JP2008181741A - 燃料電池システムおよび燃料電池の運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の短時間運転を行った場合でも、次回起動時に十分な発電性能を確保することが可能な、燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池1の発電停止信号が検出されても、燃料電池温度評価手段62により燃料電池1の温度が所定値以下と判断された場合には、燃料電池1の停止を禁止するとともに、ヒータ駆動部66により燃焼ヒータ90を駆動して燃料電池1の温度を上昇させるコントローラ60を有する。これにより、膜電極構造体内の氷を融解して膜電極構造体の劣化を防止することが可能になり、燃料電池1の発電性能を確保することができる。また燃料電池1を迅速に温度上昇させることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、燃料電池システムおよび燃料電池の運転方法に関するものである。
燃料電池には、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟んで膜電極構造体を形成し、この膜電極構造体の両側に一対のセパレータを配置して平板状の単位燃料電池(以下、単位セルという。)を構成し、この単位セルを複数積層して燃料電池スタックとするものが知られている。この燃料電池では、アノード電極とセパレータとの間に燃料ガスとして水素ガスを供給するとともに、カソード電極とセパレータとの間に酸化剤ガスとして空気を供給する。これにより、アノード電極で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜を透過してカソード電極まで移動し、カソード電極で空気中の酸素と電気化学反応を起こし、発電が行われる。
燃料電池を寒冷地において起動させる場合には、燃料電池の温度が低いため反応が活性化されず、発電性能が低下するという問題がある。そこで特許文献1には、燃料電池の冷却を行う冷却水循環系内に冷却水を所定温度以上に保温、貯蔵する蓄熱装置を設け、燃料電池の低温起動時には、燃料電池を冷却する熱交換器からの冷却水の供給を停止し、蓄熱装置内の保温された冷却水を燃料電池に供給するように冷却水の流路を切り換えて、燃料電池を昇温し発電性能を向上させる技術が開示されている。
特開2002−42846号公報
しかしながら、燃料電池システムの起動後に、燃料電池内を流れる冷媒等が十分に温まる前に燃料電池システムを停止するような短時間運転を行った場合には、燃料電池の膜電極構造体の内部に氷結した水分が残存することになる。そして、燃料電池の停止後に温度が氷点下になると、膜電極構造体内の水分が凍結して膨張するそのため、膜電極構造体が劣化する。その結果、次回起動時に発電性能が著しく低下するという問題がある。
また上記のような短時間運転を行った場合には、特許文献1の蓄熱装置に対して十分に温まった冷媒を供給することができない。その結果、次回起動時に発電性能を向上させることができないという問題がある。
そこで本発明は、短時間運転を行った場合でも、次回起動時に十分な発電性能を確保することが可能な、燃料電池システムおよび燃料電池の運転方法の提供を課題とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、反応ガスを供給して発電を行う燃料電池(例えば、実施形態における燃料電池1)と、前記燃料電池の温度を把握する燃料電池温度把握手段(例えば、実施形態における冷媒温度センサ82)と、前記燃料電池温度把握手段が把握した前記燃料電池の温度が所定値以下か判断する燃料電池温度評価手段(例えば、実施形態における燃料電池温度評価手段62)と、前記燃料電池の温度を上昇させる燃料電池温度上昇手段(例えば、実施形態における燃焼ヒータ90およびヒータ駆動部66)と、前記燃料電池の発電停止信号が検出されても、前記燃料電池温度評価手段により前記燃料電池の温度が所定値以下と判断された場合には、前記燃料電池の停止を禁止するとともに、前記燃料電池温度上昇手段により前記燃料電池の温度を上昇させる制御部(例えば、実施形態におけるコントローラ60)と、を備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、前記燃料電池を冷却する冷媒を備え、前記燃料電池温度上昇手段は、前記冷媒を加熱する冷媒加熱手段(例えば、実施形態における燃焼ヒータ90)であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、前記燃料電池温度上昇手段は、前記反応ガスを燃焼させる燃焼ヒータ(例えば、実施形態における燃焼ヒータ90)であることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記燃料電池の停止後に前記燃料電池の温度が氷点下になるか予測する燃料電池温度予測手段(例えば、実施形態における燃料電池温度予測手段63)を備え、前記制御部は、前記燃料電池温度予測手段により前記燃料電池の温度が氷点下になると予測された場合に、前記燃料電池の停止を禁止するとともに、前記燃料電池温度上昇手段により前記燃料電池の温度を上昇させることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、前記燃料電池を冷却する冷媒と、前記冷媒を冷却する熱交換器(例えば、実施形態におけるラジエータ88)と、前記燃料電池への前記冷媒の循環量を制限する冷媒循環量制限手段(例えば、実施形態におけるバタフライ弁)とを備え、前記制御部は、前記燃料電池の起動時において、前記燃料電池における前記冷媒の温度が所定値以下と判断された場合に、前記冷媒循環量制限手段により前記燃料電池への前記冷媒の循環量を制限することを特徴とする。
