしに行なうことができる。このため、実施の形態1と同様に、不揮発性記憶装置においてデータ保持特性が低下することを防止することができる。
また、記録層RLとして、CoFeB合金が用いられている。これにより、実施の形態1と同様に、たとえばNiFeが用いられる場合と比して、高いTMR効果を得ることができる。
(実施の形態4)
最初に、本発明の実施の形態4における磁気抵抗素子の構成について説明する。
図13は、本発明の実施の形態4における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子を概略的に示す断面図である。図13を参照して、本実施の形態のトンネル接合素子102の記録層RLは、トンネル接合素子102の側壁に位置する側壁強磁性領域18と、この側壁強磁性領域18により側面が被覆された第1強磁性領域15とを有している。第1強磁性領域15は、コバルトと、鉄と、ホウ素とを含み、酸素を実質的に含んでいない。
側壁強磁性領域18は、コバルトと、鉄と、ホウ素と、酸素とを含んでいる。側壁強磁性領域18の側壁における表層部分の酸素原子濃度はたとえば20%であり、表層部分から内部に向かうにつれて、その濃度は小さくなっている。そして、表層部分から、たとえば5nm以上離れた位置において、酸素濃度が実質的にゼロの領域(すなわち第1強磁性領域15)となっている。このように、記録層RLは、対向面IFの面内方向(図13における横方向)に不均一に酸素を含んでいる。
次に、本実施の形態の磁気抵抗素子として、トンネル接合素子102の製造方法について説明する。
図13を参照して、まず、実施の形態1と同様の方法により、固定層PLとなる固定膜と、その上に形成されたトンネル絶縁層BAL(非磁性層14)となる非磁性膜とが形成される。
次に、記録層RLとなる強磁性膜が形成される。この形成は、酸素分圧が実質的にゼロの雰囲気で行なわれる。これにより、酸素を実質的に含まない強磁性膜が形成される。具体的には、たとえばAr100%のプロセスガスと、コバルト、鉄およびホウ素を含むターゲットとが用いられたスパッタ法により形成を行なうことができる。
続いて、この強磁性膜の上に非磁性層17となる膜が形成される。
上記工程により、固定された磁化方向を有する固定膜と、非磁性膜と、コバルトと鉄とホウ素とを含み、実質的に酸素を含まない強磁性膜と、非磁性層17となる膜とが順に積層された構成を有する積層膜が形成される。
続いて、この積層膜から、実施の形態1と同様のパターニング工程により、積層体が形成される。
続いて、この積層体の側壁を酸化する工程が行なわれる。具体的な酸化方法としては、たとえば、酸素を含むプラズマが用いられる方法がある。なお、酸化方法はこれに限定されるものではなく、ラジカル酸化、オゾンによる酸化または熱酸化など、他の方法を用いることもできる。
この酸化工程により、強磁性膜の積層体の側壁部分における露出部分が酸化され、側壁強磁性領域18が形成される。この結果、記録層RLは側壁部分が側壁強磁性領域18であり、この側壁強磁性領域18により側面が被覆された部分が第1強磁性領域15となる。以上により、トンネル接合素子102が得られる。
本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態1の構成とほぼ同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、強磁性膜の成膜が1段階で行なわれる。よって、実施の形態1または2のように第1強磁性領域15と、第2強磁性領域16とを形成するために、成膜条件の異なる2段階の成膜工程を経る必要がない。よって、磁気抵抗素子の製造工程を簡便化することができる。
また、記録層RLは、酸素を含んでいる。この酸素の含有により、実施の形態1におけるトンネル接合素子100と同様にトンネル接合素子102の形状ばらつきに伴う反転磁界HSWのばらつきを抑制することができる。
また、トンネル接合素子102の反転磁界HSWのばらつきが上記のように抑制可能であるため、トンネル接合素子102が用いられた不揮発性記憶装置において、情報の書込みのためにビット線BLおよび書込みワード線WWLに流される必要のある電流値のばらつきを抑制することができる。
また、記録層RLは、対向面IFの面内方向(図13における横方向)に不均一に酸素を含有している。すなわち、記録層RLの側壁部分には、酸素を含む側壁強磁性領域18が形成され、その内側には、酸素を含まない第1強磁性領域15が形成されている。側壁部分は、意図的でない酸化が不均一に進行しやすい部位であるが、この部分を積極的に酸化することにより、トンネル接合素子102の特性を安定化することができる。また、第1強磁性領域15の部分が酸素を含有しないことにより、この部分でのTMR効果を、酸素を含有しない場合と同程度に維持することができる。
