JP2008159697A - 磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】CoMnを含むホイスラー合金を第1の磁化固着層に適用することにより高MR比を実現することの可能な磁気抵抗効果素子を提供する。
【解決手段】MR素子10は、非磁性介在層24の側から、一定方向に固着された磁化の向きを示す第1の磁化固着層231、非磁性中間層232、第1の磁化固着層231の磁化の向きと逆向きに固着された磁化の向きを示す第2の磁化固着層233が順に積層されたシンセティック反強磁性磁化固着層23を備える。第1の磁化固着層231は上部合金層231A、中間合金層231Bおよび下部合金層231Cを非磁性介在層24側から順に配置して構成される。中間合金層231BはCoMnを含むホイスラー合金からなり、上部合金層231Aおよび下部合金層231Cの少なくとも一方が、CoFeにAlおよびSiの少なくとも一方が含まれた合金からなる。
【選択図】図6

Description

本発明は、非磁性中間層を介して反強磁性結合する一対の強磁性層を有するシンセティック反強磁性磁化固着層を備えた磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置に関する。
ハードディスクなどの磁気記録媒体の情報を再生するにあたっては、磁気抵抗(MR:Magneto-resistive)効果を示すMR素子を備えた薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。近年では、磁気記録媒体の高記録密度化が進んでいることから、巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto-resistive)効果を示す巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)利用した薄膜磁気ヘッドが一般的である。このようなGMR素子としては、例えば、スピンバルブ(SV:spin valve)型のGMR素子がある。
このSV型のGMR素子は、非磁性介在層を介して、磁化方向が一定方向に固着された磁性層(磁化固着層)と、磁化方向が外部からの信号磁場に応じて変化する磁性層(磁化自由層)とが積層されたSV膜を有しており、再生動作の際には、例えば読出電流が積層面内方向に流れるように構成されている。このようなGMR素子は、特に、CIP(Current in Plane)−GMR素子と呼ばれる。この場合、SV膜の2つの磁性層(磁化固着層および磁化自由層)における磁化方向の相対角度に応じてセンス電流を流した際に電気抵抗(すなわち電圧)が変化するようになっている。
最近では、さらなる記録密度の向上に対応するため、再生動作の際に、読出電流がSV膜の積層方向に流れるように構成されたCPP(Current Perpendicular to the Plane)−GMR素子を有する薄膜磁気ヘッドの開発が進められている。このようなCPP−GMR素子は、一般的に、SV膜と、このSV膜を、絶縁膜を介して再生トラック幅方向に対応する方向に挟んで対向するように配置された一対の磁区制御膜と、これらSV膜および一対の磁区制御膜を積層方向に沿って挟むように形成された一対の電極層とを有している。一対の電極層は、上部および下部シールド膜を兼ねている。このような構成を有するCPP−GMR素子は、再生トラック幅方向の寸法を小さくした場合にCIP−GMR素子と比べて高出力が得られるなどの利点を有している。具体的には、CIP−GMR素子では、面内方向に読出電流を流すので、再生トラック幅方向の寸法が狭小化するのに伴い読出電流が通過する感磁部分が微小となり、電圧変化量が小さくなってしまうのに対し、CPP−GMR素子であれば積層方向に読出電流を流すので、再生トラック幅方向の狭小化による電圧変化量に対する影響は少ない。このような背景から、CPP−GMR素子は、さらなる記録密度の向上に対応可能なものとしての期待が高まっている。
特に、磁化固着層が、互いに反平行に固着された磁化方向を有する2つの強磁性層(第1の磁化固着層および第2の磁化固着層)とこの間に設けられた非磁性中間層とを有する3層構造のシンセティック型をなす場合には、そのネットモーメントが低減されて外部磁場が印加されても磁化方向は回転し難くなるうえ、2つの強磁性層同士の交換結合が生じるので、磁化方向が安定する。加えて、ネットモーメントが低減することにより、磁気ヘッド内の静磁場が小さくなり、出力波形の対称性が改善される。このようなシンセティック型の磁化固着層を備えたシンセティック型CPP−GMR素子は、その構造上の特徴により、磁気記録情報の再生手段として優れた性能を発揮することができる。
ところで、近年、上記したシンセティック型CPP−GMR素子において、微細化しても高MR比を実現できる可能性のあるホイスラー合金を磁化固着層に含まれる2つの強磁性層のうち非磁性の中間層側の強磁性層(第1の磁化固着層)に用いることが検討されている。このホイスラー合金の中でもコバルトマンガン合金(CoMn)を含むものは特に高MR比を実現することが可能な材料と考えられている(特許文献1,2参照)。
特開2003−218428号公報 特開2005−51251号公報
ところで、CoMnを含む合金を規則化させてホイスラー合金に変化させる温度(以下、「CoMnを含むホイスラー合金の規則化温度」と称する。)は300℃を超える高温である。そのため、ホイスラー合金に変化させるために300℃を超える温度でアニールを行うと、上部および下部シールド膜を兼ねている一対の電極層の材料をはじめとする素子のその他の材料の特性が劣化してしまい、このままではCoMnを含むホイスラー合金を第1の磁化固着層に適用して高MR比を実現することができないという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、CoMnを含むホイスラー合金を第1の磁化固着層に適用することにより高MR比を実現することの可能な磁気抵抗効果素子ならびにそれを搭載した薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置を提供することにある。
