JP2008173564A - 高分子乳化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】水中油型乳化組成物用乳化剤、及びそれを用いた水中油型乳化組成物の提供。
【解決手段】一般式(1)で表される構成単位、中和可能な官能基を有する親水性構成単位、及び非イオン性親水性構成単位を含む高分子乳化剤とこの高分子乳化剤を含有する水中油型乳化組成物、並びにその製造方法。
Figure 2008173564

(式中、R1、R2及びR3はH又はC1-2のアルキル基、R4はC1-4のアルキレン基、X1はO又はNH、nは1〜10の数を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は新規な高分子乳化剤、及びこの高分子乳化剤、油性成分及び水を含有する水中油型乳化組成物に関する。
油相と水相を乳化させてなる乳化組成物は、油性成分及び水性成分由来の効果の両方を併せ持つことができるため、幅広く利用されている剤型である。特に油性成分の平均粒径が微細である水中油型乳化組成物は、外観の透明性が高いことや、製剤の粘性が高いときはもとより低いときでも分離を起こさずに安定に存在するために粘度調整が容易であることなどの理由により非常に有用である。中でも油性成分としてポリシロキサンを用いた場合には、ポリシロキサン特有のべたつきのないなめらかな感触と連続相が水相であることによる清涼感を併せ持つことが可能となる。
一方、近年、化粧料についてより一層高い安全性が期待されており、この観点から、高分子乳化剤を用いて乳化組成物を製造することが検討されている。このような高分子乳化剤として、架橋型アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体であるPEMULEN TR−1及びTR−2(Noveon社)や、ACULYN22(Rohm & Haas社)が知られている(特許文献1、2、非特許文献1)。また、特許文献3にはポリシロキサン側鎖を有する高分子乳化剤が開示されている。しかしながら、これらの高分子乳化剤を用いてポリシロキサンを乳化すると、粘性が高く、油性成分の平均粒径が大きい乳化組成物しか得ることができなかった。
特開2000−264825号公報 特開平8−217624号公報 FRAGRANCE JOURNAL, 1998-8, p.79 特開2002−11338号公報
上記のように、ポリシロキサンの平均粒径が微細である、水中油型乳化組成物を調製できる高分子乳化剤は存在せず、かかる高分子乳化剤が切望されている。
本発明の課題は、ポリシロキサンの平均粒径が微細であり、安定な水中油型乳化組成物を調製できる高分子乳化剤、及びかかる高分子乳化剤を含有する水中油型乳化組成物を提供することにある。
本発明者らは、低重合度のポリシクロシロキサン側鎖を有する高分子乳化剤を用いることにより、ポリシロキサンの平均粒径が微細である、安定な水中油型乳化組成物を調製できることを見出した。
即ち、本発明は、一般式(1)で表される構成単位(a)、中和可能な官能基を有する親水性構成単位(b)、及び非イオン性親水性構成単位(c)を含む高分子乳化剤、この高分子乳化剤(A)、油性成分(B)、及び水(C)を含有する水中油型乳化組成物、並びに高分子乳化剤(A)、油性成分(B)及び水(C)を混合した系を40℃以上に加熱して可溶化状態にした後、40℃より低い温度に冷却し、さらにその後中和する工程を含む水中油型乳化組成物の製造方法を提供する。
Figure 2008173564
(式中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、X1は酸素原子又はNHを示し、nは1〜10の数を示す。)
本発明の高分子乳化剤により、ポリシロキサン等の油性成分の平均粒径が微細であり、安定な水中油型乳化組成物を得ることができる。
[高分子乳化剤(A)]
本発明の高分子乳化剤(A)は一般式(1)で表される構成単位(a)、中和可能な官能基を有する親水性構成単位(b)、及び非イオン性親水性構成単位(c)を含むものである。構成単位(a)、構成単位(b)、構成単位(c)の配列は、ランダム、ブロック、またはグラフトのいずれでも良い。また、これら構成単位以外の構成単位を含んでいてもよい。ここで親水性構成単位における親水性とは、その構成単位を形成するモノマーの20℃の蒸留水への溶解度(g/100g水)が8以上のものを言う。
構成単位(a)としては、一般式(4)で表されるモノマー(以下モノマー(a)という)由来の構成単位や、重合後にポリシクロシロキサン基を付加させた構成単位等が挙げられるが、一般式(4)で表されるモノマー由来の構成単位が好ましい。
Figure 2008173564
(式中、R1、R2、R3、R4、X1及びnは前記の意味を示す)
