JP2008161121A - ヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法および識別キット - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便に、明確かつ再現性良くヘリコバクター・ピロリ菌を識別する方法および識別キットを提供する。
【解決手段】CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無、および前記C末端領域中のD配列の数を検出する多型検出工程を有する。
【選択図】図1
【解決手段】CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無、および前記C末端領域中のD配列の数を検出する多型検出工程を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、CagAタンパク質のC末端領域の多型性に基づいたヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法および識別キットに関するものである。
病原性を有するグラム陰性菌の多くは、外来性遺伝子群を有することによって病原性を発揮することが知られている。上記外来性遺伝子群は、pathogenicity island(PAI)と呼ばれている。ヘリコバクター・ピロリ菌では、病原因子の一つである細胞空胞化毒素関連タンパク質(CagA)をコードするcagA遺伝子が上記PAI内に位置し、当該cagA遺伝子を有する菌株の感染が十二指腸潰瘍、胃癌と関連することが報告されている。
CagAタンパク質は、胃の上皮細胞に感染したヘリコバクター・ピロリ菌によって細胞内に送り込まれると、Srcファミリーチロシンキナーゼによってリン酸化を受ける。リン酸化されたCagAタンパク質は、Src homology phosphatase-2(SHP-2)と結合することによって、RasおよびERKを介した異常な細胞増殖を引き起こすとともに、細胞接着に関連するfocal adhesion kinase(FAK)を脱リン酸化して細胞の運動能の向上を引き起こす。
CagAタンパク質のC末端領域には、EPIYAにて示されるアミノ酸配列からなるモチーフをそれぞれ持つA配列、B配列、C配列、D配列と名付けられた領域が存在し、当該A配列、B配列、C配列およびD配列は、それぞれリン酸化を受けることが知られている。
上記A配列、B配列およびC配列は欧米人に感染するヘリコバクター・ピロリ菌に高確率で存在し、A配列、B配列およびD配列は東アジア人に感染するヘリコバクター・ピロリ菌に高確率で存在する。また、上記A配列、B配列、C配列およびD配列は、個々のヘリコバクター・ピロリ菌中に複数存在する場合があることも知られている。そして、CagAタンパク質における上記A配列、B配列、C配列およびD配列の組み合わせの多様性が、CagAタンパク質のC末端領域の多型を生み出す原因になっている。また、CagAタンパク質中の上記A配列、B配列、C配列およびD配列以外の領域(以下、周辺領域と呼ぶ)は、欧米人に感染するヘリコバクター・ピロリ菌と東アジア人に感染するヘリコバクター・ピロリ菌とでは、一部同じ領域を含むものの、多くの領域が異なっている。
上記知見に基づいて、CagAタンパク質を分類することが可能である。例えば、図7(A)に示すように、上記周辺領域として欧米人に感染するヘリコバクター・ピロリ菌に特有の核酸配列を有するとともに、A配列、B配列およびC配列を有するCagAタンパク質を西欧型CagAタンパク質と呼び、当該西欧型CagAタンパク質をコードする遺伝子を西欧型cagA遺伝子と呼ぶ。また、図7(B)に示すように、上記周辺領域として欧米人に感染するヘリコバクター・ピロリ菌に特有の核酸配列を有するとともに、A配列、B配列およびD配列を有するCagAタンパク質を混合型CagAタンパク質と呼び、当該混合型CagAタンパク質をコードする遺伝子を混合型cagA遺伝子と呼ぶ。つまり、当該混合型CagAタンパク質とは、西欧型CagAタンパク質において、D配列がC配列に置き換わったCagAタンパク質である。また、図7(C)に示すように、上記周辺領域として東アジア人に感染するヘリコバクター・ピロリ菌に特有の核酸配列を有するとともに、A配列、B配列およびD配列を有するCagAタンパク質を東アジア型CagAタンパク質と呼び、当該東アジア型CagAタンパク質をコードする遺伝子を東アジア型cagA遺伝子と呼ぶ。なお、各型のCagAタンパク質中に含まれるA配列、B配列、C配列またはD配列の数は1つとは限らず、複数である場合も確認されている。
SHP-2は、上記C配列またはD配列に結合するとともに、上記C配列よりもD配列の方に強く結合することが知られている。そして、D配列を有するヘリコバクター・ピロリ菌の方が、C配列を有するヘリコバクター・ピロリ菌と比較して毒性が強くなり、その結果、癌を誘発しやすくなることが知られている。さらに、欧米人に感染するヘリコバクター・ピロリ菌では、C配列を複数持つ場合にSHP-2との結合力が強くなり、東アジア人に感染するヘリコバクター・ピロリ菌では、D配列を複数持つ場合にSHP-2との結合力が強くなり、そして、SHP−2との結合力が強くなるほど毒性が強くなって癌を誘発しやすくなることが知られている(例えば、非特許文献1〜4参照)。したがって、CagAタンパク質のC末端領域の多型を検出することによって、当該CagAタンパク質を有するヘリコバクター・ピロリ菌の毒性の有無、および毒性の程度を予測することが可能となる。
従来から、ヘリコバクター・ピロリ菌のCagAタンパク質が、上記A配列、B配列およびC配列を有する欧米人に感染するタイプ(西欧型)であるのか、または上記A配列、B配列およびD配列を有する東アジア人に感染するタイプ(東アジア型)であるのかを判別するために、例えば、cagA遺伝子の核酸配列を決定するシークエンシング法が用いられている。
また、従来から、polymerase chain reaction(PCR)法(例えば、特許文献1および2参照)を利用して、cagA遺伝子を西欧型と東アジア型とに分類する方法が用いられている(例えば、特許文献3、非特許文献5参照)。当該方法は、西欧型cagA遺伝子または東アジア型cagA遺伝子を、それぞれ、西欧型ピロリ菌検出用のフォワードプライマーおよびリバースプライマー、または東アジア型ピロリ菌検出用のフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて、PCR法にてそれぞれ別々に増幅した後、検出用プローブと増幅産物とのハイブリダイゼーション反応によって増幅の有無を判断し、CagAタンパク質の型を判別する方法である。
特公平4−67960号公報(平成4年10月29日公開)
特公平4−67957号公報(平成4年10月29日公開)
特開2006−75139号公報(平成18年3月23日公開)
Asahi等著、J. Exp. Med. 第191巻、第593〜602頁、2000年
Higashi等著、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 第99巻、第14428〜14433頁、2002年
Azuma等著、J. Infect. Dis. 第189巻、第820〜827頁、2004年
Azuma等著、J. Clin. Microbiol. 第42巻、第2508〜2517頁、2004年
Yamazaki等著、FEMS Immunol. Med. Microbiol. 第44巻、第261〜268頁、2005年
しかしながら、上記従来の方法では、簡便に、明確かつ再現性良くヘリコバクター・ピロリ菌を識別することができなかった。
例えば、上記従来のシークエンシング法では、核酸配列を直接解析することによって、判別に必要な情報を得ることができる。つまり、ヘリコバクター・ピロリ菌の核酸配列を直接読み取ることによって、CagAタンパク質の型を判別することができるとともに、CagAタンパク質中のD配列の数を判定することができる。しかしながら、当該方法では、鋳型となる核酸の調製、DNAポリメラーゼを用いた反応、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、核酸配列の解析などの多数の工程を必要とするため、多大な労力と時間を必要とするという問題点を有している。また、自動シークエンサーを用いることによって省力化を実現することは可能であるが、この場合には高価な装置が必要であるという問題点を有している。
また、上記従来のPCR法を用いる方法では、1試料あたり2反応のリアルタイムPCRが必要なため、煩雑な操作を伴うという問題点を有している。さらには、当該方法では上述したようなCagAタンパク質において毒性の指標となり得るD配列の数に関する知見を得ることができないという問題点を有している。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、簡便に、明確かつ再現性良くヘリコバクター・ピロリ菌を識別する方法および識別キットを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、独自に見出したプライマー対を用いてCagAタンパク質のC末端領域の少なくとも一部をコードする核酸配列を増幅することによって、当該C末端領域の多型を詳細に検出することが可能となり、その検出結果に基づいて、簡便に、明確かつ再現性良くヘリコバクター・ピロリ菌を識別することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法は、上記課題を解決するために、CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無、および前記C末端領域中のD配列の数を検出する多型検出工程を有することを特徴としている。
本発明のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、前記多型検出工程は、以下の第1プライマーおよび第2プライマー、つまり、
