JP2010159366A - ポリアリレート樹脂組成物およびそれから得られる成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性が高く、さらに耐衝撃性、流動性および光学特性に優れたポリアリレート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂を混合してなるポリアリレート樹脂組成物であって、前記ポリアリレート樹脂が下記一般式(I)で示される構造を有し、混合比率がポリアリレート樹脂/ポリカーボネート樹脂=30/70〜90/10(質量比)であることを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
(式中、R1〜R4は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の炭化水素基であり、R5〜R7は、炭素数1〜4の炭化水素基である。m/nは、共重合比率であり、m/n=90/10〜10/90)
【選択図】なし
【解決手段】ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂を混合してなるポリアリレート樹脂組成物であって、前記ポリアリレート樹脂が下記一般式(I)で示される構造を有し、混合比率がポリアリレート樹脂/ポリカーボネート樹脂=30/70〜90/10(質量比)であることを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
(式中、R1〜R4は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の炭化水素基であり、R5〜R7は、炭素数1〜4の炭化水素基である。m/nは、共重合比率であり、m/n=90/10〜10/90)
【選択図】なし
Description
本発明は、耐熱性の改良されたポリアリレート樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、従来のポリアリレートの流動性、光学特性を損なわずに、耐熱性を改良したポリアリレート樹脂組成物に関するものである。
二価フェノール類、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの残基とテレフタル酸および/あるいはイソフタル酸の残基とからなるポリアリレートはエンジニアリングプラスチックスとして既によく知られている。かかるポリアリレートは耐熱性が高く、衝撃強度に代表される機械的強度や寸法安定性に優れ、加えて透明であるためにその成形品は電気・電子、自動車、機械などの分野に幅広く応用されていることもよく知られている。
ここ数年の原油の著しい高騰によって、自動車産業においては自動車の燃費向上が最大の課題となっている。このために自動車を構成する材料を軽量化することを目的として、比重の高い金属あるいはガラス等の無機材料に替えて低比重のプラスチックを自動車部品に応用する試みが盛んに行われている。例えば、自動車に搭載されるランプカバーやレンズ類の素材についても、ガラスからプラスチックへの代替がかなり進んできた。従来から、この種の部材のうち比較的耐熱性の要求の低い部品にはアクリル樹脂が、やや耐熱性が高い部品にはポリカーボネートが使用されている。さらに耐熱性が要求される部品には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの残基とテレフタル酸および/あるいはイソフタル酸の残基とからなるポリアリレートが使用されてきた。
しかしながら、原油の著しい高騰によって、自動車の軽量化に対するさらなる要求は厳しく、ランプカバーやレンズ類の一層の薄肉化が求められている。その薄肉化を実現するためには、より一層の耐熱性アップが必要となってきている。その結果、従来の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの残基とテレフタル酸および/あるいはイソフタル酸の残基とからなるポリアリレートでは、耐熱性が十分でなくなってきた。
ポリアリレートの耐熱性を向上させる試みとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに替えて、種々のビスフェノール類を用いるかあるいは共重合したポリアリレートが公知である。例えば、特許文献1には、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンの残基とテレフタル酸および/あるいはイソフタル酸の残基とからなるポリアリレートの記載がある。また、特許文献2には、4,4’―(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール残基とテレフタル酸および/あるいはイソフタル酸の残基からなるポリアリレートが記載の記載がある。
しかしながら、これらのビスフェノール類を骨格にするポリアリレートは、耐熱性は向上するが、イソプロピリデン残基に替えて、アセトフェノン残基やフルオレン残基のような非常に剛直な構造になるため、衝撃強度が極端に低下する。そのため、薄肉化した場合に、非常に脆く、実用上、問題であった。
