JP2008160958A - ステッピングモータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2つのステータ6A、6Bの、直径10mm以下の筒状の外周フレーム2fにモータ寸法が制約される条件下で、2つのマグネット7A、7Bの合計全長Lmと2つのステータ6A、6Bの合計全長Lsとの関係、2つのマグネット7A、7Bの外径dと2つのマグネットマグネット7A、7Bの合計全長Lmとの関係、及び、2つのマグネット7A、7Bの外径dと2つのステータ6A、6Bの外径Dとの関係を最適化する。ステータ内部6A、6Bのコイル5の巻き線の巻き量確保、ロータ9のイナーシャ低減、及び、ロータ9のゴギングトルクの低減を、可能な限り高次元で実現させることで、所望の高速回転域において所定のトルクを発生する。
【選択図】図1
Description
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。なお、各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。よって、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
本項に記載のステッピングモータは、2つのステータの、前記直径10mm以下の筒状の外周フレームにモータ寸法が制約される条件下で、更に、2つのマグネットの外径dと2つのステータの外径Dとの関係を、ステータ内部のコイル巻き線の巻き量確保、ロータのイナーシャ低減、及び、ロータのゴギングトルクの低減を、可能な限り高次元で実現させるものとすることで、所望の高速回転域において所定のトルクを発生するに適したステッピングモータを得るものである。
本項に記載のステッピングモータは、2つのステータの、前記直径10mm以下の筒状の外周フレームにモータ寸法が制約される条件下で、2つのマグネットの合計全長Lmと2つのステータの合計全長Lsとの関係、及び、2つのマグネットの外径dと2つのマグネットの合計全長Lmとの関係が、ステータ内部のコイル巻き線の巻き量確保、ロータのイナーシャ低減、及び、ロータのゴギングトルクの低減を、可能な限り高次元で実現させるものとなり、所望の高速回転域において所定のトルクを発生するに適したステッピングモータを得ることができる。
本項に記載のステッピングモータは、更に、2つのマグネットの外径dと2つのステータの外径Dとの関係が、ステータ内部のコイル巻き線の巻き量確保、ロータのイナーシャ低減、及び、ロータのゴギングトルクの低減を、可能な限り高次元で実現させるものとなり、所望の高速回転域において所定のトルクを発生するに適したステッピングモータを得ることができる。
本発明の実施の形態に係るステッピングモータ1は、図1(a)に示されるように、筒状の外周フレーム2f及び複数の極歯2aを備える外ヨーク2と、外ヨーク2の複数の極歯2aと同一円周上に交互に配置される複数の極歯3aを備える内ヨーク3とを備える2つのステータ6A、6Bが、互いに背中合わせに固定されている。又、2つのステータ6A、6Bの各極歯2a、3aによって形成される円環状のスペースに、ボビン4に巻回されたコイル5が格納されている。そして、シャフト8及び軸方向に分離してシャフト8に固定される2つのマグネット7A、7Bを備えるロータ9が、2つのステータ6A、6Bの各極歯2a、3aに対し、微小間隔を隔てて回転可能に配置された構造を有している。
なお、2つのステータ6A、6Bは同一の構造を有しており、夫々、全長Lm/2(合計全長Lm)、外径Dで同一である。具体的には、2つのステータ6A、6Bの筒状の外周フレーム2fの直径は10mm以下であり、本発明の実施の形態では、D=6mmとなっている。又、ロータ9の2つのマグネット7A、7Bも、夫々、全長Ls/2(合計全長Ls)、外径dで同一となっている。参考までに、図1(b)にもステッピングモータ1の断面が概略的に示されており、上記各部寸法も示されている。
前述の如く、本発明の実施の形態では、ステータ6A、6Bの外径D=6mであるところ、2つのステータ6A、6Bの合計全長Ls=7.5mm、2つのマグネット7A、7Bの外径d=2.6mm、マグネット7A、7Bの合計全長Lm=3mmとなっており、上記の全ての関係を充足している。なお、ステータ6A、6Bを構成する金属板の厚みt=0.3mmである。
まず、図2(a)に示されるステッピングモータ100は、従来のステッピングモータであり、上記各部寸法が、本発明の実施の形態に係る所定の範囲から外れている。具体的には、2つのマグネット7A、7Bの合計全長Lmの比率が、本発明の実施の形態より大きいものとなっている。かかる従来のステッピングモータ100は、マグネットのイナーシャが大きく、必要とされる高速回転域(周波数)での起動が困難である。
なお、マグネット7A、7Bの外径dを、本願の実施の形態と同様とし、かつ、軽い(密度の低い)マグネット用いることも考えられるが、マグネットの密度と磁気特性とは比例関係にあることから、マグネットの持つ磁気エネルギーも小さくなり、モータ特性が低下してしまう。