一般式(4)において、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示すが、R1及びR2が水素原子であるものが好ましい。R4は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示すが、炭素数が2〜4のアルキレン基が好ましい。X1は酸素原子又はNHを示すが、酸素原子が好ましい。nは1〜10の数を示すが、1〜5の数が好ましく、2〜4の数がより好ましい。
モノマー(a)としては、例えばオキシプロピルヘプタメチルシクロテトラシロキサン(メタ)アクリレート、オキシプロピルノナメチルシクロペンタシロキサン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中和可能な官能基を有する親水性構成単位(b)としては、中和可能な官能基を有する親水性モノマー(以下親水性モノマー(b)という)由来の構成単位や、重合後に中和可能な官能基を付加させた親水性構成単位等が挙げられる。
中和可能な官能基としては、酸性基又は塩基性基が挙げられ、酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等、塩基性基としては、第3級アミノ基等が挙げられる。これらの中では酸性基が好ましく、カルボキシル基が更に好ましい。
親水性モノマー(b)は、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸性基、又は第3級アミノ基等の塩基性基などの中和可能な官能基を有する親水性モノマーである。
酸性基を有する親水性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート等が挙げられる。
塩基性基を有する親水性モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアリールアミン、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。
これらの中では酸性基を有する親水性モノマーが好ましく、一般式(5)で表される親水性モノマーがより好ましい。
Figure 2008173564
(式中、R5、R6及びR7は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Mは水素原子又は陽イオン基を示す。)
一般式(5)において、R5、R6及びR7は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示すが、R5及びR6が水素原子であるものが好ましい。Mは水素原子又は陽イオン基を示すが、陽イオン基としては、Na、Kなどのアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン等を挙げることができ、特にNa、Kが好ましい。
一般式(5)で表される親水性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそれらの塩等が挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸がより好ましい。
また、重合後に中和可能な官能基を付加させる方法としては、例えば高分子化合物中に存在する中和可能でない官能基を中和可能な官能基に変換する方法が挙げられる。この場合、中和可能でない官能基とは、例えばエステル基やニトリル基が挙げられ、加水分解することによりカルボキシル基が生成する。
あるいは、高分子化合物に存在する官能基と反応可能な官能基及び中和可能な官能基を有する化合物を、高分子化合物に結合する方法が挙げられる。結合に用いられる官能基としては、水酸基とカルボキシル基の組合せ、アミノ基とカルボキシル基の組合せ等が挙げられ、例えば水酸基を有する高分子化合物にジカルボン酸を結合することにより、カルボキシル基を付加することができる。
非イオン性親水性構成単位(c)としては、非イオン性親水性モノマー(以下非イオン性親水性モノマー(c)という)由来の構成単位や、重合後に非イオン性親水基を付加させた親水性構成単位等が挙げられる。
非イオン性親水性モノマー(c)としては、例えばメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、エトキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中では、一般式(6)で表される非イオン性親水性モノマーが好ましい。
Figure 2008173564
(式中、R8、R9、及びR10は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、R11は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、R12は炭素数1〜2のアルキル基を示し、X2は酸素原子又はNHを示し、mは1〜14の数を示す。)
