JP2008173645A - 金属板の圧延における下反り防止装置および下反り防止方法 - Google Patents

金属板の圧延における下反り防止装置および下反り防止方法 Download PDF

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由紀雄 高嶋
Nobuyuki Shigaki
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Abstract

【課題】金属板の圧延において、金属板先端の下反りを効果的に防止することができる下反り防止装置および下反り防止方法を提供する。
【解決手段】ストリッパーガイド10の側面上部に、ガイド部材40が内蔵されており、必要に応じて、ガイド部材40をフィードローラ30に向かって突き出すことができるようになっている。また、金属板の下反りによりガイド部材に加わる荷重の予測値がガイド部材の強度以下の場合に、ガイド部材を突き出すようになっている。
【選択図】図1

Description

本発明は金属板の圧延、特に可逆式圧延機を用いた圧延において、下反りを効果的に防止することが可能な装置と方法に関する。
一般に、厚鋼板等の金属板の圧延においては、可逆圧延機を用いたリバース圧延により所定の製品厚さまで圧延している。このとき、金属板の噛み込み直後に先端に反りが発生し、操業ならびに平坦度を始めとする製品の品質に悪影響を及ぼしている。このような先端反りの原因としては、金属板の上面及び下面の温度差、上下圧延ロールの周速差や表面性状の差、下ロールピックアップ量、電動機インパクトドロップによる上下作業ロールの速度差、板厚や圧下率等があり、反りは様々な要因が複雑に絡み合って発生するため、その発生量を一定の許容値以下に抑制することは、極めて困難である。
このような反りの発生を防止するための技術としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。この技術は、圧延機入出側のフィードローラを昇降可能として圧延時のピックアップ量を制御することにより、反りを抑制するものである。
特開平7−164014号公報
特許文献1に開示されている技術では、フィードローラの高さを変化させることによって反りの制御を行うが、前述したように反りは種々の圧延条件が複雑に絡み合って発生しており、それらを全て考慮した上で操作量を決定することは非常に困難であると言わざるを得ない。したがって、従来技術では、反りの抑制効果が不十分であった。
図7に示すように、圧延機出側で被圧延材(金属板)1の先端が下側に反った場合、出側フィードローラ30へ被圧延材先端が衝突して持ち上げられる事により被圧延材が途中で折れ曲がる現象が発生する。図8に示すように、このような急峻な曲り部分50が形成された金属板1は、以降の矯正工程において矯正不良となる可能性が高い。特に板厚40mmを超える程度の厚物材はコールドレベラで矯正する事が難しいため、ほぼ全量プレス矯正に回ることになり、プレス矯正能力による生産量の制約や、製造コストの増加という問題を引き起こしていた。
被圧延材の急峻な曲り部分の形成を防止する方法としては、ストリッパーガイド10の高さを上昇させて、被圧延材先端の下反りを抑制することが考えられるが、ストリッパーガイド10と出側フィードローラ30の間に隙間が残り、この隙間では下反りを抑えることができないため、効果には限界がある。ストリッパーガイド10と出側フィードローラ30の間隔は狭く、支持部材を設置することが困難であるため、この隙間を埋めるようなガイドを設置することも難しい。また、可逆式圧延機で往復圧延する場合には、圧延初期の被圧延材板厚が厚いときに下反りが発生すると、隙間ガイドに大きな負荷がかかり、ガイドが破損する危険性がある。
一方、往復圧延では全パスでフィードローラ30とストリッパーガイド10の間の隙間を埋める必要はなく、少なくとも最終圧延パスにおいて下反りを防止できればよいと考えられる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、金属板の圧延において、金属板先端の下反りを効果的に防止することができる下反り防止装置および下反り防止方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
[1]金属板を圧延する圧延機の下圧延ロールに近接して設置した入出側ストリッパーガイドのフィードローラ側の側面上部に、フィードローラ上面に向かって突き出す伸縮可能な棒状または板状のガイド部材を内蔵し、必要に応じて該ガイド部材を突き出して金属板の下反りを防止するようになっていることを特徴とする金属板の圧延における下反り防止装置。
