以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下においては、X−Yアドレス型の固体撮像装置の一例である、CMOS固体撮像装置をデバイスとして使用した場合を例に説明する。また、CMOS固体撮像装置は、全ての画素がNMOSよりなるものであるとして説明する。
ただしこれは一例であって、対象となるデバイスはMOS型の固体撮像装置に限らない。光や放射線などの外部から入力される電磁波に対して感応性をする単位構成要素をライン状もしくはマトリクス状に複数個配列してなる物理量分布検知用の半導体装置の全てに、後述する全ての実施形態が同様に適用できる。
<固体撮像装置の全体概要>
図1は、本発明に係る固体撮像装置の一実施形態であるCMOS固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略構成図である。
固体撮像装置1は、入射光量に応じた信号を出力する受光素子(電荷生成部の一例)を含む複数個の画素が行および列に配列された(すなわち2次元マトリクス状の)画素部を有し、各画素からの信号出力が電圧信号であって、CDS(Correlated Double Sampling ;相関2重サンプリング)処理機能部やデジタル変換部(ADC;Analog Digital Converter)などが列並列に設けられているものである。
“列並列にCDS処理機能部やデジタル変換部が設けられている”とは、垂直列の垂直信号線(列信号線の一例)19に対して実質的に並列に複数のCDS処理機能部やデジタル変換部が設けられていることを意味する。
複数の各機能部は、デバイスを平面視したときに、ともに画素アレイ部10に対して列方向の一方の端縁側(図の下側に配されている出力側)にのみ配されている形態のものであってもよいし、画素アレイ部10に対して列方向の一方の端縁側(図の下側に配されている出力側)とその反対側である他方の端縁側(図の上側)に分けて配されている形態のものであってもよい。後者の場合、行方向の読出走査(水平走査)を行なう水平走査部も、各端縁側に分けて配して、それぞれが独立に動作可能に構成するのがよい。
たとえば、列並列にCDS処理機能部やデジタル変換部が設けられている典型例としては、撮像部の出力側に設けたカラム領域と呼ばれる部分に、CDS処理機能部やその他のアナログ信号処理部やデジタル変換部を垂直列ごとに設け、順次出力側に読み出す、垂直列とCDS処理機能部やデジタル変換部などが1対1に接続されるカラム型のものである。また、カラム型(列並列型)に限らず、隣接する複数(たとえば2つ分)の垂直信号線19(垂直列)に対して1つのCDS処理機能部やデジタル変換部を割り当てる形態や、N本おき(Nは正の整数;間にN−1本を配する)のN本分の垂直信号線19(垂直列)に対して1つのCDS処理機能部やデジタル変換部を割り当てる形態などを採ることもできる。
カラム型を除くものは、何れの形態も、複数の垂直信号線19(垂直列)が1つのCDS処理機能部やデジタル変換部を共通に使用する構成となるので、画素アレイ部10側から供給される複数列分の画素信号を1つのCDS処理機能部やデジタル変換部に供給する切替回路(スイッチ)を設ける。なお、後段の処理によっては、出力信号を保持するメモリを設けるなどの対処が別途必要になる。
何れにしても、複数の垂直信号線19(垂直列)に対して1つのCDS処理機能部やデジタル変換部を割り当てる形態などを採ることで、各画素信号の信号処理を画素列単位で読み出した後に行なうことで、同様の信号処理を各単位画素内で行なうものに比べて、各単位画素内の構成を簡素化し、イメージセンサの多画素化、小型化、低コスト化などに対応できる。
また、列並列に配された複数の信号処理部にて1行分の画素信号を同時並行処理することができるので、出力回路側やデバイスの外部で1つのCDS処理機能部やデジタル変換部にて処理を行なう場合に比べて、信号処理部を低速で動作させることができ、消費電力や帯域性能やノイズなどの面で有利である。逆に言えば、消費電力や帯域性能などを同じにする場合、センサ全体の高速動作が可能となる。
なお、カラム型の構成の場合、低速で動作させることができ消費電力や帯域性能やノイズなどの面で有利であるとともに切替回路(スイッチ)が不要である利点もある。以下の実施形態では、特に断りのない限り、このカラム型で説明する。
図1に示すように、本実施形態の固体撮像装置1は、複数の単位画素3が行および列に配列された画素部や撮像部などとも称される画素アレイ部10と、画素アレイ部10の外側に設けられた駆動制御部7と、画素アレイ部10の単位画素3に画素信号読出用の動作電流(読出電流)を供給する読出電流源部24と、垂直列ごとに配されたカラムAD回路25を有するカラム処理部26と、カラム処理部26にAD変換用の参照信号Vslopを供給する参照信号生成部27と、出力回路28とを備えている。これらの各機能部は、同一の半導体基板上に設けられている。
なお、参照信号Vslopは、全体的にある傾きを持って線形に変化する波形を持つものであればよく、その変化が滑らかなスロープ状を呈するものであってもよいし、階段状に順次変化するものであってもよい。
本実施形態のカラムAD回路25は、画素信号Soの基準レベルであるリセットレベルSrst と信号レベルSsig とを独立にデジタルデータに変換するAD変換部と、リセットレベルSrst のAD変換結果と信号レベルSsig のAD変換結果との間で差分処理を実行することで、リセットレベルSrst と信号レベルSsig の差で示される信号成分のデジタルデータを取得する差分処理部の機能を備えている。
なお、カラム処理部26の前段または後段には、必要に応じて信号増幅機能を持つAGC(Auto Gain Control) 回路などをカラム処理部26と同一の半導体領域に設けることも可能である。カラム処理部26の前段でAGCを行なう場合にはアナログ増幅、カラム処理部26の後段でAGCを行なう場合にはデジタル増幅となる。nビットのデジタルデータを単純に増幅してしまうと、階調が損なわれてしまう可能性があるため、どちらかというとアナログにて増幅した後にデジタル変換するのが好ましいと考えられる。
駆動制御部7は、画素アレイ部10の信号を順次読み出すための制御回路機能を備えている。たとえば駆動制御部7としては、列アドレスや列走査を制御する水平デコーダ12aおよび水平駆動部12bを有する水平走査回路(列走査回路)12と、行アドレスや行走査を制御する垂直デコーダ14aおよび垂直駆動部14bを有する垂直走査回路(行走査回路)14と、内部クロックを生成するなどの機能を持つ通信・タイミング制御部20とを備えている。
なお、図示を割愛するが、高速クロック生成部の一例であって、入力されたクロック周波数よりも高速のクロック周波数のパルスを生成するクロック変換部を設けるようにしてもよい。通信・タイミング制御部20は、端子5aを介して入力される入力クロック(マスタークロック)CLK0やクロック変換部で生成された高速クロックに基づいて内部クロックを生成する。
クロック変換部で生成された高速クロックを源とする信号を用いることで、AD変換処理などを高速に動作させることができるようになる。また、高速クロックを用いて、高速の計算を必要とする動き抽出や圧縮処理を行なうことができる。また、カラム処理部26から出力されるパラレルデータをシリアルデータ化してデバイス外部に映像データD1を出力することもできる。こうすることで、AD変換されたデジタルデータのビット分よりも少ない端子で高速動作出力する構成を採ることができる。
図1では、簡単のため行および列の一部を省略して示しているが、現実には、各行や各列には、数十から数千の単位画素3が配置される。この単位画素3は、典型的には、検知部の一例である受光素子(電荷生成部)としてのフォトダイオードと、増幅用の半導体素子(たとえばトランジスタ)を有する画素内アンプ(画素信号生成部の一例)とから構成される。
画素内アンプとしては、単位画素3の電荷生成部で生成・蓄積された信号電荷を電気信号として出力することができるものであればよく、様々な構成を採ることができるが、一般的には、フローティングディフュージョンアンプ構成のものが用いられる。一例としては、電荷生成部に対して、電荷読出部(転送ゲート部/読出ゲート部)の一例である読出選択用トランジスタを有する転送部、リセットゲート部の一例であるリセットトランジスタを有する初期化部、垂直選択用トランジスタ、およびフローティングディフュージョン(フローティングノードとも称される)の電位変化を検知する検知素子の一例であるソースフォロア構成の増幅用トランジスタを有する、CMOSセンサとして汎用的な4つのトランジスタからなる構成のものを使用することができる(たとえば後述の図2Aを参照)。
あるいは、電荷生成部により生成された信号電荷に対応する信号電圧を増幅するための、ドレイン線(DRN)に接続された増幅用トランジスタと、電荷生成部をリセットするためのリセットトランジスタと、垂直シフトレジスタより転送配線(TRF)を介して走査される読出選択用トランジスタ(転送ゲート部)を有する、3つのトランジスタからなる構成のものを使用することもできる。
なお、固体撮像装置1は、色分解(色分離)フィルタを使用することで、画素アレイ部10をカラー撮像対応にすることができる。すなわち、画素アレイ部10における各電荷生成部(フォトダイオードなど)の電磁波(本例では光)が入射される受光面に、カラー画像を撮像するための複数色の色フィルタの組合せからなる色分解フィルタの何れの色フィルタを、たとえばいわゆるベイヤー(Bayer)配列などにして設けることで、カラー画像撮像対応とする。
単位画素3は、行選択のための行制御線15を介して垂直走査部14と、また垂直信号線19を介してカラムAD回路25が垂直列ごとに設けられているカラム処理部26と、それぞれ接続されている。ここで、行制御線15は垂直走査部14から画素に入る配線全般を示す。
水平走査回路12は、カラム処理部26からカウント値を水平信号線18へ読み出す読出走査部の機能を持つ。
水平走査部12や垂直走査回路14などの駆動制御部7の各要素は、画素アレイ部10とともに、半導体集積回路製造技術と同様の技術を用いて単結晶シリコンなどの半導体領域に一体的に形成され、半導体システムの一例である固体撮像装置として構成される。
これらの各機能部は、半導体集積回路製造技術と同様の技術を用いて単結晶シリコンなどの半導体領域に一体的に形成されたいわゆる1チップもの(同一の半導体基板上に設けられているもの)として、半導体システムの一例であるCMOSイメージセンサとして、本実施形態の固体撮像装置1の一部をなすように構成される。
なお、固体撮像装置1は、このように各部が半導体領域に一体的に形成された1チップとして形成された形態であってもよいし、図示を割愛するが、画素アレイ部10、駆動制御部7、カラム処理部26などの各種の信号処理部の他に、撮影レンズ、光学ローパスフィルタ、あるいは赤外光カットフィルタなどの光学系をも含む状態で、これらを纏めてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態としてもよい。
水平走査部12や垂直走査部14は、たとえばデコーダを含んで構成され、通信・タイミング制御部20から与えられる制御信号CN1,CN2に応答してシフト動作(走査)を開始するようになっている。このためたとえば、行制御線15には、単位画素3を駆動するための種々のパルス信号(たとえば、初期化制御電位を規定する画素リセットパルスRST 、転送制御電位を規定する転送パルスTRG 、垂直選択パルスVSELなど)が含まれる。
通信・タイミング制御部20は、図示しないが、各部の動作に必要なクロックや所定タイミングのパルス信号を供給するタイミングジェネレータTG(読出アドレス制御装置の一例)の機能ブロックと、端子5aを介して外部の主制御部から供給されるマスタークロックCLK0を受け取り、また端子5bを介して外部の主制御部から供給される動作モードなどを指令するデータを受け取り、さらに固体撮像装置1の情報を含むデータを外部の主制御部に出力する通信インタフェースの機能ブロックとを備える。
通信・タイミング制御部20は、たとえば、水平アドレス信号を水平デコーダ12aへ、また垂直アドレス信号を垂直デコーダ14aへ出力し、各デコーダ12a,14aは、それを受けて対応する行もしくは列を選択する。
この際、単位画素3を2次元マトリクス状に配置してあるので、画素信号生成部5により生成され垂直信号線19を介して列方向に出力されるアナログの画素信号を行単位で(列並列で)アクセスし取り込む(垂直)スキャン読みを行ない、この後に、垂直列の並び方向である行方向にアクセスし画素信号(本例ではデジタル化された画素データ)を出力側へ読み出す(水平)スキャン読みを行なうようにすることで、画素信号や画素データの読出しの高速化を図るのがよい。もちろん、スキャン読みに限らず、読み出したい単位画素3を直接にアドレス指定することで、必要な単位画素3の情報のみを読み出すランダムアクセスも可能である。
また、通信・タイミング制御部20では、端子5aを介して入力される入力クロック(マスタークロック)CLK0と同じ周波数のクロックCLK1や、それを2分周したクロックやより分周した低速のクロックをデバイス内の各部、たとえば水平走査部12、垂直走査部14、カラム処理部26などに供給する。以下、2分周したクロックやそれ以下の周波数のクロック全般を纏めて、低速クロックCLK2とも言う。