(a)D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第1プライマー、
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー、
を用いて前記C末端領域の少なくとも一部をコードする核酸配列を増幅する増幅工程を含むことが好ましい。
(a)D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第1プライマー、
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー、
を用いて前記C末端領域の少なくとも一部をコードする核酸配列を増幅する増幅工程を含むことが好ましい。
本発明のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、前記第1プライマーは、配列番号1または配列番号5に記載の核酸配列に含まれる、連続した少なくとも15塩基よりなるオリゴヌクレオチドであり、前記第2プライマーは、配列番号2または配列番号6に記載の核酸配列に含まれる、連続した少なくとも15塩基よりなるオリゴヌクレオチドであることが好ましい。
本発明のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、前記増幅工程は、さらに、以下の第3プライマー、つまり、
(c)西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中、または、東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の、連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第3プライマーであって、前記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードする第3プライマー、
を用いて前記C末端領域の少なくとも一部をコードする核酸配列を増幅することが好ましい。
(c)西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中、または、東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の、連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第3プライマーであって、前記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードする第3プライマー、
を用いて前記C末端領域の少なくとも一部をコードする核酸配列を増幅することが好ましい。
本発明のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、前記第3プライマーは、配列番号3または配列番号4に記載の核酸配列に含まれる、連続した少なくとも15塩基よりなるオリゴヌクレオチドであることが好ましい。
本発明のヘリコバクター・ピロリ菌による発癌の危険性を予測する予測方法は、上記課題を解決するために、前記ヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法の何れかによって、CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無、および当該D配列の数を検出する工程を含むことを特徴としている。
本発明のキットは、上記課題を解決するために、CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無および当該D配列の数を検出することによってヘリコバクター・ピロリ菌を識別するためのキットであって、少なくとも以下の第1プライマーおよび第2プライマー、つまり、
(a)D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第1プライマー
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー
を含むことを特徴としている。
(a)D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第1プライマー
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー
を含むことを特徴としている。
本発明のキットは、さらに、以下の第3プライマー、つまり、
(c)西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中、または、東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の、連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第3プライマーであって、前記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードする第3プライマー、
を含むことが好ましい。
(c)西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中、または、東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の、連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第3プライマーであって、前記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードする第3プライマー、
を含むことが好ましい。
本発明のキットは、ヘリコバクター・ピロリ菌による発癌の危険性を予測するために用いられることが好ましい。
本発明のオリゴヌクレオチドは、上記課題を解決するために、配列番号1〜6のいずれかに示される核酸配列または当該核酸配列に相補的な核酸配列の、連続した少なくとも15塩基を含有することを特徴としている。
本発明は、以上のように、CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無、および前記C末端領域中のD配列の数を検出する多型検出工程を有するものである。
それゆえ、詳細にヘリコバクター・ピロリ菌を詳細に識別することが可能となり、その結果、発癌等の危険性の有無、および発癌の危険性の程度を予測することができるという効果を奏する。
〔1:ヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法〕
本実施の形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法は、CagAタンパク質のC末端領域の多型を検出する多型検出工程を含んでいる。
本実施の形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法は、CagAタンパク質のC末端領域の多型を検出する多型検出工程を含んでいる。
本明細書において「CagAタンパク質のC末端領域」とは、EPIYAにて示されるアミノ酸配列を含むモチーフをそれぞれ持つA配列、B配列、C配列、D配列と名付けられた領域からなる領域を意図する。
また、本明細書において「CagAタンパク質のC末端領域の多型」とは、上記C末端領域を形成するA配列、B配列、C配列およびD配列の組み合わせの多様性を意図する。
上記多型検出工程は、CagAタンパク質のC末端領域の少なくとも一部をコードする核酸配列を増幅する増幅工程を含むことが好ましい。当該増幅工程では、試料中の全核酸配列中から増幅したい核酸配列(標的核酸)のみが、その固有の配列に対して相補性を有するプライマーを利用して増幅される。具体的に上記増幅工程では、一本鎖に変性させたヘリコバクター・ピロリ菌の染色体またはその断片に、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)、DNAポリメラーゼおよび2種類以上のオリゴヌクレオチド(プライマー)等を作用させることによって、上記プライマー間の配列が増幅される。
上記増幅工程に用いられる具体的な核酸増幅方法としては特に限定されず、適宜公知の方法を用いることができる。例えば、上記核酸増幅方法としては、PCR、NASBA(Nucleic acid sequence-basedamplification method;Nature 第350巻、第91頁、1991年参照)、LCR(国際公開89/12696号公報、特開平2−2934号公報参照)、SDA(Strand Displacement Amplification:Nucleic Acids Res. 第20巻、第1691頁、1992年参照)、RCA(国際公開90/1069号公報参照)、TMA(Transcription mediated amplification method;J. Clin. Microbiol. 第31巻、第3270頁、1993年参照)、LAMP(loop-mediated isothermal amplification method:J. Clin Microbiol. 第42巻:第1,956頁、2004年参照)、ICAN(isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acids:Kekkaku. 第78巻、第533頁、2003年参照)、UCAN(日本癌学会(H13.9.26〜H13.9.28、横浜にて開催)または日本鑑識科学技術学会(H13.11.8〜H13.11.9、東京にて開催)参照)などを挙げることができるが、これらに限定されない。上記核酸増幅方法を用いれば、従来では検出不可能であった、極めて微量(1分子でも可)の試料核酸をも検出することが可能であり、上記増幅工程に好適に用いることが可能である。
