JP2009038022A - 電子放出素子 - Google Patents

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篤 池田
Kazuki Shigeta
和樹 重田
Takejiro Inoue
武治郎 井上
Kazuoki Goto
一起 後藤
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Abstract

【課題】カーボンナノチューブとカソード電極との密着性を保持しつつ、接触抵抗が低くエミッション開始電界強度が小さい電子放出素子を提供すること。
【解決手段】(a)カーボンナノチューブ、(b)ガラス粒子および(c)導電性粒子を含む、膜厚が0.10〜2.0μmである電子放出素子。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電界の印加で電子を放出する電子放出素子に関する。
カーボンナノチューブは物理的・化学的耐久性に優れており、また、電界電子放出(エミッション)に適した先鋭な先端形状と大きなアスペクト比を有している。そのため、カーボンナノチューブを電子放出素子とした電界電子放出型ディスプレイ(FED)、液晶用バックライト、照明等の研究が盛んに行われている。
カーボンナノチューブを用いた電子放出素子として、カーボンナノチューブ、ガラスフリットおよび有機バインダー樹脂を含有するペーストを焼成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。カソード電極上でこのようなペーストを焼成することにより、ペースト中の有機成分を分解し、ガラスフリットの焼結によってカーボンナノチューブをカソード電極に固定するものである。このような電子放出素子は、製造コストが低く、また、大面積化の点で有利である。しかしながら、カーボンナノチューブとカソード電極間の接触抵抗が高く、エミッション開始電界強度が高いという課題があった。
また、カーボンナノチューブ、軟化点が500℃以下のガラスフリットおよび有機バインダー樹脂を含むペーストを焼成したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。これにより、カーボンナノチューブの剥がれることのない、適切な強度を有する電子放出素子が得られる。さらに、導電性粒子を含むペーストを用いることにより、電子放出素子の導電性を向上させることが開示されている。しかしながら、よりエミッション開始電界強度の低い電子放出素子が求められていた。
特開2003−331713号公報 特開2006−164965号公報
本発明は上記の課題に鑑み、カーボンナノチューブとカソード電極との密着性を保持しつつ、接触抵抗が低くエミッション開始電界強度が小さい電子放出素子を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は(a)カーボンナノチューブ、(b)ガラス粒子および(c)導電性粒子を含む電子放出素子用ペーストを焼成して得られる、膜厚が0.10〜2.0μmである電子放出素子である。
本発明によれば、カーボンナノチューブとカソード電極との密着性を保持しつつ、接触抵抗が低くエミッション開始電界強度が小さい電子放出素子を得ることができる。
本発明の電子放出素子は、(a)カーボンナノチューブ、(b)ガラス粒子および(c)導電性粒子を含む電子放出素子用ペーストを焼成して得られるものであって、膜厚が0.10〜2.0μmであることを特徴とする。膜厚が0.10μm未満である場合、ガラス粒子がマトリックスを形成することができず、カーボンナノチューブをカソード電極に十分密着させることができない。そのため、電子放出素子の剥がれが発生し、十分な電流密度が得られなくなる。好ましくは0.14μm以上、より好ましくは0.40μm以上である。一方、膜厚が2.0μmを超える場合、カーボンナノチューブとカソード電極との接触抵抗が大きくなり、エミッション開始電界強度が増加する。
本発明における膜厚は、起毛処理後の電子放出素子の表面からカソード電極表面までの距離の平均のことを表し、具体的には以下の方法で求めた平均の値である。すなわち、本発明において電子放出素子の膜厚は、走査型電子顕微鏡(例えば(株)日立製作所製S4800)を用いて測定する。電子放出素子の断面(ガラス粒子および導電性粒子を含む部分であり、起毛したカーボンナノチューブ部分は測定対象としない)を10,000〜50,000倍で観察し、電子放出素子表面からカソード電極表面までの距離を100点測定し、平均の値を膜厚とする。図1に膜厚測定方法を示す。破線1で示す電子放出素子の表面から実線2で示すカソード電極面までの距離を20点測定し、観察場所を変えて同様の測定を5回繰り返す。そして100点の測定値の平均の値を膜厚とする。
本発明に用いられる電子放出素子用ペーストは、(a)カーボンナノチューブを含有する。カーボンナノチューブは、筒状のグラフェンシートの入れ子状構造になっており、その入れ子の数に応じて単層、2層、3層カーボンナノチューブと呼ばれる。3層以上の場合は多層カーボンナノチューブと呼ばれることもある。本発明において、(a)カーボンナノチューブの平均層数は、単層〜5層が好ましい。5層以下であると、後述する平均直径を小さくし、エミッション開始電界強度をより小さくすることができる。一方、カーボンナノチューブの劣化を防止する観点から、1.5層以上がより好ましい。
(a)カーボンナノチューブの平均直径は、カーボンナノチューブの劣化を防止する観点から1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましい。また、エミッション開始電界強度をより小さくする観点から10nm未満が好ましく、7nm未満がより好ましい。
(a)カーボンナノチューブの平均層数および平均直径は、透過型電子顕微鏡(例えば(株)日立製作所製透過型電子顕微鏡H7100型)により測定することができる。本発明においては、2,000,000倍で観察した画像からカーボンナノチューブをランダムに10本選んで層数および直径を計測し、その平均をカーボンナノチューブの平均層数および平均直径とする。
(a)カーボンナノチューブのラマンG/D比は、2以上が好ましい。2以上であるとカーボンナノチューブの結晶性が高く、電子放出に伴う劣化が起こりにくい。より好ましくは5以上である。
