JP4781028B2 - Iii族窒化物半導体積層体及びiii族窒化物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

Iii族窒化物半導体積層体及びiii族窒化物半導体発光素子の製造方法 Download PDF

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本発明は、n型不純物のドーピング濃度が高い領域とn型不純物のドーピング濃度が低い領域から構成されているIII族窒化物半導体積層体、及びこの積層体を有するIII族窒化物半導体発光素子、並びにそれらの製造方法に関する。
III族窒化物半導体は、短波長の可視光を放射する発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)等のpn接合型構造のIII族窒化物半導体発光素子を構成するための機能材料として利用されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、近紫外帯、青色帯、或いは緑色帯の発光を呈するLED構造においては、n形またはp形の窒化アルミニウム・ガリウム(組成式AlXGaYN:0≦X,Y≦1、X+Y=1)を構成材料として、クラッド(clad)層を提供する(例えば、特許文献2参照)。また、窒化ガリウム・インジウム(組成式GaYInZN:0≦Y,Z≦1、Y+Z=1)は、活性層(発光層)としてその特徴が利用されている(例えば、特許文献3参照)。
従来のIII族窒化物半導体発光素子にあって、発光層には、n型またはp型のIII族窒化物半導体層が接合させて設けられるが一般的である。これは高強度の発光を得ることを目的としており、ヘテロ(hetero)接合構造の発光部を提供する形となる。例えば、ダブルヘテロ(DH)接合構造の発光部を構成するために、発光層は、従来からGaYInZN(0≦Y,Z≦1、Y+Z=1)等からなり、n型またはp型III族窒化物半導体層がクラッド(clad)層等として接合されている(例えば、非特許文献1参照)。
例えば、基板と発光層との中間に配置されているn型III族窒化物半導体層は、従来から、珪素(元素記号:Si)を添加したIII族窒化物半導体から構成されている。珪素のドーピング量を調整することによって、抵抗率を制御することが可能であり、例えば、n型AlXGaYN(0≦X,Y≦1、X+Y=1)層が利用されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2000−332364号公報 特開2003−229645号公報 特公昭55−3834号公報 特許第3383242号 赤崎 勇著、「III−V族化合物半導体」、1995年5月20日発行、(株)培風館、第13章参照
しかしながら、気相成長において低抵抗のn型III族窒化物半導体層を形成させるために、珪素(Si)を多量にドーピングすると、亀裂(crack)が発生するという問題があった(H. Murakami他、J. Crystal Growth,115(1991)、648.参照)。即ち、珪素をドーピングする従来の技術手段では、低抵抗で、しかも連続性のあるn型III族窒化物半導体層を安定して得られないことになる。
一方、珪素(Si)以外のn型不純物としては、ゲルマニウム(Ge)が公知である(例えば、特開平4−170397号公報参照)。しかし、Siの場合と比較すると、ドーピング効率は低く(Jpn.J.Appl.Phys.,31(9A)(1992)、2883.参照)、低抵抗のn型III族窒化物半導体層を得るには不利とされてきた。しかも、高濃度にGeをドーピングすると、n型III族窒化物半導体層の表面には、平坦性を損なう小孔(pit)が発生する欠点があった(「Group IIINitride Semiconductor Compounds」(CLARENDON Press.(OXFORD),1998)、104頁参照)。
本発明の態様を下記に例示する。
(1)n型不純物のドーピング濃度が高いIII族窒化物半導体の層である高濃度ドープ層と、n型不純物のドーピング濃度がこれよりも低いIII族窒化物半導体の層である低濃度ドープ層とを交互に、ドーピングされるn型不純物の濃度以外のリアクタ内の成長条件も更に異ならせて、積層することを含むことを特徴とする、III族窒化物半導体積層体の製造方法。
(2)低濃度ドープ層の成長条件を、高濃度ドープ層の成長条件と異ならせて、低濃度ドープ層の成長時に、層の2次元成長が促進されるようにすることを特徴とする、上記(1)項に記載の方法。
(3)高濃度ドープ層を、低濃度ドープ層とは異なる成長温度で成長させることを特徴とする、上記(1)又は(2)項に記載の方法。
(4)低濃度ドープ層を、高濃度ドープ層よりも高い成長温度で成長させることを特徴とする、上記(3)項に記載の方法。
(5)高濃度ドープ層を、低濃度ドープ層とは異なる成長圧力で成長させることを特徴とする、上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の方法。
(6)低濃度ドープ層を、高濃度ドープ層よりも低い成長圧力で成長させることを特徴とする、上記(5)項に記載の方法。