垂直走査部14は、画素アレイ部10の行を選択し、その行に必要なパルスを供給するものである。たとえば、垂直方向の読出し行を規定する(画素アレイ部10の行を選択する)垂直デコーダ14aと、垂直デコーダ14aにて規定された読出アドレス上(行方向)の単位画素3に対する行制御線15にパルスを供給して駆動する垂直駆動部14bとを有する。なお、垂直デコーダ14aは、信号を読み出す行(読出し行:選択行や信号出力行とも称する)の他に、電子シャッタ用の行なども選択する。
ここで、本実施形態のCMOS型の固体撮像装置1のように、X−Yアドレス型の撮像装置では各面素の蓄積フレーム時間ごとに読み出される蓄積順次読出方式となり、ここでは行単位で駆動パルスを供給するので、同じ期間中に光電変換素子に入射した光を信号電荷として蓄積し、全画素から同時に垂直CCDに読み出すことで蓄積の同時性を満たす蓄積同時化読出方式すなわちグローバル露光(Global Exposure )となるCCD型とは大きく異なり、ライン露光(ローリングシャッタ(Rolling Shutter )もしくはフォーカルプレーン蓄積とも称する)となる。
このローリングシャッタ方式の電子シャッタ動作としては、ある読出し行がシャッタ動作の行(シャッタ動作行)に設定され単位画素3を構成する光電変換素子(検知部)に対するリセット処理がなされた時点から、その読出し行が読出し動作の行(読出し動作行)に設定され実際に信号電荷を垂直信号線19側に読み出すまでの時間が露光時間となる。
水平走査部12は、低速クロックCLK2に同期してカラム処理部26のカラムAD回路25を順番に選択し、その信号を水平信号線(水平出力線)18に導くものである。たとえば、水平方向の読出列を規定する(カラム処理部26内の個々のカラムAD回路25を選択する)水平デコーダ12aと、水平デコーダ12aにて規定された読出アドレスに従って、カラム処理部26の各信号を水平信号線18に導く水平駆動部12bとを有する。なお、水平信号線18は、たとえばカラムAD回路25が取り扱うビット数n(nは正の整数)分、たとえば10(=n)ビットならば、そのビット数分に対応して10本配置される。
このような構成の固体撮像装置1において、単位画素3から出力された画素信号は、垂直列ごとに、垂直信号線19を介して、カラム処理部26のカラムAD回路25に供給される。
カラム処理部26の各カラムAD回路25は、対応する列の単位画素3のアナログ信号Soを受けて、そのアナログ信号Soを処理する。たとえば、各カラムAD回路25は、アナログ信号Soを、たとえば低速クロックCLK2を用いて、たとえば10ビットのデジタル信号に変換するADC(Analog Digital Converter)回路を持つ。
カラム処理部26におけるAD変換処理としては、行単位で並列に保持されたアナログ信号Soを、列ごとに設けられたカラムAD回路25を使用して、行ごとに並列にAD変換する方法を採る。この際には、シングルスロープ積分型(あるいはランプ信号比較型)のAD変換の手法を使用する。この手法は、簡単な構成でAD変換器が実現できるため、並列に設けても回路規模が大きくならないという特徴を有している。
シングルスロープ積分型のAD変換に当たっては、変換開始から参照信号Vslopと処理対象信号電圧とが一致するまでの時間に基づいて、アナログの処理対象信号をデジタル信号に変換する。このための仕組みとしては、原理的には、コンパレータ(電圧比較器)にランプ状の参照信号Vslopを供給するとともに、クロック信号でのカウント(計数)を開始し、垂直信号線19を介して入力されたアナログの画素信号を参照信号Vslopと比較することによって比較結果を示すパルス信号が得られるまでのクロック数をカウントすることでAD変換を行なう。
また、この際、回路構成を工夫することで、AD変換とともに、垂直信号線19を介して入力された電圧モードの画素信号に対して、画素リセット直後の信号レベル(ノイズレベルもしくはリセットレベルと称する)と真の(受光光量に応じた)信号レベルVsig との差分をとる処理(いわゆるCDS処理と等価)を行なうことができる。これにより、固定パターンノイズ(FPN;Fixed Pattern Noise )やリセットノイズと言われるノイズ信号成分を取り除くことができる。
<参照信号生成部とカラムAD回路との詳細>
参照信号生成部27は、DA変換回路(DAC;Digital Analog Converter)27aを有して構成されており、通信・タイミング制御部20からの制御データCN4で示される初期値からカウントクロックCKdac に同期して、階段状の鋸歯状波(ランプ波形;以下参照信号Vslopとも称する)を生成して、カラム処理部26の個々のカラムAD回路25に、この生成した階段状の鋸歯状波の参照信号VslopをAD変換用の参照電圧(ADC基準信号)として供給するようになっている。なお、図示を割愛しているが、ノイズ防止用のフィルタを設けるとよい。
なお、この参照信号Vslopは、たとえば逓倍回路で生成される逓倍クロックを元に生成される高速クロックを基準とすることで、端子5aを介して入力されるマスタークロックCLK0に基づき生成するよりも高速に変化させることができる。
通信・タイミング制御部20から参照信号生成部27のDA変換回路27aに供給する制御データCN4は、比較処理ごとの参照信号Vslopが基本的には同じ傾き(変化率)となるように、時間に対するデジタルデータの変化率を同じにする情報も含んでいる。具体的には、カウントクロックCKdac に同期して、単位時間ごとに1ずつカウント値を変化させ、そのカウント値を電流加算型のDA変換回路で電圧信号に変換するようにする。
カラムAD回路25は、参照信号生成部27のDA変換回路27aで生成される参照信号Vslopと、行制御線15(V1,V2,V3,…,Vv)ごとに単位画素3から垂直信号線19(H1,H2,…,Hh)を経由し得られるアナログの画素信号を比較する電圧比較部(コンパレータ)252と、電圧比較部252が比較処理を完了するまでの時間をカウントし、その結果を保持するカウンタ部254とを備えて構成されnビットAD変換機能を有している。
ここで、本実施形態では、列ごとに配された電圧比較部252にDA変換回路27aから参照信号Vslopが共通に供給され、各電圧比較部252が処理を担当する画素信号電圧Vxについて、共通の参照信号Vslopを使用して比較処理を行なうようになっている。
通信・タイミング制御部20は、電圧比較部252が画素信号のリセットレベルVrst と信号成分Vsig の何れについて比較処理を行なっているのかに応じてカウンタ部254におけるカウント処理のモードを切り替える制御部の機能を持つ。この通信・タイミング制御部20から各カラムAD回路25のカウンタ部254には、カウンタ部254がダウンカウントモードで動作するのかアップカウントモードで動作するのかや、その他の制御情報を指示するための制御信号CN5が入力されている。
電圧比較部252の一方の入力端子RAMPは、他の電圧比較部252の入力端子RAMPと共通に、参照信号生成部27で生成される階段状の参照信号Vslopが入力され、他方の入力端子には、それぞれ対応する垂直列の垂直信号線19が接続され、画素アレイ部10からの画素信号電圧が個々に入力される。電圧比較部252の出力信号はカウンタ部254に供給される。
カウンタ部254のクロック端子CKには、他のカウンタ部254のクロック端子CKと共通に、通信・タイミング制御部20からカウントクロックCK0が入力されている。
このカウンタ部254は、その構成については図示を割愛するが、ラッチで構成されたデータ記憶部の配線形態を同期カウンタ形式に変更することで実現でき、1本のカウントクロックCK0の入力で、内部カウントを行なうようになっている。カウントクロックCK0も、参照信号Vslopと同様に、逓倍回路で生成される逓倍クロック(高速クロック)を使用することができ、この場合、端子5aを介して入力されるマスタークロックCLK0を使用するよりも高分解能にできる。
ここで、カウンタ部254は、カウントモードに拘わらず共通のアップダウンカウンタ(U/D CNT)を用いて、ダウンカウント動作とアップカウント動作とを切り替えて(具体的には交互に)カウント処理を行なうことが可能に構成されている点に特徴を有する。
また、本実施形態のカウンタ部254としては、カウント出力値がカウントクロックCK0に同期せずに出力される非同期カウンタを使用するのが好ましい。基本的には、同期カウンタを使用することもできるが、同期カウンタの場合、全てのフリップフロップ(カウンタ基本要素)の動作がカウントクロックCK0で制限される。よって、より高周波数動作が要求される場合には、カウンタ部254としては、その動作制限周波数が最初のフリップフロップ(カウンタ基本要素)の制限周波数でのみ決められるため高速動作に適する非同期カウンタの使用がより好ましいのである。
カウンタ部254には、水平走査回路12から制御線12cを介して制御パルスが入力される。カウンタ部254は、カウント結果を保持するラッチ機能を有しており、制御線12cを介しての制御パルスによる指示があるまでは、カウンタ出力値を保持する。
個々のカラムAD回路25の出力側は、たとえば、カウンタ部254の出力を水平信号線18に接続することができる。あるいは、図示のように、カウンタ部254の後段に、このカウンタ部254の保持したカウント結果を保持するnビットのメモリ装置としてのデータ記憶部256と、カウンタ部254とデータ記憶部256との間に配されたスイッチ258とを備える構成を採ることもできる。
データ記憶部256を備える構成を採る場合、スイッチ258には、他の垂直列のスイッチ258と共通に、通信・タイミング制御部20から、所定のタイミングで、制御パルスとしてのメモリ転送指示パルスCN8が供給される。スイッチ258は、メモリ転送指示パルスCN8が供給されると、対応するカウンタ部254のカウント値をデータ記憶部256に転送する。データ記憶部256は、転送されたカウント値を保持・記憶する。
なお、カウンタ部254のカウント値を所定のタイミングでデータ記憶部256に保持させる仕組みは、両者間にスイッチ258を配する構成に限らず、たとえば、カウンタ部254とデータ記憶部256とを直接に接続しつつ、カウンタ部254の出力イネーブルをメモリ転送指示パルスCN8で制御することで実現することもできるし、データ記憶部256のデータ取込タイミングを決めるラッチクロックとしてメモリ転送指示パルスCN8を用いることでも実現できる。
データ記憶部256には、水平走査回路12から制御線12cを介して制御パルスが入力される。データ記憶部256は、制御線12cを介しての制御パルスによる指示があるまでは、カウンタ部254から取り込んだカウント値を保持する。
水平走査回路12は、カラム処理部26の各電圧比較部252とカウンタ部254とが、それぞれが担当する処理を行なうのと並行して、各データ記憶部256が保持していたカウント値を読み出す読出走査部の機能を持つ。
データ記憶部256の出力は、水平信号線18に接続されている。水平信号線18は、カラムAD回路25のビット幅であるnビット幅分の信号線を有し、図示しないそれぞれの出力線に対応したn個のセンス回路を経由して出力回路28に接続される。
特に、データ記憶部256を備えた構成とすれば、カウンタ部254が保持したカウント結果を、データ記憶部256に転送することができるため、カウンタ部254のカウント動作すなわちAD変換処理と、カウント結果の水平信号線18への読出動作とを独立して制御可能であり、AD変換処理と外部への信号の読出動作とを並行して行なうパイプライン動作が実現できる。
このような構成において、カラムAD回路25は、水平ブランキング期間に相当する画素信号読出期間において、カウント動作を行ない、所定のタイミングでカウント結果を出力する。すなわち、先ず、電圧比較部252では、参照信号生成部27からのランプ波形電圧と、垂直信号線19を介して入力される画素信号電圧とを比較し、双方の電圧が同じになると、電圧比較部252のコンパレート出力が反転する。たとえば、電圧比較部252は、電源電位などのHレベルをインアクティブ状態として、画素信号電圧Vxと参照信号Vslopとが一致したときに、Lレベル(アクティブ状態)へ遷移する。
カウンタ部254は、参照信号生成部27から発せられるランプ波形電圧に同期してダウンカウントモードもしくはアップカウントモードでカウント動作を開始しており、コンパレート出力の反転した情報がカウンタ部254に通知されると、カウント動作を停止し、その時点のカウント値を画素データとしてラッチ(保持・記憶)することでAD変換を完了する。
この後、カウンタ部254は、所定のタイミングで水平走査回路12から制御線12cを介して入力される水平選択信号CH(i)によるシフト動作に基づいて、記憶・保持した画素データを、順次、カラム処理部26外や画素アレイ部10を有するチップ外へ出力端子5cから出力する。
なお、本実施形態の説明としては直接関連しないため特に図示しないが、その他の各種信号処理回路なども、固体撮像装置1の構成要素に含まれる場合がある。
