JP2008176968A - 電子放出素子用ペーストおよびそれを用いた電子放出素子、電子放出素子の製造方法 - Google Patents

電子放出素子用ペーストおよびそれを用いた電子放出素子、電子放出素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子放出素子表面に電子放出材料を突出させるための前処理を行っても電子放出素子の構造を崩すことなく、電子放出素子上に多数の電子放出材料を突出させることができる電子放出素子用ペーストおよび、それを用いた電子放出素子を提供する。
【解決手段】電子放出材料、無機粒子、有機微粒子を含む電子放出素子用ペーストであって、有機微粒子の平均粒径が0.01〜0.5μmであり、有機微粒子の含有量が電子放出素子用ペーストに対し0.1〜20重量%である電子放出素子用ペースト。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子放出素子用ペーストおよびそれを用いた電子放出素子に関する。
カーボンナノチューブは物理的および化学的に耐久性に優れているだけでなく、電界放出に適した先鋭な先端形状と大きなアスペクト比を持っている。そのため、カーボンナノチューブを電子放出素子とした電界放出型ディスプレイ(FED)、電界放出を用いた液晶用バックライトや照明等の研究が盛んに行われている。
このカーボンナノチューブを用いた電子放出素子を作製する方法の一つに、カーボンナノチューブをペーストにして印刷することにより、カソード電極上にカーボンナノチューブを有する膜を作製する方法がある(特許文献1参照)。この方法は、カソード電極上にカーボンナノチューブを含むペーストをスクリーン印刷し、その後焼成することによってペースト中の有機成分を分解し、さらにレーザー法、プラズマ法、サンドブラスト法、テープ剥離法等の処理を、カーボンナノチューブを有する膜に行うことによって、電子放出素子表面からカーボンナノチューブが突出した電子放出素子を作製するものである。しかしながら、本方法ではテープ剥離等の処理を行う際に加える外力によって、カーボンナノチューブ自身が電子放出素子から抜けてしまったり、電子放出素子中での無機粒子とカーボンナノチューブとの強固な付着力によって、カーボンナノチューブが電子放出素子表面から突出しないなどの問題があった。
レーザー法、プラズマ法、サンドブラスト法、テープ剥離法等の処理を行うことなく、多数のカーボンナノチューブが突出した電子放出素子を作製する方法として、カーボンナノチューブと有機系材料の球状物質を混入したガラスペーストを用いる方法がある(特許文献2参照)。この方法は直径5〜10μmのPMMA(ポリメチルメタクリレート)粒子をガラスペースト中に5〜10重量%混入させたペーストを基板電極上にスクリーン印刷し、その後焼成することによってPMMA粒子が焼失することで電子放出素子内に表面まで通ずる多数の連続孔を形成し、さらには焼成時の寸法収縮によってカーボンナノチューブの先端部を孔壁から突出させるものである。しかしながら、本方法ではカーボンナノチューブの先端部のみしか孔壁から突出しないことから、本来カーボンナノチューブの有する大きなアスペクト比が得られないこと、突出方向がランダムであり制御するのが困難であること、多数の連続孔を形成させる必要があるために電子放出素子が構造上不安定になってしまうことなどの問題があった。
また、突出方向が均一で多数のカーボンナノチューブが形成された多数の孔を有する無機多孔性薄膜が提案されている(特許文献3参照)。この方法は、無機超微粒子と有機微粒子を含有する塗工液を基板上に塗布した後、有機微粒子を焼成することで多数の孔を有する無機多孔性薄膜を形成した後、前記孔中にカーボンナノチューブを気相成長させて電子放出源を形成する方法である。しかしながら、本方法では表面に開口部を有し、かつ均一に配列された無機多孔性薄膜を形成しなければならないことから、無機多孔性薄膜の膜厚と有機微粒子の粒径の間に制限があるという問題があった。
特表2004−504690号公報(第18段落) 特開2004−87304号公報(第15〜17段落) 特開2005−231966号公報(第11段落)
本発明は、電子放出素子表面に電子放出材料を突出させるための処理を行っても電子放出素子の構造を崩すことなく、電子放出素子上に多数の電子放出材料を突出させることができる電子放出素子用ペーストおよび、それを用いた電子放出素子の製造方法を提供する。
すなわち、本発明は電子放出材料、無機粒子、有機微粒子を含む電子放出素子用ペーストであって、有機微粒子の平均粒径が0.01〜0.5μmであり、有機微粒子の含有量が電子放出素子用ペーストに対し0.1〜20重量%である電子放出素子用ペースト、およびそれを用いた電子放出素子である。
本発明によれば、電子放出素子用ペーストに平均粒径が0.01〜0.5μmの有機微粒子を含有することによって、焼成後の電子放出素子内に微細な空孔を多数形成し、電子放出素子表面に電子放出材料を突出させるための前処理を行っても電子放出素子の構造を崩すことなく、電子放出素子上に多数の電子放出材料を突出した電子放出素子を得ることが可能である。
本発明は、本発明は電子放出材料、無機粒子、有機微粒子を含む電子放出素子用ペーストであって、有機微粒子の平均粒径が0.01〜0.5μmであり、有機微粒子の含有量が電子放出素子用ペーストに対し0.1〜20重量%である電子放出素子用ペーストである。
一般に電界放出型ディスプレイや電界放出を用いたバックライト、照明等に用いる電子放出材料には、モリブデンに代表される金属材料や、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、カーボンナノウォール、フラーレン、ダイアモンド、ダイアモンドライクカーボン、グラファイト、カーボンブラックに代表される炭素系材料があり、炭素系材料は低い仕事関数特性によって低電圧駆動が可能であることから好ましく用いられる。炭素系材料の中でも、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、カーボンナノウォールなどは高アスペクト比であるため、良好な電気放出特性を持つことから好ましく用いられ、それらの中でもカーボンナノチューブがさらに好ましい。
