JP2008157195A - エンジンの可変動弁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】可変動弁機構を用いてエンジンブレーキ力を変更できるようにする。
【解決手段】 複数のカムからひとつのカムを選択して排気弁を駆動することで排気弁のリフト量を変更する第1の可変動弁機構11と、カムスプロケットに対する排気カムシャフトの位相を通常の運転状態に対応した位相とエンジンブレーキ状態に対応した位相との間で変更しうる第2の可変動弁機構12と、エンジンブレーキ要求時に、排気カムシャフトの位相をエンジンブレーキ状態に対応した位相となるように第2の可変動弁機構12を制御するとともに、要求エンジンブレーキ力に応じたバルブリフト量となるように第1の可変動弁機構11の作動を制御する制御手段18とを有するように構成する。
【選択図】図1
【解決手段】 複数のカムからひとつのカムを選択して排気弁を駆動することで排気弁のリフト量を変更する第1の可変動弁機構11と、カムスプロケットに対する排気カムシャフトの位相を通常の運転状態に対応した位相とエンジンブレーキ状態に対応した位相との間で変更しうる第2の可変動弁機構12と、エンジンブレーキ要求時に、排気カムシャフトの位相をエンジンブレーキ状態に対応した位相となるように第2の可変動弁機構12を制御するとともに、要求エンジンブレーキ力に応じたバルブリフト量となるように第1の可変動弁機構11の作動を制御する制御手段18とを有するように構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、バルブタイミングを変更できるようにした、エンジンの可変動弁装置に関するものである。
従来より、エンジンブレーキ装置の1つとして、アクセルオフ時に排気通路内の開閉弁を閉じることで排気の圧力を高めてエンジンブレーキ能力を増大させるようにした排気ブレーキ装置が広く実用化されている。
また、これ以外にも、アクセルオフ時に排気弁を通常の排気タイミングと異なるタイミングで開閉することでシリンダ内の圧力状態をコントロールしてエンジンブレーキ能力を増大させるようにした圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置(いわゆるパワータード)が開発,実用化されている。
また、これ以外にも、アクセルオフ時に排気弁を通常の排気タイミングと異なるタイミングで開閉することでシリンダ内の圧力状態をコントロールしてエンジンブレーキ能力を増大させるようにした圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置(いわゆるパワータード)が開発,実用化されている。
ここで、排気弁を用いた圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置の作動原理を簡単に説明すると、このブレーキ装置の作動時には、燃料噴射を停止するとともに、排気弁を以下のように開閉駆動する。
すなわち、吸気行程時には通常通り吸気弁を開いて吸気を取り入れる。次に、圧縮行程時にも通常運転時通り吸気弁及び排気弁をともに閉じて、シリンダ内の吸気を圧縮する。このときの圧縮力がエンジンの回転を妨げる力として作用する。
すなわち、吸気行程時には通常通り吸気弁を開いて吸気を取り入れる。次に、圧縮行程時にも通常運転時通り吸気弁及び排気弁をともに閉じて、シリンダ内の吸気を圧縮する。このときの圧縮力がエンジンの回転を妨げる力として作用する。
次に、圧縮行程から膨張行程に移行する直前に(即ち、上死点近傍において)、排気弁を開いて、圧縮された吸気を排気弁を介して排気ポートに排出する。そして、排気弁を開いたまま膨張行程を行い、このとき排気弁側から空気を吸い込む。
その後、膨張行程から排気行程にかけて排気弁を閉じ、吸排気弁がともに閉じた状態で排気行程を実行する。したがって、上述の圧縮行程と同様に、ピストンに圧縮力が作用して、エンジンの回転が妨げられる。そして、その後ピストンが再び上死点近傍に達すると、吸気弁を開いて圧縮空気を逃がし、再び吸気行程を開始する。
その後、膨張行程から排気行程にかけて排気弁を閉じ、吸排気弁がともに閉じた状態で排気行程を実行する。したがって、上述の圧縮行程と同様に、ピストンに圧縮力が作用して、エンジンの回転が妨げられる。そして、その後ピストンが再び上死点近傍に達すると、吸気弁を開いて圧縮空気を逃がし、再び吸気行程を開始する。
そして、このような圧縮行程及び排気行程でのブレーキ力が連続してピストンに作用することにより、エンジンブレーキ能力が大幅に増大する。言い換えれば、エンジンに負の仕事としてポンプ作動を行なわせることにより、車両の運動エネルギを吸収して制動力に変換するのである。なお、このようにエンジンにより吸収されて、制動力(エンジンブレーキ力)として作用する力を吸収馬力という。
また、上述ではクランクシャフト1回転(360°)毎に、1回のブレーキ力が作用する2サイクル型のパワータードの作用を説明したが、クランクシャフト2回転(720°)毎、1回のブレーキ力が作用する4サイクル型のパワータードも知られている。
ところで、上述したような圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置(パワータード)とは別に、エンジン性能向上を図る目的で吸気弁や排気弁の開閉タイミングやリフト量を変更するようにした可変動弁機構又は可変バルブタイミング機構(以下、VVT機構という)が種々開発されている。
ところで、上述したような圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置(パワータード)とは別に、エンジン性能向上を図る目的で吸気弁や排気弁の開閉タイミングやリフト量を変更するようにした可変動弁機構又は可変バルブタイミング機構(以下、VVT機構という)が種々開発されている。
このようなVVT機構の一例としては、カムシャフトにバルブ開閉タイミングやバルブリフト量の異なる複数のカム(即ち、カムプロフィールの異なる複数のカム)及び各カムにそれぞれ追従するロッカアームを装備して、いずれか一つのロッカアームを選択して使用することで吸排気弁の開閉タイミングを段階的に変更できるようにしたロッカアーム切り換え式(又はカム切り換え式)のVVT機構が知られている。