また、試料中の核酸量が少ない場合には、上記増幅工程に先立って、ヘリコバクター・ピロリ菌の染色体またはその断片を上記増幅工程と同じ方法によって増幅しておくことも可能である。
上記増幅工程において用いられる核酸増幅方法としては、上記方法の中でもPCR法を用いることが好ましい。PCR法は、試料核酸、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、一対のプライマーおよび耐熱性DNAポリメラーゼの存在下で、変性工程、アニーリング工程、伸長反応の3工程からなる反応サイクルを繰り返すことによって、上記一対のプライマーによって挟まれる試料核酸中の領域を、指数関数的に増幅させることができる。すなわち、変性工程にて試料核酸を変性し、続くアニーリング工程にて各プライマーと当該プライマーに相補的な試料核酸中の領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程にて各プライマーを起点として、試料核酸に相補的なDNA鎖を伸長させる。この1サイクルによって、1本の二本鎖DNAが2本の二本鎖DNAに増幅される。従って、このサイクルをn回繰り返せば、理論上、上記一対のプライマーで挟まれた試料DNAの領域は2のn乗倍に増幅される。増幅されたDNA領域は大量に存在するので、例えば電気泳動等の方法によって容易に検出することができる。
上記増幅工程にて、前記C末端領域の少なくとも一部をコードする核酸配列を増幅するために用いるプライマーとしては、2種類のプライマーセット(プライマーセットA、またはプライマーセットB)を用いることができる。上記プライマーセットAは、2つのプライマーからなるプライマーセットであり、上記プライマーセットBは、3つのプライマーからなるプライマーセットである。当該プライマーセットについては、後に詳細に説明する。
本実施の形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、プライマーセットAを用いれば、CagAタンパク質の毒性の指標となり得るD配列の有無、およびD配列の数について迅速に検出することができる。また、本実施の形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、プライマーセットBを用いれば、CagAタンパク質の毒性の指標となり得るD配列の有無、およびD配列の数について迅速に検出することができるのみならず、ヘリコバクター・ピロリ菌のCagAタンパク質が東アジア型、西欧型または混合型の何れであるかを確認することができる。
以下に、プライマーセットAおよびプライマーセットBの各々について説明する。
(a:プライマーセットA)
本実施の形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、上記増幅工程にて、プライマーセットAを用いることが可能である。当該プライマーセットAは、下記の第1プライマーおよび第2プライマーからなるプライマーセットである。そして、上記増幅工程では、上記第1プライマーと第2プライマーとによって挟まれる塩基配列が増幅される。
本実施の形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、上記増幅工程にて、プライマーセットAを用いることが可能である。当該プライマーセットAは、下記の第1プライマーおよび第2プライマーからなるプライマーセットである。そして、上記増幅工程では、上記第1プライマーと第2プライマーとによって挟まれる塩基配列が増幅される。
(a)D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第1プライマー
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー
上記第1プライマーとしては、D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであればよく特に限定されないが、例えば、配列番号1または配列番号5に記載の核酸配列に含まれる核酸配列であることが好ましい。
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー
上記第1プライマーとしては、D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであればよく特に限定されないが、例えば、配列番号1または配列番号5に記載の核酸配列に含まれる核酸配列であることが好ましい。
5’−TTGATGAGGCAAATCAAGCAGG−3’(配列番号1)
5’−GCAAATCAAGCAGGCTTCCC−3’(配列番号5)
また、第1プライマーの長さとしては、配列特異的なPCR反応が可能な程度の長さであればよく特に限定されないが、少なくとも15塩基の長さを有することが好ましく、長ければ長いほど、より好ましい。第1プライマーの長さが15塩基以上であれば、第1プライマーと試料核酸とのアニーリングの特異性を高めることができるため、上記増幅工程において、非特異的な増幅を防ぐことができる。その結果、明確かつ再現性よくヘリコバクター・ピロリ菌を識別することができる。
5’−GCAAATCAAGCAGGCTTCCC−3’(配列番号5)
また、第1プライマーの長さとしては、配列特異的なPCR反応が可能な程度の長さであればよく特に限定されないが、少なくとも15塩基の長さを有することが好ましく、長ければ長いほど、より好ましい。第1プライマーの長さが15塩基以上であれば、第1プライマーと試料核酸とのアニーリングの特異性を高めることができるため、上記増幅工程において、非特異的な増幅を防ぐことができる。その結果、明確かつ再現性よくヘリコバクター・ピロリ菌を識別することができる。
また、第1プライマーは、核酸増幅のために用いられるプライマーが一般的に有する特性を有していてもよい。例えば、第1プライマーは、修飾されていてもよい。当該修飾としても特に限定されず、例えば、ビオチン化、ジゴキシゲニンの結合または蛍光色素の結合などの修飾が施され得る。上記構成によれば、第1プライマーによって増幅される核酸断片を高感度に検出することが可能になる。例えば、第1プライマーをビオチン化すれば、当該第1プライマーによって増幅された核酸断片に対して、アビジンまたは抗ビオチン抗体が連結されたマーカーを結合させることができる。また、第1プライマーにジゴキシゲニンを結合すれば、当該第1プライマーによって増幅された核酸断片に対して、抗ジゴキシゲニン抗体が連結されたマーカーを結合させることができる。そして、増幅された核酸断片に結合したマーカーを検出することによって、第1プライマーによって増幅される核酸断片の有無を検出することができるとともに、増幅される核酸断片の量を推定することができる。なお、第1プライマーに蛍光色素を結合させる場合には、増幅される核酸断片中の蛍光色素の有無と、蛍光色素から発せられる蛍光の強度とを検出すればよい。
この時、上記マーカーとしては特に限定されず、適宜公知のマーカーを用いることができる。例えば、上記マーカーは、酵素であることが好ましい。更に具体的には、上記マーカーは、アルカリフォスファターゼまたはペルオキシダーゼであることが好ましい。上記マーカーとしてアルカリフォスファターゼを用いる場合には、基質としてパラニトロフェニルリン酸またはCDP−starを用いればよい。また、上記マーカーとしてペルオキシダーゼを用いる場合には、基質としてTMB、Lumi−Light(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)またはSAT−1(同仁化学社製)を用いればよい。そして、上記酵素と基質との反応を検出すれば、第1プライマーによって増幅される核酸断片の有無を検出することができるとともに、増幅される核酸断片の量を推定することができる。
また、上記第2プライマーとしては、D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであって、上記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードするプライマーであればよく特に限定されないが、配列番号2または配列番号6に記載の核酸配列に含まれる核酸配列であることが好ましい。
5’−GCTATTAATGCGTGTGTGGCTGT−3’(配列番号2)
5’−AAAGCATTCTTTTTTGTAGAATCTTTGAG−3’(配列番号6)
また、第2プライマーの長さとしても、配列特異的なPCR反応が可能な程度の長さであればよく特に限定されないが、少なくとも15塩基の長さを有することが好ましく、長ければ長いほど、より好ましい。第2プライマーの長さが15塩基以上であれば、第2プライマーと試料核酸とのアニーリングの特異性を高めることができるため、上記増幅工程において、非特異的な増幅を防ぐことができる。その結果、明確かつ再現性よくヘリコバクター・ピロリ菌を識別することができる。
5’−AAAGCATTCTTTTTTGTAGAATCTTTGAG−3’(配列番号6)
また、第2プライマーの長さとしても、配列特異的なPCR反応が可能な程度の長さであればよく特に限定されないが、少なくとも15塩基の長さを有することが好ましく、長ければ長いほど、より好ましい。第2プライマーの長さが15塩基以上であれば、第2プライマーと試料核酸とのアニーリングの特異性を高めることができるため、上記増幅工程において、非特異的な増幅を防ぐことができる。その結果、明確かつ再現性よくヘリコバクター・ピロリ菌を識別することができる。
なお、本明細書において「D配列の外部」とは、CagAタンパク質におけるD配列以外の領域が意図され、当該領域には、A配列、B配列、C配列および周辺領域が含まれる。
また、第2プライマーは、核酸増幅のために用いられるプライマーが一般的に有する特性を有していてもよい。具体的には、第2プライマーは、修飾されていてもよい。当該修飾としても特に限定されず、例えば、ビオチン化、ジゴキシゲニンの結合または蛍光色素の結合などの修飾が施され得る。上記構成によれば、第1プライマーの場合と同様の効果を得ることができる。