電子放出材料としてカーボンナノチューブを用いる場合は、単層、2層、3層等の多層カーボンナノチューブのいずれでもよく、良好な電気放出特性が得られる単層または2層カーボンナノチューブが好ましく、単層カーボンナノチューブがさらに好ましい。これらのカーボンナノチューブはそれぞれ単独で用いてもよいし、層数の異なるカーボンナノチューブの混合物として用いることもできる。カーボンナノチューブの直径は好ましくは0.5〜20nmであり、さらに好ましくは0.5〜10nmである。カーボンナノチューブの直径が前記範囲内であると、カーボンナノチューブ先端への電界集中が起こりやすく、低電圧でも良好な電気放出特性が得られる。また、電気放出特性や寿命の観点から、カーボンナノチューブは構造欠陥の少ないものが好ましい。カーボンナノチューブの構造欠陥はレーザーラマン分光法にて測定されるラマンスペクトルで評価することができる。構造欠陥が少なく、結晶性の高いカーボンナノチューブには1580cm−1付近に存在するGバンドピークと呼ばれるラマンスペクトルが見られ、強度が高く、半値幅の小さいものほど構造欠陥が少なく、結晶性の高いカーボンナノチューブであることが知られている。一方、構造欠陥が多く、結晶性の低いカーボンナノチューブには1360cm−1付近に存在するDバンドピークと呼ばれるラマンスペクトルが見られることが知られている。従って、カーボンナノチューブの構造欠陥はGバンドピークの積分値(G)とDバンドピークの積分値(D)の比であるG/D比で表すことができ、このG/D比が大きいほど構造欠陥が少なく、結晶性が高いカーボンナノチューブであることがわかる。本発明で用いるカーボンナノチューブのG/D比は、好ましくは5以上であり、さらに好ましくは10以上である。カーボンナノチューブのG/D比が前記範囲であることで、良好な電気放出特性を得ることができる。
カーボンナノチューブ粉末にはアモルファスカーボンや触媒金属等の不純物を含むことがあるため、精製することによって純度を高めて使用することもできる。また、カーボンナノチューブの長さを調整するため、ボールミルやビーズミル等でカーボンナノチューブ粉末を粉砕してもよい。
電子放出素子用ペースト全体に対する電子放出材料の含有量は0.1〜20重量%が好ましい。また0.1〜10重量%であることがより好ましく、0.5〜5重量%であることがさらに好ましい。電子放出材料の含有量が0.1重量%未満であると、ペーストの塗布性が低下して均一で緻密な電子放出素子用ペーストの塗布膜が得られなくなり、塗布膜中にピンホールが発生したり、電子放出素子からの電子放出量が小さくなり、輝度が低下することがある。ここでいうピンホールとは、電子放出素子用ペーストの塗布膜中において生じる塗布膜に覆われずに下部の基板が露出している部分を意味する。電子放出材料の含有量が20重量%を越えると、電子放出素子用ペースト中での電子放出材料の分散性が悪くなり、ペーストの塗布性が低下することや均一なパターン形成性が得られなくなる場合がある。
本発明の電子放出素子用ペーストは、有機微粒子を有する。この電子放出素子用ペーストをカソード電極上に印刷し、その後焼成することで有機微粒子が焼失し、電子放出素子内に多数の空孔を形成することができる。内部に空孔を有する電子放出素子は、テープ剥離法などの電子放出材料の起毛処理によって、電子放出素子表面から多数の電子放出材料が突出した電子放出素子を得ることができる。これは電子放出素子からの無機粒子の剥離性が向上することや、電子放出材料と無機粒子の接触点が低下することによって、電子放出素子表面に電子放出材料が容易に突出することができるためである。
本発明の電子放出素子用ペーストに用いる有機微粒子は、焼成時に焼失するものであればいずれも使用することができ、粒子径を容易にコントロールすることができることからポリマー粒子が好ましく用いられる。このような有機微粒子の具体例としては、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルなどのポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸メチルなどのポリアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリイソブレテン、ナイロンなどの重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などの共重合体などが挙げられるが、これらに限定されない。
有機微粒子の平均粒径は0.01〜0.5μmであり、0.05〜0.3μmであることがより好ましい。有機微粒子の平均粒径が0.01μm未満であると有機微粒子が焼失してできる電子放出素子内の空孔径が小さくなりすぎ、テープ剥離法などの電子放出材料の起毛処理による電子放出材料の突出数が増加せず、有機微粒子の平均粒径が0.5μmより大きいと有機微粒子が焼失してできる電子放出素子内の空孔径が大きくなりすぎるため、テープ剥離法などの電子放出材料の起毛処理を行った際に電子放出素子の形状が崩れたり、電子放出素子の抵抗が大きくなるおそれがあるため好ましくない。ここで有機微粒子の平均粒径とは、累積50%粒径(D50)を示す。これは一つの粉体の集団の全体積を100%として体積累積カーブを求めたとき、その体積累積カーブが50%となる点の粒径を表したものであり、累積平均径として一般的に粒度分布を評価するパラメータの1つとして利用されているものである。なお、有機微粒子の粒度分布の測定はマイクロトラック法(日機装(株)製マイクロトラックレーザー回折式粒度分布測定装置による方法)で測定することができる。
電子放出素子用ペースト中の有機微粒子の含有量は、0.1〜20重量%であり、0.1〜10重量%がより好ましく、0.5〜5重量%がさらに好ましい。有機微粒子の含有量が0.1重量%未満であると有機微粒子が焼失してできる電子放出素子内の空孔率が小さくなり、テープ剥離などの電子放出材料の起毛処理による電子放出材料の突出数が増加せず、有機微粒子の含有量が20重量%を超えると電子放出素子用ペースト中での有機微粒子の分散性が悪くなってゲル化するおそれがあることや、有機微粒子が焼失してできる電子放出素子内の空孔径が大きくなり、テープ剥離法などの電子放出材料の起毛処理を行った際に電子放出素子の形状が崩れるおそれがあるため好ましくない。
電子放出材料としてカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、カーボンナノウォールなどの炭素ナノ材料を用いる場合、用いる有機微粒子の表面は、官能基によって修飾されていることが好ましい。有機微粒子表面に官能基を有することで電子放出素子用ペースト中での電子放出材料の分散性が向上し、電子放出素子内に偏りなく均一な空孔を形成することが可能である。このような官能基の具体例としては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、アクリレート基、グリシジル基、スルホ基、C17やC1837などのアルキル鎖などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、炭素ナノ材料と相溶性が良い点からアミノ基によって表面修飾された有機微粒子が好ましく用いられる。
有機微粒子の形状は、球状、針状、棒状、多角形状、扁平状、多孔質状など様々な形状を用いることができる。電子放出素子内に均一な空孔を形成できる点から、本発明の電子放出素子用ペーストに用いる有機微粒子の形状は球状であることが好ましい。
