JP2008166419A - 巻線型電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極膜とコアとの密着性が高く、電極膜の剥離を防止できる巻線型電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る巻線型電子部品2の製造方法においては、まず、巻芯部4aの軸方向両端に一対のフランジ4b、4cを有するコア4を準備する。次に、フランジ4b、4cの端面および外周に、メッキ法で、下地電極膜20を形成する。次に、第1乾燥工程において、コア4および下地電極膜20を仮乾燥させる。次に、第2乾燥工程において、コア4および下地電極膜20を、170〜250℃の雰囲気温度で加熱する。
【選択図】図1

Description

本発明は、巻線型電子部品の製造方法に係り、さらに詳しくは、電極膜とコアとの密着性が高く、電極膜の剥離を防止できる巻線型電子部品の製造方法に関する。
従来、たとえば下記の特許文献1に示す巻線型電子部品が知られている。この特許文献1に示す巻線型電子部品では、コアにおける巻芯部の両端に形成してある各フランジの端面に、電極膜を形成する。
従来の巻線型電子部品の製造においては、メッキ法で電極膜を形成した後に、コイル部の継線部を電極膜に600℃超で熱圧着する。この熱圧着の際に、フランジと電極膜との界面において、水、水素、空気等が発生し、フランジと電極膜との間に隙間が生じたり、電極膜の一部が破裂する恐れがある。その結果、フランジと電極膜との密着性が低下する。フランジと電極膜との密着性が低下すると、コイル部を外装樹脂部で被覆した後に、電極膜に付着した余分な樹脂(以下、バリと記す)をブラスト処理によって除去する際に、電極膜の一部が剥離してしまう恐れがある。
特許第3319697号
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、電極膜とコア(のフランジ)との密着性が高く、電極膜の剥離を防止できる巻線型電子部品の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る巻線型電子部品の製造方法は、
巻芯部の軸方向両端に一対のフランジを有するコアを準備する工程と、
前記フランジの端面および外周に、メッキ法で、電極膜を形成する工程と、
前記コアおよび前記電極膜を仮乾燥させる第1乾燥工程と、
前記コアおよび前記電極膜を、好ましくは170〜250℃、より好ましくは190〜230℃の雰囲気温度で加熱する第2乾燥工程と、を有する。
本発明においては、第1乾燥工程によって、コアおよび電極膜の表面に付着している水分を除去することができる(以下では、コアおよび電極膜の表面に付着している水分を、吸着水と記す)。
本願発明においては、第2乾燥工程において、上記の雰囲気温度で、コアおよび電極膜を加熱することによって、コア内部に含有される水、電極膜内部に含有される結晶水・水素、およびコア・電極膜の内部に含まれる空気等を除去することができる。したがって、電極膜の形成後、継線部を電極膜に熱圧着する際に、フランジと電極膜との界面において水、水素、空気等が発生することがなく、フランジと電極膜との間に隙間が生じることを防止できると共に、電極膜の破裂も防止できる。その結果、フランジと電極膜との密着性を向上させることができ、電極膜に付着したバリをブラスト処理によって除去する際に、電極膜が剥離することを防止できる。
なお、上述の結晶水とは、結晶(本発明における電極膜)の中に化合によって存在する水であって、結晶中の一定の位置に配置されて、結晶格子を安定させる性質を有する水を意味する。
好ましくは、前記第1乾燥工程において、前記コアおよび前記電極膜を加熱し、
加熱後の前記コアおよび前記下地電極膜を常温下に放置する。
加熱、および常温下での放置、の2段階に分けて電極膜を仮乾燥させることによって、コアおよび電極膜の表面に付着した吸着水を、より確実に除去することができる。
好ましくは、前記第1乾燥工程において、前記コアおよび前記電極膜を、100〜150℃の雰囲気下で加熱した後に、常温下に放置する。