(7)高濃度ドープ層の成長時のキャリアガス流速条件を、低濃度ドープ層の成長時のキャリアガス流速条件とは異なる条件とすることを特徴とする、上記(1)〜(6)項のいずれかに記載の方法。
(8)低濃度ドープ層の成長時のキャリアガス流速を、高濃度ドープ層の成長時のキャリアガスの流速よりも大きくすることを特徴とする、上記(7)項に記載の方法。
(9)高濃度ドープ層の成長速度を、低濃度ドープ層の成長速度とは異ならせることを特徴とする、上記(1)〜(8)項のいずれかに記載の方法。
(10)低濃度ドープ層の成長速度を、高濃度ドープ層の成長速度よりも小さくすることを特徴とする、上記(9)項に記載の方法。
(11)高濃度ドープ層の成長時のV/III比を、低濃度ドープ層の成長時のV/III比とは異ならせることを特徴とする、上記(1)〜(10)項のいずれかに記載の方法。
(12)低濃度ドープ層の成長時のV/III比を、高濃度ドープ層の成長時のV/III比よりも小さくすることを特徴とする、上記(11)項に記載の方法。
(13)上記(1)〜(12)項のいずれかに記載の方法によって、III族窒化物半導体積層体を、n型またはp型のIII族窒化物半導体である発光層と基板との中間に積層することを含むことを特徴とする、III族窒化物半導体発光素子の製造方法。
(14)n型不純物のドーピング濃度が高いIII族窒化物半導体の層である高濃度ドープ層と、n型不純物のドーピング濃度がこれよりも低いIII族窒化物半導体の層である低濃度ドープ層とが交互に積層されていることを特徴とする、III族窒化物半導体積層体。
(15)高濃度ドープ層のn型不純物濃度が、5×1017cm-3以上で5×1019cm-3以下であることを特徴とする、上記(14)項に記載のIII族窒化物半導体積層体。
(16)低濃度ドープ層のn型不純物濃度が、0cm-3以上で2×1017cm-3以下であることを特徴とする、上記(14)又は(15)項に記載のIII族窒化物半導体積層体。
(17)低濃度ドープ層が、n型不純物をドーピングされていないことを特徴とする、上記(14)〜(16)項のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層体。
(18)n型不純物が、シリコン(Si),ゲルマニウム(Ge),硫黄(S),セレン(Se),すず(Sn),テルル(Te)のうちのいずれか1種類もしくは2種類以上の組み合わせからなることを特徴とする、上記(14)〜(17)項のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層体。
(19)n型不純物として、少なくともゲルマニウム(Ge)を含むことを特徴とする、上記(14)〜(18)項のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層体。
(20)上記(14)〜(19)項のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層体が、n型またはp型のIII族窒化物半導体である発光層と基板との中間に配置されていることを特徴とする、III族窒化物半導体発光素子。
n型不純物のドーピング濃度が高いIII族窒化物半導体の層である高濃度ドープ層とn型不純物のドーピング濃度がこれよりも低いIII族窒化物半導体の層である低濃度ドープ層を交互に積層された構成とすることで、より高キャリア濃度の結晶を結晶性良く作製することができる。
このような構造を作製する方法においては、高濃度ドープ層と低濃度ドープ層とで成長の条件を異ならせることで、より結晶性の良い半導体を作製できる。結晶性の向上のためには、低濃度ドープ層の成長条件をより2次元成長しやすい条件とすることが好適であり、このような成長モードの制御が可能な成長条件を変化させることが重要である。
n型不純物としては、シリコン(Si),ゲルマニウム(Ge),すず(Sn),硫黄(S),Se(セレン),Te(テルル)等を利用できる。中でも、SiとGeはn型ドーパントとして利用可能な範囲が大きく、条件の制御性から見て扱いやすい。更にGeを使った場合、結晶の格子定数が変化する効果が得られ、出力が増加する現象も期待できる。但し、Ge以外のn型不純物を特に選択することもできる。
III族窒化物半導体結晶の成長モードを制御するための成長条件とは、成長温度、成長圧力、キャリアガスの流速、成長速度、V/III比などがある。これらの条件は、ひとつだけを変更しても良いし、いくつかを同時に変化させても良い。
高濃度ドープ層を低濃度ドープ層とは異なる成長温度で成長させることが好ましい。特に、低濃度ドープ層の成長温度を、高濃度ドープ層の成長温度よりも高くすることで、低濃度ドープ層による2次元成長を促進させて、高濃度ドープ層で発生したピットを効果的に埋め込むことが可能である。
高濃度ドープ層と低濃度ドープ層での成長温度の差は、5℃以上100℃以下が望ましい。更に望ましくは、10℃以上50℃以下である。5℃以下の温度差では充分な効果が得られないことがあり、100℃以上の温度差を付けると、インターバル時間などで工程時間が長くなることがある。
成長温度は、高濃度ドープ層、または低濃度ドープ層の成長過程の途中で変化させても良いし、成長を停止して温度の安定を待っても良い。