また、上述したように第2プライマーは、上記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードするプライマーである。つまり、第1プライマーがヘリコバクター・ピロリ菌の染色体またはその断片のセンスプライマーである場合には、第2プライマーは、ヘリコバクター・ピロリ菌の染色体またはその断片に相補的なアンチセンスプライマーであればよい。一方、第1プライマーがヘリコバクター・ピロリ菌の染色体またはその断片に相補的なアンチセンスプライマーである場合には、第2プライマーは、ヘリコバクター・ピロリ菌の染色体またはその断片のセンスプライマーであればよい。これによって、試料核酸中の核酸配列であって、上記第1プライマーと第2プライマーとによって挟まれる核酸配列が増幅され得る。
また、上記第1プライマーおよび第2プライマーは、近いTm値を有するプライマーであることが好ましい。Tm値が近ければ、試料核酸中の配列において第1プライマーと第2プライマーとによって挟まれる領域を特異的に増幅させることができる。なお、Tm値とは、2本鎖を形成したDNA分子の50%が乖離する温度する温度のことである。Tm値の計算方法としては適宜公知の方法を用いればよく、例えば、Nearest neighbor method、GC%法等によって求めることができる。
以下に、図1を用いて、上記第1プライマーおよび第2プライマーによって、CagAタンパク質のC末端領域の多型を検出する方法について具体的に説明する。
上述したように、CagAタンパク質のC末端領域には、A配列、B配列、C配列およびD配列が、様々な組み合わせにて存在している。そして、当該組み合わせの多様性が、CagAタンパク質のC末端領域の多型を生み出す要因となっている。また、上記A配列、B配列、C配列およびD配列の中で、D配列を有するCagAタンパク質が最も毒性が強く、さらに、CagAタンパク質中に含まれるD配列の数が多くなるほど、毒性が強くなる。上記プライマーセットAを用いれば、西欧型CagAタンパク質、東アジア型CagAタンパク質または混合型CagAタンパク質の何れであるかに関わらず、CagAタンパク質中のD配列の有無を確認することができるとともに、CagAタンパク質中のD配列の数を検出することができる。
図1(A)・(B)にはcagA遺伝子(西欧型cagA遺伝子、東アジア型cagA遺伝子または混合型cagA遺伝子の何れであってもよい)中のA配列およびB配列をコードする核酸配列の近傍が示されている。更に具体的には、図1(A)には、1つのD配列をコードする核酸配列を有するcagA遺伝子が示されており、図1(B)には、2つのD配列をコードする核酸配列を有するcagA遺伝子が示されている。
上記第2プライマーは、西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであるので、CagAタンパク質の型に関わらず、D配列をコードする領域の外部に存在する核酸配列にアニーリングすることができる。一方、上記第1プライマーは、D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであるので、D配列が存在する場合にのみ、D配列をコードする核酸配列にアニーリングすることができる。したがって、図1(A)に示すように、CagAタンパク質が1個のD配列を有する場合には、第1プライマーは、cagA遺伝子上の1箇所にアニーリングすることになる。その結果、第1プライマーおよび第2プライマーを用いた増幅工程において、1本の増幅核酸断片が検出されることになる。一方、図1(B)に示すように、CagAタンパク質が2個のD配列を有する場合には、第1プライマーは、cagA遺伝子上の2箇所にアニーリングすることになる。その結果、第1プライマーおよび第2プライマーを用いた増幅工程において、長さが異なる2本の増幅核酸断片が検出されることになる。つまり、本実施形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、増幅工程において、CagAタンパク質中のD配列と等しい数の増幅核酸断片を検出することができる。なお、CagAタンパク質中のD配列の数が0個の場合には、増幅核酸断片は検出されない。
以上のように、本実施の形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、増幅核酸断片の有無によってCagAタンパク質中のD配列の有無がわかるとともに、増幅核酸断片の数によってCagAタンパク質中のD配列の数がわかる。そして、CagAタンパク質中のD配列の有無によって、発癌の可能性の有無が予測でき、CagAタンパク質中のD配列の数によって、発癌の可能性の大小(D配列の数が多いほど、発癌の可能性が大きい)を予測することができる。
(b:プライマーセットB)
本実施の形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、上記増幅工程にて、第1プライマー、第2プライマーおよび第3プライマーからなるプライマーセットBを用いることが可能である。
本実施の形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、上記増幅工程にて、第1プライマー、第2プライマーおよび第3プライマーからなるプライマーセットBを用いることが可能である。
当該プライマーセットBを用いれば、上記プライマーセットAの効果に加えて、更に優れた効果を得ることができる。この点、以下に詳説する。
上述したように、従来から、PCR法を用いてCagA遺伝子の型を分類する方法が用いられている。当該従来の方法では、西欧型ピロリ菌検出用のフォワードプライマーおよびリバースプライマー、または東アジア型ピロリ菌検出用のフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いてPCR反応を行う。つまり、上記従来の方法では、A配列、B配列、C配列およびD配列からなる配列を挟むようにプライマー対が設計されている。
このため、西欧型cagA遺伝子と東アジア型cagA遺伝子とを区別することはできるものの、西欧型cagA遺伝子と混合型cagA遺伝子とを区別することができないという技術的課題を有している。この技術的課題は、本願発明者らが独自に見出したものである。
上記の課題を解決すべく、本願発明者らは上記増幅工程にてプライマーセットBを用いる技術を完成させた。本技術によれば、CagAタンパク質中のD配列の有無、およびCagAタンパク質中のD配列の数がわかるのみならず、西欧型cagA遺伝子、東アジア型cagA遺伝子、混合型cagA遺伝子を区別することが可能になる。このことは、以下の説明によって明らかになる。
当該プライマーセットBは、下記の第1プライマー、第2プライマーおよび第3プライマーからなるプライマーセットである。そして、上記増幅工程では、第1プライマーと第2プライマーとによって挟まれる塩基配列が増幅されるとともに、第3プライマーと第2プライマーとによって挟まれる塩基配列が増幅される。
(a)D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第1プライマー、
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー、
(c)西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中、または、東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の、連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第3プライマーであって、前記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードする第3プライマー。
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー、
(c)西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中、または、東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の、連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第3プライマーであって、前記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードする第3プライマー。
上記第1プライマーおよび第2プライマーの具体的構成は、上述したプライマーセットAに含まれる構成として説明したので、ここでは、その説明を省略する。
上記第3プライマーとしては、以下に記すi)またはii)のうちの何れかを用いることができる。つまり、
i)西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであって、上記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードするプライマー(特に、第4プライマーと呼ぶ)、
ii)東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであって、上記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードするプライマー(特に、第5プライマーと呼ぶ)。
i)西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであって、上記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードするプライマー(特に、第4プライマーと呼ぶ)、
ii)東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであって、上記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードするプライマー(特に、第5プライマーと呼ぶ)。
例えば、上記第4プライマーとしては、配列番号3に記載の核酸配列中に含まれる核酸配列であることが好ましい。
5’−AATTGACTCAACAAGCTCAAAAAAATG−3’(配列番号3)
また、上記第5プライマーとしては、配列番号4に記載の核酸配列中に含まれる核酸配列であることが好ましい。
5’−GAACTCAAAAACTTGTCATTGGATCTT−3’(配列番号4)。
また、上記第5プライマーとしては、配列番号4に記載の核酸配列中に含まれる核酸配列であることが好ましい。
5’−GAACTCAAAAACTTGTCATTGGATCTT−3’(配列番号4)。
また、第3プライマーの長さとしても配列特異的なPCR反応が可能な程度の長さであればよく特に限定されないが、少なくとも15塩基の長さを有することが好ましく、長ければ長いほど、より好ましい。第3プライマーの長さが15塩基以上であれば、第3プライマーと試料核酸とのアニーリングの特異性を高めることができるため、上記増幅工程において、非特異的な増幅を防ぐことができる。その結果、明確かつ再現性よくヘリコバクター・ピロリ菌を識別することができる。
また、第3プライマーは、核酸増幅のために用いられるプライマーが一般的に有する特性を有していてもよい。具体的には、第3プライマーは、修飾されていてもよい。当該修飾としても特に限定されず、例えば、ビオチン化、ジゴキシゲニンの結合または蛍光色素の結合などの修飾が施され得る。上記構成によれば、第1プライマーの場合と同様の効果を得ることができる。
また、第1プライマーと第3プライマーとは、ヘリコバクター・ピロリ菌の染色体またはその断片に対して同じ向きに設計することが好ましい。また、このとき第2プライマーは、上記第1プライマーおよび第3プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードするプライマーである。つまり、上記第1プライマーと第3プライマーとがヘリコバクター・ピロリ菌の染色体またはその断片のセンスプライマーである場合には、上記第2プライマーは、ヘリコバクター・ピロリ菌の染色体またはその断片に相補的なアンチセンスプライマーであればよい。一方、第1プライマーと第3プライマーとがヘリコバクター・ピロリ菌の染色体またはその断片に相補的なアンチセンスプライマーである場合には、第2プライマーは、ヘリコバクター・ピロリ菌の染色体またはその断片のセンスプライマーであればよい。これによって、試料核酸中の核酸配列であって、上記第1プライマーと第2プライマーとによって挟まれる核酸配列、および上記第3プライマーと第2プライマーとによって挟まれる核酸配列が、同時に(同じPCR反応にて)増幅され得る。したがって、1つの試料核酸に関する詳細な情報を、1回のPCR反応によって得ることができる。
上記第1プライマー、第2プライマーおよび第3プライマーは、近いTm値を有するプライマーであることが好ましい。Tm値が近ければ、試料核酸中の配列において第1プライマーと第2プライマーとによって挟まれる領域、および第3プライマーと第2プライマーとによって挟まれる領域を、同時に特異的に増幅させることができる。
以下に、まず、図2(A)・(B)および図3(A)・(B)を用いて、上記第1プライマー、第2プライマーおよび第4プライマーを用いて、CagAタンパク質のC末端領域の多型を検出する方法について具体的に説明する。
上述したように、CagAタンパク質のC末端領域には、A配列、B配列、C配列およびD配列が、様々な組み合わせにて存在している。そして、当該組み合わせの多様性が、CagAタンパク質のC末端領域の多型を生み出す要因となっている。また、上記A配列、B配列、C配列およびD配列の中で、D配列を有するCagAタンパク質が最も毒性が強く、さらに、CagAタンパク質中に含まれるD配列の数が多くなるほど、毒性が強くなる。当該プライマーセットBを用いれば、CagAタンパク質が西欧型、東アジア型または混合型の何れの型であるのかを確認することができるとともに、CagAタンパク質中のD配列の有無、およびCagAタンパク質中のD配列の数を検出することができる。
図2(A)・(B)には東アジア型cagA遺伝子(東アジア型CagAタンパク質をコードする遺伝子)中のA配列およびB配列をコードする核酸配列の近傍が示されている。更に具体的には、図2(A)には、1つのD配列をコードする核酸配列を有する東アジア型cagA遺伝子が示されており、図2(B)には、2つのD配列をコードする核酸配列を有する東アジア型cagA遺伝子が示されている。
上記第2プライマーは、西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであるので、CagAタンパク質の型に関わらず、D配列をコードする領域の外部に存在する核酸配列にアニーリングすることができる。一方、上記第1プライマーは、D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであるので、D配列が存在する場合にのみ、D配列をコードする核酸配列にアニーリングすることができる。
したがって、図2(A)に示すように、CagAタンパク質が1個のD配列を有する場合には、第1プライマーは、東アジア型cagA遺伝子上の1箇所にアニーリングすることになる。その結果、第1プライマーおよび第2プライマーを用いた増幅工程において、1本の増幅核酸断片が検出されることになる。一方、図2(B)に示すように、CagAタンパク質が2個のD配列を有する場合には、第1プライマーは、東アジア型cagA遺伝子上の2箇所にアニーリングすることになる。その結果、第1プライマーおよび第2プライマーを用いた増幅工程において、長さが異なる2本の増幅核酸断片が検出されることになる。つまり、本実施形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、増幅工程において、CagAタンパク質中のD配列と等しい数の増幅核酸断片を検出することができる。なお、CagAタンパク質中のD配列の数が0個の場合には、増幅核酸断片は検出されない。
さらに、当該増幅工程には、第4プライマーが用いられている。しかしながら、当該第4プライマーは、西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであるので、東アジア型cagA遺伝子に対してアニーリングすることはない。したがって、cagA遺伝子が東アジア型である場合には、上記第4プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって、核酸断片が増幅されることはない。換言すれば、上記第4プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって核酸断片が増幅されないことが確認できれば、試料核酸は東アジア型cagA遺伝子であることが確認できる。なお、上記第4プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって増幅される増幅核酸断片は、上記第1プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって増幅される増幅核酸断片と比較して長いので、両者を容易に区別することができる。
また、図3(A)には西欧型cagA遺伝子(西欧型CagAタンパク質をコードする遺伝子)中のA配列およびB配列をコードする核酸配列の近傍が示されており、図3(B)には混合型cagA遺伝子(混合型CagAタンパク質をコードする遺伝子)中のA配列およびB配列をコードする核酸配列の近傍が示されている。更に具体的には、図3(A)には、1つのC配列をコードする核酸配列を有する西欧型cagA遺伝子が示されており、図3(B)には、1つのD配列をコードする核酸配列を有する混合型cagA遺伝子が示されている。
上記第2プライマーは、西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであるので、CagAタンパク質の型に関わらず、D配列をコードする領域の外部に存在する核酸配列にアニーリングすることができる。一方、上記第1プライマーは、D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであるので、D配列が存在する場合にのみ、D配列をコードする核酸配列にアニーリングすることができる。
したがって、図3(A)に示すように、CagAタンパク質がD配列を有しない場合には、第1プライマーは、西欧型cagA遺伝子上にアニーリングすることができない。その結果、上記第1プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって、核酸断片が増幅されることはない。一方、上記第4プライマーは、西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであるので、西欧型cagA遺伝子上にアニーリングすることができる。その結果、上記第4プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって、核酸断片が増幅される。換言すれば、上記第4プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によってのみ核酸断片が増幅されることが確認できれば、試料核酸は西欧型cagA遺伝子であることが確認できる。つまり、上記第4プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって増幅される比較的長い増幅核酸断片のみが検出されれば、試料核酸は西欧型cagA遺伝子であることが確認できる。
