JP2008181967A - バルク酸化物超伝導材料を用いた磁石装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】交流磁場に対し高い磁場を長時間保持することが可能なバルク酸化物超伝導材料を用いた磁石装置を提供する。
【解決手段】バルク酸化物超伝導体の周囲の少なくとも一部に、高電気伝導度を有する磁場シールド体を熱絶縁体を介して配置すると同時に、該磁場シールド体を冷却する冷却系を有することを特徴とするバルク酸化物超伝導材料を用いた磁石装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は酸化物超伝導磁石及び酸化物超伝導磁石システムに用いられるバルク酸化物超伝導材料を用いた磁石装置に関する。
溶融法で製造されるRE系バルク酸化物超伝導材料は、高い臨界電流密度を有するために、磁場中冷却やパルス着磁により励磁され、バルクマグネットとして使用可能であり、例えば非特許文献1には、超伝導モーターの超伝導磁場発生装置等への応用が検討されている。
例えば、非特許文献2において生田らにより、磁場中冷却により着磁した直径36mmの円柱形Sm系バルク酸化物超伝導体を用いて、最大1.5T程度の磁場を発生できるバルクマグネットについて報告されている。また、非特許文献1においてY. Itohらにより、Y系バルク酸化物超伝導材料を用いて、パルス着磁と磁場中冷却による着磁とを比較検討されている。さらに非特許文献3において森田らにより、超伝導酸化物マグネット中で直径約60mmのバルク材料を用いて、40Kにおいて約4.5Tの磁場を発生させている。
RE系バルク酸化物超伝導材料のパルス着磁に関しては、特許文献1において磁束跳躍を伴うパルス着磁が記載されており、また、特許文献2、特許文献3等においては、冷却方法も含めた着磁方法について記載されている。以上のように、RE系バルク酸化物超伝導体は、超伝導及び常伝導電磁石やパルスマグネットにより着磁され、マグネットとしての応用が検討されている。
特開平6−20837号公報 特開平6−168823号公報 特開平10−12429号公報 Y. Itoh, et al., Jpn. J. Appl. Phys., Vol.34, 5574 (1995) 生田ら;日本磁気学会誌、Vol.23, No.4-1 (1999) p.885 森田ら;日本応用磁気学会誌、Vol19, No3 (1995) p.744 T. Ohayama, H. Shinizu, M. Tsuda, A. Ishiyama, IEEE Trans. Appl. Supercond., Vol.11, pp.1988-1991 Ph. Laurent, et al., Supercond. Sci. Technol., Vol.18, pp.1047-1053 (2005) Y. Zushi, et al., Physica C, 412-414, pp.708-713 (2004) K. Yamagishi, et al., Physica C, 392-396, part 1, pp.659-663 (2003)
しかしながら、非特許文献4〜7に記載されているように、バルクマグネットが交流磁場中に曝された場合、その交流磁場の強度が極めて低い場合においても、時間経過とともに磁束移動に伴う発熱が生じ、バルクマグネットの温度上昇が起きるため、バルクマグネットの発生磁場が低下してしまうという問題点があった。このような交流磁場印加による発生磁場の減少は、例えば、モーター・発電機等の回転機器にバルクマグネットを適用する場合は、重大な問題となる。
本発明は前述の問題点に鑑み、着磁後に交流磁場中に暴露される環境においても、交流磁場をシールド又は減少させ、バルク酸化物超伝導体の温度上昇を抑制することで、バルク酸化物超伝導磁石の温度上昇を抑え、高い発生磁場を保持することが可能なバルク酸化物超伝導材料を用いた磁石装置を提供することを目的としている。
本発明は、バルク材に作用する交流磁場を、バルク酸化物超伝導体の周囲に配置されたシールド体により遮蔽又は減衰させることによって、バルクマグネットの温度上昇を抑制し、バルクマグネットが発生する磁場を長時間保持するものであり、磁場シールド体内で発生する熱を、バルク酸化物超伝導体を経由せず、冷却系により取り去ることによって達成されることを見出し、本発明を完成させたものである。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
