JP2008172079A - Iii−v族化合物半導体の製造方法およびiii−v族化合物半導体 - Google Patents

Iii−v族化合物半導体の製造方法およびiii−v族化合物半導体 Download PDF

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Abstract

【課題】p型ドーパントがBeである場合において、再現良く、高いホール密度を有するp型半導体層を備えるIII−V族化合物半導体の製造方法およびIII−V族化合物半導体を提供する。
【解決手段】III−V族化合物半導体1の製造方法は、基板10を準備する工程と、基板10上にIII−V族化合物半導体1からなるp型半導体層11を成長させる成長工程とを備えている。成長工程は、p型不純物10としてのBeをp型半導体層11に供給する第1供給工程と、S、Se、およびTeの少なくともいずれか1種のVI族元素を、第1供給工程で供給されるBeよりも少ない量で、p型半導体層11に供給する第2供給工程とを含んでいる。第1供給工程と第2供給工程とを実質的に同時に行なっている。
【選択図】図4

Description

本発明は、III−V族化合物半導体の製造方法およびIII−V族化合物半導体に関し、たとえば発光素子に好適に用いられるIII−V族化合物半導体の製造方法およびIII−V族化合物半導体に関する。
GaN(窒化ガリウム)系結晶層などのIII−V族化合物半導体は、ワイドバンドギャップ半導体として、青色発光素子をはじめ多くのデバイス用材料として期待されている。デバイスの実現には高濃度のp型結晶の作成が必要であるが、Be(ベリリウム)などのp型不純物単独の高濃度ドーピングでは、自己補償効果により高いホール密度を有する高濃度アクセプターが実現できなかった。
たとえば、GaN系結晶層にMg(マグネシウム)をp型不純物としてドーピングすると、形成されるMgの不純物準位が200meVと深く、活性化率が1%未満と非常に低くなる。また、Mgを高濃度にドーピングすると、Mgが格子間位置に入って自己補償効果が起きる。そのため、GaN系結晶層にMgをp型不純物としてドーピングしても、得られるホール密度は5×1017cm-3程度の低い値となる。
また、GaN系結晶層に不純物準位が100meV以下と浅いBeをp型不純物としてドーピングすると、Mgをドーピングした場合より活性化率が高くなるとも思われる。しかし、実際には、得られるホール密度は高くても1×1017cm-3程度であり、Mgをドーピングしたものよりもさらに低い値となる。
そこで、高濃度アクセプターを実現するために、非特許文献1では、ドナー(電子供与体)とアクセプター(受容体)不純物原子の両者を同時にドーピング(同時ドーピング:codoping)することが開示されている。同時ドーピングを行なうと、それぞれの不純物原子は1:1の対を形成し、この原子対の周りにさらに別のアクセプター不純物が配位して、アクセプターとして働くことが開示されている。また、非特許文献1には、たとえばドナーとアクセプターとを1:2の比率で、高濃度にドーピングをすると、その差分の濃度のアクセプターを形成できるため、従来困難であった1019〜1021cm-3のホール密度を有する高濃度のp型キャリア半導体層を実現できることが開示されている。具体的には、たとえば、ドナーとしてSi(ケイ素)を、アクセプターとしてBeを用いた場合には、Be単独でドーピングした場合の3倍以上の濃度である1.2×1018cm-3のホール密度が得られるため、高濃度のアクセプターが得られることが開示されている。
Tetsuya Yamamoto,"Materials Design for the Fabrication of Low-Resistivity p-Type GaN Using a Codoping Method",Jpn.J.Appl.Phys. Vol.36(1997)pp.L180-L183
しかしながら、上記非特許文献1に開示の方法によってGaN系結晶層にアクセプターとしてBeと、ドナーとしてO(酸素)およびSiのいずれかを同時ドーピングすると、再現良く高いホール密度を得ることができないという問題がある。
それゆえ本発明の目的は、p型ドーパントがBeである場合において、再現良く、高いホール密度を有するp型半導体層を備えるIII−V族化合物半導体の製造方法およびIII−V族化合物半導体を提供することである。
本願発明者は、鋭意研究の結果、p型半導体層を形成するためにBe単独でドーピングを行なう場合に高いホール密度が得られないのは、Beは原子半径が小さいので、BeがGa(ガリウム)置換位置から格子間位置(格子間サイト)に移動しやすいことに起因することを見出した。そして、Beが格子間位置に入ると、Beはドナーとして働き、自己補償効果が起きてしまうため、高いホール密度が得られないことを見出した。
また、本願発明者は、上記非特許文献1に開示の方法でp型半導体層を形成する場合に高いホール密度が得られないのは、Beの同時ドーピングの相手としてOやSiを選択しても、O原子やSi原子の原子半径は窒素原子の原子半径と大差がないことに起因することを見出した。そして、原子半径の大きさに大差がないため、BeとOおよびSiとが理想的に2:1の割合で結合を形成したとしても、Be導入による結晶の歪みを打ち消すことができないことを見出した。そして、Be単独でドーピングする場合と同様に、非特許文献1に開示の方法においても、Beが格子間位置に入って安定化してしまい、Beの拡散を有効に抑制できず、高いホール密度が再現良く得られないことを見出した。
そこで、本発明のIII−V族化合物半導体の製造方法は、p型半導体層を含むIII−V族化合物半導体の製造方法であって、基板を準備する工程と、基板上にIII−V族化合物半導体からなるp型半導体層を成長させる成長工程とを備えている。成長工程は、p型不純物としてのベリリウムをp型半導体層に供給する第1供給工程と、硫黄(S)、セレン(Se)、およびテルル(Te)の少なくともいずれか1種のVI族元素を、第1供給工程で供給されるベリリウムよりも少ない量で、p型半導体層に供給する第2供給工程とを含んでいる。第1供給工程と第2供給工程とを実質的に同時に行なう。