高濃度ドープ層を、低濃度ドープ層とは異なる成長圧力で成長させることが好ましい。特に、低濃度ドープ層の成長圧力を、高濃度ドープ層の成長圧力よりも低くすることで、低濃度ドープ層の2次元成長を促進させて、高濃度ドープ層で発生したピットを効果的に埋め込むことが可能である。
高濃度ドープ層と低濃度ドープ層とでの成長圧力の差は、50mbar以上500mbar以下が望ましい。更に望ましくは、100mbar以上400mbar以下である。50mbar以下の圧力差では充分な効果が得られないことがあり、500mbar以上の圧力差を付けると、インターバル時間などで工程時間が長くなることがある。
成長圧力は、高濃度ドープ層、または低濃度ドープ層の成長過程の途中で変化させても良いし、成長を停止して圧力の安定を待っても良い。
高濃度ドープ層のためのキャリアガスの流速が、低濃度ドープ層のためのキャリアガスの流速とは異なることが好ましい。特に、低濃度ドープ層のためのキャリアガスの流速を、高濃度ドープ層のためのキャリアガスの流速よりも大きくすることで、低濃度ドープ層の2次元成長を促進させて、高濃度ドープ層で発生したピットを効果的に埋め込むことが可能である。
低濃度ドープ層のためのキャリアガスの流速は、高濃度ドープ層のためのキャリアガスの流速の1.2倍〜10倍であることが望ましい。更に望ましくは、1.5倍以上5倍以下である。1.2倍以下の流速の差では充分な効果が得られないことがあり、10倍以上の流速の差を付けると、インターバル時間などで無駄に工程時間が長くなることがある。
キャリアガスの流速は、高濃度ドープ層、または低濃度ドープ層の成長過程の途中で変化させても良いし、成長を停止して流速の安定を待っても良い。
高濃度ドープ層を低濃度ドープの層とは異なる成長速度で成長させることが好ましい。特に、低濃度ドープの層の成長速度を、高濃度ドープ層の成長速度よりも小さくすることで、低濃度ドープ層の2次元成長を促進させて、高濃度ドープ層で発生したピットを効果的に埋め込むことが可能である。
高濃度ドープ層と低濃度ドープ層との成長速度の差は、1.2倍以上10倍以下が望ましい。更に望ましくは、1.5倍以上5倍以下である。1.2倍以下の成長速度の差では充分な効果が得られないことがあり、10以上の成長速度の差を付けても効果に大きな変化がないことがある。
成長速度は、高濃度ドープ層、または低濃度ドープ層の成長過程の途中で変化させても良いし、成長を停止して速度の安定を待っても良い。
一般に成長速度の変更は、V族原料の供給量の変更によっても可能であるし、III族原料の供給量の変更によっても可能である。III族窒化物半導体結晶の場合、III族原料の供給量を変えて変更することが一般的である。
高濃度ドープ層の成長時のV/III比を、低濃度ドープ層の成長時のV/III比とは異ならせることが好ましい。特に、低濃度ドープ層の成長時のV/III比を、高濃度ドープ層の成長時のV/III比よりも小さくすることで、低濃度ドープ層の2次元成長を促進させて、高濃度ドープ層で発生したピットを効果的に埋め込むことが可能である。
高濃度ドープ層と低濃度ドープ層の成長時のV/III比の差は、1.2倍以上10倍以下が望ましい。更に望ましくは、1.5倍以上5倍以下である。1.2倍以下のV/III比の差では充分な効果が得られないことがあり、10以上の成長時のV/III比の差を付けても効果に大きな変化がないことがある。
V/III比は、高濃度ドープ層、または低濃度ドープ層の成長過程の途中で変化させても良いし、成長を停止して安定を待っても良い。
一般に成長時のV/III比の変更は、V族原料の供給量の変更によっても可能であるし、III族原料の供給量の変更によっても可能である。本発明の場合、成長時のV/III比の制御はV族原料の供給量の変更によって行うことが望ましい。
本発明に係わる高濃度ドープ層と低濃度ドープ層が交互に積層することで構成されているn型のIII族窒化物半導体層は、融点が比較的高く、耐熱性のあるサファイア(α−Al23単結晶)や酸化亜鉛(ZnO)或いは酸化ガリウム・リチウム(組成式LiGaO2)等の酸化物単結晶材料、珪素(Si)単結晶(シリコン)や立方晶或いは六方晶結晶型の炭化珪素(SiC)等のIV族半導体単結晶からなる基板上に形成する。基板材料には、リン化ガリウム(GaP)等のIII−V族化合物半導体単結晶材料、または発光層からの発光を透過する光学的に透明な単結晶材料も、基板として有効に利用できる。
GaN基板以外の、原理的には窒化ガリウム系化合物とは格子整合しない上記の基板上に窒化ガリウム系化合物半導体を積層するために、特許第3026087号公報や特開平4−297023号公報に開示されている低温バッファ法や特開2003−243302号公報などに開示されているSeeding Process(SP)法と呼ばれる格子不整合結晶エピタキシャル成長技術を用いることができる。特に、GaN系結晶を作製することが可能な程度の高温でAlN結晶膜を作製するSP法は、生産性の向上などの観点で優れた格子不整合結晶エピタキシャル成長技術である。
低温バッファやSP法などの格子不整合結晶エピタキシャル成長技術を用いた場合、その上に積層する下地としての窒化ガリウム系化合物半導体は、アンドープかもしくは5×1017cm-3程度の低ドープのGaNであることが望ましい。下地層の膜厚は、1〜20μmであることが望ましく、5〜15μmであることが更に好適である。