本発明の第1の磁気抵抗効果素子は、外部磁場に応じて磁化の向きが変化する磁化自由層と、磁化自由層の一方の面と接する非磁性介在層と、非磁性介在層を挟んで磁化自由層の反対側に位置すると共に、非磁性介在層の側から、一定方向に固着された磁化の向きを示す第1の磁化固着層、非磁性中間層、第1の磁化固着層の磁化の向きと逆向きに固着された磁化の向きを示す第2の磁化固着層が順に積層されたシンセティック反強磁性磁化固着層と、シンセティック反強磁性磁化固着層および磁化自由層を積層方向に挟むと共にその積層方向に読出電流を流す一対の電極層とを備えたものである。上記第1の磁化固着層は上部合金層、中間合金層および下部合金層を非磁性介在層側から順に配置して構成されており、中間合金層はコバルトマンガン合金(CoMn)を含むホイスラー合金からなり、上部合金層および下部合金層の少なくとも一方が、コバルト鉄合金(CoFe)とアルミニウム(Al)およびシリコン(Si)の少なくとも一方とを含む合金からなる。
本発明の第2の磁気抵抗効果素子は、外部磁場に応じて磁化の向きが変化する磁化自由層と、磁化自由層の一方の面と接する非磁性介在層と、非磁性介在層を挟んで磁化自由層の反対側に位置すると共に、非磁性介在層の側から、一定方向に固着された磁化の向きを示す第1の磁化固着層、非磁性中間層、第1の磁化固着層の磁化の向きと逆向きに固着された磁化の向きを示す第2の磁化固着層が順に積層されたシンセティック反強磁性磁化固着層と、シンセティック反強磁性磁化固着層および磁化自由層を積層方向に挟むと共にその積層方向に読出電流を流す一対の電極層とを備えたものである。上記第1の磁化固着層は上部合金層、中間合金層および下部合金層を非磁性介在層側から順に配置して構成されており、中間合金層はコバルトマンガン合金(CoMn)を含むホイスラー合金からなり、上部合金層および下部合金層の少なくとも一方が、CoMnを含む合金のL21またはB2への規則化を促進する作用を有する合金からなる。
ここで、上記したL21およびB2は組成式がXYZで表されるホイスラー合金の規則構造の一具体例であり、例えばL21は図7に示した規則構造となっている。
また、本発明の薄膜磁気ヘッドは上記第1または第2の磁気抵抗効果素子を有しており、本発明のヘッドジンバルアセンブリはこの薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションとを有している。本発明のヘッドアームアセンブリは、上記ヘッドジンバルアセンブリと、上記サスペンションの他端を支持するアームとを有している。さらに、本発明の磁気ディスク装置は、磁気記録媒体と、上記ヘッドアームアセンブリとを有している。
本発明の第1の磁気抵抗効果素子、ならびにこの第1の磁気抵抗効果素子を備えた薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置では、シンセティック反強磁性磁化固着層における第1の磁化固着層が上部合金層、中間合金層および下部合金層を積層してなる多層構造となっており、中間合金層はCoMnを含むホイスラー合金で構成され、かつ中間合金層に接する上部合金層および下部合金層の少なくとも一方はCoFeとAlおよびSiの少なくとも一方とを含む合金で構成されているので、磁気抵抗効果素子を製造する際に、この合金による規則化促進作用によりCoMnを含む合金の規則化が促進され、CoMnを含むホイスラー合金の規則化温度が300℃以下となる。
ここで、中間合金層をCoMnとSiまたはGeの少なくとも一方とを含むホイスラー合金により構成することが好ましい。また、上部合金層および下部合金層のそれぞれの厚みを0.5nm以上とし、かつ上部合金層および下部合金層の合計厚みを2.48nm以下とすることが好ましい。
本発明の第2の磁気抵抗効果素子、ならびにこの第2の磁気抵抗効果素子を備えた薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置では、シンセティック反強磁性磁化固着層における第1の磁化固着層が上部合金層、中間合金層および下部合金層を積層してなる多層構造となっており、中間合金層はCoMnを含むホイスラー合金で構成され、かつ中間合金層に接する上部合金層および下部合金層の少なくとも一方はCoMnを含む合金のL21またはB2への規則化を促進する作用を有する合金で構成されているので、磁気抵抗効果素子を製造する際に、この合金による規則化促進作用によりCoMnを含む合金の規則化が促進され、CoMnを含むホイスラー合金の規則化温度が300℃以下となる。
本発明の第1の磁気抵抗効果素子、ならびにこの第1の磁気抵抗効果素子を備えた薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置によれば、シンセティック反強磁性磁化固着層における第1の磁化固着層を上部合金層、中間合金層および下部合金層を積層してなる多層構造とし、かつ中間合金層を、CoMnを含むホイスラー合金で構成すると共に上部合金層および下部合金層の少なくとも一方をCoFeにAlおよびSiの少なくとも一方が含まれた合金で構成するようにしたので、磁気抵抗効果素子を製造する際に、CoMnを含むホイスラー合金を低温で規則化することができる。これにより、素子の第1の磁化固着層以外の層を構成する材料の特性を劣化させずに済むので、高MR比を実現することができる。