本発明のIII−V族化合物半導体の製造方法によれば、不純物準位の浅いBeを、VI族元素のうち、原子半径の大きいS、Se、およびTeのいずれか1種のVI族元素と実質的に同時にドーピングしているので、原子半径の差の大きさから、Beと同時にドーピングされるVI族元素とは対を形成し、Beが格子間サイトに入ることを防止できる。そのため、Beは、p型半導体層中にエネルギー的に安定して取り込まれる。よって、p型ドーパントがBeである場合において、再現良く、高いホール密度を有するp型半導体層を形成することができる。
なお、上記「実質的に同時」とは、成長されるp型半導体層の中に、アクセプターとしてのBeとドナーとしての1種のVI族元素とが共存している状態になるように各々を供給することを意味する。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、成長工程では、p型半導体層を分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)により成長させることが好ましい。
これにより、成長工程において、第1供給工程で供給されるBeを取り込んでp型半導体層を容易に成長させることができる。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、p型半導体層は、V族元素として窒素元素を含んでいる。
有用な窒素原子を含んでいても、窒素原子よりも原子半径の大きいVI族元素により、再現良く、高いホール密度を有するIII−V族化合物半導体を製造できる。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、p型半導体層は、V族元素としてリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)の少なくともいずれかをさらに含んでいる。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、p型半導体層は、III族元素としてインジウム、アルミニウム、ガリウムの少なくともいずれかを含んでいる。
有用なこれらの元素をさらに含んでいても、原子半径の大きいVI族元素により、再現良く高いホール密度を有するp型半導体層を含むIII−V族化合物半導体を製造できる。
上記III−V族化合物半導体の製造方法において好ましくは、第2供給工程で供給されるVI族元素に対して、第1供給工程で供給されるベリリウムの比率が、1を超えて10000未満であり、比率が1を超えて100未満であることがより好ましく、比率が1を超えて10未満であることがより一層好ましい。
比率が1を超えることによって、p型半導体層を形成できる。一方、比率を10000未満とすることによって、p型半導体層のホール密度を向上できる。比率を100未満とすることによって、p型半導体層のホール密度をより向上できる。比率を10未満とすることによって、p型半導体層のホール密度をより一層向上できる。
本発明の一の局面におけるIII−V族化合物半導体は、上記III−V族化合物半導体の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体であって、p型半導体層では、ベリリウムが1×1018cm-3以上1×1022cm-3以下、好ましくは1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下、より好ましくは1×1019cm-3以上1×1020cm-3以下含有されている。
本発明の一の局面におけるIII−V族化合物半導体によれば、ベリリウムを高濃度に含有するとともに、原子半径の大きいS、Se、およびTeの少なくともいずれか1種を含有しているため、高いホール密度のp型半導体層ができる。Beの濃度を1×1018cm-3以上とすることによって、高いホール密度にできる。1×1019cm-3以上とすることによって、より高いホール密度にできる。一方、1×1022cm-3以下とすることによって、過剰ドーピングによる結晶性の悪化を防ぎ、高いホール密度にできる。また、1×1021cm-3以下とすることによって、さらに結晶性を高めることができ、より高いホール密度が得られる。また、1×1020cm-3以下とすることによって、さらに結晶性を高めることができ、より高いホール密度が得られる。
本発明の他の局面におけるIII−V族化合物半導体は、上記III−V族化合物半導体の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体であって、p型半導体層では、VI族元素が1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下、好ましくは5×1018cm-3以上5×1020cm-3以下、より好ましくは5×1018cm-3以上5×1019cm-3以下含有されている。
本発明の他の局面におけるIII−V族化合物半導体によれば、ベリリウムを高濃度に含有するとともに、原子半径の大きいS、Se、およびTeの少なくともいずれか1種を含有しているため、高いホール密度のp型半導体層ができる。VI族元素の濃度を1×1018cm-3以上とすることによって、高いホール密度にできる。5×1018cm-3以上とすることによって、より高いホール密度にできる。一方、1×1021cm-3以下とすることによって、過剰ドーピングによる結晶性の悪化を防ぎ、高いホール密度にできる。5×1020cm-3以下とすることによって、さらに結晶性を高めることができ、より高いホール密度が得られる。5×1019cm-3以下とすることによって、より一層結晶性を高めることができ、より一層高いホール密度が得られる。