本発明に係わる、高濃度ドープ層と低濃度ドープ層が交互に積層することで構成されているn型のIII族窒化物半導体層は、有機金属化学的気相堆積法(MOCVD、MOVPEまたはOMVPEなどと略称される。)、分子線エピタキシャル法(MBE)法、ハロゲン(halogen)気相成長法、ハイドライド(水素化物)気相成長法等の気相成長手段に依り形成できる。
原料としては、それぞれの元素の水素化物、例えば、モノシラン(SiH4),ジシラン(SiH6),ゲルマン(GeH4),硫化水素(H2S),セレン化水素(H2Se),テルル化水素(H2Te)等、やそれぞれの元素の有機化合物、例えば、テトラメチルシリコン((CH34Si),テトラエチルシリコン((C254Si),テトラメチルゲルマニウム((CH34Ge)やテトラエチルゲルマニウム((C254Ge),ジエチルセレン((C252Se),ジイソプロピルセレン((C372Se),ジエチルサルファイド((C252S),ジイソプロピルサルファイド((C372S),テトラメチルティン((CH34Sn),テトラエチルティン((C254Sn),ジメチルテルル((CH32Te)やジエチルテルル((C252Te)等を利用できる。
また、MBE法では、元素状(金属)もドーピング源として利用できる。
高濃度ドープ層と低濃度ドープ層が交互に積層することで構成されているn型のIII族窒化物半導体層は、III族窒化物半導体層の気相成長時に気相成長反応系へのn型不純物ドーパント原料の供給量を経時的に、周期的に変化させて形成する。あるいは、n型不純物ドーパント原料を供給せずに形成したアンドープの薄層と、n型不純物ドーパント原料を供給してn型不純物を高い濃度で含む薄層を交互に積層して形成する場合もある。気相成長反応系へのn型不純物ドーパント原料の供給量を増減させれば、n型不純物濃度を周期的に変化させた領域を形成できる。また、n型不純物濃度を低濃度とする薄層を成長した後、n型不純物を高濃度に添加するのに適したV/III比率等の成長条件が調整できるまで成長を中断して、n型不純物を高濃度に含む薄層を接合させて設けて形成する。
n型不純物を高濃度に含むn型III族窒化物半導体薄層である高濃度ドープ層と、それよりもn型不純物濃度を小とするn型III族窒化物半導体薄層である低濃度ドープ層とを、交互に周期的に積層させて、n型不純物濃度を周期的に変化させた領域を形成する場合にあって、n型不純物の濃度を周期的に変化させた領域の全体の層厚は、0.1μm以上10μm以下が適する。好ましくは、0.3μm以上5μm以下であり、さらに好ましくは、0.5μm以上3μm以下である。層厚が0.1μm以下になると低抵抗のn型III族窒化物半導体層が得られなくなる。また、10μm以上にしても得られる効果は変わらない。
高濃度ドープ層の膜厚と低濃度ドープ層の膜厚の合計、すなわち、1周期の膜厚は、1nm以上1000nm以下が適する。好ましくは、4nm以上400nm以下、さらに好ましくは、6nm以上100nm以下である。膜厚の合計が1nm以下になるとn型不純物ドープ層を周期的に積層する効果が得られ難くなる。また、1000nm以上では、ピットの形成が抑制できないか、もしくは、高抵抗化してしまう。
すなわち、1周期中の高濃度ドープ層が低濃度ドープ層より厚い場合、ピット形成が抑制できず平坦性が得られ難い。一方、1周期中の低濃度ドープ層が高濃度ドープ層と同等かそれ以上厚い場合は、平坦性は良好になる。したがって、低濃度ドープ層の厚さは、高濃度ドープ層の層厚以上とするのが望ましい。n型不純物原子濃度をより小とするため、アンドープのn型III族窒化物半導体薄層から構成すると、高濃度ドープ層の表面に存在するピットを埋め尽くす効果がさらに高まり、表面の平坦なn型不純物ドープIII族窒化物半導体薄層を得るのに有効となる。
ただし、低濃度ドープ層を厚くしすぎると、高抵抗化してしまい、良好なn型III族窒化物半導体層が得られ難くなる。
すなわち、低濃度ドープ層が大であると、順方向電圧(所謂、Vf)或いは閾値電圧(所謂、Vth)の低いIII族窒化物半導体発光素子を得るに不利である。従って、n型不純物濃度の低い低濃度ドープ層の層厚は、500nm以下とするのが妥当である。また、低濃度ドープ層のn型不純物濃度が小であり、キャリア濃度が低い場合である程、層厚を薄くするのが望ましい。
積層させる周期数は、1以上で10000以下が適する。好ましくは10以上で1000以下、さらに好ましくは、20以上で200以下である。たとえば、層厚を10nmとする高濃度n型不純物ドープGaN薄層と、層厚を10nmとする低濃度n型不純物ドープGaN層との接合体を一周期として、100周期に亘り積層させて、合計で厚さを2μmとするn型不純物原子濃度を周期的に変化させた領域を形成する。
高濃度ドープ層の膜厚は、0.5nm以上500nm以下が適する。好ましくは、2nm以上200nm以下、さらに好ましくは、3nm以上50nm以下である。膜厚が0.5nm以下になるとn型不純物ドープが十分されず高抵抗化してしまう。また、500nm以上では、低濃度ドープ層でピットが埋まりきらないか、もしくは、埋めるために低濃度ドープ層を十分厚くすると、やはり、高抵抗化してしまう。
