JP2008179605A - ラクタムの製造方法 - Google Patents

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康敬 石井
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明弘 芝本
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隆裕 岩浜
Tatsuya Nakano
達也 中野
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Abstract

【課題】環境に対する負荷の低い触媒を用いて、シクロアルカンからラクタムを工業的に効率よく、しかも高い収率で製造する。
【解決手段】ラクタムの製造方法は、記式(i)
【化1】
Figure 2008179605

[式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物aの存在下、シクロアルカンと亜硝酸エステルとを反応させて対応するシクロアルカノンオキシムを生成させる工程Aと、工程Aで生成したシクロアルカノンオキシムを、ベックマン転位させて対応するラクタムを生成させる工程Bとを含むラクタムの製造方法であって、工程Aの途中及び/又は工程A終了後に窒素原子含有環状化合物aを除去する工程を含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、医薬、農薬、染料、ポリアミドなどの原料として有用なラクタムの製造法、より詳細には、前記ラクタムをシクロアルカン類から効率よく製造する方法に関する。
従来、シクロアルカン類を出発原料としてラクタムを製造する方法においては、シクロアルカン類を、一旦、空気酸化、脱水素工程を経てシクロアルカノンへと変換し、ヒドロキシルアミンを用いて、オキシム化合物へと導いた後、化学量論以上の発煙硫酸もしくは硫酸を作用する方法、いわゆるベックマン転位によりラクタムを得ている。しかしながら、これら従来技術においては、オキシム化工程で使用するヒドロキシルアミン硫酸塩からヒドロキシルアミンを遊離させる工程とベックマン転位工程で副生する多量の硫酸塩(硫酸アンモニウムや硫酸ナトリウム)の処理が問題となっている。
このような問題に鑑み、環境に対する負荷の低いオキシム化触媒及び反応剤としてN−ヒドロキシフタルイミドなどのヒドロキシイミド基を有する化合物と亜硝酸エステルを用いて、シクロアルカン類をオキシムに変換する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、ベックマン転位触媒として、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンなどの、脱離基として働くハロ基と複数の電子吸引性基とを持つ芳香族化合物を使用して、オキシムをラクタムに変換する方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、シクロアルカンからラクタム合成に至る一連の工程を環境に対する負荷の低い触媒を用いて行い、ラクタムを工業的に効率よく製造する方法は確立されていない。
特開2003−327570号公報 特開2006−219470号公報
従って、本発明の目的は、環境に対する負荷の低い触媒を用いて、シクロアルカンからラクタムを工業的に効率よく、しかも高い収率で製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため、ヒドロキシイミド基を有する化合物等の特定構造の窒素原子含有環状化合物の存在下でシクロアルカンと亜硝酸エステルとを反応させてシクロアルカノンオキシムを生成させ、次いで生成したシクロアルカノンオキシムをトリクロロ−1,3,5−トリアジン等の脱離基と複数の電子吸引性基とを持つ芳香族化合物を触媒としたベックマン転位反応によりラクタムに変換する方法について研究を進めた結果、一般的な条件で得られたオキシム化反応液をそのままベックマン転位工程に用いると、ベックマン転位の触媒を通常量用いたのでは反応が円滑に進行しないこと、しかしながらベックマン転位工程に供給するシクロアルカノンオキシム含有液中の窒素原子含有環状化合物の量を低減すると、シクロアルカノンオキシムを単離精製してベックマン転位工程に供給しなくても、転位反応が円滑に進行して高い収率で目的のラクタムが生成し、ラクタムを工業的に極めて効率よく製造できることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記式(i)
Figure 2008179605
[式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物aの存在下、シクロアルカンと亜硝酸エステルとを反応させて対応するシクロアルカノンオキシムを生成させる工程Aと、工程Aで生成したシクロアルカノンオキシムを、ベックマン転位させて対応するラクタムを生成させる工程Bとを含むラクタムの製造方法であって、工程Aの途中及び/又は工程A終了後に窒素原子含有環状化合物aを除去する工程を含むラクタムの製造方法を提供する。
シクロアルカノンオキシムを生成させる工程Aは、シクロアルカンと亜硝酸エステルとの反応によりニトロソ化合物又はそのダイマーを生成させる第一工程と、生成したニトロソ化合物又はそのダイマーをオキシム化合物に変換する第二工程とで構成するとともに、第一工程の終了後に窒素原子含有環状化合物aを除去する工程を設けることが好ましい。
窒素原子含有環状化合物aには、下記式(I)
Figure 2008179605
[式中、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
で表される環状イミド骨格を有する環状イミド系化合物が含まれる。
また、窒素原子含有環状化合物aには、下記式(1)
Figure 2008179605
[式中、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、下記式(a)
Figure 2008179605
(式中、n、Xは前記に同じ)
で表されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい]
で表される化合物が含まれる。
ベックマン転位の触媒としては、下記式(ii)
Figure 2008179605
(式中、Zはハロゲン原子又は−OR′基を示し、R′は有機基を示す)
で表される構造を環の構成要素として含む環状化合物bを使用することが好ましい。
また、ベックマン転位に付すシクロアルカノンオキシム含有液中の窒素原子含有環状化合物aの量を、ベックマン転位に用いる触媒の量に対して3モル倍以下とすることが好ましい。
本発明は、また、下記式(i)
Figure 2008179605
[式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物aの存在下、シクロアルカンと亜硝酸エステルとを反応させて対応するシクロアルカノンオキシムを生成させる工程Aにおいて、工程Aの途中及び/又は工程A終了後に窒素原子含有環状化合物aを除去する工程を含むシクロアルカノンオキシムの製造方法を提供する。
本発明によれば、シクロアルカンからラクタム化合物を効率よく、高い収率で製造することができる。また、オキシム化反応及びベックマン転位反応の何れの反応も環境に対する負荷の低い触媒を用いるとともに、ベックマン転位工程における触媒等の使用量を増加しなくても反応を円滑に進行させることができるため、ラクタム化合物の工業的な製造法として極めて価値が高い。
本発明は、シクロアルカンを、前記式(i)で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物aの存在下、亜硝酸エステルと反応させて対応するシクロアルカノンオキシムを生成させる工程Aと、工程Aで生成したシクロアルカノンオキシムをベックマン転位させて、対応するラクタムを生成させる工程Bとからなる。
[工程A]
工程Aは、反応の観点から見ると、シクロアルカンが窒素原子含有環状化合物aの存在下で亜硝酸エステルと反応してニトロソ化される第一の工程と、第一の工程で生成したニトロソ化合物がオキシム化される第二の工程とからなる。
[窒素原子含有環状化合物a]
工程Aでは、触媒として前記式(i)で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物aを用いる。式(i)において、窒素原子とXとの結合は単結合又は二重結合である。前記窒素原子含有環状化合物は、分子中に、式(i)で表される骨格を複数個有していてもよい。また、この窒素原子含有環状化合物は、前記Xが−OR基であり且つRがヒドロキシル基の保護基である場合、式(i)で表される骨格のうちRを除く部分が複数個、Rを介して結合していてもよい。
式(i)中、Rで示されるヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用のヒドロキシル基の保護基を用いることができる。このような保護基として、例えば、アルキル基(例えば、メチル、t−ブチル基などのC1-4アルキル基など)、アルケニル基(例えば、アリル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など)、アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、3−ブロモベンジル、2−ニトロベンジル、トリフェニルメチル基など);置換メチル基(例えば、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基など)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−イソプロポキシエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−メトキシエチル基など)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシヘキシル、1−ヒドロキシデシル、1−ヒドロキシヘキサデシル、1−ヒドロキシ−1−フェニルメチル基など)等のヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基など;アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル基などのC1-20脂肪族アシル基等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基などのシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基など)、スルホニル基(メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、ナフタレンスルホニル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシ−カルボニル基など)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基(例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル基など)、無機酸(硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸など)からOH基を除した基、ジアルキルホスフィノチオイル基(例えば、ジメチルホスフィノチオイル基など)、ジアリールホスフィノチオイル基(例えば、ジフェニルホスフィノチオイル基など)、置換シリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリベンジルシリル、トリフェニルシリル基など)などが挙げられる。
