JP2008155756A - 車両用サスペンションシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)ばね上速度とばね下速度との少なくとも一方に基づいてアクチュエータ力を制御する第1制御(S6)と、(b)アクチュエータ力の発生を専ら電磁モータによる発電を伴うものとすべく、ばね上部とばね下部との相対動作に対してその相対動作の速度に応じた特定の大きさの抵抗力となるアクチュエータ力を発生させる第2制御(S11)とを、切換可能に構成する。本システムによれば、良好な振動減衰特性が要求される場合に第1制御を実行させて、それ以外の場合には、第2制御によって電磁モータにより発電された電流を電源へ常に回生してアクチュエータによる消費電力を低減することが可能である。
【選択図】図6
Description
前記電磁モータと電源との間に配設され、その電磁モータを駆動するとともに、起電力に依拠して電磁モータによって発電された電流を電源に回生可能な構造とされた駆動回路と、
その駆動回路を制御することによって、前記アクチュエータ力を制御する制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステムであって、
前記制御装置が、(a)ばね上速度とばね下速度との少なくとも一方に基づいて前記アクチュエータ力を制御する第1制御と、(b)前記アクチュエータ力の発生を専ら前記電磁モータによる発電を伴うものとすべく、ばね上部とばね下部との相対動作に対してその相対動作の速度に応じた特定の大きさの抵抗力となる前記アクチュエータ力を発生させる第2制御とを、切換可能に構成されたことを特徴とする車両用サスペンションシステム。
図1に、請求可能発明の実施例である車両用サスペンションシステム10を模式的に示す。本サスペンションシステム10は、前後左右の車輪12の各々に対応する独立懸架式の4つのサスペンション装置を備えており、それらサスペンション装置の各々は、サスペンションスプリングとショックアブソーバとが一体化されたスプリング・アブソーバAssy20を有している。車輪12,スプリング・アブソーバAssy20は総称であり、4つの車輪のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪の各々に対応するものにFL,FR,RL,RRを付す場合がある。
図3に示すように、各アクチュエータ26のモータ54は、コイルがスター結線(Y結線)された3相ブラシレスDCモータであり、上述したようにインバータ146によって制御駆動される。そのインバータ146は、図に示すような一般的なものであり、high側(高電位側),low側(低電位側)のそれぞれに対応し、かつ、モータ54の3つの相であるU相,V相,W相のそれぞれに対応する6つのスイッチング素子HUS,HVS,HWS,LUS,LVS,LWSを備えている。また、ECU140のコントローラ142は、モータ54に設けられたレゾルバ184によりモータ回転角(電気角)を判断し、そのモータ回転角に基づいてスイッチング素子を開閉作動させる。インバータ146は、いわゆる正弦波駆動によってモータ54を駆動するのであり、モータ54の3つの相の各々に流れる電流量が、それぞれが正弦波状に変化し、その位相差が電気角で120°ずつ異なるように、インバータ146が制御される。そして、インバータ146は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によってモータ54に通電するようにされており、パルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することで、モータ54を流れる電流量(通電電流量)を変更して、モータ54が発生させる回転トルクの大きさを変更する。詳しくは、デューティ比が大きくされることで、通電電流量が大きくされて、モータ54の発生する回転トルクは大きくされ、逆に、デューティ比が小さくされることで、通電電流量が小さくされて、モータ54の発生する回転トルクは小さくされる。
本サスペンションシステム10では、4つのスプリング・アブソーバAssy20の各々を独立して制御することが可能となっている。それらスプリング・アブソーバAssy20の各々において、アクチュエータ26のアクチュエータ力が独立して制御されて、車体および車輪12の振動、つまり、ばね上振動およびばね下振動を減衰するための制御(以下、「振動減衰制御」という場合がある)が実行される。また、車両の旋回に起因する車体のロールを抑制するための制御(以下、「ロール抑制制御」という場合がある),車両の加減速に起因する車体のピッチを抑制するための制御(以下、「ピッチ抑制制御」という場合がある)が実行される。上記振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御は、各制御ごとのアクチュエータ力の成分である振動減衰成分,ロール抑制成分,ピッチ抑制成分を合計して目標アクチュエータ力が決定され、アクチュエータ26がその目標アクチュエータ力を発生させるように制御されることで、総合的に実行される。なお、以下の説明において、アクチュエータ力およびそれの成分は、ばね上部とばね下部とを離間させる方向(リバウンド方向)の力に対応するものが正の値,ばね上部とばね下部とを接近させる方向(バウンド方向)の力に対応するものが負の値となるものとして扱うこととする。
振動減衰制御では、車体および車輪12の振動を減衰するためにその振動の速度に応じた大きさのアクチュエータ力を発生させるべく、アクチュエータ力の振動減衰成分FVが決定される。つまり、いわゆるスカイフック理論に基づいた制御と、いわゆるグランドフック理論に基づいて制御との両者を行う制御である。具体的には、車体のマウント部24に設けられた縦加速度センサ176によって検出される縦加速度から計算される車体のマウント部24の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね上速度VUと、ロアアーム22に設けられた縦加速度センサ178によって検出される縦加速度から計算される車輪12の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね下速度VLとに基づいて、次式に従って、振動減衰成分FVが演算される。