また、これ以外にも、クランクシャフトに対するカム及びカムシャフトの位相を連続的に変更して、吸排気弁の開閉タイミングを進角又は遅角させるようにしたVVT機構が広く知られている。具体的には、例えば下記の特許文献1に開示されているように、カムシャフトとカムスプロケットとをヘリカルスプラインを介して結合し、カムシャフトの端部をカムスプロケットに対して前後進させることでカムスプロケットとカムシャフトとの位相を変更するようにした技術が知られている。
また、これ以外にも、位相変更式VVT機構として、特許文献2及び3に開示されているようなベーン式VVT機構も広く知られている。このベーン式VVT機構では、カムスプロケットの内周面側に径方向に伸びる複数の壁面有するハウジングを形成するとともに、カムシャフトの端部に羽部(ベーン)をそなえたロータを設け、ベーンが壁面間に位置するようにロータがハウジング内に収納されて構成されている。
また、上記のベーンとハウジングの壁面とで区画される空間には油圧室が形成され、この油圧室への作動油の給排状態を制御することで、ハウジングの壁面間でベーンが移動しうる範囲内で、カムスプロケットに対するカムシャフトの位相を進角又は遅角させることができ、これにより弁の開閉タイミングを変更することができる。
そして、上記特許文献2及び3には、このようなベーン式VVT機構を用いて圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置(パワータード)を構成した技術が開示されている。具体的には、ドライバのアクセルオフを検出すると燃料噴射を停止するとともに、VVT機構により排気弁の開閉タイミングを約180°程度進角させる。これにより、圧縮行程上死点近傍で排気弁が開き、エンジンを上述したような2サイクル型のパワータードとして作動させることができる。
そして、上記特許文献2及び3には、このようなベーン式VVT機構を用いて圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置(パワータード)を構成した技術が開示されている。具体的には、ドライバのアクセルオフを検出すると燃料噴射を停止するとともに、VVT機構により排気弁の開閉タイミングを約180°程度進角させる。これにより、圧縮行程上死点近傍で排気弁が開き、エンジンを上述したような2サイクル型のパワータードとして作動させることができる。
また、特許文献4には、カム切り換え式のVVT機構と位相変更式VVT機構とを吸気弁側に設け、フューエルカット時にカム切り換え式VVT機構により吸気弁のリフト量及び開弁時間を低減するとともに、位相変更式VVT機構により吸気弁の開弁時期を、排気弁の開弁時期と重なるように進角させる技術が開示されている。
特開昭57−24431号公報
特開2004−108217号公報
特開平1−92504号公報
特開平10−115234号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示されたような位相変更式VVT機構では、排気弁の開弁タイミングを変更することができるものの、排気弁のカムリフト特性自体は変更できないため、エンジンブレーキ力を変更することができないという課題がある。
特に、荷物積載時と空車時とで車両重量が大幅に異なるトラック等の商用車では、積載状態に応じて要求されるエンジンブレーキ力が大きく異なり、要求エンジンブレーキ力に応じて実エンジンブレーキ力を可変化させたいという要望がある。
特に、荷物積載時と空車時とで車両重量が大幅に異なるトラック等の商用車では、積載状態に応じて要求されるエンジンブレーキ力が大きく異なり、要求エンジンブレーキ力に応じて実エンジンブレーキ力を可変化させたいという要望がある。
なお、位相変更式VVT機構を用いて、排気弁の開弁時期を圧縮行程の上死点近傍で調整することでエンジンブレーキ力を可変化することも考えられるが、このような制御は中間位相を使用することになるため、特に油圧の位相変更式VVT機構ではレスポンスと位相保持能力において確実性に欠ける。
また、特許文献4に開示された技術では、エンジンブレーキ力が必要なときに、カム切り換え式VVT機構と位相変更式VVT機構とにより、吸気弁のリフト量と開弁タイミングとを切り換えているが、車両に要求されるエンジンブレーキ力に応じて実際のエンジンブレーキ力を変更することはできない。
また、特許文献4に開示された技術では、エンジンブレーキ力が必要なときに、カム切り換え式VVT機構と位相変更式VVT機構とにより、吸気弁のリフト量と開弁タイミングとを切り換えているが、車両に要求されるエンジンブレーキ力に応じて実際のエンジンブレーキ力を変更することはできない。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、VVT機構を用いてエンジンブレーキ力を変更できるようにした、エンジンの可変動弁装置を提供することを目的とする。
このため、本発明のエンジンの可変動弁装置は、カムプロフィールの異なる複数のカムからひとつのカムを選択して、該選択されたカムのカムプロフィールに応じて排気弁を駆動することで該排気弁のリフト量を変更しうる第1の可変動弁機構と、カムスプロケットと排気カムシャフトとの間に介装され、該カムスプロケットに対する該排気カムシャフトの位相を通常の運転状態に対応した位相とエンジンブレーキ状態に対応した位相との間で変更しうる第2の可変動弁機構と、エンジンブレーキ要求時に、該排気カムシャフトの位相がエンジンブレーキ状態に対応した位相となるように第2の可変動弁機構の作動を制御するとともに、該エンジンを搭載した車両に要求されるエンジンブレーキ力に応じたリフト量となるように該第1の可変動弁機構の作動を制御する制御手段とを有することを特徴としている(請求項1)。
また、該車両の重量を検出又は推定する重量検出手段をそなえ、該制御手段は、該エンジンブレーキ要求時には、該重量検出手段で得られた該車両の重量に応じて該複数のカムからひとつのカムを選択するのが好ましい(請求項2)。
また、該複数のカムは、カムリフト量が相対的に小さい第1のカムと、カムリフト量が第1のカムよりも大きい第2のカムの2つのカムを有し、該第1のカムは、該排気カムシャフトの位相が通常の運転状態に対応した位相のときに該エンジンの運転に最適なカムプロフィールに形成され、該第2のカムは、該排気カムシャフトの位相がエンジンブレーキ状態に対応した位相のときに最大エンジンブレーキ力が得られるようなカムプロフィールに形成されているのが好ましい(請求項3)。