<単位画素の回路構成例>
図2および図2Aは、図1に示した固体撮像装置1に使用される単位画素3の構成例を説明する図である。図2は、単位画素3を構成する各構成要素の画素セルレイアウト例を示す図である。また、図2Aは、その単位画素3の回路構成例と、駆動部と駆動制御線と画素トランジスタの接続態様を示す図である。画素アレイ部10内の単位画素(画素セル)3の構成は、通常のCMOSイメージセンサと同様であり、本実施形態では、CMOSセンサとして汎用的な4TR構成のものを記載しているが、3つのトランジスタからなる3TR構成のものを使用することができる。もちろん、これらの画素構成は一例であり、通常のCMOSイメージセンサのアレイ構成であれば、何れのものでも使用できる。
画素内アンプとしては、たとえばフローティングディフュージョンアンプ構成のものが用いられる。一例としては、電荷生成部に対して、電荷読出部(転送ゲート部/読出ゲート部)の一例である読出選択用トランジスタ、リセットゲート部の一例であるリセットトランジスタ、垂直選択用トランジスタ、およびフローティングディフュージョンの電位変化を検知する検知素子の一例であるソースフォロア構成の増幅用トランジスタを有する、CMOSセンサとして汎用的な4つのトランジスタからなる構成(以下4TR構成とも言う)のものを使用することができる。
たとえば、図2Aに示す4TR構成の単位画素3は、光を受光して電荷に変換する光電変換機能とともに、その電荷を蓄積する電荷蓄積機能の各機能を兼ね備えた電荷生成部32と、電荷生成部32に対して、電荷読出部(転送ゲート部/読出ゲート部)の一例である読出選択用トランジスタ(転送トランジスタ)34、リセットゲート部の一例であるリセットトランジスタ36、垂直選択用トランジスタ40、およびフローティングディフュージョン38の電位変化を検知する検知素子の一例であるソースフォロア構成の増幅用トランジスタ42を有する。
この単位画素3は、電荷蓄積部の機能を備えた電荷注入部の一例であるフローティングディフュージョン38とからなるFDA(Floating Diffusion Amp)構成の画素信号生成部5を有するものとなっている。フローティングディフュージョン38は寄生容量を持った拡散層である。
転送部を構成する読出選択用トランジスタ34は、転送信号φTRG が供給される転送駆動バッファBF1により転送配線(読出選択線TX)55を介して駆動されるようになっている。初期化部を構成するリセットトランジスタ36は、リセット信号φRST が供給されるリセット駆動バッファBF2によりリセット配線(RST)56を介して駆動されるようになっている。垂直選択用トランジスタ40は、垂直選択信号φVSELが供給される選択駆動バッファBF3により垂直選択線(SEL)52を介して駆動されるようになっている。各駆動バッファは、垂直走査部14の垂直駆動部14bによって駆動可能になっている。
フォトダイオードPDなどの受光素子DET で構成される検知部の一例である電荷生成部32は、受光素子DET の一端(アノード側)が低電位側の基準電位Vss(負電位:たとえば−1V程度)に接続され、他端(カソード側)が読出選択用トランジスタ34の入力端(典型的にはソース)に接続されている。なお、基準電位Vssは接地電位GND とすることもある。
読出選択用トランジスタ34は、出力端(典型的にはドレイン)がリセットトランジスタ36とフローティングディフュージョン38と増幅用トランジスタ42とが接続される接続ノードに接続され、制御入力端(ゲート)には転送駆動バッファBF1から転送パルスTRG が供給される。
画素信号生成部5におけるリセットトランジスタ36は、ソースがフローティングディフュージョン38に、ドレインが電源Vrd(通常は電源Vddと共通にする)にそれぞれ接続され、ゲート(リセットゲートRG)には画素リセットパルスRST がリセット駆動バッファから入力される。
詳細は後述するが、本実施形態においては、リセットトランジスタ36としては、ディプレッション(Depletion )構造のものを用いるのが好ましい。これは、リセットトランジスタ36がオン時に、単位画素3の電源となるリセット電圧Vrdとフローティングディフュージョン38の電位をばらつきなく一致させるため、また、確実にリセットさせて残像をなくすためである。リセット電源Vrdと増幅用トランジスタ42用の電源Vddとを共通にすると、リセットトランジスタ36がオン時のフローティングディフュージョン38の電位は、各電源線の電位レベルに概ね(閾値電圧を考慮して)一致する。
なお、リセットトランジスタ36としてディプレッション構造のものを使用すると、リセットトランジスタ36がオフ状態(非選択時)においてもリーク電流が流れ得る。詳細は後述するが、本実施形態では、この特性を、間引読出しモード時のブルーミング対策の一手法に利用する。
垂直選択用トランジスタ40は、一例として、ドレインが増幅用トランジスタ42のソースに、ソースが画素線51にそれぞれ接続され、ゲート(特に垂直選択ゲートSELVという)が垂直選択線52に接続されている。なおこのような接続構成に限らず、垂直選択用トランジスタ40と増幅用トランジスタ42の配置を逆にして、垂直選択用トランジスタ40は、ドレインが電源Vddに、ソースが増幅用トランジスタ42のドレインに接続され、増幅用トランジスタ42のソースが画素線51に接続されるようにしてもよい。垂直選択線52には、垂直選択信号SELが印加される。
増幅用トランジスタ42は、ゲートがフローティングディフュージョン38に接続され、ドレインが電源Vddに、ソースは垂直選択用トランジスタ40を介して画素線51に接続され、さらに垂直信号線53(19)に接続されるようになっている。
転送パルスTRG 、画素リセットパルスRST 、および垂直選択パルスVSELは、一般的には、何れもアクティブH(ハイ;電源電圧レベル)、インアクティブL(ロー:基準レベル)の2値パルスが使用される。電源電圧レベルはたとえば3V程度とする。基準レベルは、たとえば、0.4〜0.7Vあるいは接地レベルの0Vとするが、場合によっては、一部のパルスについては、−1V程度の負電位とすることもある。
本実施形態では、この内の読出選択用トランジスタ34のゲートに供給する転送パルスTRG に関しては、電源電圧レベルと基準レベルの2種類の電位を使用する2値駆動だけでなく、ハイレベルとローレベルの間の任意の電圧(中間電圧と称する:ハイレベルとローレベルを含まない)をも使用する少なくとも3種類以上の電位を使用する駆動(代表して3値駆動と称する)も適用可能にする。
通常の全画素読出しモード時には3値の内の両端の2値を使う2値駆動にするが、間引き読出しモード時には、読出し行と間引き行とで、3値の内の両端の2値と3値を使い分けることで、間引読出しモード時のブルーミング対策を行なう。この対処のため、転送駆動バッファBF1には、3値駆動の対応をとるための制御情報(3値制御信号G)が供給されるようになっている。2値と3値の使い分けや3値制御信号Gについては、後で詳しく説明する。
さらに垂直信号線53は、その一端がカラム処理部26側に延在するとともに、その経路において、読出電流源部24が接続され、増幅用トランジスタ42との間で、略一定の動作電流(読出電流)が供給されるソースフォロワ構成が採られるようになっている。
具体的には、読出電流源部24は、各垂直列に設けられたNMOS型のトランジスタ(特に負荷MOSトランジスタという)242と、全垂直列に対して共用される電流生成部245およびゲートおよびドレインが共通に接続されソースがソース線248に接続されたNMOS型のトランジスタ246を有する基準電流源部244とを備えている。
各負荷MOSトランジスタ242は、ドレインが対応する列の垂直信号線53に接続され、ソースが接地線であるソース線248に共通に接続されている。これにより、各垂直列の負荷MOSトランジスタ242は基準電流源部244のトランジスタ246との間でゲート同士が接続されカレントミラー回路を構成し、垂直信号線19に対し電流源として機能するように接続されている。
ソース線248は、水平方向の端部(図1の左右の垂直列)で基板バイアスである接地(GND )に接続され、負荷MOSトランジスタ242の接地に対する動作電流(読出電流)が、チップの左右両端から供給されるような構成となっている。
電流生成部245には、必要時にのみ所定電流を出力するようにするための負荷制御信号SFLACTが、図示しない負荷制御部から供給されるようになっている。電流生成部245は、信号読出し時には、負荷制御信号SFLACTのアクティブ状態が入力されることで、各増幅用トランジスタ42に接続された負荷MOSトランジスタ242によって、予め決められた定電流を流し続けるようになっている。つまり、負荷MOSトランジスタ242は、選択行の増幅用トランジスタ42とソースフォロアを組んで読出電流を増幅用トランジスタ42に供給することで垂直信号線53への信号出力をさせる。
このような4TR構成では、フローティングディフュージョン38は増幅用トランジスタ42のゲートに接続されているので、増幅用トランジスタ42はフローティングディフュージョン38の電位(以下FD電位という)に対応した信号を電圧モードで、画素線51を介して垂直信号線19(53)に出力する。
リセットトランジスタ36は、フローティングディフュージョン38をリセットする。読出選択用トランジスタ(転送トランジスタ)34は、電荷生成部32にて生成された信号電荷をフローティングディフュージョン38に転送する。垂直信号線19には多数の画素が接続されているが、画素を選択するのには、選択画素のみ垂直選択用トランジスタ40をオンする。すると選択画素のみが垂直信号線19と接続され、垂直信号線19には選択画素の信号が出力される。
<画素構造>
図3は、図2に示した単位画素3の、電荷生成部32およびフローティングディフュージョン38に着目したB−B'断面線およびC−C'断面線における濃度分布(プロファイル)断面構造の模式図である。図3Aは、図3のA−A'断面線および図2のB−B'断面線のポテンシャル断面図の一例である。
一例として、n型シリコン基板(第1導電型の半導体基板NSUB)上に、第2導電型の半導体層としてのp型不純物(Pウェル)が形成されており、第2導電型の半導体層に第1導電型の不純物をイオン注入することによって形成された電荷蓄積層(第1センサ領域)を具備したフォトダイオードPDがセンサ部(受光部)として形成される。つまり、n型の半導体基板NSUBを用い、電荷生成部32として、Pウェル内にn型のフォトダイオードPDを形成している。光を受光し光電変換して得た信号電荷が、電荷蓄積層に蓄積される。
また、さらに好ましくは、このようなセンサ部(フォトダイオードPD)において、N+ 型不純物領域かなるNPダイオードの表面側の電荷蓄積層上にさらに、P+ 型不純物領域からなる正孔蓄積層(第2センサ領域とも言う)が積層された、いわゆるHAD(Hole Accumulated Diode)構造とする。
この場合、読出しゲート部TRG 下のp型濃度をフォトダイオードPD下のウェルのp型濃度より濃くし、読出しゲート部TRG 下のフォトダイオードPDとフローティングディフュージョンFD間のポテンシャル障壁が、フォトダイオードPDとウェル間のポテンシャル障壁よりも、高くなるように形成する。
フォトダイオードPDに対しての露光量が多くなり電荷(たとえば電子)が過度に発生すると、フォトダイオードPD内に溢れた電荷はポテンシャル障壁の低い方向に排出されるため、フォトダイオードPD下のウェルから半導体基板NSUB方向に電荷を排出する、いわゆる縦型オーバーフロードレイン構造を採ることで、横方向のブルーミングを抑制するようにしている。
しかしながら、このような縦型オーバーフロードレイン構造を採っても、ウェルを通しての電荷の移動が少なからず存在する。電荷生成部32から溢れ出す電荷量が少なければ、縦型オーバーフロードレイン構造によるブルーミング抑制の利点の方が優り問題とならないが、溢れ出す電荷量が多くなり過ぎると、このウェルを通しての電荷移動が多くなり、隣接画素へのブルーミングの問題が少なからず残ってしまうことがある。その事例については後述する。
<固体撮像装置の動作;基本動作>
図4は、図1に示した固体撮像装置1のカラムAD回路25における基本動作である信号取得差分処理を説明するためのタイミングチャートである。
画素アレイ部10の各単位画素3で感知されたアナログの画素信号をデジタル信号に変換する仕組みとしては、たとえば、所定の傾きで下降する(階段状に下降する場合でもよい)ランプ波形状の参照信号Vslopと単位画素3からの画素信号における基準成分や信号成分の各電圧とが一致する点を探し、この比較処理で用いる参照信号Vslopの生成(変化開始)時点から、画素信号における基準成分や信号成分に応じた電気信号と参照信号とが一致した時点までをカウントクロックでカウント(計数)することで、基準成分や信号成分の各大きさに対応した画素信号レベルのカウント値を得る手法を採る。
