JP2006304604A - 海藻の分析方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被検試料がアオノリ属の海藻であるかを分析する方法。被検試料に含まれるDNAを鋳型として、アオノリ属の海藻であるウスバアオノリ、ヒラアオノリおよびボウアオノリのそれぞれの遺伝子における種特異的な配列に相補的な3種類の配列を一方のプライマーとし、かつ上記3種の海藻に共通する1種類の遺伝子配列を他方のプライマーとしてPCRを行い、PCR産物の有無により、被検試料がアオノリ属の海藻であるか否かを決定する。
【選択図】なし
Description
Woolcott, G. W. & King, R. J. 1999. Ulva and Enteromorpha (Ulvales, Ulvophyceae, Chlorophyta) in eastern Australia: comparison of morphological features and analyses of nuclear rDNA sequences data. Aust. Sts. Bot. 12: 709-25. Tan, I. H., Blomster, J., Hansen, G., Leskinen, E., Maggs, C. A., Mann, D. G. Sluiman, H. J & Stanhope, M. J. 1999. Molecular phylogenetic evidence for a reversible morphogenetic switch controlling the gross morphology of two common genera of green seaweeds, Ulva and Enteromorpha. Mol. Biol. Evol. 16: 1011-8. Malta, E. J., Draisma, S. G. A. & Kamermans, P. 1999. Free-floating Ulva in the southwest Netherlands: species or morphotypes? A morphological, molecular and ecological comparison. Eur. J. Phycol. 34: 443-54. Coat, G., Dion, P., Noailles, M. C., De Reviers, B., Fontaine, J. M., Bergaer-Perrot, Y. & Loiseaux-De Goer, S. 1998. Ulva armoricana (Ulvales, Chlorophyta) from the coasts of Brittany (France). II. Nuclear rDNA ITS sequences analysis. Eur. J. Phycol. 33: 81-6. Blomster, J. 2000. Molecular and morphological approaches to the evolutionary history of the Enteromorpha-Ulva species complex. W. & A. de Nottbeck Foundation Sci. Rep. 20: 1-24. Shimada, S., Hiraoka, M., Nabata, S., Iima, M. & Masuda, M. 2003. Molecular phylogenetic analyses of the Japanese Ulva and Enteromorpha (Ulvales, Ulvophyceae), with special reference to the free-floating Ulva. Phycological Research 51: 99-108. Hayden, H.S., Blomster, J., Maggs, C. A., Silva, P.C., Stanhope, M. J. & Waaland, R.J. 2003 Linnaeus was right all along: Ulva and Enteromorpha are not distinct genera. Eur. J. Phycol. 38: 277-294.
[請求項1]被検試料がアオノリ属の海藻であるかを分析する方法であって、
被検試料に含まれるDNAを鋳型として、
アオノリ属の海藻であるウスバアオノリ、ヒラアオノリおよびボウアオノリのそれぞれの遺伝子における種特異的な配列に相補的な3種類の配列を一方のプライマーとし、かつ上記3種の海藻に共通する1種類の遺伝子配列を他方のプライマーとして
PCRを行い、
PCR産物の有無により、被検試料がアオノリ属の海藻であるか否かを決定する前記方法。
[請求項2]アオノリ属の海藻とアオサ属の海藻とを識別するために用いられる請求項1に記載の方法。
[請求項3]前記一方のプライマーがフォワードプライマーであり、前記他方のプライマーがリバースプライマーである請求項1または2に記載の方法。
[請求項4]前記一方のプライマーが配列表に記載の配列番号1〜3の塩基配列を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
[請求項5]前記他方のプライマーが配列表に記載の配列番号4の塩基配列を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
