JP2006323900A - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリならびに磁気ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】抵抗変化量を維持しつつ、さらなる高記録密度化に対応することが可能な薄膜磁気ヘッドを提供する。
【解決手段】再生ヘッド部10Aは、下部電極11と、この下部電極11上に選択的に配置されると共に磁気記録媒体200と対向し、この磁気記録媒体200からの信号磁場を検出するMR素子20と、トラック幅方向においてMR素子20の両隣に配置された一対の軟磁性層17と、MR素子20を挟んで下部電極11と反対側に設けられ、下部電極11と共に、MR素子20に対して積層面と直交する方向にセンス電流を流す電流経路となる上部電極14とを備える。一対の軟磁性層17は、MR素子20に及ぶ不要な磁束を吸い込むように機能する。このため、実効的なリードギャップおよびトラック幅の狭小化を実現することができる。その結果、より高い記録密度に対応することが可能となる。
【選択図】 図5
【解決手段】再生ヘッド部10Aは、下部電極11と、この下部電極11上に選択的に配置されると共に磁気記録媒体200と対向し、この磁気記録媒体200からの信号磁場を検出するMR素子20と、トラック幅方向においてMR素子20の両隣に配置された一対の軟磁性層17と、MR素子20を挟んで下部電極11と反対側に設けられ、下部電極11と共に、MR素子20に対して積層面と直交する方向にセンス電流を流す電流経路となる上部電極14とを備える。一対の軟磁性層17は、MR素子20に及ぶ不要な磁束を吸い込むように機能する。このため、実効的なリードギャップおよびトラック幅の狭小化を実現することができる。その結果、より高い記録密度に対応することが可能となる。
【選択図】 図5
Description
本発明は、再生動作時において、積層面と直交する方向に電流が流れるように構成された磁気抵抗効果素子を有する薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法、ならびにそのような薄膜磁気ヘッドを備えたヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置に関する。
ハードディスクなどの磁気記録媒体の情報を再生するにあたっては、磁気抵抗(MR:Magneto-resistive)効果を示すMR素子を備えた薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。近年では、磁気記録媒体の高記録密度化が進んでいることから、巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto-resistive)効果を示す巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)利用した薄膜磁気ヘッドが一般的である。このようなGMR素子としては、例えば、スピンバルブ(SV:spin valve)型のGMR素子がある。
このSV型のGMR素子は、非磁性の中間層を介して、磁化方向が一定方向に固着された磁性層(磁化固着層)と、磁化方向が外部からの信号磁界に応じて変化する磁性層(磁化自由層)とが積層された構造を有している。再生動作時において読出電流が積層面内方向に流れるように構成されたものは、特に、CIP(Current in Plane)−GMR素子と呼ばれる。さらに、これを備えた薄膜磁気ヘッドはCIP−GMRヘッドと呼ばれる。この場合、2つの磁性層(磁化固着層および磁化自由層)における磁化方向の相対角度に応じて読出電流を流した際に電気抵抗(すなわち電圧)が変化するようになっている。
最近では、さらなる記録密度の向上に対応するため、再生動作の際に、読出電流が積層面と直交する方向に流れるように構成されたCPP(Current Perpendicular to the Plane)−GMR素子を備えたCPP−GMRヘッドの開発が進められている(例えば特許文献1参照)。このようなCPP−GMRヘッドは、一般的に、GMR素子と、このGMR素子を、絶縁膜を介してトラック幅方向に対応する方向に挟んで対向するように配置された一対の磁区制御層と、これらGMR素子および一対の磁区制御層を積層方向に沿って挟むように形成された上部および下部電極とを有している。上部および下部電極は、上部および下部シールド層を兼ねている。このような構成のCPP−GMRヘッドには、再生トラック幅方向の寸法を小さくした場合にCIP−GMRヘッドと比べて高出力が得られるという利点がある。すなわち、CIP−GMRヘッドでは面内方向に読出電流を流すので、再生トラック幅方向の寸法が狭小化するのに伴い読出電流が通過する感磁部分が微小となり、電圧変化量が小さくなってしまう。これに対し、CPP−GMRヘッドであれば積層方向に読出電流を流すので、再生トラック幅方向の狭小化による電圧変化量に対する影響は少ないのである。このため、CPP−GMRヘッドは、1インチあたりのトラック数(TPI;Tracks Per Inch)で表されるトラック密度の低減という観点においてCIP−GMRヘッドに比べて有利である。その上、CIP−GMRヘッドと比較した場合、CPP−GMR素子と上部シールド膜および下部シールド膜とのそれぞれの間に絶縁層を設ける必要がないので、その厚み分だけBPI(Bit Per Inch)で表される線記録密度を低減することができる。このような背景から、CPP−GMRヘッドは、さらなる記録密度の向上に対応可能なものとしての期待が高まっている。
また、CPP−GMR素子と同様に、膜面と直交する方向に読出電流を流すように構成されたものとして、トンネルMR素子(TMR素子)がある。但し、このTMR素子は、トンネルバリア層という極薄の絶縁層を含んでいることから、CPP−GMR素子と比較すると高い抵抗値を示すものとなっている。
なお、CIP−GMRヘッドに関して、隣接トラックからのクロストークを低減し、高記録密度化への対応を図るようにした発明が開示されている(例えば特許文献2参照)。
特開2002−329905号公報
特開平11−25431号公報
ところがCPP−GMRヘッドにおけるCPP−GMR素子そのものの厚みに関しては、信号磁場の検出感度を高めるため、CIP−GMR素子やTMR素子と比較して一般的に大きくなる傾向にある。CPP−GMR素子においては、抵抗変化量を稼ぐために、磁化自由層や磁化固着層の厚みを大きくすることで伝導電子が通過する際に受けるバルク散乱の寄与を効果的に増大させる必要があるからである。ここでCPP−GMR素子の厚みが大きくなるということは、上下のシールド層間の間隔であるリードギャップが広がるということを意味する。このため、将来予想されるより厳しい高記録密度化に対応するにあたり、CPP−GMR素子の厚みが結果的に線記録密度低減の阻害要因となってしまう可能性がある。したがって、CPP−GMRヘッドの利点を活かしつつ、リードギャップを狭小化するためのさらなる改善が望まれる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、抵抗変化量を維持しつつ、さらなる高記録密度化に対応することが可能な薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法ならびにそのような薄膜磁気ヘッドを搭載したヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置を提供することにある。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、磁気記録媒体と対向する記録媒体対向面を有し、この磁気記録媒体からの信号磁場を検出する磁気抵抗効果素子と、磁気記録媒体のトラック幅方向において磁気抵抗効果素子の両隣に配置された一対の軟磁性層と、記録媒体対向面と平行をなすと共にトラック幅方向と直交する積層方向において磁気抵抗効果素子および一対の軟磁性層を挟み、かつ、磁気抵抗効果素子に対して積層方向にセンス電流を流す電流経路となる第1の磁気シールド層および第2の磁気シールド層とを備えるようにしたものである。