また、Xが−OR基である場合において、式(i)で表される骨格のうちRを除く部分(N−オキシ環状イミド骨格)が複数個、Rを介して結合する場合、該Rとして、例えば、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、フタロイル、イソフタロイル、テレフタロイル基などのポリカルボン酸アシル基;カルボニル基;メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン基などの多価の炭化水素基(特に、2つのヒドロキシル基とアセタール結合を形成する基)などが挙げられる。
好ましいRには、例えば、水素原子;ヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;カルボン酸、スルホン酸、炭酸、カルバミン酸、硫酸、リン酸、ホウ酸などの酸からOH基を除した基(アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基等)などの加水分解により脱離可能な加水分解性保護基などが含まれる。
前記窒素原子含有環状化合物には、例えば、式(I)で表されるN−置換環状イミド骨格を有する環状イミド系化合物が含まれる。前記環状イミド系化合物は、分子中に、式(I)で表されるN−置換環状イミド骨格を複数個有していてもよい。また、この環状イミド系化合物は、前記Xが−OR基であり且つRがヒドロキシル基の保護基である場合、N−置換環状イミド骨格のうちRを除く部分(N−オキシ環状イミド骨格)が複数個、Rを介して結合していてもよい。
式(I)において、nは0又は1を示す。すなわち、式(I)は、nが0の場合は5員のN−置換環状イミド骨格を表し、nが1の場合は6員のN−置換環状イミド骨格を表す。
前記環状イミド系化合物の代表的な例として、前記式(1)で表されるイミド化合物が挙げられる。このイミド化合物において、置換基R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素原子が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル基などの炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。
アリール基には、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、オクタデシルオキシ基などの炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)のアルコキシ基が含まれる。
置換オキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル基などのC1-30アルコキシ−カルボニル基(特に、C1-20アルコキシ−カルボニル基);シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカルボニル基(特に、3〜20員シクロアルキルオキシカルボニル基);フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基(特に、C6-20アリールオキシ−カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基などのアラルキルオキシカルボニル基(特に、C7-21アラルキルオキシ−カルボニル基)などが挙げられる。
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル基などのC1-30脂肪族アシル基(特に、C1-20脂肪族アシル基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基などのシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基などが例示できる。
アシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、オクタノイルオキシ、デカノイルオキシ、ラウロイルオキシ、ミリストイルオキシ、パルミトイルオキシ、ステアロイルオキシ基などのC1-30脂肪族アシルオキシ基(特に、C1-20脂肪族アシルオキシ基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基;アセトアセチルオキシ基;シクロペンタンカルボニルオキシ、シクロヘキサンカルボニルオキシ基などのシクロアルカンカルボニルオキシ基等の脂環式アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基などの芳香族アシルオキシ基などが例示できる。
前記置換基R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよい。また、前記式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、二重結合、または芳香族性又は非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水素環である場合が多い。このような環には、例えば、非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していてもよい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、芳香族環で構成される場合が多い。前記環は、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、前記式(a)で表されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい。例えば、R1、R2、R3、R4、R5又はR6が炭素数2以上のアルキル基である場合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。また、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素−炭素結合と共に二重結合を形成する場合、該二重結合を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。さらに、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成する場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。
好ましいイミド化合物には、下記式で表される化合物が含まれる。
Figure 2008179605
(式中、R11〜R16は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示す。R17〜R26は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。R17〜R26は、隣接する基同士が結合して、式(1c)、(1d)、(1e)、(1f)、(1h)又は(1i)中に示される5員又は6員のN−置換環状イミド骨格を形成していてもよい。式(1f)中、Aはメチレン基又は酸素原子を示す。Xは前記に同じ)
置換基R11〜R16におけるハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基としては、前記R1〜R6における対応する基と同様のものが例示される。
置換基R17〜R26において、アルキル基には、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度のハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアルコキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、置換オキシカルボニル基には、前記と同様の置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)が含まれる。また、アシル基としては前記と同様のアシル基(脂肪族飽和又は不飽和アシル基、アセトアセチル基、脂環式アシル基、芳香族アシル基等)などが例示され、アシルオキシ基としては前記と同様のアシルオキシ基(脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基、アセトアセチルオキシ基、脂環式アシルオキシ基、芳香族アシルオキシ基等)などが例示される。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R17〜R26は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。
好ましいイミド化合物のうち5員のN−置換環状イミド骨格を有する化合物の代表的な例として、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α−メチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,α−ジメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ジメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,α,β,β−テトラメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド、N,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、α,β−ジアセトキシ−N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(プロピオニルオキシ)コハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(バレリルオキシ)コハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(ラウロイルオキシ)コハク酸イミド、α,β−ビス(ベンゾイルオキシ)−N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−4−メトキシカルボニルフタル酸イミド、4−クロロ−N−ヒドロキシフタル酸イミド、4−エトキシカルボニル−N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4−ペンチルオキシカルボニルフタル酸イミド、4−ドデシルオキシ−N−ヒドロキシカルボニルフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4−フェノキシカルボニルフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(メトキシカルボニル)フタル酸イミド、4,5−ビス(エトキシカルボニル)−N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(ペンチルオキシカルボニル)フタル酸イミド、4,5−ビス(ドデシルオキシカルボニル)−N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(フェノキシカルボニル)フタル酸イミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRが水素原子である化合物;これらの化合物に対応する、Rがアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオキシフタル酸イミド、N−(2−メトキシエトキシメチルオキシ)フタル酸イミド、N−テトラヒドロピラニルオキシフタル酸イミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRがヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオキシフタル酸イミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)フタル酸イミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRがスルホニル基である化合物;N−ヒドロキシフタル酸イミドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又はホウ酸エステルなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRが無機酸からOH基を除した基である化合物などが挙げられる。