請求項6に係る発明は、前記燃料電池を冷却する冷媒と、前記冷媒を冷却する熱交換器と、前記冷媒を保温しつつ保存する冷媒容器(例えば、実施形態における冷媒タンク87)と、前記熱交換器から前記燃料電池への前記冷媒の循環を制限するとともに前記冷媒容器から前記燃料電池への前記冷媒の循環を可能にする冷媒循環調整手段(例えば、実施形態における三方弁85,86および三方弁制御部68)とを備え、前記制御部は、前記燃料電池の運転時において、前記燃料電池における前記冷媒の温度が所定値以上と判断された場合に、前記冷媒循環調整手段により前記燃料電池から前記冷媒容器へ前記冷媒を循環させるとともに、前記燃料電池の起動時において、前記燃料電池における前記冷媒の温度が所定値以下と判断された場合に、前記冷媒循環調整手段により前記冷媒容器から前記燃料電池へ前記冷媒を循環させることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、前記燃料電池の積算発電量を検出する燃料電池積算発電量検出手段(例えば、実施形態における燃料電池積算発電量検出手段62a)と、前記燃料電池の発電時間を検出する燃料電池発電時間検出手段(例えば、実施形態における燃料電池発電時間検出手段62b)とを備え、前記制御部は、前記燃料電池温度評価手段の判断に代えて、前記燃料電池積算発電量検出手段が検出した積算発電量および前記燃料電池発電時間検出手段が検出した発電時間に基づいて、前記燃料電池の停止を禁止するとともに、前記燃料電池温度上昇手段により前記燃料電池の温度を上昇させることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、反応ガスを供給して発電を行う燃料電池の運転方法であって、前記燃料電池の発電停止信号が検出されても(例えば、実施形態におけるS12)、前記燃料電池の温度が所定値以下と判断された場合には(例えば、実施形態におけるS34)、前記燃料電池の停止を禁止するとともに(例えば、実施形態におけるS14)、前記燃料電池の温度を上昇させる(例えば、実施形態におけるS15)ことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、短時間運転により燃料電池が低温の場合には燃料電池の停止を禁止するので、膜電極構造体内の氷を融解して水分を外部に排出することが可能になる。これにより、膜電極構造体の劣化を防止して、燃料電池の発電性能を確保することができる。また、燃料電池温度上昇手段により積極的に燃料電池を温度上昇させるので、燃料電池の自己発熱のみで温度上昇させる場合に比べて、迅速に温度上昇させることができる。また、燃料電池の温度上昇に伴って冷媒温度も上昇するので、次回起動時に高温の冷媒を循環させることが可能になり、燃料電池を迅速に温度上昇させることができる。したがって、燃料電池の短時間運転を行った場合でも、次回起動時に十分な発電性能を確保することができる。
請求項2に係る発明によれば、燃料電池温度上昇手段により直接的に冷媒の温度を上昇させるので、次回起動時に高温の冷媒を循環させることが可能になり、燃料電池を迅速に温度上昇させることができる。したがって、次回起動時に十分な発電性能を確保することができる。
請求項3に係る発明によれば、燃料電池の反応ガスを供給するだけで燃焼ヒータを駆動することが可能であり、電気ヒータのようにバッテリの電力を消費しないので、燃料消費量を低減することができる。
請求項4に係る発明によれば、燃料電池の温度が氷点下になって膜電極構造体内の水分が氷結し、膜電極構造体が劣化して次回起動時に発電性能の低下が懸念される場合のみに、燃料電池の暖機運転を行うことが可能になる。したがって、燃料消費量を低減することができる。
請求項5に係る発明によれば、燃料電池への冷媒の循環量が制限されるので、冷媒による燃料電池の冷却を抑制することが可能になり、燃料電池を迅速に温度上昇させることが可能になる。したがって、次回起動時に十分な発電性能を確保することができる。
請求項6に係る発明によれば、冷媒容器に保存された高温の冷媒を燃料電池に供給して、燃料電池を加熱することが可能になり、燃料電池を迅速に温度上昇させることが可能になる。したがって、次回起動時に十分な発電性能を確保することができる。
請求項7に係る発明によれば、積算発電量および発電時間を用いることにより、膜電極構造体内の水分の状態を正確に把握することが可能になる。これに基づいて暖機運転を行うことにより、次回起動時に十分な発電性能を確保することができる。
請求項8に係る発明によれば、燃料電池の短時間運転を行った場合でも、次回起動時に十分な発電性能を確保することができる。
以下、本発明の実施形態につき図面を参照して説明する。
最初に、燃料電池システムの概略構造について説明する。燃料電池システムは、単位燃料電池(以下「単位セル」という。)を多数積層して電気的に直列接続し、その両側にエンドプレートを配置してタイロッドで締結した燃料電池スタックを備えている。
(燃料電池)
図1は、単位セルの展開図である。単位セル10は、膜電極構造体20の両側にセパレータ30A,30Bを配置したサンドイッチ構造をなす。詳述すると、膜電極構造体20は、例えばフッ素系電解質材料等からなる固体高分子電解質膜(電解質膜)21の両側にアノード電極22とカソード電極23を配置して構成され、膜電極構造体20のアノード電極22に面してアノード側セパレータ30Aが、カソード電極23に面してカソード側セパレータ30Bが配置されている。両セパレータ30A,30Bは、例えばカーボン材料等で構成されている。
図1において、膜電極構造体20および両セパレータ30A,30Bの右上隅部には、使役前の燃料ガス(例えば水素ガス)が流通する燃料ガス供給口11が設けられ、その対角位置である左下隅部には、使役後の燃料ガス(以下「アノードオフガス」という。)が流通するアノードオフガス排出口12が設けられている。また、膜電極構造体20および両セパレータ30A,30Bの左上隅部には、使役前の酸化剤ガス(例えば空気)が流通する酸化剤ガス供給口13が設けられ、その対角位置である右下隅部には、使役後の酸化剤ガス(以下、カソードオフガスという)が流通するカソードオフガス排出口14が設けられている。さらに、膜電極構造体20と両セパレータ30A,30Bの上側中央部には、使役前の冷媒(冷媒)が流通する冷媒供給口15が設けられ、その対称位置である下側中央部には、使役後の冷媒が流通する冷媒排出口16が設けられている。
