JP2008156588A - 保冷剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】保冷剤パックが何らかの要因で破損し、保冷剤内容物が飛び出して、輸送物に付着混合し、更に万が一人間の体内に経口混入した場合でも健康被害を生じることない保冷剤において、凍結解凍後もゲル離水がほとんど発生せずゲル作用による保形性(ゲル性)を維持できるとともに、再凍結した場合におけるソフト感も維持できる保冷剤を提供すること。
【解決手段】水保持ゲル体である保冷剤。凍結解凍耐性付与剤としての重量平均分子量180〜15000の糖質と、ゲル体形成剤としての天然物由来ゲル化増粘剤とを必須成分として含有し、適宜、凍結防止剤としてアルコール類を含有する。保冷時間が水の場合の7割程度以上を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、天然物起源の保冷剤に関し、特に、食品に接触し、人間の体内に入っても安全であり、食品用保冷剤として好適な保冷剤に係る発明である。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「保冷時間」とは室温下に放置した場合の保冷剤の表面温度が0℃以下を維持する時間の長さのことである。「保冷温度」とは保冷剤の表面温度が0℃以下で安定する状態の温度のことである。「凍結解凍耐性」とは、繰り返し解凍した場合に、繰り返し使用後においても、ゲル離水が発生せず、ゲル保形性を維持することができる耐用性能を意味する。また、本明細書で「平均分子量」は「重量平均分子量(Mw)」を意味する。
現在、市場では冷凍食品・菓子・医薬品・生鮮食品など、輸送時の梱包において品温が上昇することにより品劣化を嫌う場合、更には、発熱時の氷枕の代替として、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール、アクリル酸グラフト重合澱粉などの吸水性樹脂(吸水ポリマー)を水と混合し、冷凍庫で凍らせて繰り返し使用するタイプの保冷剤が存在する。
これらの保冷剤は、食品などに直接接触しない様に樹脂性の袋或いはパックに詰められており、解凍時にはゲル状の軟らかい触感を有している。
しかし、往々にして輸送時の衝撃などのアクシデントにより、保冷剤を詰めた袋或いはパックが破損し、輸送物に付着混入してしまうケースがある。現在、保冷剤の中味に使用されている上記樹脂は、毒性は低いものの、人間の体内に入って安全であるとは言いがたいものであり、保冷剤パックにも「食べないで下さい」・「食べられません」などの表示がなされている。
これらの状況に対して、安全性を謳って、天然物素材の増粘多糖類をゲル化剤とする保冷剤が、特許文献1・2等で提案されている。
特許文献1:ヘリックス構造を有する多糖類(キサンタンガム、カラギーナン等)及びマンナンを構成成分とする多糖類(ローカストビンガム等)からなる機能性ゲル物質を主成分とする保冷剤(特許請求の範囲等)。
特許文献2:グアーガム・タマリンドガム(植物由来多糖類:保水性増粘化基材)の一種からの保水性増粘化基材と、カシアガム・ローカストビーンガム・タラガム・キサンタンガム(植物由来多糖類)からなる保形性ゲル化基材とで形成される保冷剤が提案されている(特許請求の範囲等)。
これら植物ガム類を組み合わせて製造されるゲル素材は、人体への有害性の面では特段の問題のあるものではない。これらの技術は植物ガム類を水分散体にし、加熱‐糊化‐冷却を行い、更に個々の構造をブレンドによって組み合わせ、ガム分子の架橋点ネットワーク構造を作り、そこに融解熱の高い水分子を包含させて保冷剤ゲルとするものである。
しかし、これらの汎用のゲル化増粘剤(増粘多糖類)のみからなるゲル体をベースにしたものは、解凍によるゲル離水によりゲル性(保形性)が失われ、また、保形性が失われないとしても、凍結した場合、ソフト感(柔軟性)が得られないことが分かった。
更に、糖質と前記ゲル化剤を組み合わせることにより、糖質の含有率が35%以上であれば、家庭用冷蔵庫の冷凍庫において凍結させても柔軟性は維持できることが分かったが、その場合、熱容量の大きい水の配合割合が65%未満となることから、保冷時間を確保し難くなり、反対に、保冷時間を長くする為に糖質の含有率を35%以下にすると、凍結時の柔軟性が相対的に低下することが分かった。
特開平4−283431号公報 特開平11−190750号公報
本発明は、上記にかんがみて、保冷剤パックが何らかの要因で破損し、保冷剤内容物が飛び出して、輸送物に付着混合し、更に万が一人間の体内に経口混入した場合でも健康被害を生じることない保冷剤において、凍結解凍後もゲル離水がほとんど発生せずゲル作用による保形性(以下「ゲル保形性」という。)を維持できるとともに、凍結した場合におけるソフト感も維持できる保冷剤を提供することを第一の目的(第一課題)とする。
更には水の含有率を増加させることにより−20℃の家庭の冷凍庫で凍結させても長時間の保冷時間と柔軟性を有する、柔軟なシート状の保冷剤を提供することを第二の目的(第二課題)とする。