FV=CU・VU−CL・VL
ここで、CUは、車体のマウント部24の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインであり、CLは、車輪12の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインである。つまり、CU,CLは、いわゆるばね上,ばね下絶対振動に対する減衰係数と考えることができる。
車両の旋回時においては、その旋回に起因するロールモーメントによって、旋回内輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、旋回外輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ロール抑制制御では、その旋回内輪側の離間および旋回外輪側の接近を抑制すべく、旋回内輪側のアクチュエータ26にバウンド方向のアクチュエータ力を、旋回外輪側のアクチュエータ26にリバウンド方向のアクチュエータ力を、それぞれ、ロール抑制力として発生させる。具体的に言えば、まず、車体が受けるロールモーメントを指標する横加速度として、ステアリングホイールの操舵角δと車速vとに基づいて推定された推定横加速度Gycと、横加速度センサ174によって実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr (K1,K2:ゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、ロール抑制力成分FRが、次式に従って決定される。
FR=K3・Gy* (K3:ゲイン)
車体の制動時等、減速時に発生する車体のノーズダイブに対しては、そのノーズダイブを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが接近させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが離間させられる。また、車体の加速時に発生する車体のスクワットに対しては、そのスクワットを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ピッチ抑制制御では、それらの場合の接近・離間距離を抑制すべく、アクチュエータ力をピッチ抑制力として発生させる。具体的には、車体が受けるピッチモーメントを指標する前後加速度として、前後加速度センサ172によって実測された実前後加速度Gxが採用され、その実前後加速度Gxに基づいて、ピッチ抑制力成分FPが、次式に従って決定される。
FP=K4・Gx (K4:ゲイン)
なお、ピッチ抑制制御は、スロットルセンサ180によって検出されるスロットルの開度、あるいは、ブレーキ圧センサ182によって検出されるマスタシリンダ圧が、設定された閾値を超えることをトリガとして実行される。
アクチュエータ26の制御は、それが発生させるべきアクチュエータ力である目標アクチュエータ力に基づいて行われる。詳しく言えば、上述のようにして、アクチュエータ力の振動減衰成分FV,ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FPが決定されると、それらに基づき、次式に従って目標となるアクチュエータ力F*が決定される。
F*=FV+FR+FP
そして、上述のように決定された目標アクチュエータ力F*に基づいて、目標となるデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がインバータ146に送信される。インバータ146は、その適切なデューティ比の下、目標アクチュエータ力を発生させるようにモータ54を駆動する。
上述したように、本サスペンションシステム10では、通常、ばね上部,ばね下部の上下方向の速度に比例した減衰力を発生させる第1制御としての上記振動減衰制御と、専らバッテリ150からの電力供給を受けて力を発生させる車体姿勢制御との総合的な制御、つまり、アクティブ制御が実行されており、アクチュエータ26によって消費される電力量は多くなる。そこで、本システム10においては、上記アクティブ制御は、良好な減衰振動特性が要求される場合に実行され、それ以外の場合には、専らモータ54によって発電された電流がバッテリ150に回生されるように、ストローク速度VStに応じた特定の大きさの抵抗力となるアクチュエータ力を発生させる特定抵抗力制御が実行されるようになっている。つまり、特定抵抗力制御は、上記第1制御としての振動減衰制御とは異なる振動減衰制御である第2制御である。
F*=−(C/2)・VSt
なお、後に詳しく説明するが、Cはモータ54の通電端子間を短絡させた場合における減衰係数である。そして、この決定された目標アクチュエータ力F*に基づいて、目標となるデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がインバータ146に送信される。インバータ146は、その適切なデューティ比とすることで、発電電流をバッテリ150に回生しつつ、抵抗力を発生させるようにモータ54を駆動するのである。
Tq=KT・i (KT:モータ定数)
その回転トルクTqとアクチュエータ力Fとの関係は、ねじロッド50のリードをLとすると、次式よって表される。
F=(2π/L)・Tq
それらの2つの式から通電電流iは次式で表されることになる。
i=F/ψ (ψ=KT・2π/L) ・・・(1)
i=(e−KT・ω)/R
また、回転速度ωとストローク速度VStとの関係は、次式によって表される。
VSt=(L/2π)・ω
それらの2つの式から電源電圧eは次式で表されることになる。
e=R・i+ψ・VSt
そして、この式に(1)式を代入すると次式が得られる。
e=F・(R/ψ)+ψ・VSt ・・・(2)
E=F2・(R/ψ2)+F・VSt ・・・(3)
ここで、モータ54の通電端子間を短絡させた場合を考える。その場合、消費エネルギE=0となるため、(3)式から短絡時のアクチュエータ力FSが、次式のように得られることになる。
