JP2008172871A - 固定子モールド成形方法、及び固定子構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 固定型21と、可動型22とを有する金型を用いて、固定子コア13に導体コイル11,12が組み込まれた固定子組立をモールド成形して固定子を製造する固定子モールド成形方法であって、固定型21が固定型中心柱23を備え、固定型中心柱23が、固定子組立のティース13Aの内周面に嵌合当接し、固定子コア13の導体コイル11,12よりも外周側の上面及び下面を、各々固定型21と可動型22とで挟んで保持し、固定型21と可動型22と固定子コア13とでキャビティ26を形成する。
【選択図】 図1
Description
一方、図12に示すように、固定子コア104の中空部に第3モールド治具103を嵌合当接させ、固定子コア104の導体コイル105よりも外周側の上面及び下面を、第1モールド治具101と第2モールド治具102とで挟んで保持し、第1モールド治具101、第2モールド治具102、及び固定子コア104とで空間を形成し、上面に開かれた開口部107からモールド材を流し込むものが、特許文献2に記載されている。
(1)特許文献1に記載された技術では、固定子コア全体を金型に装着してモールド成形しているので、固定子コアの外周までモールド材が覆うため、固定子が大型化し重量が増大する問題があった。固定子が大型化し重量が増大すれば、当然モータも大型化し、重量が増大する問題がある。
しかし、この技術は、金型及び射出成形機を用いて自動化されたモールド成形方法ではなく、固定子を大量生産することができない。
すなわち、ボルト106で第1モールド治具101と第2モールド治具102とを締結しなければならないので、第1モールド治具101と第2モールド治具102とが固定子コア104を挟み込む力を、射出成形機の場合のように強くすることはできない。もっとも、段落(0013)に記載されているように、上面全体に開口されている開口部107からモールド材が流し込まれるので、射出成形機のように強い力で金型を押圧する必要はない。
このように、特許文献2の技術を自動化された射出成形機の技術に適用することは困難であった。
さらに、モールド材の主たる役割は、導体コイルで発生する熱を放熱することにあるが、特許文献2の技術では、モールド材を高圧で注入していないため、空気が混入し易く、内部に空気の泡ができ、伝熱性を著しく低下させる問題がある。
また、固定子の側面にコネクタを設ける場合、スライド型を用いることが考えられるが、図11に示すように、射出成形機で積層された金属鋼板111の一部を可動型110で挟んで押圧すると、挟まれた箇所の直近の自由な金属鋼板111が挟む力と反対方向に反り返り変形する。この反り返り変形部分に、スライド型112がスライドしたときに衝突する恐れがあった。
一方、ハイブリッド自動車に搭載されるモータは、その空間的な制約上、モータのコネクタを側面に取り付け、コネクタ端子を側面から外に突き出した状態とする構造が望まれている。
(1)固定型と、可動型とを有する金型を用いて、固定子コアに導体コイルが組み込まれた固定子組立をモールド成形して固定子を製造する固定子モールド成形方法であって、固定型が固定型中心柱を備え、固定型中心柱が、固定子組立の中空部の内周面に嵌合当接し、固定子コアの導体コイルよりも外周側の上面及び下面を、各々固定型と可動型とで挟んで保持し、固定型と可動型と固定子コアとでキャビティを形成する。
(2)(1)に記載する固定子モールド成形方法において、前記固定中心柱の端面と可動型とで、モールド注入口から前記キャビティにモールドを導入する導入路を全周に渡って形成していることを特徴とする。
(4)(3)に記載する固定子モールド成形方法において、前記仮締め状態を、前記可動型が前記固定子コアの端面に当接したことを検出することにより判定することを特徴とする。
(6)(5)に記載する固定子構造において、前記コネクタの、前記端子が突出する端子面と反対側に、前記可動型のバックアップ部材が挿入されていたバックアップ用凹部が形成されていることを特徴とする。
