JP2007035824A - AlN層の成長方法およびIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法 - Google Patents

AlN層の成長方法およびIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法 Download PDF

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宏雄 米津
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Abstract

【課題】Gaを供給してAlN(窒化アルミニウム)を成長させることにより、AlNの貫通転位を少なくし、結晶性の良いAlNを得る方法を提供する。
【解決手段】AlN層4の成長は、SiC基板2の基板温度が850℃、Gaの供給量が、0〜1.4×10−4Pa、Alの供給量が4.5×10−5Pa、Nの供給量が電力180ワットで、Nの流量が0.19sccmとされる。この条件において、AlN層4は、500nmの厚さ成長させられる。AlおよびGaの供給には、クヌードセンセルを用いた金属AlおよびGaの昇華、Nの供給には、RFプラズマ銃による窒素プラズマを用いた。また、N/Al比は、1よりわずかに小さい条件とした。なお、Gaの照射は、AlN層4の最初の10nmのみであり、AlN層4が10nm成長した時点で、Gaの供給量はゼロとされる。AlN層4が成長する間、AlおよびNの供給量は一定である。
【選択図】図1

Description

本発明は、AlN(窒化アルミニウム)層の成長方法に関し、特にSiC(炭化シリコン)基板上にAlN層を結晶性良く成長させる方法に関するものである。
GaNを中心とする窒化物半導体は、短波長光デバイスの材料として有望である。既に市販されている窒化物半導体を用いた発光ダイオードおよびレーザーダイオードは、フルカラーのディスプレイ、信号機、および光ディスクの書き込み、読み込み光源など、様々な場所で利用されている。
これらの発光ダイオードやレーザーダイオードの応用範囲をさらに広げるためには、半導体を用いたデバイスのさらなる短波長化、長寿命化および高効率化が必要である。例えば、光ディスクの記憶容量は短波長化に伴い、飛躍的に増大させることができる。また、紫外レーザーダイオードは、蛍光灯の励起光源としての応用が提案されているが、この場合、デバイスの寿命と効率が性能を決定する。
上記のような応用分野においては、デバイスの短波長化、長寿命化および高効率化を実現するためには、半導体の結晶品質を向上させる必要がある。半導体の結晶性を向上させるために様々な研究が行われているが、例えば、AlGaInN系の化合物半導体の結晶性を向上させるための技術が特許文献1に記載されている。
特開平9−199759号公報
本発明の発明者らは、窒化物半導体の中で最も大きなエネルギーバンドギャップEgを持つAlNの高品質化に着目した。大きなEgを持つAlNは、デバイスの短波長化に有望な材料だからである。しかしながら、AlNの成長技術は、GaNに比べ研究が遅れている。現在までの報告では、最も結晶性の良いAlNの貫通転位密度は1×10cm程度であり、GaNに比べると100倍程度大きく、結晶性の良いAlNが得られているとは言い難い。
結晶性の良いAlNを得るためには、AlNとの格子不整合率が1%と比較的小さい炭化シリコン(SiC)基板を用いることが考えられる。このSiC基板上にAlNを成長させても上述したように、1×10cm程度の貫通転位が発生する。これは、格子不整合率が比較的小さいSiC基板であっても、AlNの成長初期に生じた貫通転位は、半導体の成長の段階で消滅することがなく、成長方向に伝播してしまうためである。したがって、結晶性の良いAlNを生成するためには、SiC基板上の成長初期のAlNの貫通転位をできるだけ低減させる必要がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、Gaを供給してAlNを成長させることにより、AlNの貫通転位を少なくし、結晶性の良いAlNを得ることを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、SiC基板上にAlN層をエピタキシャル成長させるAlN層の成長方法であって、
前記AlN層の成長開始時に、前記AlN層が成長する条件の下で、前記SiC基板へGaを供給することを特徴とする。