好ましいイミド化合物のうち6員のN−置換環状イミド骨格を有する化合物の代表的な例として、例えば、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−α,α−ジメチルグルタルイミド、N−ヒドロキシ−β,β−ジメチルグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−デカリンジカルボン酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド(N−ヒドロキシナフタル酸イミド)、N,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRが水素原子である化合物;これらの化合物に対応する、Rがアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ビス(メトキシメチルオキシ)−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRがヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ビス(メタンスルホニルオキシ)−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRがスルホニル基である化合物;N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド又はN,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又はホウ酸エステルなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRが無機酸からOH基を除した基である化合物などが挙げられる。
前記窒素原子含有環状化合物には、上記環状イミド系化合物の他に、例えば、下記式(II)
Figure 2008179605
(式中、Gは炭素原子又は窒素原子を示す。nは1又は2を示し、nが2のとき、2つのGは同一でもよく異なっていてもよい。Rは前記に同じ)
で表される環状アシルウレア骨格[−C(=O)−N−C(=O)−N−]を有する環状アシルウレア系化合物が含まれる。前記環状アシルウレア系化合物は、分子中に、式(II)で表される環状アシルウレア骨格を複数個有していてもよい。また、この環状アシルウレア系化合物は、式(II)で表される環状アシルウレア骨格のうちRを除く部分(N−オキシ環状アシルウレア骨格)が複数個、Rを介して結合していてもよい。前記環状アシルウレア骨格を構成する原子G、及び該Gに結合している窒素原子は各種置換基を有していてもよく、また、前記環状アシルウレア骨格には非芳香族性又は芳香族性環が縮合していてもよい。さらに、前記環状アシルウレア骨格は環に二重結合を有していてもよい。
式(II)で表される環状アシルウレア骨格には、下記の式(IIa)で表される3−ヒドロキシ(又は3−置換オキシ)ヒダントイン骨格、式(IIb)で表される4−ヒドロキシ(又は4−置換オキシ)−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン骨格[4−ヒドロキシ(又は4−置換オキシ)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン骨格を含む]、式(IIc)で表されるヒドロ−3−ヒドロキシ(又は3−置換オキシ)−1,3−ジアジン−2,4−ジオン骨格[ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ(又は1−置換オキシ)−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン骨格、ヘキサヒドロ−1,3−ジヒドロキシ(又は1,3−ビス置換オキシ)−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン骨格、3−ヒドロキシ(又は3−置換オキシ)ウラシル骨格を含む]、式(IId)で表されるヒドロ−4−ヒドロキシ(又は4−置換オキシ)−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン骨格、式(IIe)で表されるヒドロ−1−ヒドロキシ(又は1−置換オキシ)−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン骨格、及び式(IIf)で表されるヒドロ−5−ヒドロキシ(又は5−置換オキシ)−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン骨格が含まれる。
Figure 2008179605
(式中、Rは前記に同じ)
前記環状アシルウレア系化合物の代表的な例として、下記式(2)
Figure 2008179605
(式中、Ra、Rdは、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、又はアシル基を示し、Rb、Rcは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示す。Ra、Rb、Rc、Rdのうち少なくとも2つが互いに結合して、式中の環を構成する原子とともに二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよく、RbとRcは一体となってオキソ基を形成してもよい。Rは前記に同じ)
で表されるヒドロ−1−ヒドロキシ(又は1−置換オキシ)−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン化合物が挙げられる。
式(2)中、Ra、Rdにおけるアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基としては、上記R1〜R6におけるアルキル基等と同様のものが例示される。ヒドロキシル基の保護基としては、前記のものが挙げられる。
カルボキシル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基、例えば、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシなどのC1-6アルコキシ基など)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基など)、トリアルキルシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基など)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基などのモノ又はジC1-6アルキルアミノ基など)などが挙げられる。
b、Rcにおけるハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基としては、上記R1〜R6におけるアルキル基等と同様のものが例示される。
式(2)において、Ra、Rb、Rc、Rdのうち少なくとも2つが互いに結合して、式中に示される環を構成する原子(炭素原子及び/又は窒素原子)とともに二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよく、Rb、Rcは一体となってオキソ基を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環としては前記と同様のものが例示される。
好ましい環状アシルウレア系化合物の代表的な例として、例えば、3−ヒドロキシヒダントイン、1,3−ジヒドロキシヒダントイン、3−ヒドロキシ−1−メチルヒダントイン、3−アセトキシヒダントイン、1,3−ジアセトキシヒダントイン、3−アセトキシ−1−メチルヒダントイン、3−ベンゾイルオキシヒダントイン、1,3−ビス(ベンゾイルオキシ)ヒダントイン、3−ベンゾイルオキシ−1−メチルヒダントインなどの式(IIa)で表される骨格を有する化合物;4−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−アセトキシ−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−アセトキシ−1,2−ジメチル−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−1,2−ジメチル−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン、4−アセトキシ−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンなどの式(IIb)で表される骨格を有する化合物;ヘキサヒドロ−3−ヒドロキシ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、ヘキサヒドロ−1,3−ジヒドロキシ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、ヘキサヒドロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、3−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、1,3−ジアセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、3−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1−メチル−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、3−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、1,3−ビス(ベンゾイルオキシ)−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、3−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1−メチル−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、1−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、1−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、ヘキサヒドロ−1,3−ジヒドロキシ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、1,3−ジアセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、1,3−ビス(ベンゾイルオキシ)−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、3−ヒドロキシウラシル、3−アセトキシウラシル、3−ベンゾイルウラシルなどの式(IIc)で表される骨格を有する化合物;ヘキサヒドロ−4−ヒドロキシ−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン、ヘキサヒドロ−4−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン、4−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン、4−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,2−ジメチル−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,2−ジメチル−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオンなどの式(IId)で表される骨格を有する化合物;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリヒドロキシ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、1,3,5−トリアセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、1,3,5−トリス(ベンゾイルオキシ)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(メトキシメチルオキシ)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、1−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、1−アセトキシ−ヘキサヒドロ−3,5−ジメチル−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、1−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、1−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−3,5−ジメチル−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオンなどの式(IIe)で表される骨格を有する化合物[例えば、式(2)で表される化合物];ヘキサヒドロ−5−ヒドロキシ−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン、ヘキサヒドロ−5−ヒドロキシ−1,2,3−トリメチル−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン、5−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン、5−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,2,3−トリメチル−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン、5−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン、5−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,2,3−トリメチル−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオンなどの式(IIf)で表される骨格を有する化合物が挙げられる。
前記窒素原子含有環状化合物のうち、Xが−OR基で且つRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状化合物)は、公知の方法に準じて、又は公知の方法の組み合わせにより製造することができる。また、前記窒素原子含有環状化合物のうち、Xが−OR基で且つRがヒドロキシル基の保護基である化合物は、対応するRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状化合物)に、慣用の保護基導入反応を利用して、所望の保護基を導入することにより調製することができる。
具体的には、前記環状イミド系化合物のうち、Xが−OR基で且つRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状イミド化合物)は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンとを反応させ、酸無水物基の開環及び閉環を経てイミド化する方法により得ることができる。例えば、N−アセトキシフタル酸イミドは、N−ヒドロキシフタル酸イミドに無水酢酸を反応させたり、塩基の存在下でアセチルハライドを反応させることにより得ることができる。また、これ以外の方法で製造することも可能である。
特に好ましいイミド化合物は、脂肪族多価カルボン酸無水物(環状無水物)又は芳香族多価カルボン酸無水物(環状無水物)から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物(例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなど);及び該N−ヒドロキシイミド化合物のヒドロキシル基に保護基を導入することにより得られる化合物などが含まれる。
前記環状アシルウレア系化合物のうち、例えば、1,3,5−トリアセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン(=1,3,5−トリアセトキシイソシアヌル酸)は、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリヒドロキシ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン(=1,3,5−トリヒドロキシイソシアヌル酸)に無水酢酸を反応させたり、塩基の存在下でアセチルハライドを反応させることにより得ることができる。
特に、本発明の方法において、脂溶性の窒素原子含有環状化合物を触媒として用いた場合には、反応を無溶媒下や低極性溶媒中で行っても、触媒の溶解性が高いため、触媒が有効に作用し、反応が速やかに進行して生産性が向上するとともに、目的生成物の分離、精製操作が容易となる点で好ましい。
脂溶性窒素原子含有環状化合物として、例えば、式(1)で表されるイミド化合物におけるXが−OR基で且つRが水素原子であって、R1〜R6、及びR1〜R6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環が有する置換基のうち少なくとも1つが、C5-30アシルオキシ基又はC5-30置換オキシカルボニル基である化合物などが挙げられる。その代表的な例としては、例えば、式(1a)におけるR11及びR16がアシルオキシ基(好ましくは、C5-30脂肪族アシルオキシ基、脂環式アシルオキシ基又は芳香族アシルオキシ基、さらに好ましくは、C6-20脂肪族アシルオキシ基、シクロヘキサンカルボニル基又はベンゾイルオキシ基)である化合物(R12=R15=H);式(1c)におけるR18が置換オキシカルボニル基(好ましくは、C5-30アルコキシ−カルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、さらに好ましくは、C6-20アルコキシ−カルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基又はフェノキシカルボニル基)である化合物(R17=R19=R20=H);式(1c)におけるR18及びR19が置換オキシカルボニル基(好ましくは、C5-30アルコキシ−カルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、さらに好ましくは、C6-20アルコキシ−カルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基又はフェノキシカルボニル基)である化合物(R17=R20=H)である化合物などが挙げられる。このような脂溶性イミド化合物の具体例としては、例えばヨーロッパ特許公開公報EP1238704A2にFedorsの方法による溶解度パラメーターが26[(MPa)1/2]以下である環状イミド系化合物として記載されているものなどが挙げられる。また、脂溶性の窒素原子含有環状化合物には、式(II)で表される環状アシルウレア系化合物におけるRが水素原子であって、Rb、Rc、及びRa〜Rdのうち少なくとも2つが互いに結合して、環状アシルウレア骨格を構成する炭素原子、窒素原子又は炭素−炭素(窒素)結合と共に形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環が有する置換基のうち少なくとも1つが、C5-30アシルオキシ基又はC5-30置換オキシカルボニル基である化合物などが含まれる。
式(i)で表される骨格を環の構成要素に含む窒素原子含有環状化合物は、反応において、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。例えば、式(I)で表される環状イミド骨格を有する環状イミド系化合物と、式(II)で表される環状アシルウレア骨格を有する環状アシルウレア系化合物などとを併用することもできる。前記窒素原子含有環状化合物は反応系内で生成させてもよい。
前記窒素原子含有環状化合物の使用量は、広い範囲で選択でき、例えば、基質[シクロアルカン]1モルに対して0.0000001〜1モル、好ましくは0.000001〜0.5モル、さらに好ましくは0.00001〜0.4モル程度であり、0.0001〜0.35モル程度である場合が多い。
[助触媒等]
なお、工程Aでは、必要に応じて、窒素原子含有環状化合物触媒とともに助触媒を用いることもできる。助触媒として、例えば、バナジウム化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、周期表1族又は2族の金属元素化合物等の金属化合物;有機オニウム塩などが挙げられる。また、このほか、例えば特開平9−327626号公報にイミド化合物触媒の助触媒として記載されているものなどを使用できる。これらの助触媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。また、系内にラジカル開始剤やラジカル反応促進剤、酸化剤など初期活性化剤を添加してもよい。
[シクロアルカン]
シクロアルカンとしては、3〜30員のシクロアルカン環を有する化合物、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロテトラデカン、シクロペンタデカン、シクロヘキサデカン、シクロテトラコサン、シクロトリアコンタン、及びこれらの誘導体などが例示できる。好ましいシクロアルカン環には、5〜30員、特に5〜20員のシクロアルカン環が含まれる。なお、本明細書では、シクロアルカンを基質と称することがある。
[亜硝酸エステル]
本発明では、工程Aにおいて、反応剤として亜硝酸エステルを用いる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
亜硝酸エステルとしては、例えば、亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸プロピル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸ブチル、亜硝酸イソブチル、亜硝酸t−ブチル、亜硝酸アミル、亜硝酸イソアミル、亜硝酸t−アミル、亜硝酸ヘキシルなどの亜硝酸アルキル;亜硝酸フェニルなどの亜硝酸アリール;亜硝酸ベンジルなどの亜硝酸アラルキルなどが挙げられる。好ましい亜硝酸エステルには亜硝酸C1−6アルキル等の亜硝酸アルキルが含まれる。
