JP2008178248A - 電力用半導体素子の駆動回路および電力変換装置 - Google Patents

電力用半導体素子の駆動回路および電力変換装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ゲート閾値電圧の異なる電力用半導体素子を並列接続することにより構成された電力変換装置の出力電流のアンバランスを補正する。
並列に接続する電力用半導体素子のゲート閾値電圧にばらつきがあった場合でも、出力電流のアンバランスを補正する電力用半導体素子の駆動回路を得る。
【解決手段】半導体素子1を駆動する駆動制御用電源3の電圧とエミッタ電位生成用電源4電位の双方を、ゲート閾値電圧とゲート閾値電圧基準値との差分に応じて同極性に等量変位させる変位手段、及び、半導体素子を駆動する手段としての定電流駆動回路7aとを備えたもの。
【選択図】図1

Description

この発明は、電力用半導体素子の駆動回路および電力変換装置に関し、特に並列接続された複数個の電力用半導体素子間の素子特性のずれに起因する出力電流のアンバランスを補正する電力用半導体素子の駆動回路、および電力変換装置に関するものである。
電力変換装置には、主として高電圧、大電流、高速スイッチング動作に優れた自己消弧型の電力用半導体素子であるIGBT(Insulated Gate BipolarTransistor)が用いられることが多い。IGBTには3つの電極があり、それぞれゲート、コレクタ、エミッタと呼ぶ。IGBTではゲート/エミッタ間に正バイアスの電圧を印加することによりオン状態に、負バイアスの電圧を印加することによりオフ状態になる。また、IGBTのコレクタ/エミッタ間に所定の電圧(例えば10V)を印加した状態において、IGBTのコレクタ/エミッタ間に電流が流れ始めるときのゲート/エミッタ間電圧をゲート/エミッタ間閾値電圧(以下、単にゲート閾値電圧と称す。)という。
一般的な電力用半導体素子の駆動回路を図8に示す。図8において、駆動回路の電源電位17はオン信号用トランジスタ5、オンゲート抵抗8bを介して、また、グランド電位16はオフ信号用トランジスタ6、オフゲート抵抗8aを介して、それぞれ電力用半導体素子1のゲート端子と接続されている。電力用半導体素子1のエミッタ端子は、エミッタ電位生成用電源4により生成されるエミッタ電位に接続されている。電源電位17とグランド電位16との間には駆動制御用電源3が接続されている。
ここで、オン信号用トランジスタ5とオフ信号用トランジスタ6はいずれも駆動用パルス信号2により制御され、一方にオン指令が入力されるとき他方にはオフ指令が入力される。
駆動用パルス信号2の指令に基づきオン信号用トランジスタ5がオン状態になると、電力用半導体素子1のゲート/エミッタ間には駆動制御用電源3とエミッタ電位生成用電源4の電位差の電圧が印加され、電源電位17からオンゲート抵抗8bを介して電力用半導体素子1のゲート端子に電流が流入し、電力用半導体素子1はオン状態となる。
一方、駆動用パルス信号2の指令に基づきオフ信号用トランジスタ6がオン状態になると、電力用半導体素子1のゲート/エミッタ間にはグランド電位16とエミッタ電位生成用電源4の電位差の電圧が印加され、電力用半導体素子1のゲート端子からオフゲート抵抗8aを介してグランド電位16に電流が流出し、電力用半導体素子1はオフ状態となる。
電力用半導体素子1を駆動するゲート/エミッタ間電圧は、駆動制御用電源3の電圧をVcc、エミッタ電位生成用電源4の電圧、即ち、エミッタ電位をVeとしたとき、オン状態のゲート/エミッタ間電圧Vge(on)はVcc−Veであり、オフ状態のゲート/エミッタ間電圧Vge(off)は−Veである。
このような駆動回路によって駆動制御される、例えば、2個の電力用半導体素子1が並列接続されて構成された電力変換装置の場合、並列接続されている電力用半導体素子1のゲート閾値電圧にばらつきがあると、2個の電力用半導体素子1のスイッチング動作のタイミングにずれが生じる。ゲート閾値電圧の高い電力用半導体素子は、他方の電力用半導体素子と比較して遅れてターンオンし、先にターンオフすることになるため、ゲート閾値電圧の高い側の電力用半導体素子は、ゲート閾値電圧の低い側の電力用半導体素子と比較して、分担する電流は小さくなる。
図9は、このようなゲート閾値電圧の異なる2個の電力用半導体素子を並列接続した場合における電流分担のアンバランスの様子を模式的に示したものである。