つまり、垂直信号線19に読み出したアナログの画素信号電圧Vxを、列ごとに配置されたカラムAD回路25の電圧比較部252で参照信号Vslopと比較する。このとき、電圧比較部252と同様に列ごとに配置されたカウンタ部254を動作させておき、参照信号Vslopのある電位とカウンタ部254とを1対1の対応をとりながら変化させることで、垂直信号線19の画素信号電圧Vxをデジタルデータに変換する。ここで、参照信号Vslopの変化は電圧の変化を時間の変化に変換するものであり、その時間をある周期(クロック)で量子化しながらカウンタ部254で数えることで、デジタルデータに変換する。参照信号Vslopがある時間Δtの間にΔV変化するとして、Δtの周期でカウンタ部254を動作させると参照信号VslopがN×ΔV変化したときのカウンタ値はNとなる。
ここで、垂直信号線19から出力される画素信号So(画素信号電圧Vx)は、時間系列として、基準レベルとしての画素信号の雑音を含むリセットレベルSrst の後に信号レベルSsig が現れるものである。P相の処理を基準レベル(リセットレベルSrst 、事実上リセットレベルVrst と等価)について行なう場合、D相の処理はリセットレベルSrst に信号成分Vsig を加えた信号レベルSsig についての処理となる。
以下、リセット制御信号CLRとカウントモード制御信号UDCとデータ保持制御パルスHLDCとが制御情報CN5として、通信・タイミング制御部20からカウンタ部254へ供給されるものとして、具体的に説明する。
先ず、リセットレベルSrst についてのAD変換期間であるプリチャージ相(P相と省略して記すこともある)の信号取得時には、通信・タイミング制御部20は、リセット制御信号CLRをアクティブHにして、カウンタ部254の各フリップフロップ510の非反転出力端Qから出力されるカウント値を初期値“0”にリセットさせるとともに、カウンタ部254をダウンカウントモードに設定する(t1)。このとき、通信・タイミング制御部20は、データ保持制御パルスHLDCをアクティブHに、またカウントモード制御信号UDCをローレベル(つまりダウンカウントモード)にしておく。
またこのとき、単位画素3では、読出対象行Vnの垂直選択信号φVSELをアクティブHにして画素信号Soの垂直信号線19への出力を許可し、ほぼ同時にリセット信号φRST をアクティブHにしてフローティングディフュージョン38をリセット電位にする(t1〜t2)。このリセット電位が画素信号Soとして垂直信号線19に出力される。これにより、画素信号電圧Vxとしては、リセットレベルSrst が垂直信号線19に現れるようになる。
垂直信号線19(H1,H2,…)上のリセットレベルSrst が収束して安定となったら、通信・タイミング制御部20は、カウンタ部254におけるカウント動作開始と同時に参照信号Vslopが変化し始めるようにするべく、制御データCN4として、データ保持制御パルスHLDCを使用し、このデータ保持制御パルスHLDCをインアクティブLにする(t10)。
これを受けて、参照信号生成部27は、電圧比較部252の一方の入力端子RAMPへの比較電圧である参照信号Vslopとして、初期電圧SLP_iniを始点とする、全体として鋸歯状(RAMP状)に時間変化させた階段状もしくは線形状の電圧波形を入力する。電圧比較部252は、この参照信号Vslopと画素アレイ部10から供給される垂直信号線19の画素信号電圧Vxとを比較する。
電圧比較部252の入力端子RAMPへの参照信号Vslopの入力と同時に、電圧比較部252における比較時間を、参照信号生成部27から発せられる参照信号Vslopに同期して、行ごとに配置されたカウンタ部254で計測する。実際には、参照信号Vslopの生成のためにデータ保持制御パルスHLDCがインアクティブLにされており、これによってデータ保持部512の保持動作が解除されるので、カウンタ部254は、P相のカウント動作として、初期値“0”からダウンカウントを開始する。すなわち、負の方向にカウント処理を開始する。
電圧比較部252は、参照信号生成部27からのランプ状の参照信号Vslopと垂直信号線19を介して入力される画素信号電圧Vxとを比較し、双方の電圧が同じになったときに、コンパレート出力をHレベルからLレベルへ反転させる。つまり、リセットレベルVrst に応じた電圧信号(リセットレベルSrst )と参照信号Vslopとを比較して、リセットレベルVrst の大きさに対応した時間軸方向に大きさを持っているアクティブロー(L)のパルス信号を生成して、カウンタ部254に供給する。
この結果を受けて、カウンタ部254は、コンパレート出力の反転とほぼ同時にカウント動作を停止し、その時点のカウント値(符号を加味して“−Drst ”とする)を画素データとしてラッチ(保持・記憶)することでAD変換を完了する。つまり、電圧比較部252における比較処理によって得られる時間軸方向に大きさを持っているアクティブロー(L)のパルス信号の幅をカウントクロックCK0でカウント(計数)することで、リセットレベルVrst の大きさに対応したデジタル値Drst を示す(符号を加味すれば−Drst を示す)カウント値を得る。
通信・タイミング制御部20は、所定のダウンカウント期間を経過すると、データ保持制御パルスHLDCをアクティブHにする(t14)。これにより、参照信号生成部27は、ランプ状の参照信号Vslopの生成を停止し(t14)、初期電圧SLP_iniに戻る。
P相の処理時は、画素信号電圧VxにおけるリセットレベルVrst を電圧比較部252で検知してカウンタ部254でカウント動作を行なっているので、単位画素3のリセットレベルVrst を読み出してリセットレベルVrst のAD変換を実施することになる。
続いての信号レベルSsig についてのAD変換期間であるデータ相(D相と省略して記すこともある)の信号取得時には、リセットレベルVrst に加えて、単位画素3ごとの入射光量に応じた信号成分Vsig を読み出し、P相の読出しと同様の動作を行なう。すなわち、先ず通信・タイミング制御部20は、カウントモード制御信号UDCをハイレベルにしてカウンタ部254をアップカウントモードに設定する(t16)。
またこのとき、単位画素3では、読出対象行Vnの垂直選択信号φVSELをアクティブHにしたままで転送信号φTRG をアクティブHにして垂直信号線19に信号レベルSsig を読み出す(t18〜t19)。
垂直信号線19(H1,H2,…)上の信号レベルSsig が収束して安定となったら、通信・タイミング制御部20は、カウンタ部254におけるカウント動作開始と同時に参照信号Vslopが変化し始めるようにするべく、制御データCN4として、データ保持制御パルスHLDCを使用し、このデータ保持制御パルスHLDCをインアクティブLにする(t20)。
これを受けて、参照信号生成部27は、電圧比較部252の一方の入力端子RAMPへの比較電圧である参照信号Vslopとして、初期電圧SLP_iniを始点としP相と同じ傾きを持った全体として鋸歯状(RAMP状)に時間変化させた階段状もしくは線形状の電圧波形を入力する。電圧比較部252は、この参照信号Vslopと画素アレイ部10から供給される垂直信号線19の画素信号電圧Vxとを比較する。
電圧比較部252の入力端子RAMPへの参照信号Vslopの入力と同時に、電圧比較部252における比較時間を、参照信号生成部27から発せられる参照信号Vslopに同期して、行ごとに配置されたカウンタ部254で計測する。ここでも、実際には、参照信号Vslopの生成のためにデータ保持制御パルスHLDCがインアクティブLにされており、これによってデータ保持部512の保持動作が解除されるので、カウンタ部254は、D相のカウント動作として、P相の読出しおよびAD変換時に取得された画素信号電圧VxのリセットレベルSrst のデジタル値Drst (ここでは負の値となっている)から、P相とは逆にアップカウントを開始する。すなわち、正の方向にカウント処理を開始する。
電圧比較部252は、参照信号生成部27からのランプ状の参照信号Vslopと垂直信号線19を介して入力される画素信号電圧Vxとを比較し、双方の電圧が同じになったときに、コンパレート出力をHレベルからLレベルへ反転させる(t22)。つまり、信号成分Vsig に応じた電圧信号(画素信号電圧Vxの信号レベルSsig )と参照信号Vslopとを比較して、信号成分Vsig の大きさに対応した時間軸方向に大きさを持っているアクティブロー(L)のパルス信号を生成して、カウンタ部254に供給する。
この結果を受けて、カウンタ部254は、コンパレート出力の反転とほぼ同時にカウント動作を停止し、その時点のカウント値を画素データとしてラッチ(保持・記憶)することでAD変換を完了する(t22)。つまり、電圧比較部252における比較処理によって得られる時間軸方向に大きさを持っているアクティブロー(L)のパルス信号の幅をカウントクロックCK0でカウント(計数)することで、画素信号電圧Vxにおける信号レベルSsig に対応したカウント値を得る。
所定のアップカウント期間を経過すると、単位画素3では、読出対象行Vnの垂直選択信号φVSELをインアクティブLにして画素信号Soの垂直信号線19への出力を禁止し、次の読出対象行Vn+1について、垂直選択信号φVSELをアクティブHにする(t26)。このとき、通信・タイミング制御部20は、次の読出対象行Vn+1についての処理に備える。たとえば、カウントモード制御信号UDCをローレベルにしてカウンタ部254をアッダウンカウントモードに設定する。
このD相の処理時は、画素信号電圧Vxにおける信号レベルSsig を電圧比較部252で検知してカウント動作を行なっているので、単位画素3の信号成分Vsig を読み出して信号レベルSsig のAD変換を実施することになる。
ここで、信号レベルSsig は、リセットレベルSrst に信号成分Vsig を加えたレベルであるので、信号レベルSsig のAD変換結果のカウント値は、基本的には“Drst +Dsig ”であるが、アップカウントの開始点を、リセットレベルSrst のAD変換結果である“−Drst ”としているので、実際に保持されるカウント値は、“−Drst +(Dsig+Drst ) =Dsig ”となる。
つまり、本実施形態においては、カウンタ部254におけるカウント動作を、P相の処理時にはダウンカウント、D相の処理時にはアップカウントとしているので、カウンタ部254内で自動的に、リセットレベルSrst のAD変換結果であるカウント値“−Drst ”と信号レベルSsig のAD変換結果であるカウント値“Drst +Dsig ”との間での差分処理(減算処理)が自動的に行なわれ、この差分処理結果に応じたカウント値Dsig がカウンタ部254に保持される。この差分処理結果に応じたカウンタ部254に保持されるカウント値Dsig は信号成分Vsig に応じたものとなる。
上述のようにして、P相の処理時におけるダウンカウントとD相の処理時におけるアップカウントといった、2回の読出しとカウント処理によるカウンタ部254内での差分処理によって、単位画素3ごとのばらつきを含んだリセットレベルVrst を除去することができ、単位画素3ごとの入射光量に応じた信号成分Vsig のみのAD変換結果を簡易な構成で取得することができる。
よって、本実施形態のカラムAD回路25は、アナログの画素信号をデジタルの画素データに変換するデジタル変換部としてだけでなく、CDS(Correlated Double Sampling ;相関2重サンプリング)処理機能部としても動作することとなる。
また、本実施形態のカラムAD回路25では、カウンタ部254の後段にデータ記憶部256を備えており、カウンタ部254の動作前に、通信・タイミング制御部20からのメモリ転送指示パルスCN8に基づき、前行Hx−1のカウント結果をデータ記憶部256に転送することができる。
つまり、AD変換期間終了後、カウンタ部254内のデータをデータ記憶部256へと退避し、カラムAD回路25は次の行Vx+1のAD変換を開始する。データ記憶部256内のデータは、その裏で水平走査回路12により順に選択され、出力回路28を用いて読み出すことができる。
<<間引き読出しモード>>
ここで、図1に示した固体撮像装置1は、画素アレイ部10からの画素信号の読出しを行単位で一度に行なうタイプのCMOSセンサであり、全画素読出しモードと間引き読出しモードの、2つの読出しモードを有する。
画素アレイ部10を構成する全ての単位画素3から画素信号電圧Vxを読み出す全画素読出しモード時には、シャッタ行に対する処理と読出し行に対する処理とを第1行から最終行まで、全ての行を順に選択して、図6に示したようなタイミングで処理することになる。
一方、たとえば、高フレームレートで動作させたい場合や、1フレーム当たりの情報量を減らしたい場合などには、間引き読出しモードを適用して、全ての行を順次読出対象とするのではなく、m行ごとに1行を選択して読出し行とする、1/m間引き動作を行なうことがある。すなわち、1行分の画素信号を読み出す→m−1行飛ばす→1行分を読み出す→…という動作シーケンスにより、画素アレイ部10の総行数の1/mに当たりる画素信号のみを読み出す。この動作モードを1/m行間引き読出しモードと称し、m行中“m−1”行を占める間引かれる行を間引き行(あるいは非選択行)と称し、間引かれない行を読出し行(あるいは選択行や信号出力行)と称する。