前記亜硝酸エステルは、そのまま反応系に供給してもよいが、適当な溶媒に溶解して溶液の形態で反応系に供給することができる。また、亜硝酸エステルは反応系内で生成させてもよい。例えば、系内にアルコールと酸化窒素(NO、N2O3等)とを添加することにより、対応する亜硝酸エステルを生成させることができる。また、系内にアルコールと亜硝酸金属塩と酸とを添加することにより、対応する亜硝酸エステルを生成させることもできる。
[反応]
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒としては、反応条件下で不活性なものであればよく、例えば、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;これらの混合溶媒などが挙げられる。溶媒として、酢酸などの有機酸類、アセトニトリルやベンゾニトリルなどのニトリル類、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類などを用いる場合が多い。
基質と亜硝酸エステルとの使用割合は、両化合物の種類(価格、反応性)や組み合わせなどにより適宜選択できる。例えば、基質を亜硝酸エステルに対して当量程度又は過剰量(例えば、1.1〜50当量倍又はそれ以上、好ましくは3〜30当量倍程度)用いてもよく、逆に、亜硝酸エステルを基質に対して過剰量用いてもよい。
反応温度等は、特に制限されず、例えば、反応温度は0〜250℃程度、好ましくは25〜150℃程度、さらに好ましくは40〜120℃程度である。反応は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、目的生成物の種類等により、空気雰囲気下又は酸素雰囲気下で行うことも可能であるが、完全に溶存酸素を除いた方が望ましい。反応は、減圧下、常圧又は加圧下、回分式、半回分式、連続式(多段連続流通式等)などの慣用の方法により行うことができる。反応を減圧下、特に反応で副生する窒素酸化物ガス(とりわけNO2)を系内から除去できる程度の減圧下[例えば、30〜700mmHg(3.99〜93.1kPa)程度]で実施すると、収率が大幅に向上する。窒素酸化物ガス(NO2等)が反応を阻害するものと推測される。
基質と亜硝酸エステルとを反応させると、まず、ニトロソ化合物が生成し、これが異性化してオキシム化合物が生成するものと考えられる。例えば、シクロドデカンと亜硝酸エステルとを反応させると、まずニトロソシクロドデカンが生成し、これが異性化してシクロドデカノンオキシムが生成すると考えられる。なお、ニトロソ化合物は、その種類によっても異なるが、対応するダイマー(ニトロソ化合物2分子が窒素原子同士で結合したジ−N−オキシド化合物)と可逆的な平衡状態にあって、その平衡がダイマー側に寄っていることがある。なお、長時間反応した場合には、ニトロソ化合物及びそのダイマーは痕跡量、多くとも1%未満の収率となりうる。
基質と亜硝酸エステルとの反応の好ましい態様として、反応系内へ亜硝酸エステルを逐次的又は連続的に添加して反応させる方法が挙げられる。この方法によれば、亜硝酸エステルを一括添加した場合と比較して、特にニトロソ化段階において副反応が抑制され、ニトロソ化合物(又はそのダイマー)が高い選択率で生成する。そのため、続く転位反応等によりオキシム化合物などを高い収率で得ることができる。
また、オキシム化合物を収率よく生成させるため、基質と亜硝酸エステルとの反応によりニトロソ化合物又はそのダイマーを生成させる工程(第一工程)と、生成したニトロソ化合物又はそのダイマーをオキシム化合物に変換させる工程(第二工程)とを設け、反応を段階的に進行させてもよい。このような方法を採用すると、後段の変換工程(ニトロソ化合物の異性化工程)において、添加剤を反応系に加えたり、加熱することにより、トータルの反応時間を大幅に短縮できる。なお、前段のニトロソ化工程と後段の転位工程とで溶媒を変えてもよい。また、この場合、前段のニトロソ化工程を減圧下で行うと、前記と同様の理由により収率が大幅に向上する。
上記の添加剤としては、ニトロソ体からオキシム体への転位を誘起しうるものであれば特に限定されないが、例えば酸、塩基などが好ましく用いられる。このような酸としては、例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸;硫酸、硝酸、塩化水素、リン酸、ホウ酸、発煙硫酸等の鉱酸;塩化アルミニウム、塩化亜鉛、スカンジウムトリフラート等のルイス酸;シリカ、アルミナ、ゼオライト等の固体酸;リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸などのポリ酸等の複合酸;強酸性陽イオン交換樹脂などが挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミンなどの第3級アミン、ピリジン等の含窒素複素環化合物、酢酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド等の有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;酸化マグネシウムやハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト等の固体塩基、強塩基性陰イオン交換樹脂、弱塩基性陰イオン交換樹脂などが挙げられる。これらの添加剤は、一度に加えてもよく、複数回に分けて加えてもよい。添加剤の添加量は、メチル基又はメチレン基を有する化合物100重量部に対して、例えば0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは、0.3〜30重量部程度である。添加剤を用いた転位反応は、例えば40〜120℃、好ましくは50〜100℃程度の温度で、例えば5〜180分、好ましくは10〜120分程度行われる。加熱による転位反応は、加熱温度が、例えば120〜250℃、好ましくは150〜200℃程度であり、反応時間が、例えば0.5〜120分、好ましくは2〜90分程度である。
第二工程のニトロソ化合物からオキシム化合物への異性化を行う際、第一工程で使用した溶媒や亜硝酸エステルから副生するアルコールは、第二工程の前で除去した方が、回収、再利用の点で好ましい。例えば、第一工程を終了した後、そのままアルコールと溶媒を留去し、そこに上記添加剤と必要であれば溶媒を加えて、第二工程を実施できる。一方、基質が第一工程での溶媒より沸点が高い場合は、未反応の基質を第二工程での溶媒として利用できる。
本発明に係るラクタムの製造方法の重要な特徴は、工程Aの途中及び/又は工程A終了後に窒素原子含有環状化合物aを除去する工程を含む点にある。工程Bに供給するシクロアルカノンオキシム含有液中の窒素原子含有環状化合物aの量を低い値にすると、工程Bで使用する触媒の量やフッ素系アルコールの量を低減でき、効率よくラクタム化合物を得ることができる。また、場合によっては、フッ素系アルコールを使用しなくても、収率よくラクタム化合物が得られる。工程Aの第一工程において窒素原子含有環状化合物aを多く使用し、これを除去することなく、生成シクロアルカノンオキシムを含む溶液を工程Bに供すると、工程Bにおいて、ベックマン転位反応が阻害され、触媒(例えば、環状化合物b)を多量に用いる必要が生じ、コスト的にもプロセス的にも極めて不利となる場合があるからである。
窒素原子含有環状化合物aは、工程Aの途中及び/又は工程A終了後に除去すればよく、工程Aに含まれる第一工程、第二工程のうち、第一工程の反応後、及び第二工程の反応後の両方の時点で除去してもよく、又は何れかの時点で除去してもよい。
窒素原子含有環状化合物aを除去する方法は、特に限定されないが、(i)第一工程(又は第二工程)の反応後に、溶媒を除去することで、触媒を析出させ、ろ過等によって該触媒除去する方法、(ii)第一工程(又は第二工程)の反応後に、触媒の溶解度の低い溶媒を添加し、触媒を析出させ、ろ過等によって該触媒を除去する方法、(iii)第一工程(又は第二工程)の反応後に、反応液を冷却し触媒を析出させ、ろ過等によって該触媒を除去する方法、(iv)第一工程(又は第二工程)の反応後の液に、触媒に対する溶解性の高い液を添加し、触媒を抽出する方法、(v)第一工程(又は第二工程)の反応後に、蒸留等により、触媒を分離除去する方法などが挙げられる。なお、前記(i)〜(v)の方法の2以上を組み合わせて触媒を除去することも可能である。前記(i)の方法において、例えばシクロドデカンをニトロソ化する際に触媒としてN−ヒドロキシフタルイミドを使用した場合には、反応後に溶媒を例えば減圧条件下で留出させると、触媒が析出し、ろ過することにより該触媒を除去することができる。
本発明においては、第一工程の反応後であって第二工程前に触媒を除去することが、触媒の回収、再利用の点、及び、第二工程において添加剤として使用する塩基の量を低減することができる点で特に好ましい。塩基の量を低減することにより、ラクタムの製造に要するコストの削減と、ラクタムの製造により排出される廃液の処理に要する手間を大幅に省くことができる。
窒素原子含有環状化合物aの除去は、工程Bに供給するシクロアルカノンオキシム含有液中の窒素原子含有環状化合物aの量(残存量)が、工程Bで用いるベックマン転位触媒(例えば、環状化合物b)の量に対して3モル倍以下となる程度に除去することが好ましく、より好ましくは工程Bで用いるベックマン転位触媒の量に対して2モル倍以下、さらに好ましくは1.5モル倍以下となる程度に除去することである。なお、工程Bに供給するシクロアルカノンオキシム含有液中の窒素原子含有環状化合物aの量(残存量)は少ないほど望ましいが、工程Bで用いるベックマン転位触媒の量に対して1モル倍程度であれば、ベックマン転位がさほど阻害されることがないので、完全に除去する必要はない。
[工程B]
工程Bでは、工程Aで生成したシクロアルカノンオキシムをベックマン転位させて、ラクタムを得ることができる。
ベックマン転位には、ベックマン転位に通常用いられる触媒、例えば、PCl5、濃硫酸、HCl−HOAc−Ac2O、ポリリン酸等を用いても良いが、本発明においては、前記式(ii)で表される構造を環の構成要素として含む環状化合物bを触媒として用いることが好ましい。なお、前記環状化合物bに、さらにフッ素系アルコールを併存させると、オキシム化合物の転位反応がより迅速に効率よく進行し、対応するラクタムを高収率で製造できる。
[環状化合物b]
前記式(ii)中、Zにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できるが、塩素原子を好ましく使用できる。式(ii)中、R′で示される有機基としては特に制限されないが、例えば、下記式(3)で表される基や、アルキル基、又はハロアルキル基などを好ましく使用できる。
Figure 2008179605
(式中、Rs、Rtは同一又は異なって、それぞれ炭化水素基を示す。Rs及びRtは互いに結合し、Rs及びRtが結合している炭素原子とともに非芳香族性の環を形成していてもよい)
Rs及びRtにおける炭化水素基としては特に制限されず、例えば、炭素数1〜10程度のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基などの脂肪族鎖式基の他、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。RsとRtとが互いに結合し、Rt及びRsが結合している炭素原子とともに形成してもよい非芳香族性の環としては、例えば、シクロアルキル基などが挙げられる。この際、式(3)で表される基は、シクロアルキリデンアミノ基である。有機基Rが式(3)で表される基である場合、該基は、原料として使用するオキシム化合物に対応する基(オキシム化合物から−OH基を除した基)とすることができる。
上記R′におけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなど炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。R′におけるハロアルキル基としては、上述のアルキル基にフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのフッ素原子が1又は2以上置換した基などを例示できる。ハロアルキル基としては、フッ素原子が置換したフッ素化アルキル基が好適であり、特に、下記式(4a)で表されるフッ素原子含有分岐鎖状脂肪族鎖式基であるのが好ましい。なお、R′で示される基がフッ素化アルキル基である場合は、該フッ素化アルキル基は、後述するフッ素系アルコールに対応する基である場合が多い。
