JP2008156404A - 樹脂組成物及びこれを用いる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 環境対応型の製造方法で得ることができ、且つアロイ化の効果が十分に発現できるポリアリーレンスルフィド樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを含有する樹脂組成物、及びこれを用いる耐熱性に優れた成形体を提供すること。
【解決手段】 ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)よりも高いガラス転移温度を有する芳香族ポリエステル樹脂(B)とを含有する樹脂組成物であり、該芳香族ポリエステル樹脂(B)が、フタル酸ハライド類(b1)をシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン及びアニソールからなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤に溶解させた有機溶媒溶液(I)と、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールのアルカリ水溶液(II)と、を接触させる界面重合法により得られる樹脂であることを特徴とする樹脂組成物、及び該樹脂組成物から得られる成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、得られる成形体の耐熱性に優れ、各種電子部品、機械部品、自動車部品等に好適に用いることができる樹脂組成物及びその成形体に関する。
ポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、PAS樹脂と略記する。)は、耐薬品性、難燃性、電気特性等に優れたエンジニアリングプラスチックであり、その成形体は各種の電気・電子部品、自動車部品、精密機械部品などの用途に広く使用されている。しかしながら、PAS樹脂はガラス転移温度(Tg)が低く、高温での環境下では使用しにくいという問題があり、種々のその他の樹脂類と混合して使用される事が検討されてきている。
特に芳香族ポリエステル樹脂を併用することにより、得られる成形体のTgの向上が図れることが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照。)。
前記特許文献1及び2では、芳香族ポリエステル樹脂を得る方法として、環境に対する負荷が大きいジクロロメタンを反応溶媒として使用しているが、該溶剤はその使用・廃棄等について各種の規制が行われている現状下、工業的生産には不向きであるといっても過言ではない。また、性質の異なる樹脂を複数混合してポリマーアロイを得る際に、用いる樹脂間の相性によっては単一の物性値を示さず、例えば、Tgの値が複数観測されることもあり、「アロイ化」の効果が十分に得られないことも多い。前記特許文献1においても、実施例中に動的粘弾性の測定より観測されるtanδが複数観測されることがあるとの記載もあり、該芳香族ポリエステル樹脂の構造等について十分な検討がされておらず、従って、アロイ化によるTg向上効果を十分に発現させたものではなかった。また、前記特許文献2では、Tg向上効果(耐熱性の向上)を発現させるために溶融混練の後に250℃以上の高温下で数時間から数十時間も放置するという熱処理工程を必要とし、省エネルギーの観点からは改良すべき点である。
特開2002−348472号公報 特開2003−305780号公報
上記実状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、環境対応型の製造方法で得ることができ、且つアロイ化の効果が十分に発現できるPAS樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを含有する樹脂組成物、及びこれを用いる耐熱性に優れた成形体を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行ったところ、PAS樹脂と、特定の製造方法で得られた特定構造を有する芳香族ポリエステル樹脂とを含有する樹脂組成物を溶融成形することによって、耐熱性に特に優れた成形体が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、PAS樹脂(A)と、該PAS樹脂(A)よりも高いガラス転移温度を有する芳香族ポリエステル樹脂(B)とを含有する樹脂組成物であり、該芳香族ポリエステル樹脂(B)が、フタル酸ハライド類(b1)をシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン及びアニソールからなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤に溶解させた有機溶媒溶液(I)と、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールのアルカリ水溶液(II)と、を接触させる界面重合法により得られる樹脂であることを特徴とする樹脂組成物、及びこれを溶融混練させて得られる成形体を提供するものである。