第1乾燥工程において、コアおよび電極膜を、100〜150℃の雰囲気下で加熱することによって、コアおよび電極膜に付着した吸着水を、より確実に除去することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るコイルチップ部品の縦断面図、
図2は図1に示すII部の拡大要部断面図、
図3はコイルチップ部品の斜視図、
図4は、本願発明の一実施形態に係るコイルチップ部品の製造方法を示す工程フロー図、
図5はコアのメッキ処理を行うためのマスキングに用いる基板の要部断面図、
図6はコイルチップ部品の製造工程の一例を示す金型および部品の要部断面図、
図7は、本発明の実施例に係る第2乾燥工程の雰囲気温度と、下地電極膜剥離率との関係を示すグラフである。
巻線型電子部品の全体構成
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る巻線型電子部品としてのコイルチップ部品2は、コア(芯材)としてのドラムコア4を有する。ドラムコア4は、フェライト材料で構成してある。ドラムコア4は、コイル部10を構成するワイヤ10aが、コア4の軸方向に沿って巻回してある巻芯部4aを有する。
巻芯部4aの軸方向の両端である第1端部および第2端部には、それぞれ第1フランジ4bおよび第2フランジ4cが一体に形成してある。第1フランジ4bおよび第2フランジ4cの外形寸法は、巻芯部4aの外径寸法よりも大きくなっている。
巻芯部4aの横断面は、特に限定されず、長方形断面、円形断面、あるいは、その他の断面形状であっても良い。第1フランジ4bおよび第2フランジ4cの横断面形状は、長方形断面などの角形形状である。第1フランジ4bおよび第2フランジ4cは、同じサイズであり、たとえば縦が0.82mm、横が0.30mm程度である。また、巻芯部4aの外径は、0.42mm程度である。ドラムコア4の軸方向全長(部品2の全長と略同じ)L0は、1.637mm程度である。
図1に示すように、コイル部10を構成するワイヤ10aの両端に形成してある継線部10bおよび10cは、各フランジ4bおよび4cの外周位置において、下地電極膜20と接続される。ワイヤ10aは、たとえば銅線をウレタン樹脂などの皮膜で被覆したワイヤであり、ワイヤ10aの線径は0.058〜0.065mmである。
下地電極膜20は、図2に示すように、多層膜で構成してあり、第1下地電極膜20aは、1.3〜1.7μm程度の膜厚を有する無電解ニッケルメッキ膜であり、第2下地電極膜20bは、1.8〜2.2μm程度の膜厚を有する電解ニッケルメッキ膜である。下地電極膜20の総膜厚(無電解ニッケルメッキ膜の膜厚と、電解ニッケルメッキ膜の膜厚の合計)は、3.1〜3.9μm程度である。
コイル部10が形成してある巻芯部4aの外周凹部には、外装樹脂部30が形成されている。外装樹脂部30を構成する樹脂としては、特に限定されず、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリエステル樹脂などが例示される。なお、外装樹脂部30には、フェライト粉末が含有されていてもよい。外装樹脂部30がフェライト粉末を含有することによって、コイルチップ部品2のインダクタンス特性を向上させることができる。
素子本体5の外装樹脂部30の外径寸法は、第1フランジ4bおよび第2フランジ4cの外形寸法(コア部の最大外形寸法)よりも大きくなり、第1フランジ4bおよび第2フランジ4cの外周には、所定厚みのフランジ被覆部30aが形成される。フランジ被覆部30aは、外装樹脂部30と一体に成型され、フランジ部4b,4cの外周を、内側から外側に向けて軸方向途中位置まで覆うように形成してある。
このフランジ被覆部30aの厚みは、後述する段差状凹部50の深さH1に対応する。また、このフランジ被覆部30aの軸方向の長さは、後述する段差状凹部50の軸方向幅(W1)を適切に調整するように決定される。
各外部電極膜40は、各フランジ4b,4cの端面から当該フランジ4b,4cの外周面を直接に覆うと共に、外装樹脂部30のフランジ被覆部30aを覆うように、段差状に形成してある。各外部電極膜40は、各フランジ4b,4cの端面と、当該フランジ4b,4cの外周面の一部で、下地電極膜20および継線部10bおよび10cに対して直接に接続してある。しかも、各外部電極膜40は、外装樹脂部30のフランジ被覆部30aを覆うように形成してあることから、各端部40の外周面には、周方向に連続する段差状凹部50が形成される。