また、図3(B)に示すように、CagAタンパク質が1個のD配列を有する場合には、第1プライマーは、混合型cagA遺伝子上の1箇所にアニーリングすることになる。その結果、上記第1プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって、1本の増幅核酸断片が増幅される。なお、本実施形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、上記第1プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって、CagAタンパク質中のD配列と等しい数の増幅核酸断片が検出される(図示せず)。このことは、当業者であれば、図2(B)に関する説明から容易に理解できるであろう。一方、上記第4プライマーは、西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであるので、混合型cagA遺伝子上にアニーリングすることができる。その結果、上記第4プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって、核酸断片が増幅される。換言すれば、上記第1プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって核酸断片が増幅されるとともに、上記第4プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって核酸断片が増幅されることが確認できれば、試料核酸は混合型cagA遺伝子であることが確認できる。つまり、上記第1プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって増幅される比較的短い増幅核酸断片と、上記第4プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって増幅される比較的長い増幅核酸断片との両方が検出されれば、試料核酸は混合型cagA遺伝子であることが確認できる。
なお、上記第3プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって増幅される増幅核酸断片は、上記第1プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって増幅される増幅核酸断片と比較して大きいので、両者を容易に区別することができる。
次いで、図4(A)・(B)および図5(A)・(B)を用いて、上記第1プライマー、第2プライマーおよび第5プライマーによって、CagAタンパク質のC末端領域の多型を検出する方法について具体的に説明する。
上述したように、上記第5プライマーは、東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーであるので、試料核酸が東アジア型cagA遺伝子である場合のみ、第5プライマーは、試料核酸に対してアニーリングすることができる。したがって、図2(A)・(B)および図3(A)・(B)にて説明したことに基づけば、増幅工程にて上記第1プライマー、第2プライマーおよび第5プライマーによって増幅される増幅核酸断片の種類を容易に理解することができる。
つまり、図4(A)・(B)に示すように、試料核酸が東アジア型cagA遺伝子である場合には、第1プライマーおよび第2プライマーによって増幅される比較的短い増幅核酸断片と、第5プライマーおよび第2プライマーによって増幅される比較的長い増幅核酸断片との両方が、上記増幅工程において増幅される。なお、図4(B)に示すように、第1プライマーおよび第2プライマーによって増幅される比較的短い増幅核酸断片の数は、D配列の数と同じである。また、図5(A)に示すように、試料核酸が西欧型cagA遺伝子である場合には、上記増幅工程において核酸断片が増幅されることはない。また、図5(B)に示すように、試料核酸が混合型cagA遺伝子である場合には、上記増幅工程において、第1プライマーおよび第2プライマーによって増幅される比較的短い増幅核酸断片のみが増幅される。
したがって、当該プライマーセットBを用いても、CagAタンパク質が西欧型、東アジア型または混合型の何れの型であるのかを確認することができるとともに、CagAタンパク質中のD配列の有無、およびCagAタンパク質中のD配列の数を検出することができる。
以上のように、本実施の形態のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法では、CagAタンパク質が西欧型、東アジア型または混合型の何れの型であるのかを確認することができるとともに、CagAタンパク質中のD配列の有無、およびCagAタンパク質中のD配列の数を検出することができる。そして、増幅核酸断片の有無によって、発癌の可能性の有無を予測することができるとともに、上記増幅核酸断片の本数によって、発癌の可能性の大小(本数が多いほど、発癌の危険度が大きい)を予測することができる。
上記増幅工程にてプライマーセットAまたはプライマーセットBによって増幅された増幅核酸断片は、適宜公知の方法によって検出され得る。例えば、当該検出方法としては、簡便性の観点から電気泳動法を用いることが好ましい。なお、電気泳動に用いるゲルの種類も特に限定されず、アガロースゲルまたはアクリルアミドゲル等を用いることが可能である。電気泳動法を使用する場合には、例えば、上記増幅工程にて増幅される各核酸断片の長さが異なるように各プライマーを設計するとともに、当該増幅断片を適切に分離できるように電気泳動用のゲルを選択することが好ましい。
また、上記第3プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって増幅される増幅核酸断片と、上記第1プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって増幅される増幅核酸断片とを区別する方法は、各増幅核酸断片の長さに基づく区別に限定されない。例えば、各プライマーに対して異なる種類のラベル(例えば、蛍光色素)を施して、当該プライマーを用いて上記増幅工程を行えばよい。そして、増幅核酸断片中の上記ラベルの有無および強度を検出すればよい。つまり、増幅核酸断片中のラベルの有無によって当該プライマーによって核酸配列が増幅されたか否かを確認することができる。また、増幅核酸断片中の上記ラベルの強度によって、例えば、上記第1プライマーおよび第2プライマーからなるプライマー対によって異なる長さの増幅核酸断片が何種類増幅されたかを推測することが可能である。
〔2:キット〕
本実施の形態のキットは、CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無および当該D配列の数を検出することによってヘリコバクター・ピロリ菌を識別するためのキットであって、少なくとも以下の第1プライマーおよび第2プライマーが含まれる。
(a)D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第1プライマー、
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー。
本実施の形態のキットは、CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無および当該D配列の数を検出することによってヘリコバクター・ピロリ菌を識別するためのキットであって、少なくとも以下の第1プライマーおよび第2プライマーが含まれる。
(a)D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第1プライマー、
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー。
なお、上記キットでは、上記第1プライマーは、配列番号1または配列番号5に記載の核酸配列の、少なくとも一部を含むオリゴヌクレオチドであり、上記第2プライマーは、配列番号2または配列番号6に記載の核酸配列の、少なくとも一部を含むオリゴヌクレオチドであることが好ましい。
なお、上記第1プライマーおよび第2プライマーは、本願発明のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法の説明において既に説明した第1プライマーおよび第2プライマーと同じプライマーであるので、ここではその詳細な説明を省略する。
また、本発明における別の実施形態のキットは、CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無および当該D配列の数を検出することによってヘリコバクター・ピロリ菌を識別するためのキットであって、少なくとも以下の第1プライマー、第2プライマーおよび第3プライマーを含む。
(a)D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第1プライマー、
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー、
(c)西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中、または、東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の、連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第3プライマーであって、前記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードする第3プライマー。
(a)D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第1プライマー、
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー、