(A)本発明者らは、上記第一課題を解決するために、先ず混入時の安全性を確保するには経口で体内に入っても安全性が確認されている天然物・食品添加物を保冷剤のベースにすることを考え、保冷剤の開発に鋭意努力をした。その結果、基本性能である保冷時間と保冷温度に関して、各種の糖質を、天然物由来ゲル化増粘剤と組み合わせて試験することにより下記知見に到達した。
・結解凍後もゲル保形性を維持され、さらには、凍結した場合のソフト感が維持される。
・糖質の平均分子量が大きくなるに従って保冷時間が長くなり、糖質の分子量が小さくなるに従って、保冷温度が低くなる。
・糖質の濃度が高くなるに従って保冷温度が低くなり、濃度を低くすることで保冷時間が長くなる。
上記知見に基づき、下記各構成の「糖質をベースに、天然素材のゲル化増粘剤(増粘多糖類)を混合した保冷剤」(第一発明)に想到した。
1)凍結解凍耐性付与剤としての平均分子量180〜15000の糖質と、ゲル体形成剤としての天然物由来ゲル化増粘剤とを必須成分として含有した水保持ゲル体であり、保冷時間が水の場合の7割程度以上を示すものであることを特徴する。
上記構成により保冷剤が、凍結解凍耐性(ゲル性を失わない。)を示す理由は、下記の如くであると推定される(新たな考察)。
本発明の保冷剤は、ゲル化増粘剤によって、ネットワーク構造(架橋構造)を維持することによりゲル性を有している。
糖質を含まない保冷剤を冷凍(凍結)すると、氷結晶が発達し易く、氷結晶が成長することにより、保冷剤のネットワーク構造を破壊してしまう。このため、解凍によりゲル性を維持できず、溶液状態となる。
これに対して、糖質を含む保冷剤は、冷凍しても、氷結晶が成長せず、微細氷結晶の集合体の状態であり、保冷剤のネットワーク構造が破壊されない。このため、解凍後も、ネットワーク構造が維持され、ゲル性(凍結解凍耐性)を有する。再凍結しても、ソフト感を維持可能となる。
また、保冷温度帯(氷と水が共存して温度が安定している状態)において、糖質を含む保冷剤は、上記の如く、氷は微細結晶の集合体であるため、移動可能である。このため、保冷剤は、凍結使用時においても、ソフト感を維持できる。
なお、従来の吸水ポリマー系の保冷剤の場合は、氷結晶が成長してもネットワーク構造は強固であり、破壊されない。しかし、氷結晶が成長しており、保冷温度帯の氷が水にある程度変換されないと、保冷剤にソフト感が出てこない。すなわち、保冷温度帯の初期においては、本発明の保冷剤より硬い(剛い)状態である。
2)第一発明の保冷剤の組成的構成は下記の内容となる。
平均分子量180〜15000の糖質の濃度(含有率)が1〜45質量%であり、前記ゲル化増粘剤の含有率が0.5〜10質量%であり、それらの混合比率が前者/後者(質量比)=60/1〜1/3である。
3)上記構成の保冷剤において、前記糖質の平均分子量を800以上とし、且つ、含有率を1〜20質量%とし、前記ゲル化増粘剤の濃度(含有率)を0.5〜5質量%とし、それらの混合比率を前者/後者(質量比)=10/1〜5/3とすることができる。
当該構成の保冷剤は、糖質含有率13質量%以下で保冷時間が水(氷)の場合の同等以上となる(実施例1の1〜3参照)。なお、糖質含有率20質量%前後になると保冷時間が水(氷)の場合の9割程度になることを確認している。
4)上記各構成の保冷剤における、前記糖質としては、例えば、澱粉分解物とし、前記ゲル化増粘剤としては、例えば、寒天、カラギーナン、ゼラチン又はカルボキシメチルセルロース(CMC)の群から選択される1種又は2種以上の混合物とすることができる。
これらの原料(材料)は、汎用品であり、市場からの入手が容易である。
5)本発明の上記各構成の保冷剤は、ゲル化増粘剤の種類及び濃度(含有率)の一方又は双方を変化させれば、ゲル硬さを調節できる。
6)本発明の上記各構成の保冷剤は、糖質の重量平均分子量(Mw)及び濃度(含有率)の一方又は双方を変化させれば、保冷温度及び保冷時間の一方又は双方を調節できる。
(B)本発明者らは、上記課題を解決する為に、先ず混入時の安全性を確保するには経口で体内に入っても安全性が確認されている天然物・食品添加物を保冷剤のベースにすること、そして、熱容量の大きい水の含有率を極力増加させて保冷時間を長くすること、即ち、低温でも凍結を抑制する凍結防止作用を有する水親和性の高い低級アルコール系保水剤(エタノール・エチレングリコール・グリセリン等)を添加して水の含有率を増やすことができないかを試みた。
そして、基本性能である保冷時間と保冷温度・凍結時柔軟性に関して、各種の糖質を、天然物由来ゲル化剤及び各種の凍結防止作用を有する添加剤と組み合わせて種々の試験をした結果、下記のような新たな知見に到達した。
・ 凍結解凍後もゲルの保形性を維持され、更には、凍結防止作用を有する添加剤を少量加えることで、水の含有率が65%以上でも凍結時柔軟性は維持される。
・凍結防止作用を有する添加剤を追加することで、水の量を増やし、結果として保冷時間の長期化が実現される。
・ 凍結防止作用を有する添加剤の添加量を上げることで、−20℃の冷凍庫でも凍結しない液状保冷剤を得ることができる。