特許文献3には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの残基とテレフタル酸および/あるいはイソフタル酸の残基とからなるポリリレートが記載の記載がある。しかしながら、特許文献3の組成においては、耐熱性は向上するが、流動性が悪く、現在要求されている薄肉化の場合には、問題となる。
特許文献4には、ポリカーボネート構造に、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの残基を共重合したポリカーボネートとポリアリレートを配合する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献4の組成においては、ポリカーボネートの耐候性は向上するが、ポリカーボネートが有する本来の耐衝撃性を著しく損なっていた。また、混合された樹脂組成物の色目が悪く、特にイエローインデックスは高いものであり、透明性が要求される用途においては実用上問題があった。
本発明は、耐熱性が高く、さらに耐衝撃性、流動性および光学特性に優れたポリアリレート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂を混合してなるポリアリレート樹脂組成物において、特定の構造を有するポリアリレート樹脂と、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂を混合することで、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂を混合してなるポリアリレート樹脂組成物であって、前記ポリアリレート樹脂が下記一般式(I)で示される構造を有し、ポリカーボネート樹脂が下記一般式(II)で示される構造を有し、混合比率がポリアリレート樹脂/ポリカーボネート樹脂=30/70〜90/10(質量比)であることを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
(2)(1)のポリアリレート樹脂組成物を成形してなる成形体。
(3)ポリアリレート樹脂組成物成形体の、ISO75に準拠して測定される荷重たわみ温度(荷重1.8MPa)が180℃以上、ISO179に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度の値が10kJ/m2以上、JIS K7103に準拠して測定される厚さ2mmの射出成形片のイエローインデックス(YI)が5以下であることを特徴とする(2)の成形体。
本発明によれば、ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂を混合してなるポリアリレート樹脂組成物として、特定の構造を有するポリアリレート樹脂と、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂を混合しているため、耐熱性が高く、さらに耐衝撃性、流動性および光学特性に優れたポリアリレート樹脂組成物を提供することができる。
本発明のポリアリレート樹脂組成物は、ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂を混合して得られるポリアリレート樹脂組成物である。
本発明で用いるポリアリレート樹脂としては、下記一般式(I)に示されるポリアリレートである必要がある。
上記一般式(I)に示す共重合の比率(m/n比)としてはビスフェノール成分を100モル%とした場合に、m/n=90/10であり、好適にはm/n=80/20〜20/80の範囲である。最適にはm/n=70/30〜30/70が好ましい。m>90の場合、生成したアリレートの溶剤溶解性が低下するため分子量が上昇しない。一方、m<10の場合、シクロヘキサン環構造を有するビスフェノール成分を共重合することによる効果、すなわち、高い耐熱性が得られない。
ポリアリレートは、2価フェノール残基と芳香族2価カルボン酸残基とから構成されているポリエステルであるが、本発明では、界面重合によって合成される。すなわち、アルカリ水溶液に溶解させた2価フェノール(以下「ビスフェノール」)(水相)と、水に溶解しない有機溶剤に溶解させた2価カルボン酸ハライド(有機相)とを混合することによって行われ(W.M.EARECKSONJ.Poly.Sci.XL399 1959年、特公昭40−1959号公報)、溶液重合と比較して反応が速く、そのため酸ハライドの加水分解を最小限に抑えることが可能である。本発明のような高分子量のポリアリレートを得る場合には有利な合成法である。
本発明に用いることのできる2価の芳香族カルボン酸ハライドとしては、テレフタル酸ハライド、イソフタル酸ハライド、フタル酸ハライド、ジフェン酸ハライド、1,4−ナフタレンジカルボン酸ハライド、あるいは、芳香核にアルキル基やハロゲン基が置換した混合物が挙げられる。好適には、テレフタル酸ハライド10〜90モル%とイソフタル酸ハライド90〜10モル%の混合物が用いられ、特に好ましくは両者の等量混合物である。
また、本発明に用いられるシクロヘキサン環構造を有するビスフェノールとしては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1.1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリエチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリブチルシクロヘキサンなどが挙げられる。好適には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、BPZ)または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下、BPTMC)が挙げられる。