本発明により、PAS樹脂が本来有する優れた性能を損なわず、耐熱性を効率よく向上させることができる。特に本発明で用いる特定構造の芳香族ポリエステル樹脂は、環境負荷の大きい溶剤を使用することなく合成できるものであり、工業的生産に好適である。本発明の成形体を得るに当たり、溶融混練方法やその後の処理に特別の配慮は必要ではない点からも、工業的優位性に優れたものである。
本発明は、PAS樹脂(A)と、該PAS樹脂(A)よりも高いガラス転移温度を有する芳香族ポリエステル樹脂(B)とを含有する樹脂組成物であり、該芳香族ポリエステル樹脂(B)が、フタル酸ハライド類(b1)をシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン及びアニソールからなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤に溶解させた有機溶媒溶液(I)と、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールのアルカリ水溶液(II)と、を接触させる界面重合法により得られる樹脂であることを特徴とする。
本発明で用いるPAS樹脂(A)は、置換基を有してもよい芳香族環と硫黄原子とが結合した構造の繰り返し単位を含むものであり、ランダム共重合体、ブロック共重合体、およびそれらの混合物あるいは単独重合体との混合物等が挙げられる。上記ランダム共重合体、ブロック共重合体としては、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記する)、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトンスルホンなどが挙げられる。PAS樹脂(A)の中でも、繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は芳香族環のパラ位に結合した構造であることが耐熱性や結晶性の面で好ましい。
本発明に使用するPAS樹脂(A)は、PPSであることが好ましく、特に、下記構造式(1)
Figure 2008156404
で示される構造単位(芳香族環に置換基を含まない)を70モル%以上含有するPPSが、得られる成形物品の物性面及び経済面が優れる点から好ましく、特に90モル%以上含有するものであることが好ましい。
前述の好ましいPPSには、ポリマーの結晶性に大きく影響しない範囲で共重合成分としてその他の結合構造単位を含んでもよい。前記結合構造としては、例えば、下記構造式(2)
Figure 2008156404
で示されるメタ結合構造単位、
下記構造式(3)
Figure 2008156404
で示されるエーテル結合構造単位、
下記構造式(4)
Figure 2008156404
で示されるケトン結合構造単位、
下記構造式(5)
Figure 2008156404
で示されるビフェニル結合構造単位、
下記構造式(6)
Figure 2008156404
[式(6)中、Rはアルキル基、ニトロ基、フェニル基又はアルコキシ基である。]
で表される置換フェニルスルフィド結合構造単位、
下記構造式(7)
Figure 2008156404
で示される3官能フェニルスルフィド結合構造単位、
下記構造式(8)
Figure 2008156404
で示されるナフチル結合構造単位などが挙げられる。これらの結合構造単位は、30モル%未満であればPPSの結晶性に影響を与えることはないが、これらの構造単位は10モル%以下であることが好ましい。特に3官能基以上のフェニル結合、ナフチルスルフィド結合などを共重合成分として選ぶ場合は、3モル%以下が好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。
前記PPSの製造方法としては、例えば、(1)p−ジクロルベンゼンを硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、(2)極性溶媒中で硫化ナトリウムあるいは水硫化ナトリウムと水酸化ナトリウム又は硫化水素と水酸化ナトリウムの存在下で重合させる方法、(3)p−クロルチオフェノールの自己縮合などが挙げられるが、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンを反応させる方法が適当である。この際に重合度を調節するためにカルボン酸のアルカリ金属塩やスルホン酸のアルカリ金属塩を添加したり、水酸化アルカリを添加したりすることは好ましい方法である。