また、低濃度ドープ層の膜厚は、0.5nm以上500nm以下が適する。好ましくは、2nm以上200nm以下、さらに好ましくは、3nm以上50nm以下である。膜厚が0.5nm以下になるとn型不純物ドープ層で形成するピットを十分埋められず平坦性が損なわれる。よって、高濃度ドープ層の膜厚より厚いことが好ましい。ただし、500nm以上では、高抵抗化してしまうので好ましくない。
高濃度ドープ層の内部のn型不純物原子の濃度は、5×1017cm-3以上5×1019cm-3以下とするのが適する。好ましくは、1×1018cm-3以上3×1019cm-3以下、さらに好ましくは、3×1018cm-3以上2×1019cm-3以下である。
高濃度ドープ層の内部のn型不純物原子の濃度は、必ずしも一定でなくても良く、濃度を連続的もしくは不連続に変化させても良い。
低濃度ドープ層の内部のn型不純物原子の濃度は、高濃度ドープ層の内部のn型不純物原子の濃度より低濃度であり、かつ、下記の分析法による定量下限界以上2×1019cm-3以下とするのが適する。好ましくは、定量下限界以上1×1019cm-3以下、さらに好ましくは、定量下限界以上5×1018cm-3以下であり、むしろ、ドーピングしない方が好ましい。また、低濃度ドープ層の内部のn型不純物原子の濃度は、必ずしも一定でなくても良く、濃度を連続的もしくは不連続に変化させても良い。n型不純物原子の濃度を2×1019cm-3以上とすると、表面の小孔の密度が急激に増加するため好ましくない。
n型不純物原子の濃度は、例えば、2次イオン質量分析法(英略称:SIMS)で測定できる。これは、試料の表面に1次イオンを照射することにより、イオン化して飛び出した元素を質量分析する手法であり、特定の元素の深さ方向の濃度分布を観察かつ定量できる。III族窒化物半導体層中に存在するn型不純物元素についてもこの手法などが有効である。
高濃度ドープ層の濃度を5×1017cm-3以上とすると、順方向電圧の低いLEDを構成するに貢献できる。一方で、5×1019cm-3とすると、n型不純物原子濃度を周期的に変化させた領域の全体のキャリア濃度は、概ね(3〜4)×1019cm-3である。この原子濃度を超えてn型不純物をドーピングすると、表面の小孔の密度が急激に増加するため好ましくはない。
n型不純物の濃度を周期的に変動させた領域は、n型III族窒化物半導体層の内部の何れにも配置できる。例えば、結晶基板の表面に直接、接合させて設けられる。また、結晶基板の表面に設けた緩衝層上に接合させて設けられる。結晶基板或いは緩衝層等に近接する、n型III族窒化物半導体層の下方に、n型不純物原子の濃度を周期的に変動させた領域を設ければ、結晶性に優れるn型III族窒化物半導体層が得られる。n型不純物原子の濃度を周期的に変動させる領域を設けることに依り、結晶基板との格子ミスマッチに基づくミスフィット転位等の層の上方への伝搬が抑止されるからである。この場合は、周期層厚を0.5μm〜5μmと厚くしてもよい。
n型不純物原子の濃度を周期的に変動させた領域では、下方から貫通して来る転位の上層への伝搬を抑制できる。このため、n型不純物原子の濃度を周期的に変動させた領域をn型III族窒化物半導体層の上方に、発光層を形成するための下地層として設けると、結晶性に優れる発光層を形成するに効果がある。
ひいては、高い発光強度のIII族窒化物半導体発光素子を得るに貢献できる。この手法によって高輝度のLEDランプを作製することができる。更に、この手法によって作製したチップを組み込んだ携帯電話、ディスプレイ、パネル類などの電子機器や、その電子機器を組み込んだ自動車、コンピュータ、ゲーム機、などの機械装置類は、低電力での駆動が可能となり、高い特性を実現することが可能である。特に、携帯電話、ゲーム機、自動車などの、バッテリ駆動させる機器類において、省電力の効果を発揮する。
尚、本発明のIII族窒化物半導体発光素子のためのn型またはp型のIII族窒化物半導体である発光層としては、組成式AlXGaYInZ1-aa(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦Z≦1で且つ、X+Y+Z=1。記号Mは窒素(N)とは別の第V族元素を表し、0≦a<1である。)のn型またはp型のIII族窒化物半導体を用いることができる。
実施例1
サファイア基板上に形成された,本発明に係わるn型不純物を周期的にドープした層を含む実施例を具体的に説明する。図1に本実施例に記載のエピタキシャル積層構造体11の断面構造を模式的に示す。
なお、本実施例では特にGeを用いた場合についての記述を行うが、本発明の効果はこの実施例で記述した構成のみに限定されるものではない。
エピタキシャル積層構造体は、一般的な減圧MOCVD手段を利用して以下の手順で形成した。先ず、(0001)−サファイア基板101を、高周波(RF)誘導加熱式ヒータで成膜温度に加熱される半導体用高純度グラファイト製のサセプタ(susceptor)上に載置した。載置後、ステンレス鋼製の気相成長反応炉内に窒素ガスを流通し、炉内をパージした。