各外部電極膜40は、図2に示すように、多層膜で構成してあり、第1外部電極膜40aが好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは0.5〜2.0μmの無電解ニッケルメッキ、第2外部電極膜40bが好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは0.5〜2.0μmの電解ニッケルメッキ、第3外部電極膜40cが好ましくは3.0〜4.0μmの電解スズメッキである。外部電極膜40の総厚みは、8μm以下である。
図1に示すように、段差状凹部50は、素子本体5の軸方向端面から所定幅(W1)で形成してあり、各外部電極膜の全幅(W0)に対しての比率(W1/W0)が、好ましくは0.1〜0.8、さらに好ましくは0.3〜0.6である。比率(W1/W0)を上記範囲にすることで、外部電極膜40とコイルの継線部10b,10cとの接続が十分に確保され、外部電極膜40と外装樹脂部30との接合強度も高い。また、この範囲にすることで、ツームストーン現象を抑制させる効果が大きい。
なお、ツームストーン現象とは、コイルチップ部品を基板へ実装する時に、電子部品の両端部に形成してある外部電極膜のハンダペースト面で発生するモーメントのアンバランスにより、電子部品が立ち上がってしまい、接合不良となる現象である。
また、段差状凹部50は、各外部電極膜40の最大外周面寸法からの深さ(H1)が10〜40μmとなるように形成してある。深さH1をこの範囲にすることで、外部電極膜40とコイルの継線部10b,10cとの接続が十分に確保され、外部電極膜40と外装樹脂部30との接合強度も高い。また、この範囲にすることで、ツームストーン現象を抑制させる効果が大きい。また、この深さH1が深すぎると、限られたチップサイズでは、相対的に、ドラムコア4におけるフランジ部4b,4cの最大外形寸法が小さくなり、電気的な性能が低下してしまう傾向にある。
各外部電極膜40の最大外周面の全高さ(H0)に対して段差状凹部50の深さ(H1)の比率(H1/H0)は、0.011〜0.045の範囲にある。この比率の範囲に設定することで、外部電極膜40とコイルの継線部10b,10cとの接続が十分に確保され、外部電極膜40と外装樹脂部30との接合強度も高い。また、この範囲にすることで、ツームストーン現象を抑制させる効果が大きい。
巻線型電子部品の製造方法
次に、本願発明の一実施形態に係る巻線型電子部品(コイルチップ部品2)の製造方法の一例について説明する。コイルチップ部品2の製造方法は、図4の工程フロー図に示すように、(S1)ドラムコアの形成工程、(S2)下地電極膜のメッキ工程、(S3)第1乾燥工程、(S4)第2乾燥工程、(S5)コイル部の形成工程、(S6)継線部の接続工程、(S7)外装樹脂部の形成工程、(S8)ブラスト処理工程、および(S9)外部電極膜のメッキ工程、から構成される。
(S1:ドラムコア4の形成工程)
まず、図1に示すドラムコア4を作製する。ドラムコア4の作製方法は、特に限定されないが、通常、フェライト粉末等の磁性体を圧縮成形することによって、ドラムコア4を作製する。
(S2:下地電極膜20のメッキ工程)
次に、ドラムコア4が有する第1フランジ4bおよび第2フランジ4cの各外周側面および外側端面に、メッキ法を用いて下地電極膜20を形成する。
下地電極膜20の形成においては、まず、無電解メッキ法によって、フランジ4b、4cに、第1下地電極膜20a(無電解ニッケルメッキ膜)を形成する。次に、電解メッキ法によって、第1下地電極膜20aの表面に、第2下地電極膜20b(電解ニッケルメッキ膜)を形成する。無電解ニッケルメッキ膜の表面に電解ニッケルメッキ膜を形成することによって、無電解ニッケルメッキ膜の厚みに起因する応力を緩和することができる。
下地電極膜20をメッキ法にて形成する際は、図5に示すように、ワイヤ10aの巻線を行う前のドラムコア4を、メッキマスクとしてのゴム製基板70で保持し、メッキ処理を行う。ゴム製基板70には、嵌合穴72が形成してあり、各嵌合穴72にドラムコア4を嵌め込み、巻芯部4aにメッキ液が流入することを阻止する。