1/m行間引き読出しモードを全画素読出しモード以外に設けると、1/m行間引き読出しモード時には、1フレーム当たりの情報量を1/mに、撮像速度をm倍にすることができ、多画素と高速読み出しの相反するニーズに応えることができる。間引き動作への切替えは、動作モードを1/m間引きモードへと切り替えるための信号が外部から入力され、通信・タイミング制御部20から水平走査回路12や垂直走査回路14に送られる駆動信号が1/m間引き用に切り替わることにより行なわれる。
たとえば、デジタルスチルカメラでは、静止画を撮り込む前に、通常、小画面のたとえば液晶モニタに動画(被写体画像)を映し出して被写体を確認(モニタリング)する作業が行なわれる。この被写体を確認している段階(モニタリングモード)では、液晶モニタに映し出される映像は高解像度である必要がなく、液晶モニタの画素数に応じた荒い画像(低解像度の画像)でよいので、画素情報の間引き処理が行なわれる。また、デジタルスチルカメラなどの携帯機器における画像伝送では、送信のデータレートが限られている。したがって、静止画については高精細な画像を得るために全画素の画素情報を伝送し、動画については画素情報を間引きすることによって情報量を減少させて伝送するべく、画素情報の間引き処理が行なわれる。
垂直方向についての画素情報の間引き処理では、実際に使用する行を間引く処理が行なわれる。この場合、イメージセンサから画素情報を全画素分(全行分)読み出した後、外部の信号処理系で画素情報を行単位で間引く方法と、単位画素からの画素信号の読出し自体を行単位で間引く方法の何れを採ることが考えられる。
本実施形態の間引き読出しモードでは、後者のように、単位画素からの画素信号の読出し自体を行単位で間引く手法を適用する。このような間引き動作は、低消費電力での動作に応えることができ、また読み出す行が少ないため、高速読出しが可能となる点でも有利である。
<1/3行間引き読出しモード>
図5および図6は、本実施形態の間引き読出しモード時の画素駆動方式に対する第1比較例を説明する図である。第1比較例では、間引き読出しモードの一例として3行に1行の信号を出力する1/3行間引き読出しモード時の動作を模式化して示している。
図5は、CMOS型の固体撮像装置1の画素アレイ部10においてマトリクス状に配列された単位画素3の配列を模式的に示しており、外枠の画素アレイ部10中の1つ1つの升目が単位画素3を示している。
前述のように、通常の読出しモードである全画素読出しモード時は垂直走査回路14の動作によって全行の画素が順番に選択されるが、1/3行間引き読出しモードでは、画素アレイ部10のうち、連続する3行中の“3−1=2”行を占める間引き行を除く斜線で示す1行だけが読出し行として順次選択されて読み出しが行なわれて、残りの3行当たり2行は間引き行として選択されないような動作となる。
図6には、図5に対応する単位画素3の動作を説明するタイミングチャートが示されている。ここで、図6(A)はその動作の全体概要を示し、図6(B)は、転送パルスTRG に着目して複数水平期間に亘って示している。
図6からも分かるように、読出動作行やシャッタ動作行となる読出し行のみ、読出選択用トランジスタ34、リセットトランジスタ36、および垂直選択用トランジスタ40に対してハイ(High)電圧またはロー(Low )電圧が供給されて動作し、間引き行に対しては、読出選択用トランジスタ34、リセットトランジスタ36、および垂直選択用トランジスタ40に対して常時ロー(Low )電圧が供給される。
読出し行がシャッタ動作を行なう行(シャッタ動作行)に該当する水平期間のある時点では、転送パルスTRG をアクティブHにして読出選択用トランジスタ34をオンさせ、それ以前に電荷生成部32に蓄積され読み出しには不要となる電荷をフローティングディフュージョン38に転送し、その後に画素リセットパルスRST がアクティブHとされることでリセットトランジスタ36がオンし、フローティングディフュージョン38に転送した不要な電荷をリセット電源Vrdに掃き捨てる。この動作をシャッタ動作と称する。
このシャッタ動作が行なわれた行(シャッタ動作行)が画素信号の読出対象の行(読出し動作行)に該当する水平期間のある時点では、垂直選択パルスVSELをアクティブHにして垂直選択用トランジスタ40をオンさせておき、先ず画素リセットパルスRST をアクティブHとしてリセットトランジスタ36をオンさせて、フローティングディフュージョン38に滞留した不要な電荷をリセット電源Vrdに掃き捨てる。この後、転送パルスTRG をアクティブHにして読出選択用トランジスタ34をオンさせ、シャッタ動作後からこの時点までに電荷生成部32に蓄積された電荷(特に信号電荷と称する)をフローティングディフュージョン38に転送する。
これにより、フローティングディフュージョン38の電圧が信号電荷量に応じて変化するので、その変化を増幅用トランジスタ42は画素信号電圧に変換して垂直信号線53(垂直信号線19)を介してカラム処理部26へと送る。この図からも分かるように、シャッタ期間を規定する行分ずれた状態でシャッタ動作行と読出し動作行とを対にして、1水平期間ごとに、インクリメントされていく。
<間引き読出しに起因する問題>
しかしながら、このような方式で単位画素3を駆動していると、間引き行と間引かれない読出し行とで、単位画素3に対する駆動条件(トランジスタの駆動頻度)が異なることに起因して、様々な問題が生じてしまう。
たとえば、特許文献1では、長時間の使用の後、間引き行と間引かれない読出し行とで、単位画素3を構成するトランジスタや画素配線(垂直選択線52、転送配線55、およびリセット配線56)を駆動する各駆動バッファBF1〜BF3を構成するドライバトランジスタの劣化度合いに差異が生じ、全画素読出しモード時に、周期的な横筋として目に見える画像特性の劣化について開示している。
特許文献1では、この対処のために、間引き読出しモードによる駆動時に、間引かれる画素行に対しても駆動信号を入力して各画素を動作させ、間引かれる画素と間引かれない画素との駆動頻度の差異をなくし、画素を構成するトランジスタなどの劣化度合いを揃えることで、全画素読出しモード時における画像の筋状ノイズなどの発生を防止する仕組みを開示している。
<ブルーミング>
また、特許文献1では開示されていない別の問題点として、間引き読出しモード時はブルーミング現象が起き易い。すなわち、電荷生成部32は、入射した光の総量に応じて光電変換して信号電荷(たとえは電子)を生成し蓄積していくが、蓄積可能な容量には限界があるので、入射光強度が強いときや電荷蓄積時間が長いときには、限界値を超えて光電変換された信号電荷が蓄積領域から溢れ出る。図3に関して説明したように、縦型オーバーフロードレイン構造を採って、溢れた大部分の信号電荷が基板側に流れていくようにデバイスを設計するのであるが、近年の微細化の進展によって、隣接する画素同士の距離が近くなり、その結果、溢れた信号電荷のうち、隣接画素に飛び込む割合が増える。
たとえば、カラー撮像方式の場合、画素アレイ部10の各単位画素3には、色分離用のたとえばR(赤),G(緑),B(青)のカラーフィルタが所定の配置順で設けられる。G色成分の光が多量に入射し、それに比べて、R色成分の光が少なかったとする。この場合、カメラシステムの絞りを開けるなどして、入射光量を増やしていくと先ず、緑の画素の電荷生成部32が信号電荷で一杯になり飽和状態となるので、そこから溢れた信号電荷は、赤の電荷生成部32にも飛び込むことになる。
一方、実際に読み出す単位画素3では、電荷生成部32から信号電荷を読み出した後、次に信号電荷を読み出すまでにどれだけの光が信号電荷に変換されたかで、その単位画素3の信号レベル(輝度)が決まる。先にも述べたが、CMOSセンサにおける電子シャッタ動作時には、電荷生成部32に対する電荷掃捨て用のリセット処理から、実際に信号電荷を垂直信号線53(垂直信号線19)側に読み出すまでが問題となる。したがって、ブルーミング現象の抑制のためには、このシャッタ動作時のリセット時点から読出しまでの間に、隣接画素から飛び込んでくる信号電荷の量を如何に少なくできるかが肝要となる。
1/m行間引き読出しモード時には、1行が読出し行となり、その後のm−1行が間引き行となり、これが繰り返されて配されるので、単純な間引き読みにすると、間引き行に対しては、読出選択用トランジスタ34(読出しゲート)は常時オフされているので、1フレーム分だけを撮像する静止画撮像の場合であっても、特に長時間蓄積時には電荷生成部32内に電子が蓄積されてしまい、隣接画素へのブルーミングの要因となってしまう。また、動画撮像であれば、複数フレームに亘って信号電荷の継続的な蓄積があるものの読出しが行なわれないので、そのままでは隣接する読出し行に過剰電荷が溢れ、ブルーミングの問題がほぼ確実に起きる。
つまり、間引き読出しモード時には、間引き行および読出し行の何れも、各単位画素3の電荷生成部32は光に晒されるため、シャッタ動作を行なわないと、間引き行の電荷生成部32から電荷が隣接する読出し行(の画素)に溢れ出すことによって、読み出す行の画素信号に影響(ブルーミング現象)を及ぼすことが懸念される。
この点に鑑みれば、注目している読出対象となる単位画素3に隣接している溢れる可能性のある単位画素3に対して、予め予備的な画素リセット(シャッタ動作)を行ない、注目している単位画素3へ隣接する他の単位画素3から過剰電荷が溢れる影響を最小にすることが好ましと考えられる。間引き読出モード時には、間引く行については、画素信号の読出し動作は行なわないが、シャッタ動作だけは行なうことが、その解決手法として有効であると考えられる。
図7は、本実施形態の間引き読出しモード時の画素駆動方式に対する第2比較例を説明する図である。1/3行間引き読出しモード時を例に、図7は画素アレイ部10の行走査の様子を図5に対応するように、また図8はその動作を説明するタイミングチャートを図6に対応するように示している。
第2比較例は、前述のブルーミング現象を解消する一手法を例示している。この手法では、間引く行については、画素信号の読出し動作は行なわないが、シャッタ動作だけは行なうようにする。すなわち、読出し行の単位画素3から信号電荷を読み出す前に、隣接する(走査方向の何れか一方側で十分)間引き行に対応したシャッタ行の単位画素3を電子シャッタ機能を使って、予備的な画素リセット動作(ブルーミング対策用のシャッタ)を行なう。走査方向の他方側の間引き行に対応したシャッタ行に関しては、次の読出し行でのブルーミング対策用のシャッタによって過剰電荷の発生を抑制できる。
1/3行間引き読出しモード時の場合、図7に示すように、画素アレイ部10のうち、連続する3行中の“3−1=2”行を占める間引き行を除く斜線で示す1行だけが読出し行として順次選択されて読み出しが行なわれて、残りの3行当たり2行は間引き行として選択されないような動作となる。
このとき、シャッタ行のその前後行となる間引き行にもシャッタを掛けることで、電荷生成部32で生成された電荷をリセット電源Vrd側に排出して、電荷生成部32内に電荷を飽和させないようにし、隣接画素へのブルーミングを制御する。この間引き行に対してのブルーミング対策用のシャッタを特に補助シャッタと称し、読出し行に対するシャッタを、補助シャッタとの区別のため通常シャッタと称する。
補助シャッタ動作後には、通常シャッタ動作後と同じように、それ以後の露光に応じた電荷が電荷生成部32に蓄積されるが、垂直選択パルスVSELは常時インアクティブLであり読出し動作行として選択されることがないので、補助シャッタ動作後に蓄積された電荷に応じた画素信号が垂直信号線53(垂直信号線19)に出力されることはない。動画撮像であれば、次のフレーム走査時の補助シャッタ動作によって、それまでに(事実上、1フレーム走査期間)に電荷生成部32に蓄積された電荷がリセット電源Vrd側に掃き捨てられる。
ただし、このような方式では、間引き行(非選択行)の補助シャッタ動作用に、新たに垂直走査回路(行選択回路)を一系統追加する必要が生じ、チップサイズにおいて不利な面がある。
なお、間引く行についてもシャッタ動作を行なう点を考慮すれば、前述の特許文献1で開示されているように、間引き読出しモードによる駆動時に、間引かれる画素行に対しても駆動信号を入力して各画素を動作させることが、ブルーミング現象を解消する手法としても有効であると考えられる。
また、ブルーミング現象を解消する別手法として、間引き行は常時シャッタし続ける、すなわち、転送パルスTRG および画素リセットパルスRST を常時アクティブHとすることで、読出選択用トランジスタ34およびリセットトランジスタ36を常時オンさせ、間引き行の電荷生成部32で生成される電荷をフローティングディフュージョン38に転送しそのままリセット電源Vrdに捨て続けることも考えられる。
しかしながら、この手法では、間引き行の常時シャッタ動作用に新たに垂直走査回路(行選択回路)を一系統追加する必要が生じチップサイズにおいて不利な面がある。また、読出動作行やシャッタ動作行となる読出し行のみ、単位画素3を構成する各トランジスタ34,36,40がオン/オフ動作し、間引き行に対しては、読出選択用トランジスタ34およびリセットトランジスタ36を常時オン、垂直選択用トランジスタ40を常時オフにしておくので、長時間の使用の後、間引き行と間引かれない読出し行とで、画素の駆動頻度が異なることで画像特性劣化を招くという前述同様の問題が起き、画質において不利な面がある。加えて、常時オンにすることは、トランジスタの絶対的な使用時間が飛躍的に増加することになり、常時オフにしておく場合に比べて、信頼性において不利な面がある。