Figure 2008179605
(式中、Rf1及びRf2は同一又は異なっていてもよく、炭素数1〜8程度のパーフルオロアルキル基を表し、mは0〜8の整数である)
式(ii)で示す構造を環の構成要素として含む環状化合物としては、該構造を分子中に1又は2以上含む芳香族性環状化合物又は非芳香族性環状化合物を使用することができ、特に制限されない。本発明において、式(ii)で示す構造を環の構成要素として含む環状化合物として、芳香族性環状化合物を使用するのが好ましい。例えば、下記式(iia)で表されるトリアジン誘導体、式(iib)で表されるピラジン誘導体、式(iic)で表されるピリミジン誘導体、式(iid)で表されるピリダジン誘導体、および式(iie)で表されるピリジン誘導体などを例示することができる。
Figure 2008179605
(式中、Zはハロゲン原子又は−OR′基を示し、R′は有機基を示す。X1、X2、X3、X4は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリクロロメチル基など)、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロアルコキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、ホルミル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、オキシアミノ基又はその他の有機基を示す。X1、X2、X3、X4のうち少なくとも二つが互いに結合して、式中の環を構成する原子とともに芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい)
X1、X2、X3及びX4におけるハロアルコキシ基には、例えばヘキサフルオロイソプロピルオキシ基(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエトキシ基)等の後述の式(4)で示すフッ素原子含有分岐鎖状脂肪族鎖式アルコールから水素原子を除した基等が含まれる。ハロアルコキシ基はフッ素原子含有直鎖状脂肪族鎖式アルコール(フッ素原子含有第1級アルコール)から水素原子を除した基であってもよい。X1、X2、X3及びX4におけるその他の有機基には式(3)で表される基の窒素原子に酸素原子が結合した基が含まれる。式(iia)〜(iie)で表される化合物において、X1、X2、X3及びX4はZと同様の基、すなわちハロゲン原子又は−OR′基から選択された基とすることができる。式(iia)で表されるトリアジン誘導体において、X1及びX2がハロゲン原子又は−OR′基から選択された基であると、式(ii)で示す構造を1分子中に3個含む環状化合物となる。式(iib)で表されるピラジン誘導体、式(iic)で表されるピリミジン誘導体、及び式(iid)で表されるピリダジン誘導体において、X3がハロゲン原子又は−OR′基から選択された基であると、式(ii)で示す構造を1分子中に2個含む環状化合物となる。
式(iia)で表されるトリアジン誘導体としては、具体的には例えば、2−クロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン(塩化シアヌル酸)、2−クロロ−4,6−ジヒドロキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4,6−ジニトロ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−ニトロ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4,6−ジオキシメチル−1,3,5−トリアジン等のハロゲン原子(特に塩素原子)を置換基として有するトリアジン誘導体;2−ヘキサフルオロイソプロピルオキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(ヘキサフルオロイソプロピルオキシ)−1,3,5トリアジン、2,4,6−トリス(ヘキサフルオロイソプロピルオキシ)−1,3,5トリアジン等のハロアルコキシ基を置換基として有するトリアジン誘導体;2−シクロヘキシリデンアミノオキシ−1,3,5−トリアジン、2−シクロドデシリデンアミノオキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(シクロヘキシリデンアミノオキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(シクロドデシリデンアミノオキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(シクロヘキシリデンアミノオキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(シクロドデシリデンアミノオキシ)−1,3,5−トリアジン等のシクロアルキリデンアミノオキシ基を置換基として有するトリアジン誘導体;2−クロロ−4,6−ビス(ヘキサフルオロイソプロピルオキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−(ヘキサフルオロイソプロピルオキシ)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン原子及びハロアルコキシ基を置換基として有するトリアジン誘導体;2−クロロ−4−シクロヘキシリデンアミノオキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−シクロドデシリデンアミノオキシ1,3,5−トリアジン等のハロゲン原子及びシクロアルキリデンアミノオキシ基を置換基として有するトリアジン誘導体;2−シクロヘキシリデンアミノオキシ−4,6−ビス(ヘキサフルオロイソプロピルオキシ)−1,3,5−トリアジン、2−シクロドデシリデンアミノオキシ−4,6−ビス(ヘキサフルオロイソプロピルオキシ)−1,3,5−トリアジン等のシクロアルキリデンアミノオキシ基及びハロアルコキシ基を置換基として有するトリアジン誘導体;2−クロロ−4−(ヘキサフルオロイソプロピルオキシ)−6−シクロヘキシリデンアミノオキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(ヘキサフルオロイソプロピルオキシ)−6−シクロドデシリデンアミノオキシ−1,3,5−トリアジン等のハロゲン原子、ハロアルコキシ基、及びシクロアルキリデンアミノ基を置換基として有するトリアジン誘導体などが挙げられる。
式(iib)で表されるピラジン誘導体としては、具体的には例えば、2−クロロピラジン、2,3−ジクロロピラジン、2−クロロ−3,5−ジニトロピラジンなどのハロゲン原子を置換基として有するピラジン誘導体;2−(ヘキサフルオロイソプロピルオキシ)ピラジンなどのハロアルコキシ基を置換基として有するピラジン誘導体;2−シクロドデシリデンアミノオキシピラジンなどのシクロアルキリデンアミノオキシ基を置換基として有するピラジン誘導体が挙げられる。
式(iic)で表されるピリミジン誘導体としては、具体的には例えば、2,4−ジクロロ−ピリミジン、2,4,6−トリクロロピリミジン、4,6−ジクロロ−5−ニトロピリミジン、2,4−ジクロロ−6−ニトロピリミジンなどのハロゲン原子を置換基として有するピリミジン誘導体;2,4−ビス(ヘキサフルオロイソプロピルオキシ)ピリミジン、などのハロアルコキシ基を置換基として有するピリミジン誘導体;2,4−ジシクロドデシリデンアミノオキシピリミジンなどのシクロアルキリデンアミノオキシ基を置換基として有するピリミジン誘導体などが挙げられる。
式(iid)で表されるピリダジン誘導体としては、具体的には例えば、3−クロロピリダジン、3,6−ジクロロピリダジンなどのハロゲン原子を置換基として有するピリダジン誘導体;3−ヘキサフルオロイソプロピルオキシピリダジンなどのハロアルコキシ基を置換基として有するピリダジン誘導体;3−シクロドデシリデンアミノオキシピリダジンなどのシクロアルキリデンアミノオキシ基を置換基として有するピリダジン誘導体などが挙げられる。
式(iie)で表されるピリジン誘導体としては具体的には例えば、2−クロロ−3,5−ジニトロピリジン、2,4,6−トリクロロピリジン、2−クロロピリジンなどのハロゲン原子を置換基として有するピリジン誘導体;2−ヘキサフルオロイソプロピルオキシピリジンなどのハロアルコキシ基を置換基として有するピリジン誘導体;2−シクロドデシリデンアミノオキシピリジンなどのシクロアルキリデンアミノオキシ基を置換基として有するピリジン誘導体が挙げられる。
これらの中で特に、式(iia)で表されるトリアジン誘導体を好適に使用でき、とりわけ、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(ヘキサフルオロイソプロピルオキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(シクロドデシリデンアミノオキシ)−1,3,5−トリアジンを好適に使用することができる。
式(ii)で示す構造を環の構成要素として含む環状化合物は、例えば、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、プリン、プテリジン、フェナントリジン、フェナントロリンなどの窒素原子含有縮合複素環骨格を有する化合物であってもよい。また、環の構成要素として窒素原子以外のヘテロ原子を含む芳香族性又は非芳香族性環状化合物であって、式(ii)で示す構造を環の構成要素として含む化合物などを使用してもよい。
上述の式(ii)で示す構造を環の構成要素として含む環状化合物が、Zとして−OR′基を有する化合物である場合、該環状化合物をあらかじめ調整してから反応に使用してもよいが、相当する化合物であってZとしてハロゲン原子を有する化合物と、R′O−イオンを生成する化合物とをアミド又はラクタムを製造する反応系中に共存させ、反応系中でハロゲン原子と−OR′基との置換反応が進行することにより、Zとして−OR′基を有する環状化合物を生成させることもできる。上記R′O−イオンを生成する化合物は、特に制限されないが、本発明において助触媒として使用するフッ素系アルコールや、原料として使用するオキシム化合物である場合が多い。つまり、Zが−OR′基である場合の本発明の実施の形態には、Zがハロゲン原子である式(ii)で示す構造を環の構成要素として含む環状化合物を使用して、反応系中においてフッ素系アルコールとの反応により置換基としてハロアルコキシ基を有する環状化合物が生成した場合や、オキシム化合物との反応により該オキシム化合物から水素原子を除した基(例えば、シクロアルキリデンアミノオキシ基など)を置換基として有する環状化合物が生成した場合なども含まれる。
式(ii)で示す構造を環の構成要素として含む環状化合物の使用量は、オキシム化合物(シクロアルカノンオキシム)1モルに対して、例えば0.0001〜1モル、好ましくは0.0005〜0.5モル、さらに好ましくは0.001〜0.2モル程度である。式(ii)で示す構造を環の構成要素として含む環状化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、工程Bにおいては、前記式(ii)で示す構造を環の構成要素として含む環状化合物bとともに、又はその代わりに、芳香環を構成する炭素原子に脱離基が結合しており、且つ芳香環を構成する原子としてヘテロ原子を含むか、又は電子吸引基が結合した炭素原子を含む芳香族化合物c(前記環状化合物bを除く)を触媒として用いることもできる。