なお、メッキ処理の前には、ドラムコア4の表面を粗面化処理する。粗面化処理としては、熱エッチング処理が例示される。熱エッチング処理に際しては、ドラムコア4を950〜1080℃の温度で約55〜65分間熱処理する。その熱処理により、ドラムコア4の表面は粗面化され、メッキ膜が接合しやすくなる。
メッキ法にて下地電極膜20を形成した後、ドラムコア4および下地電極膜20の全体を純水で洗浄する。
(S3:第1乾燥工程)
次に、第1乾燥工程において、洗浄後のドラムコア4および下地電極膜20を仮乾燥させる。
第1乾燥工程においては、まず、ドラムコア4および下地電極膜20を、好ましくは、100〜150℃の雰囲気下で、30分程度加熱する。次に、加熱後のドラムコア4および下地電極膜20を、好ましくは、24〜48時間程度、常温下に放置する。加熱時間、および常温下での放置時間を、上記範囲内とすることによって、ドラムコア4および下地電極膜20に付着した吸着水を、確実に除去することができる。
(S4:第2乾燥工程)
第1乾燥工程後、第2乾燥工程において、ドラムコア4および下地電極膜20を、好ましくは170〜250℃、より好ましくは190〜230℃の雰囲気温度で加熱する。
第2乾燥工程においては、ドラムコア4および下地電極膜20を、好ましくは、30〜60分程度加熱する。第2乾燥工程における加熱時間を、30〜60分とすることによって、コア4の内部に含有される水、下地電極膜20内部に含有される結晶水・水素、およびコア4・下地電極膜20の内部に含まれる空気等を、より確実に除去することができる。
(S5:コイル部10の形成工程)
第2乾燥工程後、図1に示すように、巻芯部4aの周囲に、ワイヤ10aを巻回してコイル部10を形成する。
(S6:継線部10b,10cの接続工程)
次に、ワイヤ10aの両端に形成してある継線部10b,10cを、第1フランジ4b、第2フランジ4cに形成された下地電極膜20に対して、ヒータチップなどで熱圧着する。その結果、ワイヤ10aの皮膜が溶融し、継線部10b,10cが押し潰されて下地電極膜20と接続する。熱圧着条件は、600〜640℃の温度で、荷重400〜450g、加圧時間0.1〜0.5秒の条件である。なお、継線部10b,10cにおける皮膜を予め剥離させた後に、継線部10b,10cを下地電極膜20へ熱圧着してもよい。
(S7:外装樹脂部30の形成工程)
次に、コイル部10が形成してある巻芯部4aの外周凹部に、樹脂をモールド成形して外装樹脂部30を形成する。
外装樹脂部30は、たとえば図6に示す金型80および82を用いて成型される。図6に示すように、金型80および82が閉じることにより形成される複数のキャビティ84の内部に、コイル部10が形成してある継線済のドラムコア4を、隣接するドラムコア4の第1フランジ4bの端面が、隣のドラムコア4の第2フランジの端面に接触するように、軸方向に並んで配置する。
金型80および82には、隣接して配置されたドラムコア4の第1フランジ4bと第2フランジ4cとの接触部外周を保持する保持用凸部86が形成してあり、その両側に、図1に示す樹脂製フランジ被覆部30aを形成するための周方向隙間88が形成してある。周方向隙間88は、キャビティ84に連通してあり、キャビティ84に樹脂を射出して成形し、金型80,82を開くことで、図1に示すフランジ被覆部30aを有する外装樹脂部30が一体化された複数の素子本体5が得られる。外装樹脂部30の4側面は、それぞれ平坦面である。
(S8:ブラスト処理工程)
外装樹脂部30の形成後、素子本体5の軸方向両端部(第1フランジ4b、第2フランジ4cに形成された下地電極膜20)に対して、ブラスト処理を施す。このブラスト処理によって、素子本体5の軸方向両端部に形成されたバリ(余分な樹脂)を除去する。
(S9:外部電極膜40のメッキ工程)
ブラスト処理の後に、素子本体5の軸方向両端部に、一対の外部電極膜40を形成する。