本発明の第2の磁気抵抗効果素子、ならびにこの第2の磁気抵抗効果素子を備えた薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置によれば、シンセティック反強磁性磁化固着層における第1の磁化固着層を上部合金層、中間合金層および下部合金層を積層してなる多層構造とし、かつ中間合金層を、CoMnを含むホイスラー合金で構成すると共に上部合金層および下部合金層の少なくとも一方をCoMnを含む合金のL21またはB2への規則化を促進する作用を有する合金で構成するようにしたので、磁気抵抗効果素子を製造する際に、CoMnを含むホイスラー合金を低温で規則化することができる。これにより、素子の第1の磁化固着層以外の層を構成する材料の特性を劣化させずに済むので、高MR比を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1から図5を参照して、本発明の一実施の形態の磁気抵抗効果素子10、薄膜磁気ヘッド1、ヘッドジンバルアセンブリ2、ヘッドアームアセンブリ300および磁気ディスク装置の構成について以下に説明する。
図1は、本実施の形態に係る磁気ディスク装置の内部構成を表す斜視図である。この磁気ディスク装置は駆動方式としてCSS(Contact-Start-Stop)動作方式を採用したものであり、例えば、図1に示したように、筐体100の内部に、情報を記録することの可能な1または複数(図1では4枚)の磁気記録媒体200と、磁気記録媒体200への情報の記録およびその情報の再生を行うためのヘッドアームアセンブリ(HAA;Head Arm Assembly)300とを備えている。
HAA300は、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA;Head Gimbals Assembly)2、アーム3および駆動部4を備えている。HGA2は、磁気記録媒体200の記録面(表面および裏面)に対応して設けられた磁気ヘッドスライダ(以下、単に「スライダ」という。)2Aと、このスライダ2Aの一端に取り付けられたサスペンション2Bとを有している。アーム3は、筐体100に固定された固定軸5を中心軸としてベアリング6を介して回動可能に構成されており、サスペンション2Bの他端(スライダ2Aとは反対側の端部)を支持している。これにより、各スライダ2Aは、アーム3によって、各磁気記録媒体200の記録面と平行な面内において磁気記録媒体200のトラック幅方向に対応する方向(X軸方向)に移動可能となっている。駆動部4は、アーム3を回動させる動力源であり、例えばボイスコイルモータなどからなる。
磁気記録媒体200は、筐体100に固定されたスピンドルモータ7を中心としてX軸方向に対してほぼ直交する方向に回転可能に支持されている。これにより、磁気記録媒体200の回転およびスライダ2Aの移動により磁気記録媒体200に情報が記録され、または記録された情報が読み出されるようになっている。
図2は、図1に示したスライダ2Aの構成を表すものである。このスライダ2Aは、例えば、アルティック(Al・TiC)よりなるブロック状の基体8を有している。この基体8は、例えば、ほぼ六面体状に形成されており、そのうちの一面が磁気記録媒体200の記録面に近接して対向するように配置されている。磁気記録媒体200の記録面と対向する面が記録媒体対向面(エアベアリング面)9であり、磁気記録媒体200が回転すると、記録面と記録媒体対向面9との間に生じる空気流に起因する揚力により、スライダ2Aが記録面との対向方向(Y軸方向)に沿って記録面から浮上し、記録媒体対向面9と磁気記録媒体200との間に一定の隙間ができるようになっている。基体8の記録媒体対向面9に対する一側面には、薄膜磁気ヘッド1が設けられている。
図3は、薄膜磁気ヘッド1の構成を分解して表す斜視図である。図4は、図3のIV−IV矢視方向の断面構成図である。図3および図4に示したように、薄膜磁気ヘッド1は、磁気記録媒体200に記録された磁気情報を再生する再生ヘッド部1Aと、磁気記録媒体200の記録トラックに磁気情報を記録する記録ヘッド部1Bとが一体に構成されたものである。
図3および図4に示したように、再生ヘッド部1Aは、積層方向にセンス電流が流れるように構成されたCPP(Current Perpendicular to the Plane)−GMR(Giant Magneto-resistive)構造をなす磁気抵抗効果素子(以下、MR素子という。)10を有している。このMR素子10は、記録媒体対向面9に露出した面において、例えば基体8の上に、下部電極11と、MR膜20および一対の磁区制御膜12と、絶縁膜13と、上部電極14とが順に積層された構造となっている。なお、図3および図4では図示しないが、後述するように、一対の磁区制御膜12とMR膜20との間および一対の磁区制御膜12と下部電極11との間には一対の絶縁膜15が設けられている。また、絶縁膜13は、XY平面において、記録媒体対向面9を除くMR膜20の周囲を取り囲むように設けられており、詳細には、MR膜20をX軸方向に挟んで対向する第1の部分13A(図3参照)と、MR膜20を挟んで記録媒体対向面9とは反対側の領域を占める第2の部分13B(図4参照)との2つの部分から構成されている。
下部電極11および上部電極14はそれぞれ、例えばニッケル鉄合金(NiFe)などの磁性金属材料からなり、例えば1μm〜3μmの厚みで構成されている。これら下部電極11および上部電極14は、MR膜20を積層方向(Z軸方向)に挟んで対向し、MR膜20に不要な磁場の影響が及ばないように機能する。さらに、下部電極11はパッド11Pと接続され、上部電極14はパッド14Pと接続されており、MR膜20に対して積層方向(Z方向)に電流を流す電流経路としての機能も有している。MR膜20は、磁性材料を含む金属膜が多数積層されたスピンバルブ(SV)構造をなしている。なお、このMR膜20の詳細な構成については後述する。一対の磁区制御膜12は、磁気記録媒体200のトラック幅方向に対応する方向(X軸方向)に沿ってMR膜20を挟んで対向するように配置されている。絶縁膜13は、主に下部電極11と上部電極14とを電気的に絶縁するためのものであり、例えば酸化アルミニウム(Al)または窒化アルミニウム(AlN)などの絶縁材料からなり、例えば10nm〜100nmの厚みで構成されている。絶縁層16は、再生ヘッド部1Aと記録ヘッド部1Bとを電気的に絶縁するためのものであり、AlまたはAlNなどの絶縁材料からなり、例えば10nm〜100nmの厚みで構成されている。これにより、再生ヘッド部1Aは、磁気記録媒体200からの信号磁場に応じてMR膜20の電気抵抗が変化することを利用して、記録情報を読み出すようになっている。