また、電子放出材料の熱分解温度は一般に500℃以上であることから、用いる有機微粒子の熱分解温度は500℃以下であること、さらには450℃以下であることが好ましい。熱分解温度が500℃を超える有機微粒子を用いると、電子放出素子中に有機物の残渣が残りやすくなるため好ましくない。熱分解温度は、TG測定装置(TGA−50、(株)島津製作所(株)製)にて約5mgの試料をセットし、空気または窒素雰囲気で流量20ml/min、昇温速度20〜0.6℃/minで500℃まで昇温する。その結果、温度(縦軸)と重量変化(横軸)の関係がプロットされたチャートを印刷し、分解前(横軸に平行な部分)の部分と分解中の部分の接線を引き、その交点の温度を熱分解温度とする、等の方法で測定できる。
本発明の電子放出素子用ペーストに含まれる無機粒子としては、金属、金属酸化物、セラミックス、ガラス、水ガラスなどが挙げられる。特に電子放出素子とカソード電極との接着性を付与するためにガラス粉末を含むことが好ましい。
電子放出材料の熱分解温度は一般に500℃以上であることから、電子放出素子用ペーストの焼成温度は500℃以下であることが好ましく、電子放出材料の分解を抑制するためには450℃以下であることがさらに好ましい。従って、電子放出素子用ペースト中に含まれるガラス粉末の軟化点は500℃以下であることが好ましく、450℃以下であることがさらに好ましい。ガラスの軟化点が500℃を超えると、電子放出素子とカソード電極との密着性が悪くなることがあり好ましくない。
このようなガラス粉末としては、Biを45〜86重量%含有することで、ガラス軟化点を450℃以下に下げることができる。Biはガラスの軟化点を下げることができる。Biが45重量%より少ないと軟化点が高くなりすぎ、86重量%より多いとガラスが不安定になりやすいため好ましくない。より好ましくは、70〜85重量%である。
ここでいうガラスの軟化点は示差熱分析(DTA)法を用いてガラス試料100mgを20℃/分、空気中で加熱し、横軸に温度、縦軸に熱量をプロットして得られるDTA曲線より得られる。
ガラス粉末は、Biを45〜86重量%含有されていれば、その他の組成は特に限定されない。好ましくは、45〜86重量%のBi、0.5〜8重量%のSiO、3〜25重量%のB、0〜25重量%のZnOを有するガラス粉末がガラスの安定性と軟化点の制御のしやすさという点で好ましい。
SiOの含有量を0.5〜8重量%とすることでガラスの安定性を向上させることができる。0.5重量%より少ないとその効果が不十分であり、8重量%より多いとガラスの軟化点が高くなりすぎる。より好ましくは0.5〜2重量%である。
の含有量もまた3〜25重量%とすることでガラスの安定性を向上させることができる。3重量%より少ないとその効果が不十分であり、25重量%より多いとガラスの軟化点が高くなりすぎる。より好ましくは3〜10重量%である。
ZnOは含まなくともよいが、25重量%まで含有させることで軟化点を下げることができる。25重量%より多いとガラスが不安定になる。より好ましくは5〜15重量%である。その他にもAl、NaO、CaO、MgO、CeO、KO等を含むことができる。
電子放出素子とカソード電極は強固に接着している必要があるが、電子放出素子用ペーストに含まれる電子放出材料とガラス粉末の比は、電子放出材料100重量部に対し、ガラス粉末が50〜10000重量部であると、優れた接着性を得ることができる。50重量部未満だと十分な接着性が得られない。10000重量部より大きいとペースト粘度が高くなりすぎる。
ここで電子放出素子と電極の接着性は次のように評価する。電子放出素子用ペーストをベタ印刷し、焼成して形成した電子放出素子に所定の剥離接着強さを持つテープを貼り、ゆっくりと引き剥がすときに電子放出素子に剥離がみられるかどうかで判断することができる。多く剥離が見られるときは好ましくなく、剥離がないものが好ましい。
ガラス粉末の平均粒径は2μm以下が好ましい。2μmより大きいと直径5〜50μmの高精細な円状パターンを形成する際、形状不良の原因となる場合がある。さらに好ましくは1μm以下である。ガラス粉末の粒径が小さくなるとガラス粉末が軟化しやすくなるため、より少ないガラス粉末の含有量で電子放出素子とカソード電極の接着性を得ることができる。そのため、ガラスの平均粒径が1〜2μmのときは電子放出材料100重量部に対してガラス粉末が100〜10000重量部が好ましく、ガラスの平均粒径が1μmより小さいときは、電子放出材料100重量部に対してガラス粉末が50〜5000重量部であることが好ましい。
電子放出材料としてカーボンナノチューブを用いる場合、ガラスの平均粒径が1〜2μmのときはカーボンナノチューブ100重量部に対してガラス粉末が3000〜8000重量部が好ましく、ガラスの平均粒径が1μmより小さいときは、カーボンナノチューブ100重量部に対してガラス粉末が200〜3000重量部であることが好ましい。
ここでガラス粉末の平均粒径とは、累積50%粒径(D50)を示す。これは一つの粉体の集団の全体積を100%として体積累積カーブを求めたとき、その体積累積カーブが50%となる点の粒径を表したものであり、累積平均径として一般的に粒度分布を評価するパラメータの1つとして利用されているものである。なお、ガラス粉末の粒度分布の測定はマイクロトラック法(日機装(株)製マイクロトラックレーザー回折式粒度分布測定装置による方法)で測定することができる。
本発明の電子放出素子は電子放出材料と無機粒子を含み、電子放出素子内の平均空孔径は0.01〜0.5μmであることが好ましく、0.05〜0.3μmであることがより好ましい。電子放出素子内の平均空孔径が0.01μm未満であると、テープ剥離法などの電子放出材料の起毛処理によって電子放出材料の突出数が増加せず、0.5μmより大きいとテープ剥離などの電子放出材料の起毛処理を行った際に電子放出素子の形状が崩れるおそれがあることや、電子放出素子の抵抗が大きくなるおそれがあるため好ましくない。電子放出素子内の空孔は、1つ1つの空孔がそれぞれ独立に存在していてもよいし、複数の空孔が連なった連続孔を形成していてもよい。前記範囲の空孔を有する電子放出素子をテープ剥離法などの電子放出材料の起毛処理を行うによって、従来の電子放出素子よりも突出した電子放出材料が多い電子放出素子を得ることができる。前記電子放出素子内に形成された空孔の平均空孔径は、前記電子放出素子用ペースト中に含まれる有機微粒子の平均粒径によって制御することができる。
電子放出素子内の空孔率は1〜50vol%であることが好ましく、5〜40vol%がより好ましく、10〜30vol%がさらに好ましい。電子放出素子内の空孔率が1vol%未満であると、テープ剥離などの電子放出材料の起毛処理によって電子放出材料の突出数が増加せず、50vol%より大きいと、テープ剥離などの電子放出材料の起毛処理を行った際に電子放出素子の形状が崩れるおそれがあることや、電子放出素子の抵抗が大きくなるおそれがあるため好ましくない。前記電子放出素子内に形成された空孔の空孔率は、前記電子放出素子用ペースト中に含まれる有機微粒子の含有量によって制御することができる。