[2]金属板の下反りによりガイド部材に加わる荷重の予測値がガイド部材の強度以下の場合に、ガイド部材を突き出すようになっていることを特徴とする前記[1]に記載の金属板の圧延における下反り防止装置。
[3]金属板を圧延する圧延機の下圧延ロールに近接して設置された入出側ストリッパーガイドに伸縮可能なガイド部材を内蔵させ、必要に応じて該ガイド部材をフィードローラ側に突き出して金属板の下反りを防止することを特徴とする金属板の圧延における下反り防止方法。
[4]金属板の下反りによりガイド部材に加わる荷重の予測値がガイド部材の強度以下の場合に、ガイド部材を突き出すことを特徴とする前記[3]に記載の金属板の圧延における下反り防止方法。
本発明は、ストリッパーガイドのフィードローラ側の側面上部に、フィードローラに向かって突き出すガイド部材を内蔵させ、下反りを防止したい圧延パスにおいて、ガイド部材を伸ばして、下反りしようとする被圧延材(金属板)を支持しつつフィードローラ上面方向に誘導するので、被圧延材の先端がフィードローラに衝突することを防止する、あるいは、フィードローラ上部への軽微な衝突に留めることができる。その結果、被圧延材に急峻な曲りが発生することを防止することができるため、平坦度に優れた金属板を圧延することができる。
また、内蔵させたガイド部材を伸縮する構造のため、圧延される金属板の板厚が厚く、下反りによってガイド部材に加わる荷重がガイド部材の耐荷重よりも大きい場合には、ガイド部材を収納して被圧延材に接触しないようにすることができ、過度の負荷によるガイドの破損を防ぐことができる。
さらに、ストリッパーガイドにガイド部材を収納した状態では、ガイド部材がストリッパーガイドの表面よりも突出しないようにしているため、圧延機のワークロールを交換するためストリッパーガイドごとハウジング横方向に引き出す際に邪魔にならず、従来どおりのロール交換作業が可能となる。
図1〜図4に本発明の一実施形態に係る下反り防止装置の概要を示す。
図1に側面図を示すように、下圧延ロール20に近接してストリッパーガイド10があり、その先にフィードローラ30が設置されている。ストリッパーガイド10の側面上部には、ガイド部材40が内蔵されている。ガイド部材40は必要に応じてフィードローラ30に向かって突き出すことができるようになっている。図2は、ガイド部材40が突き出した状態を示す側面図である。
ガイド部材40の形状は棒状または板状とするのが最も簡単であるが、剛性を高めるためにI形などの複雑断面形状としてもよい。また、ガイド部材の突出に必要な動力源としては、油圧や電動機が使用できるが、ガイド部材を動作させることが可能ならば、どのような手段を用いても良い。ガイド部材は図1および図2では継ぎ目のない一体のものを用いているが、突き出し量を大きくするために多段式に伸縮する構造としてもよい。
図3、図4は、この実施形態に係る下反り防止装置におけるストリッパーガイド10の立体図である。ここでは、ガイド部材40として棒状のガイド部材40aを用いており、図3は、棒状ガイド部材40aがストリッパーガイド10内に格納された状態を示しており、図4は、棒状ガイド部材40aがストリッパーガイド10から突き出した状態を示している。なお、ここでは、棒状ガイド部材40aを幅方向に5本設けているが、棒状ガイド部材40aの本数は必要に応じて増減することができ、偶数であってもよい。また、棒状ガイド部材40aの間隔は任意に適切な寸法とすればよく、等間隔に配置する必要はない。
そして、この実施形態においては、ガイド部材40をストリッパーガイド10内に格納することができるので、被圧延材(金属板)1が厚く下反りしたときにガイド部材40へ働く荷重が大きいと予測される場合には、ガイド部材40をストリッパーガイド10内に引き込み、突き出ない状態で圧延する。往復圧延が進んで被圧延材が薄くなり、下反りによってガイド部材40に作用する荷重がガイド部材40の強度以下になると予測される圧延パスにおいて、ガイド部材40を突き出させて下反りを防止する。製品の平坦度を向上させる観点からは、少なくとも最終の圧延パスにおいて下反りを防止できれば良く、ガイド部材40の強度を過度に大きくする必要はない。
このようにして、この実施形態では、ガイド部材40を格納式にしたことにより、その強度を小さくすることができ、ストリッパーガイド10のような狭いスペース内に組込むことが容易になった。さらに、ガイド部材40を格納した状態では、ストリッパーガイド10から突き出た部分がないため、圧延機のワークロールを交換する際に邪魔になることがなく、従来どおりのロール交換作業が行える。
なお、図1〜4ではガイド部材40の先端が長手方向に直角な平面となっているが、被圧延材1の誘導をより効果的に行うため、先端形状をフィードローラ30に沿う傾斜した平面または曲面とすれば、一層の平坦度向上効果が得られる。