また、本発明のヘッドジンバルアセンブリは、上記の薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションとを有するものである。本発明のヘッドアームアセンブリは、上記のヘッドジンバルアセンブリと、上記のサスペンションの他端を支持するアームとを含むようにしたものである。さらに、本発明の磁気ディスク装置は、磁気記録媒体と、上記のヘッドアームアセンブリとを備えるようにしたものである。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置では、一対の軟磁性層がトラック幅方向において磁気抵抗効果素子の両隣に配置されるので、再生動作の際、磁気抵抗効果素子に及ぶ不要な磁束が一対の軟磁性層に吸い込まれることとなる。このため、実効的なリードギャップおよびトラック幅が狭まることとなる。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置では、一対の軟磁性層が、前記第1の磁気シールド層とそれぞれ磁気的に連結するように配置されていてもよい。その場合には、再生動作時において一対の軟磁性層があたかも第1の磁気シールド層の一部として振る舞うこととなる。また、一対の軟磁性層が、絶縁層を介して磁気抵抗効果素子を挟むように互いに対向配置されていてもよい。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置では、磁気抵抗効果素子が、第1の磁気シールド層の側から反強磁性層と、磁化固着層と、非磁性介在層と、磁化自由層とが順に積層されたものであることが望ましい。その場合、一対の軟磁性層は、磁気抵抗効果素子における反強磁性層に対応する階層に配置されることが望ましい。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置では、第1方向において、磁気抵抗効果膜のうちの少なくとも磁化自由層を挟んで対向するように設けられた一対の磁区制御層をさらに備えるようにすることが望ましい。さらに一対の軟磁性層が、ニッケル鉄合金(NiFe)もしくはニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)、またはニッケル鉄合金(NiFe)もしくはニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)にタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1種を加えたものであることが望ましい。
本発明における第1の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、以下の(A)〜(H)の各工程を含むようにしたものである。
(A)基体上に第1の磁気シールド層を形成する工程。
(B)第1の磁気シールド層を選択的に覆うように第1のレジストパターンを形成する工程。
(C)第1の磁気シールド層のうちの第1のレジストパターンによって覆われた領域以外の領域を少なくとも覆うように軟磁性膜を形成する工程。
(D)第1のレジストパターンを除去することにより一定の距離を隔てるように配置された一対の軟磁性層を形成したのち、磁化自由層を含むように磁気抵抗効果膜を全面に亘って形成する工程。
(E)磁気抵抗効果膜上における一対の軟磁性層どうしの間の領域に第2のレジストパターンを形成したのち、これをマスクとして用いたドライエッチングにより磁気抵抗効果膜の選択的な除去を行い、一対の軟磁性層どうしの間の領域に磁気抵抗効果素子を形成する工程。
(F)磁気抵抗効果素子の上面以外の領域を全て覆うように絶縁層を形成する工程。
(G)絶縁層の上に、磁気抵抗効果素子を挟んで互いに対向するように一対の磁区制御層を形成する工程。
(H)第2のレジストパターンを除去したのち、磁気抵抗効果素子および一対の磁区制御層を覆うように第2の磁気シールド層を形成する工程。
(A)基体上に第1の磁気シールド層を形成する工程。
(B)第1の磁気シールド層を選択的に覆うように第1のレジストパターンを形成する工程。
(C)第1の磁気シールド層のうちの第1のレジストパターンによって覆われた領域以外の領域を少なくとも覆うように軟磁性膜を形成する工程。
(D)第1のレジストパターンを除去することにより一定の距離を隔てるように配置された一対の軟磁性層を形成したのち、磁化自由層を含むように磁気抵抗効果膜を全面に亘って形成する工程。
(E)磁気抵抗効果膜上における一対の軟磁性層どうしの間の領域に第2のレジストパターンを形成したのち、これをマスクとして用いたドライエッチングにより磁気抵抗効果膜の選択的な除去を行い、一対の軟磁性層どうしの間の領域に磁気抵抗効果素子を形成する工程。
(F)磁気抵抗効果素子の上面以外の領域を全て覆うように絶縁層を形成する工程。
(G)絶縁層の上に、磁気抵抗効果素子を挟んで互いに対向するように一対の磁区制御層を形成する工程。
(H)第2のレジストパターンを除去したのち、磁気抵抗効果素子および一対の磁区制御層を覆うように第2の磁気シールド層を形成する工程。
本発明における第1の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1の磁気シールド層上において、一定の距離を隔てるように一対の軟磁性層を形成したのち、それらの間の領域に磁気抵抗効果素子を形成するようにしたので、再生動作時において一対の軟磁性層があたかも第1の磁気シールド層の一部として振る舞い、磁気抵抗効果素子に及ぶ不要な磁束を吸い込むように機能することとなる。このため、実効的なリードギャップおよびトラック幅が狭小化する。
本発明における第1の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、一対の軟磁性層よりも第2の磁気シールド層に近い側の階層、すなわち一対の軟磁性層よりも上の階層に磁化自由層が位置するように磁気抵抗効果膜を形成することが望ましい。
本発明における第2の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、以下の(a)〜(e)の各工程を含むようにしたものである。
(a)基体上に第1の磁気シールド層を形成する工程。
(b)第1の磁気シールド層上に、磁化自由層を含む磁気抵抗効果膜を形成する工程。
(c)第1の磁気シールド層を選択的に覆うようにレジストパターンを形成したのち、これをエッチングマスクとして利用して磁気抵抗効果膜の選択的な除去を行い、磁気抵抗効果素子を形成する工程。
(d)レジストパターンをパターニングマスクとして用い、磁気抵抗効果膜が選択的に除去された領域を埋めるように、磁気抵抗効果素子を挟んで各々互いに対向する一対の第1の絶縁層、一対の軟磁性層、一対の第2の絶縁層および一対のハードバイアス層を順に形成する工程。
(e)レジストパターンを除去したのち、磁気抵抗効果素子および一対のハードバイアス層を覆うように第2の磁気シールド層を形成する工程。
(a)基体上に第1の磁気シールド層を形成する工程。
(b)第1の磁気シールド層上に、磁化自由層を含む磁気抵抗効果膜を形成する工程。
(c)第1の磁気シールド層を選択的に覆うようにレジストパターンを形成したのち、これをエッチングマスクとして利用して磁気抵抗効果膜の選択的な除去を行い、磁気抵抗効果素子を形成する工程。
(d)レジストパターンをパターニングマスクとして用い、磁気抵抗効果膜が選択的に除去された領域を埋めるように、磁気抵抗効果素子を挟んで各々互いに対向する一対の第1の絶縁層、一対の軟磁性層、一対の第2の絶縁層および一対のハードバイアス層を順に形成する工程。
(e)レジストパターンを除去したのち、磁気抵抗効果素子および一対のハードバイアス層を覆うように第2の磁気シールド層を形成する工程。
本発明における第2の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1の磁気シールド層上に磁気抵抗効果素子を形成したのち、この磁気抵抗効果素子を挟んで互いに対向する一対の軟磁性層を形成するようにしたので、再生動作時において、一対の軟磁性層があたかも第1の磁気シールド層の一部として振る舞い、磁気抵抗効果素子に及ぶ不要な磁束を吸い込むように機能することとなる。このため、実効的なリードギャップおよびトラック幅が狭小化する。