電子放出素子内の空孔率(V)および平均空孔径(R)の一般的な測定方法としては、水銀圧入法、ガス吸着法、X線小角散乱法、透過型電子顕微鏡(TEM)などが挙げられるが、本発明の電子放出素子内の空孔率および空孔径の測定には水銀圧入法を用いる。この方法では空孔形状が円筒状であると仮定して評価される。水銀圧入法では水銀の表面張力が大きいことを利用して、圧力を加えて空孔内に水銀を進入させて、加えた圧力と圧入された水銀の量から全空孔容積(Vt)、全空孔表面積(S)、空孔径分布、かさ密度(ρv)、真密度(ρr)を求めて、以下の式から空孔率(V)および平均空孔径(R)を求めることができる。
空孔率:V=(1−ρv/ρr)×100
平均空孔径:R=4Vt/S 。
次に、本発明の電子放出素子の製造方法は、電子放出素子用ペーストを焼成し、有機微粒子を焼失することによって電子放出素子内に空孔を形成する工程と、テープ剥離処理によって電子放出材料を電子放出素子表面から突出させる工程を有する電子放出素子の製造方法である。以下、その製造方法について詳細に説明する。
まず、電子放出材料、無機粒子、有機微粒子を含む電子放出素子用ペーストを作製する。電子放出素子用ペーストは各種成分を所定の組成になるよう調合した後、3本ローラー、ボールミル、ビーズミル等の混練機で均質に混合分散することによって作製することができる。ペースト粘度は、ガラス粉末、増粘剤、有機溶剤、可塑剤および沈殿防止剤等の添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は2〜200Pa・sである。例えば、基板への塗布をスリットダイコーター法やスクリーン印刷法以外にスピンコート法やスプレー法、インクジェット法で行う場合は、0.001〜5Pa・sが好ましい。
次に、ガラス基板上にカソード電極、絶縁層、ゲート電極、エミッタホールが形成された背面基板上に、電子放出素子のパターンを形成する。電子放出素子のパターン形成方法は、電子放出素子用ペーストをスクリーン印刷法やインクジェット法にて直接エミッタホール内に印刷後、乾燥して形成してもよいし、電子放出素子用ペーストをスクリーン印刷法やスリットダイコーター法などで背面基板上に印刷後、乾燥してベタ膜を形成し、フォトマスクを通じて紫外線を照射して、現像液に溶解することで電子放出素子のパターンを形成してもよい。
電子放出素子用ペーストから作製された電子放出素子のパターンを有する背面基板は、400〜500℃で焼成することで電子放出素子を作製し、電子放出素子内の有機微粒子が焼失することによって電子放出素子内に空孔を形成する。電子放出素子内に形成された空孔の空孔率および空孔径は、電子放出素子用ペースト内の有機微粒子の含有量および粒子径をコントロールすることで適宜調整することができる。前記電子放出素子はレーザー法、プラズマ法、テープ剥離法などの電子放出材料の起毛処理を行うことで、電子放出素子表面から電子放出材料を突出させることができる。本発明の電子放出素子の起毛処理方法としては、多数の電子放出材料を電子放出素子表面に突出させることができる点でテープ剥離法が好ましく用いられる。ここで、電子放出素子表面からの電子放出材料の突出方向は、良好な電気放出特性が得られることから背面基板に対して垂直方向であることが好ましい。電子放出素子上の電子放出材料の突出数は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定することができる。
本発明の電子放出素子用ペーストは電子放出材料、無機粒子、有機微粒子の他に、バインダーポリマーや有機溶剤などの有機成分を含むことができ、必要に応じて増感剤、増感助剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、カップリング剤、キレート剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤やレベリング剤等の添加成分を含んでもよい。これら有機成分は電子放出素子用ペーストに形状加工性を付与し、スクリーン印刷法、インクジェット法などの一般的な方法で電子放出素子のパターン形成を行うことができるため好ましく用いられる。また、フォトリソグラフィーによって微細なパターンを形成することができることから、前記有機成分に感光性を付与した感光性有機成分を用いることが好ましい。電子放出素子用ペースト中の有機成分の含有量は20〜95重量%が好ましく、30〜90重量%がさらに好ましい。有機成分の含有量が20重量%未満であると電子放出素子用ペーストに形状加工性を付与することが困難となるため好ましくなく、有機成分の含有量が95重量%を超えると電子放出素子用ペーストを用いて作製した電子放出素子の良好な電気放出特性が得られないことがある。
感光性有機成分としては、紫外線を照射した時に化学的な変化が生じることによって、紫外線照射前には現像液に可溶であったものが露光後は現像液に不溶になるネガ型感光性有機成分と、紫外線照射前には現像液に不溶であったものが露光後は現像液に可溶になるポジ型感光性有機成分のいずれかを選ぶことができるが、本発明は特にネガ型感光性有機成分を用いた場合に好適に使用することができる。ネガ型の場合の感光性有機成分はバインダーポリマー、光硬化性モノマー、光重合開始剤、有機溶剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤等を含み、必要に応じて増感剤、増感助剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、カップリング剤、キレート剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤やレベリング剤等の添加成分を含んでもよい。ここで、感光性有機成分に用いるバインダーポリマーとしては、非感光性のバインダーポリマーと、感光性を付与したバインダーポリマーを用いることができる。ポジ型の場合の感光性有機成分はバインダーポリマー、光酸発生剤、有機溶剤等を含み、必要に応じて増感剤、増感助剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤やレベリング剤等の添加成分を含んでもよい。
非感光性のバインダーポリマーの具体的な例としては、セルロース系樹脂(エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、ブチルセルロース、ベンジルセルロース、変性セルロースなど)、アクリル系樹脂(アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなど単量体のうち少なくとも1種からなる重合体)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。これら非感光性のバインダーポリマーは、前記有機成分のバインダーポリマーとしても用いることができる。