また、トンネル接合素子102は、幅寸法W(図5)が300nm以下とされている。これにより、実施の形態1におけるトンネル接合素子100と同様に、トンネル接合素子102における反転磁界HSWを小さくすることができる。
また、このように反転磁界HSWが小さいトンネル接合素子102が用いられた不揮発性記憶装置においては書込み電流を低減することができるため、不揮発性記憶装置の消費電力を低減することができる。
また、上記の反転磁界HSWの低減は、記録層RLの厚みtを低減することなしに行なうことができる。このため、実施の形態1と同様に、不揮発性記憶装置においてデータ保持特性が低下することを防止することができる。
なお、上記酸化工程により、固定層PLの側壁部分にも酸化された領域(図示せず)が形成されるが、この形成がトンネル接合素子102に及ぼす影響は小さい。この理由は、固定層PLにおける強磁性層11の磁化と強磁性層13の磁化とが打ち消しあう方向に結合しているためである。
また、本実施の形態の第1強磁性領域15の代わりに、実施の形態3における強磁性層19が用いられてもよい。これにより、記録層RLがさらに多くの酸素を含み、上述した酸素による効果をより高めることができる。また、この強磁性層19の酸素原子濃度は、図12に示すように、対向面IFに向かって減少している。これにより、強磁性層19における対向面IF近傍の位置においては、この酸素原子濃度を低くすることができる。これにより、酸素の存在によるTMR効果の低減を抑制することができる。
(実施の形態5)
最初に、本発明の実施の形態5における磁気抵抗素子の構成について説明する。
図14は、本発明の実施の形態5における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子を概略的に示す断面図である。
図14を参照して、本実施の形態のトンネル接合素子103の構成は、上述した実施の形態4のトンネル接合素子102の構成(図13)における第1強磁性領域15の部分が、第1強磁性領域15と第2強磁性領域16とに置き換わっている。なお、第1強磁性領域15が対向面IF側に配置されている点は実施の形態1と同様である。
また、トンネル接合素子103は、少なくともその側壁に、酸化防止膜20を有している。この酸化防止膜20は、酸素の透過を防止する機能を有している。具体的には、たとえば厚さ寸法50nmのSiN膜やSiO2膜などを用いることができる。
次に、本実施の形態の磁気抵抗素子として、トンネル接合素子103の製造方法について説明する。
図14を参照して、まず、実施の形態1と同様の方法により、固定層PLと、トンネル絶縁層BAL(非磁性層14)と、記録層RLと、非磁性層17とからなる積層体が形成される。積層体のパターニングは反応性イオンエッチングにより行なわれる。
続いて、この反応性イオンエッチングの後に、積層体の側壁を還元する工程が行なわれる。具体的には、積層体の側壁を水素を含む雰囲気に晒すことにより行なうことができる。単に水素を含む雰囲気を用いるのではなく、水素を含むガスのプラズマを用いることもできる。これにより、反応性イオンエッチングの後に形成された側壁の自然酸化膜が還元されることにより消失する。
続いて、この積層体の側壁が、酸素ガスによるプラズマに晒される。これにより、積層体の側壁が酸化されて側壁強磁性領域18が形成される。
続いて、積層体の少なくとも側壁部分が被覆されるように、酸化防止膜20が形成される。具体的には、側壁における厚さ方向(図中横方向)の寸法50nmのSiN膜やSiO2膜などが形成される。
以上の工程により、トンネル接合素子103が得られる。なお、上述した側壁の酸化工程の後、上記の酸化防止膜20が形成されるまでは、積層体は大気に曝されず大気中よりも酸素分圧の低い雰囲気中に置かれる。
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態4の構成とほぼ同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
また、記録層RLは、酸素を含んでいる。この酸素の含有により、実施の形態1におけるトンネル接合素子100と同様にトンネル接合素子103の形状ばらつきに伴う反転磁界HSWのばらつきを抑制することができる。