(c)西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中、または、東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の、連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第3プライマーであって、前記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードする第3プライマー。
なお、上記キットでは、上記第1プライマーは、配列番号1または配列番号5に記載の核酸配列の、少なくとも一部を含むオリゴヌクレオチドであり、上記第2プライマーは、配列番号2または配列番号6に記載の核酸配列の、少なくとも一部を含むオリゴヌクレオチドであり、上記第3プライマーは、配列番号3または配列番号4に記載の核酸配列の、少なくとも一部を含むオリゴヌクレオチドであることが好ましい。
なお、上記第1プライマー、第2プライマーおよび第3プライマーは、本願発明のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法の説明において既に説明した第1プライマー、第2プライマーおよび第3プライマーと同じプライマーであるので、ここではその詳細な説明を省略する。
なお、上記第1プライマー、第2プライマーおよび第3プライマーは、上記増幅工程において、1〜4000nM程度の濃度で用いられることが好ましく、増幅量および特異性を高めるためには、50〜500nM程度の濃度で用いられることがより好ましく、200nM程度の濃度で用いられることが、最も好ましい。
本実施の形態のキットには、上記プライマーの他に、例えば、DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、dNTP、反応バッファーおよび核酸含有試料からなる群より選択される少なくとも1つが含まれることが好ましい。
DNAポリメラーゼ活性を有する酵素としては特に限定されず、適宜公知の酵素を用いることができる。例えば、当該酵素としては、T4またはT7ファージ、大腸菌、サーモコッカス(Thermococcus)属、サーマス(Thermus)属、パイロコッカス(Pyrococcus)属、バシラス(Bacillus)属など種々の生物由来のDNAポリメラーゼまたはその変異体を用いることが可能である。例えば、上記増幅工程にてPCR法を使用する場合には、KOD DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼなどの熱安定性の酵素を使用することが好ましい。中でもKOD DNAポリメラーゼおよび当該酵素を改良したDNAポリメラーゼは、増幅量および反応速度の観点から、最も好ましい。更に具体的には、上記酵素としてKOD Dash DNAポリメラーゼを用いる場合には、上記増幅工程において1〜200単位/ml程度の濃度にて使用されることが好ましく、10〜100単位/ml程度の濃度にて使用されることが、より好ましい。
上記dNTPは、上記増幅工程において50〜1000μM程度の濃度で用いられることが好ましく、100〜700μM程度の濃度で用いられることがより好ましく、200〜400μM程度の濃度で用いられることがさらに好ましい。
上記反応バッファーとしては、適宜公知の反応バッファーを用いることができる。例えば、本実施の形態のキットに含まれるDNAポリメラーゼ活性を有する酵素の能力を最大限に発揮するために、バッファーおよび金属塩の濃度、反応バッファーのpHなどが適宜選択され得る。また、上記酵素の安定性を高めるために、当該反応バッファー中に、ウシ血清アルブミンなどの添加剤が適宜混合され得る。
上記核酸含有試料は、例えば、バクテリア、動物または植物組織、個体細胞由来の溶解物、患者の血液または組織などのあらゆる材料から調製することができる。当該核酸含有試料の調製法は特に限定されず、適宜公知の方法によって調製され得る。例えば、当該調製方法として、フェノール/クロロホルム抽出法(Biochimica et Biophysica acta 第72巻、第619〜629頁、1963年)、アルカリSDS法(Nucleic Acids Res. 第7巻、第1513〜1523頁、1979年)などの液相で行う方法を用いることが可能である。また、核酸の単離に核酸結合用担体を用いる方法としては、ガラス粒子とヨウ化ナトリウム溶液を使用する方法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 第76-2巻、第615〜619頁、1979年)、ハイドロキシアパタイトを用いる方法(特開昭63−263093号公報)等を用いることが可能である。また、その他の方法としては、シリカ粒子とカオトロピックイオンとを用いた方法(J. Clinical Microbiology 第28-3巻、第495〜503頁、1990年、特開平2−289596号公報)等を用いることが可能である。また、上記核酸含有試料中の核酸は、試料中に溶解されていてもよいし、固相に固定されていてもよい。
また、本実施の形態のキットは、ヘリコバクター・ピロリ菌による発癌の危険性を予測するために用いられることが好ましい。上記癌としては、胃癌などを挙げることができる。上述したように、本実施の形態のキットを用いれば、CagAタンパク質のC末端領域の多型を検出することができる。更に詳細には、本実施の形態のキットを用いれば、発癌に関係が深いD配列の有無を検出することができるとともに、D配列の数をも検出することができる。そして、D配列の有無によって、発癌の可能性の有無を予測することができるとともに、上記D配列の数によって、発癌の可能性の大小(D配列が多いほど、発癌の危険度が大きい)を予測することができる。
〔3:発癌の危険性を予測する予測方法〕
本実施の形態の発癌の危険性を予測する方法は、本願発明のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法によって、CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無、および当該D配列の数を検出する工程が含まれる。
本実施の形態の発癌の危険性を予測する方法は、本願発明のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法によって、CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無、および当該D配列の数を検出する工程が含まれる。
本願発明のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法に関しては既に説明したので、ここでは説明を省略する。
また、本実施の形態の予測方法によって発癌の危険性が検討される癌としては、胃癌などを挙げることができる。上述したように、本実施の形態の予測方法を用いれば、CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無によって、発癌の可能性の有無を予測することができるとともに、上記D配列の数によって、発癌の可能性の大小(D配列が多いほど、発癌の危険度が大きい)を予測することができる。
〔1:オリゴヌクレオチドの合成〕
DNAシンセサイザー392型(パーキンエルマー社製)を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号1〜3に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、Prim1〜3と呼ぶ)を合成した。
DNAシンセサイザー392型(パーキンエルマー社製)を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号1〜3に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、Prim1〜3と呼ぶ)を合成した。
Prim1:5’−TTGATGAGGCAAATCAAGCAGG−3’(配列番号1)
Prim2:5’−GCTATTAATGCGTGTGTGGCTGT−3’(配列番号2)
Prim3:5’−AATTGACTCAACAAGCTCAAAAAAATG−3’(配列番号3)
上記オリゴヌクレオチドの合成は、上記DNAシンセサイザー392型のマニュアルに従った。また、各種オリゴヌクレオチドの保護基の解離は、55℃の条件下で各オリゴヌクレオチドを、アンモニア水中に一昼夜放置することによって行った。オリゴヌクレオチドの精製は、OPCカラム(パーキンエルマー社製)を用いて行った。なお、オリゴヌクレオチドの合成は、DNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、シグマアルドリッチジャパン(株)、オペロンバイオテクノロジー(株)等)に依頼した。
Prim2:5’−GCTATTAATGCGTGTGTGGCTGT−3’(配列番号2)
Prim3:5’−AATTGACTCAACAAGCTCAAAAAAATG−3’(配列番号3)
上記オリゴヌクレオチドの合成は、上記DNAシンセサイザー392型のマニュアルに従った。また、各種オリゴヌクレオチドの保護基の解離は、55℃の条件下で各オリゴヌクレオチドを、アンモニア水中に一昼夜放置することによって行った。オリゴヌクレオチドの精製は、OPCカラム(パーキンエルマー社製)を用いて行った。なお、オリゴヌクレオチドの合成は、DNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、シグマアルドリッチジャパン(株)、オペロンバイオテクノロジー(株)等)に依頼した。