(a)カーボンナノチューブのラマンG/D比は、ラマン分光光度計(例えば(株)島津製作所製HoloLabシリーズ5000)を用いて測定することができる。試料に532nmおよび632nmの波長のレーザー光を照射して得られるラマンスペクトルより、約1590cm−1とその低波数側に観測される複数のピークで、グラファイト固有のバンドであるGバンドと、約1350cm−1付近に観測されるアモルファスカーボンなどを由来とするDバンドとの強度比をG/Dとする。値が大きいほどアモルファスカーボンなどの不純物やグラファイト構造の欠陥が少なく、高純度であるといえる。
カーボンナノチューブには、不純物として触媒(触媒金属など)やアモルファスカーボン、フラーレン等が含まれることがある。本発明において、カーボンナノチューブの純度(重量%)は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。純度が80%以上であれば電子放出素子からの電子放出量が大きく、十分な輝度を得ることができる。なお、ここでいう純度とは、不純物としての触媒を除いた成分の割合をいう。すなわち、アモルファスカーボンやフラーレンが含まれていてもカーボンナノチューブの純度は下がらない。
(a)カーボンナノチューブの純度は、熱重量測定装置(例えば(株)島津製作所製TGA−50/50H)により測定することができる。カーボンナノチューブ試料20mgを大気中5℃/分で700℃まで昇温し、700℃で1時間保持する。この条件であれば、可燃性のカーボンナノチューブ、アモルファスカーボン、フラーレンなどは分解するが、不燃性の触媒金属などは分解しない。そこで、縦軸に重量、横軸に時間をとって得られる曲線の700℃に対応する点での重量減少量(初期重量に対する%)より純度を計算することができる。例えば、95重量%減少していたとすると、残りの5重量%が触媒金属等であるから、純度は95重量%である。
本発明に用いられる電子放出素子用ペーストは、(b)ガラス粒子を含有する。ガラス粒子が焼成時に焼結してマトリックスを形成することによって、カーボンナノチューブをカソード電極に密着させることができる。
(b)ガラス粒子の平均粒径は、強固なマトリックスを形成するために0.05μm以上が好ましく、0.07μm以上がより好ましく、0.08μm以上がさらに好ましい。一方、電子放出素子の表面凹凸を小さくし、均一に電子放出するために1.0μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。
(b)ガラス粒子の平均粒径は、吸着ガスにNを、キャリアガスにN/He=30/70を用いる流動法BET一点法比表面積測定装置(ユアサアイオニクス(株)製、MONOSORB)を用いることで測定することができる。ガラス粒子の平均粒径(μm)とは、流動法BET一点法により得られる比表面積(m/g)と密度(g/cm)を用いて次式から得られる値をさす。
平均粒径=6/(密度×比表面積)
なお、ガラス粒子の密度は、密度計(例えば、(株)島津製作所製密度計アキュピック1330シリーズ)を用いて測定できる。
(b)ガラス粒子の軟化点は500℃以下が好ましい。カソード電極基板に安価なガラス基板を用いる場合、ガラス粒子の軟化点を500℃以下とすることで、ガラス基板の収縮によるパターンのずれ、反り、割れなどを低減することができる。
ここでいうガラスの軟化点は、例えば、熱機械分析装置(セイコーインスツル(株)製、EXTER6000 TMA/SS)を用いて測定することができる。ガラス粒子を800℃で溶融し、直径5mm、高さ2cmのロッド状に加工して測定サンプルとし、測定サンプルのガラスロッドおよび標準試料の石英ガラスロッドにそれぞれ0.1Nの加重をかけて室温から10℃/分で昇温して得られたTMA曲線の最大長さとなった時の温度を軟化点とする。
(b)ガラス粒子は、ビスマス系ガラスおよび/またはアルカリ系ガラスを含むことが好ましい。ビスマス系および/またはアルカリ系ガラスを含むことでガラス粒子の軟化点を下げることができ、焼成時にカーボンナノチューブを焼失させることなく十分な密着力を得ることができる。
ビスマスは低軟化点ガラスの主成分である鉛と比較して、有毒性がはるかに低いにもかかわらず、多くの性質に類似性が認められ、鉛と同様にガラスの軟化点を下げることができる。このため、ビスマス系ガラスは、有毒な鉛を含むことなくガラス軟化点を下げることができる。ビスマス系ガラスは、ガラス軟化点を450℃以下に下げるために、酸化ビスマスを45重量%以上含有することが好ましく、70重量%以上がより好ましい。一方、ガラスの安定性の観点から、酸化ビスマスを86重量%以下含有することが好ましく、85重量%以下がより好ましい。例えば、45〜86重量%の酸化ビスマス、0.5〜8重量%の酸化ケイ素、3〜25重量%の酸化ホウ素、0〜25重量%の酸化亜鉛を含有するガラス粒子が、ガラスの安定性と軟化点の制御のしやすさという点で好ましい。酸化ケイ素の含有量を0.5重量%以上とすることで、ガラスの安定性を向上させることができる。また、8重量%以下とすることで、ガラスの軟化点を低くできる。より好ましくは0.5〜2重量%である。酸化ホウ素の含有量を3重量%以上とすることでガラスの安定性を向上させることができる。また、25重量%以下とすることで、ガラスの軟化点を低くできる。より好ましくは3〜10重量%である。酸化亜鉛は含まなくともよいが、25重量%まで含有させることで、ガラスの安定性を保ちつつ軟化点を下げることができる。より好ましくは5〜15重量%である。その他にも酸化アルミニウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化セレン、酸化カリウム等を含むことができる。
アルカリ系ガラスとしては、3〜15重量%の酸化リチウム、酸化ナトリウムまたは酸化カリウム、2〜15重量%の酸化マグネシウムまたは酸化カルシウム、20〜45重量%の酸化ホウ素、10〜25重量%の酸化アルミニウム、5〜30重量%の酸化ケイ素、2〜15重量%の酸化バリウムまたは酸化ストロンチウム、0〜5重量%の酸化亜鉛を有するガラス粒子が、ガラスの安定性と軟化点の制御のしやすさという点で好ましい。
本発明に用いられる電子放出素子用ペーストは、(c)導電性粒子を含有する。(c)導電性粒子を含有することにより、カーボンナノチューブとカソード電極との接触抵抗を低減し、エミッション開始電界強度を小さくすることができる。
カーボンナノチューブとカソード電極との接触抵抗は、電子放出素子最表面のカーボンナノチューブとカソード電極間の電気抵抗のことをさし、走査型拡がり顕微鏡を用いて測定することができる。Co−Crコートシリコンカンチレバーをエミッタ表面に接触させ、カソード電極にDCバイアスを印加することによって2μm×2μmの面内の抵抗値を測定し、その平均値を接触抵抗とする。測定には市販の走査型拡がり抵抗顕微鏡(例えばVeeco社DigitalInstruments製NanoScopeIIIaAFM Dimension3100ステージシステムなど)を用いることができる。