感光性のバインダーポリマーとしては、酸性基を有する重合体が好ましく用いられる。酸性基を有する重合体は、酸性基を有していればどのようなものでも構わないが、好ましくはカルボキシル基を有する重合体であり、より好ましくは側鎖にエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する重合体である。側鎖にエチレン性不飽和基を有することでパターン形成性が向上し、また側鎖にカルボキシル基を含有することにより、アルカリ水溶液での現像を可能にする。このような重合体は例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニルまたはこれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマーおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのモノマーを選択し、ラジカル重合開始剤を用いて重合または共重合させて重合体を得たのち、ポリマー中の活性水素含有基であるメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させることにより得られるが、これらに限定されるものではない。グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジル、イソクロトン酸グリシジルなどがある。イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリロイルイソシアネート、メタアクリロイルイソシアネート、アクリロイルエチルイソシアネート、メタアクリロイルエチルイソシアネートなどがある。また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中の活性水素含有基に対して0.05〜0.95モル当量付加させることが好ましい。活性水素含有基がメルカプト基、アミノ基、水酸基の場合にはその全量を側鎖基の導入に利用することもできるが、カルボキシル基の場合には、バインダーポリマーの酸価が好ましい範囲になるよう付加量を調整することが好ましい。
バインダーポリマーを用いる場合、その含有量は、全感光性有機成分に対し好ましくは1〜90重量%であり、より好ましくは10〜80重量%である。バインダーポリマーの量が少なすぎると電子放出材料や無機粒子の分散不良を引き起こす。バインダーポリマーの量が多すぎる場合には未露光部の現像液に対する溶解性が低下したり、焼成時に脱バインダー不良を引き起こすおそれがある。
酸性基を有する重合体の酸価は50〜200mgKOH/gであることが好ましい。酸価を50mgKOH/g以上とすることで、可溶部分の現像液に対する溶解性が低下することがなく、200mgKOH/g以下とすることで、現像許容幅を広くすることができる。なお、酸価の測定は、バインダーポリマー1gをエタノール100mlに溶解した後、0.1N水酸化カリウム水溶液を用いた滴定を行い、求める。
さらに用いるバインダーポリマーの重量平均分子量は5000〜100000が好ましく、より好ましくは15000〜75000である。重量平均分子量が5000を下回るとペーストの印刷性が悪くなるおそれがある。重量平均分子量が100000を上回ると現像液への溶解性が悪くなるおそれがある。バインダーポリマーの重量平均分子量はテトラヒドロフランを移動相としたサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。カラムはShodex KF−803を用い、重量平均分子量はポリスチレン換算により計算した。
また、電子放出材料の熱分解温度は一般に500℃以上であることから、バインダーポリマーの熱分解温度は500℃以下であること、さらには450℃以下であることが好ましい。熱分解温度が500℃以上のバインダーポリマーを用いると、電子放出素子中に有機物の残渣が残りやすくなるため好ましくない。バインダーポリマーの熱分解温度を調整する手法は、共重合成分のモノマーを選択することで可能となる。特に低温で熱分解するモノマーを共重合成分とすることで共重合体の熱分解温度を低くできる。このように低温で熱分解する成分として、例えばメチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、α−メチルスチレン等を挙げることができる。カルボキシル基を有するバインダーポリマーとしては、焼成時の熱分解温度が低いことから、(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸を共重合成分とするコポリマーが好ましく用いられる。とりわけ、スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体が好ましく用いられる。
熱分解温度は、TG測定装置(TGA−50、(株)島津製作所(株)製)にて約5mgの試料をセットし、空気または窒素雰囲気で流量20ml/min、昇温速度20〜0.6℃/minで700℃まで昇温する。その結果、温度(縦軸)と重量変化(横軸)の関係がプロットされたチャートを印刷し、分解前(横軸に平行な部分)の部分と分解中の部分の接線を引き、その交点の温度を熱分解温度とする、等の方法で測定できる。
光硬化性モノマーの具体的な例としては、光反応性を有する炭素−炭素不飽和結合(エチレン性不飽和基)を含有する化合物を用いることができ、例えばアルコール類(例えば、エタノール、プロパノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、カルボン酸(例えば、酢酸プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸など)とアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジル、またはテトラグリシジルメテキシリレンジアミンとの反応生成物、アミド誘導体(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなど)、エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との反応物などを挙げることができる。また、多官能の光硬化性モノマーにおいて、不飽和基は、アクリル、メタクリル、ビニル、アリル基が混合して存在してもよい。本発明では、これらを1種または2種以上使用することができる。
光硬化性モノマーを用いる場合、その含有量は、全感光性有機成分に対し、好ましくは1〜50重量%の範囲で含有され、より好ましくは、5〜30重量%である。光硬化性モノマーの量が少なすぎると光硬化不足になりやすく、露光部の感度が低下したり、現像耐性が低下したりする。光硬化性モノマーの量が多すぎる場合には未露光部の現像液に対する溶解性が低下したり、架橋密度が高すぎるために焼成時に脱バインダー不良を引き起こすおそれがある。