上記知見に基づき、下記各構成の「糖質をベースに、天然素材のゲル増粘剤(増粘多糖類)とアルコール系の凍結防止剤を混合した凍結時柔軟性を有する保冷剤」(第二発明)に想到した。
1)結解凍耐性付与剤としての重量平均分子量(Mw)180〜15000の糖質と、ゲル体形成剤としての天然物由来のゲル化増粘剤と、0℃よりも低い低温環境下において凍結しないアルコール系の凍結防止剤とを必須成分として含有した水保持ゲル体であり、保冷時間が水(氷)の場合の7割以上を示すものであり、且つ、凍結時柔軟性を示すことを特徴する。
上記構成により保冷剤が、凍結解凍耐性(ゲル性を失わない)を有し、65%以上という高水分含量においても凍結時柔軟性を維持する。理由は下記の如くであると推定される。
本発明の高水分含量下でも凍結時に柔軟性を失わない保冷剤は、ゲル化増粘剤によって、ネットワーク構造(架橋構造)を維持することによりゲル性を有している。
糖質を含まない保冷剤を冷凍(凍結)すると、氷結晶が発達し易く、氷結晶が成長することにより、保冷剤のネットワーク構造を破壊してしまう。このため、解凍によりゲル性を維持できず、溶液状態となる。
これに対して、糖質を含む保冷剤は、冷凍しても、氷結晶が成長せず、微細氷結晶の集合体の状態であり、保冷剤のネットワーク構造が破壊されない。このため、解凍後も、ネットワーク構造が維持され、ゲル性(凍結解凍耐性)を有する。しかし、凍結時の柔軟性を維持する特性に関しては、糖質の量が約35%以上 (即ち、ゲル体の水分含量が約65%未満) という比較的高濃度のゲル状溶液でないものは、微細氷結晶形成するものの、その集合体間での氷結現象を起こし、凍結時に柔軟性を維持することができない。
しかし、ゲル化剤と糖質に、さらに、炭素数2〜6の水親和性が高いアルコール系の凍結防止剤(例えば、エタノール・エチレングリコール・グリセリン等)を加えることにより、高水分含量下のゲル体においても、微細氷結晶集合体の間の氷結現象をこれらの凍結防止作用を有する添加剤が阻害することにより、凍結時柔軟性を損なうことはない。
また、保冷温度帯(氷と水が共存している状態)においても、アルコール系の凍結防止剤を含む保冷剤は、水の含有率が高くても、上記の如く、微細氷結晶の集合体間の氷結現象が阻害される。このため、局部的な氷塊を含むことなく、均一な柔軟性を示す。
なお、従来の吸水ポリマー系の保冷剤の場合は、氷結晶が成長してもネットワーク構造は強固であり、ゲル破壊は生じない。しかし、氷結晶が成長しており、単位氷結晶が本発明の保冷剤に比較して大きいために、保冷温度帯の氷が水に変換される過程において、吸水ポリマー系保冷剤は、均一なゲル柔軟性を維持できない。
2)第二発明の保冷剤の組成的構成は下記の内容となる。
重量平均分子量(Mw)180〜15000の糖質の濃度(含有率):1〜13質量%、天然物由来のゲル化増粘剤の含有率:0.1〜5質量%であり、及び、炭素数2〜6のアルコール類(多価アルコールを含む。)の含有率:1〜15質量%含有するとともに、水の含有率:67%以上であり、糖質/ゲル化増粘剤(質量比)=10/0.1〜10/8、糖質/アルコール類(質量比)=10/1〜10/30であることを特徴とする。
3)第二発明の保冷剤の望ましい態様は下記内容となる。
重量平均分子量(Mw)800〜15000の糖質の濃度(含有率):3〜8質量%、天然物由来のゲル化増粘剤の含有率:0.5〜3質量%であり、及び、炭素数2〜6のアルコール類(多価アルコールを含む。)の含有率:3〜8質量%含有するとともに、水の含有率:81%以上であり、糖質/ゲル化増粘剤(質量比)=10/0.8〜10/5、糖質/アルコール類(質量比)=10/2〜10/25であることを特徴とする。
4)上記構成の保冷剤における、糖質及びゲル化増粘剤としては、第一発明の保冷剤におけるものと同様のものを好適に使用できる。凍結防止剤(アルコール類)としては、エタノール、エチレングリコール又はグリセリンの群から選択される1種又は2種以上の混合物を好適に使用できる。
5)第二発明においても、第一発明と同様、ゲル化増粘剤の種類及び濃度(含有率)の一方又は双方を変化させて、ゲル硬さを調節したり、糖質の平均分子量(Mw)および濃度(含有率)の一方又は双方を変化させて、保冷温度及び保冷時間の一方又は双方が調節したりすることができる。
(C)上記各構成の第一・第二発明の保冷剤は、通常、軟質樹脂フィルムからなる袋体(保冷剤カバー)に充填密封して保冷剤パックとする。そして、上記構成の保冷剤パックは、前記糖質を所要量の水に溶解させた後、前記ゲル化増粘剤を添加し加熱溶解させた調製液を、冷却ゲル化前に前記袋体に充填・密封して、製造する。高温のまま袋体に充填することができ、カビ等の発生が防止できる。
以下、第一発明・第二発明の保冷剤の望ましい形態(構成)について、説明をする。以下の説明で、各成分組成を規定する「%」、「部」、「混合比」等は、特に断らない限り、「質量単位」を意味する。
(A)第一発明の保冷剤:
本保冷剤は、基本的には、糖質をベースに、天然素材のゲル化増粘剤(増粘多糖類)を混合した保冷剤である。すなわち、糖質をゲル化増粘剤と組み合わせることにより、凍結解凍時のゲル破壊(保形性維持)を防ぎ、繰り返し使用における保形性を維持する凍結解凍耐性を付与でき、凍結時のソフト感も維持できる。
1)糖質としては、平均分子量約180〜15000の範囲で適宜使用可能である。
具体的には、糖類(グルコース)、澱粉糖化物・還元澱粉糖化物等の澱粉分解物を好適に使用できるが、砂糖やセルロース分解物であってもよい。
澱粉分解物の澱粉としては、トウモロコシ、小麦、米等の種子系、ジャガイモ等の塊茎、サツマイモ、タピオカ等の根茎、貯蔵澱粉の分解物を通常使用する。また、アミロース系及びアミロペクチン系のいずれでもよい。
なお、想定される凍結解凍使用頻度や目的によっては、さらには、澱粉誘導体(酸化澱粉・エステル化澱粉・エーテル化澱粉など加工澱粉)の糊化物も使用できる。
そして、糖質(炭水化物)は、分子量が高い方が、保冷時間が長くなる傾向にあり、分子量が低い方が、保冷温度が低下する傾向にある。
例えば、平均分子量800以上とした場合、水(氷)と同等以上の保冷時間を確保し易い(後述の実施例1の1・2参照)。また、分子量500以下とした場合、水(氷)の7割以上の保冷時間を確保でき、さらには、保冷温度が0℃より低くなる(実施例1の3参照)。
糖質濃度が低すぎると、モル凝固点の関係から保冷温度性能に問題が発生し易く、糖質濃度が高過ぎると、冷凍庫での凍結温度が低くなりやすい。実用上、家庭の冷蔵庫の冷凍室(−20℃)で凍結させること、及び、実用的な保冷時間の確保(水(氷)の場合の7割以上)を考慮して、糖質含量1〜40%の範囲で適宜選定する(実施例1の1・4・11・12参照)。糖質濃度が40%を越えると保冷時間が水(氷)の7割以上を確保し難い(比較例1参照)。
なお、保冷時間を水と同等以上とするには、糖質濃度を20%以下とする。保冷時間を従来例(吸水ポリマーベース)と同等以上とするには、約7%以下とする(実施例1の4〜1の10参照)。この場合の糖質濃度の下限は、ゲル化剤であるゲル化増粘剤(増粘多糖類)の種類にもよるが、凍結解凍耐性(解凍後の保形性(ゲル)維持)を確実に担保するためには3%以上とすることが好ましい。
2)ゲル化増粘剤は、保冷剤の凍結時、主として、パック中の液体の容易な流動を防ぐことで、保冷剤の形態保持性(保形性:異形凍結の防止、解凍時或いは部分解凍時に形態安定性)とソフト感(柔らかい触感)を付与する作用を担う。
ゲル化増粘剤としては、従来使用されてきた汎用のもの、例えば、増粘多糖類、ゼラチン(膠;誘導たんぱく質)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ペクチン、冷水可溶性澱粉誘導体などを使用できる。
増粘多糖類としては、冷水可溶性澱粉誘導体、植物粘物質(植物種子由来、果実由来、海草由来)、植物ゴム質(植物樹液由来)、微生物由来(発酵多糖類)のものを挙げることができる。
具体的には、アラビアガム、グアーガム、サイリウムシードガム、トウガラカントゴム、メスキットゴム、ガッチガム、(以上植物ゴム質);カラギーナン、寒天、アルギン酸、ラミナラン(以上植物粘物質)、等を挙げることができる。さらには、特許文献1・2に記載のキサンタンガム、ローカストビンガム、グアーガム、タマリンドガム、カシアガム、タラガム、等も使用可能である。
ゲル化増粘剤の保冷剤中の含有率は、ゲル化増粘剤の種類及び組合せにより若干変動するが、通常、要求される保冷剤の形態保持性及びソフト感のバランスから、約0.1〜10%、好ましくは約0.5〜5%の範囲から適宜選定する。
3)糖質及びゲル化増粘剤の混合比率は、上記各成分の濃度範囲であれば、特に限定されないが、通常、前者/後者(質量比)=約60/1〜1/3、好ましくは、約10/1〜5/3とする。
(B)第二発明の保冷剤:
第二発明の保冷剤は、基本的には、糖質をベースに、天然素材のゲル化増粘剤(増粘多糖類)と凍結防止剤(天然物由来及び化学合成品)を混合した保冷剤である。即ち、糖質をゲル化増粘剤及び凍結防止剤と組み合わせることにより、凍結解凍時のゲル破壊を防ぎ(保形性維持)、繰り返し使用における保形性を維持する凍結解凍耐性を付与でき、更に、凍結防止剤の作用により、67%以上(更には81%以上)の水分含有率においても、凍結時の充分なソフト感(柔軟性)を維持することができる様になる。
1)糖質は、前述の第一発明において例示したものを使用できる。
なお、第二発明においても、糖質が平均分子量800以上の場合、水(氷)と同等以上の保冷時間を確保し易い(後述の実施例2の4・5参照)。また、糖質が分子量500以下の場合でも、水(氷)の7割以上の保冷時間を確保できる(実施例2の3参照)。
糖質の濃度(含有率):1〜13%(望ましくは3〜8%)とする。
糖質濃度が低すぎると、モル凝固点の関係から保冷温度性能に問題が発生し易く、糖質濃度が高すぎると、冷凍庫での凍結温度が低くなりやすい。実用上、家庭の冷蔵庫の冷凍室(−20℃)で凍結させること、及び、実用的な保冷時間の確保(水(氷)の場合の7割以上)を考慮して、糖質含有率1〜13%の範囲で適宜選定する(実施例2の1・2・4・5参照) 。本発明による保冷剤に関しては、糖質濃度が13%を超えると保冷時間が水(氷)の7割以上を確保しがたい(比較例2参照) 。