一般式(6)において、R8、R9及びR10は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示すが、R8及びR9が水素原子であるものが好ましい。R11は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示すが、炭素数が2〜3のアルキレン基が好ましい。具体的にはエチレン基、プロピレン基等が挙げられる。R12は炭素数1〜2のアルキル基を示すが、メチル基が好ましい。X2は酸素原子又はNHを示すが、酸素原子が好ましい。mは1〜14の数を示すが、7〜11が好ましい。
本発明の高分子乳化剤(A)を構成する全構成単位中の構成単位(a)の割合は、十分な乳化性能を得る観点から、20〜60重量%が好ましく、30〜50重量%がより好ましい。全構成単位中の構成単位(b)の割合は、高分子乳化剤(A)の中和後の曇点が90℃を超えるようにして、高温における乳化組成物の十分な安定性を得る観点から、0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜8重量%がより好ましい。また、全構成単位中の構成単位(c)の割合は、十分な乳化性能を得る観点から、10〜79重量%が好ましく、40〜79重量%がより好ましい。
本発明の高分子乳化剤(A)は、更に、構成単位(a)、構成単位(b)及び構成単位(c)と共重合可能な構成単位(d)を含んでも良い。
構成単位(d)としては、一般式(7)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2008173564
(式中、R13、R14及びR15は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、R16は炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、X3は酸素原子又はNHを示す。)
一般式(7)において、R13及びR14は水素原子が好ましい。R16は、乳化安定性の点から、炭素数8〜22、特に炭素数12〜22のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。具体的にはオクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基、ベヘニル基等が挙げられる。X3は酸素原子が好ましい。
構成単位(d)としては、一般式(8)で表される疎水性モノマー(以下疎水性モノマー(d)という)由来の構成単位や、重合後に疎水性基を付加させた構成単位等が挙げられる。
Figure 2008173564
(式中、R13、R14、R15、R16及びX3は前記の意味を示す。)
疎水性モノマー(d)の具体例としては、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、ベヘニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。中でもラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明の高分子乳化剤(A)として特に好ましいものは、前記一般式(1)で表される構成単位(a)、一般式(2)で表される構成単位、及び一般式(3)で表される構成単位を有するものである。
Figure 2008173564
(式中、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、X2、M及びmは前記の意味を示す。)
高分子乳化剤(A)は公知の合成方法により得ることができる。例えば、モノマー(a)、モノマー(b)及びモノマー(c)、更に必要によりモノマー(d)を含むモノマー成分を溶液重合法で重合させることで得られる。
上記モノマーの溶液重合に用いられる溶媒としては、例えば芳香族系化合物(トルエン、キシレン等)、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン)、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の有機溶剤を使用することができる。溶媒量(重量基準)は、好ましくは全モノマーに対して等量〜20倍量、特に等量〜10倍量が好ましい。
重合開始剤としては、公知のラジカル開始剤を用いることができ、例えばアゾ系重合開始剤、ヒドロ過酸化物類、過酸化ジアルキル類、過酸化ジアシル類、ケトンペルオキシド類等が挙げられる。また必要により、塩基性触媒(リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等の金属、そのアルコキシド、ヒドロキシド等)、又は酸性触媒(硫酸、塩酸等)を用いても良い。重合開始剤量は、全モノマーを基準として0.01〜5モル%、特に0.01〜3モル%、更に0.01〜1モル%の範囲であるのが好ましい。