続いて、記録ヘッド部1Bの構成について説明する。図3および図4に示したように、記録ヘッド部1Bは、再生ヘッド部1Aの絶縁層16の上に形成されており、下部磁極41と、記録ギャップ層42、ポールチップ43、コイル44、絶縁層45、連結部46および上部磁極47を有している。
下部磁極41は、例えば、NiFeなどの磁性材料からなり、絶縁層16の上に形成されている。記録ギャップ層42は、例えば、Alなどの絶縁材料からなり、下部磁極41の上に形成されている。この記録ギャップ層42は、XY平面におけるコイル44の中心部に対応する位置に、磁路形成のための開口部42Aを有している。記録ギャップ層42の上には、記録媒体対向面9の側から順に、ポールチップ43、絶縁層45および連結部46が同一平面内に形成されている。絶縁層45にはコイル44が埋設されている。コイル44は、記録ギャップ層42上に開口部42Aを中心とするように形成されており、例えば銅(Cu)または金(Au)により構成されている。なお、コイル44の両端末はそれぞれ電極44S,44Eに接続されている。上部磁極47は、例えば、NiFeなどの磁性材料からなり、記録ギャップ層42、ポールチップ43,絶縁層45および連結部46の上に形成されている(図4参照)。この上部磁極47は、開口部42Aを介して下部磁極41と接触しており、磁気的に連結している。なお、図示しないが、Alなどからなるオーバーコート層が記録ヘッド部1Bの上面全体を覆うように形成されている。これにより、記録ヘッド部1Bは、コイル44に流れる電流により、主に下部磁極41と上部磁極47とによって構成される磁路内部に磁束を生じ、記録ギャップ層42の近傍に生ずる信号磁場によって磁気記録媒体200を磁化し、情報を記録するようになっている。
次に、図5ないし図9を参照して、本実施の形態の薄膜磁気ヘッド1におけるMR素子10の詳細な構成について以下に説明する。図5は、MR素子10の、図4におけるV−V矢視方向から眺めた構造を表す断面図であり、図6は、第1の磁化固着層231(後述)の断面を拡大して表す断面図である。図7は、ホイスラー合金の規則構造の一具体例としてL21構造を模式的に表したものである。図8は、第1の磁化固着層231(後述)の磁気膜厚とSyAP層23(後述)の一方向性磁場Hua(MR曲線において最大MRとなるときの磁場の1/2)との関係を表した関係図である。図9は、上部合金層231Aまたは下部合金層231Cの厚みと磁気膜厚Mstおよび交換結合エネルギーJとの関係を表した関係図である。
図5に示したように、MR素子10は、下部電極11の側から順に、下地層(バッファ層)21と、反強磁性層22と、シンセティック反強磁性磁化固着層(以下、単にSyAP層という。)23と、非磁性介在層(スペーサ層)24と、磁化自由層25(フリー層)と、キャップ層26とが積層されたMR膜20を有している。
下地層21は、例えば、1nmの厚みを有するタンタル(Ta)と5nmの厚みを有するニッケル鉄合金(NiFe)とが下部電極11の側から順に積層された積層構造を有しており、反強磁性層22と磁化SyAP層23(より正確には、後述する第2の磁化固着層233)との交換結合が良好に行われるように機能する。反強磁性層22は、例えば、白金マンガン合金(PtMn)またはイリジウムマンガン合金(IrMn)等の反強磁性を示す材料からなり、例えば7nmの厚みで構成されている。反強磁性層22は、SyAP層23の磁化方向を固定する、いわゆるピンニング層として機能する。
SyAP層23は、シンセティック構造と呼ばれる3層構造をなしており、第1の磁化固着層231(インナー層)、非磁性中間層232および第2の磁化固着層233(アウター層)を非磁性介在層24側から順に配置して構成されている。
第1の磁化固着層231は一定の向きに固着された磁化方向J231を示しており、図8に示したように、SyAP層23の一方向性磁場Huaが実用上必要な1000Oe(79.6kA/m)以上となるような磁気膜厚、具体的には54800×10−8emu/cm(5.48mA)以下の厚みで構成されている。
この第1の磁化固着層231は、図6に示したように、上部合金層231A、中間合金層231Bおよび下部合金層231Cを非磁性介在層24側から順に配置してなる多層構造を有している。中間合金層231Bは、コバルトマンガン合金(CoMn)を含むホイスラー合金、例えばCoMnとSiまたはゲルマニウム(Ge)の少なくとも一方とを含むホイスラー合金により構成され、このホイスラー合金がハーフメタル性を発揮するのに必要な3nm以上の厚みにより構成されている。上部合金層231Aおよび下部合金層231Cの少なくとも一方は、コバルト鉄合金(CoFe)とアルミニウム(Al)およびシリコン(Si)の少なくとも一方とを含む合金、例えばCox1Fex1―x2Alx2,Cox1Fex1―x2Six2またはCox1Fex1―x3−x4Alx3Six4(0.3≦x1≦0.5、0.1≦x2≦0.4、0.1≦x3+x4≦0.4)により構成されている。なお、上部合金層231Aおよび下部合金層231CのいずれかがCoFeにAlおよびSiの少なくとも一方が含まれた合金で構成されていない場合には、その層は例えばCoFeにより構成されている。