また、トンネル接合素子103の反転磁界HSWのばらつきが上記のように抑制可能であるため、このトンネル接合素子103が用いられた不揮発性記憶装置において、情報の書込みのためにビット線BLおよび書込みワード線WWLに流される必要のある電流値のばらつきを抑制することができる。
また、記録層RLは、対向面IFの面内方向(図14における横方向)に不均一に酸素を含有している。すなわち、記録層RLの側壁部分には、酸素を含む側壁強磁性領域18が形成され、その内側には、酸素を含まない第1強磁性領域15と酸素を含む第2強磁性領域16とが形成されている。側壁部分は、意図的でない酸化が不均一に進行しやすい部位であるが、この部分を積極的に酸化することにより、トンネル接合素子102の特性を安定化することができる。また、第1強磁性領域15の部分が酸素を含有しないことにより、この部分でのTMR効果を、酸素を含有しない場合と同程度に維持することができる。
また、トンネル接合素子103は、幅寸法W(図5)が300nm以下とされている。これにより、実施の形態1におけるトンネル接合素子100と同様に、トンネル接合素子103における反転磁界HSWを小さくすることができる。
また、このように反転磁界HSWが小さいトンネル接合素子103が用いられた不揮発性記憶装置においては、書込み電流を低減することができるため、不揮発性記憶装置の消費電力を低減することができる。
また、上記の反転磁界HSWの低減は、記録層RLの厚みtを低減することなしに行なうことができる。このため、実施の形態1と同様に、不揮発性記憶装置においてデータ保持特性が低下することを防止することができる。
また、積層体の側壁を酸化する工程の前に、いったん還元する工程を有している。これにより、側壁を酸化する工程の前に形成された側壁の自然酸化膜を除去することができる。よって、自然酸化膜の形成の進行程度の影響を受けずに、積層体の側壁の酸化をする工程を行なうことができる。よって、この酸化工程の制御性を高めることができる。
また、積層体の少なくとも側壁には酸化防止膜20が形成されている。これにより、トンネル接合素子103が大気雰囲気に暴露されるなどした場合に、積層体の側壁において酸化が進行し、記録層RLの酸素原子濃度が変動してしまうことを抑制することができる。
また、積層体の側壁の酸化工程の後、酸化防止膜が形成される前までは、積層体は大気中よりも酸素分圧の低い雰囲気中に置かれる。これにより、積層体の側壁の酸化工程の後に、積層体の側壁が、たとえば大気雰囲気への暴露などによりさらに酸化することを防ぐことができる。よって、積層体の側壁の酸化工程を制御することにより、最終的な積層体の酸化の程度を制御することができる。
なお、上記各実施の形態においては、磁気抵抗素子が不揮発性記憶装置に用いられる場合について説明したが、磁気抵抗素子は他の装置にも用いることができる。たとえば、ハードディスク装置における磁気ヘッドの再生素子として用いることができる。
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
本発明は、磁気抵抗素子およびそれを用いた不揮発性記憶装置に特に有利に適用され得る。
本発明の実施の形態1における不揮発性記憶装置として、MRAMデバイスの模式的回路構成を示す図である。 本発明の実施の形態1における不揮発性記憶装置のメモリセルおよびその周辺の構成を概略的に示す断面図である。 本発明の実施の形態1における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子を概略的に示す断面図である。 本発明の実施の形態1における磁気抵抗素子の記録層の酸素濃度プロファイルのグラフである。 本発明の実施の形態1における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子の平面パターンを示す図である。 本発明の実施の形態1における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子のアステロイド曲線を示す図である。 本発明の実施の形態1における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子の磁化方向の状態を示す説明図であり、反平行状態(a)と、平行状態(b)とのそれぞれの状態を示す図である。 本発明の実施の形態1の記録層に用いられる磁性膜と、その比較例1とのそれぞれの磁化特性を実線および破線の各々により概略的に示すグラフである。 本発明の実施の形態1、比較例1および比較例2における磁気抵抗素子としてのトンネル接合素子の記録層の反転磁界と、記録層の幅寸法との関係を概略的に示すグラフである。 