本発明のバルク酸化物超伝導材料を用いた磁石装置は、バルク酸化物超伝導体の周囲に少なくとも一部に、高電気伝導度を有する磁場シールド体が熱絶縁体を介して配置されているとともに、前記磁場シールド体を冷却する冷却系を有することを特徴とする。
また、本発明の他の特徴とするところは、前記バルク酸化物超伝導体は円盤状バルク酸化物超伝導体であり、少なくとも前記円盤状バルク酸化物超伝導体の一平面と平行に前記磁場シールド体が配置されていることを特徴とする。
また、本発明のその他の特徴とするところは、前記磁場シールド体が配置された面の前記円盤状バルク酸化物超伝導体の外周部の角に面取りが施されていることを特徴とする。
また、本発明のその他の特徴とするところは、前記磁場シールド体が配置された面の前記円盤状バルク酸化物超伝導体の外周部の角に曲率半径が1mm超10mm未満の面取りが施されていることを特徴とする。
また、本発明のその他の特徴とするところは、前記熱絶縁体が高真空空間であることを特徴とする。
本発明によれば、交流磁場中に曝された場合においても、発生磁場の減少が少ない超伝導バルクマグネット装置を提供することができ、高磁界を発生するバルク酸化物超伝導マグネットをより簡便に実現し得ることから、通常の永久磁石では得られない高磁界を発生でき、その工業的効果は甚大である。
本発明で用いるバルク酸化物超伝導体は、単結晶状のREBa2Cu37-x中にRE2BaCuO5相(211相)等に代表される非超伝導相が微細分散した組織を有するもの(所謂QMG材料)が望ましい。ここで、単結晶状とは、完璧な単結晶でなく、小傾角粒界等の実用に差支えない欠陥を有するものも包含するものとする。REBa2Cu37-x相(123相)及びRE2BaCuO5相(211相)におけるREは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる希土類元素及びそれらの組み合わせであり、La、Nd、Sm、Eu、Gdを含む123相は1:2:3の化学量論組成から外れ、REのサイトにBaが一部置換した状態になるものも含む。また、非超伝導相である211相においても、La、Ndは、Y、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luとは幾分異なり、金属元素の比が非化学量論的組成であったり、結晶構造が異なっていたりすることが知られている。
前述のBa元素の置換は、臨界温度を低下させる傾向がある。また、酸素分圧のより小さい環境においては、Ba元素の置換が抑制される傾向にあることから、大気中よりはむしろ、アルゴン又は窒素中に酸素を微量混合した0.1〜1%酸素雰囲気内で、結晶成長を行うことが望ましい。また、材料中に銀を添加することにより、機械的強度及び臨界電流密度(Jc)が増加する傾向があり、銀を5〜20質量%添加することが望ましい。
123相は、211相と、BaとCuとの複合酸化物からなる液相との包晶反応、すなわち、
211相+液相(BaとCuとの複合酸化物)→123相、
という反応によりできる。そして、この包晶反応により、123相ができる温度(Tf:123相生成温度)は、ほぼRE元素のイオン半径に関連し、イオン半径の減少に伴いTfも低くなる。また、低酸素雰囲気及び銀添加に伴い、Tfは低下する傾向にある。
単結晶状の123相中に211相が微細分散した材料は、123相が結晶成長する際、未反応の211粒が123相中に取り残されるためにできる。即ち、QMG材料は、
211相+液相(BaとCuとの複合酸化物)→123相+211相、
で示される反応によりできる。
QMG材料中の211相の微細分散は、Jc向上の観点から極めて重要である。Pt、Rh又はCeの少なくとも1つを微量添加することで、半溶融状態(211相と液相とからなる状態)での211相の粒成長を抑制し、結果的に材料中の211相を約1μm以下に微細化する。添加量は、微細化効果が現れる量及び材料コストの観点から、Ptで0.2〜2.0質量%、Rhで0.01〜0.5質量%、Ceで0.5〜2.0質量%が望ましい。添加されたPt、Rh、Ceは123相中に一部固溶する。また、固溶できなかった元素は、BaやCuとの複合酸化物を形成し、材料中に点在することになる。
また、マグネットを構成するバルク酸化物超伝導体は、磁場中においても高い臨界電流密度(Jc)を有する必要がある。この条件を満たすには、超伝導的に弱結合となる大傾角粒界を含まない単結晶状の123相である必要がある。さらに高いJc特性を有するためには、磁束の動きを止めるためのピンニングセンターが必要となる。このピンニングセンターとして機能するものが微細分散した211相であり、より細かく多数分散していることが望ましい。