ここで、鉄の組成(x1−x2またはx1−x3−x4)は0.1以上0.4以下となっていることが好ましい。鉄の組成が0.1より小さくなるとCox1Fex1―x2Alx2等の磁性を保つことが困難となるからであり、また0.4よりも大きくなるとCox1Fex1―x2Alx2等がL21(図7参照)もしくはB2の規則構造とならず、通常のBCC(Body-Centered Cubic lattice)構造となってしまい、ホイスラー規則化促進の作用が薄れてしまうからである。これら上部合金層231Aおよび下部合金層231Cはそれぞれ、図9に示したように、互いに非磁性中間層232を介して反強磁性的な交換結合をするのに必要な0.5nm以上の厚みで構成されている。なお、上部合金層231Aは、非磁性介在層24が銅からなる場合には非磁性介在層24の銅がSyAP層23中に拡散してくるのを防止するのに必要な10nm以上の厚みで構成されていることが好ましい。また、上部合金層231Aおよび下部合金層231Cの合計厚みは、これらの層の磁化が1000emu/cc(10kA/cm)であることから、図9に示したように、2.48nm(=(54800×10−8emu/cm−30000×10−8emu/cm)/(1000emu/cc)=(548×10−8kA−300×10−8kA)/(10kA/cm))以下となっていることが好ましい。
非磁性中間層232は、例えば、ルテニウム(Ru)、金(Au)、銀(Ag)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ロジウム(Rh)または白金(Pt)などの非磁性金属材料からなり、例えば0.4nmもしくは0.8nmの厚みで構成されている。
第2の磁化固着層233は、磁化方向J231とは反対の向きに固着された磁化方向J233を示し、例えばコバルト鉄合金Cox5Fe1−x5(0.7≦x5<1)からなり、例えば4nm〜5nmの厚みで構成されている。第1および第2の磁化固着層231,233は、非磁性中間層232を介して反強磁性的な交換結合をしており、それらの磁化方向J231,J233が反強磁性層22によって互いに逆平行となるように固着されている。
非磁性介在層24は、例えば銅や金などの高い電気伝導率を有する(電気抵抗の小さな)非磁性金属材料からなり、例えば3nmの厚みで構成されている。非磁性介在層24は、主に、磁化自由層25とSyAP層23(特に第1の磁化固着層231)との磁気結合を切り離すように機能する。読出動作時に流れる読出電流は、下部電極11から第1の磁化固着層231を経由したのち、この非磁性介在層24を通過して磁化自由層25に達する。このとき、その読出電流の受ける散乱を最小限に抑える必要があることから、上述した電気抵抗の小さな材料により非磁性介在層24を構成することが好ましい。
磁化自由層25は、外部磁場に応じて変化する磁化方向を示すものであり、第1の磁化固着層231を挟んで第2の磁化固着層233とは反対側に形成されている。磁化自由層25は、例えば、コバルト鉄合金(CoFe)やニッケル鉄合金(NiFe)などからなる強磁性膜と銅などからなる非磁性膜とを含む多層構造、またはCoFeやNiFeなどの強磁性材料からなる単層構造をなしており、例えば7nm〜8nmの厚みで構成されている。この磁化自由層25における磁化方向は、外部磁場(本実施の形態では磁気記録媒体200からの信号磁場)の向きや大きさに応じて変化するようになっている。
キャップ層26は、例えば、厚みが10nmのRuからなり、製造過程において、成膜後のMR膜20を保護するように機能する。
一対の磁区制御膜12は、下部電極11の上に絶縁膜15を介して形成された下地層121と、この上に形成された磁区制御層122とによって構成されている。磁区制御膜12は、磁化自由層25に縦バイアス磁場を印加するためのものであり、X軸方向においてMR膜20を挟むように対向配置されている。下地層121は、例えば、クロムチタン合金(CrTi)やタンタル(Ta)からなり、製造過程において、磁区制御層122の成長性を向上させるように機能する。磁区制御層122は、例えば、コバルト白金合金(CoPt)、コバルトクロム白金合金(CoCrPt)などからなり、磁化自由層25の単磁区化を促進し、バルクハウゼンノイズの発生を抑制するように機能する。ここで、一対の磁区制御膜12とMR膜20との間および一対の磁区制御膜12と下部電極11との間には一対の絶縁膜15が設けられている。一対の絶縁膜15は、例えば、AlまたはAlNなどの電気絶縁性を有する材料からなり、MR膜20の両端面S20から下部電極11の上面S11にかけて連続的に覆うように形成されている。このため、一対の磁区制御膜12と、MR膜20および下部電極11とは電気的に絶縁されている。
図5に示したように、下部および上部電極11,14は、上記のような構成を有するMR膜20を積層面と直交する方向(Z軸方向)に挟むように対向配置されており、磁気記録媒体200の磁気情報を読み出す際には、MR膜20に対してZ軸方向に読出電流を流すための電流経路として機能する。
次に、MR素子10および薄膜磁気ヘッド1の再生動作について、図3ないし図5を参照して説明する。