図9において、ゲート閾値電圧の低い電力用半導体素子のコレクタ電流波形を実線30aで示し、ゲート閾値電圧の高い電力用半導体素子のコレクタ電流波形を点線30bで示している。このような並列接続された電力用半導体素子間において生じた電流分担のアンバランスは、最終的には素子温度のアンバランスを引き起こすことになる。
このようなゲート閾値電圧の異なる電力用半導体素子を並列接続した際の電流分担のアンバランスを補正する従来の方法として、従来の電力変換装置では、例えば、特許文献1の第3頁44〜第4頁9行に示されているように、電力用半導体素子を駆動するゲート駆動回路の入力側に、オフセット回路を設けている。このオフセット回路によりゲート/エミッタ間電圧を操作することは、等価的にゲート閾値電圧を変化させることに相当し、並列接続された電力用半導体素子間のゲート閾値電圧の差を補正することによって、並列接続された電力用半導体素子間の電流分担のアンバランスを改善することができるとされている。
特開2003−169465号公報(3頁44〜4頁9行、図1、図2(B))
特許文献1に開示された電力用半導体素子の駆動回路におけるオフセット回路は、ゲート/エミッタ間電圧を変位(オフセット)させるものである。例えば、2並列接続された電力用半導体素子間でゲート閾値電圧にばらつきがある場合、ゲート閾値電圧の高い半導
体素子のゲート駆動回路に正のオフセットを設定することで、他方のゲート閾値電圧の低い半導体素子と比較して、ゲート/エミッタ間電圧を高くするものである。
図10は、この特許文献1に示された、ゲート/エミッタ間電圧を変位させることにより、ゲート駆動のタイミングが変化する様子を模式的に示したものである。
ゲート電圧波形29aに対して、ゲート/エミッタ間電圧を正方向にオフセットさせた(上昇させた)波形がゲート電圧波形29bである。
このようにゲート/エミッタ間電圧をプラス方向にオフセットさせても、電力用半導体素子のゲート閾値電圧自身は不変のものであるために、ゲート閾値電圧に到達するまでの時間が短くなることになる。従って、2個の並列接続された電力用半導体素子のうち、ゲート閾値電圧が高い電力用半導体素子のゲート/エミッタ間電圧をプラス方向にオフセットさせることにより、動作タイミングを早めることが可能となる。このように、ゲート/エミッタ間電圧をオフセットさせることは、等価的にゲート閾値電圧を変化させることに相当するために、並列接続された電力用半導体素子間のゲート閾値電圧の差を補正することにより、並列接続された電力用半導体素子間の電流分担のアンバランスを改善するというものである。
しかしながら、特許文献1においては、ゲート閾値電圧あるいはゲート閾値電圧の差分の検出方法や補正方法に関する具体的な記載がない。また、電力用半導体素子が導通状態にあるときの出力特性(コレクタ電流−コレクタ・エミッタ間電圧(オン電圧)特性)はゲート電圧によって変化する。従って、ゲート閾値電圧の異なる電力用半導体素子を並列駆動する場合に、ゲート/エミッタ間電圧をゲート閾値電圧の差分ΔVthだけ変位させると、定常状態におけるオン電圧のアンバランスにより、定常時に電流アンバランスが生じ、導通状態における出力電流の電流分担にアンバランスを引き起こすことになる。
この発明は、上記のような従来装置の問題点を解決するためになされたもので、複数個の電力用半導体素子を並列に接続した場合において、素子特性、特に、ゲート閾値電圧にばらつきがあった場合でも、出力電流のアンバランスを容易に解消できる電力用半導体素子の駆動回路を得ることを目的とし、さらに、かかる電力用半導体素子の駆動回路により駆動される電力用半導体素子を複数個並列接続して構成される電力変換装置を提供することを目的とする。
この発明に係る電力用半導体素子の駆動回路は、電力用半導体素子の駆動回路の基準(グランド)電位に対する、駆動制御用電源電圧およびエミッタ電位の双方を同極性に等量だけ変位させる変位手段と、電力用半導体素子のゲート端子に駆動電流を供給し電力用半導体素子を定電流駆動する定電流駆動回路を備えたものである。
この発明の電力用半導体素子の駆動回路および電力変換装置によれば、複数個の電力用半導体素子を並列に接続する場合において、半導体素子の特性、特に、ゲート閾値電圧に差異がある場合でも各電力用半導体素子間の電流分担のアンバランスを解消することができる。
実施の形態1.
