JP2008156992A - 掘削装置および基礎杭施工時の拡大翼状態判定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】掘削ロッド1の先端部に対し拡径可能に支持される拡大翼4を備える基礎杭施工用の掘削装置による掘削で使用される。上記拡大翼4が拡径・縮径する際の可動部、若しくは掘削ロッド1の先端部に取り付けられて、拡大翼4の少なくとも縮径状態から拡径状態への変化を検出する傾斜センサ20と、その傾斜センサ20から信号を入力すると、掘削ロッド1を振動させて、弾性波として信号を送信する発信装置20と、地上部において、掘削ロッド1を伝搬してきた弾性波を検出する受信装置とを備える。
【選択図】 図1
Description
上記拡大翼については、例えば、特許文献1に記載のような、回転方向を変えることで拡大翼を機械的に拡径・縮径可能な機械式の機構のものや、特許文献2に記載のように、油圧シリンダ装置で拡大翼を拡径・縮径可能な油圧式の機構のものがある。
上記機械式の拡大翼の場合には、拡翼する際の二重管構造の軸の伸縮に応じた掘削ロッドの変動を地上部で検知することで、拡大翼の拡翼を間接的に確認することが可能である。しかし、直接に拡翼を確認しているわけではなく、拡翼に伴う地上部での掘削ロッドの変動によって間接的に判断するものであるので、確認の正確性に問題がある場合もある。
また、特許文献3では、特許文献3の図1に記載のように、掘削機械上部に開閉センサ(符号25)が図示されているが、どのように拡大翼の開閉量をアナログデータで検出するのか開示されていない。なお、掘削機械上部に開閉センサがあることから油圧によって判定していると想定される。
本発明は、このような点に着目したもので、機械式の拡大翼であったとしても、拡大翼の拡径を簡便且つ確実に確認することを課題としている。
上記拡大翼が拡径・縮径する際の可動部、若しくは掘削ロッドの先端部に支持されて、拡大翼の少なくとも縮径状態から拡径状態への変化を検出し、その検出情報の信号を上方に向けて発信する検出発信手段と、検出発信手段よりも上方に配置されて、上記検出発信手段が発信した信号をワイヤレスで受信する受信手段と、を備えることを特徴とするものである。
上記拡大翼が拡径・縮径する際の可動部に取り付けられて、当該拡大翼の少なくとも縮径状態から拡径状態への変化を検出する翼変化検出手段と、上記掘削ロッドの先端部若しくは掘削治具に設けられて、翼変化検出手段の検出に応じた信号を発信する発信手段と、地上部に配置されて、送信手段が送信した信号をワイヤレスで受信する受信手段と、を備えることを特徴とする基礎杭施工時の拡大翼状態判定装置を提供するものである。
図1及び図2は、最下部の掘削ロッド1の先端に取り付けられる掘削治具Kの一例を示す図である。その掘削治具Kは、掘削ロッド1から回転トルクが伝達される駆動軸2と、該駆動軸2にスプライン結合して該駆動軸2と一緒に共回りする掘削軸3とを備える。なお、図2及び図4は後述の拡大翼4を最大径まで拡径したときの状態を表している。
また、その掘削軸3の外径面には、後述の補助リンク12を取り付けるための円筒状の回動ブラケット9が駆動軸2と同軸に取り付けられている。この回動ブラケット9は、上下軸廻りに回動変位可能な状態で上記掘削軸3に支持されている。
上記駆動軸2は、図5のように筒体から構成され、その駆動軸2内に掘削軸3の上部が同軸に挿入されている。また、駆動軸2と掘削軸3とは、上下方向(軸方向)に相対変位可能にスプライン結合している。なお、掘削軸3も筒体から構成される。
この拡大翼4は、図3及び図4に示す模式図のように、駆動軸2の軸線(回転軸)及び拡大翼4の上端取付け点L1を含む垂直な仮想平面F上を上下に旋回するように、当該拡大翼4の上端部が上記支持ブラケット13に支持されている。これによって、上記拡大翼4は、縮径時には、駆動軸2の軸線と略平行に配置され、拡径するにつれて上記仮想平面Fに沿って駆動軸2の径方向外方に向けて旋回する。また、上記拡大翼4の上部には、拡大掘削用の刃物8が取り付けられている。