気相成長反応炉内に、窒素ガスを8分間に亘って流通させた後、誘導加熱式ヒータを作動させ、基板101の温度を、10分間で室温から600℃に昇温した。基板101の温度を600℃に保ったまま、水素ガスと窒素ガスを流通させて、気相成長反応炉内の圧力を1.5×104パスカル(圧力単位:Pa)とした。この温度及び圧力下で2分間、放置して、基板101の表面をサーマルクリーニング(thermal cleaning)した。サーマルクリーニングの終了後、気相成長反応炉内への窒素ガスの供給を停止した。水素ガスの供給は継続させた。
その後、水素雰囲気中で、基板101の温度を1120℃に昇温させた。1120℃で温度が安定したのを確認した後、トリメチルアルミニウム(TMAl)の蒸気を随伴する水素ガスを8分30秒間、気相成長反応炉内へ供給した。これより、気相成長反応炉の内壁に以前より付着していた窒素(N)を含む堆積沈着物の分解により生じる窒素(N)原子と反応させて、サファイア基板101上に、数nmの厚さの窒化アルミニウム(AlN)薄膜102を付着させた。TMAlの蒸気を随伴する水素ガスの気相成長反応炉内への供給を停止し、AlN102の成長を終了させた後、4分間待機し、気相成長炉内に残ったTMAlを完全に排出した。
続いて、アンモニア(NH3)ガスを気相成長反応炉内に供給し始めてから4分が経過した後、アンモニアガスの流通を続けながら、サセプタの温度を1040℃に降温し、反応炉内の圧力を4×104Paとした。サセプタの温度が1040℃になったのを確認した後、暫時、温度が安定するのを待ち、トリメチルガリウム(TMGa)の気相成長反応炉内への供給を開始し、アンドープのGaN層103を1時間に亘って成長させた。アンドープGaN層103の層厚は8μmとした。
次に、成長温度を1120℃に上昇し、温度が安定させたところで、テトラメチルゲルマニウム(以下、(CH34Ge)を18秒間流通してGeドープ層104aを形成し、その後TMGaの供給を停止して成長を停止し、リアクタの温度を1150℃へ上昇し、再びTMGaのみを供給して18秒間成長を行ってアンドープ層104bを成長したのち、またTMGaの供給を停止して温度を1120℃に下降させるという手順を1サイクルをとして、そのサイクルを200回繰り返し、2.0μmのGe濃度が周期的に変化するGeドープGaN層104を形成した。
GeドープGaN層104の成長を終了した後、誘導加熱式ヒータへの通電を停止して、基板101の温度を、室温迄、約20分間で降温した。降温中は、気相成長反応炉内の雰囲気を窒素のみから構成した。基板101の温度が室温まで降温したのを確認して、積層構造体を気相成長反応炉より外部へ取り出した。
その結果、ホール測定によるキャリア濃度が7×1017cm-3であったGeドープGaN層について、ピット密度が200個/cm2以下の表面が平坦なn型GaN層が得られた。また、SIMS分析の結果、高濃度Geドープ層のGe濃度は1.2×1019cm-3であり、低濃度Geドープ層のGe濃度は、1×1018cm-3であった。また、その周期層厚は20nmであった。
実施例2
実施例1のGeドープGaN層上に発光層を積層し、III族窒化物半導体発光ダイオードを構成する場合を例にして、本発明を具体的に説明する。
図2に、本実施例に記載のLEDを作製するためのエピタキシャル積層構造体20の断面構造を模式的に示す。
実施例1と同様にGeドープGaN層を積層した後、1060℃で、アンドープn型In0.07Ga0.93Nクラッド層105を堆積した。このクラッド層105の層厚は12.5nmとした。
次に、基板101の温度を730℃として、GaNからなる障壁層と、In0.25Ga0.75Nよりなる井戸層とを含む5周期構造の多重量子井戸構造発光層106をアンドープn型In0.07Ga0.93Nクラッド層105上に設けた。多重量子井戸構造の発光層106にあっては、先ず、GaN障壁層をアンドープn型In0.07Ga0.93Nクラッド層105に接合させて設けた。
GaN障壁層は、トリエチルガリウム(TEGa)をガリウム源として成長させた。層厚は16nmとし、アンドープとした。
In0.25Ga0.75N井戸層は、トリエチルガリウム(TEGa)をガリウム源とし、トリメチルインジウム(TMIn)をインジウム源として成長させた。層厚は、2.5nmとし、アンドープとした。
多重量子井戸構造からなる発光層106上には、マグネシウム(Mg)をドーピングしたp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層107を形成した。層厚は10nmとした。p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層107上には、更に、Mgをドーピングしたp型Al0.02Ga0.98Nコンタクト層108を形成した。Mgのドーピング源には、ビスーシクロペンタジエニルMg(bis−Cp2Mg)を用いた。Mgは、p型Al0.02Ga0.98Nコンタクト層108の正孔濃度が8×1017cm-3となる様に添加した。p型Al0.02Ga0.98Nコンタクト層108の層厚は150nmとした。
p型Al0.02Ga0.98Nコンタクト層108の成長を終了した後、誘導加熱式ヒータへの通電を停止して、基板101の温度を、室温迄、約20分間で降温した。降温中は、気相成長反応炉内の雰囲気を窒素のみから構成した。基板101の温度が室温まで降温したのを確認して、積層構造体20を気相成長反応炉より外部へ取り出した。この時点で、上記のp型Al0.02Ga0.98Nコンタクト層108は、p型キャリア(Mg)を電気的に活性化するためのアニール処理を行わなくても、既に、p型の伝導性を示した。