この発明の特徴とするところは、あらかじめ目標とするゲート閾値電圧を設定し、並列に接続された各電力用半導体素子のゲート閾値電圧の情報に基づき、目標値との差分に応じて、各電力用半導体素子のゲート駆動回路の駆動制御用電源電圧及びエミッタ電位を同極性に等量変位させ、かつ、定電流駆動回路を用いる点にある。
電力用半導体素子を駆動するゲート電圧がゲート閾値電圧に到達するまでの時間を等しくすることにより、動作タイミングを揃えることができる。更には、電力用半導体素子の入力容量及び帰還容量を充電するためのゲート電流を等しくすることにより、ゲート/エミッタ間電圧の立ち上がり速度を等しくすることができる。
ゲート閾値電圧の目標値としては、例えば、電力用半導体素子のデータシートに記載されたゲート閾値電圧に設定することが考えられる。このような目標とするゲート閾値電圧を、ここでは、ゲート閾値電圧基準値と定義する。
以下、図1〜図4を参照してこの発明の実施の形態1について具体的に説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係る電力用半導体素子の駆動回路の主要部を示す回路構成図である。なお、以下では、電力用半導体素子としてIGBTを使用する場合を例に説明するが、この発明における電力用半導体素子は、勿論IGBTに限られることはなく、他の電力用半導体素子、例えば、SiCデバイスを電力用半導体素子として使用可能なことはいうまでもない。図1において、IGBT1のゲート端子は、オフゲート抵抗8a、オフ信号用トランジスタ6を介してグランド電位16と接続され、また、オン信号用トランジスタ5、定電流駆動回路7aを介して電源電位17と接続されている。電力用半導体素子1のエミッタ端子とグランド電位16との間には、電力用半導体素子1を駆動するゲート駆動電圧の基準電位であるエミッタ電位生成用電源4が接続されている。電源電位17は駆動制御用電源3により生成されている。
ここで、駆動制御用電源3とエミッタ電位生成用電源4は、いずれもあらかじめ設定したゲート閾値電圧基準値と実際の電力用半導体素子1のゲート閾値電圧との差分に応じて、同極性に等量だけ変位させる変位手段を備えている。なお、オン信号用トランジスタ5とオフ信号用トランジスタ6は駆動用パルス信号2により制御され、相補関係にある。
このように実施の形態1では、駆動制御用電源3とエミッタ電位生成用電源4については、ゲート閾値電圧基準値と実際の電力用半導体素子1のゲート閾値電圧の差分に応じて同極性に等量だけ変位させる変位手段を備え、更には、ターンオン動作するために必要なゲート電流を供給する手段として定電流駆動回路7aを備えている。
以上のような実施の形態1の電力用半導体素子の駆動回路において、駆動制御用電源3の電圧をVcc、エミッタ電位をVeとしたとき、駆動パルス用信号2の指令に基づきオン信号用トランジスタ5が導通状態となると、電力用半導体素子1のゲート/エミッタ間にはVcc−Veの電圧が印加され、電力用半導体素子1は導通状態となる。
また、オフ信号用トランジスタ6が導通状態となると、ゲート/エミッタ間に印加される電圧は−Veとなり、電力用半導体素子1はオフ状態となる。このように、駆動用パルス信号2からの指令に基づいて電力用半導体素子1はスイッチング動作をする。
次に、ゲート閾値電圧の異なる電力用半導体素子を2個並列接続している場合における電流アンバランスの補正方法について述べる。
ゲート閾値電圧の高い側の電力用半導体素子は、遅れてターンオン動作が始まり、先にターンオフ動作が始まる。前述のように、基準となる駆動制御用電源3の電圧をVcc、エミッタ電位をVeとすると、ゲート閾値電圧の差がなく補正不要な場合、両者のゲート/エミッタ間電圧は、オフ状態ではVge(off)=−Ve、オン状態ではVge(on)=Vcc−Veである。