この薄膜磁気ヘッド1では、再生ヘッド部1Aにより磁気記録媒体200に記録された情報を読み出す。記録情報を読み出す際には、記録媒体対向面9が磁気記録媒体200の記録面と対向しており、この状態で、磁気記録媒体200からの信号磁場がMR素子10に到達する。この際、MR膜20には予め、下部電極11および上部電極14を介して積層方向(Z軸方向)に読出電流が流されている。すなわち、MR膜20の内部を、下地層21、反強磁性層22、SyAP層23、非磁性介在層24、磁化自由層25およびキャップ層26の順に、あるいは、その逆の順に読出電流が流されている。MR膜20においては、信号磁場によって磁化方向が変化する磁化自由層25と、反強磁性層22によって磁化方向がほぼ一定方向に固定されて信号磁場の影響を受けないSyAP層23との間で、相対的な磁化の向きが変化する。その結果、伝導電子のスピン依存散乱の変化が起こり、MR膜20の電気抵抗に変化が生じる。この電気抵抗の変化は出力電圧の変化をもたらし、この電流変化を検知することにより、磁気記録媒体200の記録情報を読み出すようになっている。また、一対の絶縁膜15を設けることにより、下部電極11と上部電極14との間を流れる読出電流が、一対の磁区制御膜12に洩れにくくなる。すなわち、読出電流がX軸方向に広がることなく確実にMR膜20の幅に限定されて通過することとなるので、磁化自由層25の磁化方向変化による読出電流の抵抗変化を、より高感度に検出することができる。なお、図5では、一対の絶縁膜15が、MR膜20における一対の端面S20を覆うと共に、下部電極11の上面S11を、X軸方向に延在して覆うようにしたが、少なくとも一対の端面S20Bを覆うようにすれば十分であり、これにより、上記の効果が得られる。
続いて、図10から図14を参照して、薄膜磁気ヘッド1の製造方法について説明する。ここでは、主にMR素子10を形成する部分について詳細に説明する。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、まず、図10に示したように、基体8の一側面上に下部電極11を形成したのち、この下部電極11上に全面に亘って多層膜20Zを形成する。具体的には、スパッタリング等を用いて、下地層21、反強磁性層22、SyAP層23D、中間層24、磁化自由層25およびキャップ層26を順に積層する。なお、SyAP層23Dは、第1の磁化固着層231に含まれる中間合金層231Bを規則化する前の中間合金層231Dを有している。
さらに、250℃以上300℃以下の温度で例えば10×(250/π)A/mの磁場を付与しながら4時間に亘ってアニール処理を施すことによりSyAP層23Dの磁化方向を固着させる。このとき、中間合金層231Dに接する上部合金層231Aおよび下部合金層231Cの少なくとも一方が、CoFeにAlおよびSiの少なくとも一方が含まれた合金により構成されているので、この合金による規則化促進作用により中間合金層231Dを構成するCoMnを含む合金の規則化が促進され、250℃以上300℃以下の温度でCoMnを含む合金が規則化されてCoMnを含むホイスラー合金となる。これにより、CoMnを含むホイスラー合金からなる中間合金層231Bが形成される。なお、アニール処理に250℃以上の温度が必要となるのは、反強磁性層22と第2の磁化固着層233との交換結合を切り、第2の磁化固着層233の磁化を磁場方向に着磁させるためには、少なくとも250℃以上の温度とすることが必要だからである。
その後、必要に応じて、SyAP層23の磁化方向と直交する方向に所定の磁場を付与しながら300℃以下の温度でアニール処理することにより磁化自由層25の初期の磁化方向を設定する。この多層膜20Zは、のちにMR膜20となるものである。なお、図10〜図14においては、MR膜20ならびにその形成過程における多層膜20Zの内部構造については図示を省略するが、いずれも上記した図5に示したMR膜20と対応する内部構造を有している。
続いて、図11に示したように、多層膜20Zの上に、素子幅を規定する部分に対応する幅Wをなすように選択的にフォトレジストパターン61を形成する。この場合、所定の溶剤を使用してフォトレジストパターン61の端部を一部除去し、アンダーカットを形成するようにしてもよい。
次に、多層膜20Zを、例えば、イオンミリングやRIE等のドライエッチングによりフォトレジストパターン61をマスクとして利用して選択的に除去する。この場合、下部電極11に達するまでドライエッチングを行う。これにより、図12に示したように、幅Twを有するMR膜20が形成される。この幅Twは、MR膜20の平均的な素子幅である。MR膜20を形成したのち、図13に示したように、これをX軸方向に挟んで両側に隣接するように、一対の絶縁膜15および一対の磁区制御膜12を形成する。具体的には、例えばスパッタリング等により、全面に亘って絶縁膜15と下地層121と磁区制御層122とを順に形成する。さらに、この磁区制御膜12の上に、スパッタリングによって絶縁膜13を形成する。さらに、フォトレジストパターン61をリフトオフすることにより、MR膜20と、これを挟んで対向する一対の絶縁膜15と、下地層121および磁区制御層122からなる一対の磁区制御膜12とが現れる。
フォトレジストパターン61を除去したのち、図14に示したように、全面に亘って上部電極14を形成する。これにより、MR素子10が一応完成する。その後、図3および図4に示したように、全面に亘って絶縁層16を形成することにより、再生ヘッド部1Aが一応完成する。続いて、再生ヘッド部1Aの上に、下部磁極41と記録ギャップ層42とを順に形成し、記録ギャップ層42の上に選択的にコイル44を形成する。こののち、記録ギャップ層42の一部をエッチングすることにより開口部42Aを形成する。次いで、コイル44を覆うように絶縁層45を形成し、さらに、ポールチップ43および連結部分46を順次形成する。最後に全体を覆うように上部磁極47を形成することにより記録ヘッド部1Bが一応完成する。その後、例えば、スライダ2Aをラッピング処理して記録媒体対向面9を形成するなど、所定の工程を経ることにより、薄膜磁気ヘッド1が完成する。
以上説明したように、本実施の形態のMR素子10では、SyAP層23における第1の磁化固着層231を上部合金層231A、中間合金層231Bおよび下部合金層231Cを積層してなる多層構造とし、かつ中間合金層231BをCoMnを含むホイスラー合金で構成すると共に上部合金層231Aおよび下部合金層231Cの少なくとも一方をCoFeにAlおよびSiの少なくとも一方が含まれた合金で構成するようにしたので、MR素子10を形成する際に、中間合金層231Bに接するCoFeにAlおよびSiの少なくとも一方が含まれた合金による規則化促進作用によりCoMnを含むホイスラー合金の規則化温度を250℃以上300℃以下にすることができる。これにより、素子の第1の磁化固着層231以外の層を構成する材料の特性を劣化させないで、CoMnを含むホイスラー合金を第1の磁化固着層231に適用することができる。その結果、高MR比を実現することができる。