本発明のさらに他の局面におけるIII−V族化合物半導体は、III−V族化合物半導体の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体であって、p型半導体層では、ホール密度が7.8×1017cm-3以上3.0×1018cm-3以下である。
本発明のさらに他の局面におけるIII−V族化合物半導体によれば、Be単独、Mgをドーピングしてなるp型半導体層や非特許文献1のp型半導体層のホール密度よりも高い。そのため、たとえばp型半導体層を発光素子のp型クラッド層に用いると、p型クラッド層に電子が漏れることを防止できるので、発光効率を向上できる。
本発明のIII−V族化合物半導体の製造方法およびIII−V族化合物半導体によれば、p型ドーパントがBeである場合において、再現良く、高いホール密度を有するp型半導体層を備えるIII−V族化合物半導体を製造することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態におけるIII−V族化合物半導体を示す概略断面図である。図1を参照して、本発明の実施の形態におけるIII−V族化合物半導体を説明する。
図1に示すように、III−V族化合物半導体1は、基板10と、基板10上に形成されたIII−V族化合物半導体からなるp型半導体層11とを備えている。
基板10は、特に限定されず、III−V族化合物半導体からなってもよいしサファイヤなどからなっていてもよい。基板10は、格子不整合による転位を防止する観点から、III−V族化合物からなることが好ましく、GaNからなることがより好ましい。
p型半導体層11は、p型不純物としてのBeと、Beよりも少ない量のS、Se、およびTeの少なくともいずれか1種のVI族元素とを含有している。p型半導体層11は、たとえばGaN(窒化ガリウム)やAlGaN(窒化アルミニウムガリウム)からなっている。
p型半導体層11では、BeとVI族元素との比率(Be/VI族元素)が、1を超えて10000未満であり、好ましくは1を超えて100未満であり、より好ましくは1を超えて10未満である。
なお、BeおよびVI族元素の量は、結晶中の不純物定量分析として一般的なSIMS(2次イオン質量分析)法でそれぞれの元素量を測定した値である。このようにして測定されるBeおよびVI族元素の値について、上記比率(Be/VI族元素)は決定される。
また、p型半導体層11に含有されているBeは、1×1018cm-3以上1×1022cm-3以下であることが好ましく、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であることがより好ましく、1×1019cm-3以上1×1020cm-3以下であることがより一層好ましい。
なお、上記Beの濃度は、結晶中の不純物定量分析として一般的なSIMS(2次イオン質量分析)法による値である。
また、p型半導体層11に含有されているS、Se、およびTeの少なくともいずれか1種のVI族元素は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であることが好ましく、5×1018cm-3以上5×1020cm-3以下であることがより好ましく、5×1018cm-3以上5×1019cm-3以下であることがより一層好ましい。
なお、VI族元素の濃度は、結晶中の不純物定量分析として一般的なSIMS(2次イオン質量分析)法による値である。
特に、p型半導体層11は、Beを1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下含むとともに、S、Se、およびTeの少なくともいずれか1種のVI族元素を5×1018cm-3以上5×1020cm-3以下含むことが好ましい。また、p型半導体層11は、Beを1×1019cm-3以上1×1020cm-3以下含むとともに、S、Se、およびTeの少なくともいずれか1種のVI族元素を5×1018cm-3以上5×1019cm-3以下含むことがより好ましい。
また、p型半導体層11のホール密度は7.8×1017cm-3以上3.0×1018cm-3以下であることが好ましい。
また、デバイスを作製する場合にp型電極との良好なオーミックコンタクトを形成する観点から、p型半導体層11におけるp型コンタクト層のホール密度は、5×1017cm-3以上であることが好ましく、1×1018cm-3以下であることがより好ましい。
なお、上記ホール密度は、結晶中のキャリア密度測定法として一般的なHall測定法による値である。
次に、図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態におけるIII−V族化合物半導体の製造方法について説明する。実施の形態におけるIII−V族化合物半導体の製造方法は、p型半導体層を含むIII−V族化合物半導体の製造方法である。なお、図2は、本発明の実施の形態におけるIII−V族化合物半導体の製造方法を示すフローチャートである。図3は、本発明の実施の形態におけるIII−V族化合物半導体の製造方法に用いるMBE装置を示す概略図である。
まず、図1および図2に示すように、基板10を準備する準備工程(S10)を実施する。準備工程(S10)では、上述したような基板10を準備することが好ましい。
次に、図1〜図3に示すように、基板10上にIII−V族化合物半導体からなるp型半導体層11を成長させる成長工程(S20)を実施する。成長工程(S20)は、p型不純物としてのBeをp型半導体層11に供給する第1供給工程(S21)と、S、Se、およびTeの少なくともいずれか1種のVI族元素を、第1供給工程(S21)で供給されるBeよりも少ない量で、p型半導体層11に供給する第2供給工程(S22)とを含んでいる。
成長工程(S20)では、p型半導体層11を分子線エピタキシー法により成長させることが好ましい。具体的には、分子線エピタキシー法は、たとえば図3に示すMBE装置を用いて行なう。MBE装置は、反応室150の内部に配置されるホルダー101と、マニピュレータ102と、反応室150の外部に配置されるセル111〜118と、抵抗加熱部材121〜126と、RHEED131と、シャッター141〜147とを備えている。