重合反応は、窒素気流下、60〜180℃の温度範囲で行うのが好ましく、反応時間は0.5〜20時間が好ましい。
高分子乳化剤(A)は、高温安定性の良好な乳化組成物を得る観点から、高分子乳化剤(A)の中和後の曇点が可能な限り高温であるものが好ましく、90℃を超えるものがより好ましく、91℃以上のものが更に好ましい。ここで曇点とは、高分子乳化剤(A)の水溶液の温度を上昇させていったときに、溶液から高分子が不溶化しはじめる温度であり、曇点測定条件の詳細は実施例に示す通りである。
高分子乳化剤(A)の重量平均分子量は、皮膚に対する刺激性、及び乳化性能の観点から、5,000〜100万が好ましく、1万〜20万がより好ましい。なお、重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した値であり、測定条件の詳細は実施例に示す通りである。
[油性成分(B)]
本発明で用いる油性成分(B)としては、揮発性、不揮発性のいずれでも良く、常温での形態として固体状、ペースト状、液体状のいずれでもよいが、ポリシロキサンが好ましく、特に25℃における動粘度20mm2/s以下のものが好ましく、10mm2/s以下のものがより好ましい。動粘度はウベローデ粘度計やキャノン−フェンスケ粘度計によって測定できる(JIS Z 8803 液体の粘度−測定方法)。
油性成分(B)として用いるポリシロキサンとしては、例えばメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンやデカメチルシクロペンタシロキサン等のメチルシクロポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、アルキル、アルケニル又はフルオロアルキル変性シリコーン等の変性シリコーンが挙げられるが、好ましくは動粘度が20mm2/s以下、より好ましくは10mm2/s以下のメチルシクロポリシロキサンである。
[水中油型乳化組成物及びその製造方法]
本発明の水中油型乳化組成物は、高分子乳化剤(A)、油性成分(B)、及び水(C)を含有する。
高分子乳化剤(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、任意に配合できるが、本発明の乳化組成物中の高分子乳化剤(A)の含有量は、優れた乳化安定性を得る観点から、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。また、油性成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、任意に配合できるが、本発明の乳化組成物中の油性成分(B)の含有量は、優れた乳化安定性を得る観点から、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。水(C)は任意に配合できるが、本発明の乳化組成物中の水(C)の含有量は、優れた乳化安定性を得る観点から、好ましくは50〜99重量%、より好ましくは60〜99重量%である。
また、本発明の乳化組成物中の高分子乳化剤(A)と油性成分(B)の重量比((A)/(B))は、優れた乳化安定性を得る観点から、好ましくは1/0.2〜1/10、より好ましくは1/0.2〜1/5である。
本発明の水中油型乳化組成物は、例えば、以下の製造法1又は2により製造することができるが、製造法1が好ましい。
製造法1:高分子乳化剤(A)、油性成分(B)及び水(C)を混合した系を40℃以上に加熱して可溶化状態にした後、40℃より低い温度に冷却し、さらにその後中和する工程を含む製造法。
製造法2:水溶性有機溶媒に高分子乳化剤(A)及び油性成分(B)を混合し、得られた溶解又は分散液に水(C)を添加して乳化させた後、さらに中和する工程を含む製造法。
本発明の製造法において、乳化操作は加熱下で行うのが望ましく、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。上限は特に規定されないが、水の沸点以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。特に、可溶化状態を形成する温度範囲で行うことが好ましい。ここで、可溶化状態とは、分散剤水溶液中に油性成分がその水への溶解度以上に溶解した状態である。なお、系が可溶化状態であることの確認条件の詳細は実施例に示す通りである。可溶化状態で一定時間、例えば10分以上保持することが好ましい。
また、可溶化状態にした後、40℃より低い温度、好ましくは30℃以下、より好ましくは0〜30℃に冷却して乳化させることが好ましい。水分散体の安定性の観点より、可溶化温度から40℃までの冷却は速やかに行うことが望ましく、当該冷却時間は1時間以下が好ましく、30分以下がより好ましく、10分以下がさらに好ましい。