また、該複数のカムは、カムリフト量が相対的に小さい第1のカムと、カムリフト量が第1のカムよりも大きい第2のカムの2つのカムを有し、該第1のカムは、該排気カムシャフトの位相が通常の運転状態に対応した位相のときに該エンジンの運転に最適なカムプロフィールに形成され、該第2のカムは、該排気カムシャフトの位相がエンジンブレーキ状態に対応した位相のときに最大エンジンブレーキ力が得られるようなカムプロフィールに形成されているのが好ましい(請求項3)。
また、該第1のカムと該第2のカムとでは、開弁タイミングは該第2のカムの方が早くなるように各カムプロフィールが形成されているのが好ましい(請求項4)。
また、該制御手段は、該排気カムシャフトの位相が通常の運転状態に対応した位相のときには該エンジンの負荷又は回転数に応じて該複数のカムを切り換えるのが好ましい(請求項5)。
また、該制御手段は、該排気カムシャフトの位相が通常の運転状態に対応した位相のときには該エンジンの負荷又は回転数に応じて該複数のカムを切り換えるのが好ましい(請求項5)。
また、該エンジンブレーキ状態に対応した位相が、圧縮行程末期又は膨張行程初期に該排気弁が開弁を開始するような位相であるのが好ましい(請求項6)。
本発明の可変動弁装置によれば、エンジンブレーキ要求時には、第2の可変動弁機構により排気カムシャフトの位相がエンジンブレーキ状態に対応した位相となり、さらに、第1の可変動弁機構により車両に要求されるエンジンブレーキ力に応じたリフト量となるようにカムが切り換えられる。これにより車速や積載量等種々の走行条件に応じてエンジンブレーキ力を変更することができる(請求項1)。
また、エンジンブレーキ要求時には、車両の重量に応じてエンジンブレーキ力を変更することができるので、トラック等の積載重量が大きく変動する車両に好適な可変動弁装置を提供することができる。具体的には、車重が重いときには吸収馬力が大きくなるように排気弁のリフト量が大きくなるカムを使用することによりエンジンブレーキ力が増大し、車重が軽いときには、車重が重いときに比べて排気弁のリフト量が少なくなるカムを使用することにより、過大なエンジンブレーキ力を抑制でき、エンジンブレーキ作動時の違和感を低減できる利点がある。(請求項2)。
また、第1のカムのカムプロフィールを、排気カムシャフトの位相が通常の運転状態に対応した位相のときに最適となるよう形成するとともに、第2のカムのカムプロフィールを、エンジンブレーキ状態に対応した位相のときに最大エンジンブレーキ力が得られるように形成することで、エンジンブレーキ力を変更できるようにしながら、通常運転時のドライバビリティを損なうことがないという利点がある(請求項3)。
また、第1のカムの開弁タイミングよりも第2のカムの開弁タイミングが早くなるように2つのカムのカムプロフィールを形成することで、第1のカムよりも第2のカムのほうが吸収馬力が大きくなり、排気ブレーキ力を高めることができる(請求項4)。
また、排気カムシャフトの位相が通常の運転状態に対応した位相のときには、エンジンの負荷又は回転数に応じてカムリフト量の小さい第1のカムとカムリフト量の大きい第2のカムとを切り換えるので、エンジンの運転状態に応じて低燃費運転モードと高出力運転モードとを切り換えることができる(請求項5)。
また、排気カムシャフトの位相が通常の運転状態に対応した位相のときには、エンジンの負荷又は回転数に応じてカムリフト量の小さい第1のカムとカムリフト量の大きい第2のカムとを切り換えるので、エンジンの運転状態に応じて低燃費運転モードと高出力運転モードとを切り換えることができる(請求項5)。
また、該エンジンブレーキ状態に対応した位相が、圧縮行程末期又は膨張行程初期に該排気弁が開弁を開始するような位相とすることにより、2サイクル型の圧縮圧開放型エンジンブレーキ補助装置を容易に実現することができる(請求項6)。
以下、図面により、本発明の一実施形態に係るエンジンの可変動弁装置について説明すると、図1はその要部構成について示す模式的なブロック図、図3は第1の可変動弁機構の一例を示す模式図、図2は第2の可変動弁機構について説明する図、図4は本発明の一実施形態に係るエンジンの可変動弁装置の作用について説明するカムリフト線図、図6はその作用について説明するフローチャートである。
図1に示すように、エンジン1には、吸気弁及び排気弁2(図3参照)のリフト量を変更可能なロッカアーム切り換え式(又はカム切り換え式)の可変動弁機構(第1の可変動弁機構又は第1のVVT機構)11と、吸気弁及び排気弁2の開閉タイミングを変更可能な位相変更式の可変動弁機構(第2の可変動弁機構又は第2のVVT機構)12とがそれぞれ設けられている。
また、図2に示すように、位相変更式VVT機構12は排気弁のバルブタイミングを変更する排気側VVT機構(排気VVT)12aと吸気弁のバルブタイミングを変更する吸気側VVT機構(吸気VVT)12bとから構成されており、これらの排気VVT12aと吸気VVT12bとの作動を独立して制御できるように構成されている。
同様に、図3に示すように、ロッカアーム切り換え式可変動弁機構11についても排気弁2のバルブタイミングを変更する排気側VVT機構(排気VVT)と吸気弁のバルブタイミングを変更する吸気側VVT機構(吸気VVT)とから構成されており、これらの排気VVTと吸気VVTとの作動を独立して制御できるように構成されている。
同様に、図3に示すように、ロッカアーム切り換え式可変動弁機構11についても排気弁2のバルブタイミングを変更する排気側VVT機構(排気VVT)と吸気弁のバルブタイミングを変更する吸気側VVT機構(吸気VVT)とから構成されており、これらの排気VVTと吸気VVTとの作動を独立して制御できるように構成されている。
なお、本実施形態では吸気及び排気の両方にVVT機構11,12を設けているが、VVT機構11,12は少なくとも排気側に設けられていればよく、吸気側には設けなくてもよい。また、以下では、同じ部材について吸気側と排気側とで区別する場合には符号の末尾にそれぞれa,bを付し、吸排気の区別を省略する場合には、数字のみの符号で示す。
そして、本実施形態においては、エンジンブレーキの要求時には、燃料噴射を休止するとともに、位相変更式VVT機構12aを作動させて排気弁の作動タイミングを変更することにより、エンジン1を圧縮圧開放型エンジン補助ブレーキ装置(いわゆるパワータード)として作動させて、エンジンブレーキ力を得るようになっている。