本発明における第2の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、磁化自由層よりも第1の磁気シールド層に近い側の階層、すなわち磁化自由層よりも下の階層に位置するように一対の軟磁性層を形成することが望ましい。
本発明における第1および第2の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1の磁気シールド層の側から反強磁性層と、磁化固着層と、非磁性介在層と、磁化自由層とを順に積層することにより磁気抵抗効果膜を形成することが望ましい。さらに、少なくとも磁化自由層と対応する階層に、一対の磁区制御層を形成することが望ましい。さらに、一対の磁区制御層を、その上面が磁気抵抗効果素子の上面と共に共平面をなすように形成するとよい。また、ニッケル鉄合金(NiFe)またはニッケル鉄合金(NiFe)にタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1つを加えたものを含むように一対の軟磁性層を形成することが望ましい。
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置によれば、再生動作時において、一対の軟磁性層が磁気抵抗効果素子に及ぶ不要な磁束を吸い込むように機能する。このため、磁気抵抗効果素子の厚みを低減することなく、すなわち抵抗変化量を維持しつつ、実効的なリードギャップおよびトラック幅を狭小化することができる。その結果、より高い記録密度に対応することが可能となる。また、本発明の第1および第2の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、上記のような薄膜磁気ヘッドの製造を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
最初に、図1から図5を参照して、本発明の第1の実施の形態としての薄膜磁気ヘッドおよびこれを備えたヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置の構成について以下に説明する。
最初に、図1から図5を参照して、本発明の第1の実施の形態としての薄膜磁気ヘッドおよびこれを備えたヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置の構成について以下に説明する。
図1は、本実施の形態に係る磁気ディスク装置の内部構成を表す斜視図である。この磁気ディスク装置は駆動方式としてCSS(Contact-Start-Stop)動作方式を採用したものであり、図1に示したように、例えば筐体100の内部に、情報が記録されることとなる磁気記録媒体としての磁気記録媒体200と、この磁気記録媒体200への情報の記録およびその情報の再生を行うためのヘッドアームアセンブリ(HAA;Head Arm Assembly)300とを備えるようにしたものである。HAA300は、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA;Head Gimbals Assembly)2と、このHGA2の基部を支持するアーム3と、このアーム3を回動させる動力源としての駆動部4とを備えている。HGA2は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド1(後出)が一側面に設けられた磁気ヘッドスライダ(以下、単に「スライダ」という。)2Aと、このスライダ2Aが一端に取り付けられたサスペンション2Bとを有するものである。このサスペンション2Bの他端(スライダ2Aとは反対側の端部)は、アーム3によって支持されている。アーム3は、筐体100に固定された固定軸5を中心軸としてベアリング6を介して回動可能なように構成されている。駆動部4は、例えばボイスコイルモータなどからなる。なお、通常、磁気ディスク装置は、図1に示したように複数(図1では4枚)の磁気記録媒体200を備えており、各磁気記録媒体200の記録面(表面および裏面)にそれぞれ対応してスライダ2Aが配設されるようになっている。各スライダ2Aは、各磁気記録媒体200の記録面と平行な面内において、磁気記録媒体200のトラック幅方向に対応する方向(X軸方向)に移動することができる。一方、磁気記録媒体200は、筐体100に固定されたスピンドルモータ7を中心とし、X軸方向に対してほぼ直交する方向に回転するようになっている。磁気記録媒体200の回転およびスライダ2Aの移動により磁気記録媒体200に情報が記録され、または記録された情報が読み出されるようになっている。
図2は、図1に示したスライダ2Aの構成を表すものである。このスライダ2Aは、例えば、アルティック(Al2O3・TiC)よりなるブロック状の基体8を有している。この基体8は、例えば、ほぼ六面体状に形成されており、そのうちの一面が磁気記録媒体200の記録面に近接して対向するように配置されている。磁気記録媒体200の記録面と対向する面が記録媒体対向面(エアベアリング面ともいう。)9であり、磁気記録媒体200が回転すると、記録面と記録媒体対向面9との間に生じる空気流に起因する揚力により、スライダ2Aが記録面との対向方向(Y軸方向)に沿って記録面から浮上し、記録媒体対向面9と磁気記録媒体200との間に一定の隙間ができるようになっている。基体8の記録媒体対向面9に対する一側面には、薄膜磁気ヘッド1が設けられている。
図3は、薄膜磁気ヘッド1の構成を分解して表す斜視図である。図4は、図3に示したIV−IV線に沿った矢視方向の構造を表す断面図である。図3および図4に示したように、薄膜磁気ヘッド1は、磁気記録媒体200に記録された磁気情報を再生する再生ヘッド部10と、磁気記録媒体200の記録トラックに磁気情報を記録する記録ヘッド部40とが一体に構成されたものである。
図3および図4に示したように、再生ヘッド部10は、積層方向にセンス電流が流れるように構成されたCPP(Current Perpendicular to the Plane)−GMR(Giant Magneto-resistive)構造をなす磁気抵抗効果素子(以下、MR素子という。)20を有している。より詳細には、記録媒体対向面9に露出した面において、例えば基体8の上に、下部電極11と、MR素子20および一対の磁区制御層12と、上部電極下地層13と、上部電極14と、絶縁層16とが順に積層された構造となっている。図3および図4では図示しないが、後述するように、一対の磁区制御層12とMR素子20との間および一対の磁区制御層12と下部電極11との間には一対の絶縁層15が設けられている。さらに、下部電極11上には、X軸方向において絶縁層15を介してMR素子20を挟むように互いに対向した一対の軟磁性層17(図3,図4では図示せず)が配置されている。それらの詳細な構成については、後に詳述する。
また、MR素子20を挟んで記録媒体対向面9とは反対側の領域には絶縁層31(図4参照)が充填されている。下部電極11および上部電極14は、例えば、厚みがそれぞれ1μm〜3μmであり、ニッケル鉄合金(NiFe)などの磁性金属材料によりそれぞれ構成されている。これら下部電極11および上部電極14は、MR素子20を積層方向(Z軸方向)に挟んで対向し、MR素子20に不要な磁界の影響が及ばないように機能する。さらに、下部電極11はパッド11Pと接続され、上部電極14はパッド14Pと接続されており、MR素子20に対して積層方向(Z軸方向)に電流を流す電流経路としての機能も有している。MR素子20は、磁性材料を含む金属膜が多数積層された積層構造を有し、磁気記録媒体200からの信号磁場を検出することにより磁気情報を読み出すように機能するものである。一対の磁区制御層12は、磁気記録媒体200のトラック幅方向に対応する方向(X軸方向)に沿ってMR素子20を挟んで対向するように配置されている。