ホルダー101は、基板10を保持するための部材であり、たとえばモリブデンからなる。ホルダー101はマニピュレータ102と呼ばれる基板加熱装置に保持される。セル111〜116は、In(インジウム)、Al(アルミニウム)、Ga、Si、Be、およびTeの各原料を基板10上に供給するための部材である。セル117は、Nを基板10上に供給するための部材である。セル118は原料を増やすときなどに対応できる予備のセルである。セル111〜116は、抵抗加熱部材121〜126をそれぞれ有しており、抵抗加熱部材121〜126は、セル111〜116内の原料を高温に昇温させる。シャッター141〜147は、セル111〜116内の原料を基板10に供給する場合には開け、供給しない場合には閉めることによって、原料の供給を制御するための部材である。
実施の形態における成長工程(S20)では、まず、基板10をホルダー101に保持させる。そして、基板10の温度が680℃程度になるように、マニピュレータ102を加熱する。そして、p型不純物としてのBeをp型半導体層11に供給する第1供給工程(S21)として、抵抗加熱部材125により昇温されたセル115内のBeの蒸気を基板10上に供給する。そして、S、Se、およびTeの少なくともいずれか1種のVI族元素を、第1供給工程(S21)で供給されるBeよりも少ない量で、p型半導体層11に供給する第2供給工程(S22)として、抵抗加熱部材126により昇温されたセル116内のTeの蒸気を基板10上に供給する。また、抵抗加熱部材121〜124により昇温されたセル111〜114の各原料蒸気のうち選択された原料蒸気を基板10上に供給する(以下、「第3供給工程」ともいう)。必要に応じて、窒素はRFガンを用いて高周波磁場を印加し、活性化(プラズマ化)してセル117から供給する(以下、「第4供給工程」ともいう)。このとき、第1供給工程(S21)と、第2供給工程(S22)とを、実質的に同時に行なう。
なお、「実質的に同時」とは、成長されるp型半導体層11の中にアクセプターとしてのBeとドナーとしてのVI族元素とが共存している状態になるように各々を供給することができれば特に限定されない。「実質的に同時」とは、第1供給工程(S21)および第2供給工程(S22)とを完全に同時に行なう場合の他、たとえば、同じ装置で供給するなど供給する空間を共通にする場合、p型半導体層11の結晶成長の速度に応じて交互に供給する場合などを含む。
また、第1供給工程(S21)と第2供給工程(S22)とを実質的に同時に行なう方法としては、たとえばセル115,116のシャッター145,146の開閉により制御する。
そして、成長工程(S20)では、エピタキシャル成長する表面はRHEED131(反射高速電子線回折:Reflection High Energy Electron Diffraction)を用いて観察を行なう。これは基板10に低角で電子線を入射させ、反射された回折像を観察して表面状態の情報を得る手法である。
成長工程(S20)では、p型半導体層11がV族元素として窒素元素を含むように成長させることが好ましい。具体的には、セル117から窒素を供給する第4供給工程を第1供給工程(S21)および第2供給工程(S22)と実質的に同時に行なう。
また、成長工程(S20)では、p型半導体層11がV族元素としてリン、ヒ素、アンチモンの少なくともいずれかをさらに含むように成長させることが好ましい。具体的には、少なくともいずれかの元素を内部に導入するセルをさらに準備する。そして、少なくともいずれかの元素を基板10上に供給する工程を、第1供給工程(S21)および第2供給工程(S22)とを実質的に同時に行なう。
また、成長工程(S20)では、p型半導体層は、III族元素としてインジウム、アルミニウム、ガリウムの少なくともいずれかを含むように成長させることが好ましい。具体的には、セル111〜114に導入された各原料のうち、選択された原料を抵抗加熱部材121〜124により蒸気にして基板10上に供給する第3供給工程を、第1供給工程(S21)および第2供給工程(S22)とを実質的に同時に行なう。
また、成長工程(S20)では、第2供給工程(S22)で供給されるVI族元素に対して、第1供給工程(S21)で供給されるベリリウムの比率(Be/VI族元素)が、1を超えて10000未満であることが好ましく、1を超えて100未満であることがより好ましく、1を超えて10未満であることがより一層好ましく、1.5以上2.4以下であることが最も好ましい。
なお、実施の形態では、セル116にTeを導入して基板10上にTeを供給しているが、特にこれに限定されず、セル116にS、Se、およびTeの少なくともいずれか1種のVI族元素を導入して基板10に供給すればよい。具体的には、供給する元素を各元素ごとにセルに導入する。
以上の工程(S10,S20)を実施することによって、図1に示す実施の形態におけるIII−V族化合物半導体1を製造できる。
以上説明したように、本発明の実施の形態におけるIII−V族化合物半導体1の製造方法は、p型半導体層11を含むIII−V族化合物半導体1の製造方法であって、基板10を準備する工程(S10)と、基板10上にIII−V族化合物半導体1からなるp型半導体層11を成長させる成長工程(S20)とを備え、成長工程(S20)は、p型不純物としてのBeをp型半導体層11に供給する第1供給工程(S21)と、S、Se、およびTeの少なくともいずれか1種のVI族元素を、第1供給工程(S21)で供給されるBeよりも少ない量で、p型半導体層11に供給する第2供給工程(S22)とを含み、第1供給工程(S21)と第2供給工程(S22)とを実質的に同時に行なっている。不純物準位の浅いBeを、VI族元素のうち、原子半径の大きいS、Se、およびTeのいずれか1種のVI族元素と実質的に同時にドーピングすることによってp型半導体層11を形成している。そのため、Beと、Beと同時にドーピングされる1種のVI族元素(S、Se、およびTeの少なくともいずれか1種)とは、原子半径の差が大きいので、p型半導体層11においてBeと少なくとも1種のVI族元素とが対を形成して、Beが格子間位置に入ることを防止できる。そのため、原子半径の小さいBeが、p型半導体層11中にエネルギー的に安定して取り込まれる。よって、p型ドーパントがBeである場合において、再現良く、高いホール密度を有するp型半導体層11を形成することができる。