本発明の実施の形態2における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子を概略的に示す断面図である。 本発明の実施の形態3における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子を概略的に示す断面図である。 本発明の実施の形態3における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子の記録層の酸素濃度プロファイルのグラフである。 本発明の実施の形態4における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子を概略的に示す断面図である。 本発明の実施の形態5における磁気抵抗素子として、トンネル接合素子を概略的に示す断面図である。
符号の説明
BAL トンネル絶縁層、IF 対向面、PL 固定層、RL 記録層、10 反強磁性層、11 強磁性層、12 非磁性層、13 強磁性層、14 非磁性層、15,16 強磁性層、17 非磁性層、100,100T,101,102,103 トンネル接合素子。

Claims (13)

  1. 固定された磁化方向を有する固定層と、
    前記固定層上に形成された非磁性層と、
    前記非磁性層を介した前記固定層との対向面を有し、外部磁界により反転する磁化方向を有し、コバルトと鉄とホウ素と酸素とを含む記録層とを備えた、磁気抵抗素子。
  2. 前記記録層の酸素濃度が前記対向面に向かって減少することを特徴とする、請求項1に記載の磁気抵抗素子。
  3. 前記記録層は、前記対向面側に配されたコバルトと鉄とホウ素とを含み酸素を含まない第1記録領域と、前記第1記録領域上に配されたコバルトと鉄とホウ素と酸素とを含む第2記録領域とを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の磁気抵抗素子。
  4. 前記記録層は前記対向面の面内方向に不均一に酸素を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  5. 前記記録層の少なくとも側壁が酸化防止膜により被われていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  6. 前記反転する磁化方向と直交する方向の寸法が300nm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  7. 請求項1〜6に記載の磁気抵抗素子を複数備えた不揮発性記憶装置であって、
    電流磁界を発生させるための第1配線と、
    前記第1配線と交差部を有するように設けられた、電流磁界を発生させるための第2配線と、
    前記交差部に設けられた前記磁気抵抗素子とを備えた、不揮発性記憶装置。
  8. 固定された磁化方向を有する固定膜と、非磁性膜と、コバルトと鉄とホウ素とを含む強磁性膜とが順に積層された構成を有する積層膜を形成する工程と、
    前記積層膜をパターニングすることにより積層体を形成する積層体形成工程とを備えた磁気抵抗素子の製造方法であって、
    前記強磁性膜の形成途中において酸素分圧が変化される、磁気抵抗素子の製造方法。
  9. 固定された磁化方向を有する固定膜を形成する工程と、
    前記固定膜上に非磁性膜を形成する工程と、
    前記非磁性膜上にコバルトと鉄とホウ素とを含む強磁性膜を形成する工程と、
    前記強磁性膜を酸化する工程と、
    前記磁性膜と、前記非磁性膜と、前記強磁性膜とを含む積層膜をパターニングすることにより積層体を形成する工程とを備えた、磁気抵抗素子の製造方法。
  10. 前記積層体の側壁を酸化する工程をさらに備えた、請求項8または9に記載の磁気抵抗素子の製造方法。
  11. 前記酸化する工程の前に、前記積層体の側壁を還元する工程をさらに備えた、請求項10に記載の磁気抵抗素子の製造方法。
  12. 前記積層体の少なくとも側壁に酸化防止膜を形成する工程をさらに備えた、請求項10または11に記載の磁気抵抗素子の製造方法。
  13. 前記積層体の側壁を酸化する工程の後から前記酸化防止膜を形成する工程の前までに、前記積層体の側壁が大気中よりも酸素分圧の低い雰囲気中に置かれることを特徴とする、請求項12に記載の磁気抵抗素子の製造方法。
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