さて、この位相変更式VVT機構12はいわゆるベーン式のVVT機構であって、図2に示すように、クランクシャフト3により回転駆動されるカムスプロケット4(4a,4b)と、エンジン1の吸気弁及び排気弁を開閉駆動するカム(図示略)を有するカムシャフト5(5a,5b)と、カムスプロケット4に対する該カムシャフト5の位相を通常の運転状態に対応した位相からエンジンブレーキ状態に対応した位相までの間で変更しうる位相変更機構6(6a,6b)とを有している。また、位相変更機構6は、カムスプロケット4とカムシャフト5との間に介装されており、加圧された作動油(作動流体)の給排状態に応じてカムシャフト5を連続的に進角させたり遅角させたりすることができるように構成されている。
さて、この位相変更式VVT機構12はいわゆるベーン式のVVT機構であって、図2に示すように、クランクシャフト3により回転駆動されるカムスプロケット4(4a,4b)と、エンジン1の吸気弁及び排気弁を開閉駆動するカム(図示略)を有するカムシャフト5(5a,5b)と、カムスプロケット4に対する該カムシャフト5の位相を通常の運転状態に対応した位相からエンジンブレーキ状態に対応した位相までの間で変更しうる位相変更機構6(6a,6b)とを有している。また、位相変更機構6は、カムスプロケット4とカムシャフト5との間に介装されており、加圧された作動油(作動流体)の給排状態に応じてカムシャフト5を連続的に進角させたり遅角させたりすることができるように構成されている。
また、本実施形態においては、カムシャフト5の位相が最遅角のときに、エンジン1の通常運転に適した排気弁の作動タイミングとなるように設定されており、この状態から、カムシャフト5をカムスプロケット4に対して最大で約90°(クランクシャフト角度で約180°)進角させることで、エンジンブレーキ状態に対応した排気弁作動タイミングに変更することができるようになっている。
これにより、図4に示すように、カムシャフト5の最進角時には、圧縮行程末期に排気弁が開弁するとともに、排気行程初期に排気弁が閉弁することになり、排気弁の開閉タイミングをエンジンブレーキ状態に対応した位相に変更することができる。
なお、最大進角時の排気弁の開弁開始タイミングは圧縮行程末期に限定されず、圧縮行程末期から膨張行程初期までの間であればよく、吸収馬力が最大となる時期が好ましい。また、同様に排気弁の閉弁タイミングは排気行程初期に限定されず、膨張行程末期から排気行程初期までの間であればよい。
なお、最大進角時の排気弁の開弁開始タイミングは圧縮行程末期に限定されず、圧縮行程末期から膨張行程初期までの間であればよく、吸収馬力が最大となる時期が好ましい。また、同様に排気弁の閉弁タイミングは排気行程初期に限定されず、膨張行程末期から排気行程初期までの間であればよい。
また、本実施形態では、圧縮行程上死点近傍で排気弁を開弁駆動するのに必要なカムシャフト駆動トルクを発生することができる油圧を位相変更機構6に供給可能に構成されており、排気弁の開閉タイミングを圧縮行程上死点近傍まで確実に進角させることができるようになっている。
図2に示すように、排気側のスプロケット4aと、吸気側のスプロケット4bとはタイミングベルト7を介してエンジン1のクランクシャフト3に接続されており、クランクシャフト3が2回転するとカムスプロケット4及びカムシャフト5が1回転するようにクランクシャフト7の速度が半分に減速されてカムスプロケット4に伝達されるようになっている。なお、タイミングベルト(タイミングチェーン)7にはテンショナ8によって適当なテンションが与えられている。
図2に示すように、排気側のスプロケット4aと、吸気側のスプロケット4bとはタイミングベルト7を介してエンジン1のクランクシャフト3に接続されており、クランクシャフト3が2回転するとカムスプロケット4及びカムシャフト5が1回転するようにクランクシャフト7の速度が半分に減速されてカムスプロケット4に伝達されるようになっている。なお、タイミングベルト(タイミングチェーン)7にはテンショナ8によって適当なテンションが与えられている。
そして、上記の位相変更機構6により、排気側スプロケット4aと排気カムシャフト5aとの相対位相及び吸気側スプロケット4bと吸気カムシャフト5bとの相対位相をそれぞれ独立して変更することで、クランクシャフト3の回転位相に対して排気弁及び吸気弁の開閉タイミングを変更・調整できるようになっている。また、位相変更機構6は、最遅角時には、カムスプロケット4とカムシャフト5との相対位相を最遅角位相に保持するロック機構(図示省略)が設けられている。
なお、タイミングベルト7の進行方向へのカムシャフト5の位相変更が進角側への位相変更となり、タイミングベルト7の進行方向とは逆方向への位相変更が遅角側への位相変更となる。
また、位相変更機構6の構成についてはすでに広く公知のものであり、例えば、上述した特許文献2及び3に開示されたものと同様に構成されているので、詳しい説明を省略する。
また、位相変更機構6の構成についてはすでに広く公知のものであり、例えば、上述した特許文献2及び3に開示されたものと同様に構成されているので、詳しい説明を省略する。
次に、ロッカアーム切り換え式VVT機構(第1のVVT機構)11について図3及び図4を用いて簡単に説明すると、このVVT機構11では、排気カムとして比較的バルブリフトの小さいカムプロフィールを有する第1のカム13と、第1カムよりはバルブリフト量の大きいカムプロフィールを有する第2のカム14とを有している。
また、カムシャフト5に近接した位置には、上記カムシャフト5と平行にロッカシャフト21が設けられており、このロッカシャフト21に第1〜第3のロッカアーム15〜17が回動自在に軸支されている。
また、カムシャフト5に近接した位置には、上記カムシャフト5と平行にロッカシャフト21が設けられており、このロッカシャフト21に第1〜第3のロッカアーム15〜17が回動自在に軸支されている。
このうち、第1のロッカアーム15及び第2のロッカアーム16には、その一端部にローラ15A,16Aが介装されており、このローラ15A,16Aを介して第1,第2のロッカアーム15,16がカム13,14に当接するようになっている。そして、カムシャフト5が回転することにより、各ロッカアーム15,16がカム13,14の形状に応じて揺動するようになっている。