(c)導電性粒子の平均粒径は、電子放出素子の膜厚の0.1〜0.7倍の範囲にあることが好ましい。電子放出素子において、導電性粒子の接点には、後述するバインダー樹脂などの有機成分の焼成残分などアモルファスカーボンが堆積することが多く、接点の数が多くなると、導電性粒子間の抵抗が大きくなる傾向がある。(c)導電性粒子の平均粒径が膜厚の0.1倍以上であれば、電子放出素子における接点の数を適切な範囲に抑えることができ、接触抵抗をより小さくできる。より好ましくは0.15倍以上である。一方、電子放出素子の表面凹凸を小さくし、均一に電子放出するために、導電性粒子の平均粒径が小さくことが好ましく、好ましくは膜厚の0.7倍以下、より好ましくは0.5倍以下である。また、(b)ガラス粒子の粒径に対する(c)導電性粒子の粒径の比率は1.5倍以下が好ましい。1.5倍以下であれば、十分な密着性を得ることができ、剥がれの発生を防ぐことができる。
(c)導電性粒子の平均粒径は、吸着ガスにNを、キャリアガスにN/He=30/70を用いる流動法BET一点法比表面積測定装置(ユアサアイオニクス(株)製、MONOSORB)により導電性粒子測定することができる。導電性粒子の平均粒径(μm)とは、流動法BET一点法により得られる比表面積(m/g)と密度(g/cm)を用いて次式から得られる値をさす。
平均粒径=6/(密度×比表面積)
なお、ガラス粒子の密度は、密度計(例えば、(株)島津製作所製密度計アキュピック1330シリーズ)を用いて測定できる。
本発明に用いられる電子放出素子用ペーストは、(a)カーボンナノチューブ1重量部に対して、(b)ガラス粒子を1〜100重量部含むことが好ましい。1重量部以上であればカーボンナノチューブと電極との密着力を向上させる効果が高く、2重量部以上がより好ましい。100重量部以下であれば接触抵抗を低減する効果が高く、80重量部以下がより好ましい。
(c)導電性粒子は、導電性のあるものであれば特に限定されず、金属、導電性酸化物を含む粒子、あるいは酸化物表面の一部または全部に導電性材料がコーティングされた粒子を用いることができる。導電性酸化物としては、酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化スズ、酸化亜鉛などが好ましい。また、酸化チタン、酸化ケイ素などの酸化物表面の一部または全部にITO、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性酸化物や、金、白金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、鉄、コバルトなどの金属がコーティングされたものも好ましい。この場合、導電性酸化物のコーティング材料としては、金属に比べて触媒活性が低く、焼成や電子放出による高温条件下においてカーボンナノチューブの劣化が生じにくいことから、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性酸化物が好ましい。より好ましくは金属を含まない導電性酸化物を含む粒子、あるいは酸化物表面の一部または全部に導電性材料がコーティングされた粒子がよい。
本発明に用いられる電子放出素子用ペーストは、(b)ガラス粒子1重量部に対して(c)導電性粒子を0.002〜5重量部含むことが好ましい。0.002重量部以上であれば、十分な導電性を得ることができ、接触抵抗をより小さくできる。0.5重量部以上がより好ましい。また、5重量部以下であればカーボンナノチューブと電極との密着力をより向上させることができる。
本発明の電子放出素子の作製方法について、以下に例を挙げて説明する。
本発明の電子放出素子は、前述の(a)カーボンナノチューブ、(b)ガラス粒子および(c)導電性粒子を含む電子放出素子用ペーストを作製し、そのペーストをカソード電極上に塗布し、焼成し、必要により起毛処理する方法(ペースト法)によって作製することができる。なお、(a)カーボンナノチューブは、アーク放電法、CVD法、レーザーアブレーション法などの方法を用いて作製することができるが、本発明においてはいずれの方法を用いてもよい。また、前記電子放出素子用ペーストは、(a)カーボンナノチューブ、(b)ガラス粒子および(c)導電性粒子を必須成分とし、(d)バインダー樹脂、(e)溶媒、(f)分散剤等を適宜含むことができる。
(d)バインダー樹脂として、セルロース系樹脂(エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、ブチルセルロース、ベンジルセルロース、変性セルロースなど)、アクリル系樹脂(アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなど単量体のうち少なくとも1種からなる重合体)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。
(e)溶媒は、バインダー樹脂等有機成分を溶解するものが好ましい。例えば、エチレングリコールやグリセリンに代表されるジオールやトリオールなどの多価アルコール、アルコールをエーテル化および/またはエステル化した化合物(エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート)などが挙げられる。より具体的には、テルピネオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、ブチルカルビトールアセテートなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
(f)分散剤は、アミン系くし形ブロックコポリマーが好ましい。アミン系くし形ブロックコポリマーとしては、例えば、アビシア(株)製の“ソルスパース”(登録商標)13240、ソルスパース13650、ソルスパース13940、ソルスパース24000SC、ソルスパース24000GR、ソルスパース28000(いずれも商品名)などが挙げられる。
電子放出素子用ペーストは感光性を付与してもよく、感光性有機成分を含有することによって、露光および現像を通してパターン加工を行うことができる。感光性有機成分としては、紫外線を照射した時に化学的な変化が生じることによって、紫外線照射前には現像液に可溶であったものが露光後は現像液に不溶になるネガ型感光性有機成分と、紫外線照射前には現像液に不溶であったものが露光後は現像液に可溶になるポジ型感光性有機成分のいずれかを選ぶことができるが、本発明は特にネガ型感光性有機成分を用いた場合に好適に使用することができる。ネガ型感光性有機成分としては、感光性ポリマー、感光性オリゴマー、感光性モノマーのうち少なくとも1種類から選ばれる感光性成分を含有し、さらに必要に応じて、バインダー、光重合開始剤、紫外線吸光剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤やレベリング剤等を含むものが好ましい。