これに対して、並列接続されている電力用半導体素子のゲート閾値電圧の差をΔVthとし、ゲート閾値電圧の高い電力用半導体素子1のエミッタ電位、及び、駆動制御用電源3の電圧を各々ΔVthだけ低くすると、駆動制御用電源3の電圧は(Vcc−ΔVth)、エミッタ電位は(Ve−ΔVth)となる。即ち、ゲート/エミッタ間電圧は、オフ状態ではVge(off)=−(Ve−ΔVth)、オン状態ではVge(on)=Vcc−Veとなる。
このように、並列接続した電力用半導体素子のうち、ゲート閾値電圧の高い側の電力用半導体素子のゲート/エミッタ間電圧は、オフ状態においてはゲート閾値電圧の差分ΔVthだけ高くなるが、オン状態におけるゲート/エミッタ間電圧は両者の電力用半導体素子で等しい値となる。
図2は、電力用半導体素子のゲート駆動のタイミングが変化する様子を模式的に示したものである。図2において、ゲート電圧波形28aに対して、エミッタ電位及び駆動制御用電源3の電圧をΔVthだけ低くした波形がゲート電圧波形28bである。
電力用半導体素子1のゲート閾値電圧自身は不変のものであるためにエミッタ電位を低くすることにより、ゲート閾値電圧に到達するまでの時間を早めることができる。したがって、2個の並列接続された電力用半導体素子のうち、ゲート閾値電圧が高い電力用半導体素子のエミッタ電位を低くする方向に変位させることにより、両者のターンオン動作タイミングを揃えることができる。
また、電力用半導体素子のゲート端子に流入するゲート電流は定電流駆動回路7aにより一定電流が供給されるために、ターンオン動作速度も等しくなる。
このように、電力用半導体素子の駆動回路を実施の形態1の構成とすることにより、ゲート閾値電圧の異なる電力用半導体素子を並列接続した場合、それぞれの電力用半導体素子のエミッタ電位から見たゲート閾値電圧が等しくなるため、ターンオン動作開始のタイミングを揃えることができ、ターンオン時における出力電流のアンバランスを補正することが可能となる。
更に、駆動制御用電源3の電圧についても、エミッタ電位同様にΔVthだけマイナス方向に変位させるため、両者の電力用半導体素子の導通状態におけるゲート/エミッタ間電圧はいずれもVcc−Veとなり、導通状態において電力用半導体素子に流れる電流も等しくすることができる。
図3は、実施の形態1における駆動制御用電源3の電圧とエミッタ電位生成用電源4の双方を、ゲート閾値電圧の差分ΔVthだけオフセットする構成の一例を示したものである。
図3において、負電圧レギュレータ13は、IN端子に入力した電圧から一定電圧だけ負バイアスした電圧をOUT端子から出力するものである。そこで、電力用半導体素子の駆動回路のグランド電位16を負電圧レギュレータ13のIN端子に接続し、負電圧レギュレータ13のOUT端子を電力用半導体素子1のエミッタ電位、即ち、エミッタ電位生成用電源4の電圧値とする。また、負電圧レギュレータ13のGND端子には電力用半導体素子の駆動回路の電源電位17を接続する。このような接続構成とすることにより、負電圧レギュレータ13で一意的に決まる電圧値だけ駆動制御用電源3から負バイアスされた電圧が、電力用半導体素子1のエミッタ電位となる。
例えば、駆動制御用電源3の電位17を24Vとし、−15Vの負電圧レギュレータを用いる場合を考える。このとき、負電圧レギュレータ13のIN端子は電力用半導体素子の駆動回路のグランド電位16であるため0Vである。また、負電圧レギュレータ13のGND端子は駆動制御用電源3の電圧であるため、24Vとなっている。従って、エミッタ電位は9Vと設定される。
ゲート閾値電圧が1V高い電力用半導体素子については、駆動制御用電源3の電圧を23Vとすると、負電圧レギュレータ13の作用により、エミッタ電位を8Vとすることができる。このとき、導通状態におけるゲート/エミッタ間電圧はいずれも15Vとなる。