また、第3のロッカアーム17は図示するように第1のロッカアーム15と第2のロッカアーム16との間に配設されており、その先端部が排気弁2に当接している。したがって、この第3のロッカアーム17が揺動することにより、排気弁2が開閉駆動されようになっている。
また、第1〜第3のロッカアーム15〜17内には、第3のロッカアーム17と一体に揺動するロッカアームを切り換える切換機構19が設けられており、この切換機構19により、第1のロッカアーム15と第3のロッカアーム17とが一体になって揺動駆動される第1のモードと、第2のロッカアーム16と第3のロッカアーム17とが一体になって揺動駆動される第2のモードとが切り換えられるようになっている。
また、第1〜第3のロッカアーム15〜17内には、第3のロッカアーム17と一体に揺動するロッカアームを切り換える切換機構19が設けられており、この切換機構19により、第1のロッカアーム15と第3のロッカアーム17とが一体になって揺動駆動される第1のモードと、第2のロッカアーム16と第3のロッカアーム17とが一体になって揺動駆動される第2のモードとが切り換えられるようになっている。
そして、エンジンの運転状態に応じてロッカアームを切り換えることにより(つまり、排気弁2を駆動するカムを切り換えることにより)、排気弁2のバルブリフト量を変更するようになっている。
ここで、切替機構19は作動油の給排状態に応じて進退する油圧ピストン20を有しており、この油圧ピストン20の位置を切り換えることで第1〜第3のロッカアーム15〜17の係合状態が切り換えられるようなっている。図3に示す状態(破線参照)では、第2のロッカアーム16と第3のロッカアーム17とが係合した状態となっており、この状態から油圧ピストン20の図中右側端部に作動油を供給することにより、油圧ピストン20が左側に移動し(二点鎖線参照)、第2のロッカアーム16と第3のロッカアーム17との係合が解除されるようになっている。また、このときには第1のロッカアーム15と第3のロッカアーム17とが係合するようになっている。なお、この切替機構19はその構造及び作動を概念的に簡略化して示すものであって、詳細な構成については省略する。
ここで、切替機構19は作動油の給排状態に応じて進退する油圧ピストン20を有しており、この油圧ピストン20の位置を切り換えることで第1〜第3のロッカアーム15〜17の係合状態が切り換えられるようなっている。図3に示す状態(破線参照)では、第2のロッカアーム16と第3のロッカアーム17とが係合した状態となっており、この状態から油圧ピストン20の図中右側端部に作動油を供給することにより、油圧ピストン20が左側に移動し(二点鎖線参照)、第2のロッカアーム16と第3のロッカアーム17との係合が解除されるようになっている。また、このときには第1のロッカアーム15と第3のロッカアーム17とが係合するようになっている。なお、この切替機構19はその構造及び作動を概念的に簡略化して示すものであって、詳細な構成については省略する。
また、上述のようなロッカアーム式VVT機構11については、図3に示すような構成に限定されず、種々の公知の技術が適用可能である。例えば特開2001−41017号公報や、特開2005−105953号公報に開示された技術を適用可能である。
さて、次に本発明の要部について説明すると、図1に示すように、このエンジン1が搭載される車両には、当該車両の速度を検出する車速センサ(車速検出手段)40と、アクセルのオンオフを検出するアイドルスイッチ41と、カムシャフト6の位相を検出するカム各センサ42が設けられており、これらのセンサ40〜42はいずれもECU18の入力側に接続されている。
さて、次に本発明の要部について説明すると、図1に示すように、このエンジン1が搭載される車両には、当該車両の速度を検出する車速センサ(車速検出手段)40と、アクセルのオンオフを検出するアイドルスイッチ41と、カムシャフト6の位相を検出するカム各センサ42が設けられており、これらのセンサ40〜42はいずれもECU18の入力側に接続されている。
ここで、アイドルスイッチ41はエンジンブレーキ要求の有無を検出するための手段であって、アクセルペダル開度が全閉となると、アイドルスイッチ41がオンとなりエンジンブレーキ要求があったと判定するようになっている。
なお、エンジンブレーキ要求を検出することができれば、アイドルスイッチ41に代えて他のセンサを適用してもよい。例えば、アクセル開度センサやブレーキスイッチを用いてもよいし、ドライバの操作によりオンオフ操作されるエンジンブレーキスイッチを用いてもよい。
なお、エンジンブレーキ要求を検出することができれば、アイドルスイッチ41に代えて他のセンサを適用してもよい。例えば、アクセル開度センサやブレーキスイッチを用いてもよいし、ドライバの操作によりオンオフ操作されるエンジンブレーキスイッチを用いてもよい。
また、上述のセンサ以外にも車両の重量を検出する重量センサ(重量検出手段)43が設けられており、この重量センサ43もECU18に接続されている。また、本実施形態では車両として積載量に応じて車両重量が大きく変動するトラックが適用されており、この重量センサ43からの情報により、現在の積載荷重を判定することができるようになっている。
なお、重量検出手段43としてはこのような重量センサにのみ限定されるものではなく、例えば特開2001−304948号公報に開示されたような、車両の加速度に基づいて重量を推定するような技術を適用してもよい。
また、ECU18の出力側には、ロッカアーム切り換え式VVT機構11及び位相変更式VVT12が接続されており、各センサ40〜43からの情報に基づいて、各VVT機構11,12に対する制御信号を設定して各VVT機構11,12の作動を制御するようになっている。
また、ECU18の出力側には、ロッカアーム切り換え式VVT機構11及び位相変更式VVT12が接続されており、各センサ40〜43からの情報に基づいて、各VVT機構11,12に対する制御信号を設定して各VVT機構11,12の作動を制御するようになっている。
ところで、排気カムとして設けられた2つのカム13,14は、単に第2のカム14のリフト量を第1のカムのリフト量よりも相対的に大きく設定しただけのものではない。すなわち、第1のカム13は、エンジンの通常運転時(エンジンブレーキ非作動時)に効率よく運転が行われるようなカムプロフィールに形成されている。具体的には、エンジン1の低速から中速域にかけて、排気行程時における排気効率が最適となるようにカムプロフィールが形成されている(図4の線A参照)。
