JP2008155256A - 鋳物製造用構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量で、鋳込み時においても十分な熱間強度を有するので形状保持性を有し、得られる鋳物の形状保持性(鋳物製造用構造体の形状保持性)にも優れる鋳物製造用構造体を提供する。
【解決手段】無機繊維、無機粒子、150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂及び熱可塑性樹脂を含有する鋳物製造用構造体。
【選択図】なし

Description

本発明は、鋳物の製造時に用いられる鋳型等の構造体、及びその製造方法、並びに該構造体を用いた鋳物の製造方法に関する。
鋳物は、一般に、木型や金型などをもとに鋳物砂で内部にキャビティを有する鋳型を形成するとともに、必要に応じて該キャビティ内に中子を配した後、該キャビティに溶湯を供給して製造されている。
木型、金型の製造は、加工に熟練を要し高価な設備も必要で、高価で重い等の欠点と共に廃棄処理の問題も生じ、量産の鋳物のほかには使用が困難である。また、鋳物砂を用いた砂型は、通常の砂にバインダーを添加し、硬化させて形状を保持させているため、砂の再利用には再生処理工程が必須となる。また、再生処理の際にダストなどの廃棄物が発生するなどの問題も生じている。加えて、中子を砂型で製造する場合、上記課題に加え中子自身の重量のため取り扱いに難があり、さらには、鋳込み時の強度保持と鋳込み後の中子除去性という相反する性能が要求される。
このような課題を解決する技術として、鋳型に用いる部材を例えば、粉状黒鉛と粉状黒鉛同士を接着するプラスチック材料で成形する技術(下記特許文献1参照)が知られている。また、有機繊維、無機繊維、無機粒子及び熱硬化性樹脂を含有する鋳物製造用構造体を得る技術(下記特許文献2参照)が知られているが、実質、熱可塑性樹脂は用いられていない。
特開平8−90145号公報 特開2005−349428号公報
従来の熱可塑性樹脂を使用した構造体においては、鋳込み時の熱間強度が低いため、鋳込み時に鋳物製造用構造体が変形する等して、意図した鋳物の形状を保持できない、つまり寸法精度が悪いという課題を有していた。
本発明の目的は、鋳物製造用構造体の成形性が良く、軽量で、鋳込み時においても十分な熱間強度を有する為、鋳込み時の形状保持性に優れ、寸法精度の良い鋳物が得られる鋳物製造用構造体並びにその製造方法、並びにこれらを用いた鋳物の製造方法を提供することにある。
本発明は、無機繊維、無機粒子、150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂及び熱可塑性樹脂を含有する鋳物製造用構造体に関する。
また、本発明は、無機繊維、無機粒子、150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂及び熱可塑性樹脂を、溶融混練後、成形する鋳物製造用構造体の製造方法に関する。
また、本発明は、上記本発明の鋳物製造用構造体を用いる鋳物の製造方法に関する。
本発明によれば、鋳込み時に十分な熱間強度を有するので鋳込み時の形状保持性に優れ、意図した形状の鋳物が精度良く得られる鋳物製造用構造体が提供される。
本発明の鋳物製造用構造体は、無機繊維、無機粒子、150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂及び熱可塑性樹脂をを含有する。
無機繊維の含有量は、構造体中、1〜50重量%、更に2〜40重量%、特に3〜30重量%が好ましい。なお、この含有量の数値は、構造体中の配合量の数値であってもよい(以下も同様)。更に、この含有量の数値は、無機繊維、無機粒子、150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂及び熱可塑性樹脂の合計を100重量%とした場合の数値であってもよい(以下も同様)。
この無機繊維の含有量が1重量%以上であることは構造体の耐熱性の低下に伴う熱収縮を抑制して構造体の形状を精度よく鋳物に転写する観点、ガスの発生量を抑制する観点から好ましく、この含有量が50重量%以下であることは構造体の成形性が良好で鋳込み後の構造体の除去性も良好となるという観点から好ましい。
また、無機粒子の含有量は、構造体中、5〜70重量%、更に10〜60重量%、特に20〜50重量%が好ましい。
この無機粒子の含有量が5重量%以上であることは後述する無機粒子の添加効果がより発現しやすいという観点から好ましく、この含有量が70重量%以下であることは構造体の成形性、鋳物への形状転写性に優れる観点から好ましい。
また、150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂の含有量は、構造体中、1〜70重量%、更に10〜60重量%、特に15〜50重量%が好ましい。
この150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂の含有量が1重量%以上であることは鋳物の表面の平滑性が良好で、構造体の強度や形状保持性も良好となるという観点から好ましく、この含有量が70重量%以下であることは構造体の成形性が良くなるほか、ガス発生量が低減されて鋳物の表面欠陥を抑制できるという観点から好ましい。
また、熱可塑性樹脂の含有量は、構造体中、5〜60重量%、更に8〜40重量%、特に10〜35重量%が好ましい。
この熱可塑性樹脂の含有量が5重量%以上であることは溶融混練が可能であり、鋳物製造用構造体の成形性を向上する観点から好ましく、この含有量が60重量%以下であることは、ガス発生量を低減して鋳物の表面欠陥を抑制する観点から好ましい。
前記無機繊維は、主として鋳物製造用構造体において鋳造に用いられる前の状態ではその骨格をなし、鋳造に用いられたときには溶融金属の熱によって燃焼せずにその形状を維持する成分である。特に、鋳物製造用構造体が溶融金属の熱によって熱分解して生じる熱収縮を抑える成分である。
前記無機繊維としては、炭素繊維、ロックウール等の人造鉱物繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、天然鉱物繊維が挙げられる。無機繊維は、これらを単独で又は二以上を選択して用いることができる。そして、これらの中でも、鋳物製造用構造体の熱分解に伴う収縮を効果的に抑える点から高温でも高強度を有する炭素繊維が好ましく、ピッチ系やポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いることがより好ましく、特にPAN系の炭素繊維が好ましい。これら炭素繊維は、ロックウール等の人造鉱物繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、天然鉱物繊維等の無機繊維と組み合わせて使用することができる。