また、このビフェノール誘導体に共重合するビスフェノール類としては、イソプロピリデン基を骨格の中心に持つビスフェノール類である。具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、BPA)、2,2−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、BPC)、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、TMBPA)などのビスフェノールが挙げられる。
イソプロピリン基を骨格の中心に持つビスフェノール類の耐熱性向上させる目的で共重合するビスフェノールは、シクロヘキサン環を有するビスフェノール以外に、アセトフェノン系およびフルオレン系の骨格を中心に持つビスフェノールでも達成することが可能である。しかしながら、このような芳香族環を骨格の中心に持つビスフェノールは、耐熱性の向上は著しいが、その剛直性から、出来たポリアリレートは硬く脆いものとなり、耐衝撃性が極端に低下する。そのため、シクロヘキサン環などの脂環族系構造を中心に持つビスフェノールから出来たポリアリレートは、耐熱性の向上だけでなく、耐衝撃性においても極端な低下がなく、実用上優れている。また、シクロヘキサン環などの脂環族系を中心に持つビスフェノールから出来たポリアリレートは透明性においてもアセトフェノンおよびフルオレン系の骨格を中心に持つビスフェノールから出来たポリアリレートより優れている。
界面重合によってポリアリレートを重合する方法について、さらに詳細に説明する。まず、水相として、2価フェノールのアルカリ水溶液を調整し、続いて、重合触媒および分子量調整剤を添加する。ここで用いることができるアルカリには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等がある。
本発明の重合触媒としては、第4級アンモニウム塩を該ビスフェノールのモル数に対して総量で0.5〜1.0モル%することが必須である。0.5モル%より少ないと十分な触媒作用が働かないため高い分子量が得られない。また、1.0モル%より多いと主反応だけでなく副反応である加水分解反応も活性になるため、カルボキシル価が増大する。
また、分子量調整剤として、重合時に1官能の化合物、具体的にはフェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等を添加してもよい。
次に有機相として、水と相溶せず、かつ、ポリアリレートを溶解するような溶媒、具体的には塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−、m−、p−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、もしくはテトラヒドロフランなどに、二価の芳香族カルボン酸ハライドを溶解させる。この有機相の溶液を前述の水相の溶液に混合し、25℃以下の温度で1時間〜5時間攪拌しながら界面重縮合反応をおこなうことによって、高分子量のポリアリレートが得られる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂としては、下記一般式(II)に示されるポリカーボネートである必要がある。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、二価フェノール残基とカーボネート残基から構成されているポリ炭酸エステルである。
ポリカーボネート樹脂は前記ポリアリレート樹脂と類似のビスフェノール類残基単位を有するため、ポリアリレート樹脂に対して良好な相溶性を示す場合が多い。
ビスフェノール類残基単位を導入するためのポリカーボネート原料としてのビスフェノール類としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4‘−ジチオジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3'−ジクロロジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上混合して使用してもよい。これらの化合物中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂組成物は、一般式(I)で示されるポリアリレート樹脂と一般式(II)で示されるポリカーボネート樹脂を特定の比率で混合することである。混合比率はポリアリレート樹脂/ポリカーボネート樹脂=30/70〜90/10(質量比)であり、好適には、40/60〜90/10であり、最適には、50/50〜90/10である。ポリアリレート樹脂の比率が30質量%より少ないと、耐熱性が不足して、本発明の効果を発現することができない。一方、ポリアリレート樹脂の比率が90質量%より多いと耐熱性は高いが、流動性および耐衝撃性が不足して問題である。