次に、上記実施の形態のMR素子10の一実施例について説明する。
本実施例1,2,3を以下の表1に示す構成で形成し、比較例1,2を表2に示したように表1に示す構成から上部合金層231Aおよび下部合金層231Cをなくして形成した。つまり、比較例1,2では、SyAP層123に含まれる第1の磁化固着層1231を上部合金層および下部合金層で中間合金層を挟んだ多層構造とせずに、単層構造とした。また、第1の磁化固着層を、実施例1では300℃で、実施例2では250℃〜270℃で、実施例3では200℃〜230℃で、比較例1では320℃で、比較例2では250℃〜270℃でそれぞれアニール処理した。
Figure 2008159697

Figure 2008159697
図15は、本実施例1,2,3における上部合金層231Aおよび下部合金層231Cのそれぞれの厚みx、または比較例1,2の第1の磁化固着層1231の厚みxを変化させたときのMR比の変化の様子をグラフで表したものである。図15では、実施例1,2,3の結果を実線(a,b,c)で示し、比較例1,2の結果を破線(d,e)で示した。
図15から、本実施例1,2,3における上部合金層231Aおよび下部合金層231C、ならびに本比較例1,2の第1の磁化固着層を磁化の発生に必要な0.5nm以上の厚みとすると、本実施例1,2,3および比較例1,2のいずれの場合においても磁気抵抗効果が発生していることがわかる。
しかし、単層構造からなる第1の磁化固着層1231を備えた比較例1(破線d)では、第1の磁化固着層1231を低温(250℃〜270℃)でアニールしたので、上部および下部シールド膜を兼ねている一対の電極層の材料をはじめとする素子のその他の材料の特性が劣化しなかったが、第1の磁化固着層1231を構成するCoMnを含む合金が全く規則化されず、BCC構造のままであった。そのため、MR比が最高でも4%程度にしかならなかった。また、比較例2(破線e)では、第1の磁化固着層1231を高温(320℃)でアニールしたので、第1の磁化固着層1231を構成するCoMnを含む合金が規則化されてホイスラー合金となった。そのため、MR比が最高で11%となったが、320℃の高温でアニールすると、素子のその他の材料の特性が劣化してしまうので、実際には320℃の高温でアニールすることはできない。
他方、上部合金層231Aおよび下部合金層231Cで中間合金層231Bを挟んだ構造からなる第1の磁化固着層231を備えた実施例1(実線a)、実施例2(実線b)および実施例3(実線c)では、第1の磁化固着層231をアニールする際に、上部合金層231Aおよび下部合金層231Cによる規則化促進作用によりCoMnを含む合金の規則化が促進されてCoMnを含むホイスラー合金の規則化温度が250℃程度となった。そのため、アニール温度を300℃とした実施例1や、250℃〜270℃とした実施例2では、中間合金層231Bが完全にCoMnを含むホイスラー合金となり、比較例2の場合と同程度またはそれよりも高いMR比(実施例1の場合には最低で7%最高で14%、実施例2の場合には最低で6%最高で12%)となった。また、実施例3では、アニール温度を200℃〜230℃としたので、中間合金層231BがCoMnを含むホイスラー合金に完全にはならなかったが、MR比が最高で7%程度となった。
以上のことから、実施例1,2,3では、MR素子10を形成する際に、中間合金層231Bに接するCoFeにAlおよびSiの少なくとも一方が含まれた合金による規則化促進作用によりCoMnを含むホイスラー合金の規則化温度を250℃以上300℃以下にすることができた。これにより、素子の第1の磁化固着層231以外の層を構成する材料の特性を劣化させないで、CoMnを含むホイスラー合金を第1の磁化固着層231に適用することができた。その結果、アニール温度を250℃〜300℃と低温にした場合には高MR比を実現することができ、また、アニール温度を200℃〜230℃と極めて低温にした場合であっても比較的高いMR比を実現することができた。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、これらの実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、本実施の形態等では、再生ヘッド部および記録ヘッド部の双方を有する複合型の薄膜磁気ヘッドを例に挙げて説明するようにしたが、再生ヘッド部のみ備えた再生専用の薄膜磁気ヘッドであってもよい。
本発明の一実施の形態に係る磁気ディスク装置の内部構成を表す斜視図である。 図1のスライダの構成を表す斜視図である。 図1の薄膜磁気ヘッドの構成を分解して表す斜視図である。 図3の薄膜磁気ヘッドのIV−IV矢視方向の断面構成図である。 図4のMR素子のV−V矢視方向の断面構成図である。 図5の第1の磁化固着層の断面を拡大して表す断面構成図である。 ホイスラー合金の規則構造の一具体例としてL21構造を模式的に表したものである。 第1の磁化固着層の磁気膜厚とSyAP層の一方向性磁場との関係を表す関係図である。 上部合金層または下部合金層の厚みと磁気膜厚および交換結合エネルギーとの関係を表す関係図である。 図5のMR素子の製造工程を説明するための断面構成図である。 図10に続く工程を表す断面構成図である。 図11に続く工程を表す断面構成図である。 図12に続く工程を表す断面構成図である。 図13に続く工程を表す断面構成図である。 実施例の上部合金層および下部合金層のそれぞれの厚みおよび比較例の第1の磁化固着層と、MR比との関係を表す関係図である。