なお、保冷時間を水と同等以上、乃至、保冷時間を従来例(吸水ポリマーベース)と同等以上とするには、約8%以下とする(実施例2の1・2・4・5参照) 。この場合の糖質濃度の下限は、ゲル化剤であるゲル化増粘剤(増粘多糖類)の種類にもよるが、凍結解凍耐性(解凍後の保形性(ゲル)維持)を確実に担保する為には3%以上とすることが好ましい。
2)ゲル化増粘剤も、前述の第一発明において例示したものを使用できる。
ゲル化増粘剤の保冷剤中の含有率は、ゲル化増粘の種類及び組み合わせにより若干変動するが、通常、要求される保冷剤の形態保持性及び解凍時のソフト感のバランスから、望ましくは0.1〜5%(より望ましくは0.5〜3%)の範囲から適宜選定する。
なお、ゲル化増粘剤の糖質に対する混合比率は、好ましくは糖質/ゲル化増粘剤(質量比)=10/0.1〜10/8、より好ましくは10/0.8〜10/5とする。
3)凍結防止剤は、保冷剤の凍結時、微細氷結晶の集合体が氷結することを阻害することにより、保冷剤パックが柔軟性を保持し、シート状の形態においては折り曲げなどが自由に出来る様にし、そのときの折り曲げ形態保持を目的として使用される。
凍結防止剤としては、発酵エタノール、天然グリセリン、発酵プロパンジオール、発酵乳酸、糖アルコール等(以上、天然物由来)や、メタノール、合成エタノール、合成プロパノール、合成プロパンジオール、合成エチレングリコール、合成プロピレングリコール、合成グリセリン、合成乳酸等(以上、石油合成品)の、低融点水溶性有機溶媒が挙げられる。すなわち、炭素数2〜6の一価アルコール、多価アルコール及びそれらの誘導体を上げるさらにはそれらの中でも、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等がコストの関係から好適に使用可能である。
凍結防止剤(アルコール類)の保冷剤中の含有率は、凍結防止剤の種類及び組み合わせにより若干変動するが、通常、要求される保冷剤の凍結時の柔軟性と折り曲げホールド性のバランスから、好ましくは約1〜10%、より好ましくは3〜8%の範囲から適宜選択する。
なお、凍結防止剤(アルコール類)の糖質に対する混合比率は、好ましくは糖質/アルコール類=10/1〜10/30、より好ましくは同=10/2〜10/25とする。
(C)そして、上記第一発明・第二発明の保冷剤(組成物)は、下記の如く調製して保冷剤パックとする。
まず、前記糖質を所要量(約2〜100倍)の水に溶解させた後、所要量のゲル化増粘剤添加し、第二発明の場合は、更にアルコール類を添加して、加熱溶解させる。このときの温度は、増粘多糖類の種類や水和性によっても異なり、水和性の強いものであれば常温で攪拌溶解させ、水和性の低いものであれば60℃以上で攪拌加熱溶解させる。しかし、保冷剤組成物の殺菌を考慮した場合は、80℃以上にて攪拌加熱溶解して調整することが好ましい。
該調製流動体を、ポリエチレン等の軟質樹脂フィルムからなる袋体に充填し、密封する。この密封は、ポリエチレン等の場合、例えば、熱溶着(熱シール)により行うことができる。
こうして調製した保冷剤パックは、家庭用の冷凍庫に入れて凍結させて、繰り返し使用可能である。この際、凍結解凍後もゲル保形性を有するため、冷凍庫内で変形することなく再凍結され、再凍結後もソフト感を維持する。また、万一、保冷剤カバーが破れて、食品付着しても、該食品が使用(食)困難ないし不可となることもない。
すなわち、本実施形態の保冷剤は、安全性が確認されている天然物や食品添加物を原料にして、現在市場に多く出回っている吸水性樹脂を原料とした保冷剤と同等の性能を有するものとすることができ、たとえ、誤って経口から体内に入るようなことがあっても安全である。
なお、第一発明の保冷剤は、後述の実施例で示す如く、糖濃度及び糖の平均分子量の調節により、必要に応じた保冷温度の保冷剤を製造できる。
また、第二発明の保冷剤は、糖濃度及び糖の平均分子量・凍結防止剤の種類と量の調節により、凍結時の柔軟性のレベルを変化させうる他、必要に応じた保冷温度が調節可能な保冷剤を製造できる。
次に第一・第二発明の効果を確認するために行った比較例とともに行った実施例について説明する。
なお、糖質は下記のものを使用した。
・糖質A:澱粉分解物(コーンスターチ起源)で平均分子量が5000程度のもの(液状デキストリン)
・糖質B:澱粉分解物(コーンスターチ起源)で平均分子量が1000程度のもの(酸分解水飴)
・糖質C:澱粉分解物(コーンスターチ起源)で平均分子量が200程度のもの(異性化液糖)
(A)第一発明に係る実施例:
<実施例1の1〜1の12、比較例1・対照例1>
表1に示す糖質を、所定濃度となる量の水と混合して約40℃まで加温後、表示のゲル化増粘剤を所定濃度となる量添加し、かき混ぜながら、約85℃まで加温して溶解させる。こうして溶解させた高粘度液体40gをポリエチレン袋に充填した後、熱シールして、放冷して室温まで冷却した(大きさ:4cm×10cm×1cm)。