ここで、符号16は、セメントミルクの噴射穴であって、図5に示すように、上記掘削軸3及び駆動軸2内を上下に延びる配管路17に連通し、該配管路17を通じてセメントミルクが噴射穴16から噴射可能となっている。その配管路17の上部は、駆動軸2の上端部に取り付けられたプラグ18内の挿通路に挿入されている。
上記翼変化検出センサは、翼変化検出手段を構成するもので、拡大翼4が拡径・縮径する際の可動部に取り付けられ、その可動部の可動変化を検出することで、拡翼の拡径・縮径の状況を検出して、その検出情報を発信装置21に送るものである。この翼変化検出センサは、少なくとも拡大翼4が拡径していることを検出可能であればよい。精度は、例えば、最小の分解能(例えばオフ=縮翼、オン=拡翼)で拡翼か縮翼かをオン・オフで検出する程度のものであってあっても良いし、ある程度の多段階の分解能(例えば0=縮翼、15=完全に拡翼、その間は1刻みで6度おきに開度)で開度状況を検出するものであっても良い。
また、上記発信装置21は、発信手段を構成し、翼変化検出センサからの信号に応じた信号を、上方に、つまり地中から地表側(掘削ロッド1の上方側)に向けて送信するものである。なお、一般には、翼変化検出センサからの入力信号を増幅、若しくは変換して出力する。本実施形態においては、施工中の手間と切断事故等のリスクを考えて、掘削ロッド1に沿って導電線を配置することは行わず、ワイヤレスで受信装置22との間で信号の伝達を行う。なお、傾斜センサ20(翼変化検出センサ)及び発信装置21は、検出発信手段を構成する。
本実施形態の発信装置21は、発信部として発振器を備える。発振器は、圧電ブザーや磁歪材などの発振子などから構成され、上記受信した信号に応じて駆動軸2を所定時間連続して、若しくは周期的に叩くことで当該駆動軸2に対し発信信号としての振動を与える。その振動(送信信号)は、弾性波として、掘削ロッド1に沿って上方に向けて伝搬する。発生させる弾性波の周波数については、施工時に掘削ロッド1に発生しない、若しくは干渉しにくい振動(周波数等)や、振動変化を付与することで、地上での識別を可能にする。
本実施形態の受信装置22は、掘削ロッド1を伝搬してくる弾性波を直接検出するように、地上、若しくは地上近傍に位置する掘削ロッド部分へ直接且つ着脱可能に磁着やクランプ装置等によって取り付けられ、掘削ロッド1の振動を検出する振動検出部と、その振動検出部が検出した信号を増幅する信号増幅部と、その信号増幅部で増幅した信号を処理して発信装置21からの信号を検出する信号検出部と、信号検出部の処理情報を評価装置に発信する発信部と、を備える。
また、着脱可能としているのは、拡大翼4の拡径作業の場合に使用するもので、掘削する深さによって掘削ロッド1の位置が異なるからである。なお、受信装置22のうち、少なくとも振動検出部だけが掘削ロッド1に取り付けられていればよい。
評価装置は、受信装置22から拡大翼4が拡径したことに対応する信号を入力すると、その旨をオペレータに通知する。通知は、ランプでも良いし、警報でも良い。
次に、上記拡大翼状態判定装置を設けた状態での動作例について説明する。
なお、掘削施工として中堀方式を採用する場合で例示する。ただし、プレボーリング方式でも、拡大掘削部分の施工に限定してみると、ほぼ同じ作業となる。
まず、図11(a)のように、上記掘削治具Kを先端部に取り付けた掘削ロッド1を挿入した下杭を立て込む。この状態では、上記掘削治具Kは吊り下げた状態となり、掘削軸3に対し駆動軸2が上方に変位した状態となり、拡大翼4は下方に旋回して縮径した状態となっている。すなわち、この状態では、駆動軸2に設けたキー11は、キー溝10の上側部分10Aに位置(図7(a)参照)する。なお、上記キー11のキー溝10に対する上下方向の移動範囲は、上記当接部3a、拡大翼4、及び補助リンク12で規制される。