これによれば、Gaを供給することで、AlNのSiC基板上への成長が、成長方向に伝播する貫通転位ではなく、成長界面に伝播するミスフィット転位にすることができる。よって、AlNがSiC基板上で二次元的に成長するため、貫通転位の発生が抑制される。
Gaを供給することで、SiC基板上に成長するAlNの貫通転位を低減することができ、結晶性の良いAlNを製造することができる。
以下、この発明の要素について詳細に説明する。
(SiC基板)
AlN層を成長させるSiC基板は、六方晶系の6Hあるいは4H単結晶基板や、立方晶系の3C単結晶基板等を用いることができる。これらのうち、特に、AlN層を成長させるのに好適なSiC基板は、6H−SiC(0001)面や4H−SiC(0001)面であり、また、最も好ましいのは、6H−SiC(0001)面基板である。
(AlNの成長条件)
AlNの成長条件とは、AlおよびNに加えて、Gaを供給した状況であっても、SiC基板上にAlN層が成長する条件を意味する。このAlN層は、Gaを供給して成長させても、GaがAlN層に全く取り込まれないか、あるいは取り込まれていても非常に少ない量のGaが取り込まれている場合であって、Gaの存在を無視できるようなAlN層を意味する。さらに具体的いうと、AlN層内のGaの組成比が1%以下であれば、Gaはドーピングレベル(不純物レベル)と見なせるため、このような層はAlN層といえる。したがって、AlN層内のGaの組成比が1%以下となるような成長条件が、AlNの成長条件といえる。また、このAlN層の成長条件は、基板温度の条件が重要であり、MBE法ではSiC基板の温度が800℃以上であることが好ましく、900℃でもGaの取り込みが無いことが確認されているが、AlN層の表面に表面荒れが発生することがある。したがって、SiC基板の温度は850℃程度が最も好ましい温度であると考えられる。
また、本発明では、AlN層の成長の開始時にGaを供給することが重要である。このAlN層の成長開始時とは、SiC基板上にAlN層を成長させ始める時(成長開始時)からAlN層が所定量成長するまでを意味する。したがって、AlN層の成長開始時とは、成長開始時のその瞬間を意味するものではなく、AlN層がSiC基板上で、二次元的に成長するのに必要な所定期間を意味するものである。例えば、AlN層が10nm成長する期間Gaを供給した場合は、SiC上に良好なAlN層が得られる。また、Gaの供給はAlN層の成長開始時に行えばよいが、少なくともAlN層の成長開始時にGaを供給すればよく、AlN層が10nm成長したときにGaの供給を止めても良いし、AlN層が10nm成長した後もGaの供給を続けても良く、この場合も良好なAlN層が得られている。AlN層の成長開始時にGaを供給することにより、基板界面における貫通転移の発生確率を低減することができる。これにより、良質なAlN層の成長が可能となる。
一般的にRF−MBE法におてGaN層又はAlGaN層を成長させる場合、基板温度は、GaN層では700から750℃、AlGaN層では750から800℃程度である。本発明では、当該基板温度を高く設定することにより、AlNを成長させるときにGaが存在しても、当該Gaが結晶内へ実質的に取り込まれない環境を形成している。即ち、AlN層は成長可能であるが、GaN層やAlGaN層は成長しない温度としている。
例えば基板温度を800℃として、Gaの存在下においてAlNをRF−MBE法で成長させる場合、反応室内におけるAlとGaの存在比は1:1とすることができる。Gaの存在比を大きくとればそれだけAlN層にGaが取り込まれる確率が大きくなる。他方、基板温度を高くすればGaの取り込まれる確率は低くなる。従って、Gaの供給量は、もっぱら基板温度との関係を考慮して、更には成長装置の特性及び成長速度等を考慮して、AlN層にGaが取り込まれることなく、かつ貫通転移の発生確率を低減することを条件として、任意に選択される。
また、AlN層の成長方法は、特に限定されないが、周知の分子線結晶成長法(MBE法)、有機金属気相成長法(MOCVD法)、ハイライド気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、電子シャワー法等によっても行うことができる。各成長方法においても、特に、上述の基板温度条件を適切な値、すなわちGaがAlN層に取り込まれず、かつAlN層がSiC基板上に二次元成長する温度条件とすることが重要である。