上記Prim1は、D配列をコードする核酸配列に特異的な核酸配列のセンス鎖の一部を含むオリゴヌクレオチドである。また、上記Prim2は、西欧型および東アジア型CagAをコードする核酸配列に共通する核酸配列のアンチセンス鎖の一部を含むオリゴヌクレオチドである。また、上記Prim3は、西欧型CagAをコードする核酸配列に特異的な核酸配列のセンス鎖の一部を含むオリゴヌクレオチドである。そして、PCR法によって、Prim1とPrim2とが1対のプライマーとして働いて核酸配列を増幅することができるとともに、Prim3とPrim2とが1対のプライマーとして働いて核酸配列を増幅することができる。
〔2:PCR法によるヘリコバクター・ピロリ菌cagA遺伝子の解析〕
下記の表1に示すヘリコバクター・ピロリ菌(サンプル1〜10)からDNAを精製して、PCR反応における鋳型DNAとして用いた。なお、DNAの精製は、フェノール・クロロホルム法を用いて行った。
下記の表1に示すヘリコバクター・ピロリ菌(サンプル1〜10)からDNAを精製して、PCR反応における鋳型DNAとして用いた。なお、DNAの精製は、フェノール・クロロホルム法を用いて行った。
以下に、PCRの条件について説明する。本実施例では、抽出DNA(鋳型DNA)を100ng、Prim1を5pmol、Prim2を10pmol、Prim3を5pmol、×10Bufferを2.5μL、2mM dNTPを2.5μL、25mM MgCl2を1μLおよびKOD DNAポリメラーゼを0.5U、を混合した後、H2Oを加えて全量を25μLとしてPCR用の反応溶液とした。
PCR反応としては、まず、94℃にて5分間の変性反応を行った。そして、当該変性反応の後、94℃にて15秒間の変性反応、60℃にて30秒間のアニーリング反応、および68℃にて30秒間の伸長反応からなる反応を、35サイクル行った。そして、当該反応の後、反応産物を25℃にて15分間放置した。
〔3:アガロースゲル電気泳動を用いた検出〕
5μLの上記反応産物を3%のアガロースゲルにて電気泳動した後、電気泳動後のアガロースゲルをエチジウムブロマイドによって染色した。そして、染色後のアガロースゲルに紫外線を照射して、PCR反応によって増幅された核酸配列を確認した。なお、上記電気泳動は、定電圧100V、60分間にて行った。また、反応産物の他に分子量マーカーも同時に電気泳動し、増幅された核酸配列の鎖長を比較するときの参考とした。
5μLの上記反応産物を3%のアガロースゲルにて電気泳動した後、電気泳動後のアガロースゲルをエチジウムブロマイドによって染色した。そして、染色後のアガロースゲルに紫外線を照射して、PCR反応によって増幅された核酸配列を確認した。なお、上記電気泳動は、定電圧100V、60分間にて行った。また、反応産物の他に分子量マーカーも同時に電気泳動し、増幅された核酸配列の鎖長を比較するときの参考とした。
〔4:結果〕
図6に示すように、サンプル1〜6は東アジア型のヘリコバクター・ピロリ菌であり、当該サンプル1〜6では、増幅された核酸断片は、500bpよりも短かった。また、D配列を2つ有するサンプル6では、500bpよりも短い核酸断片が2つ観察された。一方、サンプル7〜10は西欧型のヘリコバクター・ピロリ菌であり、当該サンプル7〜10では、増幅された核酸断片は、500bpよりも長かった。
図6に示すように、サンプル1〜6は東アジア型のヘリコバクター・ピロリ菌であり、当該サンプル1〜6では、増幅された核酸断片は、500bpよりも短かった。また、D配列を2つ有するサンプル6では、500bpよりも短い核酸断片が2つ観察された。一方、サンプル7〜10は西欧型のヘリコバクター・ピロリ菌であり、当該サンプル7〜10では、増幅された核酸断片は、500bpよりも長かった。
つまり、本実施例では、増幅された核酸断片の長さに基づいて、ヘリコバクター・ピロリ菌を東アジア型または西欧型に分類することができた。さらに詳細には、本実施例では、増幅された核酸断片が500bpよりも短ければ東アジア型であり、増幅された核酸断片が500bpよりも長ければ西欧型であると判断することができた。
また、本実施例では、500bpよりも短い核酸断片の本数に基づいて、ヘリコバクター・ピロリ菌が有するD配列の繰り返し数を判定することができた。換言すれば、D配列の繰り返し数を判定することによって、ヘリコバクター・ピロリ菌の毒性を判定することができた。
つまり、本実施例では、従来の方法と比較して、解析に必要な作業工程数を大幅に短縮し、容易かつ迅速に、ヘリコバクター・ピロリ菌のCagAタンパク質が東アジア型であるか西欧型であるかを判定するとともに、さらにCagAタンパク質の毒性の指標となるD配列の有無および当該D配列の数を明確に判定することができた。
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以上のように、本発明では、CagAタンパク質の型を判別することができるとともに、CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無、およびC末端領域中のD配列の数が検出されるため、明確かつ再現性良くヘリコバクター・ピロリ菌を識別することができる。そのため、本発明は、ヘリコバクター・ピロリ菌を識別する必要のある分野に利用することができるのみならず、ヘリコバクター・ピロリ菌の病原性や発癌の危険性の推測などに広く利用することができる。本発明は、これまでの方法のように煩雑な操作を必要とせず、迅速かつ容易に再現性の良い結果が得られるので、産業界に大きく寄与することが期待される。
Claims (10)
- CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無、および前記C末端領域中のD配列の数を検出する多型検出工程を有することを特徴とするヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法。
- 前記多型検出工程は、以下の第1プライマーおよび第2プライマーを用いて前記C末端領域の少なくとも一部をコードする核酸配列を増幅する増幅工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法。
(a)D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第1プライマー
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー - 前記第1プライマーは、配列番号1または配列番号5に記載の核酸配列に含まれる、連続した少なくとも15塩基よりなるオリゴヌクレオチドであり、
前記第2プライマーは、配列番号2または配列番号6に記載の核酸配列に含まれる、連続した少なくとも15塩基よりなるオリゴヌクレオチドであることを特徴とする、請求項2に記載のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法。 - 前記増幅工程は、さらに、以下の第3プライマーを用いて前記C末端領域の少なくとも一部をコードする核酸配列を増幅することを特徴とする請求項2または3に記載のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法。
(c)西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中、または、東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の、連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第3プライマーであって、前記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードする第3プライマー - 前記第3プライマーは、配列番号3または配列番号4に記載の核酸配列に含まれる、連続した少なくとも15塩基よりなるオリゴヌクレオチドであることを特徴とする、請求項4に記載のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載のヘリコバクター・ピロリ菌の識別方法によって、CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無、および当該D配列の数を検出する工程を含む、ヘリコバクター・ピロリ菌による発癌の危険性を予測する予測方法。
- CagAタンパク質のC末端領域中のD配列の有無および当該D配列の数を検出することによってヘリコバクター・ピロリ菌を識別するためのキットであって、少なくとも以下の第1プライマーおよび第2プライマーを含むことを特徴とするキット。
(a)D配列をコードする核酸配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第1プライマー
(b)D配列の外部に存在し、かつ西欧型、混合型および東アジア型CagAタンパク質をコードする核酸配列に共通する核酸配列中の連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第2プライマーであって、前記第1プライマーとは逆鎖側の核酸配列をコードする第2プライマー - さらに、以下の第3プライマーを含むことを特徴とする請求項7に記載のキット。
(c)西欧型および混合型CagAタンパク質に共通して存在するとともに、東アジア型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中、または、東アジア型CagAタンパク質に存在するとともに、西欧型および混合型CagAタンパク質には存在しない領域をコードする核酸配列中の、連続した少なくとも15塩基を含むオリゴヌクレオチドからなる第3プライマーであって、前記第1プライマーと同鎖側の核酸配列をコードする第3プライマー - ヘリコバクター・ピロリ菌による発癌の危険性を予測するために用いられることを特徴とする請求項7または8に記載のキット。
- 配列番号1〜6のいずれかに示される核酸配列または当該核酸配列に相補的な核酸配列の、連続した少なくとも15塩基を含有することを特徴とするオリゴヌクレオチド。
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