更に、図2(d)に示されるステッピングモータ106は、2つのステータ6A、6Bの外径Dの比率比率が、本発明の実施の形態より大きいものとなっている。この例では、ステータのコイルの格納スペースが拡大し、コイルの巻き数を増大することが可能となることから、モータ特性の向上には適している。しかしながら、本発明の実施の形態における、直径10mm以下の筒状のステータの筒状の外周フレーム2fに、モータ寸法が制約される条件から逸脱してしまう場合がある。
又、図3(c)には、周波数f=2500ppsにおける、プルイントルクTと、2つのマグネットの外径及び2つのマグネットの合計全長との関係d/Lmが示されている。そして、図示の如く、0.77≦d/Lm≦1.1の範囲内で、プルイントルクT=1.2gcm以上を得ることが可能であることが判る。
又、従来の、モータ寸法が直径10mm以下のPM型ステッピングモータにあっては、必要な出力トルクの確保と、着磁の制約とから、ロータ径を比較的大きくする必要があり、d/Dの値が0.8前後に設定されることが一般的となっていた。参考までに、図4には従来のPM型ステッピングモータのd/Dの値が示されている。d/Dの値は、ステータの外径Dの値がD=15mmにおいて最小値となり、直径10mm以下では急激に大きな値に設定されていることが一般的であった。しかしながら、かかる条件下では、コイルスペースの確保が困難で、十分な巻線を行うことができないことから、比較的低速度の領域でしか、満足できる特性を得ることができなかった。そこで、本発明の実施の形態では、モータ寸法が直径10mm以下という条件下でも、図4に矢印で示されるように、d/D≦0.45と設定することにより、巻線スペースの確保が可能となり、所望の高速回転域において所定のトルクを発生するに適したステッピングモータを得ることが可能となっている。
まず、2つのステータ6A、6Bの、直径10mm以下の筒状の外周フレーム2fにモータ寸法が制約される条件下で、2つのマグネット7A、7Bの合計全長Lmと2つのステータ6A、6Bの合計全長Lsとの関係、2つのマグネット7A、7Bの外径dと2つのマグネットマグネット7A、7Bの合計全長Lmとの関係、及び、2つのマグネット7A、7Bの外径dと2つのステータ6A、6Bの外径Dとの関係を最適化することにより、ステータ内部6A、6Bのコイル5の巻き線の巻き量確保、ロータ9のイナーシャ低減、及び、ロータ9のゴギングトルクの低減を、可能な限り高次元で実現させることで、所望の高速回転域において所定のトルクを発生するに適したステッピングモータ1を得るものである。
かかる構成により、ステータ内部のコイル5の巻き線の巻き量確保、ロータ9のイナーシャ低減、及び、ロータ9のゴギングトルクの低減を可能な限り高次元で実現させるものとなり、周波数f=2500ppsといった高速回転域において、プルイントルクT=1.2gcm以上を発生するに適した、ステッピングモータ1を得ることができる。
図5から図7に示されるように、本発明の実施の形態に係るステッピングモータ1は、外ヨーク2と内ヨーク3の各々に、複数の極歯2a、3aが設けられ、各極歯2a、3aが交互に噛み合うようにして外ヨーク2と内ヨーク3が組み合わされることによって、円環状のスペースが形成されている。そして、その円環状のスペースには、ボビン4に巻回されたコイル5が格納されてなるステータ6A、6B(すなわち、ステータ6A、6Bは同一構造をなしている。)が、電気角で90度の位相差となるようにして互いに背中合わせに当接することによって、ステータ6が構成され2相の磁界を形成するものである。
ロータマグネット7A、7Bの外周面は、各々周方向に多極着磁されている。そして、ロータ9は、ステータ6A、6Bの、複数の極歯2a、3aに囲まれた円筒状のスペースに配置され、ステータ6Aの極歯2a、3aとステータ6Bの極歯2a、3aは、ロータマグネット7A、7Bの外周面にそれぞれ所定の空隙(ギャップ)を隔てて対向配置されている。そして、シャフト8は、ステータ6Aの外ヨーク2に装着した軸受10Aと、ステータ6Bの外ヨーク2Bに装着した軸受10Aとによって、回転可能に支持されている。
一方、ボビン4は合成樹脂(例えば、液晶ポリマー)にて形成され、ボビン4の巻芯部にはマグネットワイヤが所定のターン数で巻回されてコイル5を構成している。ボビン4の巻芯部の両端には、フランジ4cが一体成形で形成され、一方端のフランジには端子ピン4bを植設した端子4aがフランジと一体に形成されており、コイル5のリードは端子ピン4bにそれぞれ絡げられている。また、端子4aは外ヨーク2の外周フレームに形成された切欠部2dからそれぞれ外部に引き出されている。
外ヨーク2は、筒状の外周フレーム2f及び外周フレーム2fの一端部を塞ぐ底板2cを含むカップ状をなし、底板2cの中央に開口2eが形成され、開口2eの周縁に沿って、外周フレーム2fと平行に設けられた複数の極歯2aを備えている。又、外ヨーク2の底板2cの、極歯2aの間に、外ヨーク2の強度を考慮しつつ、底板2cの開口の周縁から更に半径方向外側へと広がる複数の切欠き2bが形成されている。
また、外周フレーム2fには端子用切欠部2dが形成され、この切欠部2dを介して、ボビン4の端子4bが外部に引き出されている。