固定型に固定子組立が装着された状態において、固定子コアの中空部の内周面が固定型の中心柱に嵌合当接し、固定型と可動型とが、固定子コアの導体コイルよりも外周側の上面と下面とを挟んで保持し、中心柱を含む固定型、可動型とで射出成形においてモールドが注入される空間であるキャビティを形成しているので、射出成形により高圧でモールドを注入しても、可動型が数十トンの強い力で固定型を押圧しているので、モールドが漏れることがない。また、モールド成形時に、モールド材が固定子コアの中空部の内周面と固定型の中心柱との間の隙間に入り込むことがない。高圧でモールド材を注入できるので、モールドの中に空気の泡を形成することがない。特に、モールド材を注入するときにキャビティ内の空気を真空引きしているので、モールド内に残留空気の泡を形成することがない。
導体コイルを外部と電気接続するためのコネクタが、固定子の側面に形成されている。ここで、コネクタの端子が突出する面が、スライド型と接触する面にシール部を有しているので、スライド型がコネクタと当接したときに、スライド型とコネクタのシール部とが当接してシールするので、キャビティを形成することができる。
スライド型をスライドさせた後、可動型をさらに移動させ固定型と、数十トンという力で固定子コアを挟み込み、本締め状態とする。本締め状態において、モールド材をキャビティ内に注入する。
また、前記コネクタの、前記端子が突出する端子面と反対側に、前記可動型のバックアップ部材が挿入されていたバックアップ用凹部が形成されているので、スライド型がコネクタの端子が突出する端子面と当接したときに、コネクタを可動型のバックアップ部材が支えるため、スライド型とコネクタのシール面とがしっかり押圧された状態となる。これにより、モールド成形時に内圧が高くなっても、シール部からモールド材が漏れることがない。
始めに、固定子組立10について説明する。図6に固定子組立10の平面図を示し、図7に固定子組立10のA−B−Cにおける断面図を示す。また、図8に、コネクタを外側から視たE拡大矢視図を示し、図9に、コネクタを裏面から見たFF断面図を示す。
図6及び図7に示すように、内周に12箇所のティース13Aを備える積層鋼板から成る固定子コア13の各ティース13Aには、導体コイル14がインシュレータ15に巻かれた状態で導体コイル外側が平行となっている平行巻きコイル11と、導体コイル外側が傾斜面を形成している傾斜巻きコイル12とが、交互に配置されている。これにより、スロット内における導体コイル14の占積率を高くしている。ティース13Aの内周面は、高い精度で加工されており、精度の良い円柱空間を形成している。固定子コア13には、3箇所位置決め孔19が形成されている。
図8に示すように、固定子組立10の状態において、コネクタ板17には、3本の端子が固定された状態であり、コネクタ板17の端子18が突出している端面の外周には、一定幅の段差形状であるシール部17Bが形成されている。また、コネクタ板17の端子18が突出している端面には、2つの位置決め孔17Aが形成されている。
図9に示すように、端子18は、千鳥配置されており、中央の端子が低い位置にある。端子18を支持する端子支持部17Cが図9のように形成されている。図中2点鎖線で記載したのは、可動型に設けられた2本のバックアップピン35である。詳細な説明は、後で行う。
コネクタ17は、固定子組立10の中心線からずれて配置されている。ずれて配置しているのは、ずらすことにより、コネクタ17が外側へ突き出る量を減らすためである。コネクタ17の端子18は、固定子組立10の側面から外に突き出した状態であり、ハイブリッド自動車で望まれている方向に配置されたものである。
下型が固定型21であり、固定型21には、中心柱23が設けられている。中心柱23の外周面は、固定子組立10の固定コア13のティース13A内周面と嵌合当接されている。
上型が可動型22であり、固定型21に対して、上下に移動する。スライド型は、可動型22に取り付けられており、可動型22と共に上下に移動する。
固定型21には、固定子コア13の導体コイル14及びインシュレータ15よりも外周側の下面を支持する固定子コア支持部21Aが形成されている。固定子コア支持部21Aは、全周に渡って形成されており、全周に渡って固定子コア13の外周下面と当接している。