各成分を加えて混合するには、通常の方法により攪拌・混合すれば良く、例えばホモジナイザー、超音波乳化機、高圧乳化機等を用いて行うことができる。
本発明の製造法において用いられる中和剤としては、高分子乳化剤(A)が中和可能な官能基として酸性基を有する場合には、無機又は有機塩基を用いることができる。無機又は有機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類などが挙げられる。高分子乳化剤(A)が中和可能な官能基として塩基性基を有する場合には、中和剤としては無機又は有機酸を用いることができる。無機酸として例えば、ホウ酸、炭酸、クエン酸、ヨウ素酸、亜硝酸、硝酸、リン酸、硫酸、塩酸等が、有機酸として例えば、ギ酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、フタル酸等が挙げられる。
中和剤はそのまま添加してもよいし、水溶液として添加してもよい。中和剤の添加量は、中和後の高分子乳化剤(A)の曇点が90℃を超える温度になるために必要な量以上が好ましく、全中和可能な官能基の1モル%以上を中和するのが好ましい。
本発明の乳化組成物の製造方法に用いられる水溶性有機溶媒としては、例えばエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量200〜1540)等のグリコール類;ポリオキシエチレンメチルグルコシド、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール;トリス(2−(2−エトキシエトキシ)エチル)ホスフェート等が挙げられ、1種以上を用いることができる。本発明の乳化組成物中の水溶性有機溶媒の含有量は、優れた乳化安定性を得る観点から、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
本発明においては、高分子乳化剤(A)と油性成分(B)との割合や、水溶性有機溶媒の種類と使用量を選択することにより、水中油型乳化組成物中の油滴の平均粒径をコントロールすることができる。本発明の水中油型乳化組成物中の油滴の平均粒径は、好ましくは1〜200nm、より好ましくは1〜100nmである。
なお、本発明において油滴の平均粒径は、動的光散乱式粒径分布測定装置マイクロトラックUPA(HONEYWELL社製)を用いて測定した散乱光強度から求めた算術平均径(体積平均)を用いる。これらの粒径測定は、25℃で行うものである。
合成例及び実施例における各物性の測定条件をまとめて以下に示す。
<重量平均分子量測定条件>
高分子乳化剤の重量平均分子量は、高分子乳化剤をクロロホルムに溶解した0.5重量%溶液をGPCにより下記条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
・GPC測定条件
カラム:昭和電工(株)製 KF−804L 2本、溶離液:1mmol/LファーミンDM20(花王(株)製)/CHCl3、流速:1.0mL/min、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折率計
<高分子乳化剤中の各構成単位の割合の測定条件>
高分子乳化剤の全構成単位中における各構成単位の割合は、高分子乳化剤を重水素置換ジメチルスルホキシドに溶解した1重量%溶液をプロトン核磁気共鳴スペクトルにより測定して求めた。
<曇点測定条件>
曇点の確認は成書(新・界面活性剤入門、藤本武彦著、三洋化成工業、1992)に倣い、次の方法に従って行った。すなわち、高分子乳化剤の5重量%水溶液を一定の温度で30分間保持し、溶液から高分子乳化剤が不溶化するかを観察する。温度を上昇させていったときに、高分子乳化剤が不溶化しはじめた温度を曇点とした。
<可溶化状態確認条件>
系が可溶化状態であることは、以下の方法に従って確認した。すなわち、高分子分散剤、油性成分、水の混合溶液を一定の温度で10分間保持し、溶液の濁度が変化するかを観察する。系が可溶化状態ではないときには溶液の濁度が上昇するため、溶液の濁度が変化しなかったときに系は可溶化状態であるとした。