先に述べたように、Pt、RhやCeは、この211相の微細化を促進する働きがある。また、ピンニングサイトとして、BaCeO3、BaSiO3、BaGeO3、BaSnO3等が知られている。また、211相等の非超伝導相は、劈開し易い123相中に微細分散することによって、超伝導体を機械的に強化し、バルク材料として成り立たす重要な働きをも担っている。
123相中の211相の割合は、Jc特性及び機械強度の観点から、5〜35体積%が望ましい。また、材料中には、50〜500μm程度のボイド(気泡)を5〜20体積%含むことが一般的であり、さらに銀を添加した場合、添加量によって10〜500μm程度の銀又は銀化合物を0体積%超25体積%以下含む。
また、結晶成長後の材料の酸素欠損量(x)は、0.5程度で半導体的な抵抗率の温度変化を示す。これを各RE系により350℃〜600℃で100時間程度、酸素雰囲気中においてアニールすることにより酸素が材料中に取り込まれ、酸素欠損量(x)は0.2以下となり、良好な超伝導特性を示す。
また、大きな超伝導電流が流せるREBa2Cu37-x相のa−b面に対し、垂直に磁束が貫くような配置で着磁することが望ましい。リング形状材料の場合、リングの軸とc軸及び磁束の方向が一致することが望ましい。
バルクマグネットは、通常、円柱形状又は厚めの円盤形状を有している。このような形状は、超伝導電流が円柱の軸に対し、ほぼ同心円状に流れることから、強磁場発生に適している。バルクマグネットが発生する磁場を利用する空間は、通常、円盤状バルク酸化物超伝導体の一つの平面側に設けられる。一例としてモーターの場合、固定子側にバルク超伝導体を配置し、回転子側に通常の鉄心及び巻き線銅コイルが配置された時、この空間には、回転子中の銅線が巻かれた鉄心が通過することになる。したがって、バルク酸化物超伝導体は、回転子から磁場を受けることになり、その磁場が一定、かつ、均一ではないため、その磁場は交流成分を含むことになる。
バルク酸化物超伝導体にとって問題となるのは、このような交流成分である。交流磁場がバルク酸化物超伝導体に印加された場合、磁場は量子化磁束となり、超伝導体に浸入し、磁気圧によって超伝導体中を移動する。また、表面付近では、その浸入・脱出を繰り返す。このような、磁束の移動によって、超伝導体内でエネルギーの散逸が起こり、超伝導体の温度が上昇する。そして、この温度上昇により臨界電流密度(Jc)が低下し、発生磁場が減少する。
このような機構により発生磁場が減少することから、交流成分の磁場を遮蔽する高電気伝導度を有する磁場シールド体を交流磁場の発生源とバルクマグネットとの間に配置することにより、バルクマグネットに作用する交流磁場を遮蔽又は減衰させ、磁場の減少を抑制できる。磁場シールド体は、誘導電流を還流させることによって磁場をシールドすることから、磁場シールド体内で発熱が起きる。この熱をバルク酸化物超伝導体に伝えることなく、冷却系によって取り去ることが重要となる。
磁場シールド体としては、高い電気伝導を有し遮蔽能が高い金属であればよいが、特に銅やアルミが望ましい。また、これらの金属は、熱伝導度も高いため、発生した熱を冷却系へ逃がすためにも適している。また、磁場シールド体の形状としては、板、形状及び網目状の物でもよい。磁場シールド体と超伝導体とのギャップは、熱絶縁の観点から大きいことが望ましいが、磁場空間利用の観点からは、ギャップは小さいことが望ましい。これらの事柄を総合的に検討し、磁場シールド体と超伝導体とのギャップは、0.3mm〜1.0mmが望ましいことを見出した。
熱絶縁体としては、樹脂、ガラス繊維、発泡体等が挙げられる。伝導冷却によりバルク超伝導体や磁場シールド体を冷却する場合は、それらの周囲を高真空にして断熱を取ることから、敢えて熱絶縁体として前記の材料を用いず、高真空空間を熱絶縁体とすることが有効となる。
また、超伝導体にかかる磁気圧は、角の部分が高くなる。円柱状のバルクマグネットの場合、磁場を利用する空間側の角の部分が最も磁気圧が高くなり、交流磁場成分による磁束の動きが激しくなることから、熱の発生が最も起こりやすくなる。したがって、このように鋭角に尖った部分を極力なくすことによって交流磁場印加による発熱を抑制する効果が得られる。この時、曲率半径(R)が、1.0mm以下では効果は不十分であり、10mm以上では発生磁場に対し影響が現れることから、角の部分の曲率半径(R)は1mm超10mm未満が好ましく、さらには、Rは2〜5mmが望ましいことを見出した。