こうして調製した各保冷剤パックについて、手で触り通常の力でゲル破壊しないかでゲル性の有無を判定した。
また、各保冷剤パックについて、下記保冷性試験を行うとともに、解凍したものについても上記同様にゲル性の有無(凍結解凍耐性の確認)の判定を行った。
なお、水、従来例(市販のポリアクリル酸ソーダ系保冷剤)についても実施例と同様に充填・密封したものについて保冷性試験を行った。
<保冷性試験>
試験品を−20℃で16時間冷凍した後、室温で放置・解凍し、解凍過程における試験品の表面温度(保冷温度)を時間経過とともに測定して、保冷時間を求めた。
Figure 2008156588
Figure 2008156588
表2に示す結果から、糖質を含有しない対照例1は凍結解凍後ゲル性を失い、保形性がなくなっている。このことより、糖質の含有は冷凍解凍時のゲル破壊を防ぎ、凍結解凍耐性を付与できる作用を奏すると言える。
また、保冷性試験の結果を、図1〜4に示す。図1・2・4において従来例を、図1・3において水を、図2・3において実施例1の4を、それぞれ、参照のために重複表記してある。
1)図1に示す実施例1の1〜1の3及び水・従来例の保冷時間と保冷温度は、下記の如くであった。
実施例1の1・・・125分、−0.4℃、
実施例1の2・・・120分、−0.7℃、
実施例1の3・・・110分、−1.5℃、
水・・・120分、0℃、
従来例・・・150分、0℃
糖質の平均分子量が大きくなるに従い保冷時間は長くなり、平均分子量が小さくなるに従い保冷温度が低くなっているのが分かる。実施例1の1・2は、水の保冷性能と同等もしくは優れているといえるが、ポリアクリル酸ソーダ系保冷剤よりは劣っている。
なお、実施例1の4の保冷剤について、繰り返し使用しているが、5回使用後、ゲル破壊が生じていない。
2)図2・図3に示す実施例1の4・1の5・1の6・1の11・1の12の保冷時間と保冷温度は、下記の如くであった。
実施例1の4・・・145分、−0.1℃、
実施例1の5・・・140分、−0.3℃、
実施例1の6・・・150分、−0.1℃、
実施例1の11・・・95分、−0.5℃
実施例1の12・・・90分、−0.6℃
比較例1・・・105分、−0.6℃
糖質濃度が低くなるに従って保冷時間が長くなり、糖質濃度が高くなるに従って保冷温度が低くなっている。
また、実施例1の4〜1の6はポリアクリル酸ソーダ系保冷剤とほぼ同等の保冷性能(保冷時間・保冷温度)を有する。すなわち、糖質含有率が約7%以下であることが望ましい。
さらに、糖質濃度30及び40%の実施例1の11・1の12は、水(氷)の約7.5割以上の保冷時間を有する。糖質濃度50%の比較例は、実質的な保冷温度・時間を示さない。
3)図4に示す実施例1の7〜1の10及び従来例における保冷時間と保冷温度は、下記の如くであった。
実施例1の7・・・145分、−0.1℃、
実施例1の8・・・145分、−0.1℃、
実施例1の9・・・140分、−0.2℃
実施例1の10・・・140℃、−0.3℃、
実施例1の7〜1の10も、実施例1の4〜1の6と同様、従来例とほぼ同等の保冷性能(保冷時間・保冷温度)を有しており、ゲル化剤の種類の違いによる保冷性能への影響は少ない。
(B)第二発明に係る実施例:
<実施例2の1〜2の15、比較例2、対照例2の1・2>
表3に示す組成物を用いて、保冷剤充填量および保冷剤パックの大きさ以外は、第一発明の場合と同様にして、各保冷剤パックを調製した。なお、保冷剤充填量は80g、保冷剤パックの大きさは、12cm×8cm×0.5cmとした。
Figure 2008156588
こうして調製した各保冷剤パックについて、第一発明と同様にして、ゲル性試験および保冷性試験を行うとともに、更に、凍結時の柔軟性を手で折り曲げチェック或いは、指での押し込み柔らかさを調べることで、凍結時柔軟性の判定し、また、解凍したものについても上記同様にゲル性試験(凍結解凍耐性の確認)の判定を行った。
なお、第一発明の場合と同様、水、従来例(市販のポリアクリル酸ソーダ系保冷剤)についても実施例と同様に充填・密封したものについて保冷性試験を行った。
表4に示す結果から、糖質を含有しない対照例2の1は凍結解凍後ゲル性を失い、保形性がなくなっている。このことより、糖質の含有は冷凍解凍時のゲル破壊を防ぎ、凍結解凍耐性を付与できる作用を奏すると考えられる。
さらに、表4において、ゲル化増粘剤を糖質共に用い、凍結防止剤と共に混合した実施例2の8を、凍結防止剤のみを水と共に試用した対照例2の2と比較すると、当該実施例では凍結後の柔軟性を有しているが、同量の凍結防止剤のみを含む、対照例2の2では凍結時柔軟性は観察されていない。このことから、凍結時柔軟性には、凍結防止剤のみではなく、糖質及びゲル化増粘剤との間の相互作用が影響していることが考えられる。
なお、同量の糖質とゲル化増粘剤を含む場合、表4の結果より、凍結防止剤の添加量を増やすことにより、凍結温度は下がり、冷凍時のゲル性を発現する。
Figure 2008156588