カソード側セパレータ30Bにおいて、膜電極構造体20と対向する面には、酸化剤ガスを膜電極構造体20に沿って流通させるための凹部(52)が平面視略矩形に形成されている。この凹部が、酸化剤ガス供給口13およびカソードオフガス排出口14に接続されて、酸化剤ガス流路52が形成されている。この酸化剤ガス流路52内には、酸化剤ガスが上から下へ流れるように案内する複数のガイド突条53が平行に設けられている。なおカソード側セパレータ30Bにおいて、膜電極構造体20と反対側の面は、平坦面に形成されている。
また、カソード側セパレータ30Bにおける膜電極構造体20との対向面には、シール材70Bが設けられている。このシール材70Bは、シリコーン系ゴムやフッソ系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、ブチル系ゴム等の一体成形品として構成されている。シール材70Bは、酸化剤ガス供給口13、酸化剤ガス流路52およびカソードオフガス排出口14の外側を一周して囲繞するとともに、燃料ガス供給口11、アノードオフガス排出口12、冷媒供給口15および冷媒排出口16をそれぞれ個別に囲繞している。
なお図示しないが、アノード側セパレータ30Aにおいて、膜電極構造体20と対向する面には、燃料ガスを膜電極構造体20に沿って流通させるための凹部が平面視略矩形に形成されている。この凹部が、燃料ガス供給口11およびアノードオフガス排出口12に接続されて、燃料ガス流路(51)が形成されている。
また、アノード側セパレータ30Aにおける膜電極構造体20との対向面には、シール材(70A)が設けられている。このシール材は、燃料ガス供給口11、燃料ガス流路およびアノードオフガス排出口12の外側を一周して囲繞するとともに、酸化剤ガス供給口13、カソードオフガス排出口14、冷媒供給口15および冷媒排出口16をそれぞれ個別に囲繞している。
一方、アノード側セパレータ30Aにおいて、膜電極構造体20と反対側の面には、冷媒を流通させるための凹部(32)が平面視略矩形に形成されている。この凹部が、冷媒供給口15および冷媒排出口16に接続されて、冷媒流路32が形成されている。この冷媒流路32内には、冷媒が上から下へ流れるように案内する複数のガイド突条33が平行に設けられている。
また、アノード側セパレータ30Aにおける膜電極構造体20と反対側の面には、シール材70Cが設けられている。このシール材70Cは、冷媒供給口15、冷媒流路32および冷媒排出口16の外側を一周して囲繞するとともに、燃料ガス供給口11、アノードオフガス排出口12、酸化剤ガス供給口13およびカソードオフガス排出口14をそれぞれ個別に囲繞している。
図2は、単位セルを積層した燃料電池スタックであり、図1のA−A線に相当する部分における側面断面図である。図2に示すように、カソード側セパレータ30Bは、シール材70Bを介して膜電極構造体20に密着され、アノード側セパレータ30Aは、シール材70Aを介して膜電極構造体20に密着されている。これにより、カソード側セパレータ30Bと膜電極構造体20との間に酸化剤ガス流路52が形成され、アノード側セパレータ30Aと膜電極構造体20との間に燃料ガス流路51が形成されている。
また、アノード側セパレータ30Aは、シール材70Cを介して、隣接するカソード側セパレータ30Bに密着されている。これにより、両セパレータ30A,30Bの間に冷媒流路32が形成されている。
そして、燃料ガス流路51に燃料ガスとして水素ガス等を供給し、酸化剤ガス流路52に酸化剤ガスとして酸素を含む空気等を供給すると、アノード電極22で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜21を通過してカソード電極23まで移動する。この水素イオンがカソード電極23で酸素と電気化学反応を起こして発電し、水が生成される。なおカソード電極23側で生じた生成水の一部は固体高分子電解質膜21を透過してアノード電極22側に拡散するため、アノード電極22側にも生成水が存在する。
一方、膜電極構造体20および両セパレータ30A,30Bに形成された燃料ガス供給口11が相互に連結されて、燃料ガス供給用連通孔71が形成されている。この燃料ガス供給用連通孔71は、各単位セル10の燃料ガス流路51に連結されている。
同様に、図1に示す各単位セル10に形成されたアノードオフガス排出口12が相互に連結されてアノードオフガス排出用連通孔が形成されている。また酸化剤ガス供給口13が相互に連結されて酸化剤ガス供給用連通孔が形成され、カソードオフガス排出口14が相互に連結されてカソードオフガス排出用連通孔が形成されている。また冷媒供給口15が相互に連結されて冷媒供給用連通孔が形成され、冷媒排出口16が相互に連結されて冷媒排出用連通孔が形成されている。
(燃料電池システム)
図3は、燃料電池スタックを備えた燃料電池システムの概略構成図である。上述した燃料電池スタック(以下、燃料電池またはFC(Fuel Cell)という。)1は、水素ガス等の燃料ガスと空気等の酸化剤ガスとの電気化学反応により発電を行うものである。そこで、燃料電池1の燃料ガス供給用連通孔には燃料ガス供給配管113が連結され、その上流端部には水素タンク130が接続されている。また、燃料電池1の酸化剤ガス供給用連通孔には酸化剤ガス供給配管121が連結され、その上流端部には反応ガス供給手段としてエアポンプ(以下、A/Pという。)102が接続されている。なお、燃料電池1のアノードオフガス排出用連通孔にはアノードオフガス回収配管111が連結され、カソードオフガス排出用連通孔にはカソードオフガス排出配管122が連結されている。
水素タンク130から燃料ガス供給配管113に供給された水素ガスは、レギュレータ105により減圧された後、エゼクタ106を通り、アノード加湿器107により加湿されて、燃料電池1の燃料ガス流路51に供給される。アノードオフガスは、アノードオフガス回収配管111を通ってエゼクタ106に吸引され、水素タンク130から供給される水素ガスと合流し、再び燃料電池1に供給されて循環するようになっている。