このような構成をなす再生ヘッド部10では、磁気記録媒体200からの信号磁界に応じてMR素子20の電気抵抗が変化することを利用して、記録情報を読み出すようになっている。このMR素子20の詳細な構成については後述する。絶縁層31および絶縁層16は、例えば厚みがそれぞれ10nm〜100nmであり、酸化アルミニウム(Al2O3)または窒化アルミニウム(AlN)などの絶縁材料によりそれぞれ構成されている。絶縁層31は、主に、下部電極11と上部電極14とを電気的に絶縁するためのものであり、絶縁層16は、再生ヘッド部10と記録ヘッド部40とを電気的に絶縁するものである。
続いて、記録ヘッド部40の構成について説明する。図3および図4に示したように、記録ヘッド部40は、再生ヘッド部10の絶縁層16の上に形成されており、下部磁極41、記録ギャップ層42、ポールチップ43、コイル44、絶縁層45、連結部46および上部磁極47を有している。
下部磁極41は、例えば、NiFeなどの磁性材料よりなり、絶縁層16の上に形成されている。記録ギャップ層42は、Al2O3などの絶縁材料よりなり、下部磁極41の上に形成されている。この記録ギャップ層42は、XY平面におけるコイル44の中心部に対応する位置に、磁路形成のための開口部42Aを有している。記録ギャップ層42の上には、記録媒体対向面9の側から順に、ポールチップ43、絶縁層45および連結部46が同一平面内に形成されている。絶縁層45にはコイル44が埋設されている。コイル44は、記録ギャップ層42上に開口部42Aを中心とするように形成されており、例えば銅(Cu)または金(Au)により構成されたものである。なお、コイル44の両端末はそれぞれ電極44S,44Eに接続されている。上部磁極47は、例えば、NiFeなどの磁性材料よりなり、記録ギャップ層42、ポールチップ43,絶縁層45および連結部46の上に形成されている(図4参照)。この上部磁極47は、開口部42Aを介して下部磁極41と接触しており、磁気的に連結している。なお、図示しないが、Al2O3などからなるオーバーコート層が記録ヘッド部40の上面全体を覆うように形成されている。
このような構成を有する記録ヘッド部40は、コイル44に流れる電流により、主に下部磁極41と上部磁極47とによって構成される磁路内部に磁束を生じ、記録ギャップ層42の近傍に生ずる信号磁界によって磁気記録媒体200を磁化し、情報を記録するようになっている。
次に、図5を参照して、本実施の形態の薄膜磁気ヘッド1における再生ヘッド部10A(ここでは、後述する第2の実施の形態における再生ヘッド部10Bと区別するため特に再生ヘッド部10Aと表す。)の詳細な構成について以下に説明する。図5は、再生ヘッド部10Aの、図4におけるV矢視方向から眺めた構造を表す断面図である。
図5に示したように、再生ヘッド部10Aは、第1の磁気シールド層としての下部電極11と、この下部電極11の上に選択的に配置されるMR素子20と、このMR素子20のX軸方向における両隣に配置され、下部電極11とそれぞれ磁気的に連結された一対の軟磁性層17と、MR素子20を挟んで下部電極11と反対側に設けられた第2の磁気シールド層としての上部電極14とを備えている。さらに、一対の絶縁層15の上には一対の磁区制御層12が設けられている。
図5に示したように、MR素子20は、下部電極11の側から順に下地層21と、反強磁性層22と、磁化固着層23と、非磁性介在層(スペーサ層)24と、磁化自由層(フリー層)25と、保護層26とが積層された構造となっている。下地層(バッファ層ともいう。)21は、例えば、1nmの厚みを有するタンタル(Ta)と5nmの厚みを有するニッケル鉄クロム合金(NiFeCr)とが下部電極11の側から積層された積層構造からなり、反強磁性層22と磁化固着層23(より正確には、後述する第2の強磁性層233)との交換結合が良好に行われるように機能するものである。反強磁性層22は、例えば、白金マンガン合金(PtMn)またはイリジウムマンガン合金(IrMn)等の反強磁性を示す材料により、例えば7nmの厚みで構成される。反強磁性層22は、磁化固着層23の磁化方向を固定する、いわゆるピンニング層として機能するものである。
磁化固着層23は、シンセティック構造と呼ばれる3層構造をなしており、第1の強磁性層231と、第2の強磁性層233と、これら第1および第2の強磁性層231,233の間に設けられた非磁性中間層232とを有している。より詳細には、第1の強磁性層231は、X軸方向に沿って固着された磁化方向を示し、例えば5nm〜6nmの厚みをなしている。第2の強磁性層233は、第1の強磁性層231の磁化方向とは反対の向きに固着された磁化方向を示し、例えば4nm〜5nmの厚みをなすものである。第1の強磁性層231は、例えば、非磁性中間層232との界面を形成する第1の隣接層(図示せず)を含む複数の磁性層および非磁性層が積層された多層構造をなしており、その第1の隣接層における磁気膜厚が例えば367kA以上1312kA以下となっている。一方の第2の強磁性層233は、例えば、非磁性中間層232との界面を形成する第2の隣接層(図示せず)を含む複数の磁性層および非磁性層が積層された多層構造をなしており、その第2の隣接層における磁気膜厚が例えば230kA以上1175kA以下となっている。これら第1の隣接層および第2の隣接層は、いずれも、例えば、コバルト(Co)の含有率が70原子パーセント(at%)以上100原子パーセント(at%)未満であるコバルト鉄合金(CoFe)または、単体のコバルトにより構成されている。特に、コバルトと鉄との組成比が9:1であるCoFeにより構成されていることが望ましい。また、非磁性中間層232は、例えばルテニウム(Ru)により構成されている。なお、非磁性中間層232には、ルテニウムに加え、金(Au)、銀(Ag)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ロジウム(Rh)または白金(Pt)などの非磁性金属材料を含むようにしてもよい。
非磁性介在層24は、例えば銅や金などの高い電気伝導率を有する(電気抵抗の小さな)非磁性金属材料からなり、その厚みは例えば、3nmである。非磁性介在層24は、主に、磁化自由層25と磁化固着層23(特に第1の強磁性層231)との磁気結合を切り離すように機能するものである。読出動作時に流れる読出電流は、下部電極11から第1の強磁性層231を経由したのち、この非磁性介在層24を通過して磁化自由層25に達する。このとき、その読出電流の受ける散乱を最小限に抑える必要があることから、上述した電気抵抗の小さな材料により非磁性介在層24を構成することが好ましい。
磁化自由層25は、外部磁界に応じて変化する磁化方向を示すものであり、第1の強磁性層231を挟んで第2の強磁性層233とは反対側に形成されている。磁化自由層25は、例えば、コバルト鉄合金(CoFe)やニッケル鉄合金(NiFe)などからなる強磁性膜と、銅などからなる非磁性膜とを含む多層構造をなしている。磁化自由層25の厚みは、例えば7nm〜8nmである。この磁化自由層25における磁化方向は、外部磁界(本実施の形態では磁気記録媒体200からの信号磁界)の向きや大きさに応じて変化するようになっている。なお、磁化自由層25は、コバルト鉄合金(CoFe)やニッケル鉄合金(NiFe)などの強磁性材料からなる単層構造であってもよい。
保護層26は、例えば、厚みが5nmの銅層と厚みが10nmのルテニウム層とが積層された2層構造となっており、製造過程において、成膜後のMR素子20を保護するように機能するものである。
一対の軟磁性層17は、高透磁率かつ高比抵抗を示す材料、例えば、ニッケル鉄合金(NiFe)もしくはニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)、または、これらニッケル鉄合金(NiFe)もしくはニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)にタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1種を加えたものにより構成され、互いに距離W1を隔てて配置されている。一対の軟磁性層17とMR素子20の端部とは、それぞれ互いに距離W2の隙間を有している。距離W1は、例えば200nmであり、距離W2は、例えば50nmである。また、一対の軟磁性層17は例えば15nmの厚みを有しており、MR素子20における下地層21および反強磁性層22に対応する階層に設けられている。さらに、磁化固着層23および非磁性介在層24に対応する階層にまで及ぶようにしてもよい。但し、軟磁性層17の上面17USが、磁化自由層25の下面25LSと同等の高さ、または下面25LSよりも下側に位置することが望ましい。