[請求項6]PCR産物の有無を、PCR産物を電気泳動法により確認する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
[請求項7]被検試料に含まれるDNAを抽出し、抽出したDNAをPCRの鋳型として用いる請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
[請求項8]被検試料に含まれるDNAが抽出されていることを確認した後に、前記PCRを実施する請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
[請求項9]DNAが抽出されていることの確認は、アオノリ属の海藻とアオサ属の海藻に共通する塩基配列を有する1対のプライマーを用いたPCRにより行う請求項8に記載の方法。
[請求項10]前記1対のプライマーが配列番号5および6の塩基配列を有する請求項9に記載の方法。
[請求項11] 被検試料に含まれるDNAを鋳型としてPCRを行い、PCR産物の有無により、被検試料がアオノリ属の海藻であるか否かを決定する、被検試料がアオノリ属の海藻であるかを分析する方法に、プライマーとして用いられるDNAであって、配列表に記載の配列番号1〜4のいずれかの塩基配列を有するDNA、または配列表に記載の配列番号1〜4のいずれかの塩基配列の一部の塩基配列を有し、かつ塩基数が15以上であるDNA。
[請求項12]被検試料に含まれるDNAを鋳型としてPCRを行い、PCR産物の有無により、被検試料がアオノリ属の海藻であるか否かを決定する、被検試料がアオノリ属の海藻であるかを分析する方法に、プライマーとして用いられる、配列表に記載の配列番号1〜4のいずれかの塩基配列を有する4種類のDNAを含むか、または前記4種類のDNAの少なくとも1種が配列表に記載の配列番号1〜4のいずれかの塩基配列の一部の塩基配列を有し、かつ塩基数が15以上であるDNAであるプライマーセット。
[主要アオノリ3種の種特異的プライマーの作製]
世界中のアオサ・アオノリ類約300検体のITS領域(Internal Transcribed Spacer region)のDNA配列から、主要アオノリ4種のそれぞれの種で特異的な領域を探した。Forward側として主要アオノリ3種に種特異的なプライマー(ウスバアオノリ/スジアオノリ:5'-CGCGTGCGCTCCCCTCGGGGGGCG-3'(配列番号1)、ヒラアオノリ:5'-TGAGGTGCGCTCCCCCGGGGGCGCGCCCCT-3' (配列番号2)、ボウアオノリ:5'-TGGGAGGGGGTGGTGGTGCTCACG-3'(配列番号3))を作製し、Reverse側は共通な5'-TGATAGGTTAAGTTCAGC-3' (配列番号4)を作製した。
比較のための主要アオサ9種(アナアオサ、オオバアオサ、ナガアオサ、リボンアオサ、アミアオサ、コツブアオサ、ミナミアオサ、U. rigida, U. armoricana)と主要アオノリ4種のDNAを用意した。
用意したサンプルの抽出DNAを鋳型として1回目のPCRをかけた。これは抽出DNAが、PCR可能なDNAかどうかを確認するためのコントロール実験である。海藻類は多糖類やポリフェノールが多くPCRが阻害されることがある。したがって、抽出DNAをダイレクトに電気泳動で確認してもPCRが可能なサンプルであることの証拠にならない。PCRの試薬はex Taq (TAKARA社製)を使用した。1サンプルの試料内容は次の通りである(Buffer 3μL、dNTP mix 2.5μL、DMSO 1.5μL、Taq 0.2μL、DW 22.3μL、合計30μL)。プライマーはアオサ・アオノリ類のITS2領域を増幅するプライマーセット(F:5'-CTCTCAACAACGGATATCT-3'(配列番号5)、R:5'-TGATAGGTTAAGTTCAGC-3'(配列番号6))を用いた。これは既に報告済みのものである(Satoshi Shimada, Masanori Hiraoka, Shinichi Nabata, Masafumi Iima & Michio Masuda. 2003. Molecular phylogenetic analyses of the Japanese Ulva and Enteromorpha (Ulvales, Ulvophyceae), with special reference to the free-floating Ulva. Phycological Research 51: 99-108.)。
主要アオノリ3種にそれぞれ特異的なForwardプライマー(配列番号1〜3)、Reverse側は共通なプライマー(配列番号4)を用いて、PCRを行った。試薬、プログラム等は1回目と同様の条件とした。1%アガロースゲルにて電気泳動でバンドの有無を確認した。結果、それぞれの種特異的なプライマーセットではその種でのみバンドが現れた(図2(A)〜(C))。
2回目のPCRで現れたバンドが本当にその種のITS領域のものかを確かめるために、シークエンスを行った。PCR産物を精製し、ダイターミネーター法シンケンシングキット(BIG DYE : Applied Biosystems 社製)を用いてサイクルシーケンスを行った。反応条件は、96℃ 30秒、50℃ 15秒、60℃ 240秒の30サイクルで行った。サイクルシーケンス反応産物をDNA自動シーケンサーにより塩基配列を解読した結果、2回目のPCRで現れたバンドがそれぞれの種のITS領域のものである事を確かめられた。以上により、作製したプライマーは種特異的なバンド増幅が可能な、種特異的な配列であることが分かる。