上記III−V族化合物半導体1の製造方法において好ましくは、成長工程(S20)では、p型半導体層11を分子線エピタキシー法により成長させることが好ましい。これにより、成長工程(S20)において、第1供給工程(S21)で供給されるBeを取り込んで、p型半導体層11を容易に成長させることができる。
上記III−V族化合物半導体1の製造方法において好ましくは、p型半導体層11は、V族元素として窒素元素を含んでいる。有用なN原子を含んでいても、N原子よりも原子半径の大きいVI族元素により、再現良く、高いホール密度を有するp型半導体層11を含むIII−V族化合物半導体1を製造できる。
上記III−V族化合物半導体1の製造方法において好ましくは、p型半導体層11は、V族元素としてリン、ヒ素、アンチモンの少なくともいずれかをさらに含んでいる。また、上記III−V族化合物半導体1の製造方法において好ましくは、p型半導体層は、III族元素としてインジウム、アルミニウム、ガリウムの少なくともいずれかを含んでいる。有用なこれらの元素をさらに含んでいても、原子半径の大きいVI族元素と実質的に同時にドーピングすることにより、再現良く高いホール密度を有するIII−V族化合物半導体1を製造できる。
上記III−V族化合物半導体1の製造方法において好ましくは、第2供給工程(S22)で供給されるVI族元素に対して、第1供給工程(S21)で供給されるベリリウムの比率が、1を超えて10000未満であり、比率が1を超えて100未満であることがより好ましく、比率が1を超えて10未満であることがより一層好ましい。比率が1を超えることによって、p型半導体層11を形成できる。一方、比率を10000未満とすることによって、p型半導体層11のホール密度を向上できる。比率を100未満とすることによって、p型半導体層11のホール密度をより向上できる。比率を10未満とすることによって、p型半導体層11のホール密度をより一層向上できる。
本発明の実施の形態におけるIII−V族化合物半導体1は、上記III−V族化合物半導体1の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体1であって、p型半導体層11では、ベリリウムが1×1018cm-3以上1×1022cm-3以下、好ましくは1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下、より好ましくは1×1019cm-3以上1×1020cm-3以下含有されている。実施の形態におけるIII−V族化合物半導体1は、Beを高濃度に含有するとともに、原子半径の大きいS、Se、およびTeの少なくともいずれか1種を含有しているため、高いホール密度のp型半導体層11ができる。Beの濃度を1×1018cm-3以上とすることによって、高いホール密度にできる。1×1019cm-3以上とすることによって、より高いホール密度にできる。一方、1×1022cm-3以下とすることによって、過剰ドーピングによる結晶性の悪化を防ぎ、高いホール密度にできる。また、1×1021cm-3以下とすることによって、さらに結晶性を高めることができ、より高いホール密度が得られる。また、1×1020cm-3以下とすることによって、さらに結晶性を高めることができ、より高いホール密度が得られる。
また、本発明の実施の形態におけるIII−V族化合物半導体1は、上記III−V族化合物半導体1の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体であって、p型半導体層では、1種のVI族元素が1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下、好ましくは5×1018cm-3以上5×1020cm-3以下、より好ましくは5×1018cm-3以上5×1019cm-3以下含有されている。VI族元素の濃度を1×1018cm-3以上とすることによって、高いホール密度にできる。5×1018cm-3以上とすることによって、より高いホール密度にできる。一方、1×1021cm-3以下とすることによって、過剰ドーピングによる結晶性の悪化を防ぎ、高いホール密度にできる。5×1020cm-3以下とすることによって、さらに結晶性を高めることができ、より高いホール密度が得られる。5×1019cm-3以下とすることによって、より一層結晶性を高めることができ、さらに高いホール密度が得られる。
また、本発明の実施の形態におけるIII−V族化合物半導体1は、上記III−V族化合物半導体1の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体1であって、p型半導体層11では、ホール密度が7.8×1017cm-3以上3.0×1018cm-3以下である。後述の実施例のように特にBe/Te比に注意を払ってBeおよびTeの濃度を最適化すると、Be単独、またはMgをドーピングしてなるp型半導体層11のホール密度よりも、実施の形態におけるIII−V族化合物半導体1のホール密度を高くできる。そのため、たとえばp型半導体層11をp型クラッド層に適用してIII−V族化合物半導体1を発光素子とすると、p型クラッド層に電子が漏れることを防止できるので、発光効率を向上できる。