なおアノードオフガス回収配管111は、電磁駆動式のパージ弁108を介して、アノードオフガス排出配管112に接続されている。
また、空気はA/P102によって加圧され、カソード加湿器103で加湿されて、燃料電池1の酸化剤ガス流路52に供給される。この空気中の酸素が酸化剤として発電に供された後、燃料電池1からカソードオフガスとして排出され、背圧弁104を介して大気に放出される。
一方、燃料電池システム100は、燃料電池内に冷媒を流通させて燃料電池1を冷却する冷却手段80を備えている。冷却手段80として、燃料電池1の冷媒供給用連通孔には冷媒供給配管83が連結され、冷媒排出用連通孔には冷媒排出配管81が連結されている。冷媒供給配管83の上流端部および冷媒排出配管81の下流端部は、ラジエータ(熱交換器)88に接続されている。冷媒供給配管83には、燃料電池1とラジエータ88との間で冷媒を流通させる冷媒供給手段として、ウォータポンプ(以下、W/Pという。)84が設けられている。W/P84は、A/P102と同軸状に連結され、連動して駆動されるようになっている。また、冷媒排出配管81には燃料電池冷却後の冷媒温度を検出するため冷媒温度センサ82が設けられている。なお、燃料電池冷却後の冷媒温度は燃料電池の温度と略一致するため、冷媒温度センサ82は燃料電池温度把握手段として機能する。
燃料電池1には、燃料電池1によって駆動されるモータ等の負荷40が接続されている。ここで、燃料電池1から負荷40へ出力される電圧および電流を検出するため、電圧センサ41および電流センサ42が設けられている。
また燃料電池システム100は、コントローラ60を備えている。コントローラ60には、上述した電圧センサ41、電流センサ42および冷媒温度センサ82の検出結果が入力されるようになっている。
(第1実施形態)
図4は、第1実施形態に係る燃料電池システムの特徴構成図である。なお第1実施形態に係る燃料電池システム101は、図3に示す燃料電池システム100の概略構成に加えて、図4に示す特徴構成を備えている。以下の実施形態および変形例に係る燃料電池システムについても同様である。
第1実施形態に係る燃料電池システム101は、冷媒排出配管81に燃焼ヒータ90が設けられている。燃焼ヒータ90は、反応ガスを燃焼させて対象物を加熱するヒータである。本実施形態の燃焼ヒータ90は、冷媒を加熱する冷媒加熱手段として機能する。なお冷媒加熱手段として、電熱線(電気ヒータ)等を採用することも可能である。また、加熱された冷媒が燃料電池に循環して燃料電池の温度を上昇させるため、本実施形態の燃焼ヒータ90は燃料電池温度上昇手段として機能する。なお燃料電池温度上昇手段として、反応ガスを加熱する反応ガス加熱手段を採用することも可能である。
また、水素タンク130から燃料ガス供給配管113が延設され、その燃料ガス供給配管113から燃料ガス配管92が分岐されている。この燃料ガス配管92は、バルブ91を介して燃焼ヒータ90に接続されている。またA/P102から酸化剤ガス供給配管121が延設され、その酸化剤ガス供給配管121から酸化剤ガス配管94が分岐されている。この酸化剤ガス配管94は、バルブ93を介して燃焼ヒータ90に接続されている。これらの配管92,94により、燃料電池1の反応ガスを燃焼ヒータ90に供給しうるようになっている。またバルブ91,93の開度を調節することにより、燃焼ヒータ90に供給される反応ガス流量を調整しうるようになっている。
なお、アノードオフガス排出配管112およびカソードオフガス排出配管122は、希釈ボックス98に接続されている。希釈ボックス98は、未反応の水素ガスを含むアノードオフガスを排出する前に、カソードオフガス等の希釈ガスを用いて希釈するものである。燃焼ヒータ90から延設されたオフガス配管96も同様に、希釈ボックス98に接続されている。これにより、未反応の水素ガスを含む燃焼ヒータ90のオフガスを希釈し、水素濃度を低減してから排出しうるようになっている。
一方、冷媒排出配管81と冷媒供給配管83とを連結するバイパス配管89が設けられている。このバイパス配管89と冷媒供給配管83との交点には、三方弁85が設けられている。この三方弁85は、冷媒の循環路としてラジエータ88およびバイパス配管89のいずれかを選択するものである。なおW/P84の回転数を制限することにより、燃料電池1への冷媒循環量を制限することが可能である。そのため本実施形態では、W/P84が冷媒循環量制限手段として機能する。
コントローラ60には、燃料電池温度評価手段62、燃料電池温度予測手段63、燃料電池駆動部64、ヒータ駆動部66および三方弁制御部68が設けられている。
燃料電池温度評価手段62は、燃料電池の温度が所定値以下か否かを判断するものである。なお判断基準となる「所定値」については後述する。この燃料電池温度評価手段62には、冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度が入力されるようになっている。燃料電池温度評価手段62は、入力された冷媒温度を燃料電池の温度として把握する。
なおアノードオフガス排出配管112および/またはカソードオフガス排出配管122にオフガス温度センサを設け、燃料電池温度評価手段62にはオフガス温度センサにより検出されたオフガス温度が入力される構成としてもよい。この場合、燃料電池温度評価手段62は、入力されたオフガス温度を燃料電池の温度として把握する。
燃料電池温度予測手段63は、燃料電池1の停止後に燃料電池1の温度が氷点下になるか否かを予測するものである。この予測は、外気温や天気予報等に基づいて行われる。
燃料電池駆動部64は、イグニッションスイッチ等から燃料電池1の運転開始信号および運転停止信号を受信し、受信した信号に基づいて燃料電池1の運転を制御するものである。
ヒータ駆動部66は、燃焼ヒータ90に対して運転開始信号および運転停止信号を出力するとともに、バルブ91,93に対して開度制御信号を出力するものである。これによりヒータ駆動部66は、燃焼ヒータ90の運転を制御しうるようになっている。