このような芳香族化合物cにおいて、芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素環、芳香族含窒素複素環、芳香族含酸素複素環、芳香族含硫黄複素環などが挙げられる。前記芳香環を構成する炭素原子に結合する脱離基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ジアゾニウム基、スルホニルハライド基(スルホニルクロリド基等)、カルボニルハライド基(カルボニルクロリド基等)、スルホニルオキシ基、ハロアルコキシ基、アルキリデンアミノオキシ基、シクロアルキリデンアミノオキシ基などが挙げられる。
前記芳香環を構成する原子としてのヘテロ原子には、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子などが含まれる。芳香環を構成する原子として電子吸引基が結合した炭素原子を含む場合の電子吸引基としては、特に制限はないが、例えば、シアノ基;トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基等のハロメチル基;ニトロ基;カルボニルハライド基;アシル基;スルホニル基などが挙げられる。なお、この芳香族化合物においては、芳香環を構成する原子として、ヘテロ原子、電子吸引基が結合した炭素原子を合計で3以上含むのが好ましい。また、前記のヘテロ原子、電子吸引基が結合した炭素原子のうちの2つは、前記脱離基が結合している炭素原子のオルト位又はパラ位に位置するのが好ましい。
このような芳香族化合物cの代表的な例として、例えば、4−クロロ−3,5−ジニトロベンゾニトリル、ピクリルクロリド等のベンゼン誘導体などが挙げられる。芳香族化合物cを用いる場合の使用量は、前記環状化合物bと同様である。
[フッ素系アルコール]
本発明では、フッ素系アルコールを助触媒として使用することができる。フッ素系アルコールを用いると、触媒(前記環状化合物b)の使用量を低減することが可能である。フッ素系アルコールは反応終了後、生成物との分離が容易であるため、生成物の精製にかかる手間を低減し、精製度の高いラクタムを製造することができる。
フッ素系アルコールとしては、脂肪族アルコール又は芳香族アルコールであって、炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものを何れも使用でき、特に制限されない。フッ素系アルコールは、1価アルコールでもよく、多価アルコールでもよい。
フッ素系脂肪族アルコールには、脂肪族鎖式アルコール及び脂肪族環式アルコールが含まれる。脂肪族鎖式アルコールとしては、例えば、炭素数1〜20程度の直鎖状鎖式アルコールであって、炭化水素基の水素の一部又は全部がフッ素原子で置換したフッ素原子含有直鎖状脂肪族鎖式アルコール;炭素数3〜20程度の分岐鎖状鎖式アルコールであって、炭化水素基の水素の一部又は全部がフッ素原子で置換したフッ素原子含有分岐鎖状脂肪族鎖式アルコールなどを好適に使用できる。フッ素系脂肪族鎖式アルコールにおいて、炭化水素基(又はフッ素化炭化水素基)は、1又は2以上の不飽和結合を含んでいてもよい。炭化水素基の水素の一部がフッ素原子で置換したフッ素原子含有直鎖状脂肪族鎖式アルコールとしては、具体的には、例えば1,1−ジフルオロエタノール、1,1,2−トリフルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1−ジフルオロ−1−プロパノール、1,2−ジフルオロ−1−プロパノール、1,2,3−トリフルオロ−1−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−1,3−プロパンジオール、2,3,4−トリフルオロ−1−ブタノール、4,4,4−トリフルオロ−1−ブタノール、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブタノール、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−ブタノール、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−ブタノール、1,2,3,4−テトラフルオロ−1−ブタノール、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブタノール、1,2,3,4−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−ペンタノール、5,5,5−トリフルオロ−1−ペンタノール、4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−1−ペンタノール、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−ヘキサノール、5,5,6,6,6−ペンタフルオロ−1−ヘキサノールなどを例示できる。フッ素原子含有脂肪族分岐鎖状鎖式アルコールとしては、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール、へプタフルオロイソプロパノール、3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−1−プロパノール、2−トリフルオロメチル−1−ブタノール、2−トリフルオロメチル−1,4−ブタンジオール、2−トリフルオロメチル−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブタノールなどを例示できる。
フッ素系脂肪族環式アルコールとしては、例えばシクロヘキサノール、シクロペンタノールなどの炭素数3〜20程度の脂環式アルコールであって分子中にフッ素原子を1又は2以上含むものを使用できる。フッ素原子を含有する形態は、環を構成する炭素原子にフッ素原子が結合した形態でもよく、又はフッ素原子を含む炭化水素基が結合した形態でもよく、特に制限されない。
フッ素系芳香族アルコールとしては、例えば、ベンジルアルコール、フェニルエタノールなどの芳香族アルコールであって分子中にフッ素原子を1又は2以上含むものを使用できる。フッ素原子を含有する形態は、例えば、芳香環にフッ素化炭化水素基が置換した形態でもよく、鎖式炭化水素部位がフッ素原子を有する形態でもよく、特に制限されない。
これらのなかで、フッ素系アルコールとしては、下記式(4)で示すフッ素原子含有分岐鎖状脂肪族鎖式アルコールを好ましく使用することができ、とりわけヘキサフルオロイソプロパノールを好適に使用することができる。
Figure 2008179605
(式中、Rf1及びRf2は同一又は異なってもよく、炭素数1〜8程度のパーフルオロアルキル基を表し、mは0〜8の整数である。)
なお、本発明の好ましい形態として、フッ素系アルコールが式(4)で表される化合物であり、式(ii)中のR′が前記式(4a)で表される基である場合などを例示できる。
フッ素系アルコールの使用量は特に制限されず、例えば、オキシム化合物(シクロアルカノンオキシム)1モルに対して、0.001モル以上、好ましくは0.05モル以上、さらに好ましくは0.5モル以上の広い範囲から選択することができる。フッ素系アルコールはオキシム化合物に対して大過剰使用してもよく、またフッ素系アルコールを溶媒として使用して反応を行うのも好ましい。なお、フッ素系アルコールは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
[他の助触媒]
本発明の方法では、他の助触媒を使用することもできる。このような助触媒として、例えば、ルイス酸、ブレンステッド酸等の酸が挙げられる。ルイス酸としては、一般的なルイス酸を使用できる。ブレンステッド酸としては、例えば、塩化水素等の無機酸;モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸等の有機酸が挙げられる。これらのなかでも、スルホン酸が特に好ましい。これらの助触媒は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらの助触媒を用いる場合、その使用量は、オキシム化合物(シクロアルカノンオキシム)1モルに対して、例えば0.0001〜1モル、好ましくは0.0005〜0.5モル、さらに好ましくは0.001〜0.2モル程度である。
[転位反応]
工程Bにおけるオキシム化合物(シクロアルカノンオキシム)の転位反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒としては、上述のフッ素系アルコールを使用してもよく、その他の溶媒を使用してもよい。その他の溶媒としては、反応条件下で不活性なものであればよく、例えば、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸、;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;これらの混合溶媒などが挙げられる。また、工程Aにおける第一工程で使用した未反応基質(シクロアルカン)をそのまま工程Bでの溶媒として使用することもできる。
反応温度は、使用するオキシム化合物の種類や、触媒、溶媒等の種類により適宜選択でき、特に制限されない。例えば、0〜250℃程度、好ましくは25〜150℃程度、さらに好ましくは40〜120℃程度である。反応は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、空気雰囲気下又は酸素雰囲気下で行うことも可能である。
転位反応により、工程Aで原料として用いたシクロアルカンに対応する、環の員数が1つ多いラクタムが生成する。例えば、シクロドデカンからはラウロラクタムが生成する。反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせることにより分離精製できる。
本発明の方法によれば、工程Aの途中及び/又は工程A終了後に窒素原子含有環状化合物aを除去する工程を設けるため、工程Bで使用する触媒の量やフッ素系アルコールの使用量を低減でき、高収率かつ簡易にラクタム化合物を得ることができる。また、場合によっては、フッ素系アルコールを使用しなくても、収率よくラクタム化合物が得られる。更に、多量の副生成物を生じることなく、選択的にラクタムを製造することができる。また、本発明において使用する触媒等は、生成したラクタムとの分離が容易であるため精製度の高いラクタムを簡易に製造することができる。
このようにして得られたラクタム(例えば、ω−ラウロラクタム)は、医薬、農薬、染料、溶剤、爆薬などの原料、ポリアミド(ナイロン)の原料などとして利用でき、工業的に極めて重要である。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
(実施例1)
シクロドデカン(100g、0.595モル)、N−ヒドロキシフタルイミド(1.94g、0.0119モル)、及び酢酸(80g)をフラスコに入れ、酸素を除去した後、窒素雰囲気下(1atm=0.101MPa)、70℃まで昇温し、亜硝酸t−ブチル(12.5g、0.119モル)を2時間かけて投入した。30分後、同温度で減圧下、酢酸を除去し、ヘプタン100gを添加した後に、析出したN−ヒドロキシフタルイミドをろ別した。この時、溶液中に、N−ヒドロキシフタルイミドは、約1.2ミリモル残存していた。その後、ヘプタンを留去し、トリエチルアミン(3.61g、0.036モル)を加え、70℃で2時間攪拌した。その後、トリエチルアミンを除去し、2,4,6―トリクロロ−1,3,5−トリアジン(0.549g、2.98ミリモル)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、ラウロラクタムが83.3ミリモル生成していた。シクロドデカン基準での収率は14%であった。なお、シクロドデカンの転化率は17%であった。
(実施例2)