光重合開始剤を用いる場合は、ラジカル種を発生するものから選んで用いられる。光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロペンアミニウムクロリド一水塩、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、メチルフェニルグリオキシエステル、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロホスフェイト(1−)、ジフェニルスルフィド誘導体、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ベンジルメトキシエチルアセタール、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、N−フェニルグリシン、テトラブチルアンモニウム(+1)n−ブチルトリフェニルボレート(1−)、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイルおよびエオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられる。本発明では、これらを1種または2種以上使用することができる。
光重合開始剤を用いる場合、その含有量は、全感光性有機成分に対し、0.05〜10重量%の範囲で含有され、より好ましくは、0.1〜10重量%である。光重合開始剤の量が少なすぎると光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎる場合には露光部の残存率が小さくなるおそれがある。
光重合開始剤と共に増感剤を使用し、感度を向上させたり、反応に有効な波長範囲を拡大することができる。
増感剤の具体例としては、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニルビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾール等が挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤が本発明のペーストに含まれる場合、その含有量は全感光性有機成分に対して通常0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなるおそれがある。
紫外線吸収剤を用いる場合、波長領域300〜550nmの範囲に紫外線吸収がある有機系染料が好ましく、紫外線吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)が波長300〜550nmの範囲にある有機系染料がさらに好ましい。これらの波長領域に紫外線吸収を持つ有機系染料を用いることで、紫外線照射時の電子放出素子用ペースト内部での光散乱を抑制することが可能となる。これにより、非紫外線照射部の光硬化が抑制されるため、電子放出素子パターン以外の部分での電子放出材料を含む残渣を大幅に減少させることができる。
紫外線吸収剤の具体的な例としては、アゾ系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、クマリン系、キサテン系、キノリン系、アントラキノン系、ベンゾエート系、ベンゾイン系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系、トリアジン系、アミノ安息香酸系、キノン系などが挙げられ、1種または複数を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
電子放出材料として上記のような炭素ナノ材料を用いる場合、紫外線吸収剤は窒素を含有する化合物であることが好ましく、電子放出素子用ペーストの焼成時に焼失することから、紫外線吸収剤は有機窒素化合物であることがより好ましい。さらに有機窒素化合物には、窒素原子が有する非共有電子対が存在しており、非共有電子対があることによって有機窒素化合物は炭素ナノ材料の表面に容易に付着する。炭素ナノ材料表面に有機窒素化合物が存在すると炭素ナノ材料同士の凝集を抑制することができ、有機窒素化合物を用いると電子放出素子用ペースト中における炭素ナノ材料の安定した分散状態が得られるという効果もある。
また芳香環構造を有する有機窒素化合物は芳香環のπ電子を有しているため、炭素ナノ材料への付着性および感光性有機成分との親和性が良く、感光性有機成分中での炭素ナノ材料の安定した分散状態が得られることから、好ましく用いられる。さらにアゾ結合を有する有機窒素化合物は、紫外線の吸収波長吸収領域が広く、熱分解性が良いことから特に好ましく用いられる。芳香環構造およびアゾ結合を有する化合物の具体的な例としては、スダンI、スダンブラックB、スダンレッド7B、スダンII、スダンIV(いずれも商品名、東京化成工業(株)製)、アゾベンゼン、アミノアゾベンゼン、ジメチルアミノアゾベンゼン、ヒドロキシアゾベンゼンなどが挙げられ、1種または複数を組み合わせて用いることができる。
紫外線吸収剤は、その分子量が500以下であることが好ましい。分子量が500を超えると、熱分解温度が高温側にシフトすることがあり、電子放出素子用ペーストの焼成時に分解できなくなる。電子放出素子中に未分解の有機物が残ると、本発明の電子放出素子用ペーストにより作製された電子放出素子を用いたディスプレイパネル内やバックライトパネル内の真空度の悪化を招き、電子放出素子の寿命を悪化させる。
電子放出素子用ペースト中の全感光性有機成分に対する紫外線吸収剤の含有量は0.001〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5重量%である。0.001重量%未満では紫外線吸収剤の添加効果が減少し、10重量%を越えると露光光の透過率が低下することがあり、その場合は膜厚を小さくすることになる。膜厚が小さくなると十分な量の電子放出材料が電子放出素子内に残らない。
重合禁止剤を用いる場合、その具体的な例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられ、1種または複数を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されるものではない。
重合禁止剤の分子量は500以下であることが好ましい。分子量が500を超えると、紫外線吸収剤と同様、熱分解温度が高温側にシフトすることがあり、電子放出素子用ペーストの焼成時に分解できなくなる。電子放出素子中に未分解の有機物が残ると、ディスプレイパネル内やバックライトパネル内の真空度の悪化を招き、電子放出素子の寿命を悪化させる。
電子放出源用ペースト中の全感光性有機成分に対する重合禁止剤の含有量は0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜5重量%である。0.01重量%未満では重合禁止剤の効果が得られず、10重量%を超えると光重合が阻害されることがある。