固定型21、可動型22、及び固定子コア13とでキャビティ26を形成している。可動型22には、モールド材が注入される注入口29、注入されたモールド材を円周方向に流すための円錐流路28が形成されている。また、固定型21と可動型22とで、モールド材を円錐流路28からキャビティに導入するための導入路27が形成されている。円錐流路28の中心には、固定型21に固設され、外周に複数の凸状リング24Aが形成されたピン24が設けられている。固定型21の、ピン24の外周には、上下に摺動可能なパイプ25が保持されている。
固定型21には、固定子コア13の位置決め孔19を位置決めするための位置決めピン37が3本設けられている。
可動型22の一部、コネクタ板17、端子18に対向する位置に、スライド型が取り付けられている。可動型22にコネクタ板17の相似する矩形形状の案内孔38が形成されている。案内孔38に嵌合して摺動可能に、スライド型部材31が保持されている。スライド型部材31は、スライドベース32に取り付けられている。スライドベース32は、可動型22に固定された油圧シリンダ34のロッドと接続している。スライドベース32には、2本の位置決めピン33が取り付けられている。位置決めピンは、コネクタ板17に形成された位置決め孔17Aに対向している。
スライド型部材31には、コネクタ板17のシール部17Bを除いた端面と同じ形状で、中空孔31Aが形成されている。スライド型部材31の右側端面の中空孔31Aの周囲は、コネクタ板17のシール部17Bと当接して、シール機能を果たす。スライド型部材31の下面には、固定子コア押さえ部31Bが形成されている。
図4、図5に可動型22、固定型21、スライド型部材31を模式的に表している。図4に示すように、可動型22は、図示しない駆動機構により、上に移動され、固定型21と分離している。すなわち、金型が開いている。このとき、スライド型の油圧シリンダ34も駆動されておらず、スライド型部材31は、左方向に移動している。
ハンドリング装置、または作業者により、金型が開いているときに、10を固定型21内に装着する。このとき、固定型の中心柱23の外周と固定子コア13のティース13Aの内周とが嵌合当接している。また、円周方向の角度は、位置決め孔19を位置決めピン37に嵌合させることにより、位置決めされている。
この状態で、コネクタ板17は、固定子組立10の製作精度により、固定型21の所定の箇所に位置決めされる。
図5に示すように、可動型が停止した状態で、スライド型の油圧シリンダ34が駆動されて、スライドベース32が前進する。これにより、位置決めピン33とスライド型部材31とが前進する。位置決め孔17Aはある深さを備えているので、スライド型部材31が、コネクタ板17のシール部17Bに当接する前に、位置決めピン33が、位置決め孔17Aに嵌合され、これにより、コネクタ板17が位置決めされる。一方、コネクタ板17内側には、2本のバックアップピン35がほぼ当接する位置にある。
さらに、スライド型部材31が前進することにより、コネクタ板17のシール部17Aが、スライド型部材31の端面の中空孔31Aの周辺により押圧される。これにより、コネクタ板17は、スライド型部材31とバックアップピン35とで挟んで保持される。
従来、図11に示すように、可動型110が固定子コア111を押圧した状態では、固定子コア111が、反り返っていたため、スライド型112が、反り返った固定子コアの積層鋼板と衝突する問題があったが、本実施例では、未だ可動型22が固定子コア13を押圧していないので、固定子コア13が反り返えることがなく、スライド部材31の固定子コア押さえ部31Bが、固定子コア13と衝突する恐れがない。
数十トンの荷重を加えることにより、積層鋼板から成る固定子コア13の鋼板同士の隙間をなくし、固定子コア13を、キャビティを構成する金型の一部として利用することが可能となる。
モールド材を注入するときに、図示しない真空発生装置を用いて、キャビティ26内の空気を引いている。導体コイル内には、複雑な空間が多くあり、その全ての空間にモールド材を進入させるためである。残留空気が泡として残ると、熱伝達性が著しく低下する問題があるので、それを回避するためである。