本発明で用いるPAS樹脂(A)は一般的な製造法、例えば、(1)ハロゲン置換芳香族化合物と硫化アルカリとの反応(米国特許第2513188号、特公昭44−27671号、特公昭45−3368号)、(2)チオフェノール類のアルカリ触媒又は銅塩などの共存下における縮合反応(米国特許第3274165号、英国特許第1160660号)、(3)芳香族化合物と塩化硫黄とのルイス酸触媒共存下における縮合反応(特公昭46−27255号、ベルギー特許第29437号)等により合成することができる。
前記PAS樹脂(A)としては、架橋型のPAS樹脂でも、あるいは非架橋型(リニアー型)PAS樹脂でもよい。更に、使用するPAS樹脂(A)の形態としては特に制限はなく、ペレットのような粒状でもあるいは粉状でもよい。
本発明で用いる芳香族ポリエステル樹脂(B)は、フタル酸ハライド類(b1)と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールとを原料として用いる。また、製造方法としては、有機相とアルカリ水相とにそれぞれ溶解させた原料をその界面において反応させる界面重合法であり、かつ有機相として用いる有機溶媒をシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、アニソール及びこれらの混合溶媒から選択して用いることを特徴とする。
この様な特定の溶媒を用いることによって、環境負荷の大きいジクロロメタン等のハロゲン系溶剤や、取り扱い上の規制が多いトルエン・キシレンといった芳香族系溶剤を使用せず、且つ目的とする分子量の芳香族ポリエステル樹脂を、反応液の増粘を生じることがなく、効率的に製造することができるものである。なかでもシクロヘキサノンは安価であるため工業的に大量生産する際には好ましく、また、アニソールは副反応が生じにくいため特に好ましい。なお、本発明の効果を損なわない範囲において、フタル酸ハライド(b1)の溶解性を上げる等の目的において、その他の種々の有機溶剤を併用しても良い。
また、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール(以下、TMBPと略記する。)を用いることによって、得られる芳香族ポリエステル樹脂(B)にも該ビフェノール由来構造を含有することになり、前記PAS樹脂(A)との相溶性が良好で且つ耐熱性の改良効果に優れる。
芳香族ポリエステル樹脂(B)の原料であるジカルボン酸成分として、本発明ではフタル酸ハライド(b1)を用いるが、ハライドとしては、クロライド、ブロマイド、アイオダイドのいずれでも良く、特に工業的入手容易性の観点からクロライドを用いることが好ましい。
また、フタル酸ハライド(b1)としては、イソフタル酸ハライドを単独もしくはテレフタル酸ハライドと併用して用いることが、得られる成形体の耐熱性が良好であり、且つ前記した有機溶媒への溶解性の観点から好ましく、〔イソフタル酸ハライド:テレフタル酸ハライド〕で表されるモル比で(70〜100):(0〜30)の割合で混合したものを用いることが好ましく、特に該モル比が(75〜84):(16〜25)の割合で混合したものを用いることが好ましい。
前記芳香族ポリエステル樹脂(B)の具体的な製造方法としては、フタル酸ハライド類(b1)の前記有機溶媒溶液(I)と、TMBPのアルカリ水溶液(II)とを接触させる界面重合法により製造する方法であって、接触させる方法としては、TMBPのアルカリ水溶液(II)を撹拌しながら、フタル酸ハライド類(b1)の有機溶媒溶液(I)を滴下する方法が好ましい。この際の反応温度としては2〜50℃の範囲、反応時間としては0.5〜5時間の範囲が好ましい。
前記手法において使用する有機溶媒の量は、得られる芳香族ポリエステル樹脂(B)の濃度が2〜25質量%となるように用いることが好ましく、5〜25質量%となることがより好ましい。特に高分子量の芳香族ポリエステル樹脂(B)を得ようとする場合、該芳香族ポリエステル樹脂(B)の濃度を低くすることで、反応中に反応液の粘度が増し撹拌翼への巻付きを防止することが出来る。低分子量の芳香族ポリエステル樹脂(B)を得ようとする場合は、該芳香族ポリエステル樹脂(B)の濃度を高くすることで、過大に大きな装置を用いる必要がなくなる。
前記手法において使用するTMBPのアルカリ水溶液(II)の量は、有機溶媒に対して、体積比で0.3〜3倍の範囲であることが好ましい。さらに、反応時に用いるアルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。この際、アルカリ水溶液の濃度は、アルカリ成分すなわち水酸化物イオンのモル数をフェノール性のヒドロキシ基のモル数で除した比率が1.0〜1.5の範囲とすることが好ましい。濃度がこの範囲内であると、水酸化物イオンによるフタル酸ハライド類(b1)の加水分解が起こりにくく、またエステル化の反応性も良好である。