本発明のポリアリレート樹脂組成物の製造方法において、一般式(I)のポリアリレート樹脂と一般式(II)のポリカーボネート樹脂を混合する以外に、その他、特性を損なわない範囲で耐熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤を添加することができる。
耐熱性安定剤としては、リン系の酸化防止剤が特に好ましく、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]−4,4−ジイルビスホスホナイトが好適である。リン系の酸化防止剤を配合する場合は、その配合量は、ポリアリレート樹脂/ポリカーボネート樹脂混合物100質量部に対し、0.01〜1質量部であり、0.01質量部未満であると、樹脂組成物の溶融混練時、成形加工時の変色を防止する効果が乏しくなり、1質量部を越えると効果が飽和するばかりか、経済的に好ましくない。
ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂の混合、さらに、添加剤を添加する方法は特に限定されるものではなく、樹脂組成物中に各成分が均一に分散されている状態になればよい。具体的にはポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、その他添加剤をタンブラーあるいはヘンシェルミキサーを用いて均一にブレンドした後に押出機に供給して、溶融混練してペレット化する方法が挙げられるし、各原料を別々の供給機を使用して、所定の比率で押出機に連続供給してもよい。
得られた樹脂ペレットは、射出成形、押出成形によって成形体に成形することができる。
また、発明によって製造されるポリアリレート樹脂の荷重たわみ温度(荷重1.8MPa)は、180℃以上であることが好ましい。また、シャルピー衝撃強度の10kJ/m2以上であることが好ましく。さらに、厚さ2mmの射出成形片のイエローインデックス(YI)が5以下であることが好ましい。
このようにして得られたポリアリレート樹脂組成物は、熱可塑時の流動性に優れるために薄肉成形体の成形が可能で、また、成形体を薄肉化しても、耐熱性、耐衝撃性、光学特性が優れるため、耐熱性、耐衝撃性が要求される成形体用途で用いることができる。更には、透明性にも優れるために、自動車用のランプカバーおよびレンズ類として好適に用いられる。特に、ここ数年の部品の薄肉化した場合に、耐熱性、耐衝撃性、光学特性に優れている。
成形体の具体例としては、各種筐体等の電化製品用樹脂部品、バンパー、インパネ、ドアトリム等の自動車用樹脂部品等が挙げられる。また、フィルム、シート、中空成形品などとすることもできる。
コンピューター関連部品等の電気電子部品、携帯電話部品、TV部品、音響機器、照明器具カバー、電気製品のハウジング等の家庭事務電気製品部品、顕微鏡、望遠鏡、双眼鏡、カメラ、時計等の光学部品、コピー、ファクシミリ、プリンター等の機械関連部品、自動車内装材、ヘッドライトカバー、ランプカバー、リフレクターなどの自動車部品等の用途に適している。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。各種物性値の測定は、以下の方法により実施した。
(荷重たわみ温度)
ISO準拠の試験片を射出成形機において所定の成形条件で成形し、ISO75に準拠し、荷重たわみ温度を荷重1.8MPaで測定した。
(シャルピー衝撃値)
ISO準拠の試験片を射出成形機において所定の成形条件で成形し、ISO179に準拠して測定した。
(イエローインデックス)
JIS K7103に準拠して、測色機(日本電色社製SZ−Σ80型)を用いて行った。
(荷重たわみ温度)
ISO準拠の試験片を射出成形機において所定の成形条件で成形し、ISO75に準拠し、荷重たわみ温度を荷重1.8MPaで測定した。
(シャルピー衝撃値)
ISO準拠の試験片を射出成形機において所定の成形条件で成形し、ISO179に準拠して測定した。
(イエローインデックス)
JIS K7103に準拠して、測色機(日本電色社製SZ−Σ80型)を用いて行った。
[実施例1]
(製造例1)
攪拌装置を備えた反応容器中に、2価フェノールとして、BPAを4059g(17.78モル)とBPTMCを2366g(7.62モル)、末端停止剤であるp-tert-ブチルフェノールを190.8g(1.27モル)、水酸化ナトリウムを2187g(54.68モル)、重合触媒を全ビスフェノールのモル数に対して総量として0.70モル%仕込む。その内訳としては、BPAに対して、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド(以下、TMBAC)を23.1g(0.49モル%)、BPTMCに対して、トリn−ブチルベンジルクロライド(以下、TBBAC)16.6g(0.21モル%)とし、水相117Lに溶解した(水相)。これとは別に塩化メチレン69Lにテレフタル/イソフタル酸クロライド=1/1混合物(以下、MPC)5286gを溶解した(有機相)。この有機相を先に調整した水相中に強攪拌下で添加し、15℃で2時間界面重縮合反応を行った。重合停止(攪拌停止)後、水相と有機相をデカンテーションして分離させた。水相を抜取った後、等量のイオン交換水を投入して攪拌しながら、pHが中性になるまで酢酸を添加した。さらに、20分間攪拌した後20分間デカンテーションして水相を抜いて新たなイオン交換水に交換する作業を5回繰り返した。洗浄後の有機相であるポリマー溶液を、ホモミキサーを装着した容器に入った50℃の温水中に投入して塩化メチレンを蒸発させ粉末状ポリマーを得た。この粉末状ポリマーを脱水した後、少量の水を含んだ含水粉末状ポリマーを真空乾燥機で、減圧下120℃で24時間乾燥してポリアリレート樹脂を得た。得られたポリアリレート(P−1)を1H−NMRにて、組成分析をおこなったところ、得られた重合比率は仕込み比率と同じであることが確認された。