このように、図3に示すオフセット手段を用いることによって、駆動制御用電源3の電位のみゲート閾値電圧の差分ΔVthだけ変化させることにより、エミッタ電位も同様にΔVth変化させることができる。
図4は駆動制御用電源3の電圧とエミッタ電位生成用電源4の双方の電圧をゲート閾値電圧の差分ΔVthだけオフセットさせる他の構成例を示したものである。
図4において、三端子レギュレータ14はIN端子の電圧にかかわらず一定の電圧を出力するものである。電力用半導体素子の駆動回路の電源電位17を三端子レギュレータ14のIN端子に、電力用半導体素子の駆動回路のグランド電位16を三端子レギュレータ14のGND端子に接続する。また、三端子レギュレータ14のOUT端子を可変レギュレータ15のIN端子と接続する。可変レギュレータ15は可変抵抗18の設定に応じてそのOUT端子から所望の電圧を出力する。この構成の場合、駆動制御用電源3とエミッタ電位生成用電源4のそれぞれの電位を独立に設定することにより、並列接続した電力用半導体素子間のゲート閾値電圧の差分ΔVthだけ補正することができる。
以上のように、この発明の実施の形態1の電力用半導体素子の駆動回路によれば、駆動制御用電源3の電圧、エミッタ電位生成用電源4の電圧、即ち、エミッタ電位の双方を、同極性に等量だけ所望の値に変位(オフセット)し、また、定電流駆動回路により電力用半導体素子のターンオン動作に必要なゲート電流を供給するよう構成されているので、ゲート閾値電圧の異なる電力用半導体素子を並列接続した場合、それぞれの電力半導体素子のエミッタ電位から見たゲート閾値電圧が等しくなり、また、定電流でターンオン動作を行うため、ターンオン動作開始のタイミングを揃えることができ、かつ、ターンオン動作速度も等しくなり、ターンオン時における出力電流のアンバランスを補正することが可能となる。
更に、導通状態にあるときに電力用半導体素子に流れる電流を等しくすることができる。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る電力用半導体素子の駆動回路の主要部を図5に示す。
なお、図中、図1との同一符号は、同一または相当部分を示すものとする。
この実施の形態2は、実施の形態1における定電流駆動回路の具体的な一例として、PNPトランジスタ11a、11bにより構成されるカレントミラー回路を、また、オン信号用トランジスタの具体例としてPch−MOSFET9を、オフ信号用トランジスタの具体例としてNch−MOSFET10を用いたものである。
Pch−MOSFET9のドレイン端子は、抵抗20を介して第2のNch−MOSFET19のゲート端子と結線され、また、抵抗24を介してグランド電位16に接続されている。第2のNch−MOSFET19のソース端子は抵抗23を介して電力用半導体素子1のエミッタ電位と結線されている。PNPトランジスタ11aは、そのエミッタ端子は抵抗21を介して電源電位17と結線され、また、ベース端子とコレクタ端子はともに第2のNch−MOSFET19のドレイン端子と接続されている。PNPトランジスタ11bは、ベース端子がPNPトランジスタ11aのベース端子と接続され、エミッタ端子が抵抗22を介して電源電位17と、コレクタ端子は電力用半導体素子1のゲート端子と接続されている。
以上の構成において、駆動パルス信号2がロー信号を出力した場合、Pch−MOSFET9はオンし、第2のNch−MOSFET19がオンする。このときPNPトランジスタ11a、11bはともにオンする。このとき、PNPトランジスタ11bを流れる電流が、電力用半導体素子1のゲート端子にゲート電流として供給される。ゲート電流値はPNPトランジスタ11aを流れる電流及び抵抗21と抵抗22の比に応じて決まる。