前記手法において反応させるフタル酸ハライド類(b1)の酸ハライド基と、TMBPのヒドロキシ基とのモル比は、高重合度のポリマーを得るためには、0.85〜1.10とすることが好ましく、0.90〜1.05にすることが特に好ましい。なお、使用する反応溶媒の種類や反応装置などの反応条件により、特に高重合度のポリマーを得るためのモル比は変化する。また、得られる芳香族ポリエステル樹脂(B)の分子量調節のために、後述する1官能性フェノール類(b2)や1官能性芳香族カルボン酸ハライド類(b3)を併用する場合には、未反応原料を少なくするためにも、同様なモル比の調整が必要となる。
前記手法における界面重合時には、重合触媒が通常使用されるが、該重合触媒としては、例えば、メチルトリオクチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、テトラエチルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド、トリ−n−プロピルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−プロピルアンモニウムハライド等の第4級アンモニウム塩類、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、テトラメチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハライド、トリフェニルベンジルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムハライド等の第4級ホスホニウム塩類、18−クラウン−6,18−ベンゾクラウン−6、18−ジベンゾクラウン−6、15−クラウン−5等のクラウンエーテル類が挙げられ、特に重合速度と価格の面から第4級アンモニウム塩が好ましい。
界面重合終了後には、塩類と未反応モノマーとを含むアルカリ水相と、芳香族ポリエステル樹脂(B)を溶解した有機溶媒相とを、静置分離や遠心分離等、従来の方法を用いて分離する。さらに、有機溶媒相を水洗し、残留する塩類やモノマーを除去することが好ましい。
本発明で得られる芳香族ポリエステル樹脂(B)の分子量を調整する等の目的のために、1官能性フェノール類(b2)や1官能性芳香族カルボン酸ハライド類(b3)を併用しても良い。
前記1官能性フェノール類(b2)としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,6−キシレノールなどが挙げられ、単独でも2種以上を併用しても良い。これらの中でも、得られる芳香族ポリエステル樹脂(B)を用いた樹脂組成物からなる成形体の耐熱性に優れる点から、ベンゼン環上の置換基として炭素数1〜4のアルキル基を有する1官能性フェノール類であることが好ましく、特に取り扱い性に優れる点から、m−クレゾールを用いることが最も好ましい。
前記1官能性フェノール類(b2)の使用割合としては、目的とする芳香族ポリエステル樹脂(B)の分子量によって異なるものであるが、TMBPに対して3モル%以下であることが好ましい。特に後述する重量平均分子量が100,000〜200,000程度のものを合成するには、1モル%程度使用することが好ましい。
前記1官能性芳香族カルボン酸ハライド(b3)としては、例えば、ベンゾイルクロライド、ベンゾイルブロマイドなどが挙げられ、単独でも2種以上を併用しても良い。これらの中でも、得られる芳香族ポリエステル樹脂(B)を用いた樹脂組成物からなる成形体の耐熱性に優れる点から、ベンゼン環上に置換基を有していても良いベンゼンカルボン酸ハライドであることが好ましく、特に取り扱い性に優れる点から、ベンゾイルクロライドを用いることが最も好ましい。
前記1官能性芳香族カルボン酸ハライド(b3)の使用割合としては、目的とする芳香族ポリエステル樹脂(B)の分子量によって異なるものであるが、フタル酸ハライド(b1)に対して3モル%以下であることが好ましい。特に後述する重量平均分子量が100,000〜200,000程度のものを合成するには、1モル%程度使用することが好ましい。
前記手法で得られる芳香族ポリエステル樹脂(B)であれば、前記PAS樹脂(A)と溶融混合することで耐熱性に優れた成形体が得られるが、より耐熱性に優れたものが得られる点からは、該芳香族ポリエステル樹脂(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量が70,000〜400,000であることが好ましく、特に100,000〜200,000であることが好ましい。尚、かかる重量平均分子量については、以下のように求めた。芳香族ポリエステル樹脂(B)のテトラヒドロフラン溶液(0.1wt%)を調製し、TSKGelGHxlシリーズ5000、3000、2000、1000カラムおよび示差屈折計(RI)検出器を備えたGPC装置(東ソー株式会社製HLC−8220GPC)を用い、試料溶液注入量50μl、テトラヒドロフランを移動相(1ml/分)とし、40℃で測定した。重量平均分子量は、標準スチレンからなる検量線から算出した。