一方、第2のカム14は、位相変更式VVT機構12により排気弁の作動タイミングを略180°進角させたとき、すなわちエンジンブレーキの作動時に、最大エンジンブレーキ力が得られるようなカムプロフィールに設定されている(図4の線B参照)。
そして、エンジンブレーキ力を作用させるべく位相変更式VVT機構12によりカムシャフト5の位相を最進角させた状態において、ロッカアーム切り換え式VVT機構11によりカム13,14(又はロッカアーム15,16)を切り換えることで、エンジンブレーキ力を変更するようになっている。
そして、エンジンブレーキ力を作用させるべく位相変更式VVT機構12によりカムシャフト5の位相を最進角させた状態において、ロッカアーム切り換え式VVT機構11によりカム13,14(又はロッカアーム15,16)を切り換えることで、エンジンブレーキ力を変更するようになっている。
より具体的には、ECU18では、アクセルオフ等によりエンジンブレーキ要求が検出されると、位相変更式VVT機構12を最進角させるとともに、車両に要求されるエンジンブレーキ力を求め、この要求エンジンブレーキ力に応じてロッカアーム切り換え式VVT機構11を制御してカム13,14を切り換えるようになっている。
また、本実施形態では、車両に要求されるエンジンブレーキ力を車重に基づいて求める(或いは設定する)ようになっている。これは、車重が大きくなるほど慣性が大きくなり、強いエンジンブレーキ力が必要とされるからであって、本実施形態では、重量センサ43で得られる車重が所定の閾値以上である場合には、要求エンジンブレーキ力を「大」、車重が所定の閾値未満である場合には、要求エンジンブレーキ力を「小」と判定するようになっている。
また、本実施形態では、車両に要求されるエンジンブレーキ力を車重に基づいて求める(或いは設定する)ようになっている。これは、車重が大きくなるほど慣性が大きくなり、強いエンジンブレーキ力が必要とされるからであって、本実施形態では、重量センサ43で得られる車重が所定の閾値以上である場合には、要求エンジンブレーキ力を「大」、車重が所定の閾値未満である場合には、要求エンジンブレーキ力を「小」と判定するようになっている。
そして、要求エンジンブレーキ力が「大」であれば(すなわち、車重が所定の閾値以上であれば)、エンジンブレーキ作動時に第2のカム14及び第2のロッカアーム16が選択され、要求エンジンブレーキ力が「小」であれば(車重が所定の閾値未満であれば)、第1のカム13及び第1のロッカアーム15が選択されるようになっている。
これにより、車両に荷物を積載して車重が増大している場合には、アクセルオフで強いエンジンブレーキ力を得ることができ(大きな吸収馬力を得ることができ)、荷物の積載量が少ない場合には、アクセルオフで相対的に弱めのエンジンブレーキ力を得ることができる。このように、本装置では、車両に要求されるエンジンブレーキ力を可変化することができ、これにより、車両の安全性を大幅に向上させることができる。
これにより、車両に荷物を積載して車重が増大している場合には、アクセルオフで強いエンジンブレーキ力を得ることができ(大きな吸収馬力を得ることができ)、荷物の積載量が少ない場合には、アクセルオフで相対的に弱めのエンジンブレーキ力を得ることができる。このように、本装置では、車両に要求されるエンジンブレーキ力を可変化することができ、これにより、車両の安全性を大幅に向上させることができる。
なお、上述では車両に要求されるエンジンブレーキ力を車重に応じて求めるとともに、この要求エンジンブレーキ力に基づいて2つのカム13,14から1つのカムを選択しているが、これ以外のパラメータに基づいて要求エンジンブレーキ力を求めてもよい。例えば車速センサ40で得られる車速に応じて要求エンジンブレーキ力を設定してもよい。この場合、所定車速以上に達すると要求エンジンブレーキ力を「大」と設定し、アクセルオフ時に、大きなエンジンブレーキ力が得られるように第2のカム14に切り換えるようにすればよい。また、車速と車重との2つのパラメータに基づいて、エンジンブレーキ力の設定を変更するようにしてもよい。
また、通常運転時には、ロッカアーム切り換え式の可変動弁機構11は、一般的な可変動弁機構と同様にその作動が制御されるようになっている。つまり、ECU18ではいずれも図示しないエンジン回転数センサ及びアクセル開度センサからエンジン回転数及びエンジン負荷を求め、低負荷,低回転領域では第1のカム13を選択し、高負荷,高回転領域では第2のカム14を選択するようになっている。この場合、第2のカム14は、エンジン1の高負荷,高回転領域で最適な排気効率が得られるようなカムプロフィールとして形成されたものではないが、第1のカム13よりもカムリフト量が大きいため、第1のカム13を選択するよりも第2のカム14を選択した方が高回転時又は高負荷時においては排気効率を高めることができる。
ところで、ロッカアーム切り換え式可変動弁機構11として、単に従来の公知のVVT機構をそのまま適用してしまうと、第2のカムで通常運転を行なっている状態でアクセルオフ→エンジンブレーキ作動時となる場合には、一旦アクセルオフに伴い第1のカム13に切り換えられる場合がある。
そして、その後要求エンジンブレーキ力が大の場合には、ロッカアーム切り換え式可変動弁機構11により再び第2のカム14へ切り換えられると同時に、位相変更式可変動弁機構12によりカムシャフト5の位相を最進角させることになる。
そして、その後要求エンジンブレーキ力が大の場合には、ロッカアーム切り換え式可変動弁機構11により再び第2のカム14へ切り換えられると同時に、位相変更式可変動弁機構12によりカムシャフト5の位相を最進角させることになる。
この場合、ロッカアーム切り換え式可変動弁機構11では第2のカム14→第1のカム13→第2のカム14と切り換えが連続して実行されるが、第1のカム13への切り換えは不要な動作であり、レスポンス遅れを生じる原因となる。
このため、第2のカム14で運転している状態でエンジンブレーキの作動要求があったときには、要求されるエンジンブレーキ力が「大」であれば、第1のカム13への切り替えが禁止されるようになっている。
このため、第2のカム14で運転している状態でエンジンブレーキの作動要求があったときには、要求されるエンジンブレーキ力が「大」であれば、第1のカム13への切り替えが禁止されるようになっている。