[検体のクリーニング]
輸入される乾燥アオサ・アオノリ類は、約1m角に破砕され粉末状になっている。これをまず海水に浸して1片ずつに分離し、実体顕微鏡下で絵筆・ピンセットを用いてクリーニングした。クリーニングした1片を1.5mlチューブにいれ、ポンプを使って減圧乾燥を10分間行った。10サンプル用意した。
サンプルの入った1.5mlチューブに液体窒素を入れ、ペッスルで破砕した。DNeasy Plant Mini Kit (Qiagen社製)にてDNAを抽出した。
抽出DNAを鋳型として1回目のPCRを行った。これは前述のDNA抽出サンプルがPCR可能なDNAが抽出できたかを確認するためのコントロール実験である。海藻類は多糖類やポリフェノールが多くPCRが阻害されることがある。したがって、抽出DNAをダイレクトに電気泳動で確認してもPCRが可能なサンプルであることの証拠にならない。PCRの試薬はex Taq (TAKARA社製)を使用した。1サンプルの試料内容は次の通りである(Buffer 3μL、dNTP mix 2.5μL、DMSO 1.5μL、Taq 0.2μL、DW 22.3μL、合計30μL)。プライマーはアオサ・アオノリ類のITS2領域を増幅するプライマーセット(配列番号5および6))を用いた。試薬等のDNAコンタミネーションをチェックするためDNAを入れないサンプルも用意した。PCRの反応条件は次の通りである(94℃ 45秒、50℃ 45秒、68℃ 60秒を35サイクル)。1%アガロースゲルにて電気泳動でバンドの有無を確認した。2番目のサンプルは普通のバントは異なり数本のバンドが検出された(図3)。DNAの抽出は成功しているが、おそらくアオサ・アオノリ類ではないと思われる。そのまま全サンプルを2回目のPCRにかけた。
主要アオノリ3種にそれぞれ特異的なForwardプライマーと(配列番号1〜3)、Reverse側は共通なプライマー(配列番号4)を用いてPCRを行った。試薬、プログラム等は1回目と同様である。1%アガロースゲルにて電気泳動でバンドの有無を確認した(図4(A)、(B))。すると、ウスバアオノリ/スジアオノリ種特異的なプライマーを使用した場合のみ1,4,5,7,10番目のサンプルで明確なバンドが確認でき、10検体中5検体が陽性であった。即ち、5検体がアオノリ属の海藻であった。
Claims (12)
- 被検試料がアオノリ属の海藻であるかを分析する方法であって、
被検試料に含まれるDNAを鋳型として、
アオノリ属の海藻であるウスバアオノリ、ヒラアオノリおよびボウアオノリのそれぞれの遺伝子における種特異的な配列に相補的な3種類の配列を一方のプライマーとし、かつ上記3種の海藻に共通する1種類の遺伝子配列を他方のプライマーとして
PCRを行い、
PCR産物の有無により、被検試料がアオノリ属の海藻であるか否かを決定する前記方法。 - アオノリ属の海藻とアオサ属の海藻とを識別するために用いられる請求項1に記載の方法。
- 前記一方のプライマーがフォワードプライマーであり、前記他方のプライマーがリバースプライマーである請求項1または2に記載の方法。
- 前記一方のプライマーが配列表に記載の配列番号1〜3の塩基配列を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記他方のプライマーが配列表に記載の配列番号4の塩基配列を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- PCR産物の有無を、PCR産物を電気泳動法により確認する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 被検試料に含まれるDNAを抽出し、抽出したDNAをPCRの鋳型として用いる請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 被検試料に含まれるDNAが抽出されていることを確認した後に、前記PCRを実施する請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- DNAが抽出されていることの確認は、アオノリ属の海藻とアオサ属の海藻に共通する塩基配列を有する1対のプライマーを用いたPCRにより行う請求項8に記載の方法。
- 前記1対のプライマーが配列番号5および6の塩基配列を有する請求項9に記載の方法。
- 被検試料に含まれるDNAを鋳型としてPCRを行い、PCR産物の有無により、被検試料がアオノリ属の海藻であるか否かを決定する、被検試料がアオノリ属の海藻であるかを分析する方法に、プライマーとして用いられるDNAであって、配列表に記載の配列番号1〜4のいずれかの塩基配列を有するDNA、または配列表に記載の配列番号1〜4のいずれかの塩基配列の一部の塩基配列を有し、かつ塩基数が15以上であるDNA。
- 被検試料に含まれるDNAを鋳型としてPCRを行い、PCR産物の有無により、被検試料がアオノリ属の海藻であるか否かを決定する、被検試料がアオノリ属の海藻であるかを分析する方法に、プライマーとして用いられる、配列表に記載の配列番号1〜4のいずれかの塩基配列を有する4種類のDNAを含むか、または前記4種類のDNAの少なくとも1種が配列表に記載の配列番号1〜4のいずれかの塩基配列の一部の塩基配列を有し、かつ塩基数が15以上であるDNAであるプライマーセット。
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