FS=−(ψ2/R)・VSt
アクチュエータ力は、ストローク速度に比例する(ダンパ特性)ことから、上記の式におけるψ2/Rは、短絡時におけるモータ54の減衰係数Cであるといえる。そして、そのC=ψ2/Rおよびダンパ特性F=−Cd・VSt(Cd:減衰係数)を(3)式に代入すれば、次式となる。
E=(Cd2−C・Cd)・VSt 2/C ・・・(4)
したがって、Cd<Cの場合に消費エネルギEが負の値となり、モータ54によって発電された電流が回生されることを表している。そして、Cd=C/2の場合に消費エネルギEが最小、つまり、回生される電流量がもっとも大きくなるのである。以上ことから、システムの省電力化という観点から、特定抵抗力制御における目標アクチュエータ力F*は、式F*=−(C/2)・VStによって決定されるのである。
上述のようなアクチュエータ26の制御は、図6にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムが、イグニッションスイッチ160がON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec〜数十msec)をおいてコントローラ142により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、その制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。なお、アクチュエータ制御プログラムは、4つの車輪12にそれぞれ設けられたスプリング・アブソーバAssy20のアクチュエータ26の各々に対して実行される。以降の説明においては、説明の簡略化に配慮して、1つのアクチュエータ26に対しての本プログラムによる処理について説明する。
上述した実施例のサスペンションシステムにおいては、サスペンションスプリングとしてエアスプリング28が採用されていたが、コイルスプリングを採用してもよい。また、第2制御は、バッテリ150の充電量(残量)に応じて実行されるか否かが決定されるように、つまり、充電量が比較的少ない場合にのみ実行されるようにしてもよい。さらに、上記実施例における第2制御では、車体の挙動の大きさが縦加速度,前後加速度,横加速度に基づいて判断されていたが、縦加速度のみに基づいて判断されてもよい。その第2制御においては、現時点での加速度の値から車体の挙動の大きさが判断されていたが、現時点から遡った設定時間内における加速度の変化の具合から現時点での車体の挙動の大きさが推定されてもよい。なお、上記実施例における第2制御においては、第2制御が実行される場合に車体姿勢制御が実行されないようにされていたが、車体姿勢制御は、第1制御であるか第2制御であるかに関係なく実行されるようにされてもよい。
Claims (5)
- ばね上部とばね下部との間に配設され、動力源としての電磁モータを有し、ばね上部とばね下部との相対動作に応じて動作するとともにその相対動作に対する抵抗力および推進力となるアクチュエータ力を発生させることで、ショックアブソーバとして機能する電磁式のアクチュエータと、
前記電磁モータと電源との間に配設され、その電磁モータを駆動するとともに、起電力に依拠して電磁モータによって発電された電流を電源に回生可能な構造とされた駆動回路と、
その駆動回路を制御することによって、前記アクチュエータ力を制御する制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステムであって、
前記制御装置が、(a)ばね上速度とばね下速度との少なくとも一方に基づいて前記アクチュエータ力を制御する第1制御と、(b)前記アクチュエータ力の発生を専ら前記電磁モータによる発電を伴うものとすべく、ばね上部とばね下部との相対動作に対してその相対動作の速度に応じた特定の大きさの抵抗力となる前記アクチュエータ力を発生させる第2制御とを、切換可能に構成されたことを特徴とする車両用サスペンションシステム。 - 前記制御装置が、車両の走行速度が比較的高い場合に前記第1制御を実行し、比較的低い場合に前記第2制御を実行するように構成された請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記制御装置が、車体の挙動が比較的大きい場合に前記第1制御を実行し、比較的小さい場合に前記第2制御を実行するように構成された請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記第2制御が、電源に回生される電流がもっとも大きくなる大きさの抵抗力となる前記アクチュエータ力を発生させる制御である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記第2制御が、前記電磁モータの通電端子間を短絡させた場合において発生する抵抗力の1/2の大きさの抵抗力となる前記アクチュエータ力を発生させる制御である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
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JP2018111393A (ja) * | 2017-01-11 | 2018-07-19 | トヨタ自動車株式会社 | サスペンション装置 |
CN113232566A (zh) * | 2021-07-01 | 2021-08-10 | 周宇 | Ai电磁瞬控主动防震座椅及其方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH10274281A (ja) * | 1997-03-28 | 1998-10-13 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 振動減衰装置 |
JP2004266907A (ja) * | 2003-02-28 | 2004-09-24 | Sony Corp | 回生装置及び自転車 |
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