これにより、第2のカム14での運転時にアクセルオフによりエンジンブレーキが作動する場合には、要求エンジンブレーキ力が「大」であると、ロッカアーム切り換え式可変動弁機構11を作動させることなく、位相変更式可変動弁機構12によりカムシャフト5を進角させるのみで大きなエンジンブレーキ力を得ることができる。
さらには、本実施形態では、第1のカム13と第2のカム14とでは、図4に示すように、開弁タイミングは第2のカム14の方が早くなるように設定され、且つ閉弁タイミングは同時となるように各カムプロフィールが形成されている。これは、第2のカム14の開弁タイミングを早めることで排気ブレーキ力をさらに高めることができるからである。
さらには、本実施形態では、第1のカム13と第2のカム14とでは、図4に示すように、開弁タイミングは第2のカム14の方が早くなるように設定され、且つ閉弁タイミングは同時となるように各カムプロフィールが形成されている。これは、第2のカム14の開弁タイミングを早めることで排気ブレーキ力をさらに高めることができるからである。
本発明の一実施形態に係るエンジンの可変動弁装置は上述のように構成されているので、その作用を図6のフローチャートを用いて簡単に説明すると以下のようになる。
まず、ステップS1において重量センサ43から車両の重量を読み込み、次に、ステップS2でエンジンブレーキ要求の有無を判定する。なお、ここではアイドルスイッチ41がオン(アクセルがオフ)のときエンジンブレーキ要求ありと判定し、アイドルスイッチ41がオフ(アクセルがオン)のときエンジンブレーキ要求なしと判定する。
まず、ステップS1において重量センサ43から車両の重量を読み込み、次に、ステップS2でエンジンブレーキ要求の有無を判定する。なお、ここではアイドルスイッチ41がオン(アクセルがオフ)のときエンジンブレーキ要求ありと判定し、アイドルスイッチ41がオフ(アクセルがオン)のときエンジンブレーキ要求なしと判定する。
ここで、アクセルオン、すなわちエンジンブレーキ要求なしであれば、ステップS7以降に進み、通常運転が行われる。すなわち、この場合にはステップS7でエンジン回転数及びエンジン負荷を読み込むとともに、このエンジン回転数及びエンジン負荷に応じたカムを選択し、このカムに対応したロッカアームと第3のロッカアーム17とが係合するようにロッカアーム切り換え式可変動弁機構11が制御される。
また、ステップS8において、カムシャフト5の位相が最遅角となるように位相変更式可変動弁機構12が制御される。これにより、通常運転時には、吸気,圧縮,膨張,排気の4行程からなるエンジン運転が実行されるとともに、エンジン回転数や負荷に応じて、カム(ロッカアーム)が切り換えられ、排気弁2のリフト量が変更される。
具体的には低回転及び低負荷の運転領域では、排気効率が最適となるようなカムプロフィールを有する第1のカム13が選択され低燃費運転モードとなり、高回転域又は高負荷域では比較的バルブリフトが大きい第2のカムが選択されて高出力運転モードとなる。したがって、エンジン1の通常運転時には低燃費運転と高出力運転とを両立することができる。
具体的には低回転及び低負荷の運転領域では、排気効率が最適となるようなカムプロフィールを有する第1のカム13が選択され低燃費運転モードとなり、高回転域又は高負荷域では比較的バルブリフトが大きい第2のカムが選択されて高出力運転モードとなる。したがって、エンジン1の通常運転時には低燃費運転と高出力運転とを両立することができる。
一方、ステップS2でアクセルオフ、すなわちエンジンブレーキ要求ありと判定された場合にはステップS3に進み、ステップS1で得られた現在の車両重量が所定値(閾値)以上か否かを判定する。
そして、車両重量が所定値以上であれば、ステップS5に進んで第2のカム14が選択される。この場合、第2のロッカアーム16と第3のロッカアーム17とが係合するようにロッカアーム切り換え式可変動弁機構11が制御される。
そして、車両重量が所定値以上であれば、ステップS5に進んで第2のカム14が選択される。この場合、第2のロッカアーム16と第3のロッカアーム17とが係合するようにロッカアーム切り換え式可変動弁機構11が制御される。
また、車両重量が所定値未満であれば、ステップS4において第1のカム13が選択される。そして、この場合には、第1のロッカアーム15と第3のロッカアーム17とが係合するようにロッカアーム切り換え式可変動弁機構11が制御される。
次に、ステップS6に進み、カムシャフト5の位相が最進角となるように位相変更式可変動弁機構12が制御される。これにより、圧縮行程から膨張行程にかけて排気弁2が開弁して、カムのリフト量に応じたエンジンブレーキ力を得ることができる。
次に、ステップS6に進み、カムシャフト5の位相が最進角となるように位相変更式可変動弁機構12が制御される。これにより、圧縮行程から膨張行程にかけて排気弁2が開弁して、カムのリフト量に応じたエンジンブレーキ力を得ることができる。
以上により、本装置によれば、エンジンブレーキ作動時(パワータード作動時)には、簡素な構成で排気弁2のリフト量を車両重量に応じて変更することができる。すなわち、車重が重いときには排気弁2のリフト量を増大させることで吸収馬力を増大させることができる。これにより、制動性能が向上し、車両の安全性が大幅に向上する。また、車重が軽いときには、排気弁のリフト量が少なくなるので、過大なエンジンブレーキ力を抑制でき、エンジンブレーキ作動時のフィーリングの向上(違和感の低減)を図ることができる。
また、通常運転時には、エンジンの負荷又は回転数に応じてカム13,14を切り換えるので、エンジン1の運転状態に応じて低燃費運転モードと高出力運転モードとを切り換えることができる。
また、エンジンブレーキ状態に対応した位相を、図4に示すように、圧縮行程末期又は膨張行程初期に排気弁2が開弁するような位相とすることにより、エンジンブレーキ作動時にクランク角360°で1回の2サイクル型のエンジンブレーキ装置を容易に実現することができる。
また、エンジンブレーキ状態に対応した位相を、図4に示すように、圧縮行程末期又は膨張行程初期に排気弁2が開弁するような位相とすることにより、エンジンブレーキ作動時にクランク角360°で1回の2サイクル型のエンジンブレーキ装置を容易に実現することができる。