感光性ポリマーは(d)バインダー樹脂の機能も有する。感光性ポリマーとしてはカルボキシル基を有するものが好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸またはこれらの酸無水物等のカルボキシル基含有モノマーおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシアクリレート等のモノマーを選択し、アゾビスイソブチロニトリルのような開始剤を用いて重合することにより得られる。
カルボキシル基を有するポリマーとしては、焼成時の熱分解温度が低いことから、(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸を共重合成分とする共重合体が好ましく用いられる。とりわけ、スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体が好ましく用いられる。
カルボキシル基を有するポリマーの樹脂酸価は、現像性の観点から50〜150mgKOH/gであることが好ましい。
感光性ポリマーとして、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するものを用いると、硬化性が向上するため好ましい。側鎖にエチレン性不飽和結合を導入する方法として、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライド、マレイン酸等のカルボン酸を反応させて作る方法がある。
グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテル等が挙げられる。とりわけ、CH=C(CH)COOCHCHOHCH−が好ましく用いられる。イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート等が挙げられる。
グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して0.05〜1モル当量反応させることが好ましい。
また、電子放出素子用ペーストにエチレン性不飽和結合を有するアミン化合物を含有してもよい。エチレン性不飽和結合を有するアミン化合物の調製は、エチレン性不飽和結合を有するグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物等をアミノ化合物と反応させればよい。複数のエチレン性不飽和基含有化合物を混合して用いてもよい。
さらにバインダー成分が必要な場合には、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ブチルメタクリレート樹脂等を用いることができる。
また、感光性ポリマーより分子量が低い低重合体である感光性オリゴマーを用いてもよい。
感光性モノマーの具体的な例としては、光反応性を有する炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物を挙げることができ、例えばアルコール類(例えば、エタノール、プロパノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、カルボン酸(例えば、酢酸プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸など)とアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジル、またはテトラグリシジルメテキシリレンジアミンとの反応生成物、アミド誘導体(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなど)、エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との反応物などを挙げることができる。また、多官能感光性モノマーにおいて、不飽和基は、アクリル、メタクリル、ビニル、アリル基が混合して存在してもよい。
本発明では、これら感光性モノマーを1種または2種以上使用することができる。感光性モノマーは、全感光性有機成分に対し、好ましくは2〜40重量%の範囲で添加され、より好ましくは、5〜30重量%である。感光性モノマーの量が少なすぎると光硬化不足になりやすく、露光部の感度が低下したり、現像耐性が低下したりする。感光性モノマーの量が多すぎる場合には未露光部の水に対する溶解性が低下したり、架橋密度が高すぎるために焼成時に脱バインダー不良を引き起こすおそれがある。
本発明に用いる光重合開始剤は、ラジカル種を発生するものから選んで用いられる。光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロペンアミニウムクロリド一水塩、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、メチルフェニルグリオキシエステル、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)、ジフェニルスルフィド誘導体、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ベンジルメトキシエチルアセタール、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、N−フェニルグリシン、テトラブチルアンモニウム(+1)n−ブチルトリフェニルボレート(1−)、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイルおよびエオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられる。
本発明では、これら光重合開始剤を1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性有機成分に対し、0.05〜10重量%の範囲で含有することが好ましく、より好ましくは、0.1〜10重量%である。
光重合開始剤と共に増感剤を含有することにより、感度を向上させたり、反応に有効な波長範囲を拡大することができる。
増感剤の具体例としては、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニルビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾール等が挙げられる。