また、ガイド部材40を内蔵したストリッパーガイド10が下圧延ロール20の片側のみに設置されているが、可逆式圧延機で往復圧延する場合には下圧延ロール20の両側に設置することが好ましい。
本発明の効果を確認するため、前述の実施形態に基づいて、純鉛板を用いて実際の厚鋼板圧延機の約1/10スケールのモデル圧延実験を実施した。圧延機にはφ120mmのロールを組込み、被圧延材となる純鉛板の寸法は板厚5mm×板幅100mmとした。実験において同程度の圧延下反りが再現良く発生するように、圧延機下ワークロール20の表面粗さ調整を行った。圧延機下ワークロール20出側直近には約1/10スケールのストリッパーガイド10を配置した。ストリッパーガイド10には板幅中央と板幅両端から内側に15mmの位置の3箇所に、伸縮可能な円柱状(棒状)のガイド部材40を配置した。また圧延機出側で下ワークロール20から水平距離115mm離れた位置にフィードローラ30を設置した。
以上の実験装置を用い、圧延実験を行った。本発明例として、図2のようにストリッパーガイドからガイド部材を伸ばした状態で純鉛板を圧延し、反り形状を測定した。続いて従来技術による比較例として、図1のようにストリッパーガイドにガイド部材を内蔵した状態、すなわち従来のガイド部材のない状態で圧延を行い、同様に反り形状を測定した。
その結果を図5に示す。曲り部分のカーブを比較すると、本発明例は比較例よりも緩やかな曲りとなっていることがわかる。図6は曲り部分50の曲率を測定し、比較したグラフである。本発明例で圧延した場合の曲率は、比較例の約1/9となっており、曲りを大幅に平坦化することができた。
このように曲り部分50の曲率が小さくなったことにより、被圧延材の平坦度が大幅に向上した。さらに、実際の圧延を想定すると、圧延後の被圧延材(厚鋼板)1はホットレベラ等によりオンライン矯正される。曲り部分50の曲率が小さい場合にはレベラ矯正により曲り部分50を平坦化しやすいため、プレス矯正を必要とするような形状不良のない厚鋼板を製造することが容易になると考えられる。
以上のように、本発明の下反り防止装置および下反り防止方法を用いれば、従来技術に比べて、金属板(例えば、厚鋼板)の先端に発生する形状不良を大幅に低減することが可能となる。これによって、金属板を冷間で矯正する必要がなくなり、工程を省略できる場合が増え、または矯正が必要な場合であっても形状不良の程度が軽いことから簡単に矯正することができるため、製造コストの低減や製造期間の短縮による納期遅延の減少など、金属板を製造するに当たって有益な多くの効果が得られる。
本発明の一実施形態においてガイド部材を格納した状態を示す側面図。 本発明の一実施形態においてガイド部材を突き出した状態を示す側面図。 本発明の一実施形態においてガイド部材を格納した状態を示す立体図。 本発明の一実施形態においてガイド部材を突き出した状態を示す立体図。 本発明の実施例において圧延後の被圧延材の反り形状を比較した図。 本発明の実施例において曲り部分の曲率を比較した図。 従来の圧延設備において急峻な曲り部分が形成される原因を示す説明図。 下反りが発生した場合の圧延後の被圧延材形状を示す図。
符号の説明
1 被圧延材(金属板)
10 ストリッパーガイド
20 下圧延ロール
30 フィードローラ
40 ガイド部材
40a 棒状ガイド部材
50 曲り部分

Claims (4)

  1. 金属板を圧延する圧延機の下圧延ロールに近接して設置した入出側ストリッパーガイドのフィードローラ側の側面上部に、フィードローラ上面に向かって突き出す伸縮可能な棒状または板状のガイド部材を内蔵し、必要に応じて該ガイド部材を突き出して金属板の下反りを防止するようになっていることを特徴とする金属板の圧延における下反り防止装置。
  2. 金属板の下反りによりガイド部材に加わる荷重の予測値がガイド部材の強度以下の場合に、ガイド部材を突き出すようになっていることを特徴とする請求項1に記載の金属板の圧延における下反り防止装置。
  3. 金属板を圧延する圧延機の下圧延ロールに近接して設置された入出側ストリッパーガイドに伸縮可能なガイド部材を内蔵させ、必要に応じて該ガイド部材をフィードローラ側に突き出して金属板の下反りを防止することを特徴とする金属板の圧延における下反り防止方法。
  4. 金属板の下反りによりガイド部材に加わる荷重の予測値がガイド部材の強度以下の場合に、ガイド部材を突き出すことを特徴とする請求項3に記載の金属板の圧延における下反り防止方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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