次いで、公知のフォトリソグラフィー技術及び一般的なドライエッチング技術を利用して、n型オーミック電極109を形成する予定の領域に限り、高GeドープGaN層104の表面を露出させた。露出させたGeドープn型GaN層104の表面には、表面側をチタン(Ti)および金(Au)を積層したn型オーミック電極109を形成した。残置した積層構造体20の表面をなすp型GaNコンタクト層108の表面の全域には、一般的な真空蒸着手段、及び公知のフォトリソグラフィー手段等を利用して、表面側から順に、金(Au)及び白金(Pt)を積層させた透光性のp型オーミック電極110を形成し、金線を結線するためのボンディングパッド111を作製した。
然る後、350μm角の平面視で正方形のLEDチップ(chip)(図示せず)に切断し、リードフレーム(図示せず)上に載置し、金導線(図示せず)をリードフレームに結線して、リードフレームよりLEDチップ(図示せず)へ素子駆動電流を通流できる様にした。
リードフレームを介してn型及びp型オーミック電極109,110間に順方向に素子駆動電流を通流させた。順方向電流を20mAとした際の順方向電圧は3.5Vであった。また、20mAの順方向電流を通流した際の出射される青色帯発光の中心波長は460nmであった。また、一般的な積分球を使用して測定される発光の強度は、5mWに達し、高い強度の発光をもたらすIII族窒化物半導体LEDがもたらされた。
実施例3
Geドープnコンタクト層の成長方法においてGeドープ層とアンドープ層とで成長圧力および成長時のキャリアガスの流速を変化させたこと以外は、実施例2と同様にして、半導体発光素子を作製した。
つまり、アンドープ層103の形成後、リアクタ圧力を400mbarに保ったままで、成長温度を1120℃に上昇し、温度が安定させたところで、テトラメチルゲルマニウム(以下(CH34Ge)を18秒間流通してGeドープ層104aを形成し、その後TMGaの供給を停止して成長を停止し、リアクタの圧力を200mbarへ低下させ、TMGaのみを供給して18秒間成長を行ってアンドープ層104bを形成したのち、またTMGaの供給を停止して圧力を400mbarに上昇させるという手順を1サイクルをとして、そのサイクルを200回繰り返し、2.0μmのGe濃度が周期的に変化するGeドープGaN層104を形成した。
リードフレームを介してn型及びp型オーミック電極109,110間に順方向に素子駆動電流を通流させた。順方向電流を20mAとした際の順方向電圧は3.5Vであった。また、20mAの順方向電流を通流した際の出射される青色帯発光の中心波長は455nmであった。また、一般的な積分球を使用して測定される発光の強度は、5.2mWに達し、高い強度の発光をもたらすIII族窒化物半導体LEDがもたらされた。
実施例4
Geドープnコンタクト層の成長方法においてGeドープ層とアンドープ層とで成長時のキャリアガスの流速を変化させたこと以外は、実施例2と同様にして、半導体発光素子を作製した。
つまり、アンドープ層103の形成後、キャリアガスの量をそのままとして、成長温度を1120℃に上昇し、温度が安定したところで、テトラメチルゲルマニウム(以下(CH34Ge)を18秒間流通してGeドープ層104aを形成し、その後TMGaの供給を停止して成長を停止し、キャリアガスの量を2倍に増量して流速を2倍に増加させ、TMGaのみを供給して18秒間成長を行ってアンドープ層104bを形成したのち、TMGaの供給を停止してキャリアガスの流量を元の値に下降させるという手順を1サイクルをとして、そのサイクルを200回繰り返し、2.0μmのGe濃度が周期的に変化するGeドープGaN層104を形成した。
リードフレームを介してn型及びp型オーミック電極109,110間に順方向に素子駆動電流を通流させた。順方向電流を20mAとした際の順方向電圧は3.5Vであった。また、20mAの順方向電流を通流した際の出射される青色帯発光の中心波長は470nmであった。また、一般的な積分球を使用して測定される発光の強度は、4.9mWに達し、高い強度の発光をもたらすIII族窒化物半導体LEDがもたらされた。
実施例5
Geドープnコンタクト層の成長方法においてGeドープ層とアンドープ層とで成長速度およびV/III比を変化させたこと以外は、実施例2と同様にして、半導体発光素子を作製した。
つまり、アンドープ層103の形成後、成長温度を1120℃に上昇し、温度が安定したところで、テトラメチルゲルマニウム(以下(CH34Ge)を18秒間流通してGeドープ層104aを形成し、その後TMGaの供給量を2倍に増加させながら18秒間、2倍に増加した状態で18秒間の成長を行ってGeアンドープ層104bを形成し、TMGaの供給を停止して供給量を元の値に減少させるという手順を1サイクルをとして、そのサイクルを200回繰り返し、2.0μmのGe濃度が周期的に変化するGeドープGaN層104を形成した。