三方弁制御部68は、三方弁85に対して冷媒流通路の選択信号を出力するものである。これにより三方弁制御部68は、ラジエータ88から燃料電池1への冷媒流通を制限しうるようになっている。
(燃料電池の運転方法)
次に、上記燃料電池システムを使用した燃料電池の運転方法について説明する。
図5は、第1実施形態に係る燃料電池の運転方法のフローチャートである。最初に、燃料電池停止時の処理について説明する。まずS12において、コントローラ60の燃料電池駆動部64が、イグニッションスイッチのOFF信号を検出したか判断する。判断がYesの場合はS30に進み、燃料電池停止前の暖機運転が必要か判断する。
図6は、停止前暖機必要判断サブルーチンのフローチャートである。まずS32において、コントローラ60の燃料電池温度評価手段62に対して、冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度が入力される。次にS34において、燃料電池温度評価手段62は、入力された冷媒温度が所定値以下か否かを判断する。
図7は、燃料電池停止時の温度と次回氷点下起動性能との関係を示すグラフである。燃料電池の氷点下起動時に、発電に伴って生成された水の一部が、膜電極構造体の内部で氷結する。燃料電池の温度が上昇すれば膜電極構造体内の氷は融解し、燃料電池停止時の掃気処理等により燃料電池の外部に排出される。しかしながら、燃料電池停止時の温度が低い場合には、膜電極構造体の内部に水分が残留することになる。その水分が氷点下で氷結することにより、膜電極構造体(特に触媒膜)を劣化させるとともに、次回起動時に有効発電面積を低下させる。その結果、次回起動時において発電性能が低下するという問題がある。
最新の研究によれば、燃料電池の温度が30℃程度まで上昇しても、膜電極構造体内には氷が残存していることが確認されている。また温度が40℃程度まで上昇しても、膜電極構造体内の水分は十分に燃料電池外部に排出されない。温度が50〜70℃程度まで上昇すれば、膜電極構造体内の氷はほぼ完全に融解し、水分はオフガスとともに燃料電池外部に排出されて、安定した発電が可能な乾燥状態となる。そのため、燃料電池停止時の温度が50〜70℃を超えていれば、次回氷点下起動時における膜電極構造体内の水分氷結の影響を最小限に抑えることが可能になる。したがって、燃料電池停止時の温度が50〜70℃を超えていれば、図7に示すように、次回氷点下起動時に十分な発電性能を確保することができる。
そこで図6のS34では、燃料電池温度が冷媒温度に等しいとみなして、冷媒温度が50〜70℃の所定値以下か否かを判断する。判断がNoの場合には、燃料電池温度が高く次回氷点下起動性能を確保することが可能であるから、燃料電池停止前の暖機運転は不要である(S35)。
これに対して、S34の判断がYesの場合には、燃料電池温度が低く次回氷点下起動性能を確保することが困難であるから、燃料電池停止前の暖機運転が必要と考えられる。しかしながら、燃料電池の温度が氷点下になる可能性がなければ、膜電極構造体内の水分が氷結して膜電極構造体が劣化するおそれもないから、燃料電池の暖機運転は不要である。そこでS34の判断がYesの場合には、S36において次回低温(氷点下)起動となるか判断する。この判断は、外気温や天気予報等に基づいて行うことが可能である。S36の判断がNoの場合には、燃料電池停止前の暖機運転は不要である(S35)。S36の判断がYesの場合には、燃料電池停止前の暖機運転が必要である(S37)。
図5のS30に戻り、燃料電池停止前の暖機運転が必要と判断した場合には、まずS14において、コントローラ60の燃料電池駆動部64が、燃料電池システムの停止を禁止する。なお冷媒の流通停止のみを禁止し、燃料電池1の発電停止は許可してもよい。
次にS15において、コントローラ60のヒータ駆動部66が燃焼ヒータ90を駆動して冷媒を加熱する。具体的には、図4に示すバルブ91,93を開いて反応ガスを燃焼ヒータ90に供給し、燃焼ヒータ90の運転を開始して、冷媒排出配管81を流れる冷媒を加熱する。これにより温度上昇した冷媒が燃料電池を流通するので、燃料電池の温度を上昇させることができる。その際、三方弁85をバイパス配管89側に切り換えて、冷媒のラジエータ88への流通を阻止すれば、冷媒温度および燃料電池温度の上昇を短時間で行うことができる。
次に図5のS16において、冷媒温度が所定値以上に上昇したか判断する。その所定値は、S34の所定値と同じ50〜70℃に設定されている。S16の判断がNoの場合には、燃料電池停止前の暖機運転を継続する(S14,S15)。
S16の判断がYesの場合(またはS30の判断がNoの場合)には、燃料電池停止前の暖機運転を終了する。具体的には、まずS18において、コントローラ60の燃料電池駆動部64が燃料電池システムの停止を許可する。次にS19において、燃料電池駆動部64が燃料電池システムの停止処理をする。燃料電池システムの停止時に必要な処理として、反応ガス流路の掃気処理等を行う。掃気処理は、発電に伴って生成され反応ガス流路に残留する水分を外部に排出するため、反応ガス流路に酸化剤ガス等を流通させることによって行う。
次に、燃料電池再起動時の処理について説明する。
まずS22において、コントローラ60の燃料電池駆動部64が、イグニッションスイッチのON信号を検出したか判断する。判断がYesの場合は、S24に進んで冷媒温度が所定値以上か否かを判断する。冷媒温度が高くS24の判断がYesの場合には、S26に進んで通常通りラジエータ88から燃料電池1への冷媒循環を行う。具体的には、コントローラ60の三方弁制御部68が三方弁85をラジエータ88側に切り換えて、ラジエータ88から燃料電池1に冷媒を流通させる。