また、AlN層の上層に成長させるIII族窒化物系化合物半導体は、一般式として、AlGaIn1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表され、AlN、GaN及びInNのいわゆる2元系、AlGa1−XN、AlIn1−XN及びGaIn1−XN(以上において、0<X<1)のいわゆる3元系を包含する。III族元素の少なくとも一部をボロン(B)、タリウム(Tl)等で置換しても良く、また、窒素(N)の少なくとも一部をリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置換しても良い。III族窒化物系化合物半導体は、任意のドーパントを含むものであってもよい。n型不純物として、Si、Ge、Se、Te、C等を用いることができる。p型不純物として、Mg、Zn、Be、Ca、Sr、Ba等を用いることができる。なお、p型不純物をドープした後にIII族窒化物系化合物半導体を電子線照射、プラズマ照射もしくは炉による加熱にさらすことも可能であるが必須ではない。
上述したような各条件の下、Al、NおよびGaを供給して、SiC基板上にAlN層を成長させた。X線回折の測定結果では、SiC基板上にAlN層がエピタキシャル成長していることが確認された。また、Gaを供給することにより、SiC基板上にAlN層が良好にエピタキシャル成長していることの立証のために、Gaを供給しないでSiC基板上にAlN層を成長させた。両者を比較すると、Gaを供給してAlN層を成長させた場合の方が、貫通転位密度が5倍程度低いものであることがわかった。したがって、Gaを供給することにより結晶性の良いAlN層をSiC基板上に成長させることができる。さらに、AlN層の成長初期の10nmに限りGaの供給を行った場合でも、結晶性の良いAlN層を得ることができた。これは以下のように説明できる。SiC基板上にAlN層を成長させる際、成長初期の三次元成長は格子緩和の促進、および貫通転位の増加を引き起こす。これに対し、成長初期に基板上に層を二次元成長させた場合は、発生する転位を成長方向に伝播する貫通転位ではなく、成長界面に伝播するミスフィット転位にすることができる。したがって、AlN層の成長初期10nmの間Gaを供給することにより、成長初期のAlN層をSiC基板上に二次元的に成長させることができ、貫通転位の少ない、良好な結晶性のAlN層を得ることができる。
また、SiC基板上にエピタキシャル成長させたAlN層の上に形成される発光素子の構成としては、量子井戸構造(単一量子井戸構造もしくは多重量子井戸構造)、ホモ構造、シングルヘテロ構造もしくはダブルヘテロ構造等を用いることができる。
本発明を実施するための形態について、具体的な実施例を以下に示して説明する。(第1実施例)
図1は第1実施例の試料構造を示す図である。2は炭化シリコン基板(以下、SiC基板とする)であり、on−axis6H−SiC(0001)の基板である。まずSiC基板2を、1600℃で10分間、Hでエッチングすることにより、基板表面の研磨傷を除去し、さらに基板表面にステップを形成する。その後、SiC基板2は、フッ素によるエッチングが行われる。このフッ素エッチングは、HFとHOの比を1:4にし、5分間行われる。その後、SiC基板2を10分間水洗いし、分子線気相成長法装置(以下、MBE装置とする)に導入する。
SiC基板2をMBE装置に導入した後、SiC基板2のサーマルクリーニングが行われる。このサーマルクリーニングは、装置内の温度を980℃に保った状態で10分間行われる。その後、窒化アルミニウム(以下、AlNとする)層4の成長が行われる。AlN層4の成長は、SiC基板2の基板温度が850℃、Gaの供給量が0〜1.4×10−4パスカル(以下、Paとする)、Alの供給量が4.5×10−5Pa、Nの供給量が電力180ワットで、Nの流量が0.19sccmとされる。この条件において、AlN層4は、500nmの厚さ成長させられる。AlおよびGaの供給には、クヌードセンセルを用いた金属AlおよびGaの昇華、Nの供給には、RFプラズマ銃による窒素プラズマを用いた。また、N/Al比は、1よりわずかに小さい条件とした。なお、Gaの照射は、AlN層4の最初の10nmのみであり、AlN層4が10nm成長した時点で、Gaの供給量はゼロとされる。AlN層4が成長する間、AlおよびNの供給量は一定である。
(第2実施例)
図2は第2実施例の試料構造を示す図である。第1実施例では、AlN層4を形成するにあたり、AlN層4が10nm成長する時点までGaを供給していたが、第2実施例では、AlN層6が500nm成長する間、Gaを供給したものである。第2実施例の他の条件は第1実施例と同じである。
(比較例)