次に、図11(e)のように、杭先端位置から更に、拡大掘削部分について、下方に向けて正回転で、所定深さ(例えば杭径の2.25倍以上)まで先行掘削を行う。これは、本実施形態では、逆堀で拡大掘削を行うためである。
次に、上述のように、拡大掘削の準備ができたら、受信装置22で連続的に信号を受信しながら、球根部根固め部のための拡大掘削を行う。
その拡大掘削は、次のようにして行う。
この振動は、弾性波として掘削ロッド1を伝搬して、受信装置22で受信される。オペレータは、逆回転させてから拡大翼4が拡翼するに十分な時間内に、受信装置22で発信装置21からの信号を受信して拡翼した旨の情報を受けた場合には、拡大掘削を後述のように続ける。一方、拡大翼4が拡翼するに十分な時間内に、拡翼した旨の情報を受けない場合には、一旦、正回転させてから再度逆回転させて拡翼を試みたり、一度、掘削ロッド1を引き上げて点検を行ったりする。
次に、上記拡大掘削が完了して、根固め用の空間が形成されたら、噴射穴16からセメントミルクを当該空間に噴射する。このとき、逆回転させながら、上記掘削軸3を上下に往復移動させて、攪拌を行う。このとき、逆回転させながら掘削治具Kを上下に移動させるので、キー11がキー溝10の右側壁10cに押し付けられ、上記ロック機構で拡大翼4が縮径することが防止される。
次に、図11(g)に示すように、鋼管杭の下端部を拡大掘削部に回転圧入させて定着させ、続いて、掘削ロッド1を引き上げる。
(1)オペレータが直接確認できない地中での拡大翼4の拡翼状況を確認することが可能となる。これによって、確実に施工上重要な地点である拡大根固め球根部において拡大根固め球根部用の拡大掘削部が形成されたことの確認が可能となる。特に、拡大翼4の可動部の状態を検出しているので、確実に拡大翼4の拡径を検出可能である。
なお、傾斜センサ20を刃の裏側の下部に取り付けてあるので、傾斜センサ20に負荷される圧はその分小さい。
(3)また、掘削ロッド1を導通路として弾性波を用いて情報伝達することで、拡大翼4の状況を検出する装置を設けても、上下の掘削ロッド1の継ぎ足しや杭の接続作業の際の手間は増えない。
ここで、上記実施形態では、発信装置21を駆動軸2の外径面に固定する場合を例示しているが、駆動軸2の内径面に固定しても良い。
また、拡大翼4の機構として機械式の場合を例示しているが、油圧式であっても良い。また、機械式であっても、他の機構であっても構わない。要は、拡大翼4の拡径に伴って可動する部分の状態を検出して発信装置21で受信装置22に信号をワイヤレスで送信可能であれば良い。
また、上記実施形態では、翼変化検出センサとしての傾斜センサ20を、拡大翼4に固定したが、補助リンク12に傾斜センサ20を設置しても良い。
(a−1)翼変化検出センサとして回転センサを使用する。
この場合には、模式図である図12のように、拡大翼4若しくは補助リンク12の端部の回動部に対して回転センサ23を設置して、拡大翼4若しくは補助リンク12の回動を検出する。縮径位置を初期値として回転を検出すればよい。簡便には、ピン埋め込み型の回転センサ23を使用する。この場合には、回転時にピンも回転するため、ピンに回転センサ23を埋め込んでおき、回転角がある値を上回った時点で拡径と見なせば良い。
拡大翼4が拡径する際に、駆動軸2の下端部に対して、掘削軸3の下部及び回動ブラケット9が接近する構造となっているので、例えば、図13のように、当該駆動軸2の下端部と回動ブラケット9との間に近接センサ24を設置して、拡大翼4の拡縮を検出すればよい。近接度合いについて、ある程度の分解能を要する場合には、超音波距離センサを用いることで近接距離を計測することが可能となる。