これに対して、冷媒温度が低くS24の判断がNoの場合には、S25に進んで冷媒循環量の制限を行う。具体的には、まずコントローラ60の三方弁制御部68が、三方弁85をラジエータ88側からバイパス配管89側に切り換えて、ラジエータ88から燃料電池1への冷媒循環を制限し、バイパス配管89から燃料電池1への冷媒循環を可能にする。さらにW/Pの回転数を減少させ、燃料電池1への冷媒の循環量を制限する。ここでは、燃料電池1への冷媒循環を完全に遮断してもよく、冷媒循環を部分的に制限してもよい。これにより、冷媒による燃料電池1の冷却を抑制することが可能になり、燃料電池1を迅速に温度上昇させることが可能になる。したがって、燃料電池の起動時に十分な発電性能を確保することができる。また、冷媒温度がS24の所定値以上となるまで、燃料電池1への冷媒循環量を制限することが望ましい。また、燃焼ヒータ90により冷媒を加熱しつつ循環させてもよい。
ところで、図5のS16および図6のS34における冷媒温度の「所定値」は、膜電極構造体の劣化可能性を判断するものであり、上述したS24における冷媒温度の「所定値」は、起動時における発電性能の向上を図るものである。そこでS24における冷媒温度の「所定値」は、S16およびS34における冷媒温度の「所定値」(50〜70℃)とは異なり、例えば30℃程度に設定することが望ましい。
以上に詳述したように、本実施形態に係る燃料電池システムは、燃料電池1の発電停止信号が検出されても、燃料電池温度評価手段62により燃料電池1の温度が所定値以下と判断された場合には、燃料電池1の停止を禁止するとともに、ヒータ駆動部66により燃焼ヒータ90を駆動して燃料電池1の温度を上昇させる構成とした。
この構成によれば、短時間運転により燃料電池1が低温の場合には燃料電池1の停止を禁止するので、膜電極構造体内の氷を融解して水分を外部に排出することが可能になる。これにより、膜電極構造体の劣化を防止して、燃料電池1の発電性能を確保することができる。また、燃焼ヒータ90により積極的に燃料電池1を温度上昇させるので、燃料電池1の自己発熱のみで温度上昇させる場合に比べて、迅速に温度上昇させることができる。また、燃料電池1の温度上昇に伴って冷媒温度も上昇するので、次回起動時に高温の冷媒を循環させることが可能になり、燃料電池1を迅速に温度上昇させることができる。したがって、燃料電池1の短時間運転を行った場合でも、次回起動時に十分な発電性能を確保することができる。
また、燃焼ヒータ90により直接的に冷媒を加熱する構成としたので、次回起動時に高温の冷媒を循環させることが可能になり、燃料電池1を迅速に温度上昇させることができる。したがって、次回起動時に十分な発電性能を確保することができる。
また燃焼ヒータ90は、燃料電池1の反応ガスを供給するだけで駆動することが可能であり、電気ヒータのようにバッテリの電力を消費しないので、燃料消費量を低減することができる。
また、燃料電池温度予測手段63により燃料電池1の温度が氷点下になると予測された場合に、燃料電池1の停止を禁止するとともに、ヒータ駆動部66により燃焼ヒータ90を駆動して燃料電池1の温度を上昇させる構成とした。これにより、燃料電池1の温度が氷点下になって膜電極構造体内の水分が氷結し、膜電極構造体が劣化して次回起動時に発電性能の低下が懸念される場合のみに、燃料電池1の暖機運転を行うことが可能になる。したがって、燃料消費量を低減することができる。
また、燃料電池1の起動時において、燃料電池1における冷媒の温度が所定値以下と判断された場合に、W/P84の回転数を制限することにより、燃料電池1への冷媒循環量を制限する構成とした。これにより、冷媒による燃料電池1の冷却を抑制することが可能になり、燃料電池1を迅速に温度上昇させることが可能になる。したがって、次回起動時に十分な発電性能を確保することができる。
なお、本実施形態ではW/P84が冷媒循環量制限手段として機能したが、W/P84がA/P102と連動する場合には、冷媒循環量制限手段としてバタフライ弁を採用することが望ましい。バタフライ弁は、W/P84から独立して燃料電池1への冷媒循環量を自在に調整しうるものであり、例えば冷媒供給路83におけるW/P84と燃料電池1との間に設ければよい。これにより、燃料電池1への冷媒循環量を確実に制限することが可能になり、燃料電池1を迅速に温度上昇させることができる。
(変形例)
図8は、第1実施形態の変形例に係る燃料電池システムの特徴構成図である。第1実施形態ではコントローラに燃料電池温度評価手段を備えていたが、この変形例ではコントローラ60に燃料電池積算発電量検出手段62aおよび燃料電池発電時間検出手段62bを備えている点で相違している。なお第1実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。
燃料電池積算発電量検出手段62aは、燃料電池の積算発電量を検出するものである。また燃料電池発電時間検出手段62bは、燃料電池の運転継続時間を検出するものである。燃料電池積算発電量検出手段62aおよび燃料電池発電時間検出手段62bは、燃料電池の電圧センサ41および電流センサ42に接続され、燃料電池1から出力される電圧、電流または電力から、積算発電量および運転継続時間を検出しうるようになっている。
この変形例に係る燃料電池の運転方法は、第1実施形態と同様に、図5のフローチャートに基づいて行うことが可能である。すなわち、S12においてイグニッションスイッチのOFF信号を検出したら、S130において燃料電池停止前の暖機運転が必要か判断する。
図9(a)は、第1実施形態の変形例における停止前暖機必要判断サブルーチンのフローチャートである。この変形例では、まずS132aにおいて、コントローラ60の燃料電池積算発電量検出手段62aが、燃料電池の積算発電量を算出する。次にS132bにおいて、コントローラ60の燃料電池発電時間検出手段62bが、燃料電池の運転継続時間を算出する。
図9(b)は、燃料電池停止前の暖機運転要否の判断テーブルである。積算発電量が多いほど、また運転継続時間が長いほど、膜電極構造体内の氷が融解して水分が外部に排出されているものと考えられる。しかしながら、積算発電量が多くても運転継続時間が短い場合や、運転継続時間が長くても積算発電量が少ない場合には、氷の融解や水分の排出が不十分であると考えられる。そこで図9(b)では、積算発電量を横軸にとり、運転継続時間を縦軸にとって、停止前暖機の必要領域および不要領域を設定している。すなわち、積算発電量と運転継続時間との積が、所定値以下となる領域が停止前暖機の必要領域に設定され、所定値を超える領域が停止前暖機の不要領域に設定されている。