モールド材を加圧して、キャビティ26内に入れたときに、可動型22と固定型21とが、固定子コア13を挟んで強く押圧しているので、その部分からモールド材が漏れることはない。また、固定型21の中心柱23が固定子コア13のティース13Aの内周面と嵌合当接しているので、モールド材がその隙間に侵入することもない。
また、コネクタ板17のシール部17Bが、スライド型部材31とバックアップピン35により強く押圧されているので、シール部からモールド材が漏れることがない。
ここで、バックアップピン35は、製品としては、コネクタ板17の後部に凹部として現れる。
また、仮締め状態を、可動型22が固定子コア13の端面に当接したことを検出して行っているので、未だ固定子コア13を可動型22が強く押圧しておらず、積層鋼板が変形していないため、スライド型部材31が固定子コア13と衝突することがない。
また、コネクタ板17の、端子18が突出する端子面と反対側に、可動型22のバックアップピン35が挿入されていたバックアップ用凹部が形成されているので、コネクタ板17のシール部17Bをスライド型部材31で押圧したときに、コネクタ板17をしっかりとバックアップして、適正な押圧シール力を与えることができ、モールド材が漏れることがない。
例えば、本実施例では、スライド型を可動型22と一体的に設置したが、スライド型を固定型21と一体的に設置しても良い。
また、本実施例では、可動型22が固定子コア13と接触したことを検出して、可動型をいったん停止させ、スライド型を駆動させているが、本締めに対して、その力の100分の1程度の押圧力で可動型22を固定型21に対して押圧した状態で、スライド型を駆動しても良い。100分の1程度の力では、固定子コア13が変形しないからである。その方が、仮締めと本締めとで、可動型の移動量を減少させることができる。
11 平行巻きコイル
12 傾斜巻きコイル
13 固定子コア
13A ティース
16 バスバー
17 コネクタ板
18 端子
21 固定型
22 可動型
26 キャビティ
31 スライド型部材
31B 固定子コア押さえ部
34 油圧シリンダ
35 バックアップピン
Claims (6)
- 固定型と、可動型とを有する金型を用いて、固定子コアに導体コイルが組み込まれた固定子組立をモールド成形して固定子を製造する固定子モールド成形方法において、
前記固定型が固定型中心柱を備え、
前記固定型中心柱が、前記固定子組立の中空部の内周面に嵌合当接し、
前記固定子コアの前記導体コイルよりも外周側の上面及び下面を、各々固定型と可動型とで挟んで保持し、
前記固定型と前記可動型と前記固定子コアとでキャビティを形成することを特徴とする固定子モールド成形方法。 - 請求項1に記載する固定子モールド成形方法において、
前記固定中心柱の端面と可動型とで、モールド注入口から前記キャビティにモールドを導入する導入路を全周に渡って形成していることを特徴とする固定子モールド成形方法。 - 固定型と、可動型とを有する金型を用いて、固定子コアに導体コイルが組み込まれた固定子組立をモールド成形して固定子を製造する固定子モールド成形方法において、
前記固定子組立が外部電気接続するためのコネクタを側面に備え、
前記金型が、前記コネクタに対向する位置に、スライド型を有し、
前記可動型が前記固定型に対して仮締めされた状態で、前記スライド型をスライドさせて前記コネクタと接触させ、
その後、前記可動型を前記固定型に対して本締めし、モールド成形することを特徴とする固定子モールド成形方法。 - 請求項3に記載する固定子モールド成形方法において、
前記仮締め状態を、前記可動型が前記固定子コアの端面に当接したことを検出することにより判定することを特徴とする固定子モールド成形方法。 - 固定子コアに導体コイルが組み込まれ、導体コイルを外部と電気接続するためのコネクタとを有し、固定型と可動型とスライド型とを備える金型により全体がモールド成形される固定子構造において、
前記コネクタの端子が突出する端子面が、前記スライド型と接触してシールするシール部を備えることを特徴とする固定子構造。 - 請求項5に記載する固定子構造において、
前記コネクタの、前記端子が突出する端子面と反対側に、前記可動型のバックアップ部材が挿入されていたバックアップ用凹部が形成されていることを特徴とする固定子構造。
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