外部電極膜40の形成においては、まず、無電解メッキ法によって、第1外部電極膜40a(無電解ニッケルメッキ)を形成する。次に、電解メッキ法によって、第2外部電極膜40b(電解ニッケルメッキ)を形成する。次に、電解メッキ法によって、第3外部電極膜40c(電解スズメッキ)を形成する。無電解ニッケルメッキ膜の表面に電解ニッケルメッキ膜を形成することによって、無電解ニッケルメッキ膜の厚みに起因する応力を緩和することができる。
なお、各外部電極膜のメッキ処理に際しては、図5に示すゴム製基板70と同様なメッキマスクを用いる。
外部電極膜40の形成後、図1のコイルチップ部品2が完成する。
本実施形態においては、第1乾燥工程によって、ドラムコア4および下地電極膜20の表面に付着している吸着水を除去することができる。さらに、第1乾燥工程において、100〜150℃の雰囲気下での加熱、および常温下での放置、の2段階に分けてドラムコア4および下地電極膜20を仮乾燥させることによって、ドラムコア4および下地電極膜20の表面に付着した吸着水を、より確実に除去することができる。
本実施形態においては、第2乾燥工程において、ドラムコア4および下地電極膜20を、好ましくは170〜250℃、より好ましくは190〜230℃の雰囲気温度で加熱することによって、ドラムコア4の内部に含有される水、下地電極膜20に含有される結晶水・水素、およびドラムコア4・下地電極膜20の内部に含まれる空気等を除去することができる。したがって、下地電極膜20の形成後、継線部10b、10cを下地電極膜20に熱圧着する際、フランジ4b、4cと下地電極膜20との界面において水、水素、空気等が発生することがなく、フランジ4b、4cと下地電極膜20との間に隙間が生じることを防止できる。その結果、フランジ4b、4cと下地電極膜20との密着性を向上させることができ、下地電極膜20に付着した樹脂バリをブラスト処理によって除去する際に、下地電極膜20が剥離することを防止できる。
第2乾燥工程の雰囲気温度が低すぎると(150℃以下)、ドラムコア4および下地電極膜20の内部に含有される水分を充分に除去することができず、第2乾燥工程における雰囲気温度が高すぎると(300℃以上)、下地電極膜20(ニッケルメッキ)の結晶化が進行し、メッキの硬度が増加し過ぎてメッキがもろくなる恐れがあるが、第2乾燥工程の雰囲気温度を上記範囲内とすることによって、これらの不具合を起こすことなく、ドラムコア4および下地電極膜20を確実に乾燥させることができる。
本実施形態に係るコイルチップ部品2では、下地電極膜20がニッケルメッキ膜で構成してあるために、銀ペースト膜に比較して、下地電極膜を均一に薄くすることができる。また、ニッケルは、銀に比較して比抵抗が大きい。そのため、図3に示すように、コイルチップ部品2の端面2a、2bにおいて巻芯部で発生する磁界の方向Mが垂直に通過したとしても、その部分での渦電流は小さい。その結果、コイルチップ部品2におけるコアロスが小さくなる。
また、本実施形態では、下地電極膜20が、内側から順に、無電解ニッケルメッキ膜(第1下地電極膜20a)と、電解ニッケルメッキ膜(第2下地電極膜20b)とを有する。何ら電極が形成されていない段階では、コア4の表面には、電解メッキが困難である。そこで、コア4の表面に対して、最初に無電解メッキ法により無電解ニッケルメッキ膜を形成し、その後に、無電解ニッケルメッキ膜の表面に電解メッキ法により電解ニッケルメッキ膜を形成する。その結果、フランジ4b、4cと下地電極膜20全体との密着性、および下地電極膜20全体の強度を向上させることができる。
また、本実施形態では、無電解ニッケルメッキ膜(第1下地電極膜20a)の厚さを、1.3〜1.7μmとすることによって、メッキ膜に応力を生じさせることがなく、フランジ4b,4cとの密着性が高く、高強度で、かつ、厚さが均一な無電解ニッケルメッキ膜を形成することができる。その結果、ブラスト処理によって下地電極膜20に付着したバリを除去する際に、下地電極膜20が剥離、破損することを防止できる。
また、本実施形態では、電解ニッケルメッキ膜(第2下地電極膜20b)の厚さを、1.8〜2.2μmとすることによって、電解ニッケルメッキ膜における渦電流を減少させることができ、かつ、高強度の無電解ニッケルメッキ膜を形成することができる。その結果、ブラスト処理によって下地電極膜20に付着したバリを除去する際に、下地電極膜20が剥離、破損することを防止できる。