符号の説明
1…薄膜磁気ヘッド、2…ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)、2A…スライダ、2B…サスペンション、3…アーム、4…駆動部、5…固定軸、6…ベアリング、7…スピンドルモータ、8…基体、9…記録媒体対向面、10…磁気抵抗効果(MR)素子、11…下部電極、12…磁区制御膜、13,15…絶縁膜、14…上部電極、16…絶縁層、20…MR膜、21…下地層、22…反強磁性層、23,123…シンセティック反強磁性磁化固着層(SyAP層)、231…第1の磁化固着層、231A…上部合金層、231B…中間合金層、231C…下部合金層、232…非磁性中間層、233…第2の磁化固着層、24…非磁性介在層、25…磁化自由層、26…キャップ層、41…下部磁極、42…記録ギャップ層、43…ポールチップ、44…コイル、45…絶縁層、46…連結部、47…上部磁極、100…筐体、200…磁気記録媒体、300…ヘッドアームアセンブリ(HAA)。

Claims (8)

  1. 外部磁場に応じて磁化の向きが変化する磁化自由層と、
    前記磁化自由層の一方の面と接する非磁性介在層と、
    前記非磁性介在層を挟んで前記磁化自由層の反対側に位置すると共に、前記非磁性介在層の側から、一定方向に固着された磁化の向きを示す第1の磁化固着層、非磁性中間層、前記第1の磁化固着層の磁化の向きと逆向きに固着された磁化の向きを示す第2の磁化固着層が順に積層されたシンセティック反強磁性磁化固着層と、
    前記シンセティック反強磁性磁化固着層および磁化自由層を積層方向に挟むと共にその積層方向に読出電流を流す一対の電極層と
    を備え、
    前記第1の磁化固着層は上部合金層、中間合金層および下部合金層を前記非磁性介在層側から順に配置して構成され、
    前記中間合金層はコバルトマンガン合金(CoMn)を含むホイスラー合金からなり、
    前記上部合金層および前記下部合金層の少なくとも一方が、コバルト鉄合金(CoFe)とアルミニウム(Al)およびシリコン(Si)の少なくとも一方とを含む合金からなる
    ことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記中間合金層はCoMnとSiまたはゲルマニウム(Ge)の少なくとも一方とを含むホイスラー合金からなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記上部合金層および前記下部合金層のそれぞれの厚みは0.5nm以上であり、
    前記上部合金層および前記下部合金層の合計厚みは2.48nm以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 外部磁場に応じて磁化の向きが変化する磁化自由層と、
    前記磁化自由層の一方の面と接する非磁性介在層と、
    前記非磁性介在層を挟んで前記磁化自由層の反対側に位置すると共に、前記非磁性介在層の側から、一定方向に固着された磁化の向きを示す第1の磁化固着層、非磁性中間層、前記第1の磁化固着層の磁化の向きと逆向きに固着された磁化の向きを示す第2の磁化固着層が順に積層されたシンセティック反強磁性磁化固着層と、
    前記シンセティック反強磁性磁化固着層および磁化自由層を積層方向に挟むと共にその積層方向に読出電流を流す一対の電極層と
    を備え、
    前記第1の磁化固着層は上部合金層、中間合金層および下部合金層を前記非磁性介在層側から順に配置して構成され、
    前記中間合金層はコバルトマンガン合金(CoMn)を含むホイスラー合金からなり、
    前記上部合金層および前記下部合金層の少なくとも一方が、CoMnを含む合金のL21またはB2への規則化を促進する作用を有する合金からなる
    ことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を有する
    ことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を有する薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、
    この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションと
    を有することを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
  7. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を有する薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、
    この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションと、
    このサスペンションの他端を支持するアームと
    を含むことを特徴とするヘッドアームアセンブリ。
  8. 磁気記録媒体と、ヘッドアームアセンブリとを備えた磁気ディスク装置であって、
    前記ヘッドアームアセンブリは、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を有する薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、
    この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションと、
    このサスペンションの他端を支持するアームと
    を含むことを特徴とする磁気ディスク装置。
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