本発明ではこれら増感剤を1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤を本発明の感光性ペーストに添加する場合、その添加量は感光性有機成分に対して通常0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなるおそれがある。
本発明に用いられる電子放出素子用ペーストには、紫外線吸収剤および/または重合禁止剤を含有してもよい。この電子放出素子用ペーストを用いて電子放出素子パターンの加工を行うことで、現像後にゲート電極上やエミッタホール周辺、さらにはエミッタホール内などに残るカーボンナノチューブを含む残渣を大幅に減少させることができる。ここでいう残渣とは、現像時に取り除くことができなかった電子放出素子パターン以外の部分に残る電子放出素子用ペーストを示す。
電子放出素子用ペーストに用いる紫外線吸収剤としては、波長領域300〜550nmの範囲に紫外線吸収がある有機系染料が好ましく、紫外線吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)が波長300〜550nmの範囲にある有機系染料がさらに好ましい。これらの波長領域に紫外線吸収を持つ有機系染料を用いることで、紫外線照射時の電子放出素子用ペースト内部での光散乱を抑制することが可能となる。これにより、非紫外線照射部の光硬化が抑制されるため、電子放出素子パターン以外の部分でのカーボンナノチューブを含む残渣を大幅に減少させることができる。
紫外線吸収剤の具体的な例としては、アゾ系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、クマリン系、キサテン系、キノリン系、アントラキノン系、ベンゾエート系、ベンゾイン系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系、トリアジン系、アミノ安息香酸系、キノン系などが挙げられ、1種または複数を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、紫外線吸収剤は窒素を含有する化合物であることが好ましく、電子放出素子用ペーストの焼成時に消失することから、紫外線吸収剤は有機窒素化合物であることがより好ましい。さらに有機窒素化合物には、窒素原子が有する非共有電子対が存在しており、非共有電子対があることによって有機窒素化合物はカーボンナノチューブの表面に容易に付着する。カーボンナノチューブ表面に有機窒素化合物が存在するとカーボンナノチューブ同士の凝集を抑制することができ、有機窒素化合物を用いると電子放出素子用ペースト中におけるカーボンナノチューブの安定した分散状態が得られるという効果もある。
また、芳香環構造を有する有機窒素化合物は芳香環のπ電子を有しているため、カーボンナノチューブへの付着性および感光性有機成分との親和性が良く、感光性有機成分中でのカーボンナノチューブの安定した分散状態が得られることから、好ましく用いられる。さらにアゾ結合を有する有機窒素化合物は、紫外線の吸収波長吸収領域が広く、熱分解性が良いことから特に好ましく用いられる。芳香環構造およびアゾ結合を有する化合物の具体的な例としては、スダンI、スダンブラックB、スダンレッド7B、スダンII、スダンIV(いずれも商品名、東京化成工業(株)製)、アゾベンゼン、アミノアゾベンゼン、ジメチルアミノアゾベンゼン、ヒドロキシアゾベンゼンなどが挙げられ、1種または複数を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いる紫外線吸収剤は、その分子量が500以下であることが好ましい。分子量が500以下であれば、電子放出素子用ペーストの焼成時に分解するため、電子放出素子中に残存することがなく、ディスプレイパネル内やバックライトパネル内の真空度を低下させることを防止することができる。
電子放出素子用ペースト中の感光性有機成分に対する紫外線吸収剤の含有量は0.001〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5重量%である。
電子放出素子用ペーストは、さらに重合禁止剤を含有してもよい。その具体的な例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられ、1種または複数を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いる重合禁止剤の分子量は500以下であることが好ましい。分子量が500以下であれば、電子放出素子用ペーストの焼成時に分解するため、電子放出素子中に残存することがなく、ディスプレイパネル内やバックライトパネル内の真空度を低下させることを防止することができる。
電子放出素子用ペースト中の感光性有機成分に対する重合禁止剤の含有量は0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜5重量%である。
電子放出素子用ペーストは、紫外線吸収剤と重合禁止剤を組み合わせることで、紫外線吸収剤が吸収できずに散乱した紫外線によって発生するラジカルを、重合禁止剤が捕捉することで非紫外線照射部の光硬化が抑制されるため、電子放出素子パターン以外の部分でのカーボンナノチューブを含む残渣を大幅に減少させることができるため好ましい。
紫外線吸収剤と重合禁止剤を組み合わせて用いる場合、電子放出素子用ペースト中の感光性有機成分に対する紫外線吸収剤の含有量は0.05〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2重量%であり、重合禁止剤の含有量は0.1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。感光性有機成分に対する紫外線吸収剤と重合禁止剤の全含有量は0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%であって、紫外線吸収剤と重合禁止剤の重量比率は1:10〜10:1の範囲であると、相乗効果が得られるため好ましい。
このような紫外線吸収剤と重合禁止剤の好ましい組み合わせとしては、電子放出素子用ペースト中でのカーボンナノチューブの分散性、熱分解性の良さという観点から、アゾ系染料とヒドロキノンまたはヒドロキノンのモノエステル化合物、アゾ系染料とフェノチアジンの組み合わせなどが挙げられる。紫外線吸収剤と重合禁止剤の好ましい組み合わせの具体的な例としては、“スダンIV”(商品名、東京化成工業(株)製)とヒドロキノンモノメチルエーテル、“スダンIV”とフェノチアジン、アミノアゾベンゼンとヒドロキノンモノメチルエーテル、アミノアゾベンゼンとフェノチアジンなどがある。