ここで、軸受10Aのフランジ部12aの外形は、外ヨーク2の極歯2a間に形成された切欠部2bから、ステータ6の内部への、ごみの侵入を防止するという観点より、外ヨーク2の極歯2a間に形成された切欠部2bの形状に合わせることが好ましい。
又、フランジ部12aは、その厚みが外ヨーク2の底板2cの厚み以下で、なおかつ、外ヨーク2の底板2cの切欠き2bに嵌合し、外ヨーク2と内ヨーク3とによって形成された円環状のスペースに格納された、コイル5のボビン4のフランジ4cと当接した状態で、ボス部11の軸方向一側端面が、底板2cから軸方向外側へと突出しない位置に形成されている。
まず、ステータ内径基準で製作された冶具(図示せず)に、ステータ6Bの、外ヨーク2の極歯2aの内周を挿通させ、コイル5が巻回されたボビン4を、外ヨーク2に収容する。この時、外周フレーム2fに形成された端子用切欠部2dから、ボビン4の端子4bが外部に引き出される。そして、ステータ6Bの内ヨーク3の極歯3aの内周を、冶具(図示せず)に挿通させることにより、外ヨーク2の極歯2aと内ヨーク3の極歯3aとが、同一円周上に交互に噛み合うように、外ヨーク2と内ヨーク3とを組み合わせる。この時、外ヨーク2の極歯2aと内ヨーク3の極歯3aは、電気角で180度の位相差となるように位置決めされる。
更に、フランジ部12aと外ヨーク2の底板2cとの間を、溶接することにより、軸受10Aを外ヨーク2に固着する。
又、他方の軸受10Aをシャフト8の他方端に挿通させた後、軸受10Aのボス部11を外ヨーク2の極歯2aの内周面(開口2e)に嵌合挿入し、図7に示された軸受10Aのフランジ部12aを外ヨーク2の極歯2aの間に形成した切欠部2bに嵌合させて、軸受10Aをステータ6Aの外ヨーク2に装着する。この時も、軸受10Aのボス部11が、ボビン4のフランジ4cに当接することで、フランジ4cが軸方向のストッパとして機能し、軸受10Aの移動を規制する。なお、図示の例では、ロータマグネット7A、7Bを2個用いた構成となっているが、これを1個で構成しても勿論よい。
以上の工程により、ステッピングモータ1の組立が完了する。これによってステータ6の極歯2a、3aはロータマグネット7A、7Bと所定の空隙(ギャップ)を介してロータマグネット7A、7Bの外周面に対向配置される。
一方、フランジ部12aが、ボス部11の外周に嵌合する円環部12bを備える鉄系金属材料からなることにより、鉄系金属で形成された外ヨーク2に対し、軸受10Aを固定する際に、溶接により両者を固定する作業が容易、かつ、確実に固定されるものとなるとなる。
軸受10Bは中空円筒状のボス部10aと、ボス部10aの一方側に放射状に突出する複数のフランジ部10bを備えた構成を有している。中央の穴10cはシャフト8を挿通するための穴である。この軸受10Bはボス部10aとフランジ部10bが一体構造物であって、鉄系の焼結含油合金から形成されている。そして、軸受10Aと同様に、ボス部10aを外ヨーク2の極歯2aの内周(開口2e)に嵌合挿入し、フランジ部10bを外ヨーク2の極歯2aの間に形成した切欠部2bに嵌合させ、フランジ部10bと外ヨーク2の底板2cとの間を溶接することにより、軸受10Bが外ヨーク2に固着される。
以上、本発明のステッピングモータについて説明したが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲において変更できることは理解されるであろう。
Claims (3)
- 直径10mm以下の筒状の外周フレーム及び複数の極歯を備える外ヨークと、該外ヨークの複数の極歯と同一円周上に交互に配置される複数の極歯を備える内ヨークとを備える2つのステータが、互いに背中合わせに固定され、前記2つのステータの外ヨーク及び内ヨークによって形成される円環状のスペースに、ボビンに巻回されたコイルが格納され、シャフト及び軸方向に分離して前記シャフトに固定される2つのマグネットを備えるロータが、前記2つのステータの各極歯に対し微小間隔を隔てて回転可能に配置されたステッピングモータであって、
前記2つのマグネットの合計全長Lmと2つのステータの合計全長Lsとの関係、前記2つのマグネットの外径dと前記2つのマグネットの合計全長Lmとの関係、及び、前記2つのマグネットの外径dと前記2つのステータの外径Dとの関係が、何れも、前記2つのステータの、前記直径10mm以下の筒状の外周フレームにモータ寸法が制約される条件下で、所望の高速回転域において所定のトルクを発生するに適した範囲に設定されていることを特徴とするステッピングモータ。 - 前記2つのマグネットの合計全長Lmと2つのステータの合計全長Lsとの関係が0.35≦Lm/Ls≦0.45、かつ、前記2つのマグネットの外径dと前記2つのマグネットの合計全長Lmとの関係が0.77≦d/Lm≦1.1を充足することを特徴とする請求項1記載のステッピングモータ。
- 前記2つのマグネットの外径dと前記2つのステータの外径Dとの関係がd/D≦0.45を充足することを特徴とする請求項2記載のステッピングモータ。
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