シクロドデカン(100g、0.595モル)、N−ヒドロキシフタルイミド(1.94g、0.0119モル)、及び酢酸(80g)をフラスコに入れ、酸素を除去した後、窒素雰囲気下(1atm=0.101MPa)、70℃まで昇温し、亜硝酸t−ブチル(12.5g、0.119モル)を2時間かけて投入した。30分後、同温度で減圧下、酢酸を除去し、65℃にて析出したN−ヒドロキシフタルイミドをろ別した。この時、溶液中に、N−ヒドロキシフタルイミドは、約1.3ミリモル残存していた。その後、トリエチルアミン(3.61g、0.036モル)を加え、70℃で2時間攪拌した。その後、トリエチルアミンを除去し、2,4,6―トリクロロ−1,3,5−トリアジン(0.549g、2.98ミリモル)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、ラウロラクタムがシクロドデカン基準収率13%で得られた。なお、シクロドデカンの転化率は17%であった。
(実施例3)
シクロドデカン(100g、0.595モル)、N−ヒドロキシフタルイミド(1.94g、0.0119モル)、及び酢酸(80g)をフラスコに入れ、酸素を除去した後、窒素雰囲気下(1atm=0.101MPa)、70℃まで昇温し、亜硝酸t−ブチル(12.5g、0.119モル)を2時間かけて投入した。30分後、同温度で減圧下、酢酸を除去し、ヘプタン100gを添加した後に、析出したN−ヒドロキシフタルイミドをろ別した。この時、溶液中に、N−ヒドロキシフタルイミドは、約1.2ミリモル残存していた。その後、ヘプタンを留去し、トリエチルアミン(3.61g、0.036モル)を加え、70℃で2時間攪拌した。その後、トリエチルアミンを除去し、2,4,6―トリクロロ−1,3,5−トリアジン(0.549g、2.98ミリモル)、ヘキサフルオロイソプロパノール(10.08g、60ミリモル)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、ラウロラクタムがシクロドデカン基準収率14%で得られた。なお、シクロドデカンの転化率は17%であった。
(実施例4)
シクロヘキサン(102g、1.2モル)、N−ヒドロキシフタルイミド(1.94g、0.0119モル)、及び酢酸(80g)をフラスコに入れ、酸素を除去した後、窒素雰囲気下(1atm=0.101MPa)、70℃まで昇温し、亜硝酸t−ブチル(12.5g、0.119モル)を2時間かけて投入した。30分後、同温度で減圧下、シクロヘキサンと酢酸を除去し、ヘプタン100gを添加した後に、析出したN−ヒドロキシフタルイミドをろ別した。その後、トリエチルアミン(3.61g、0.036モル)を加え、70℃で2時間攪拌した。その後、ヘプタンとトリエチルアミンを除去し、2,4,6―トリクロロ−1,3,5−トリアジン(0.549g、2.98ミリモル)、ヘキサフルオロイソプロパノール(10.08g、60ミリモル)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、カプロラクタムがシクロヘキサン基準収率7%で得られた。なお、シクロヘキサンの転化率は10%であった。
(比較例1)
シクロドデカン(100g、0.595モル)、N−ヒドロキシフタルイミド(1.94g、0.0119モル)、及び酢酸(80g)をフラスコに入れ、酸素を除去した後、窒素雰囲気下(1atm=0.101MPa)、70℃まで昇温し、亜硝酸t−ブチル(12.5g、0.119モル)を2時間かけて投入した。30分後、同温度で減圧下、酢酸を除去した。この時、溶液中に、N−ヒドロキシフタルイミドは、約10ミリモル残存していた。トリエチルアミン(3.61g、0.036モル)を加え、70℃で2時間攪拌した。その後、トリエチルアミンを除去し、2,4,6―トリクロロ−1,3,5−トリアジン(0.549g、2.98ミリモル)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、ラウロラクタムがシクロドデカン基準収率0.5%で得られた。なお、シクロドデカンの転化率は17%であった。
(比較例2)
シクロドデカン(100g、0.595モル)、N−ヒドロキシフタルイミド(1.94g、0.0119モル)、及び酢酸(80g)をフラスコに入れ、酸素を除去した後、窒素雰囲気下(1atm=0.101MPa)、70℃まで昇温し、亜硝酸t−ブチル(12.5g、0.119モル)を2時間かけて投入した。30分後、同温度で減圧下、酢酸を除去した。この時、溶液中に、N−ヒドロキシフタルイミドは、約10ミリモル残存していた。トリエチルアミン(3.61g、0.036モル)を加え、70℃で2時間攪拌した。その後、トリエチルアミンを除去し、2,4,6―トリクロロ−1,3,5−トリアジン(0.549g、2.98ミリモル)、ヘキサフルオロイソプロパノール(10.08g、60ミリモル)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、ラウロラクタムがシクロドデカン基準収率3%で得られた。なお、シクロドデカンの転化率は17%であった。
(比較例3)
シクロヘキサン(102g、1.2モル)、N−ヒドロキシフタルイミド(1.94g、0.0119モル)、及び酢酸(80g)をフラスコに入れ、酸素を除去した後、窒素雰囲気下(1atm=0.101MPa)、70℃まで昇温し、亜硝酸t−ブチル(12.5g、0.119モル)を2時間かけて投入した。30分後、同温度で減圧下、シクロヘキサンと酢酸を除去し、その後、酢酸エチルとトリエチルアミン(3.61g、0.036モル)を加え、70℃で2時間攪拌した。その後、酢酸エチルとトリエチルアミンを除去し、2,4,6―トリクロロ−1,3,5−トリアジン(0.549g、2.98ミリモル)、ヘキサフルオロイソプロパノール(10.08g、60ミリモル)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、カプロラクタムはほとんど生成していなかった。なお、シクロヘキサンの転化率は10%であった。
(実施例5)
シクロドデカン(100g、0.595モル)、N−ヒドロキシフタルイミド(1.94g、0.0119モル)、及び酢酸(80g)をフラスコに入れ、酸素を除去した後、窒素雰囲気下(1atm=0.101MPa)、70℃まで昇温し、亜硝酸t−ブチル(12.5g、0.119モル)を2時間かけて投入した。30分後、同温度で減圧下、酢酸を除去し、ヘプタン100gを添加した後に、析出したN−ヒドロキシフタルイミドをろ別した。この時、溶液中に、N−ヒドロキシフタルイミドは、約1.2ミリモル残存していた。その後、ヘプタンを留去し、トリエチルアミン(0.61g、0.006モル)を加え、70℃で2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、シクロドデカノンオキシムが89.3ミリモル生成していた。シクロドデカン基準での収率は15%であった。
(実施例6)
シクロドデカン(100g、0.595モル)、N−ヒドロキシフタルイミド(1.94g、0.0119モル)、及び酢酸(80g)をフラスコに入れ、酸素を除去した後、窒素雰囲気下(1atm=0.101MPa)、70℃まで昇温し、亜硝酸t−ブチル(12.5g、0.119モル)を2時間かけて投入した。30分後、同温度で減圧下、酢酸を除去し、65℃に加温した状態で、析出したN−ヒドロキシフタルイミドをろ別した。この時、溶液中に、N−ヒドロキシフタルイミドは、約1.3ミリモル残存していた。その後、トリエチルアミン(0.61g、0.006モル)を加え、70℃で2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、シクロドデカノンオキシムが89.0ミリモル生成していた。シクロドデカン基準での収率は15%であった。
(比較例4)
シクロドデカン(100g、0.595モル)、N−ヒドロキシフタルイミド(1.94g、0.0119モル)、及び酢酸(80g)をフラスコに入れ、酸素を除去した後、窒素雰囲気下(1atm=0.101MPa)、70℃まで昇温し、亜硝酸t−ブチル(12.5g、0.119モル)を2時間かけて投入した。30分後、同温度で減圧下、酢酸を除去した。その後、トリエチルアミン(0.61g、0.006モル)を加え、70℃で2時間攪拌した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、シクロドデカノンオキシムが3.0ミリモル生成していた。シクロドデカン基準での収率は1%であった。

Claims (7)

  1. 下記式(i)
    Figure 2008179605
    [式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
    で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物aの存在下、シクロアルカンと亜硝酸エステルとを反応させて対応するシクロアルカノンオキシムを生成させる工程Aと、工程Aで生成したシクロアルカノンオキシムを、ベックマン転位させて対応するラクタムを生成させる工程Bとを含むラクタムの製造方法であって、工程Aの途中及び/又は工程A終了後に窒素原子含有環状化合物aを除去する工程を含むラクタムの製造方法。
  2. シクロアルカノンオキシムを生成させる工程Aを、シクロアルカンと亜硝酸エステルとの反応によりニトロソ化合物又はそのダイマーを生成させる第一工程と、生成したニトロソ化合物又はそのダイマーをオキシム化合物に変換する第二工程とで構成するとともに、第一工程の終了後に窒素原子含有環状化合物aを除去する工程を設ける請求項1に記載のラクタムの製造方法。
  3. 窒素原子含有環状化合物aが、下記式(I)
    Figure 2008179605
    [式中、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
    で表される環状イミド骨格を有する環状イミド系化合物である請求項1又は2に記載のラクタムの製造方法。
  4. 窒素原子含有環状化合物aが、下記式(1)
    Figure 2008179605
    [式中、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、下記式(a)
    Figure 2008179605
    (式中、n、Xは前記に同じ)
    で表されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい]
    で表される化合物である請求項1〜3の何れかの項に記載のラクタムの製造方法。
  5. ベックマン転位の触媒として、下記式(ii)
    Figure 2008179605
    (式中、Zはハロゲン原子又は−OR′基を示し、R′は有機基を示す)
    で表される構造を環の構成要素として含む環状化合物bを使用する請求項1〜4の何れかの項に記載のラクタムの製造方法。
  6. ベックマン転位に付すシクロアルカノンオキシム含有液中の窒素原子含有環状化合物aの量を、ベックマン転位に用いる触媒の量に対して3モル倍以下とすることを特徴とする請求項1〜5の何れかの項に記載のラクタムの製造方法。
  7. 下記式(i)
    Figure 2008179605
    [式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
    で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物aの存在下、シクロアルカンと亜硝酸エステルとを反応させて対応するシクロアルカノンオキシムを生成させる工程Aにおいて、工程Aの途中及び/又は工程A終了後に窒素原子含有環状化合物aを除去する工程を含むシクロアルカノンオキシムの製造方法。
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