また、電解ニッケルメッキ膜(第2下地電極膜20b)は、無電解ニッケルメッキ膜(第1下地電極膜20a)に比較して、膜質が緻密であり、強度に優れている。そのため、熱圧着法などで電解ニッケルメッキ膜(第2下地電極膜20b)の上にワイヤ10aの継線を行うことで、断線不良などが生じるおそれも少ない。
また、本実施形態のコイルチップ部品2では、電極膜の厚みが小さいため、限定されたサイズにおいて、相対的に、フェライトコアの体積を大きくすることが可能であり、その分、インダクタンス特性が向上する。本発明者等の実験によれば、約30%のインダクタンス特性の向上が見られた。
また、本実施形態では、フランジ4b,4cの外側端面に位置する下地電極膜20および外部電極膜40の膜厚が極端に薄いために、コイルチップ部品2のサイズが小型化しても、コイルチップ部品2の軸方向長さ寸法のバラツキを抑制することができる。そのために、このコイルチップ部品2が実装される基板部分のランド寸法と誤差が生じることが少なくなり、実装不良を防止することができる。さらに、プリント基板などにおいては、ランドパターンに余裕をもたせた設計とする必要が無くなり、高実装密度が容易になる。
本実施形態では、特に、チップの最大高さH0が、0.9mm以下の小型で、5mg以下の軽量なコイルチップ部品2であっても、実装に際してのハンダのリフロー時に、外部電極膜40の底面に形成してある段差状凹部50と基板60との隙間にハンダが入り込む。その段差状凹部50は、外部電極膜40の周方向に連続して形成してあるために、ハンダの回り込み量も十分に確保することができる。その結果、いわゆるツームストーン現象を効果的に防止することができ、実装不良を防止することができる。たとえば従来のコイルチップ部品(段差状凹部50がない)では、10万個に10個程度の割合で、ツームストーン現象が生じていたのに対して、本発明の実施例(段差状凹部50がある)では、ツームストーン現象が生じたものは0個であった。
また、本実施形態では、段差状凹部50にハンダが回り込むことで、ハンダにより形成されるフィレットの大きさを小さくしても十分な接合強度が得られ、高密度な実装が可能になる。
また、本実施形態では、フランジ4b,4cの最大外形寸法よりも大きな外形寸法を有する外装樹脂部30の両端部外周を覆うように、外部電極膜40を形成することで、段差状凹部50を形成してある。このために、フランジ自体に加工する必要はなく、フランジの体積が減少することはなく、コイルチップとしての性能には全く影響しない。しかも、樹脂成形により段差状凹部50を形成することができるので、製造工程が煩雑になることもない。
さらに本実施形態では、図1に示す各外部電極膜40の軸方向幅W0を、好ましくは0.41mmとすることで、外部電極膜40の縁部間に位置する外装樹脂部30の上側平坦部30bの軸方向幅L1を0.817mm程度にすることができる。この上側平坦部30bの軸方向幅L1は、部品2の全長L0に対して、30〜70%の長さである。
このような軸方向長さL1を有する外装樹脂部30の上側平坦部30bは、図1に示すように、吸着ノズル90により良好に吸着保持が可能である。しかも、外部電極膜40の厚みt1が8μm以下と薄いので、吸着ノズル90の端が外部電極膜40の上に位置したとしても、吸着ノズル90により吸着作用はそれほど低下せず、十分な吸着力で部品を保持することができる。
さらにまた本実施形態のコイルチップ部品2では、フランジ4b,4cの外周に、熱圧着法などを用いて容易にワイヤ10aの継線を行うことが可能であり、しかも断線不良などが生じるおそれも少ない。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明に係るコイルチップ部品の具体的な断面構造は、図1に示す実施形態に限定されず、種々の態様があり得る。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