信頼性に関しては、素子分離形成とも関わりを持つ。画素内素子分離の形成方法として、STI(Shallow Trench Isolation)やLOCOS (Local Oxidation of Silicon)など、Si内に絶縁酸化膜を形成する方法やインプラで素子分離を形成する方法が知られている。STIはSiをエッチングして絶縁酸化膜を埋める製造方法であるが、このエッチング時のプラズマダメージにより暗電流が多くなってしまう。LOCOSはSi部のみを酸化炉により選択酸化する方法であるが、ゲート端まで酸化膜が入り込み(ゲートバーズビーク)、寄生容量がついてしまう。また、狭い素子分離を形成するには向いていない技術であり、近年、LOCOSはSTIに置き換えられている。
画素アレイ部10は光電変換箇所(本例では電荷生成部32)を含んでいることから、暗電流対策としては、インプラで素子分離を形成することが最も好ましい。しかし、インプラで素子分離を形成する場合、基板とゲート電極を絶縁させるために、素子分離上に絶縁酸化膜が必要である。この、素子分離上絶縁酸化膜の厚さは、ソース・ドレインの拡散インプラの飛程距離で決まり、絶縁酸化膜越しにイオン注入したときに、絶縁酸化膜を突き抜けない、つまりSi内部に影響しない厚さにする必要がある。
ところが、素子分離を高濃度インプラで形成すると、リセットトランジスタ36を常時オンにしたのでは、素子分離上の絶縁酸化膜が十分絶縁できていない場合に、素子分離上絶縁酸化膜を通してゲートがオンしてしまうことも考えられ、素子分離部からの暗電流が発生する虞れがあり、信頼性の低下を招く虞れがあるため好ましくない。なお、STIによる素子分離形成であれば拡散素子分離形成に比べて信頼性の問題は少なく、間引き行のリセットトランジスタ36を常時オンとしておいてもよい。
<<本実施形態の間引き読出しモード>>
<ブルーミング対策手法>
図9は、本実施形態の間引き読出しモード時の画素駆動方式を説明する図である。1/3行間引き読出しモード時を例に、図9は画素アレイ部10の行走査の様子を図5に対応するように、また図10はその動作を説明するタイミングチャートを転送パルスTRG に着目して図6に対応するように示している。
図9と図5との比較から分かるように、本実施形態の間引き読出しモード時には、第1比較例と同じように、間引き行に対しては、第2比較例で採用しているような補助シャッタは入れない。
その代わりに、本実施形態のブルーミング対策では、間引き行の読出選択用トランジスタ34に、間引き行での電荷の溢れを自身のフローティングディフュージョン38側に転送可能な電位(以下ブルーミング対策電位と称する)の転送パルスTRG を常時供給することを特徴とする。
本実施形態では、ブルーミング対策電位として、LレベルとHレベルとの間の中間レベルの電位(中間電位M)を使用する、あるいは、実質的には電圧を印加しないフローティングにする。フローティングにする場合、中間電位Mを生成する回路が不要になる利点がある。
間引き読出しモードにおいて、読出選択用トランジスタ34(転送ゲートや読出しゲートとも称される)に関しては、間引き行では読出選択用トランジスタ34のゲート端に掛る電圧を時刻によらず、2値駆動時のHレベルを規定する高電位HとLレベルを規定する低電位Lとの間の中間電位M(Middle)に固定して読出選択用トランジスタ34を適度な状態で動作するようにする、もしくは読出選択用トランジスタ34のゲート端へは転送パルスTRG を一切供給しないフローティング状態にする。
中間電位Mとしては、オーバーフローバリアが半導体基板(下)方向ではなくフローティングディフュージョン(横)方向となる電位を下限とし、暗電流が発生しない電位を上限とする範囲を満足する電位とするのが好ましい。こうすることで、ブルーミング現象を対策したことによる暗電流の影響を抑えつつ間引き読出時のブルーミング現象を抑制することができる。
読出し行では、読出選択用トランジスタ34をLレベルとHレベルの2値でオン/オフ駆動するようにし、シャッタ動作行および読出し動作行に該当したとき、読出選択用トランジスタ34をオンさせる。
間引き読出しモード時に、非選択行である間引き行の行アドレスを全選択し、この間引き行の読出しゲート(読出選択用トランジスタ34)に供給する転送パルスTRG をブルーミング対策電位の一例として、中間電位Mに固定するかフローティングにすることにより、間引き行の電荷生成部32(フォトダイオードなど)のオーバーフローバリア(ポテンシャル障壁)を、通常のインアクティブ電位(Lレベル電位)を印加する場合に比べて下げることができる。
これにより、間引き読出モード時に、間引き行の電荷生成部32に溜まり、隣接行(縦方向の隣接画素)に溢れ出た不要電荷をフローティングディフュージョン38側に排出され易い状態にすることができ、隣接する読出し行の単位画素3へのブルーミングが減少する。
転送パルスTRG を中間電位Mにした場合には、暗電流は少し多くなるが、間引き読出しモードにおいては、間引き行は読出し行として選択されることがなく、画素信号として垂直信号線53(垂直信号線19)に出力されることはないので問題とならない。そのため、ウェルを通して不要電子が移動することによる縦方向の隣接画素へのブルーミング現象を抑制しつつ、補助シャッタが不要なシンプルな動作モードとすることができる。
なお、間引き行に対する転送パルスTRG をブルーミング対策電位(中間電位やフローティング状態)に設定しておいたまま、シャッタを掛けずにおく、つまり画素リセットパルスRST を常時Lレベルにしておくと、その内にフローティングディフュージョン38が不要電荷で一杯になり、フローティングディフュージョン38でのオーバーフロー現象が生じることが懸念される。特に、動画撮像時には、複数フレームに亘って撮像動作が行なわれるので、この現象が起き易くなる。
その対策としては、たとえば、適当なタイミングで(たとえば数フレームごとのVランキング期間で)、画素リセットパルスRST をアクティブHにして、そのフローティングディフュージョン38に溜まった不要電荷をリセット電源Vrd側に掃き捨てることが考えられる。第2比較例の補助シャッタでは、間引き行のアドレス設定用などのために別途垂直走査回路を必要とするが、本例では、通常の読出し動作におけるシャッタ動作のように読出動作行との連動処理が不要であり、シャッタ動作行や読出動作行の制御に影響のない適当なタイミングで行なえばよい。空き時間で垂直走査回路14を使用できるので、特別な垂直走査回路を別に用意しなくてもよい。たとえば数フレームごとのVランキング期間などの適当なタイミングで全ての間引き行に対して画素リセットパルスRST をオンさせればよい。
あるいは、先にも述べたが、リセットトランジスタ36としてディプレッション構造のものを使用すると、リセットトランジスタ36がオフ状態(非選択時)においてもリーク電流が流れ得るので、その特質を利用して、フローティングディフュージョン38がオーバーフローする前に、自然と、フローティングディフュージョン38に溜まった不要電荷をリセット電源Vrdに掃き捨てることができる。
この、ディプレッション構造のリセットトランジスタ36の特質を利用して不要電荷をリセット電源Vrd側へ排出する場合、中間電位MがHレベルを規定する電位に近いと、不要電荷量の増加が早くなり、リセットトランジスタ36による不要電荷の排出機能が間に合わずフローティングディフュージョン38をオーバーフローさせてしまうことも懸念されるので、確実に、フローティングディフュージョン38をオーバーフローさせずに不要電荷をリセット電源Vrd側へ排出するには、中間電位MはHレベルを規定する電位よりもある程度低いことが望ましい。この点をも考慮した中間電位Mの規定手法については、後で詳しく説明する。
<3値駆動回路の構成例>
図11は、間引き読出しモード時に間引き行の転送パルスTRG を3値駆動可能にするための転送駆動バッファBF1の構成例を示す図である。参考のため、それぞれ通常の2値駆動に対応した画素リセットパルスRST 用のリセット駆動バッファBF2および垂直選択パルスVSEL用の選択駆動バッファBF3についても示している。図12は、図11に示す転送駆動バッファBF1の動作を説明する真理値表を示している。
図示を割愛するが、各駆動バッファBF1,BF2,BF3には、固体撮像装置1の外部に設けられ、その出力インピーダンスが十分に小さな電源回路から、正電圧側の第1電位Vcc_Hと、中間電位Mとしての第2電位Vcc_Mと、負電圧側の第3電位Vcc_Lと言った3種類の電圧と、基準の接地電位GND が供給されるようになっている。通常、第1電位Vcc_Hは単位画素3側の電源電位Vrd,Vdd(たとえば3V程度)と等しくし、また第3電位Vcc_Lは基準電位Vss(たとえば−1V程度)と等しくする。
2値出力との関係においては、第1電位Vcc_HがHレベルに、接地電位GND がLレベルに対応する。また、3値出力との関係においては、第1電位Vcc_HがHレベルに、第2電位Vcc_Mが中間レベルに、第3電位Vcc_LがLレベルに対応する。
先ず、リセット駆動バッファBF2および選択駆動バッファBF3について説明する。
図11に示すように、リセット駆動バッファBF2は、垂直デコーダ14aで生成されるリセット信号φRST を論理反転するインバータ330と出力バッファ348とを有する。
出力バッファ348には、Hレベルを規定する第1電位Vcc_Hと、Lレベルを規定する接地電位GND が供給される。出力バッファ348は、一例として、pチャネル型のトランジスタ(p型トランジスタ)348Hと、nチャネル型のトランジスタ(n型トランジスタ)348Lとを、第1電位Vcc_Hと接地電位GND との間に直列に配置した構成となっている。
p型トランジスタ348Hのソースは第1電位Vcc_Hに接続され、n型トランジスタ348Lのソースは接地電位GND に接続されている。p型トランジスタ348Hとn型トランジスタ348Lの各ドレインを共通に接続し、その接続点を画素リセットパルスRST 用の出力端に接続している。p型トランジスタ348Hとn型トランジスタ348Lの各ゲートを共通に接続し、その接続点にインバータ330の出力(リセット信号φNRST)を供給する。全体としては、p型トランジスタ348Hとn型トランジスタ348Lとは、垂直デコーダ14aから供給される2値のリセット信号φRST に基づき、第1電位Vcc_Hと接地電位GND との間で2値駆動用の画素リセットパルスRST を出力するCMOSインバータバッファとして構成されている。
たとえば、垂直デコーダ14aから供給されるリセット信号φRST がインアクティブLのときには、n型トランジスタ348Lがオン(ON)するとともに、p型トランジスタ348Hがオフ(OFF)するので、画素リセットパルスRST は接地電位GND に対応したLレベルとなる。また、垂直デコーダ14aから供給されるリセット信号φRST がアクティブHのときには、p型トランジスタ348Hがオン(ON)するとともに、n型トランジスタ348Lがオフ(OFF)するので、画素リセットパルスRST は第1電位Vcc_Hに対応したHレベルとなる。
選択駆動バッファBF3は、リセット駆動バッファBF2と同じように、垂直デコーダ14aで生成される垂直選択信号φVSELを論理反転するインバータ350と出力バッファ368とを有する。
出力バッファ368には、Hレベルを規定する第1電位Vcc_Hと、Lレベルを規定する接地電位GND が供給される。出力バッファ368は、一例として、pチャネル型のトランジスタ(p型トランジスタ)368Hと、nチャネル型のトランジスタ(n型トランジスタ)368Lとを、第1電位Vcc_Hと接地電位GND との間に直列に配置した構成となっている。
p型トランジスタ368Hのソースは第1電位Vcc_Hに接続され、n型トランジスタ368Lのソースは接地電位GND に接続されている。p型トランジスタ368Hとn型トランジスタ368Lの各ドレインを共通に接続し、その接続点を垂直選択パルスVSEL用の出力端に接続している。p型トランジスタ368Hとn型トランジスタ368Lの各ゲートを共通に接続し、その接続点にインバータ350の出力(垂直選択信号φNVSEL )を供給する。全体としては、p型トランジスタ368Hとn型トランジスタ368Lとは、垂直デコーダ14aから供給される2値の垂直選択信号φVSELに基づき、第1電位Vcc_Hと接地電位GND との間で2値駆動用の垂直選択パルスVSELを出力するCMOSインバータバッファとして構成されている。
たとえば、垂直デコーダ14aから供給される垂直選択信号φVSELがインアクティブLのときには、n型トランジスタ368Lがオン(ON)するとともに、p型トランジスタ368Hがオフ(OFF)するので、垂直選択パルスVSELは接地電位GND に対応したLレベルとなる。また、垂直デコーダ14aから供給される垂直選択信号φVSELがアクティブHのときには、p型トランジスタ368Hがオン(ON)するとともに、n型トランジスタ368Lがオフ(OFF)するので、垂直選択パルスVSELは第1電位Vcc_Hに対応したHレベルとなる。