そこで、図9(a)のS134では、燃料電池積算発電量検出手段62aが検出した積算発電量と燃料電池発電時間検出手段62bが検出した発電時間との組み合わせが、図9(b)の判断テーブルにおいて停止前暖機の必要領域に該当するか否かを判断する。S134の判断がNoの場合には、燃料電池1の停止前暖機は不要である(S135)。
一方、S134の判断がYesの場合には、S136において次回低温起動となるか判断する。S136の判断がNoの場合には停止前暖機は不要であり(S135)、S136の判断がYesの場合には停止前暖機が必要である(S137)。
以上に詳述したように、第1実施形態の変形例に係る燃料電池システムでは、燃料電池積算発電量検出手段62aが検出した積算発電量および燃料電池発電時間検出手段62bが検出した発電時間に基づいて、燃料電池1の停止を禁止するとともに、ヒータ駆動部66により燃焼ヒータ90を駆動して燃料電池1の温度を上昇させる構成とした。
これにより、膜電極構造体内の氷が融解しているか、水分が外部に排出されているかなど、膜電極構造体内の水分の状態を正確に把握することが可能になる。これに基づいて停止前暖機の要否を判断することにより、次回起動時に十分な発電性能を確保することができる。
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る燃料電池システムの特徴構成図である。第2実施形態では冷媒を保温しつつ保存する冷媒タンク(冷媒容器)87を備えている点で、第1実施形態と相違している。なお第1実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。
第2実施形態では、ラジエータ88と並列に冷媒タンク87が設けられている。冷媒タンク87は、冷媒を保温するため、熱伝導率の低い材料によって形成されている。また冷媒タンク87は、燃料電池1を流通する全冷媒量の1割程度を貯留可能な大きさに形成されている。
一方、冷媒排出配管81の下流端部には、三方弁86の流入口が接続されている。三方弁86の2つの流出口は、それぞれ冷媒タンク87およびラジエータ88に接続されている。三方弁86は、燃料電池1から流入する冷媒の循環路として、冷媒タンク87およびラジエータ88のいずれかを選択するものである。また冷媒供給配管83の上流端部には、三方弁85の流出口が接続されている。三方弁85の2つの流入口は、それぞれ冷媒タンク87およびラジエータ88に接続されている。三方弁85は、燃料電池1に流出する冷媒の循環路として、冷媒タンク87またはラジエータ88のいずれかを選択するものである。そしてコントローラ60の三方弁制御部68は、三方弁85,86に対して冷媒循環路の選択信号を出力するようになっている。
図11は、第2実施形態に係る燃料電池の運転方法のフローチャートである。最初に、燃料電池停止時の処理について説明する。第2実施形態でも第1実施形態と同様に、燃料電池温度評価手段62により燃料電池1の温度が所定値以下と判断された場合に(S34)、燃料電池駆動部64が燃料電池1の発電停止を禁止するとともに(S14)、ヒータ駆動部66が燃焼ヒータ90を駆動して燃料電池1の暖機運転を実施する(S15)。次にS16において、燃料電池1における冷媒温度が所定値(50〜70℃)以上に上昇したか判断する。判断がNoの場合には暖機運転を継続する。
これに対して、S16の判断がYesの場合(またはS30の判断がNoの場合)には、S17において冷媒タンク87に冷媒を溜める。具体的には、コントローラ60の三方弁制御部68が三方弁85,86に対して冷媒流通路の選択信号を出力し、燃料電池1から冷媒タンク87に冷媒を循環させる。これにより、高温の冷媒が冷媒タンク87に保存される。その後、S18において燃料電池システムの停止を許可し、S19において燃料電池システムの停止処理をする。
次に、燃料電池再起動時の処理について説明する。
まず、S24において燃料電池1における冷媒温度が所定値以上か否かを判断する。冷媒温度が高くS24の判断がYesの場合には、S28に進んで通常通りラジエータ88から燃料電池1に冷媒を循環させる。具体的には、コントローラ60の三方弁制御部68が、三方弁85,86をラジエータ88側に切り換えて、ラジエータ88から燃料電池1に冷媒を循環させる。
これに対して、冷媒温度が低くS24の判断がNoの場合には、S27に進んで冷媒タンク87から燃料電池1に冷媒を循環させる。具体的には、コントローラ60の三方弁制御部68が三方弁85を冷媒タンク87側に切り換えて、ラジエータ88から燃料電池1への冷媒循環を制限するとともに、冷媒タンク87から燃料電池1への冷媒循環を可能にする。なお、三方弁85を所定の時間割合だけ冷媒タンク87側に切り換えて、冷媒タンク87およびラジエータ88の両方から燃料電池1に冷媒を循環させてもよい。
冷媒タンク87には、前回の燃料電池停止時に高温の冷媒が充填され保温されている。なお冷媒タンク87内の冷媒温度は、燃料電池1の停止中に低下したとしても、ラジエータ88内の冷媒温度以上である。そこで、ラジエータ88から燃料電池への冷媒循環を制限するとともに、冷媒タンク87から燃料電池1への冷媒循環を可能にすることにより、燃料電池1を迅速に温度上昇させることができる。なお、冷媒温度がS24の所定値以上となるまで、ラジエータ88から燃料電池1への冷媒循環を制限することが望ましい。また、燃焼ヒータ90により冷媒を加熱しつつ循環させてもよい。
以上に詳述したように、第2実施形態に係る燃料電池システムでは、燃料電池1の運転時において、燃料電池1における冷媒の温度が所定値以上と判断された場合に、燃料電池1から冷媒タンク87へ冷媒を循環させるとともに、燃料電池1の起動時において、燃料電池1における冷媒の温度が所定値以下と判断された場合に、冷媒タンク87から燃料電池1へ冷媒を循環させる構成とした。