紫外線吸収剤と重合禁止剤を組み合わせることで、紫外線吸収剤が吸収できずに散乱した紫外線によって発生するラジカルを、重合禁止剤が捕捉することで非紫外線照射部の光硬化が抑制されるため、電子放出素子パターン以外の部分での電子放出材料を含む残渣を大幅に減少させることができるため好ましい。
紫外線吸収剤と重合禁止剤を組み合わせて用いる場合、電子放出素子用ペースト中の全感光性有機成分に対する紫外線吸収剤の含有量は0.05〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2重量%であり、重合禁止剤の含有量は0.1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。感光性有機成分に対する紫外線吸収剤と重合禁止剤の全含有量は0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%であって、紫外線吸収剤と重合禁止剤の重量比率は1:10〜10:1の範囲であると、相乗効果が得られるため好ましい。
このような紫外線吸収剤と重合禁止剤の好ましい組み合わせとしては、電子放出素子用ペースト中での電子放出材料の分散性、熱分解性の良さという観点から、アゾ系染料とヒドロキノンまたはヒドロキノンのモノエステル化合物、アゾ系染料とフェノチアジンの組み合わせなどが挙げられる。紫外線吸収剤と重合禁止剤の好ましい組み合わせの具体的な例としては、“スダンIV”(商品名、東京化成工業(株)製)とヒドロキノンモノメチルエーテル、“スダンIV”とフェノチアジン、アミノアゾベンゼンとヒドロキノンモノメチルエーテル、アミノアゾベンゼンとフェノチアジンなどがある。
有機溶剤はバインダーポリマー等有機成分を溶解するものが好ましい。例えば、エチレングリコールやグリセリンに代表されるジオールやトリオールなどの多価アルコール、アルコールをエーテル化および/またはエステル化した化合物(エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート)などが挙げられる。具体的には、テルピネオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、ブチルカルビトールアセテートなどやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶剤混合物が用いられる。
有機溶剤を用いる場合、その含有量は、全感光性有機成分に対し、好ましくは10〜90重量%の範囲で含有され、より好ましくは、20〜80重量%である。溶媒の量が少なすぎると電子放出素子用ペーストの分散安定性が悪くなり、ゲル化するおそれがある。溶媒の量が多すぎる場合には電子放出素子用ペーストの印刷特性が悪くなり、膜を形成できなくなるおそれがある。
電子放出素子用ペースト中で無機粒子や電子放出材料をさらに十分に分散させるために、分散剤を用いてもよい。電子放出材料として上記のような炭素ナノ材料を用いる場合、分散剤はアミン系くし形ブロックコポリマーが好ましい。アミン系くし形ブロックコポリマーとしては、たとえば、アビシア(株)製のソルスパース13240、ソルスパース13650、ソルスパース13940、ソルスパース24000SC、ソルスパース24000GR、ソルスパース28000(いずれも商品名)などが挙げられる。
以下に、本発明の電子放出素子用ペーストを用いたトライオード型とダイオード型のフィールドエミッション用電子放出素子の作製方法について説明する。なお、電子放出素子の作製は、その他の公知の方法を用いてもよく、後述する作製方法に限定されない。
はじめにトライオード型電子放出素子用背面基板の作製方法を説明する。ガラス基板上にITO等の導電性膜を成膜しカソード電極を形成する。次いで、絶縁材料を印刷法により5〜15μm積層し絶縁層を作製する。次に、絶縁層上に真空蒸着法によりゲート電極層を形成する。ゲート電極層上にレジスト塗布し、露光、現像によりゲート電極および絶縁層をエッチングすることによって、エミッタホールパターンを作製する。この後、電子放出素子用ペーストをエミッタホールパターン上にスクリーン印刷またはスリットダイコーター等により塗布した後、熱風オーブンなどで乾燥する。乾燥後の電子放出素子用ペーストに対して、上面(電子放出源用ペースト側)からフォトマスクを通じて紫外線を照射するか、もしくはカソード電極にITO等の透明な導電性膜を用いた場合は、背面(ガラス基板側)から直接電子放出源用ペーストに紫外線を照射する。露光後はアルカリ水溶液などで現像し、エミッタホール内に電子放出素子のパターンを形成し、400〜500℃で焼成して電子放出素子を作製する。最後にレーザー照射法やテープ剥離法により電子放出材料の起毛処理を行う。
次に、前面基板を作製する。ガラス基板上にITOを成膜しアノード電極を形成する。アノード電極上に赤緑青の蛍光体を印刷法により積層する。背面基板と前面基板をスペーサーガラスをはさんで貼り合わせ、容器に接続した排気管により真空排気することによりトライオード型電子放出素子を作製することができる。電子放出状態を確認するために、アノード電極に1〜5kVの電圧を供給することで、電子放出材料から電子が放出され蛍光体発光を得ることができる。
ダイオード型電子放出素子用前面板を作製する場合は、カソード電極上に電子放出素子用ペーストをスクリーン印刷またはスリットダイコーター等により所定のパターンで印刷後、大気中400〜500℃の温度で加熱し、電子放出素子を得て、これをテープ剥離法やレーザー処理法により起毛処理を行う。新たにITOをスパッタしたガラス基板上に蛍光体を印刷し、アノード電極を作製し、これら2枚のガラス基板をスペーサーを挟んで貼り合わせ、容器に接続した排気管で真空排気することによりダイオード型電子放出素子を作製することができる。電子放出状態を確認するために、アノード電極に1〜5kVの電圧を供給することで、電子放出材料から電子が放出され蛍光体発光を得ることができる。
以下に、本発明を実施例に具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されない。実施例に用いた電子放出材料、無機粒子、有機微粒子および有機成分は次の通りである。
A.電子放出材料
単層カーボンナノチューブ(東レ(株)製)
カーボンナノファイバー(昭和電工(株)製)。
B.ガラス粉末
Bi(84重量%)、B(7重量%)、SiO(1重量%)、ZnO(8重量%)の組成のものを用いた。このガラス粉末の軟化点は380℃、平均粒径は0.5μmのものを用いた。
C.有機微粒子
有機微粒子I:平均粒径0.03μmのポリメタクリル酸メチル微粒子
有機微粒子II:平均粒径0.1μmのポリメタクリル酸メチル微粒子
有機微粒子III:平均粒径0.2μmのポリメタクリル酸メチル微粒子
有機微粒子IV:平均粒径0.4μmのポリメタクリル酸メチル微粒子