一対の絶縁層15は、Al2O3またはAlNなどの電気絶縁性を有する材料によって構成され、MR素子20の両端面20Sから下部電極11の上面を経て、一対の軟磁性層17の上面17USに至るまで連続的に覆うように形成されている。
一対の磁区制御層12は、例えば、コバルト白金合金(CoPt)などにより構成され、X軸方向においてMR素子20を挟むように対向配置されている。一対の磁区制御層12は、磁化自由層25に縦バイアス磁界を印加することで磁化自由層25の単磁区化を促進し、バルクハウゼンノイズの発生を抑制するように機能するものである。ここで一対の磁区制御層12は、一対の絶縁層15が介在することによって、MR素子20、下部電極11および一対の軟磁性層17の全てと電気的に絶縁された状態となっている。なお、一対の絶縁層15との間にクロムチタン合金(CrTi)やタンタル(Ta)などからなる下地層を挿入するようにしてもよい。さらに、上部電極下地層13を介して形成される上部電極14の下面14LSを平坦とし、より良好な再生波形を得るために、磁区制御層12の上面12USが、MR素子20の上面20USと共に共平面をなすように構成されていることが望ましい。
上部電極下地層13は、チタン(Ti)やタンタル(Ta)などの非磁性材料などからなる単層構造または2層構造をなすものであり、上部電極14を形成する際のめっき下地層として機能する。さらに、上部電極下地層13は、磁化自由層25の厚み方向(Z軸方向)における位置のバランスを調整するものとしても機能する。すなわち、MR素子20と接する部分の厚み13Tの大きさを変化させることにより、磁化自由層25と上部電極14との距離を調節することができる。その結果、ビット方向の再生波形の対称性が向上し、かつ、下部電極11および上部電極14に起因する不安定性(instability)を改善することができる。
下部および上部電極11,14は、磁気記録媒体200の磁気情報を読み出す再生動作時において、MR素子20に対してZ軸方向にセンス電流を流すための電流経路として機能するようになっている。
ここで、上記のような構成を有する再生ヘッド部10Aを利用した薄膜磁気ヘッド1の再生動作について、図3から図5を参照して説明する。
再生ヘッド部10Aにより磁気記録媒体200に記録された情報を読み出す際には、記録媒体対向面9が磁気記録媒体200の記録面と対向した状態となっている。このとき、MR素子20には予め、下部電極11および上部電極14を介して積層方向(Z軸方向)に読出電流が流されている。すなわち、MR素子20の内部を、下地層21、反強磁性層22、磁化固着層23、非磁性介在層24、磁化自由層25および保護層26の順に、あるいは、その逆の順に読出電流が流されている。MR素子20においては、信号磁界によって磁化方向が変化する磁化自由層25と、反強磁性層22によって磁化方向がほぼ一定方向に固定されて信号磁界の影響を受けない磁化固着層23との間で、相対的な磁化の向きが変化する。その結果、伝導電子のスピン依存散乱の変化が起こり、MR素子20の電気抵抗に変化が生じる。この電気抵抗の変化は出力電圧の変化をもたらし、この電流変化を検知することにより、磁気記録媒体200の記録情報を読み出すことができる。また、一対の絶縁層15を設けることにより、下部電極11と上部電極14との間を流れるセンス電流が、一対の磁区制御層12にほとんど漏れることがなくなる。すなわち、読出電流がX軸方向に広がることなく確実にMR素子20の幅に限定されて通過することとなるので、磁化自由層25の磁化方向変化による読出電流の抵抗変化を、より高感度に検出することができる。
さらに、一対の軟磁性層17を設けたことにより、再生動作時において、この一対の軟磁性層17があたかも下部電極11の一部として振る舞い、MR素子20に及ぶ不要な磁束を吸い込むように機能する。このため、実効的なリードギャップおよび実効的なトラック幅が狭まることとなる。ここでいう不要な磁束とは、読出対象とするトラックの両隣に位置するトラックからの信号磁場が形成する磁束や、同一トラック上の、読出対象とするビットの前後に位置するビットからの信号磁場が形成する磁束を意味する。この場合、距離W2を最適化することにより、読出対象とするトラックからの信号磁場が形成する磁束を減少させることなく両隣からの不要な磁束のみを除去することが可能となる。したがって、MR素子20の厚みを低減することなく、すなわちMR素子20の抵抗変化量を維持しつつ、より高い記録密度で記録された磁気記録媒体200に対応することが可能となる。
続いて、図6から図13を参照して、薄膜磁気ヘッド1の製造方法について説明する。ここでは、主に再生ヘッド部10Aを形成する部分について詳細に説明する。
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、まず、図6に示したように、基体8の一側面上に下部電極11を形成したのち、この下部電極11を選択的に覆うようにレジストパターン51を形成する。この場合、所定の溶剤を使用してレジストパターン52の端部を一部除去し、アンダーカットを形成するようにしてもよい。こののち、下部電極11のうちのレジストパターン51によって覆われた領域以外の領域を少なくとも覆うように軟磁性膜17Zを形成する。
続いて、図7に示したように、レジストパターン51を除去することにより一定の距離W1を隔てるように配置された一対の軟磁性層17を形成したのち、MR膜20Zを全面に亘って形成する。具体的には、スパッタリング等を用いて、下地層21、反強磁性層22、磁化固着層23、非磁性介在層24、磁化自由層25および保護層26を順に積層することによりMR膜20Zを形成する。さらに、270℃の温度下で10×(250/π)A/mの磁場を付与しながら3時間に亘ってアニール処理を施すことにより磁化固着層23の磁化方向を固着させる。こののち、必要に応じて、磁化固着層23の磁化方向と直交する方向に所定の磁場を付与しながらアニール処理することにより磁化自由層25の初期の磁化方向を設定する。MR膜20Zは、のちにMR素子20となるものである。なお、図6〜図13においては、MR素子20ならびにその形成過程におけるMR膜20Zの内部構造については図示を省略するが、いずれも上記した図5に示したMR素子20と対応する内部構造を有している。
次に、図8に示したように、MR膜20Z上における一対の軟磁性層17どうしの間の領域に、素子幅よりも僅かに大きな幅W20を有するようにレジストパターン52を選択的に形成する。この場合、所定の溶剤を使用してレジストパターン52の端部を一部除去し、アンダーカットを形成するようにしてもよい。レジストパターン52を形成したのち、これをマスクとして用いたドライエッチング(例えば、イオンミリングやRIE)によりMR膜20Zの選択的な除去を行う。この場合、少なくとも下部電極11の上面に達するまでドライエッチングを行う。これにより、一対の軟磁性層17どうしの間の領域に幅Twを有するMR素子20が現れる。この幅Twは、MR素子20の平均的な素子幅を表す。
MR素子20を形成したのち、図9に示したように、これをX軸方向に挟んで両側に隣接するように、一対の絶縁層15および一対の磁区制御層12を形成する。具体的には、例えばスパッタリング等により、全面に亘って絶縁層15と磁区制御層12とを順に形成する。
さらに、レジストパターン52を除去したのち、図10(A),(B)に示したように、MR素子20、絶縁層15、および磁区制御層12を選択的に覆うようにレジストパターン53を形成する。図10(B)は図10(A)に対応する平面図であり、図10(B)に示したXA−XA切断線に沿った矢視方向の断面図が図10(A)である。ここでは図10(B)に示したように、X軸方向に沿って延在する帯状のレジストパターン53を形成する。