また、保冷性試験の結果を、図5〜10に示す。図5・6において従来例・水及び実施例2の1・2の2を、図6・7・8・9において実施例2の4を、図2・3において実施例1の4を、それぞれ、参照のために重複表記してある。
1)図5に示す実施例2の1〜2の3及び水・従来例の保冷時間と時間内保冷温度推移又は保冷温度は下記の如くであった。
実施例2の1・・・・・105分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の2・・・・・105分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の3・・・・・ 95分、−約15℃から徐々に上昇
水・・・・・・・・120分、 0℃
従来例・・・・・・140分、 0℃
糖質の平均分子量が大きくなるに従い保冷時間は長くなり、平均分子量が小さくなるに従い初期保冷温度が若干であるが低くなっている。
2) 図6に示す実施例2の1、2の2、2の4、2の5の保冷時間と時間内保冷温度推移又は保冷温度は下記の如くであった。
実施例2の1・・・・・105分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の2・・・・・105分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の4・・・・・135分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の5・・・・・135分、−約15℃から徐々に上昇
比較例2・・・・・85分、−約15℃から徐々に上昇
水・・・・・・・・120分、 0℃
従来例・・・・・・140分、 0℃
糖質濃度が低くなるに従って保冷時間が長くなり、糖質濃度が高くなるに従って推移保冷温度が低くなっている。
なお、実施例2の4の保冷剤について、繰り返し使用しているが、5回使用後、解凍時のゲル破壊が生じていない。
3)図7に示す実施例2の4・14・15の保冷時間と時間内保冷温度推移は下記の如くであった。
実施例2の4・・・・・135分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の14・・・・・145分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の15・・・・・120分、−約15℃から徐々に上昇
糖質とゲル化増粘剤の含有率が同一の場合、凍結防止剤の量が少ない場合の方が、保冷時間が長くなる。
図5・6・7より実施例2の4・5はポリアクリル酸ソーダ系保冷剤と略同等の保冷性能(保冷時間・保冷温度)を有する。即ち、糖質含有率を約5%とすることが望ましい。
さらに、糖質含有率10%の実施例2の1・2・3においても、水(氷)の約75%以上の保冷時間を有する。しかし、凍結防止剤を更に増やした場合も含めて、全体の固形分濃度が高くなるにつれて、実質的に有効な保冷温度・保冷時間を示し難い。
4)図8に示す実施例2の4・6・7・8における保冷時間と時間内保冷温度推移の如くであった。
実施例2の4・・・・・135分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の6・・・・・135分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の7・・・・・135分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の8・・・・・135分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の6・7・8も実施例2の4と同様、従来例と略同等の保冷性能(保冷時間・保冷時間内温度)を有しており、ゲル化剤の種類の違いによる保冷性能への影響は少ない。
5)図9・10に示す実施例2の4、実施例2の9〜2の13における保冷時間と時間内保冷温度温度は下記の如くである。
実施例2の4・・・・・ 135分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の9・・・・・ 135分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の10・・・・・135分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の11・・・・・135分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の12・・・・・135分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の13・・・・・135分、−約15℃から徐々に上昇
実施例2の9〜2の13も実施例2の4と同様、従来例と略同等の保冷性能(保冷時間・時間内保冷温度推移)を有しており、糖質濃度とゲル化増粘剤の濃度が同じであれば、凍結防止剤の種類は保冷性能に大きく影響しない。