前記のバルク酸化物超伝導磁石装置は、交流磁場に対する耐久性に優れた磁石装置であることから、このようなバルク酸化物超伝導磁石装置は、システム全体として高い磁場を長時間保持できるシステムであり、経済性・環境調和性に優れたシステムである。
(実施例1)
バルク酸化物超伝導材料として、市販されている直径約55mm、厚さ23mmの円柱状銀添加Gd系QMGバルク材料(123相:211相=75:25、白金0.5質量%添加)を、直径50mm、厚さ20mmに精密加工した。
また、図1に示すように、磁場シールド体3側の角部6にR=2mmの面取り加工を施した。そして、得られたバルク酸化物超伝導体1を冷凍機のコールドヘッド部7に配置した。さらに、熱接触をよくするために、真空グリースを塗布した上で内周を精密加工した純度99.9%の無酸素銅容器2にバルク酸化物超伝導体1を収めた。バルク酸化物超伝導体1の表面付近に、磁場シールド体3である中心にφ10mmの穴を有する厚さ0.3mmの無酸素銅板をギャップ0.5mmで配置し、また、磁場シールド体3の周囲は、肉厚2mmの無酸素銅製円筒状のヒートシンク4に溶接し、さらにそのヒートシンク4を、コールドヘッド部7の冷凍機本体よりに接続するよう配置した。
また、バルク酸化物超伝導体1を収めた無酸素銅容器2の穴の中に温度計を埋め込み、バルク酸化物超伝導体1の温度を計測した。また、柔軟性を有するシート状のヒーターを貼り付け、温度を制御した。バルク酸化物超伝導体1の発生磁場については、磁場シールド体3側のバルク酸化物超伝導体1の表面中心にホール素子を配置して計測した。さらに、コールドヘッド部7周囲にソレノイドコイルを配置した。このような構造を有するコールドヘッド部7には、熱シールド円筒及び外壁容器を被せ、10-4Paの高真空にした。
冷凍機に取り付けられたバルク酸化物超伝導体1は、常温状態で大型超伝導マグネット5の4Tの常温ボア空間に配置された後、65Kに冷却された。大型超伝導マグネット5の磁場を1時間かけてゼロにした後、温度を65Kに保ちながら4時間放置した。
4時間後のバルク酸化物超伝導体1の発生磁場は、3.64Tであった。次に、ソレノイドコイルにより、周波数60Hz、最大強度0.02Tの交流磁場を印加した。交流磁場印加開始後1時間後に、バルク酸化物超伝導体1の発生磁場を測定したところ3.58Tであり、約1.6%の減衰が見られた。
一方、図1と同様のコールドヘッド部の配置ではあるものの、面取りのないバルク酸化物超伝導体を用いた同様の実験を行った。着磁後4時間放置した後の発生磁場は、3.66Tであり、交流磁場印加開始後1時間後にバルク酸化物超伝導体1の発生磁場を測定したところ、3.55Tであり、約2.9%の減衰が見られた。
さらに、比較例として、図2に示すようなコールドヘッド部の配置で同様の実験を行った。図1に示したコールドヘッド部7との違いは、次の2点である。
(1)バルク酸化物超伝導体の角部8に面取りがなされていない。
(2)0.3mm厚の磁場シールド体及びその冷却系がない。
着磁後4時間放置した後の発生磁場は、3.66Tであり、交流磁場印加開始後1時間後にバルク酸化物超伝導体の発生磁場を測定したところ、3.33Tであり、約9.1%の減衰が見られた。
これらの比較実験から、磁場シールド体3を設けることによって、面取りの有無に関わらず磁場の減衰が小さくなることが明らかになると同時に、面取りを施したバルク酸化物超伝導体1を使用することで、さらに磁場の減衰が抑制されることが明らかになった。
(実施例2)
バルク酸化物超伝導材料として、市販されている直径約46mm、厚さ20mmの円柱状銀添加Gd系QMGバルク材料(123相:211相=75:25、白金0.5質量%添加)を直径44mm、厚さ15mmに精密加工した。
また、図3に示すように、磁場シールド体9側の角部にR=3mmの面取り加工を施した。そして、得られたバルク酸化物超伝導体13を液体窒素冷却型の冷却装置(アルミ容器)14に配置した。熱接触をよくするために、真空グリースを塗布した上で内周を精密加工した純度99.5%のアルミ容器14にバルク酸化物超伝導体13を収めた。バルク酸化物超伝導体13の表面付近に、直径20mmの穴を有する磁場シールド体9である厚さ0.3mmのアルミ板をギャップ0.3mmで配置し、また、磁場シールド体9の周囲は、肉厚2mmのアルミ製円筒状のヒートシンクに溶接し、さらにそのヒートシンクは、液体窒素循環系12に熱的に接続されている。バルク酸化物超伝導体13と磁場シールド体9との間及びヒートシンクとアルミ容器14との間には、発泡スチロール10を挿入し断熱を取った。