次に、上記実施形態では、発信装置21から受信装置22への信号として、掘削ロッド1を振動させることによる弾性波を使用する場合を例示しているが、これに限定されない。発信装置21及び受信装置22の別の例としては、次のものが例示できる。
この場合には、模式図である図14のように、発信装置21として上方に向けて無線電波を出力する無線発信装置25を駆動軸2に固定しておき、掘削穴の上部若しくは上方に無線電波を受信する受信装置22の受信部を配置する。
掘削時にはケーシングなどにより掘削穴の壁は崩落しないようにされており、泥水で充填されてこそすれ、土砂により掘削機械と地表の受信部が途中土砂でさえぎられることは無い。そのため、掘削穴内の水若しくは泥水中を無線電波が通過するので、掘削機械近傍から地上の観測者への通信は可能である。
この場合には、模式図である図15に示すように、発信装置21として上方に向けて音波を発生するハイドロフォン26を駆動軸2に固定しておき、掘削穴の上部若しくは上方に発信された音波を受信する受信装置22の受信部を配置する。
掘削中は原則、掘削ロッド1と掘削穴との間は泥水であり、泥水が地中から地表まで繋がっている状態になっている。このため、地中からは施工時に発生しない周波数、干渉しにくいもの、もしくは人工的に作られたノイズを用いて音波を発振することで、地表近傍でのハイドロフォン26による信号受信を可能となる。
ここで、上記実施形態では、発信装置21を掘削治具Kに、受信装置22を地上部にそれぞれ対を成して配置しているが、途中の位置に中継用の受信装置22及び発信装置21を設置しても良い。
2 駆動軸
3 掘削軸
4 拡大翼
9 回動ブラケット
12 補助リンク
20 傾斜センサ(翼変化検出手段)
21 発信装置
22 受信装置
23 回転センサ(翼変化検出手段)
25 無線発信装置
26 ハイドロフォン(翼変化検出手段)
K 掘削治具
Claims (3)
- 掘削ロッドの先端部に対し拡径可能に支持されると共に拡大掘削用刃物が取り付けられた拡大翼を備える基礎杭施工用の掘削装置であって、
上記拡大翼が拡径・縮径する際の可動部、若しくは掘削ロッドの先端部に支持されて、拡大翼の少なくとも縮径状態から拡径状態への変化を検出し、その検出情報の信号を上方に向けて発信する検出発信手段と、
検出発信手段よりも上方に配置されて、上記検出発信手段が発信した信号をワイヤレスで受信する受信手段と、を備えることを特徴とする掘削装置。 - 掘削ロッドの先端部に対し拡径可能に支持されると共に拡大掘削用刃物が取り付けられた拡大翼を備えた基礎杭施工用の掘削治具を使用し、上記拡大翼を拡径させて掘削することで掘削穴の途中若しくは下部に大径の拡大掘削部を形成する拡大掘削作業の際に使用され、上記拡大翼の拡径・縮径状況を判定する拡大翼状態判定装置であって、
上記拡大翼が拡径・縮径する際の可動部に取り付けられて、当該拡大翼の少なくとも縮径状態から拡径状態への変化を検出する翼変化検出手段と、上記掘削ロッドの先端部若しくは掘削治具に設けられて、翼変化検出手段の検出に応じた信号を発信する発信手段と、地上部に配置されて、送信手段が送信した信号をワイヤレスで受信する受信手段と、を備えることを特徴とする基礎杭施工時の拡大翼状態判定装置。 - 上記発信手段は、掘削ロッドに振動を付与する振動付加手段を備え、掘削ロッドを振動させることによって当該掘削ロッドを伝搬する弾性波を信号とし、
上記受信手段は、掘削ロッドの振動から上記弾性波に対応する振動を検出することで発信手段が発信した信号を受信することを特徴とする請求項2に記載した基礎杭施工時の拡大翼状態判定装置。
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