前記手法で得られる芳香族ポリエステル樹脂(B)であれば、前記PAS樹脂(A)と混合し耐熱性に優れた成形体が得られるが、より耐熱性に優れたものが得られる点からは、該芳香族ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度が240℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは260℃〜300℃であることが好ましい。かかるガラス転移温度の測定は、示差走査熱量計(測定装置:パーキンエルマー社製DiamondDSC)を用い、昇温速度20℃/分で行った。
本発明において、前記PAS樹脂(A)と芳香族ポリエステル樹脂(B)との混合割合としては、より耐熱性に優れた成形体が得られる点から、PAS樹脂(A):芳香族ポリエステル樹脂(B)が(65〜90):(10〜35)の範囲であることが好ましく、特に(69〜79):(21〜31)の範囲であることが好ましい。
本発明で用いる樹脂組成物は、前述のPAS樹脂(A)、芳香族ポリエステル樹脂(B)を用いること以外になんら制限されるものではなく、これ以外のものを適宜併用することも可能である。例えば、靭性を付与するためには、エラストマーを添加してもよく、更に着色防止のためは、酸化防止剤等を配合しても良い。
本発明の成形体を得るための溶融混練の方法としては特に限定されるものではないが、溶融混練後、相溶化した構造であること、又は前記ポリエステル樹脂(B)がPAS樹脂(A)の中に、平均粒子径として0.1〜1.5μmで分散している状態になっていることが好ましい。
前述の状態にある成形体を得るためには、例えば、PAS樹脂(A)、芳香族ポリエステル樹脂(B)を、タンブラー又はヘンシェルミキサーなどで均一に混合し、高剪断を付与することの出来る2軸押出機に供給して溶融混練した後、ペレット化し、これを成形機に供し、溶融成形する方法が挙げられる。該溶融成形としては、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形等が挙げられる。
その他の配合剤・添加剤等を用いる場合には、PAS樹脂(A)、芳香族ポリエステル樹脂(B)と共に該添加剤をタンブラー又はヘンシェルミキサーなどで均一に混合し溶融混練するか、又は、2軸押出機のサイドフィーダーから供給し溶融混練する方法が挙げられる。
本発明で得られる成形体の用途としては、特に限定されるものではなく、例えば、コネクター、コイルボビン、各種ソケット、コンデンサー、バリコン、光ピックアップ、各種端子盤、プラグ類、磁気ヘッドベース、自動車用パイプ類、エアーインテークノズル、インテークマニホールド、キャブレター、ランプソケット、ランプリフレター、ランプハウジング等が挙げられる。特に耐熱性に優れる点から、熱水機器部品等に好適に用いる事が出来る。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、特に断わりがない限り「%」は「質量%」を表わす。
<重量平均分子量の測定>
試料のテトラヒドロフラン溶液(0.1wt%)を調製し、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)にて測定した。使用した装置は、TSKGelGHxlシリーズ5000、3000、2000、1000カラムおよび示差屈折計(RI)検出器を備えたGPC装置(東ソー株式会社製HLC−8220GPC)で、試料溶液注入量50μl、テトラヒドロフランを移動相(1ml/分)とし、40℃で測定した。重量平均分子量は、標準スチレンからなる検量線から算出した。
<耐熱性>
耐熱性はガラス転移温度(Tg)を評価基準とした。ガラス転移温度の測定は、示差走査熱量計(測定装置:パーキンエルマー社製DiamondDSC)を用い、昇温速度20℃/分で行った。
合成例1(芳香族ポリエステル樹脂の製造方法)
撹拌翼、窒素導入口を備えた反応装置にTMBP48.46g(0.20モル)を、水酸化ナトリウム20g(0.5モル)を含む脱酸素水1000mlに溶解し水溶液を得た。別にイソフタル酸クロリド32.48g(0.16モル)、テレフタル酸クロリド8.12g(0.04モル)、テトラブチルアンモニウムクロリド1.2gをアニソール1000mlに溶解させ有機溶液を得た。水溶液を25℃に保ち窒素気流下中で撹拌しながら、有機溶液を加え、そのまま60分間撹拌を続けた。撹拌を停止した後、下層に分離した水溶液相を取り除き、再び撹拌をしながら有機溶液相にアセトンを注ぎ、沈殿を得た。得られた沈殿を濾過により分離し、アセトンで洗浄、乾燥して芳香族ポリエステル樹脂71.5gを得た。得られた芳香族ポリエステル樹脂の重量平均分子量は400×10、ガラス転移温度は283℃であった。この芳香族ポリエステル樹脂を以下PAR1という。
