JP2008156586A - ポリエステル樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを主成分とし、1,6−ヘキサンジオールが50モル%以上であるジオール成分とからなるポリエステルであって、融点が100〜150℃、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂。 b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
【選択図】図1
Description
(A)テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを主成分とし、1,6−ヘキサンジオールが50モル%以上であるジオール成分とからなるポリエステルであって、融点が100〜150℃、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂。
b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
(B)ポリブチレンテレフタレートを1,6−ヘキサンジオールで解重合させた後に重縮合反応を行う製造方法において、極限粘度が0.5以上のポリブチレンテレフタレートを用い、ポリブチレンテレフタレート100モル%に対し50〜200モル%の1,6−ヘキサンジオールを添加し、反応温度200〜250℃、反応時間0.5〜2時間の条件で解重合反応を行う(A)記載のポリエステル樹脂の製造方法。
本発明のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分がテレフタル酸を主成分とするものであり、ジオール成分が1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを主成分とし、1,6−ヘキサンジオールが50モル%以上のものである。
PBTとHDとをエステル化反応缶に供給し、常圧下200〜250℃の温度域で0.5〜2時間解重合反応を行った後、0.01〜10hPa程度の減圧下、220〜280℃の温度域で、所定の極限粘度のものが得られるまで重縮合反応を行ってポリエステル樹脂組成物を製造する。また、この重縮合反応は、触媒存在下で行われ、触媒としてはアンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マンガンおよびコバルト等の金属化合物のほか、スルホサリチル酸、o-スルホ安息香酸無水物等の有機スルホン酸化合物を単独もしくは併用する形で用いることができる。結晶核剤や各種添加剤(本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる)は、粉体またはジオールスラリー等の形態で、ポリエステルを製造する際の任意の段階で添加すればよい。例えば、エステル化またはエステル交換反応時に添加してもよいし、重縮合反応の段階で添加してもよい。
そして、重縮合反応においてポリエステルが所定の極限粘度に到達したら、ストランド状に払い出して、冷却カットすることによりチップ化する。
実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a)極限粘度〔η〕
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した。
(b)融点、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線
前記の方法により測定した。
(c)ポリマー組成
ポリエステルを重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比 1/20 の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA-400型NMR装置にて 1H-NMRを測定し、得られたチャートの各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から求めた。
(d)操業性
〔チップ化〕
ポリエステル樹脂をAUTOMATIK社製USG-600型カッターでチップ化する際、フィードローラーまたはカッターブレードへのポリエステルの巻き付きやストランド間の融着により2つ以上のチップが融着したものの発生等により、カッターの運転を中断した場合を×、融着等の問題が生じ、時折中断するもののチップ化できた場合を△、融着等の問題は生じながらも、カッターの運転を中断することなくチップ化できた場合を○、融着による問題が生じることなくチップ化できた場合を◎とした。
〔チップのブロッキング〕
チップの貯蔵・運搬および乾燥工程で、崩れないブロック状の塊や壁面への融着物が生じた場合を×、ブロック状の塊や壁面への付着物があり、ハンマー等で直接衝撃を加えるなどある程度の力により解消される場合を△、ブロック状の塊や壁面への付着物があるものの、手で触れたり、ハンマー等により壁面へ衝撃を加えることによりそれらが解消される程度である場合を○、ブロック状の塊や壁面への融着が全く発生しなかった場合を◎とした。
エステル化反応缶に、PBTチップ(三菱化学社製、極限粘度1.1)36kg、HD31kgを供給し(PBT100モル%に対してHDを150モル%添加し)、温度230℃、圧力0.2MPaの条件で1時間撹拌し(反応温度230℃、反応時間1時間とし)、解重合反応を行った。
次に、重縮合反応缶に移送し、艶消し剤として酸化チタンを34質量%含有するEGスラリーを0.5kg、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートを4質量%含有するEG液を1.0kgとを重縮合反応缶に投入した後、反応器内の圧力を徐々に減じ、70分後に1.2hPa以下にした。この条件下で撹拌しながら重縮合反応を約3時間行い、常法によりストランド状に払出し、チップ化した。
解重合反応の反応時間を2時間としたこと以外は実施例1と同様にして実施した。
解重合反応の反応時間、反応温度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして実施した。
HDの供給量を5kg(PBT100モル%に対してHDを24モル%添加)に変更し、解重合反応の反応時間を4時間としたこと以外は、実施例1と同様にして実施した。
エステル化反応缶に、PBTチップ19.8kg、HD31.0kg、IPA13.1kgを供給(酸成分100モル%に対してHDを150モル%添加)し、解重合反応の反応時間を4時間としたこと以外は、実施例1と同様にして実施した。
一方、比較例1のポリエステル樹脂は、HDが少ないため融点が195℃と高く、(1)式も満足せず、結晶性が低いため、チップ化の操業性が悪く、チップ同士のブロッキングも生じた。比較例2のポリエステル樹脂は、TPAが少なく融点がDSCでは確認できないものであり、熱安定性が悪く、結晶性も有しておらず、チップ化できなかった。比較例3、4のポリエステル樹脂は、解重合反応が進行しずぎたためランダム共重合体が多い状態となり、(1)式を満足せず結晶性の低いものとなり、チップ化の操業性が悪く、チップ同士のブロッキングも生じた。
Claims (2)
- テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを主成分とし、1,6−ヘキサンジオールが50モル%以上であるジオール成分とからなるポリエステルであって、融点が100〜150℃、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足することを特徴とするポリエステル樹脂。
b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。 - ポリブチレンテレフタレートを1,6−ヘキサンジオールで解重合させた後に重縮合反応を行う製造方法において、極限粘度が0.5以上のポリブチレンテレフタレートを用い、ポリブチレンテレフタレート100モル%に対し50〜200モル%の1,6−ヘキサンジオールを添加し、反応温度200〜250℃、反応時間0.5〜2時間の条件で解重合反応を行う請求項1記載のポリエステル樹脂の製造方法。
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