また、p型半導体層11をp型コンタクト層に用いると、上記のように高いホール密度を有するため、大電流を流しても低抵抗なので発熱を抑制できる。そのため、熱による電極の劣化を防止でき、III−V族化合物半導体1の寿命を長くすることができるとともに、III−V族化合物半導体の信頼性を向上できる。
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1,2)
実施例1,2では、実施の形態におけるIII−V族化合物半導体の製造方法に従って、図1に示すIII−V族化合物半導体を製造した。
具体的には、まず、基板を準備する準備工程(S10)を実施した。準備工程(S10)では、GaNからなる基板を準備した。
次に、基板上にIII−V族化合物半導体からなるp型半導体層を成長させる成長工程(S20)を実施した。成長工程(S20)では、図3に示すMBE装置を用いて、p型半導体層を分子線エピタキシー法により成長させた。
詳細には、Ga、Be、Teを導入したセル113,115,116を、それぞれ目的温度に向けて昇温させた。目的温度は、Gaについてはフラックス値が6.5×10-7Torrとなる温度、Beについては750℃とした。Teの目的温度は、実施例1,2について、それぞれ400℃、および425℃とした。なお、Beの目的温度を750℃とすることによって、成長したp型半導体層11のBeの濃度は、3.5×1019cm-3となった。
そして、基板をMBE装置のホルダー101に保持した後、基板をマニピュレータ102により昇温した。基板の温度が680℃に到達後、基板温度を680℃に保持して、表面の酸化物を分解させるサーマルクリーニングを行なった。サーマルクリーニングの過程は、RHEED131でチェックし、電子線回折パターンがストリーク状になった時点でサーマルクリーニングを終了した。なお、RHEED131でストリーク状になると、結晶表面が原子オーダーで平坦・清浄であることを示すものである。
そして、サーマルクリーニング実施中に、窒素プラズマ化装置に窒素を導入して、プラズマを立てる作業を行い、活性化窒素を供給する準備を行った。
そして、サーマルクリーニング終了と共に、成長工程(S20)前に昇温して安定化させていたGa、Be、Te、およびNのセル113,115〜117のシャッター143,145〜147を同時に開け、p型半導体層としてp型GaN層の成長をスタートさせた。これにより、p型不純物としてのベリリウムをp型半導体層に供給する第1供給工程(S21)と、S、Se、およびTeの少なくともいずれか1種のVI族元素であるTeを、第1供給工程(S21)で供給されるBeよりも少ない量で、p型半導体層に供給する第2供給工程(S22)とを同時に実施した。
なお、成長工程(S20)を実施中は、RHEED131による回折パターンを数十分置きに観察し、p型半導体層の成長に異常がないか、およびIII族元素に対するV族元素の供給比(V/III)が目的(設定)から大きく外れていないかを確認した。成長工程(S20)を2時間行なったところ、p型半導体層の厚みが1μm以上成長した。その後、全てのセル113,115〜117のシャッター143,145〜147を閉じて、成長工程(S20)を終了した。
そして、基板の温度を降温した。さらに窒素のプラズマ化も停止し、MBE装置内部への窒素ガス供給を停止した。そして、基板の温度が十分低下したところで、基板を載せたホルダー101をMBE成長室の外部へ取り出した。
以上の工程(S10,S20)を実施することにより、実施例1,2におけるGaN基板と、GaN基板上に形成されたp型半導体層としてのp型GaN層とを備えるIII−V族化合物半導体を製造した。
(比較例1)
比較例1におけるIII−V族化合物半導体の製造方法は、基本的には実施例1,2のIII−V族化合物半導体の製造方法と同様であるが、Teを導入したセル116の温度を450℃とした点においてのみ異なる。
(比較例2)
比較例2におけるIII−V族化合物半導体の製造法方法は、基本的には実施例1,2のIII−V族化合物半導体の製造方法と同様であるが、Beの代わりにMgを導入した点、Teを使用しない点、およびセルの温度を320℃とした点においてのみ異なる。
(測定方法)
実施例1,2および比較例1のIII−V族化合物半導体の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体のp型半導体層(p型GaN層)について、ホール測定法によりホール密度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2008172079
(測定結果)
表1に示すように、実施例1,2におけるIII−V族化合物半導体を構成するp型半導体層のホール密度は、比較例2に比べて、高い値となった。また、実施例1,2におけるp型半導体層のホール密度は、上述したBe単独でドーピングをした場合(高くても1×1017cm-3)よりも高い値であった。特に、第2供給工程(S22)で供給されるTeに対して、第1供給工程(S21)で供給されるBeの比率に注意を払いながらそれぞれのドーピング量の最適化を図ることによって、より高いホール密度が得られることが推測される。
一方、比較例1におけるIII−V族化合物半導体では、ドナーとしてのTeの供給量がBeの供給量よりも多かったため、自己補償効果によりアクセプターであるBeの密度が減少し、極性が反転してしまった。そのため、基板上にn型の化合物半導体が形成されてしまった。
また、比較例2におけるIII−V族化合物半導体では、5.0×1017cm-3となり、実施例1,2と比較して低いホール密度となった。
(実施例3)
実施例3は、基本的には実施例1,2のIII−V族化合物半導体の製造方法と同様に実施したが、形成したp型半導体層をp型AlGaN層とした点においてのみ異なる。具体的には、Ga、Be、Te、およびNのセル113,115〜117のシャッター143,145〜147を同時に開ける際に、さらにAlのセル112も同時に開けて、p型半導体層としてp型AlGaN層を成長させた。また、Teを導入したセル116の温度を425℃とした。