上記第1および第2実施例と比較するための比較例について述べる。比較例は、Gaの供給を行わない条件でSiC基板2上にAlN層を形成したものである。なお、Gaの供給を行わない点を除いては、第1および第2実施例と同じ条件とした。
(Ga照射による刃状転位の低減)
上述した第1、第2実施例および比較例の各AlN層についての測定結果について考察する。図3は、AlN層の(1−102)対称面回折からのX線回折装置によるロッキンカーブ測定結果である。図3(a)は、比較例のロッキンカーブ曲線であり、図3(b)は、第1実施例のロッキンカーブ曲線である。なお、図3(b)測定時のGaの照射量は、8.2×10−5Paとした。
図3の(a)のロッキンカーブの半値全幅(FWHM)は610arcsecであり、(b)のFWHMは、260arcsecであった。これは、AlN層成長時にGaを照射することにより、AlN層4のツイスト(刃状転位)が減少したことを示しており、比較例よりも第1実施例の方が結晶性が良いといえる。なお、図示はしないが、第2実施例のFWHMは260arcsecであった。
(Ga照射による格子緩和率の変化)
図4は、第1実施例において、AlN層4の(0002)対称面のX線回折による2θ−θ測定結果である。この図4より、AlN層4のc軸の格子定数算出することができる。図4のCoherentAlNは、AlN層4がSiC基板2にコヒーレントに成長した場合のAlN層4のピーク位置である。同様に、BulkAlNは、AlN層4がSiC基板2に完全緩和した場合のAlN層4のピーク位置である。
図4の(a)は、第1実施例で、Gaを非照射とした場合(供給量がゼロ)、図4の(b)は、Gaの照射量が2.3×10−5Paの場合、(c)は、Gaの照射量が5.8×10−5Paの場合、(d)は、Gaの照射量が8.2×10−5Paの場合、(e)はGaの照射量が1.4×10−4Paの場合である。
図4(a)のGaが非照射の場合はピーク位置より、格子緩和率は73.8%と演算される。これに対し、(b)では、ピーク位置が(a)よりも低角側に移動しているのがわかる。つまり、AlN層4のc軸の格子定数が増加していることになる。
このように、Gaを照射することによりAlN層4のc軸の格子定数が増加する原因として、AlN層4の格子緩和率の減少あるいはGaのAlN層4への取り込みによるAlGaN結晶の成長が考えられる。しかし、後者のAlGaN結晶の成長という原因は考えにくい。第1実施例において、Gaを照射したのは、AlN層4の成長初期の10nmのみであり、これはAlN層4の2%にすぎず、これが格子定数に影響するとは考えにくいからである。したがって、Ga照射によるc軸の格子定数の増加の主な原因は、格子緩和率の減少であると考えられる。なお、AlN層4へのGaの取り込みは全く無いわけではなく、1原子%以下であると推測される。
図4の(c)および(d)のように、Gaの照射量を増加させてAlN層4を成長させると、格子緩和率が減少していくことがわかる。特に、(d)ではGa照射量8.2×10−5Paにおいて格子緩和率39.1%という小さな値が得られた。これは、比較例のAlN層の格子緩和率74%に比べ、大幅に低減されていることがわかる。しかし、(e)ではピークが高角側に移動しており、格子緩和率が再び増加している。
(Ga照射量によるロッキンカーブのFWHMの変化)
図5は、Ga照射量とロッキンカーブのFWHMの関係を示す図である。図5には、(1−102)非対称回折のFWHMと(0002)対称回折のFWHMがプロットされている。(1−102)非対称回折のFWHMは、Ga照射量が8.2×10−5Paの場合が最も小さくなることがわかる。これは、図4において述べたように、格子緩和率が最も小さい場合のGa照射量である。したがって、図5の(1−102)非対称回折と格子緩和率には相関があることがわかる。格子緩和が抑制された条件で成長したAlN層4ほど、(1−102)非対称回折のFWHMが小さく、すなわち、ツイストが減少するといえる。
これに対し、(0002)対称回折のFWHMは、Gaの照射量の増加に従い大きくなる傾向がある。これは、AlN層4のチルトの広がりを示していると考えられる。はっきりとした理由はわかっていないが、チルトの広がりによりツイストが減少することが窒化物半導体でしばしば観察されている。今回成長させたAlN層4の貫通転位密度は、刃状転位で律則されているため、ツイストの減少に従って貫通転位密度は低下すると予想される。今回の第1実施例におけるGa照射量の最適条件8.2×10−5PaでのAlN層4の貫通転位密度は、演算により、2×10cm−2と予測される。これは、比較例であるGaを照射しないAlN層の貫通転位密度1×10cm−2よりも低減されていることがわかる。