有機微粒子V:平均粒径1μmのポリメタクリル酸メチル微粒子
有機微粒子VI:平均粒径0.2μmの表面にアミノ基を有するポリスチレン微粒子。
D.有機成分
バインダーポリマー:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン=40/40/30重量部からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応させたもの(重量平均分子量43000、酸価100mgKOH/g)
光硬化性モノマー:ポリエチレングリコールジアクリレート
光重合開始剤:“イルガキュア369”(チバスペシャリティケミカルズ社製)
紫外線吸収剤:“スダンIV”(東京化成工業(株)製)
重合禁止剤:ハイドロキノンモノメチルエーテル
分散剤:“ソルスパース24000GR”(アビシア(株)製)
有機溶剤:テルピネオール 。
<評価方法>
(1)ガラス軟化点の測定
用いたガラス粉末のガラス転移温度を熱機械分析装置(セイコーインスツル(株)製、EXTER6000、TMA/SS)を用いて測定した。ガラス粒子を800℃で溶融し、直径5mm、高さ2cmの円柱状に加工して測定サンプルとした。
(2)ガラス粉末、有機微粒子の平均粒径測定
用いたガラス粉末、有機微粒子の累積50%粒径を粒子径分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラック9320HRA)を用いて測定した。
(3)空孔率、平均空孔径の測定
電子放出素子内の空孔率(V)および平均空孔径(R)の測定には水銀圧入法を用いる。試料セル内に約1gの電子放出素子を入れた後に水銀を満たし、高圧容器内で圧力を加えて空孔内に水銀を進入させて、加えた圧力と圧入された水銀の量から全空孔容積(Vt)、全空孔表面積(S)、かさ密度(ρv)、真密度(ρr)を求め、以下の式から空孔率(V)および平均空孔径(R)を求めた。
空孔率(vol%):V=(1−ρv/ρr)×100
平均空孔径(μm):R=4Vt/S 。
(4)電子放出材料の突出数の測定
10mm角の範囲内に10μmφのエミッタホールが40μmの間隔で並んだトライオード型電子放出素子用背面基板上に、電子放出素子用ペーストをスクリーン印刷法にて印刷して85℃で15分間乾燥し、膜厚2μmの膜を得た。この膜に対して、上面からフォトマスクを介して紫外線を照射した後にアルカリ水溶液で現像し、エミッタホール内に電子放出素子のパターンを形成した後、450℃で焼成して電子放出素子を作製した。この電子放出素子に対して、テープ剥離法を用いて表面から電子放出材料を突出させる起毛処理を行った。得られた電子放出素子を有する基板を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4800)にて加速電圧1kV、倍率30000倍にて電子放出素子を基板に対して真横から観察した。このSEM像から、電子放出素子から突出している電子放出材料の全突出数を測定した。
実施例1
単層カーボンナノチューブ(東レ(株)製)を直径3mmのジルコニアボールを用いたボールミルにより粉砕し、0.5μmφのガラス粉末、バインダーポリマー、光硬化性モノマー、紫外線吸収剤、分散剤、有機溶剤を表1に示す組成比で添加して3本ローラーにて混練し、電子放出素子用ペーストを作製した。
次に10mm角の範囲内に10μmφのエミッタホールが40μmの間隔で並んだトライオード型電子放出素子用背面基板上に、電子放出素子用ペーストをスクリーン印刷法にて印刷して85℃で15分間乾燥した。乾燥後の電子放出素子用ペーストの膜厚を走査型電子顕微鏡で測定した結果、膜厚は2μmであった。乾燥後の電子放出素子用ペーストに対して、ネガ型クロムマスク(10μmφ、40μm間隔)を用いて上面から50mW/cm出力の超高圧水銀灯で1J/cmの紫外線を照射した。その後、炭酸ナトリウム1重量%水溶液をシャワーで150秒間かけることにより現像し、シャワースプレーを用いて水洗浄して光硬化していない部分を除去し、電子放出素子のパターンを形成した後、450℃で焼成して電子放出素子を作製した。得られた電子放出素子の空孔率は12%、平均空孔径は0.036μmであった。また、電子放出材料の突出数は91本であった。
実施例2〜11
実施例1と同様に、表1に示す組成比の電子放出素子用ペーストを用いた電子放出素子を作製し、空孔率、平均空孔径、電子放出素子の突出数を測定した。結果を表1に示した。
Figure 2008176968
比較例1
単層カーボンナノチューブ(東レ(株)製)を直径3mmのジルコニアボールを用いたボールミルにより粉砕し、0.5μmφのガラス粉末、バインダーポリマー、光硬化性モノマー、紫外線吸収剤、分散剤、有機溶剤を表2に示す組成比で添加して3本ローラーにて混練し、電子放出素子用ペーストを作製した。得られた電子放出素子用ペーストを用いて実施例1と同様にして電子放出素子を作製した。得られた電子放出素子に空孔がほとんど存在しておらず、空孔率、平均空孔径は測定できなかった。
また、観察されたカーボンナノチューブ突出数は32本であった。
比較例2〜3
実施例1と同様に、表2に示す組成比の電子放出素子用ペーストを用いた電子放出素子を作製し、空孔率、平均空孔径、電子放出材料の突出数を測定した。結果を表2に示した。
比較例4
実施例1と同様に、表2に示す組成比の電子放出素子用ペーストを用いた電子放出素子を作製し、空孔率、平均空孔径を測定した。結果を表2に示した。なお、作製した電子放出素子をテープ剥離法によって起毛処理を行った際、電子放出素子の構造が崩れて基板から剥がれてしまった。
比較例5
実施例1と同様に、表2に示す組成比の電子放出素子用ペーストを作製したが、ペーストがゲル化してしまった。
比較例6
実施例1と同様に、表2に示す組成比の電子放出素子用ペーストを用いた電子放出素子を作製し、空孔率、平均空孔径、電子放出材料突出数を測定した。結果を表2に示した。
Figure 2008176968

Claims (5)

  1. 電子放出材料、無機粒子、有機微粒子を含む電子放出素子用ペーストであって、有機微粒子の平均粒径が0.01〜0.5μmであり、有機微粒子の含有量が電子放出素子用ペーストに対し0.1〜20重量%である電子放出素子用ペースト。
  2. 電子放出材料がカーボンナノチューブである請求項1記載の電子放出素子用ペースト。
  3. 電子放出材料と無機粒子を含む電子放出素子であって、電子放出素子内の平均空孔径が0.01〜0.5μmである電子放出素子。
  4. 電子放出素子の空孔率が1〜50vol%である請求項3記載の電子放出素子。
  5. 電子放出素子用ペーストを焼成し、有機微粒子を焼失して電子放出素子内に空孔を形成する工程と、テープ剥離処理によって電子放出材料を電子放出素子表面から突出させる工程を有する電子放出素子の製造方法。
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