本発明に用いられる電子放出素子用ペーストは、各種成分を所定の組成になるよう調合した後、3本ローラー、ボールミル、ビーズミル等の混練機で均質に混合分散することによって作製することができる。ペースト粘度は、ガラス粒子、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤等の添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は2〜200Pa・sである。例えば、基板への塗布をスリットダイコーター法やスクリーン印刷法以外にスピンコート法やスプレー法、インクジェット法で行う場合は、0.001〜5Pa・sが好ましい。
次に、電子放出素子用ペーストをカソード電極上に塗布し、焼成し、必要により起毛処理して電子放出素子を作製する方法について説明する。
電子放出素子用ペーストの塗布膜厚は、塗布方法およびペースト組成を調整することにより調節することができる。
はじめにスクリーン印刷により塗布する場合について説明する。この場合、ペースト粘度は2〜200Pa・s程度が好ましい。スクリーンメッシュサイズで膜厚を制御する方法では、メッシュ作製に用いるワイヤの径を変えることで印刷膜厚を調節することができる。ワイヤ径を小さくすれば印刷膜厚は小さくなり、ワイヤ径を大きくすれば印刷膜厚は大きくなる。また、オープニング率を変えることでも膜厚を調節できる。オープニング率を小さくすればペーストが通過しにくくなるため膜厚は小さくなり、オープニング率を大きくすればペーストが通過しやすくなるため膜厚は大きくなる。
また、印刷回数を調整することで膜厚を調節することができる。ペーストを塗布した後乾燥工程を経て溶媒を除去し、さらにペーストを重ね塗りすることで膜厚を大きくすることができる。
また、ペースト組成を調整することによりさらに膜厚を調節できる。具体的には、ペーストの固形分濃度を調整することで膜厚を調節できる。固形分濃度は1体積%〜20体積%が好ましい。
次に、カソード電極上に形成した電子放出素子用ペーストを焼成する。焼成温度は、カーボンナノチューブの熱分解温度が500℃〜600℃であることから500℃以下が好ましく、さらにカーボンナノチューブの熱分解を抑制するためには450℃以下がより好ましい。
電子放出素子表面のカーボンナノチューブをアノード電極に向けて配向させるため、起毛処理などの表面処理を行うことができる。表面処理方法としては、テープ剥離処理、サンドブラスト処理、レーザー照射処理などを用いることができる。
なお、焼成や表面処理によって電子放出素子の膜厚が変化するため、各方法にあわせてペーストの塗布膜厚を調節することが好ましい。例えば、焼成により膜厚は通常30〜70%減少し、テープ剥離処理では0.5μm程度、サンドブラスト処理では0.3μm程度膜厚が減少する。一方、レーザー照射処理では通常膜厚は変化しない。したがって、ペーストを塗布する際、乾燥後の膜厚を、テープ剥離処理を行う場合は0.85〜8.3μm、サンドブラスト処理を行う場合は0.57〜7.7μm、レーザー照射処理を行う場合や表面処理を行わない場合は0.14〜6.7μmとすることが好ましい。
以下に、感光性電子放出素子用ペーストを用いたトライオード型とダイオード型のフィールドエミッション用電子放出素子の作製方法について説明する。なお、電子放出素子の作製方法は、その他の公知の方法を用いてもよく、後述する作製方法に限定されない。
はじめにトライオード型電子放出素子用背面基板の作製方法を説明する。ソーダガラスやPDP(プラズマディスプレイパネル)用の耐熱ガラスである旭硝子(株)製のPD200等のガラス基板上にITO等の導電性膜を成膜しカソード電極を形成する。次いで、絶縁材料を印刷法により5〜15μm積層し絶縁層を作製する。次に、絶縁層上に真空蒸着法によりゲート電極層を形成する。ゲート電極層上にレジスト塗布し、露光、現像によりゲート電極および絶縁層をエッチングすることによって、エミッタホールパターンを作製する。この後、電子放出素子用ペーストをスクリーン印刷またはスリットダイコーター等により塗布する。上面露光または背面露光の後に現像し、エミッタホール内に電子放出素子パターンを形成し、大気中または窒素雰囲気中で400〜500℃で焼成する。最後にレーザー照射法やテープはく離法によりカーボンナノチューブ膜の起毛処理を行う。次に、前面基板を作製する。ソーダライムガラスやPDP用の耐熱ガラスである旭硝子(株)製のPD200等のガラス基板上にITOを成膜しアノード電極を形成する。アノード電極上に赤緑青の蛍光体を印刷法により積層する。背面基板と前面基板をスペーサーガラスをはさんで貼り合わせ、容器に接続した排気管により真空排気することによりトライオード型電子放出素子を作製する。電子放出状態を確認するために、アノード電極に1〜5kVの電圧を供給することで、カーボンナノチューブから電子が放出され蛍光体発光を得ることができる。
ダイオード型電子放出素子用背面板を作製する場合は、カソード電極上に電子放出素子用ペーストをスクリーン印刷またはスリットダイコーター等により所定のパターンで印刷後、大気中または窒素雰囲気中で400〜500℃の温度で加熱し、カーボンナノチューブ膜を得て、カーボンナノチューブ膜をテープはく離法やレーザー処理法により起毛処理を行う。新たにITOをスパッタしたガラス基板上に蛍光体を印刷し、アノード基板を作製し、これら2枚のガラス基板をスペーサーを挟んで貼り合わせ、容器に接続した排気管で真空排気することによりダイオード型電子放出素子を作製する。電子放出状態を確認するために、アノード電極に1〜5kVの電圧を供給することで、カーボンナノチューブから電子が放出され蛍光体発光を得ることができる。
以下に、本発明を実施例に具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。実施例に用いたカーボンナノチューブ、ガラス粒子、導電性粒子および有機成分は次の通りである。
カーボンナノチューブ1(CNT1):2層CNT(シンセンナノテクポート社製DWCNT 純度90%)
ガラス粒子1:ビスマス系ガラス1(酸化ビスマス:84重量%、酸化ホウ素:7重量%、酸化ケイ素:1重量%、酸化亜鉛:8重量%)軟化点380℃、平均粒径1.3μm
ガラス粒子2:ビスマス系ガラス1の細粒品 平均粒径0.9μm
ガラス粒子3:ビスマス系ガラス1の細粒品 平均粒径0.3μm
ガラス粒子4:ビスマス系ガラス2 平均粒径0.08μm