なお、Nch−MOSFET10はオフしている。
一方、駆動パルス信号2がハイ信号を出力した場合は、Pch−MOSFET9、第2のNch−MOSFET19はオフして、Nch−MOSFET10がオンして電力用半導体素子1はオフする。
なお、駆動制御用電源3の電圧やエミッタ電位生成用電源4で決まる電力用半導体素子1のエミッタ電位は、実施の形態1で説明した図3あるいは図4の構成により同極性に等量だけオフセットさせるものとする。
以上のように実施の形態2の構成によっても、ゲート閾値電圧の異なる電力用半導体素子を並列接続した場合、それぞれの電力用半導体素子のエミッタ電位から見たゲート閾値電圧が等しくなり、また、定電流でターンオン動作を行うため、ターンオン動作開始のタイミングを揃えることができ、かつ、ターンオン動作速度も等しくなり、ターンオン時における出力電流のアンバランスを補正することが可能となる。更に、導通状態にあるときに電力用半導体素子に流れる電流を等しくすることができる。
なお、ここでは定電流駆動回路としてカレントミラー回路を用いた例を示したが、電力用半導体素子1のゲート端子に定電流が供給されるのであれば、定電流駆動回路の回路構成はこの限りでない。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る電力用半導体素子の駆動回路の主要部を図6に示す。
この実施の形態3は、定電流駆動回路の他の構成例を示すもので、実施の形態2の定電流駆動回路を変形し、PNPトランジスタ11aを削除したものである。なお、その他の構成は、図5の実施の形態2と同一であり、説明は省略する。
このような図6に示す構成においてもスイッチング動作時におけるゲート電流を定電流とすることができる。
この実施の形態3によれば、実施の形態2に比し、より簡単な定電流駆動回路の構成で、上述した実施の形態2と同様の作用効果を得る事ができるものである。
実施の形態4
図7は、この発明の実施の形態4に係る電力変換装置の主要部を示す回路構成図である。
この実施の形態4は、前述の実施の形態1〜3で示した電力用半導体素子の駆動回路33
によって駆動されるIGBT等の電力用半導体素子1で構成される基本単位の電力変換器36を、複数個並列接続して電力変換装置を構成し、かつ、電力変換器36の出力端子と交流出力点35との間にインダクタンス値の等しいバランサリアクトル34を設けたものであり、交流出力点35から負荷に接続される。
図7に示したように電力用半導体素子1つにつき、一つのゲート駆動回路33を用いる場合、電力用半導体素子のゲート閾値電圧のばらつきに加えて、ゲート駆動回路33におけるゲート駆動タイミングにばらつきが生じる可能性がある。バランサリアクトル34はこのようなゲート駆動タイミングのばらつきに起因する出力電流のアンバランスを補正する機能を果たすものである。
バランサリアクトル34だけでも並列接続している電力用半導体素子のゲート閾値電圧の違いによる出力電流のアンバランスを補正することは可能であるが、その場合には、インダクタンス値の大きなリアクトルが必要となる。それに対して、この実施の形態4のように、駆動制御用電源電位とエミッタ電位の双方を等量変位させる手段と電力用半導体素子を駆動する定電流駆動回路とを備えた電力用半導体素子の駆動回路と組み合わせることで、バランサリアクトルのインダクタンス値を小さくすることが可能である。
更に、電力変換装置を構成する電力用半導体素子の飽和電圧や還流ダイオードの順方向電圧にばらつきがあった場合においても、バランスリアクトル34は出力アンバランスを補正する働きをする。
図7では電力用半導体素子を2並列接続した2レベルインバータの例を示しているが、3レベル以上のマルチレベルインバータや、電力用半導体素子を3並列以上接続した場合についても同様であることはいうまでもない。