レジストパターン53を形成したのち、図11(A),(B)に示したように、これをエッチングマスクとして用い、レジストパターン53に覆われていない領域に対して下部電極11に至るまでドライエッチングを施すことでMR素子20、絶縁層15、および磁区制御層12の加工を行う。さらに、ドライエッチングにより除去された空間を埋めるように絶縁層31を充填したのち、レジストパターン53を除去する。ここで、図11(B)は図10(B)に続く工程を表す平面図であり、図11(B)に示したXIA−XIA切断線に沿った矢視方向の断面図が図11(A)である。
続いて、図12に示したように、MR素子20および一対の磁区制御層12を含む全体を覆うように上部電極下地層13と、第2の磁気シールド層としての上部電極14とを順に形成する。ここでは、例えばスパッタリングにより上部電極下地層13を形成したのち、これをめっき下地層としためっき法により上部電極14を形成する。さらに、図3および図4に示したように、全面に亘って絶縁層16を形成することにより、再生ヘッド部10Aが一応完成する。続いて、再生ヘッド部10Aの上に、下部磁極41と記録ギャップ層42とを順に形成し、記録ギャップ層42の上に選択的にコイル44を形成する。さらに、記録ギャップ層42の一部をエッチングすることにより開口部42Aを形成する。さらに、コイル44を覆うように絶縁層45を形成したのち、ポールチップ43および連結部分46を順次形成する。最後に全体を覆うように上部磁極47を形成することにより記録ヘッド部40が一応完成する。こののち、例えば、スライダ2Aをラッピング処理して記録媒体対向面9を形成する(図13参照)など、所定の工程を経ることにより、薄膜磁気ヘッド1が完成する。なお、図13は、ラッピング処理後のMR素子20を含む積層面(XY平面)と平行な断面図である。
以上説明したように、本実施の形態の薄膜磁気ヘッド1における再生ヘッド部10Aでは、MR素子20の両隣に下部電極11と磁気的に連結した一対の軟磁性層17を設けるようにしたので、再生動作時において、この一対の軟磁性層17があたかも下部電極11の一部として振る舞い、MR素子20に及ぶ不要な磁束を吸い込むように機能する。このため、MR素子20の厚みを低減することなく(抵抗変化量を維持しつつ)、実効的なリードギャップおよび実効的なトラック幅を狭小化することができる。ここで一対の軟磁性層17を下部電極11と磁気的に連結するようにしたので、より確実に不要な磁束を除去することができる。特に、MR素子20は、下部電極11の側から反強磁性層22、磁化固着層23、非磁性介在層24、磁化自由層25が順に積層されたボトムスピンバルブ構造をなしていることから、比較的狭いトラック幅に対応した素子幅Twを確保しつつ、下地層21、反強磁性層22および磁化固着層23の体積を稼ぐことにより比較的大きな抵抗変化量をも確保することができる。したがって、より高い記録密度に対応することが可能となる。
さらに、このようなMR素子20の構造に対応して、一対の軟磁性層17は下地層21および反強磁性層22と同じ階層に位置するように下部電極11上に設けられているので、上部電極14と下部電極11との間における実効的な中間位置にMR素子20を配置することができる。したがって、ビット方向の再生波形の対称性が改善され、バランスのとれた良好な再生波形を得ることができる。
特に、一対の軟磁性層17は、ニッケル鉄合金(NiFe)もしくはニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)、またはニッケル鉄合金(NiFe)もしくはニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)にタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1種を加えたものとするようにしたので、より効率的に不要な磁束を吸収することができる。このため、高記録密度化にあたって、より好適なものとなっている。
さらに、磁化自由層25を挟んで対向するように一対の磁区制御層12を設けるようにしたので、磁化自由層25における単磁区化が十分に促進され、バルクハウゼンノイズの発生を十分に抑制することができる。
[第2の実施の形態]
続いて、図14〜図21を参照して、本発明の第2の実施の形態としての薄膜磁気ヘッドについて以下に説明する。なお、上記第1の実施の形態と実質的に同等の構成部材については同じ符号を付し、その説明については適宜省略する。また、本実施の形態の薄膜磁気ヘッドを備えたヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置の構成は上記第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
続いて、図14〜図21を参照して、本発明の第2の実施の形態としての薄膜磁気ヘッドについて以下に説明する。なお、上記第1の実施の形態と実質的に同等の構成部材については同じ符号を付し、その説明については適宜省略する。また、本実施の形態の薄膜磁気ヘッドを備えたヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリおよび磁気ディスク装置の構成は上記第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
まず、図14を参照して、本実施の形態の薄膜磁気ヘッド1における再生ヘッド部10Bの構成について説明する。図14は、図5に示した再生ヘッド部10Aと対比されるものであり、再生ヘッド部10Bの構造を表す断面図である。
図14に示したように、再生ヘッド部10Bは、下部電極11と、この下部電極11の上に選択的に配置されるMR素子20と、このMR素子20の両端面20Sと下部電極11の上面11Sとを連続的に覆う一対の絶縁層15と、この一対の絶縁層15を覆い、MR素子20のX軸方向における両隣に配置された一対の軟磁性層18と、一対の軟磁性層18の上に順に積層された一対の絶縁層19および一対の磁区制御層12と、MR素子20を挟んで下部電極11と反対側に設けられた上部電極14とを備えている。
一対の軟磁性層18は、一対の軟磁性層17と同様に、高透磁率かつ高比抵抗を示す材料、例えばニッケル鉄合金(NiFe)もしくはニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)、またはニッケル鉄合金(NiFe)もしくはニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)にタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1種を加えたものにより構成され、一対の絶縁層15を介してMR素子20の両端面20Sの傾斜に沿った断面形状をなしている。したがって、再生ヘッド部10Aにおける距離W2の隙間に相当するものは存在せず、MR素子20と一対の軟磁性層18とが一対の絶縁層15を介して互いに近接した状態となっている。一対の軟磁性層18は例えば15nmの厚みを有しており、MR素子20における下地層21および反強磁性層22に対応する階層に主に設けられている。ここで、軟磁性層18の、最も下部電極11から離れた位置ある頂点18Pは、磁化自由層25の下面25LSと同等の高さ、または下面25LSよりも下側に位置することが望ましい。
一対の軟磁性層18を覆う一対の絶縁層19は、下部電極11と上部電極14との間の絶縁性を十分に確保し、MR素子20に対してのみセンス電流が流れるようにするためのものであり、Al2O3またはAlNなどの電気絶縁性材料によって構成されている。
上記のような構成を有する再生ヘッド部10Bを利用した薄膜磁気ヘッド1の再生動作については、上記第1の実施の形態と同様である。本実施の形態においても、再生動作の際、一対の軟磁性層18がMR素子20に及ぶ不要な磁束を吸い込むように機能する。このため、実効的なリードギャップおよび実効的なトラック幅が狭まることとなる。
続いて、図15から図21を参照して、本実施の形態の薄膜磁気ヘッド1の製造方法について説明する。ここでは、主に再生ヘッド部10Bを形成する部分について詳細に説明する。