リードフレームを介してn型及びp型オーミック電極109,110間に順方向に素子駆動電流を通流させた。順方向電流を20mAとした際の順方向電圧は3.5Vであった。また、20mAの順方向電流を通流した際の出射される青色帯発光の中心波長は460nmであった。また、一般的な積分球を使用して測定される発光の強度は、5.5mWに達し、高い強度の発光をもたらすIII族窒化物半導体LEDがもたらされた。
実施例6
Geドープnコンタクト層の成長方法においてGeドープ層とアンドープ層とでV/III比を変化させたこと以外は、実施例2と同様にして、半導体発光素子を作製した。
つまり、アンドープ層103の形成後、成長温度を1120℃に上昇し、温度が安定したところで、テトラメチルゲルマニウム(以下(CH34Ge)を18秒間流通してGeドープ層104aを形成し、その後NH3の流量を1/3に減少させてV/III比を1/3にし、再びTMGaの供給を開始して18秒間の成長を行ってGeアンドープ層104bを形成したのち、TMGaの供給を停止してNH3の供給量を元の値に増加させる、という手順を1サイクルをとして、そのサイクルを200回繰り返し、2.0μmのGe濃度が周期的に変化するGeドープGaN層104を形成した。
リードフレームを介してn型及びp型オーミック電極109,110間に順方向に素子駆動電流を通流させた。順方向電流を20mAとした際の順方向電圧は3.5Vであった。また、20mAの順方向電流を通流した際の出射される青色帯発光の中心波長は465nmであった。また、一般的な積分球を使用して測定される発光の強度は、5.6mWに達し、高い強度の発光をもたらすIII族窒化物半導体LEDがもたらされた。
実施例7
ドーパントとしてゲルマニウムの代わりに錫を用いたことを除いて実施例1と同様にして、2.0μmのSn濃度が周期的に変化するSnドープGaN層104を形成した。尚、ここでは、実施例1で用いたテトラメチルゲルマニウム((CH34Ge)の代わりに、テトラメチル錫((CH34Sn)を用いてドーピングを行った。
その結果、ホール測定によるキャリア濃度が9×1017cm-3であったSnドープGaN層について、ピット密度が220個/cm2以下の表面が平坦なn型GaN層を得た。また、SIMS分析の結果、高濃度Snドープ層のSn濃度は1.5×1019cm-3であり、低濃度Snドープ層のSn濃度は、1.2×1018cm-3であった。また、その周期層厚は20nmであった。
実施例8
ドーパントとしてSnを用いた以外は実施例2と同様にして、実施例7のSnドープGaN層104を用いて半導体発光素子を作製した。
リードフレームを介してn型及びp型オーミック電極109,110間に順方向に素子駆動電流を通流させた。順方向電流を20mAとした際の順方向電圧は3.6Vであった。また、20mAの順方向電流を通流した際の出射される青色帯発光の中心波長は470nmであった。また、一般的な積分球を使用して測定される発光の強度は、4.7mWに達し、高い強度の発光をもたらすIII族窒化物半導体LEDがもたらされた。
本発明の作製方法を用いて得られる発光素子は、高い強度の発光をもたらすので、その産業上の利用価値は非常に大きい。
実施例1に記載の積層構造体の積層構成を示す断面模式図である。 実施例2〜6に記載の積層構造体の積層構成を示す断面模式図である。 実施例2〜6に記載のLEDの平面模式図である。
符号の説明
11 エピタキシャル積層構造体
20 LED積層構造体
21 LEDチップ
101 結晶基板
102 バッファ層
103 アンドープGaN層
104 Geをドープしたn型GaN層
104a Geドープ層
104b アンドープ層
105 n型InGaNクラッド層
106 多重量子井戸構造発光層
107 p型AlGaNクラッド層
108 p型GaNコンタクト層
109 n型オーミック電極
110 p型オーミック電極
111 p型ボンディングパッド

Claims (5)

  1. n型不純物のドーピング濃度が高いIII族窒化物半導体の層である高濃度ドープ層と、n型不純物のドーピング濃度がこれよりも低いIII族窒化物半導体の層である低濃度ドープ層とを交互に積層させるに際して、
    前記低濃度ドープ層を、前記高濃度ドープ層よりも高い成長温度で成長させること及び
    前記低濃度ドープ層を、前記高濃度ドープ層よりも低い成長圧力で成長させること
    を特徴とする、III族窒化物半導体積層体の製造方法。
  2. 前記低濃度ドープ層の成長時のキャリアガス流速を、前記高濃度ドープ層の成長時のキャリアガスの流速よりも大きくすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記低濃度ドープ層の成長速度を、前記高濃度ドープ層の成長速度よりも小さくすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記低濃度ドープ層の成長時のV/III比を、前記高濃度ドープ層の成長時のV/III比よりも小さくすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法によって、III族窒化物半導体積層体を、n型またはp型のIII族窒化物半導体である発光層と基板との中間に積層することを含むことを特徴とする、III族窒化物半導体発光素子の製造方法。
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