上述の本願発明に係るコイルチップ部品2の製造方法を用いて、図1に示すコイルチップ部品2のサンプルを1000個作製した。なお、実施例1においては、下地電極膜20を形成した後の第2乾燥工程において、190℃の雰囲気温度でドラムコア4および下地電極膜20を加熱した。また、外装樹脂部30の形成、およびブラスト処理の後で、外観検査を行い、下地電極膜20の剥離の有無を調べた。そして、全サンプルに対する、下地電極膜20の剥離を起こしたサンプル数の割合(下地電極膜剥離率、単位:%)を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2008166419
実施例2〜4
第2乾燥工程の雰囲気温度を表1に示す値としたこと以外は、実施例1と同様の製造方法で、実施例2〜4のコイルチップ部品2をそれぞれ1000個作製した。また、実施例2〜4においても、実施例1と同様の方法で下地電極膜剥離率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1〜4における第2乾燥工程の雰囲気温度と、下地電極膜剥離率と、の関係を、図7のグラフに示す。なお、図7において、横軸は、第2乾燥工程の雰囲気温度(℃)であり、縦軸は、下地電極膜剥離率(%)である。また、図7における黒丸印は、実施例1〜4の各データに対応し、図7における曲線は、実施例1〜4のデータから得た近似曲線である。
評価
表1および図7に示すように、第2乾燥工程の雰囲気温度を170〜250℃の範囲内とすることによって、下地電極膜剥離率を2.1%以下とすることができた。すなわち、第2乾燥工程の雰囲気温度を170〜250℃の範囲内とすることによって、下地電極膜の剥離を防止できることが確認された。
また、第2乾燥工程の雰囲気温度を190〜230℃の範囲内とすることによって、下地電極膜剥離率を1.5%以下とすることができた。すなわち、第2乾燥工程の雰囲気温度を190〜230℃の範囲内とすることによって、下地電極膜の剥離を、より確実に防止できることが確認された。
図1は本発明の一実施形態に係るコイルチップ部品の縦断面図である。 図2は図1に示すII部の拡大要部断面図である。 図3はコイルチップ部品の斜視図である。 図4は、本願発明の一実施形態に係るコイルチップ部品の製造方法を示す工程フロー図である。 図5はコアのメッキ処理を行うためのマスキングに用いる基板の要部断面図である。 図6はコイルチップ部品の製造工程の一例を示す金型および部品の要部断面図である。 図7は、本発明の実施例に係る第2乾燥工程の雰囲気温度と、下地電極膜剥離率との関係を示すグラフである。
符号の説明
2… コイルチップ部品
2a,2b… 端面
4… ドラムコア
4a… 巻芯部
4b… 第1フランジ
4c… 第2フランジ
5… 素子本体
10… コイル部
10a… ワイヤ
10b,10c… 継線部
20… 下地電極膜
20a… 第1下地電極膜
20b… 第2下地電極膜
30… 外装樹脂部
30a… フランジ被覆部
30b… 上側平坦部
40… 外部電極膜
40a… 第1外部電極膜
40b… 第2外部電極膜
40c… 第3外部電極膜
50… 段差状凹部
60… 基板
70… ゴム製基板
72… 嵌合穴
80,82… 金型
84… キャビティ
86… 保持用凸部
88… 周方向隙間
90… 吸着ノズル

Claims (4)

  1. 巻芯部の軸方向両端に一対のフランジを有するコアを準備する工程と、
    前記フランジの端面および外周に、メッキ法で、電極膜を形成する工程と、
    前記コアおよび前記電極膜を仮乾燥させる第1乾燥工程と、
    前記コアおよび前記電極膜を、170〜250℃の雰囲気温度で加熱する第2乾燥工程と、
    を有する巻線型電子部品の製造方法。
  2. 前記雰囲気温度が、190〜230℃であることを特徴とする請求項1に記載の巻線型電子部品の製造方法。
  3. 前記第1乾燥工程において、前記コアおよび前記電極膜を加熱し、
    加熱後の前記コアおよび前記電極膜を常温下に放置することを特徴とする請求項1または2に記載の巻線型電子部品の製造方法。
  4. 前記第1乾燥工程において、前記コアおよび前記電極膜を、100〜150℃の雰囲気下で加熱した後に、常温下に放置することを特徴とする請求項3に記載の巻線型電子部品の製造方法。
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