一方、転送駆動バッファBF1に関しては、垂直デコーダ14aから供給される2値の転送信号φTRG および中間電位設定信号G1に基づいて、3値駆動用の転送パルスTRG を生成可能に構成されている。
すなわち、間引き読出しモード時に、間引き行に対しての転送パルスTRG を常時中間電位Mに設定するためには、図1に示した固体撮像装置1の構成において、垂直走査回路14の垂直駆動部14bに3種類の電圧が供給されている状態で、通信・タイミング制御部20からの指示に基づき垂直デコーダ14aで間引き行のアドレスを決定し、この間引き行の読出選択用トランジスタ34には中間電位Mを常時印加すればよい。一方、読出し行の読出選択用トランジスタ34には、2値(HレベルとLレベル)の転送パルスTRG を供給することとし、シャッタ動作行と読出し動作行に該当した時点の1水平期間(1H)の所定タイミングにおいて読出選択用トランジスタ34をオンさせればよい。
図11に示すように、本実施形態の転送駆動バッファBF1は、垂直デコーダ14aで生成される転送信号φTRG を論理反転するインバータ310と、インバータ310の出力(転送信号φNTRG)を論理反転するインバータ312と、2入力型のANDゲート320と、2入力型のORゲート326とを有する。
ANDゲート320は、第1入力端にインバータ312の出力(転送信号φTRG )が入力され、第2入力端には、3値制御信号Gの一例である中間電位設定信号G1が入力される。中間電位設定信号G1は、中間電位設定時にのみアクティブHとなる論理情報である。ANDゲート320は、インバータ312の出力(転送信号φTRG )と中間電位設定信号G1との論理積をとり転送信号φMTRGとする。
ORゲート326は、第1入力端にインバータ310の出力(転送信号φNTRG)が入力され、第2入力端にANDゲート320の出力(転送信号φNTRG)が入力される。ORゲート326は、インバータ312の出力(転送信号φTRG )とANDゲート320の出力(転送信号φMTRG)との論理和をとり、新たな(転送信号φMTRGでゲートされた)転送信号φNTRGとする。
転送駆動バッファBF1は、さらに、3値出力の対応をとるべく、インバータ構成と類似した出力バッファ328を有する。出力バッファ328は、正電圧側の第1電位Vcc_Hと、中間電位Mとしての第2電位Vcc_Mと、負電圧側の第3電位Vcc_Lと言った3種類の電圧が供給される。
出力バッファ328は、一例として、先ず、pチャネル型のトランジスタ(p型トランジスタ)328Hと、並列配置された2つのnチャネル型のトランジスタ(n型トランジスタ)328M,328Lとを直列に配置した構成となっている。
p型トランジスタ328Hのソースは第1電位Vcc_Hに接続され、n型トランジスタ328Mのソースは第2電位Vcc_M(たとえば接地電位GND )に接続され、n型トランジスタ328Lのソースは第3電位Vcc_Lに接続されている。p型トランジスタ328Hとn型トランジスタ328Mとn型トランジスタ328Lの各ドレインを共通に接続し、その接続点を転送パルスTRG 用の出力端に接続している。
p型トランジスタ328HのゲートにはORゲート326からの転送信号φNTRGが入力され、n型トランジスタ328MのゲートにはANDゲート320からの転送信号φMTRGが入力され、n型トランジスタ328Lのゲートにはインバータ310からの転送信号φNTRGが入力されている。
全体としては、p型トランジスタ328Hとn型トランジスタ328Lとは、垂直デコーダ14aから供給される2値の転送信号φTRG に基づき、第1電位Vcc_Hと第3電位Vcc_Lとの間で2値駆動用の転送パルスTRG を出力するCMOSインバータバッファとして構成され、それに対して、ある条件の元でn型トランジスタ328Mが中間電位Mを転送パルスTRG に設定可能になっている。
たとえば、図12に示す真理値表のように、垂直デコーダ14aから供給される転送信号φTRG がインアクティブLのときには、中間電位設定信号G1に関わらず、n型トランジスタ328Lがオン(ON)するとともに、p型トランジスタ328Hおよびn型トランジスタ328Mがオフ(OFF)するので、転送パルスTRG は第3電位Vcc_Lに対応したLレベルとなる。
また、垂直デコーダ14aから供給される中間電位設定信号G1がアクティブHで転送信号φTRG がアクティブHのときには、n型トランジスタ328Mがオン(ON)するとともに、p型トランジスタ328Hおよびn型トランジスタ328Lがオフ(OFF)するので、転送パルスTRG は第2電位Vcc_Mに対応したM(中間)レベルとなる。
また、垂直デコーダ14aから供給される中間電位設定信号G1がインアクティブLで転送信号φTRG がアクティブHのときには、p型トランジスタ328Hがオン(ON)するとともに、n型トランジスタ328Mおよびn型トランジスタ328Lがオフ(OFF)するので、転送パルスTRG は第1電位Vcc_Hに対応したHレベルとなる。
ここで示した転送駆動バッファBF1の3値駆動に対応する構成例は一例に過ぎず、様々な変形例を採ることができる。たとえば、原理的には、図17に示した真理値表を忠実に反映して構成すればよいのであるが、実際には、ゲート遅延の関係からp型トランジスタ328Hとn型トランジスタ328Mとn型トランジスタ328Lの何れか2つもしくは3つともが同時にオンすることによる貫通電流の発生を防止するべく、各トランジスタ328L,328M,328Hがともにオンする期間が生じないように遷移タイミングを少しずらす仕組みを講じることが考えられる。
ここで、ブルーミング対策電位の一例である中間レベルや中間電位Mは、通常の2値駆動におけるHレベルとLレベルとを除く範囲であればよく、第2電位Vcc_Mとしては、Hレベルを規定することになる第1電位Vcc_HとLレベルを規定することになる第3電位Vcc_Lとを除いた電圧レベルであればどのような値であってもよい。
なお、間引き行での電荷の溢れを自身のフローティングディフュージョン38側に転送可能な電位がブルーミング対策電位であるから、本来は、インアクティブレベル(Lレベル)を規定する低電位よりもアクティブレベル(Hレベル)側の電位であればよく、Hレベルを規定する電位であっても差し支えないのであるが、後述するように、Hレベルとすることは得策ではなく、本実施形態では、ブルーミング対策電位として、Hレベルを規定する電位は使用しない。
すなわち、先ず、Lレベルを規定する第3電位Vcc_Lに過度に近いとブルーミング対策効果が薄れるし、またHレベルを規定する第1電位Vcc_Hに過度に近いと読出選択用トランジスタ34(転送ゲート)を常時オンさせている状態に極めて近くなり、たとえリセットトランジスタ36としてディプレッション構造のものを使用したとしても不要電荷の排出機能が不十分となりフローティングディフュージョン38をオーバーフローさせてしまうことも懸念される。
たとえば、信号電荷を電圧信号に変換する際の変換効率を上げるためには、フローティングディフュージョン38の容量(寄生容量含む)を下げることが必要であり、そのためにフローティングディフュージョン38はオーバーフローし易くなる。このとき、ディプレッション構造のリセットトランジスタ36を介したリセット電源Vrdへの排出能力不足があるとオーバーフローし易くなるのである。
第2電位Vcc_Mを使用するのが間引き読出モード時のブルーミング対策である点を加味すれば、第2電位Vcc_Mの最適な範囲は、間引き行から溢れ出す不要電荷成分がフローティングディフュージョン38側に流れ易くし、かつ露光量が多い場合でも間引き行から溢れ出す不要電荷成分がフローティングディフュージョン38をオーバーフローさせない程度であればよい。リセットトランジスタ36を常時オンさせたときの前述の信頼性・暗電流の問題などをも加味すれば、第1電位Vcc_Hよりは遙かに低電位(たとえば|第1電位Vcc_H−第3電位Vcc_L|に対して50%以下)であり、かつ第3電位Vcc_Lよりも少し高電位(たとえば|第1電位Vcc_H−第3電位Vcc_L|に対して10%以上)であることが望ましいと考えられる。一例としては、第1電位Vcc_Hがロジックの電源電圧の3.0V程度で、第3電位Vcc_Lが−1V程度であれば、−0.5〜1.0V以内が好ましいと考えられ、たとえば、第2電位Vcc_Mを、接地電位GND である0Vに固定しておくことができる。
なお、単位画素3を駆動するパルスは転送パルスTRG 以外にもあり、それらのパルスに関しても、ある目的のために(ここではその目的に関しては規定しない)、2値(たとえば3.3Vと−1V)の間の中間レベル(たとえば0V)を使用する3値(あるいはそれ以上の)駆動方式を適用することもある。
また、転送パルスTRG そのものに関しても、ブルーミング対策以外のある目的のために(ここではその目的に関しては規定しない)、あるタイミングで2値(たとえば3.3Vと−1V)の間の中間レベル(たとえば0V)を使用する3値(あるいはそれ以上の)駆動方式を適用することもある。
これらの場合、それらの中間レベルを規定する電位と、間引き読出モード時における本実施形態のブルーミング対策用の第2電位Vcc_Mとを共通にすることは、回路構成をコンパクトにする上で有効な手段である。
すなわち、単位画素3を駆動する各種のパルスに関して、垂直駆動部14bに3電源を供給し、単位画素3の駆動時に3値パルスを使用する構成を既に採っている場合には、3値パルスの中間レベルを規定する中間電位Mを、本実施形態で用いる間引き行に対しての転送パルスTRG 用の第2電位Vcc_M(中間電位M)と併用することで、新規の中間電位用の電圧作成が不要であり、動作モードを変えるだけで対応が可能となる利点がある。
<2値とフローティングの切替え駆動回路の構成例>
図13は、間引き読出しモード時に間引き行の転送パルスTRG を2値駆動状態からフローティング状態に切り替えるための転送駆動バッファBF1の構成例を示す図である。ここでは、図11に示した構成に対する変形例で示す。
図11との比較から分かるように、先ず、第2電位Vcc_M(中間レベルを規定する中間電位M)を設定するためのn型トランジスタ328Mを取り外している。また、出力バッファ328の後段にインヒビット端子INHが付いたバッファ329を設けている。
バッファ329は、入力端に出力バッファ328の出力が入力され、インヒビット端子INHにANDゲート320からの転送信号φMTRGが入力され、出力端からは読出選択用トランジスタ34に供給される転送パルスTRG が出力される。
バッファ329は、インヒビット端子INHに入力されたANDゲート320からの転送信号φMTRGが、Lレベルのときには入力端の状態(つまり出力バッファ328の出力論理)を出力端から出力し、Hレベルのときには出力端をオープン状態にする。
これにより、読出選択用トランジスタ34に供給される転送パルスTRG は、ANDゲート320からの転送信号φMTRGがLレベルのときには第1電位Vcc_H(たとえば3V)と第3電位Vcc_L(たとえば−1V)との間での2値駆動となるが、ANDゲート320からの転送信号φMTRGがHレベルのときには出力端がオープンとされることでフローティング状態となる。
ANDゲート320からの転送信号φMTRGがHレベルとなるのは、図11とでの場合と同じように、垂直デコーダ14aから供給される中間電位設定信号G1がアクティブHで転送信号φTRG がアクティブHのときである。よって、間引き読出しモード時には、非選択行である間引き行の読出しゲート(読出選択用トランジスタ34のゲート端)をフローティングにできる。
<撮像装置>
図14は、前述の本実施形態の固体撮像装置1と同様の仕組みを利用した物理情報取得装置の一例である撮像装置の概略構成を示す図である。この撮像装置8は、可視光カラー画像を得る撮像装置になっている。
全画素読出しモードと間引き読出しモードとの間での撮像モード切替えの制御、あるいは間引き読出時の転送駆動バッファBF1における3値駆動やフローティング出力の対応などの制御は、外部の主制御部において、モード切替指示などを通信・タイミング制御部20に対するデータ設定で任意に指定できるようにする。
前述した固体撮像装置1の仕組みは固体撮像装置のみではなく、撮像装置にも適用可能である。この場合、撮像装置としても、間引き読出しモード時に、間引き行の電荷生成部32で溢れる電荷が、フローティングディフュージョン38側に転送され易い状態となるように、読出選択用トランジスタ34に供給する転送パルスTRG を中間電位Mやフローティングなどとするブルーミング対策電位での制御を実行することで、ブルーミングを抑制する仕組みを実現できるようになる。全ての撮像モードで良好な画質を維持することができる。
具体的には、撮像装置8は、蛍光灯などの照明装置801の下にある被写体Zの像を担持する光Lを撮像装置側に導光して結像させる撮影レンズ802と、光学ローパスフィルタ804と、たとえばR,G,Bの色フィルタがベイヤー配列とされている色フィルタ群812と、画素アレイ部10と、画素アレイ部10を駆動する駆動制御部7と、画素アレイ部10から出力された画素信号に対してCDS処理やAD変換処理などを施すカラム処理部26と、カラム処理部26に参照信号Vslopを供給する参照信号生成部27と、カラム処理部26から出力された撮像信号を処理するカメラ信号処理部810を備えている。