上述したように、AlN層4の成長初期へのGaの同時照射により、AlNの格子緩和の抑制と貫通転位密度を低減することができる。したがって、Gaの照射により結晶性の良いAlN層を得ることができる。
また、SiC基板2へのAlN層4の成長温度を850℃とすることにより、AlN層4へのGaの取り込みを防ぐことができる。基板温度が800℃以下の場合はGaのAlN層への取り込みが懸念され、また基板温度が900℃以上の場合はAlN層の表面荒れが発生する可能性がある。したがって、SiC基板上へのAlN層の成長では、基板温度は850℃が最適温度であると考えられる。
また、第1実施例のように、AlN層へのGaの照射をAlN層の成長初期に行うことにより、貫通転位密度を低減することができる。これは、成長過程の初期の三次元成長は、格子緩和の促進、および貫通転位の増加を引き起こす。貫通転位を減少させるには、成長初期から二次元成長させることで、発生する転位を成長方向に伝播する貫通転位ではなく、成長界面に伝播するミスフィット転位にする必要がある。第1実施例では、AlN層の最初の10nmにGaを照射することにより、AlN層を成長初期で二次元成長させ、貫通転位を減少させることができた。第2実施例ではAlN層500nmに渡りGaを照射させたが、図3のロッキンカーブのFWHMが第2実施例と第1実施例とで同じ値であった。よって、第1実施例のようにAlN層の成長初期にGaを照射させることで結晶性の良いのAlN層を成長させることができる。
(第3実施例)
第1実施例の条件と同じ条件で、AlN/6H−SiC上へAlGaN/AlNの多重量子井戸構造(MQW)を製造した例を第3実施例として図6に示す。図6において、SiC基板10はon−axis6H−SiC(0001)基板であり、第1実施例と同様に、Hエッチングおよびフッ素エッチングを行った。また、RF−MBE装置にSiC基板10を導入した後、AlN層の成長前に、SiC基板のサーマルクリーニングを行った。その後、250nmのAlNtemplate層12を850℃で成長させた。このAlNtemplate層12の初期の10nmには、Gaを同時照射させた。Ga照射量は、8.4×10−5Paである。
その後、AlGaNwell層14とAlNbarrier層16を交互に15サイクル成長させた。AlGaNwell層14は1サイクルあたり2nm、AlNbarrier層16は6nm成長させた。AlGaNwell層14成長時の条件は、基板温度が750℃、Al供給量が2.1×10−5Pa、Ga供給量が6.9×10−5Pa、Nプラズマの供給量が電力180ワットでNの流量が0.19sccmとした。なお、AlGaNwell層14のGa組成は55原子%とした。
また、AlNbarrier層16成長時の条件は、基板温度が750℃、Al供給量が2.1×10−5Pa、Nプラズマの供給量が電力180ワットでNの流量が0.19sccmであり、この場合、Nプラズマの供給時にシャッターを閉じてNプラズマの供給量を減少させた。
最後に、AlNcapping層18を180nm成長させた。成長条件は、基板温度が800℃、Al供給量が2.9×10−5Pa、Nプラズマの供給量が電力180ワットでNの流量が0.19sccmとした。
次に図7を用いて、図6のAlGaN/AlN MQW構造を成長させた際のAl、GaおよびNプラズマの供給量の調節方法について説明する。窒化物半導体の成長には、III/V比をある条件に合わせる必要があるが、成長中に短時間でAl、GaおよびNプラズマの供給量を調整することは困難である。したがって、第3実施例では、成長時にNプラズマのシャッター開閉を行った。このシャッター開閉のシーケンスが図7に示されている。このシャッター開閉シーケンスにより、AlGaNwell層14とAlNbarrier層16のIII/V比を一定に保つことができた。また、AlNbarrier層16の成長後に、表面に残留する過剰Alを除去するために、50秒間のNプラズマ照射を設けた。
図8に、成長中のRHEEDその場観察結果を示す。電子線入射方向は<11−20>方向である。図8の(a)は6H−SiC基板、(b)はAlNtemplate層12、(c)はAlGaNwell層14およびAlNbarrier層16、(d)はAlNcapping層18である。AlNtemplate層12の成長初期からAlNcapping層18の成長の終わりまで常に鋭いストリークパターンが観察されている。また、各層が二次元的に成長できたことが確認された。