実施例1の1〜13、従来例、水及び対照例1の保冷剤について行った保冷試験の結果を示すグラフ図である。 実施例1の4〜1の6及び従来例の各保冷剤について行った保冷試験の結果を示したグラフ図である。 実施例1の1・4及び実施例1の11〜1の12、比較例1及び水の各保冷剤について行った保冷試験の結果を示したグラフ図である。 実施例1の7〜1〜10及び従来例の各保冷剤について行った保冷試験の結果を示したグラフ図である。 実施例2の1〜2の3、水及び従来例の保冷剤について行った保冷試験の結果を示すグラフ図である。 実施例2の1・2・4・5、水及び従来例の各保冷剤について行った保冷試験の結果を示すグラフ図である。 実施例2の4・14・15の各保冷剤について行った保冷試験の結果を示すグラフ図である。 実施例2の4・6・7・8の各保冷剤について行った保冷試験の結果を示すグラフ図である。 実施例2の4・9・10の各保冷剤について行った保冷試験の結果を示すグラフ図である。 実施例2の11・12・13の各保冷剤について行った保冷試験の結果を示すグラフ図である。

Claims (12)

  1. 凍結解凍耐性付与剤としての重量平均分子量(Mw)180〜15000の糖質と、ゲル体形成剤としての天然物由来のゲル化増粘剤とを必須成分として含有した水保持ゲル体であり、保冷時間が水(氷)の場合の7割以上を示すものであることを特徴する保冷剤。
  2. 重量平均分子量(Mw)180〜15000の糖質の濃度(含有率)が1〜45質量%であり、天然物由来のゲル化増粘剤の含有率が0.1〜10質量%であり、それらの混合比率が糖質/ゲル化増粘剤(質量比)=30/1〜1/1であることを特徴とする保冷剤。
  3. 前記糖質の重量平均分子量(Mw)が800以上であり、且つ、含有率が1〜20質量%であり、前記ゲル化増粘剤の濃度(含有率)が0.5〜5質量%であり、両者の混合比率が前者/後者(質量比)=10/1〜10/6であることを特徴とする保冷剤。
  4. 前記糖質が澱粉分解物であるとともに、前記ゲル化増粘剤が、寒天、カラギーナン、ゼラチン又はカルボキシメチルセルロース(CMC)の群から選択される1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の保冷剤。
  5. 凍結解凍耐性付与剤としての重量平均分子量(Mw)180〜15000の糖質と、ゲル体形成剤としての天然物由来のゲル化増粘剤と、0℃よりも低い低温環境下に於いて凍結しないアルコール系の凍結防止剤とを必須成分として含有した水保持ゲル体であり、保冷時間が水(氷)の場合の7割以上を示すものであり、且つ、凍結時柔軟性を示すことを特徴する保冷剤。
  6. 重量平均分子量(Mw)180〜15000の糖質の濃度(含有率):1〜13質量%、天然物由来のゲル化増粘剤の含有率:0.1〜5質量%であり、及び、炭素数2〜6のアルコール類(多価アルコールを含む。)の含有率:1〜15質量%含有するとともに、水の含有率:67%以上であり、糖質/ゲル化増粘剤(質量比)=10/0.1〜10/8、糖質/アルコール類(質量比)=10/1〜10/30であることを特徴とする保冷剤。
  7. 重量平均分子量(Mw)800〜15000の糖質の濃度(含有率):3〜8質量%、天然物由来のゲル化増粘剤の含有率:0.5〜3質量%であり、及び、炭素数2〜6のアルコール類(多価アルコールを含む。)の含有率:3〜8質量%含有するとともに、水の含有率が81%以上であり、糖質/ゲル化増粘剤(質量比)=10/0.8〜10/5、糖質/アルコール類(質量比)=10/2〜10/25であることを特徴とする保冷剤。
  8. 前記糖質が澱粉分解物であるとともに、前記ゲル化増粘剤が、寒天、カラギーナン、ゼラチン又はカルボキシメチルセルロース(CMC)の群から選択される1種又は2種以上の混合物であり、前記凍結防止剤(アルコール類)が、エタノール、エチレングリコール又はグリセリンの群から選択される1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項5、6又は7記載の保冷剤。
  9. 前記ゲル化増粘剤の種類及び濃度(含有率)の一方又は双方を変化させて、ゲル硬さが調節されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の保冷剤。
  10. 前記糖質の重量平均分子量(Mw)および濃度(含有率)の一方又は双方を変化させて、保冷温度及び保冷時間の一方又は双方が調節されてなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一記載の保冷剤。
  11. 請求項1〜10のいずれか一記載の保冷剤が軟質樹脂フィルムからなる袋体(保冷剤カバー)に充填密封されてなることを特徴とする保冷剤パック。
  12. 請求項11記載の保冷剤パックの製造方法であって、前記糖質を所要量の水に溶解させた後、前記ゲル化増粘剤を添加し加熱溶解させた調製液を、冷却ゲル化前に前記袋体に充填・密封することを特徴とする保冷剤パックの製造方法。
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