光学ローパスフィルタ804は、折返し歪みを防ぐために、ナイキスト周波数以上の高周波成分を遮断するためのものである。また、図中に点線で示しように、光学ローパスフィルタ804と合わせて、赤外光成分を低減させる赤外光カットフィルタ805を設けることもできる。この点は、一般的な撮像装置と同様である。
カラム処理部26の後段に設けられたカメラ信号処理部810は、撮像信号処理部820と、撮像装置8の全体を制御する主制御部として機能するカメラ制御部900とを有する。
撮像信号処理部820は、色フィルタとして原色フィルタ以外のものが使用されているときにカラム処理部26のAD変換機能部から供給されるデジタル撮像信号をR(赤),G(緑),B(青)の原色信号に分離する原色分離機能を具備した信号分離部822と、信号分離部822によって分離された原色信号R,G,Bに基づいて色信号Cに関しての信号処理を行なう色信号処理部830とを有する。
また撮像信号処理部820は、信号分離部822によって分離された原色信号R,G,Bに基づいて輝度信号Yに関しての信号処理を行なう輝度信号処理部840と、輝度信号Y/色信号Cに基づいて映像信号VDを生成するエンコーダ部860とを有する。
色信号処理部830は、図示を割愛するが、たとえば、ホワイトバランスアンプ、ガンマ補正部、色差マトリクス部などを有する。ホワイトバランスアンプは、図示しないホワイトバランスコントローラから供給されるゲイン信号に基づき、信号分離部822の原色分離機能部から供給される原色信号のゲインを調整(ホワイトバランス調整)し、ガンマ補正部および輝度信号処理部840に供給する。
ガンマ補正部は、ホワイトバランスが調整された原色信号に基づいて、忠実な色再現のためのガンマ(γ)補正を行ない、ガンマ補正された各色用の出力信号R,G,Bを色差マトリクス部に入力する。色差マトリクス部は、色差マトリクス処理を行なって得た色差信号R−Y,B−Yをエンコーダ部860に入力する。
輝度信号処理部840は、図示を割愛するが、たとえば、信号分離部822の原色分離機能部から供給される原色信号に基づいて比較的周波数が高い成分までをも含む輝度信号YHを生成する高周波輝度信号生成部と、ホワイトバランスアンプから供給されるホワイトバランスが調整された原色信号に基づいて比較的周波数が低い成分のみを含む輝度信号YLを生成する低周波輝度信号生成部と、2種類の輝度信号YH,YLに基づいて輝度信号Yを生成しエンコーダ部860に供給する輝度信号生成部とを有する。
エンコーダ部860は、色信号副搬送波に対応するデジタル信号で色差信号R−Y,B−Yをデジタル変調した後、輝度信号処理部840にて生成された輝度信号Yと合成して、デジタル映像信号VD(=Y+S+C;Sは同期信号、Cはクロマ信号)に変換する。
エンコーダ部860から出力されたデジタル映像信号VDは、さらに後段の図示を割愛したカメラ信号出力部に供給され、モニタ出力や記録メディアへのデータ記録などに供される。この際、必要に応じて、DA変換によってデジタル映像信号VDがアナログ映像信号Vに変換される。
本実施形態のカメラ制御部900は、コンピュータが行なう演算と制御の機能を超小型の集積回路に集約させたCPU(Central Processing Unit )を代表例とする電子計算機の中枢をなすマイクロプロセッサ(microprocessor)902と、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)904、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶部の一例であるRAM(Random Access Memory)906と、図示を割愛したその他の周辺部材を有している。マイクロプロセッサ902、ROM904、およびRAM906を纏めて、マイクロコンピュータ(microcomputer )とも称する。
なお、上記において“揮発性の記憶部”とは、装置の電源がオフされた場合には、記憶内容を消滅してしまう形態の記憶部を意味する。一方、“不揮発性の記憶部”とは、装置のメイン電源がオフされた場合でも、記憶内容を保持し続ける形態の記憶部を意味する。記憶内容を保持し続けることができるものであればよく、半導体製のメモリ素子自体が不揮発性を有するものに限らず、バックアップ電源を備えることで、揮発性のメモリ素子を“不揮発性”を呈するように構成するものであってもよい。
また、半導体製のメモリ素子により構成することに限らず、磁気ディスクや光ディスクなどの媒体を利用して構成してもよい。たとえば、ハードディスク装置を不揮発性の記憶部として利用できる。また、CD−ROMなどの記録媒体から情報を読み出す構成を採ることでも不揮発性の記憶部として利用できる。
カメラ制御部900は、システム全体を制御するものであり、特に前述の読出選択用トランジスタ34に供給する転送パルスTRG のブルーミング対策電位制御との関係においては、転送パルスTRG を3値駆動や“2値駆動+フローティング”にするための各種の制御パルスのオン/オフタイミングを調整する機能を有している。
ROM904にはカメラ制御部900の制御プログラムなどが格納されているが、特に本例では、カメラ制御部900によって、各種の制御パルスのオン/オフタイミングを設定するためのプログラムが格納されている。
RAM906にはカメラ制御部900が各種処理を行なうためのデータなどが格納されている。
また、カメラ制御部900は、メモリカードなどの記録媒体924を挿脱可能に構成し、またインターネットなどの通信網との接続が可能に構成している。たとえば、カメラ制御部900は、マイクロプロセッサ902、ROM904、およびRAM906の他に、メモリ読出部907および通信I/F(インタフェース)908を備える。
記録媒体924は、たとえば、マイクロプロセッサ902にソフトウェア処理をさせるためのプログラムデータや、輝度信号処理部840からの輝度系信号に基づく測光データDLの収束範囲や露光制御処理(電子シャッタ制御を含む)、転送パルスTRG を3値駆動や“2値駆動+フローティング”とするブルーミング対策電位制御のための各種の制御パルスのオン/オフタイミングなど、様々な設定値などのデータを登録するなどのために利用される。
メモリ読出部907は、記録媒体924から読み出したデータをRAM906に格納(インストール)する。通信I/F908は、インターネットなどの通信網との間の通信データの受け渡しを仲介する。
なお、このような撮像装置8は、駆動制御部7およびカラム処理部26を、画素アレイ部10と別体にしてモジュール状のもので示しているが、固体撮像装置1について述べたように、これらが画素アレイ部10と同一の半導体基板上に一体的に形成されたワンチップものの固体撮像装置1を利用してもよいのは言うまでもない。
また、図では、画素アレイ部10や駆動制御部7やカラム処理部26や参照信号生成部27やカメラ信号処理部810の他に、撮影レンズ802、光学ローパスフィルタ804、あるいは赤外光カットフィルタ805などの光学系をも含む状態で、撮像装置8を示しており、この態様は、これらを纏めてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態とする場合に好適である。
ここで、前述の固体撮像装置1におけるモジュールとの関係においては、図示のように、画素アレイ部10(撮像部)と、AD変換機能や差分(CDS)処理機能を具備したカラム処理部26などの画素アレイ部10側と密接に関連した信号処理部(カラム処理部26の後段のカメラ信号処理部は除く)が纏めてパッケージングされた状態で撮像機能を有するモジュール状の形態で固体撮像装置1を提供するようにし、そのモジュール状の形態で提供された固体撮像装置1の後段に、残りの信号処理部であるカメラ信号処理部810を設けて撮像装置8の全体を構成するようにしてもよい。
または、図示を割愛するが、画素アレイ部10と撮影レンズ802などの光学系とが纏めてパッケージングされた状態で撮像機能を有するモジュール状の形態で固体撮像装置1を提供するようにし、そのモジュール状の形態で提供された固体撮像装置1に加えて、カメラ信号処理部810をもモジュール内に設けて、撮像装置8の全体を構成するようにしてもよい。
また、固体撮像装置1におけるモジュールの形態として、カメラ信号処理部200に相当するカメラ信号処理部810を含めてもよく、この場合には、事実上、固体撮像装置1と撮像装置8とが同一のものと見なすこともできる。
このような撮像装置8は、「撮像」を行なうための、たとえば、カメラや撮像機能を有する携帯機器として提供される。なお、「撮像」は、通常のカメラ撮影時の像の撮り込みだけではなく、広義の意味として、指紋検出なども含むものである。
このような構成の撮像装置8においては、前述の固体撮像装置1の全ての機能を包含して構成されており、前述の固体撮像装置1の基本的な構成および動作と同様とすることができ、間引き行の電荷生成部32から溢れる電荷が隣接する読出し動作行に漏れ込むことによるブルーミング現象の発生が抑制されるように、転送パルスTRG を3値駆動や“2値駆動+フローティング”とするブルーミング対策電位制御を行なう仕組みを実現できるようになる。
たとえば、上述した処理をコンピュータに実行させるプログラムは、フラッシュメモリ、ICカード、あるいはミニチュアーカードなどの不揮発性の半導体メモリカードなどの記録媒体924を通じて配布される。さらに、サーバなどからインターネットなどの通信網を経由して前記プログラムをダウンロードして取得したり、あるいは更新してもよい。
記録媒体924の一例としてのICカードやミニチュアーカードなどの半導体メモリには、前記実施形態で説明した固体撮像装置1における処理の一部または全て(特に間引き読出しモード時に転送パルスTRG を3値駆動や“2値駆動+フローティング”とするブルーミング対策電位制御に関わる部分)の機能を格納することができる。したがって、プログラムや当該プログラムを格納した記憶媒体を提供することができる。
たとえば、転送パルスTRG を3値駆動する制御を行なうブルーミング対策電位制御処理用のプログラム、すなわちRAM906などにインストールされるブルーミング対策電位制御処理用のソフトウェアは、固体撮像装置1について説明したブルーミング対策電位制御処理と同様に、間引き読出時のブルーミング現象を抑制するブルーミング対策電位制御処理を実現するための制御パルス設定機能をソフトウェアとして備える。
ソフトウェアは、RAM906に読み出された後にマイクロプロセッサ902により実行される。たとえばマイクロプロセッサ902は、記録媒体の一例であるROM904およびRAM906に格納されたプログラムに基づいて制御パルス設定処理を実行することにより、間引き読出モード時に、間引き行の読出選択用トランジスタ34に供給する転送パルスTRG を常時ブルーミング対策電位(たとえば中間電位Mやフローティング)とすることで、間引き行の電荷生成部32で生じる電荷が溢れて隣接する読出し動作行に漏れ込むブルーミング現象を抑制させる機能をソフトウェア的に実現することができる。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で前記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、前記実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、前記実施形態では、行間引きの駆動における垂直方向に隣接する画素へのブルーミング現象とその対策について説明したが、列方向の間引きに関しても、前記実施形態の技術思想を同様に適用できる。
たとえば、行間引きに関しては、前述のようにして垂直走査回路14の制御の元で間引き読出しを行ない、そのようにして読み出された各列の画素信号を水平方向に関して、水平走査回路12による制御の元で間引き転送を行なえばよい。あるいは、画素アレイ部10に対する読出しアドレスの設定をX−Yアドレス方式で自由に設定可能な仕組みにして行方向と列方向に関して間引き読出しを行なうようにしてもよい。また、行方向(水平方向)への間引き処理時には、読み出されない列に関しては、読出電流源部24により垂直信号線19へ供給する負荷電流(読出電流)を停止して消費電力の低減を図るようにするとよい。
1…固体撮像装置、3…単位画素、10…画素アレイ部、12…水平走査回路、12a…水平デコーダ、12b…水平駆動部、14…垂直走査回路、14a…垂直デコーダ、14b…垂直駆動部、15…行制御線、18…水平信号線、19…垂直信号線、20…通信・タイミング制御部、24…読出電流源部、25…カラムAD回路、252…電圧比較部、254…カウンタ部、256…データ記憶部、258…スイッチ、26…カラム処理部、27…参照信号生成部、27a…DA変換回路、28…出力回路、32…電荷生成部、34…読出選択用トランジスタ、36…リセットトランジスタ、38…フローティングディフュージョン、40…垂直選択用トランジスタ、42…増幅用トランジスタ、5…画素信号生成部、52…垂直選択線、53…垂直信号線、55…転送配線、56…リセット配線、7…駆動制御部、8…撮像装置、900…カメラ制御部、BF1…転送駆動バッファ、BF2…リセット駆動バッファ、BF3…選択駆動バッファ