この発明の実施の形態1に係る電力用半導体素子の駆動回路の主要部を示す回路構成図である。 この発明の実施の形態1における電力用半導体素子のゲート電圧の挙動を示す図である。 この発明の実施の形態1における駆動制御用電源及びエミッタ電位生成用電源の電圧値をオフセットする手段を示す回路図である。 この発明の実施の形態1における駆動制御用電源及びエミッタ電位生成用電源の電圧値をオフセットする手段の他の例を示す回路図である。 この発明の実施の形態2に係る電力用半導体素子の駆動回路の主要部を示す回路構成図である。 この発明の実施の形態3に係る電力用半導体素子の駆動回路の主要部を示す回路構成図である。 この発明の実施の形態4に係る電力変換装置の主要部を示す回路構成図である。 従来の電力用半導体素子の駆動回路の主要部を示す回路構成図である。 従来のゲート閾値電圧の異なる2個の電力半導体素子を並列接続した場合におけるコレクタ電流の分担アンバランスを示す図である。 従来の電力用半導体素子の駆動回路において、ゲート電圧をオフセットしたときの時間変化の様子を示した図である。
符号の説明
1 電力用半導体素子、2 駆動用パルス信号、3 駆動制御用電源、4 エミッタ電位生成用電源、5 オン信号用トランジスタ、6 オフ信号用トランジスタ、7 定電流駆動回路、8、8a オフゲート抵抗、9 Pch−MOSFET、10 Nch−MOSFET、11、11a、11b PNPトランジスタ、12 NPNトランジスタ、
13 負電圧レギュレータ、14 三端子レギュレータ、15 可変レギュレータ、
16 グランド電位、17 駆動回路の電源電位、18 可変抵抗、19 第2のNch−MOSFET、20〜24 抵抗、28 ゲート電圧波形、33 ゲート駆動回路、
34 バランサリアクトル、35 交流出力点、36 電力変換器

Claims (7)

  1. 電力用半導体素子の駆動回路において、前記電力用半導体素子の駆動回路の基準(グランド)電位に対する、駆動制御用電源電圧およびエミッタ電位の双方を同極性に等量だけ変位させる変位手段と、電力用半導体素子のゲート端子に駆動電流を供給し該電力用半導体素子を定電流駆動する定電流駆動回路を備えたことを特徴とする電力用半導体素子の駆動回路。
  2. 前記変位手段は、前記電力用半導体素子のゲート閾値電圧と、あらかじめ設定してあるゲート閾値電圧基準値との差分量に応じて、駆動制御用電源電圧およびエミッタ電位の双方を変位させる手段であることを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  3. 前記電力用半導体素子は、ターンオン動作時のみ前記定電流駆動回路によって定電流駆動されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  4. 前記電力用半導体素子は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  5. 前記電力用半導体素子は、SiCデバイスであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動回路。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の電力用半導体素子の駆動回路により駆動される電力用半導体素子を、複数個並列接続して構成したことを特徴とする電力変換装置。
  7. 前記電力変換装置の出力端子がいずれもバランサリアクトルを介して負荷装置と接続されていることを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
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