そして、実施例3により製造されたIII−V族化合物半導体のp型AlGaN層について、実施例1,2および比較例1と同様にホール密度を測定した。
その結果、実施例3のp型AlGaN層のホール密度は、5.0×1018cm-3であった。AlGaNはGaNよりもバンドギャップが大きいため、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)のクラッド層としての用途には十分な値であった。また、上述したBe単独でドーピングした場合より、大幅にキャリアが増大することを確認できた。なお、実施例3におけるp型半導体層をMgを単独でドーピングした場合のホール密度は2.0×1017cm-3と推定されることから、実施例3のp型AlGaN層のホール密度は高い値であると推定される。すなわち、本発明によれば、Alなどを含有するp型半導体層においても再現よく高いホール密度を有することが推定される。
(実施例4,5)
実施例4,5では、実施例1,2のIII−V族化合物半導体の製造方法により製造されたp型半導体層を用いて、図4に示すようなIII−V族化合物半導体としてのLEDを製造した。なお、図4は、実施例4,5におけるLEDを示す概略斜視図である。
具体的には、図3に示すMBE装置を用いてMBE法により、図4に示す構造のLED20を製造した。
まず、Ga、Al、In、Siを導入したセル111〜114を、それぞれ目的温度に向けて昇温した。目的温度は、実施例1,2と同様とした。また、窒素プラズマを立てる作業についても実施例1,2と同様とした。また、Be、Teを導入したセル115,116を、それぞれ目的温度に向けて昇温した。Beの目的温度は、実施例4,5とも750℃とした。Teの目的温度は、実施例4は実施例1と同様の400℃、実施例5は実施例2と同様の425℃とした。なお、Beの目的温度を750℃とすることによって、実施例1,2と同様にp型半導体層11におけるBeの濃度は、3.5×1019cm-3となった。
そして、サーマルクリーニング終了と共に、成長前に昇温し、安定化させていたGaを導入したセル113のシャッター143と、Nを導入したセル117のシャッター147とを同時に開け、n型バッファ層12の成長をスタートした。そして、n型バッファ層12を1時間成長させた。これにより、基板10上に、厚みが0.5μmで、n型GaNからなるn型バッファ層12を形成した。
そして、Alを導入したセル112のシャッター142を開けて、n型バッファ層12上に、厚みが0.5μmで、n型AlGaNからなるn型クラッド層13を成長させた。
そして、AlおよびSiのセル112,114のシャッター142,144を閉じた。また、同時にSiを導入したセル114を降温した。これにより、n型クラッド層13上に、厚みが10nmで、GaNからなるアンドープガイド層14を形成した。
そして、Inを導入したセル111のシャッター141を開けて、アンドープガイド層14上に、厚みが3nmで、InGaNからなる活性層15を形成した。
そして、Inを導入したセル111のシャッター141を閉じた。また、セル111を降温した。これにより、活性層115上に、厚みが10nmで、GaNからなるアンドープガイド層16を形成した。
そして、Al、Be、およびTeを導入したセル111,115,116のシャッター141,145,146開けて、p型半導体層11を形成した。p型半導体層11は、アンドープガイド層16上に、厚みが0.5μmで、p型AlGaNからなるp型クラッド層とした。
そして、Alを導入したセル111のシャッター141を閉じて、p型クラッド層であるp型半導体層11上に、厚みが0.2μmで、p型GaNからなるp型コンタクト層17を形成した。
これにより、基板10とn型バッファ層12と、n型クラッド層13と、アンドープガイド層14と、活性層15と、アンドープガイド層16と、p型クラッド層であるp型半導体層11と、p型コンタクト層17とが、この順序で積層された積層構造を形成した。
その後、基板の温度を降温させて、MBE装置の外部に積層構造を取り出した。当該積層構造における基板10のn型バッファ層が形成されている面と反対の面にAu(金)からなる電極18を形成し、p型コンタクト層17のp型半導体層11が形成されている面と反対の面にAu(金)からなる電極19を形成した。これにより、実施例4および実施例5におけるLEDを製造した。
(比較例3)
比較例3におけるLEDの製造方法は、基本的には実施例4,5のLEDの製造方法と同様であるが、Teを導入したセル116の温度を比較例1と同様の450℃とした点においてのみ異なる。
(比較例4)
比較例3におけるLEDの製造方法は、基本的には実施例4,5のLEDの製造方法と同様であるが、BeおよびTeを導入せずに、Mgをセルに導入して、Mg単独をドーピングした点においてのみ異なる。なお、比較例4のLEDは、比較例2のp型半導体層を用いた。
(測定方法)
実施例4,5および比較例1のLEDの製造方法によって製造されたLEDについて、それぞれ発光出力を積分球を用いて測定した。その結果を図5に示す。なお、図5は、実施例4,5および比較例3,4の結果を示す図である。図5において、横軸は流した電流(単位:mA)を示し、縦軸は発光出力(単位:mV)を示す。
(測定結果)
図5に示すように、BeとTeとを同時にドーピングして形成されたp型半導体層を備える実施例4,5のLEDは、高いホール密度を有していたので、活性層からp型半導体層へ電子が漏れることを抑制できた。そのため、LEDの発光効率を向上できた。
一方、比較例3におけるLEDは、p型半導体層11,17がn型となったので、発光しなかった。
また、Mgがドーピングされたp型半導体層を備える比較例4におけるLEDは、p型半導体層のホール密度が低かったので、発光効率が実施例4,5と比較して低下した。
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態および実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