本実施の形態では、まず、図15に示したように、基体8の一側面上に下部電極11を形成したのち、全面に亘ってMR膜20Zを全面に亘って形成する。次に、図16に示したように、MR膜20Zの上に、素子幅よりも僅かに大きな幅W20を有するようにレジストパターン54を選択的に形成する。この場合、所定の溶剤を使用してレジストパターン54の端部を一部除去し、アンダーカットを形成するようにしてもよい。こののち、レジストパターン54をマスクとして用いたドライエッチング(例えば、イオンミリングやRIE)によりMR膜20Zの選択的な除去を行う。この場合、少なくとも下部電極11の上面に達するまでドライエッチングを行う。あるいは、僅かに下部電極11を掘り下げるようにしてもよい。これにより、幅Twを有するMR素子20が現れる。この幅Twは、MR素子20の平均的な素子幅を表す。
MR素子20を形成したのち、図17に示したように、レジストパターン54をパターニングマスクとして利用してスパッタリングを行い、MR素子20をX軸方向に挟んで両側に隣接するように一対の絶縁層15、一対の軟磁性層18、一対の絶縁層19(第2の絶縁層)および一対の磁区制御層12をこの順に形成する。
さらに、レジストパターン54を除去したのち、図18(A),(B)に示したように、MR素子20、絶縁層15、磁区制御層12および絶縁層19を選択的に覆うようにレジストパターン55を形成する。図18(B)は図18(A)に対応する平面図であり、図18(B)に示したXVIIIA−XVIIIA切断線に沿った矢視方向の断面図が図18(A)である。ここでは図18(B)に示したように、X軸方向に沿って延在する帯状のレジストパターン55を形成する。
レジストパターン55を形成したのち、図19(A),(B)に示したように、これをエッチングマスクとして用い、レジストパターン55に覆われていない領域に対して下部電極11に至るまでドライエッチングを施し、MR素子20、絶縁層15,19および磁区制御層12の加工を行う。さらに、ドライエッチングにより除去された空間を埋めるように絶縁層31を充填したのち、レジストパターン55を除去する。ここで、図19(B)は図18(B)に続く工程を表す平面図であり、図19(B)に示したIXXA−IXXA切断線に沿った矢視方向の断面図が図19(A)である。
続いて、図20に示したように、MR素子20および一対の磁区制御層12を含む全体を覆うように上部電極下地層13と、第2の磁気シールド層としての上部電極14とを順に形成する。ここでは、例えばスパッタリングにより上部電極下地層13を形成したのち、これをめっき下地層としためっき法により上部電極14を形成する。さらに、図3および図4に示したように、全面に亘って絶縁層16を形成することにより、再生ヘッド部10Bが一応完成する。
こののち、再生ヘッド部10Bの上に、上記第1の実施の形態と同様の手順により記録ヘッド部40を形成する。さらに、例えば、スライダ2Aをラッピング処理して記録媒体対向面9を形成する(図21参照)など、所定の工程を経ることにより、薄膜磁気ヘッド1が完成する。なお、図21は、ラッピング処理後のMR素子20を含む積層面(XY平面)と平行な断面図である。
以上説明したように、本実施の形態によれば、特に、一対の軟磁性層17がMR素子20の両端面20Sの傾斜形状に沿ってMR素子20と近接配置されるようにしたので、再生ヘッド部10Aと比較した場合、読出対象としないトラックからの不要な信号磁場が効率よく除去され、いわゆるサイドリーディングをより確実に防止することができる。
また、このような再生ヘッド部10Bは、上記第1の実施の形態における再生ヘッド部10Aと比べて容易、かつ、簡素に製造することができる。すなわち、高精度なアライメント(位置合わせ)が不要であるうえ、比較的少ない工程によって製造可能である。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
以下に述べる本発明の第1,第2の実施例(実施例1,2)は、それぞれ、上記第1および第2の実施の形態において説明した製造方法に基づき、図5および図14に示した断面構造を有する再生ヘッド部10A,10B(MR素子20の構成材料および膜厚については表1に示したとおりである。)を備えた薄膜磁気ヘッドのサンプルを形成し、これらのサンプルについて特性調査をおこなったものである。その結果を表2に示す。
特性調査を行った項目は、表2に示したように、特定周波数(ここでは150MHz)の信号に対するS/N(SpiS/Nと表示)、再生波形の半値幅PW50および実効トラック幅MRWuの3つである。ここでは、軟磁性層に相当するものを有しないサンプルを作製して同様の特性調査を行い、実施例1,2の基準となる比較例とした。表2に示したように、実施例1,2では、いずれの場合もSpiS/N、再生波形の半値幅PW50および実効トラック幅MRWuが改善されていることが確認された。特に、一対の軟磁性層をMR膜と近接するように配置した第2の実施の形態(図14)に対応する実施例2では実施例1よりも改善幅が大きく、より高い記録密度に対応可能なことが確認された。
以上、いくつかの実施の形態および実施例(以下、実施の形態等)を挙げて本発明を説明したが、本発明は、これらの実施の形態等に限定されず、種々変形可能である。例えば、本実施の形態等では、再生ヘッド部および記録ヘッド部の双方を有する複合型の薄膜磁気ヘッドを例に挙げて説明するようにしたが、再生ヘッド部のみ備えた再生専用の薄膜磁気ヘッドであってもよい。
1…薄膜磁気ヘッド、2…ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)、2A…スライダ、2B…サスペンション、3…アーム、4…駆動部、5…固定軸、6…ベアリング、7…スピンドルモータ、8…基体、9…記録媒体対向面、10…再生ヘッド部、11…下部電極、12…磁区制御層、13…上部電極下地層、14…上部電極、15,16,19…絶縁層、17,18…軟磁性層、20…磁気抵抗効果(MR)膜、21…下地層、22…反強磁性層、23…磁化固着層、231…第1の強磁性層、232…非磁性中間層、233…第2の強磁性層、24…非磁性介在層、25…磁化自由層、26…保護層、41…下部磁極、42…記録ギャップ層、43…ポールチップ、44…コイル、45…絶縁層、46…連結部、47…上部磁極、100…筐体、200…磁気記録媒体、300…ヘッドアームアセンブリ(HAA)。
Claims (18)
- 磁気記録媒体と対向する記録媒体対向面を有し、この磁気記録媒体からの信号磁場を検出する磁気抵抗効果素子と、
前記磁気記録媒体のトラック幅方向において前記磁気抵抗効果素子の両隣に配置された一対の軟磁性層と、
前記記録媒体対向面と平行をなすと共に前記トラック幅方向と直交する積層方向において前記磁気抵抗効果素子および一対の軟磁性層を挟み、かつ、前記磁気抵抗効果素子に対して前記積層方向にセンス電流を流す電流経路となる第1の磁気シールド層および第2の磁気シールド層と
を備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。 - 前記一対の軟磁性層は、前記第1の磁気シールド層とそれぞれ磁気的に連結するように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記一対の軟磁性層は、絶縁層を介して前記磁気抵抗効果素子を挟むように互いに対向配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記磁気抵抗効果素子は、
前記第1の磁気シールド層の側から反強磁性層と、磁化固着層と、非磁性層と、磁化自由層とが順に積層されてなるものである
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記一対の軟磁性層は、前記磁気抵抗効果素子における反強磁性層に対応する階層に設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記トラック幅方向において、前記磁気抵抗効果素子のうちの少なくとも前記磁化自由層を挟んで対向するように設けられた一対の磁区制御層をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記一対の軟磁性層は、ニッケル鉄合金(NiFe)もしくはニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)、またはニッケル鉄合金(NiFe)もしくはニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)にタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1種を加えたものである
ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、
この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションと
を有することを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。 - 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、
この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションと、
このサスペンションの他端を支持するアームと
を含むことを特徴とするヘッドアームアセンブリ。 - 磁気記録媒体と、ヘッドアームアセンブリとを備えた磁気ディスク装置であって、
前記ヘッドアームアセンブリは、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドが一側面に設けられた磁気ヘッドスライダと、
この磁気ヘッドスライダが一端に取り付けられたサスペンションと、
このサスペンションの他端を支持するアームと
を含むことを特徴とする磁気ディスク装置。 - 基体上に第1の磁気シールド層を形成する工程と、
前記第1の磁気シールド層を選択的に覆うように第1のレジストパターンを形成する工程と、
前記第1の磁気シールド層のうちの前記第1のレジストパターンによって覆われた領域以外の領域を少なくとも覆うように軟磁性膜を形成する工程と、
前記第1のレジストパターンを除去することにより一定の距離を隔てるように配置された一対の軟磁性層を形成したのち、磁化自由層を含むように磁気抵抗効果膜を全面に亘って形成する工程と、
前記磁気抵抗効果膜上における前記一対の軟磁性層どうしの間の領域に第2のレジストパターンを形成したのち、これをマスクとして用いたドライエッチングにより前記磁気抵抗効果膜の選択的な除去を行い、一対の軟磁性層どうしの間の領域に磁気抵抗効果素子を形成する工程と、
前記磁気抵抗効果素子の上面以外の領域を全て覆うように絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の上に、前記磁気抵抗効果膜パターンを挟んで互いに対向するように一対の磁区制御層を形成する工程と、
前記第2のレジストパターンを除去したのち、少なくとも前記磁気抵抗効果素子および一対の磁区制御層を覆うように第2の磁気シールド層を形成する工程と
を含むことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記一対の軟磁性層よりも前記第2の磁気シールド層に近い側の階層に前記磁化自由層が位置するように前記磁気抵抗効果膜を形成する
ことを特徴とする請求項11に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 基体上に第1の磁気シールド層を形成する工程と、
前記第1の磁気シールド層上に、磁化自由層を含む磁気抵抗効果膜を形成する工程と、
前記第1の磁気シールド層を選択的に覆うようにレジストパターンを形成したのち、これをエッチングマスクとして利用して前記磁気抵抗効果膜の選択的な除去を行い、磁気抵抗効果素子を形成する工程と、
前記レジストパターンをパターニングマスクとして用い、前記磁気抵抗効果膜が選択的に除去された領域を埋めるように、前記磁気抵抗効果素子を挟んで各々互いに対向する一対の第1の絶縁層、一対の軟磁性層、一対の第2の絶縁層および一対の磁区制御層を順に形成する工程と、
前記レジストパターンを除去したのち、少なくとも前記磁気抵抗効果素子および一対の磁区制御層を覆うように第2の磁気シールド層を形成する工程と
を含むことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記磁化自由層よりも前記第1の磁気シールド層に近い側の階層に位置するように前記一対の軟磁性層を形成する
ことを特徴とする請求項13に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第1の磁気シールド層の側から反強磁性層と、磁化固着層と、非磁性介在層と、前記磁化自由層とを順に積層することにより前記磁気抵抗効果膜を形成する
ことを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 少なくとも前記磁化自由層と対応する階層に、前記一対の磁区制御層を形成する
ことを特徴とする請求項11から請求項15のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 自らの上面が前記磁気抵抗効果素子の上面と共に共平面をなすように前記一対の磁区制御層を形成する
ことを特徴とする請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - ニッケル鉄合金(NiFe)もしくはニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)、またはニッケル鉄合金(NiFe)もしくはニッケル鉄コバルト合金(NiFeCo)にタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1種を加えたものを用いて前記一対の軟磁性層を形成する
ことを特徴とする請求項11から請求項17のうちのいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005144543A JP2006323900A (ja) | 2005-05-17 | 2005-05-17 | 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリならびに磁気ディスク装置 |
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Publications (1)
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JP2006323900A true JP2006323900A (ja) | 2006-11-30 |
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Family Applications (1)
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JP2005144543A Withdrawn JP2006323900A (ja) | 2005-05-17 | 2005-05-17 | 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法、ヘッドジンバルアセンブリ、ヘッドアームアセンブリならびに磁気ディスク装置 |
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JP (1) | JP2006323900A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008186543A (ja) * | 2007-01-31 | 2008-08-14 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands Bv | 磁気抵抗効果型ヘッド |
US7916430B2 (en) | 2007-08-09 | 2011-03-29 | Tdk Corporation | Thin-film magnetic head and manufacturing method thereof |
-
2005
- 2005-05-17 JP JP2005144543A patent/JP2006323900A/ja not_active Withdrawn
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