(製造例1)
攪拌装置を備えた反応容器中に、2価フェノールとして、BPAを4059g(17.78モル)とBPTMCを2366g(7.62モル)、末端停止剤であるp-tert-ブチルフェノールを190.8g(1.27モル)、水酸化ナトリウムを2187g(54.68モル)、重合触媒を全ビスフェノールのモル数に対して総量として0.70モル%仕込む。その内訳としては、BPAに対して、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド(以下、TMBAC)を23.1g(0.49モル%)、BPTMCに対して、トリn−ブチルベンジルクロライド(以下、TBBAC)16.6g(0.21モル%)とし、水相117Lに溶解した(水相)。これとは別に塩化メチレン69Lにテレフタル/イソフタル酸クロライド=1/1混合物(以下、MPC)5286gを溶解した(有機相)。この有機相を先に調整した水相中に強攪拌下で添加し、15℃で2時間界面重縮合反応を行った。重合停止(攪拌停止)後、水相と有機相をデカンテーションして分離させた。水相を抜取った後、等量のイオン交換水を投入して攪拌しながら、pHが中性になるまで酢酸を添加した。さらに、20分間攪拌した後20分間デカンテーションして水相を抜いて新たなイオン交換水に交換する作業を5回繰り返した。洗浄後の有機相であるポリマー溶液を、ホモミキサーを装着した容器に入った50℃の温水中に投入して塩化メチレンを蒸発させ粉末状ポリマーを得た。この粉末状ポリマーを脱水した後、少量の水を含んだ含水粉末状ポリマーを真空乾燥機で、減圧下120℃で24時間乾燥してポリアリレート樹脂を得た。得られたポリアリレート(P−1)を1H−NMRにて、組成分析をおこなったところ、得られた重合比率は仕込み比率と同じであることが確認された。
(製造例2〜13)
重合例1のビスフェノールモノマーのモル比率、または、ビスフェノールモノマーの種類、フタル酸クロライドの比率を変更した以外は、同じ方法でポリアリレートを製造した。(P−2〜13)
重合例1のビスフェノールモノマーのモル比率、または、ビスフェノールモノマーの種類、フタル酸クロライドの比率を変更した以外は、同じ方法でポリアリレートを製造した。(P−2〜13)
得られたポリアリレート樹脂は二軸押出機(東芝機械製TEM−48SS型)を用いて、シリンダー温度300〜340℃、スクリュー回転300rpm、吐出量100kg/hにて、溶融混練を行い、ストランド状に押し出し、冷却した後、カッティングしてポリアリレート樹脂を得た。それを射出成形機(東芝機械製EC100N型)用いて、シリンダー温度300〜340℃、金型温度100℃にて、厚み0.8mm、長さ125mm、幅12mmの試験片を作成し、難燃性の評価を行ない、さらにISO準拠の試験片を作成し、シャルピー衝撃試験値および荷重たわみ温度を評価した。その結果を表2に示す。
〔実施例2〜7〕
ポリアリレートとポリカーボネートとの混合比率を変えた以外は、実施例1と同様にして行った。その結果を表2に示す。
ポリアリレートとポリカーボネートとの混合比率を変えた以外は、実施例1と同様にして行った。その結果を表2に示す。
〔比較例1〜6〕
ポリアリレートとポリカーボネートの混合比率を変えた以外は、実施例1と同様にして行った。その結果を表3に示す。
ポリアリレートとポリカーボネートの混合比率を変えた以外は、実施例1と同様にして行った。その結果を表3に示す。
実施例1〜7では、本願記載のポリアリレートとポリカーボネートを所定の混合比率で重合したため、十分な耐熱性、耐衝撃性、光学特性を有するポリアリレート樹脂組成物が得られた。
比較例1〜6については、ポリアリレートの共重合比率と、ポリアリレートとポリカーボネートの混合比率が所定の範囲を逸脱しているために、所定の性能が発揮できなかった。
Claims (3)
- ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂を混合してなるポリアリレート樹脂組成物であって、前記ポリアリレート樹脂が下記一般式(I)で示される構造を有し、ポリカーボネート樹脂が下記一般式(II)で示される構造を有し、混合比率がポリアリレート樹脂/ポリカーボネート樹脂=30/70〜90/10(質量比)であることを特徴とするポリアリレート樹脂組成物。
- 請求項1に記載のポリアリレート樹脂組成物を成形してなる成形体。
- ポリアリレート樹脂組成物成形体の、ISO75に準拠して測定される
荷重たわみ温度(荷重1.8MPa)が180℃以上、ISO179に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度の値が10kJ/m2以上、JIS K7103に準拠して測定される厚さ2mmの射出成形片のイエローインデックス(YI)が5以下であることを特徴とする請求項2に記載の成形体。
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