合成例2(芳香族ポリエステル樹脂の製造方法)
TMBP48.46g(0.20モル)を、TMBP48.22g(0.199モル)とm−クレゾール0.21g(0.002モル)に代えた以外は合成例1と同じ操作で芳香族ポリエステル樹脂71.3gを得た。得られた芳香族ポリエステル樹脂の重量平均分子量は145×10、ガラス転移温度は278℃であった。この芳香族ポリエステル樹脂を以下PAR2という。
合成例3(芳香族ポリエステル樹脂の製造方法)
TMBP48.46g(0.20モル)を、TMBP47.98g(0.198モル)とベンゾイルクロリド0.56g(0.004モル)に代えた以外は合成例1と同じ操作で芳香族ポリエステル樹脂71.6gを得た。この芳香族ポリエステル樹脂の重量平均分子量は96×10、ガラス転移温度は273℃であった。この芳香族ポリエステル樹脂を以下PAR3という。
合成例4(芳香族ポリエステル樹脂の製造方法)
TMBP48.46g(0.20モル)を、TMBP47.73g(0.197モル)とm−クレゾール0.65g(0.006モル)に代えた以外は合成例1と同じ操作で芳香族ポリエステル樹脂70.5gを得た。得られた芳香族ポリエステル樹脂の重量平均分子量は71×10、ガラス転移温度は268℃であった。この芳香族ポリエステル樹脂を以下PAR4という。
合成例5(芳香族ポリエステル樹脂の製造方法)
アニソール1000mlをシクロヘキサノン1000mlに代えた以外は合成例2と同じ操作で芳香族ポリエステル樹脂71.4gを得た。得られた芳香族ポリエステル樹脂の重量平均分子量は128×10、ガラス転移温度は276℃であった。この芳香族ポリエステル樹脂を以下PAR5という。
合成例6(芳香族ポリエステル樹脂の製造方法)
アニソール1000mlを2,6−ジメチルシクロヘキサノン1000mlに代えた以外は合成例2と同じ操作で芳香族ポリエステル樹脂70.7gを得た。得られた芳香族ポリエステル樹脂の重量平均分子量は123×10、ガラス転移温度は275℃であった。この芳香族ポリエステル樹脂を以下PAR6という。
合成例7(芳香族ポリエステル樹脂の製造方法)
イソフタル酸クロリド32.48g(0.16モル)、テレフタル酸クロリド8.12g(0.04モル)を、イソフタル酸クロリド40.60g(0.20モル)に代えた以外は合成例2と同じ操作で芳香族ポリエステル樹脂71.4gを得た。得られた芳香族ポリエステル樹脂の重量平均分子量は136×10、ガラス転移温度は277℃であった。この芳香族ポリエステル樹脂を以下PAR7という。
合成例8(芳香族ポリエステル樹脂の製造方法)
イソフタル酸クロリド32.48g(0.16モル)、テレフタル酸クロリド8.12g(0.04モル)を、イソフタル酸クロリド36.54g(0.18モル)、テレフタル酸クロリド4.06g(0.02モル)に代えた以外は合成例2と同じ操作で芳香族ポリエステル樹脂71.0gを得た。得られた芳香族ポリエステル樹脂の重量平均分子量は138×10、ガラス転移温度は278℃であった。この芳香族ポリエステル樹脂を以下PAR8という。
合成例9(芳香族ポリエステル樹脂の製造方法)
イソフタル酸クロリド32.48g(0.16モル)、テレフタル酸クロリド8.12g(0.04モル)を、イソフタル酸クロリド28.42g(0.14モル)、テレフタル酸クロリド12.18g(0.06モル)に代えた以外は合成例2と同じ操作で芳香族ポリエステル樹脂70.7gを得た。得られた芳香族ポリエステル樹脂の重量平均分子量は142×10、ガラス転移温度は278℃であった。この芳香族ポリエステル樹脂を以下PAR9という。
合成例10(芳香族ポリエステル樹脂の製造方法)
TMBP48.46g(0.20モル)を、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(BPA)45.66g(0.20モル)に代えた以外は合成例1と同じ操作で芳香族ポリエステル樹脂70.5gを得た。得られた芳香族ポリエステル樹脂の重量平均分子量は388×10、ガラス転移温度は203℃であった。この芳香族ポリエステル樹脂を以下PAR10という。
合成例11(芳香族ポリエステル樹脂の製造方法)
TMBP48.46g(0.20モル)を、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン56.88g(0.20モル)に代えた以外は合成例1と同じ操作で芳香族ポリエステル樹脂69.9gを得た。得られた芳香族ポリエステル樹脂の重量平均分子量は270×10、ガラス転移温度は226℃であった。この芳香族ポリエステル樹脂を以下PAR11という。