ガラス粒子5:アルカリ系ガラス(酸化ホウ素:35重量%、酸化アルミニウム:22.7重量%、酸化ケイ素:12.9重量%、酸化リチウム:12.4重量%、酸化マグネシウム:6.4重量%、酸化バリウム:4.2重量%、酸化カルシウム:4.1重量%、酸化亜鉛:2.3重量%)、軟化点458℃ 平均粒径0.6μm
導電性粒子1:白色導電性粉末(球状の酸化チタンを核として、SnO /Sb導電層を被覆したもの)、石原産業(株)製、ET−500W、比表面積6.9m/g、密度4.6g/cm、平均粒径0.19μm
導電性粒子2:銀粉末、三井金属鉱業(株)製、FHD、比表面積2.54m/g、密度10.5g/cm、平均粒径0.22μm
導電性粒子3:銀粉末、三井金属鉱業(株)製、SPQ05S、比表面積1.08m/g、密度10.5g/cm、平均粒径0.53μm
導電性粒子4:白色導電性粉末(球状の酸化チタンを核として、SnO /Sb導電層を被覆したもの)、石原産業(株)製、ET−300W、比表面積28m/g、密度5g/cm、平均粒径0.04μm
溶媒:一級ターピネオール(異性体混合物、東京化成工業(株)製)
バインダー樹脂溶液A:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン=40/40/30重量部からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応させたもの(重量平均分子量43000、酸価100mgKOH/g)をテルピネオールに40重量%溶解させたもの
バインダー樹脂溶液B:エチルセルロースをテルピネオールに40重量%溶解させたもの
感光性モノマー:テトラプロピレングリコールジメタクリレート
光重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1)
添加剤:“スダンIV”(東京化成工業(株)製)
重合禁止剤:ハイドロキノンモノメチルエーテル。
導電性粒子およびガラス粉末の平均粒径測定
用いた導電性粒子およびガラス粉末の平均粒径(μm)は、吸着ガスにNを、キャリアガスにN/He=30/70を用いる流動法BET一点法比表面積測定装置(ユアサアイオニクス(株)製、MONOSORB)により得られた比表面積(m/g)から、密度(g/cm)を用いて次式により算出した。
平均粒径=6/(密度×比表面積) 。
ガラス粉末の軟化点(℃)の測定
用いたガラス粉末の軟化点を熱機械分析装置(セイコーインスツル(株)製、EXTER6000 TMA/SS)を用いて測定した。ガラス粒子を800℃で溶融し、直径5mm、高さ2cmのロッド状に加工して測定サンプルとした。測定サンプルのガラスロッド及び標準試料の石英ガラスロッドにそれぞれ10g重の加重をかけて室温から10℃/分で昇温して得られたTMA曲線の最大長さとなった時の温度を軟化点とした。
エミッション開始電界強度の測定
真空度を5×10−4Paにした真空チャンバー内に、ITO基板上に1cm×1cm角の電子放出素子が形成された背面基板と、ITO基板上に膜厚5μmの蛍光体層(P22)を形成した前面基板を、100μmのギャップフィルムを挟んで対向させ、電圧印可装置(菊水電子工業(株)製耐電圧/絶縁抵抗試験器TOS9201)によって0.25V/秒で電圧印加した。得られた電流電圧曲線(最大電流値10mA/cm)からエミッションが開始する電圧を求め、ギャップである100μmで除したエミッション開始電圧をエミッション開始電界強度とした。この測定を2回繰り返した。エミッションが開始する電界強度が小さいほど良好であるといえる。また、2回目の測定で得られたエミッション開始電界強度が、1回目の測定で得られたエミッション開始電界強度の差が小さいほどカーボンナノチューブの劣化が少ないといえる。
電子放出素子の膜厚の測定
走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S4800)を用い、電子放出素子の断面(ガラス粒子および導電性粒子を含む部分であり、起毛したカーボンナノチューブ部分は測定対象としない)を10,000〜50,000倍で観察し、電子放出素子表面からカソード電極表面までの距離を20点測定した。観察場所を変えて5箇所で同様の測定を行い、計100点の平均の値を膜厚とした。値は四捨五入して有効数字2桁または小数第2位まで求めた。
電子放出素子の密着性の評価
起毛処理後のダイオード型電子放出素子用背面基板にテープ(Scotch(R)315、3M製 接着力3.92N/cm)を貼り付け、180°方向に1mm/secの速度で剥離したのちエミッタ部を観察し、以下の計算式よりはがれ率を算出した。実施例1〜15、比較例1〜5におけるはがれとは、エミッタホール面積(=起毛処理前にエミッタが存在していた面積)に対して50%以上下地であるITOが露出した状態のことを表し、実施例16〜31、比較例6〜10においては下地であるITOが露出した状態のことを表す。はがれ率がゼロであることが最良であるが、20%以下で合格とした。
実施例1〜15、比較例1〜5における計算式
はがれ発生率(%)=(はがれが発生したエミッタホール数)/(エミッタホール総数)×100
実施例16〜31、比較例6〜10における計算式
はがれ発生率(%)=(はがれが発生した面積)/(電子放出素子面積)×100
電子放出素子の表面粗さの測定
起毛処理後の電子放出素子の表面粗さ(Rz:十点平均粗さ)を表面粗さ計(ACCRETECH製 SURFCOM1400)を用いて測定した。粗さ測定規格(JISB0601−1982)に従い、電子放出素子表面に探針を接触させて測定した。表面粗さの値が小さいほど平坦であり、0.10μm以下で合格とした。
接触抵抗の測定
走査型拡がり顕微鏡を用いて測定した。Co−Crコートシリコンカンチレバーをエミッタ表面に接触させ、カソード電極にDCバイアスを印加することによって2μm×2μmの面内の抵抗値を測定し、その平均値を接触抵抗とした。測定には市販の走査型拡がり抵抗顕微鏡(Veeco社DigitalInstruments製NanoScopeIIIaAFM Dimension3100ステージシステムを用いた。
実施例1〜15
電子放出素子用ペーストを以下の要領で作製した。容積500mlのジルコニア製容器にカーボンナノチューブ0.5gと、導電性粒子と、ガラス粒子を表1〜2に記載のとおり秤量した。一方、バインダー樹脂溶液A98.88重量%、感光性モノマー0.25重量%、光重合開始剤0.50重量%、添加剤0.12重量%、重合禁止剤0.25重量%を含む感光性有機成分を作製した。このバインダー樹脂溶液を、先に秤量したカーボンナノチューブ、ガラス粒子、導電性粒子に表1〜2に記載の量加えた。ここに0.3μmφのジルコニアビーズ(東レ(株)製トレセラム(商品名))を加え、遊星式ボールミル(フリッチュ・ジャパン(株)製遊星型ボールミルP−5)にて100rpmで予備分散した。次に、ジルコニアビーズを取り除いた混合物を3本ローラーにて混練し、電子放出素子用ペーストとした。