また、第1のカム13のカムプロフィールを、カムシャフト5の位相が通常の運転状態に対応した位相のときに最適となるよう形成するとともに、第2のカム14のカムプロフィールを、エンジンブレーキ状態に対応した位相のときに最大エンジンブレーキ力が得られるように形成しているので、エンジンブレーキ力を変更できるようにしながら、通常運転時のドライバビリティの低下防止と、吸収馬力の大幅な向上とを両立させることができる。
なお、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、第2の可変動弁機構12については、カムシャフトの位相を変更可能であればベーン式以外の機構を適用してもよく、例えばヘリカルスプライン式の可変動弁機構を適用してもよい。
また、本実施形態では、アイドルスイッチ41によるアクセルのオンオフ判定のみでエンジンブレーキを作動させるか否かを決定し可変動弁機構を制御していたが、エンジンブレーキ要求を検出することができれば、アイドルスイッチ41に代えて他のセンサを適用してもよい。例えば、アクセル開度センサやブレーキスイッチを用いてもよいし、ドライバの操作によりオンオフ操作されるエンジンブレーキスイッチを用いてもよい。
また、本実施形態では、アイドルスイッチ41によるアクセルのオンオフ判定のみでエンジンブレーキを作動させるか否かを決定し可変動弁機構を制御していたが、エンジンブレーキ要求を検出することができれば、アイドルスイッチ41に代えて他のセンサを適用してもよい。例えば、アクセル開度センサやブレーキスイッチを用いてもよいし、ドライバの操作によりオンオフ操作されるエンジンブレーキスイッチを用いてもよい。
例えばエンジンブレーキスイッチを組み合わせた場合、エンジンブレーキスイッチによりエンジンブレーキをオンとした場合にのみ、アイドルスイッチ41によるエンジンブレーキ要求を許容する構成にすればよい。このように構成すれば、惰性走行したい場合などエンジンブレーキが不要となるときにはエンジンブレーキスイッチをオフとすることでエンジンブレーキを非作動とすることができ、また、エンジンブレーキが必要となるときにはエンジンブレーキスイッチをオンとすることでエンジンブレーキを作動させることができるなど、ドライバがエンジンブレーキの作動態様を選択することができる。さらに、エンジンブレーキスイッチはエンジンブレーキによる制動力の強弱をドライバが好みに応じて選択できるようにしてもよい。
1 エンジン
2 排気弁
3 クランクシャフト
4 カムスプロケット
5 カムシャフト
6 位相変更機構
11 ロッカアーム切り換え式可変動弁機構(第1の可変動弁機構)
12 位相変更式可変動弁機構(第2の可変動弁機構)
13 第1のカム
14 第2のカム
15 第1のロッカアーム
16 第2のロッカアーム
17 第3のロッカアーム
18 ECU(制御手段)
43 重量センサ(重量検出手段)
2 排気弁
3 クランクシャフト
4 カムスプロケット
5 カムシャフト
6 位相変更機構
11 ロッカアーム切り換え式可変動弁機構(第1の可変動弁機構)
12 位相変更式可変動弁機構(第2の可変動弁機構)
13 第1のカム
14 第2のカム
15 第1のロッカアーム
16 第2のロッカアーム
17 第3のロッカアーム
18 ECU(制御手段)
43 重量センサ(重量検出手段)
Claims (6)
- カムプロフィールの異なる複数のカムからひとつのカムを選択して、該選択されたカムのカムプロフィールに応じて排気弁を駆動することで該排気弁のリフト量を変更しうる第1の可変動弁機構と、
カムスプロケットと排気カムシャフトとの間に介装され、該カムスプロケットに対する該排気カムシャフトの位相を通常の運転状態に対応した位相とエンジンブレーキ状態に対応した位相との間で変更しうる第2の可変動弁機構と、
エンジンブレーキ要求時に、該排気カムシャフトの位相がエンジンブレーキ状態に対応した位相となるように第2の可変動弁機構の作動を制御するとともに、該エンジンを搭載した車両に要求されるエンジンブレーキ力に応じたリフト量となるように該第1の可変動弁機構の作動を制御する制御手段とを有する
ことを特徴とする、エンジンの可変動弁装置。 - 該車両の重量を検出又は推定する重量検出手段をそなえ、
該制御手段は、エンジンブレーキ要求時には、該重量検出手段で得られた該車両の重量に応じて該複数のカムからひとつのカムを選択する
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンの可変動弁装置。 - 該複数のカムは、カムリフト量が相対的に小さい第1のカムと、カムリフト量が第1のカムよりも大きい第2のカムの2つのカムを有し、
該第1のカムは、該排気カムシャフトの位相が通常の運転状態に対応した位相のときに該エンジンの運転に最適なカムプロフィールに形成され、
該第2のカムは、該排気カムシャフトの位相がエンジンブレーキ状態に対応した位相のときに最大エンジンブレーキ力が得られるようなカムプロフィールに形成されている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジンの可変動弁装置。 - 該第1のカムと該第2のカムとでは、
開弁タイミングは該第2のカムの方が早くなるように各カムプロフィールが形成されている
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のエンジンの可変動弁装置。 - 該制御手段は、該排気カムシャフトの位相が通常の運転状態に対応した位相のときには
該エンジンの負荷又は回転数に応じて該複数のカムを切り換える
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載のエンジンの可変動弁装置。 - 該エンジンブレーキ状態に対応した位相が、
圧縮行程末期又は膨張行程初期に該排気弁が開弁を開始するような位相である
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載のエンジンの可変動弁装置。
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-
2006
- 2006-12-26 JP JP2006349916A patent/JP2008157195A/ja not_active Withdrawn
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