また、バルク酸化物超伝導体13を収めたアルミ容器14の穴の中に温度計を埋め込み、バルク酸化物超伝導体13の温度を計測した。バルク酸化物超伝導体13の発生磁場は、磁場シールド体9側のバルク酸化物超伝導体13の表面中心にホール素子を配置して計測した。さらに、冷却装置14周囲にソレノイドコイルを配置した。
冷却装置14に取り付けられたバルク酸化物超伝導体13は、常温状態で大型超伝導マグネット11の4Tの常温ボア空間に配置された後、液体窒素循環系12に液体窒素を流すことにより78Kに冷却された。大型超伝導マグネット11の磁場を1時間かけてゼロにした後、温度を78Kに保ちながら2時間放置した。
2時間後のバルク酸化物超伝導体13の発生磁場は、1.54Tであった。次に、ソレノイドコイルにより周波数50Hz、最大強度0.015Tの交流磁場を印加した。交流磁場印加開始後1時間後にバルク酸化物超伝導体13の発生磁場を測定したところ1.46Tであり、約5.2%の減衰が見られた。
一方、図3と同様の冷却装置ではあるものの、曲率半径が0.5mmの面取りが施されたバルク酸化物超伝導体を用いて同様の実験を行った。着磁後2時間放置した後の発生磁場は、1.58Tであり、交流磁場印加開始後1時間後にバルク酸化物超伝導体の発生磁場を測定したところ、1.46Tであり、約7.6%の減衰が見られた。
さらに、比較例として、図4に示すような冷却装置で同様の実験を行った。図3に示した冷却装置14との違いは、次の2点である。
(1)バルク酸化物超伝導体の角部15に0.5mmの面取りが施されている。
(2)0.3mm厚の磁場シールド体及びその冷却系がない。
着磁後2時間放置した後の発生磁場は、1.58Tであり、交流磁場印加開始後1時間後にバルク酸化物超伝導体の発生磁場を測定したところ、1.42Tであり、約10.1%の減衰が見られた。
これらの比較実験から、磁場シールド体9を設けることによって、面取りの曲率半径に関わらず、磁場の減衰が小さくなることが明らかになると同時に、R=3mmの面取りは、R=0.5mmの面取りに比べ、磁場の減衰抑制により効果的であることが明らかになった。
実施例1で作製した磁石装置の冷凍機コールドヘッド部の構造を示す図である。 実施例1の比較実験に用いた磁石装置の冷凍機コールドヘッド部の構造を示す図である。 実施例2で作製した液体窒素循環型冷却装置を伴う磁石装置のバルク酸化物超伝導体近傍の構造を示す図である。 実施例2の比較実験に用いた液体窒素循環型冷却装置を伴う磁石装置のバルク酸化物超伝導体近傍の構造を示す図である。
符号の説明
1 バルク酸化物超伝導体
2 無酸素銅容器
3 磁場シールド体
4 ヒートシンク
5 大型超伝導マグネット
6 角部
7 コールドヘッド部
8 角部
9 磁場シールド体
10 発泡スチロール
11 大型超伝導マグネット
12 液体窒素循環系
13 バルク酸化物超伝導体
14 冷却装置(アルミ容器)
15 角部

Claims (5)

  1. バルク酸化物超伝導体の周囲の少なくとも一部に、高電気伝導度を有する磁場シールド体が熱絶縁体を介して配置されているとともに、前記磁場シールド体を冷却する冷却系を有することを特徴とするバルク酸化物超伝導材料を用いた磁石装置。
  2. 前記バルク酸化物超伝導体は円盤状バルク酸化物超伝導体であり、少なくとも前記円盤状バルク酸化物超伝導体の一平面と平行に前記磁場シールド体が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のバルク酸化物超伝導材料を用いた磁石装置。
  3. 前記磁場シールド体が配置された面の前記円盤状バルク酸化物超伝導体の外周部の角に面取りが施されていることを特徴とする請求項2に記載のバルク酸化物超伝導材料を用いた磁石装置。
  4. 前記磁場シールド体が配置された面の前記円盤状バルク酸化物超伝導体の外周部の角に曲率半径が1mm超10mm未満の面取りが施されていることを特徴とする請求項3に記載のバルク酸化物超伝導材料を用いた磁石装置。
  5. 前記熱絶縁体が高真空空間であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルク酸化物超伝導材料を用いた磁石装置。
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