本発明のIII−V族化合物半導体の製造方法により製造されたIII−V族化合物半導体を構成するp型半導体層は、高いホール密度を有する。そのため、p型半導体層をp型クラッド層に用いたLEDは、発光効率を向上できる。よって、本発明により製造されたIII−V族化合物半導体は、LEDなどに好適に用いることができる。
本発明の実施の形態におけるIII−V族化合物半導体を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態におけるIII−V族化合物半導体の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態におけるIII−V族化合物半導体の製造方法に用いるMBE装置を示す概略図である。 実施例4,5におけるLEDを示す概略斜視図である。 実施例4,5および比較例3,4の結果を示す図である。
符号の説明
10 基板、11 p型半導体層、12 n型バッファ層、13 n型クラッド層、14,16 アンドープガイド層、15 活性層、17 p型コンタクト層、18,19 電極、101 ホルダー、102 マニピュレータ、111〜118 セル、121〜126 抵抗加熱部材、141〜147 シャッター、150 反応室。

Claims (15)

  1. p型半導体層を含むIII−V族化合物半導体の製造方法であって、
    基板を準備する準備工程と、
    前記基板上にIII−V族化合物半導体からなるp型半導体層を成長させる成長工程とを備え、
    前記成長工程は、
    p型不純物としてのベリリウムを前記p型半導体層に供給する第1供給工程と、
    硫黄、セレン、およびテルルの少なくともいずれか1種のVI族元素を、前記第1供給工程で供給されるベリリウムよりも少ない量で、前記p型半導体層に供給する第2供給工程とを含み、
    前記第1供給工程と前記第2供給工程とを実質的に同時に行なう、III−V族化合物半導体の製造方法。
  2. 前記成長工程では、前記p型半導体層を分子線エピタキシー法により成長させる、請求項1に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  3. 前記p型半導体層は、V族元素として窒素元素を含む、請求項1または2に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  4. 前記p型半導体層は、V族元素としてリン、ヒ素、アンチモンの少なくともいずれかをさらに含む、請求項3に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  5. 前記p型半導体層は、III族元素としてインジウム、アルミニウム、ガリウムの少なくともいずれかを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  6. 前記第2供給工程で供給される前記VI族元素に対して、前記第1供給工程で供給されるベリリウムの比率が、1を超えて10000未満である、請求項1〜5のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  7. 前記比率が1を超えて100未満である、請求項6に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  8. 前記比率が1を超えて10未満である、請求項6に記載のIII−V族化合物半導体の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体であって、
    前記p型半導体層では、ベリリウムが1×1018cm-3以上1×1022cm-3以下含有されている、III−V族化合物半導体。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体であって、
    前記p型半導体層では、ベリリウムが1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下含有されている、III−V族化合物半導体。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体であって、
    前記p型半導体層では、ベリリウムが1×1019cm-3以上1×1020cm-3以下含有されている、III−V族化合物半導体。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体であって、
    前記p型半導体層では、前記VI族元素が1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下含有されている、III−V族化合物半導体。
  13. 請求項1〜8のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体であって、
    前記p型半導体層では、前記VI族元素が5×1018cm-3以上5×1020cm-3以下含有されている、III−V族化合物半導体。
  14. 請求項1〜8のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体であって、
    前記p型半導体層では、前記VI族元素が5×1018cm-3以上5×1019cm-3以下含有されている、III−V族化合物半導体。
  15. 請求項1〜8のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体の製造方法によって製造されたIII−V族化合物半導体であって、
    前記p型半導体層では、ホール密度が7.8×1017cm-3以上3.0×1018cm-3以下である、III−V族化合物半導体。
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