(ポリフェニレンスルフィド樹脂)
溜出口、モノマー溶液仕込み口および窒素ガス導入口付きのオートクレーブに水硫化ナトリウム(NaSH・2HO)9.55Kg、水酸化ナトリウム4.05Kgおよび50.0KgのN−メチルピロリドンを投入し、窒素ガスの雰囲気下、190℃、1時間撹拌して脱水操作を行った。次いで、オートクレーブを密閉し、200℃に加熱された脱水操作で得られた系に、p−ジクロルベンゼン14.8KgとN−メチルピロリドン10Kgとの溶液を約40分間かけて圧入して、加圧下220℃で4時間反応を行った後、更に240℃に昇温して2時間反応させた。重合物を分離し、温水さらにアセトン、メタノール、N−メチルピロリドンで洗浄しPPSを得た。PPSの溶融粘度は30Pa・s、融点は285℃、ガラス転移温度は92℃であった。
(芳香族ポリエステル樹脂)
市販されている芳香族ポリエステル樹脂として、ユニチカ株式会社製「Uポリマー U−100」を使用した。かかる樹脂のガラス転移温度は195℃であった。
実施例1〜15及び比較例1〜4
表1に記載する比率にてPPSと芳香族ポリエステル樹脂をタンブラーで均一に混合して樹脂組成物を得た。その後、東芝機械株式会社製ベント付き2軸押出機(TEM−35B)を用いて、320℃で溶融混練して該組成物のペレットを得た。その後、該組成物より得られたペレットを用いてDSCにてガラス転移温度(Tg)を測定した。評価結果は表1〜2の通りであった。
Figure 2008156404
Figure 2008156404

Claims (10)

  1. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)よりも高いガラス転移温度を有する芳香族ポリエステル樹脂(B)とを含有する樹脂組成物であり、該芳香族ポリエステル樹脂(B)が、フタル酸ハライド類(b1)をシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン及びアニソールからなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤に溶解させた有機溶媒溶液(I)と、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールのアルカリ水溶液(II)と、を接触させる界面重合法により得られる樹脂であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記芳香族ポリエステル樹脂(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量が70,000〜400,000である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記芳香族ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度が240〜300℃である請求項1記載の樹脂組成物。
  4. 前記フタル酸ハライド類(b1)が、イソフタル酸ハライドとテレフタル酸ハライドとを〔イソフタル酸ハライド:テレフタル酸ハライド〕で表されるモル比で(70〜100):(0〜30)の割合で単独使用もしくは混合したものである請求項1記載の樹脂組成物。
  5. 前記芳香族ポリエステル樹脂(B)の合成時に1官能性フェノール類(b2)を併用する請求項1記載の樹脂組成物。
  6. 前記1官能性フェノール類(b2)が、ベンゼン環上の置換基として炭素数1〜4のアルキル基を有するものであって、且つ3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールに対して3モル%以下で用いる請求項5記載の樹脂組成物。
  7. 前記芳香族ポリエステル樹脂(B)の合成時に1官能性芳香族カルボン酸ハライド(b3)を併用する請求項1記載の樹脂組成物。
  8. 前記1官能性芳香族カルボン酸ハライド(b3)が、ベンゼン環上に置換基を有していても良いベンゼンカルボン酸ハライドであって、且つフタル酸ハライド類(b1)に対して3モル%以下で用いる請求項7記載の樹脂組成物。
  9. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と前記芳香族ポリエステル樹脂(B)との配合割合(A):(B)が(65〜90):(10〜35)(質量比)である請求項1記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9の何れか1項記載の樹脂組成物を溶融混練して得られることを特徴とする成形体。
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