次に、第3実施例のAlN/MQW/AlN/6H−SiC構造の発光特性を室温におけるCL測定により求めた。この結果を図9に示す。測定に用いた電子線の加速電圧は7kVである。図9に示すように、第3実施例のCLスペクトルより、発光波長が246nmの紫外発光が得られていることがわかった。このピーク波長は、AlGaNwell層14の発光波長の理論値とほぼ一致するため、発光はAlGaNwell層14からのものであると推測される。このピーク波長でマッピング測定を行った結果を図10に示す。図10は、AlN/MQW/AlN/6H−SiC構造からのCLマッピング測定結果である。図10より、観察範囲内で発光の弱い領域(ダークスポット)がわずがに見られるが、このダークスポットが占める面積は全体の10%程度であり、全体の90%から強い発光が確認された。
上記の測定結果より、第3実施例のAlGaN/AlN MQW構造の転位密度はかなり低いと考えられる。これは、AlNtemplate層12を成長させる際、成長初期の10nmの間Gaを照射させたことにより、結晶性の良いAlNtemplate層12が得られているためであると考えられる。したがって、窒化物半導体の短波長化には、貫通転位密度の低いAlN層を用いることが有効である。
なお、上述した各実施例では、MBE装置を用いてAlN層などを成長させたが、AlN層の成長方法はこれに限られず、ハライド気相成長法(MOCVD法又はMOVPE法)、化学気相成長法(CVD法)等を用いても良い。また、上記実施例ではSiC基板として6H−SiC(0001)面の基板を用いたが、これに限らず、4H−SiC(0001)面の基板を用いても良い。
本発明の第1実施例の構造を示す図である。 本発明の比較例の構造を示す図である。 本発明のAlN層のX線回折のロッキンカーブである。 本発明のAlN層のX線回折による2θ―θ測定結果である。 本発明のAlN層のGa照射量とロッキンカーブのFWHMの関係を示す図である。 本発明の第3実施例の構造を示す図である。 本発明の第3実施例のAlGaN/AlN MQWのシャッターシーケンスを説明するための図である。 本発明の第3実施例の成長中のRHEED観察結果である。 本発明の第3実施例のCLスペクトル測定結果である。 本発明の第3実施例のCLマッピング測定結果である。
符号の説明
2 SiC基板
4 AlN層
6 AlN層
10 SiC基板
12 AlNtemplate層
14 AlGaNwell層
16 AlNbarrier層
18 AlNcapping層

Claims (5)

  1. SiC基板上にAlN層をエピタキシャル成長させる方法であって、
    前記AlN層の成長開始時に、前記AlN層が成長する条件の下で、前記SiC基板へGaを供給する、ことを特徴とするAlN層の成長方法。
  2. 前記AlN層が成長する条件とは、前記SiC基板の基板温度をGaN若しくはAlGaNの成長条件温度よりも高くする、ことを特徴とする請求項1に記載の成長方法。
  3. RF-MBE法により前記AlN層を成長させる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の成長方法。
  4. 前記SiC基板の(0001)面に前記AlN層を成長させる、ことを特徴とする請求項3に記載の成長方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のAlN層の成長方法を含むIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。




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JP2005215398A Withdrawn JP2007035824A (ja) 2005-07-26 2005-07-26 AlN層の成長方法およびIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011205076A (ja) * 2010-03-04 2011-10-13 Furukawa Electric Co Ltd:The 半導体発光素子およびその製造方法
JP2012054424A (ja) * 2010-09-01 2012-03-15 Koji Tomita 太陽電池及びその製造方法
WO2021172531A1 (ja) * 2020-02-27 2021-09-02 国立大学法人三重大学 窒化物半導体基板、半導体素子及び窒化物半導体基板の製造方法

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