合成例1(高分子乳化剤(A−1)の合成)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管のついた反応器に、オキシプロピルヘプタメチルシクロテトラシロキサンメタクリレート(信越化学工業(株)、S−502CT)16g、メトキシポリエチレングリコール(9モル)メタクリレート(新中村化学(株)、NKエステルM−90G)22g、メタクリル酸2g、及び重合溶媒2−プロパノール27gと、開始剤V−65(和光純薬(株)製)0.8gを仕込み、65℃にて6時間重合反応を行った。その後乾燥して、高分子乳化剤(A−1)を得た。得られた高分子乳化剤(A−1)の重量平均分子量は10.0万であった。得られた高分子乳化剤(A−1)の全構成単位中におけるオキシプロピルヘプタメチルシクロテトラシロキサンメタクリレート由来の構成単位の割合は38重量%、メトキシポリエチレングリコール(9モル)メタクリレート由来の構成単位の割合は60重量%、メタクリル酸由来の構成単位の割合は2重量%であった。高分子乳化剤(A−1)中におけるメタクリル酸由来の構成単位の20%以上を水酸化カリウムにより中和した後には、高分子乳化剤(A−1)の曇点は100℃以上であった。
比較合成例1
合成例1と同様にして、但し、オキシプロピルヘプタメチルシクロテトラシロキサンメタクリレートの代わりにオキシプロピルジメチルシロキサンメタクリレート(チッソ(株)、FM−0721)を用いて高分子乳化剤(A−2)を得た。得られた高分子乳化剤(A−2)の重量平均分子量は10.0万であった。得られた高分子乳化剤(A−2)の全構成単位中におけるオキシプロピルジメチルシロキサンメタクリレート由来の構成単位の割合は50重量%、メトキシポリエチレングリコール(9モル)メタクリレート由来の構成単位の割合は44重量%、メタクリル酸由来の構成単位の割合は6重量%であった。
実施例1
高分子乳化剤(A−1)(未中和品)1g、デカメチルシクロペンタシロキサン(信越化学工業(株)、KF−995、25℃における動粘度4mm2/s)0.5g、及び水9gを混合し、攪拌下、60℃で10分間保持した後、25℃に冷却した。60℃で系は可溶化状態であった。その後、攪拌下、25℃で10重量%水酸化カリウム水溶液0.08gを添加して中和した後(中和度20.4%)、水89.4gを添加して水中油型乳化組成物を調製した。
得られた水中油型乳化組成物について、各成分の配合組成、及び得られた乳化組成物中の乳化油滴の平均粒径と、50℃で3日間保存した後の乳化組成物の性状を表1に併せて示した。尚、乳化組成物が水中油型であることを電気伝導度により確認した。
比較例1
高分子乳化剤(A−2)を用いて水中油型乳化組成物を調製しようとしたが、高分子乳化剤(A−2)は全く水に溶解せず、水中油型乳化組成物を調製することはできなかった。
Figure 2008173564
表1の結果から明らかなように、高分子乳化剤(A−1)を用いて調製した水中油型乳化組成物は、油滴の平均粒径が小さく、高温における保存安定性も良好であった。

Claims (8)

  1. 一般式(1)で表される構成単位(a)、中和可能な官能基を有する親水性構成単位(b)、及び非イオン性親水性構成単位(c)を含む高分子乳化剤。
    Figure 2008173564
    (式中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、X1は酸素原子又はNHを示し、nは1〜10の数を示す。)
  2. 中和可能な官能基を有する親水性構成単位(b)が一般式(2)で表される構成単位であり、非イオン性親水性構成単位(c)が一般式(3)で表される構成単位である請求項1記載の高分子乳化剤。
    Figure 2008173564
    (式中、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、R11は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、R12は炭素数1〜2のアルキル基を示し、X2は酸素原子又はNHを示し、Mは水素原子又は陽イオン基を示し、mは1〜14の数を示す。)
  3. 構成単位(a)を全構成単位中20〜60重量%、構成単位(b)を全構成単位中0.1〜10重量%、構成単位(c)を全構成単位中10〜79重量%含む、請求項1又は2記載の高分子乳化剤。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の高分子乳化剤(A)、油性成分(B)、及び水(C)を含有する水中油型乳化組成物。
  5. 油性成分(B)がポリシロキサンを含む、請求項4記載の水中油型乳化組成物。
  6. 高分子乳化剤(A)と油性成分(B)の配合割合が、(A)/(B)(重量比)=1/0.2〜1/10である、請求項4又は5記載の水中油型乳化組成物。
  7. 油滴の平均粒径が1〜200nmである、請求項4〜6いずれかに記載の水中油型乳化組成物。
  8. 高分子乳化剤(A)、油性成分(B)及び水(C)を混合した系を40℃以上に加熱して可溶化状態にした後、40℃より低い温度に冷却し、さらにその後中和する工程を含む請求項4〜7いずれかに記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
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