これにより、冷媒タンクに保存された高温の冷媒を燃料電池1に供給して、燃料電池1を加熱することが可能になり、燃料電池1を迅速に温度上昇させることが可能になる。したがって、次回起動時に十分な発電性能を確保することができる
なお、この発明は上述した実施形態に限られるものではない。
例えば、燃料電池における反応ガス流路や冷媒流路の形状は、上述した実施形態に限られるものではなく、任意の形状とすることが可能である。
単位セルの展開図である。 単位セルを積層した燃料電池スタックの側面断面図である。 燃料電池スタックを備えた燃料電池システムの概略構成図である。 第1実施形態に係る燃料電池システムの特徴構成図である。 第1実施形態に係る燃料電池の運転方法のフローチャートである。 停止前暖機必要判断サブルーチンのフローチャートである。 燃料電池停止時の温度と次回氷点下起動性能との関係を示すグラフである。 第1実施形態の変形例に係る燃料電池システムの特徴構成図である。 (a)は停止前暖機必要判断サブルーチンのフローチャートであり、(b)は燃料電池停止前の暖機運転要否の判断テーブルである。 第2実施形態に係る燃料電池システムの特徴構成図である。 第2実施形態に係る燃料電池の運転方法のフローチャートである。
符号の説明
1…燃料電池 60…コントローラ(制御部) 62…燃料電池温度評価手段 62a…燃料電池積算発電量検出手段 62b…燃料電池発電時間検出手段 63…燃料電池温度予測手段 66…ヒータ駆動部(燃料電池温度上昇手段) 68…三方弁制御部(冷媒循環調整手段) 82…冷媒温度センサ(燃料電池温度把握手段) 85…三方弁(冷媒循環調整手段) 86…三方弁(冷媒循環調整手段) 87…冷媒タンク(冷媒容器) 88…ラジエータ(熱交換器) 89…バイパス配管(冷媒循環調整手段) 90…燃焼ヒータ(燃料電池温度上昇手段、冷媒加熱手段)

Claims (8)

  1. 反応ガスを供給して発電を行う燃料電池と、
    前記燃料電池の温度を把握する燃料電池温度把握手段と、
    前記燃料電池温度把握手段が把握した前記燃料電池の温度が所定値以下か判断する燃料電池温度評価手段と、
    前記燃料電池の温度を上昇させる燃料電池温度上昇手段と、
    前記燃料電池の発電停止信号が検出されても、前記燃料電池温度評価手段により前記燃料電池の温度が所定値以下と判断された場合には、前記燃料電池の停止を禁止するとともに、前記燃料電池温度上昇手段により前記燃料電池の温度を上昇させる制御部と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池を冷却する冷媒を備え、
    前記燃料電池温度上昇手段は、前記冷媒を加熱する冷媒加熱手段であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃料電池温度上昇手段は、前記反応ガスを燃焼させる燃焼ヒータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料電池の停止後に前記燃料電池の温度が氷点下になるか予測する燃料電池温度予測手段を備え、
    前記制御部は、前記燃料電池温度予測手段により前記燃料電池の温度が氷点下になると予測された場合に、前記燃料電池の停止を禁止するとともに、前記燃料電池温度上昇手段により前記燃料電池の温度を上昇させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池を冷却する冷媒と、前記冷媒を冷却する熱交換器と、前記燃料電池への前記冷媒の循環量を制限する冷媒循環量制限手段とを備え、
    前記制御部は、前記燃料電池の起動時において、前記燃料電池における前記冷媒の温度が所定値以下と判断された場合に、前記冷媒循環量制限手段により前記燃料電池への前記冷媒の循環量を制限することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 前記燃料電池を冷却する冷媒と、前記冷媒を冷却する熱交換器と、前記冷媒を保温しつつ保存する冷媒容器と、前記熱交換器から前記燃料電池への前記冷媒の循環を制限するとともに前記冷媒容器から前記燃料電池への前記冷媒の循環を可能にする冷媒循環調整手段とを備え、
    前記制御部は、前記燃料電池の運転時において、前記燃料電池における前記冷媒の温度が所定値以上と判断された場合に、前記冷媒循環調整手段により前記燃料電池から前記冷媒容器へ前記冷媒を循環させるとともに、前記燃料電池の起動時において、前記燃料電池における前記冷媒の温度が所定値以下と判断された場合に、前記冷媒循環調整手段により前記冷媒容器から前記燃料電池へ前記冷媒を循環させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記燃料電池の積算発電量を検出する燃料電池積算発電量検出手段と、前記燃料電池の発電時間を検出する燃料電池発電時間検出手段とを備え、
    前記制御部は、前記燃料電池温度評価手段の判断に代えて、前記燃料電池積算発電量検出手段が検出した積算発電量および前記燃料電池発電時間検出手段が検出した発電時間に基づいて、前記燃料電池の停止を禁止するとともに、前記燃料電池温度上昇手段により前記燃料電池の温度を上昇させることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  8. 反応ガスを供給して発電を行う燃料電池の運転方法であって、
    前記燃料電池の発電停止信号が検出されても、前記燃料電池の温度が所定値以下と判断された場合には、前記燃料電池の停止を禁止するとともに、前記燃料電池の温度を上昇させることを特徴とする燃料電池の運転方法。
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JP2014524638A (ja) * 2011-08-05 2014-09-22 ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト 燃料電池システム

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