次に、20μmφのエミッタホールが40μmの間隔で縦横10個ずつ並んだ合計100個のエミッタホールを有するダイオード型電子放出素子用背面基板上に、電子放出源用ペーストをスクリーン印刷により10mm角の膜を印刷した後、85℃で15分間乾燥した。乾燥後の電子放出源用ペーストに対して、ネガ型クロムマスク(20μmφ、40μm間隔)を用いて上面から50mW/cm出力の超高圧水銀灯で1J/cmの紫外線を照射した。その後、炭酸ナトリウム1重量%水溶液をシャワーで150秒間かけることにより現像し、シャワースプレーを用いて水洗浄して光硬化していない部分を除去した。窒素中450℃の温度で加熱し、剥離接着強さ0.1N/20mmのテープにより起毛処理し、電子放出素子を得た。はがれ発生率、表面粗さ、接触抵抗、エミッション開始電界強度の評価結果を表1〜2に示す。
比較例1
導電性粒子とガラス粒子を加えないこと以外は実施例5と同様にして電子放出素子用ペーストを作製し、電子放出素子を得た。はがれ発生率の評価結果を表3に示す。起毛処理を行ったところ、電子放出素子が全てはがれてしまい、表面粗さ、接触抵抗、エミッション開始電界強度の測定を行うことができなかった。
比較例2
ガラス粒子を加えないこと以外は実施例5と同様にして電子放出素子用ペーストを作製し、膜厚0.43μmの電子放出素子を得た。はがれ発生率、表面粗さ、接触抵抗、エミッション開始電界強度の評価結果を表3に示す。
比較例3
導電性粒子を加えないこと以外は実施例5と同様にして電子放出素子用ペーストを作製し、膜厚2.5μmの電子放出素子を得た。はがれ発生率、表面粗さ、接触抵抗、エミッション開始電界強度の評価結果を表3に示す。
比較例4
ガラス粒子3にかえてガラス粒子4を用い、感光性有機成分量を105gとしたこと以外は実施例5と同様にして電子放出素子用ペーストを作製し、膜厚0.09μmの電子放出素子を作製した。はがれ発生率、表面粗さ、接触抵抗、エミッション開始電界強度の結果を表3に示す。
比較例5
感光性有機成分量を17gとすること以外は実施例5と同様にして電子放出素子用ペーストを作製し、膜厚3.2μmの電子放出素子を作製した。はがれ発生率、表面粗さ、接触抵抗、エミッション開始電界強度の評価結果を表3に示す。
実施例16〜31
容積500mlのジルコニア製容器にカーボンナノチューブ0.5gと、導電性粒子と、ガラス粒子を表4〜5に記載のとおり秤量した。バインダー樹脂溶液Bを、先に秤量したカーボンナノチューブ、ガラス粒子、導電性粒子に表4〜5に記載の量加えた。ここに0.3μmφのジルコニアビーズ(東レ(株)製トレセラム(商品名))を加え、遊星式ボールミル(フリッチュ・ジャパン(株)製遊星型ボールミルP−5)にて100rpmで予備分散した。次に、ジルコニアビーズを取り除いた混合物を3本ローラーにて混練し、電子放出素子用ペーストとした。
次に、ITOをスパッタリングしたダイオード型電子放出素子用背面基板上に、電子放出素子源用ペーストをスクリーン印刷により10mm角の膜を印刷した後、85℃で15分間乾燥した。窒素中450℃の温度で加熱し、剥離接着強さ0.1N/20mmのテープにより起毛処理し、電子放出素子を得た。はがれ発生率、表面粗さ、接触抵抗、エミッション開始電界強度の評価結果を表4〜5に示す。
比較例6
導電性粒子とガラス粒子を加えないこと以外は実施例21と同様にして電子放出素子用ペーストを作製した。次に、ITOをスパッタリングしたダイオード型電子放出素子用背面基板上に、電子放出素子源用ペーストをスクリーン印刷により10mm角の膜を印刷した後、85℃で15分間乾燥した。窒素中450℃の温度で加熱し、剥離接着強さ0.1N/20mmのテープにより起毛処理を行ったが、電子放出素子が全てはがれてしまい、表面粗さ、接触抵抗、エミッション開始電界強度の測定を行うことができなかった。
比較例7
ガラス粒子を加えないこと以外は実施例21と同様にして電子放出素子用ペーストを作製し、膜厚0.43μmの電子放出素子を得た。はがれ発生率、表面粗さ、接触抵抗、エミッション開始電界強度の評価結果を表6に示す。
比較例8
導電性粒子を加えないこと以外は実施例21と同様にして電子放出素子用ペーストを作製し、膜厚2.5μmの電子放出素子を得た。はがれ発生率、表面粗さ、接触抵抗、エミッション開始電界強度の評価結果を表6に示す。
比較例9
ガラス粒子3にかえてガラス粒子4を用い、バインダー樹脂溶液Bの量を105gとすること以外は実施例21と同様にして電子放出素子用ペーストを作製し、膜厚0.09μmの電子放出素子を作製した。はがれ発生率、表面粗さ、接触抵抗、エミッション開始電界強度の結果を表6に示す。
比較例10
バインダー樹脂溶液Bの量を17gとすること以外は実施例21と同様にして電子放出素子用ペーストを作製し、膜厚3.2μmの電子放出素子を作製した。はがれ発生率、表面粗さ、接触抵抗、エミッション開始電界強度の評価結果を表6に示す。
電子素子の膜厚測定方法の例を示す概略図
符号の説明
1:電子放出素子の表面を示す破線
2:カソード電極面を示す実線

Claims (6)

  1. (a)カーボンナノチューブ、(b)ガラス粒子および(c)導電性粒子を含む電子放出素子用ペーストを焼成して得られる、膜厚が0.10〜2.0μmである電子放出素子。
  2. 前記(c)導電性粒子の平均粒径が、膜厚の0.1〜0.7倍の範囲にある請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 前記(b)ガラス粒子の平均粒径が、0.05〜1.0μmである請求項1または2に記載の電子放出素子。
  4. 前記(b)ガラス粒子が、ビスマス系ガラス粒子および/またはアルカリ系ガラス粒子を含む請求項1〜3いずれかに記載の電子放出素子。
  5. 前記(c)導電性粒子の含有量が、前記(b)ガラス粒子1重量部に対して0.002〜5重量部である請求項1〜4いずれかに記載の電子放出素子。
  6. 前記(b)ガラス粒子の含有量が、前記(a)カーボンナノチューブ1重量部に対して1〜100重量部である請求項1〜5いずれかに記載の電子放出素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017502275A (ja) * 2013-12-13 2017-01-19 ボルボトラックコーポレーション 構成部品の作動を監視する方法

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