前記無機粒子は、該構造体の耐熱性を向上させる成分である。前記無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ムライト、マグネシア、ジルコニア、雲母、黒鉛、黒曜石、タングステン、ルテニウム、酸化トリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ベリリウム、石灰、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化タリウム、酸化ランタン、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸、ジルコン、シリマナイト、スピネル、クロマイト、ホルステライト、エンスタタイト、炭化チタニウム、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化ニオビウム、炭化タンタル、炭化クロミウム、炭化モリブデン、炭化タングステン、窒化チタニウム、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム、窒化タンタル、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化タングステンなどの無機粒子が挙げれ、耐火度800〜4000℃、好ましくは1000〜4000℃の無機粒子が好ましく、耐熱性、構造体成型時の離型性の点から黒鉛がより好ましい。また、ガス欠陥低減、構造体成形時の離型性の観点から、炭酸カルシウムがより好ましい。なお、これらの無機粒子は単独で又は二種以上を併用しても良い。該無機粒子は、粒子径が200μm以下のものを用いることが好ましい。特に、鋳造する溶融金属の鋳込温度に対し±300℃、特に±200℃の耐火度を有する無機粒子が好ましい。ここで、無機粒子の耐火度は、ゼーゲルコーンを用いた測定方法(JIS R2204)で測定される。市販されている好ましい無機粒子としては、例えば、Bogala Graphite Lanka Limited製の黒鉛(平均粒径56μm)、三共精粉(株)製、商品名「エスカロン#800」の炭酸カルシウム、白石カルシウム(株)製、商品名「ホワイトンB」の炭酸カルシウム等が挙げられる。
本発明に用いられる150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂(以下、単にレゾール系フェノール樹脂ということもある)は、熱硬化性樹脂の一種である。本発明のレゾール系フェノール樹脂は、150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であれば、構造体の強度や形状保持性に優れ、好ましくは2分以上であり、好ましくは10分以下、より好ましくは6分以下である。従って、かかるゲルタイムはまた、より好ましくは2分〜10分であり、更に好ましくは2分〜6分である。
また、定かではないが、本発明のレゾール系フェノール樹脂は、150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるので溶融混練時におけるレゾール系フェノール樹脂の硬化がゆっくり進行するため、分散状態が良好な結果、十分な熱間強度を有する鋳物製造用構造体が得られる為、当該構造体は、鋳込み時の形状保持性に優れ、意図した形状の鋳物が得られるという本発明の効果が発現するものと考えられる。
尚、ゲルタイムは、キュラストメーターを用いた測定方法(JIS K6300)に従って求めることができる。
本発明のレゾール系フェノール系樹脂の重量平均分子量は、構造体の強度や形状保持性の観点から、好ましくは、3000〜20000であり、より好ましくは5000〜15000である。尚、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、溶媒にクロロホルム、カラムにGM HHR−H×2(東ソー製)、流量1.0mL/min、カラム温度40℃、検出器に示差屈折率検出器(RI)、リファレンスとして既知の分子量を有するスチレンを換算して求めることができる。
本発明においては、市販されている150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂を用いることができる。このようなレゾール系フェノール樹脂としては、例えば、エア・ウォーター(株)製、商品名ベルパールS890(150℃におけるゲルタイム:3分、重量平均分子量:10000)等が挙げられる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、溶融・流動化することにより、様々な形状の構造体を成形するために必要な成分である。
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、低温での溶融混練が本発明のレゾール系フェノール樹脂の分散性に寄与すると考えられる為、低融点の熱可塑性樹脂が好ましい。本発明で用いる好ましい熱可塑性樹脂としては、170℃以下で溶融混練・流動化することにより、様々な形状の構造体を成形できるような熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、例えば、好ましくは融点が160℃以下、より好ましくは150℃以下の熱可塑性樹脂であり、下限は特に限定されないが好ましくは融点が80℃以上、より好ましくは90℃以上の熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。好ましくはポリエチレン及びポリ乳酸から選ばれる熱可塑性樹脂である。
尚、熱可塑性樹脂の融点は、JIS−K7121に基づく示差走査熱量測定(DSC)の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求められる値である。
前記熱可塑性樹脂は、単独で又は二以上を選択して用いることもできる。また、高融点の熱可塑性樹脂を使用する場合は、可塑剤等の併用により、低温(例えば170℃以下)で溶融混練できる処方にして使用することが好ましい。
本発明では、鋳物製造用構造体の製造原料に、本発明の目的を損なわない範囲で、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、離型剤(脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変成シリコーン)などを添加することもできる。
本発明により得られた鋳物製造用構造体は、内面に鋳物製品形状のキャビティを有する主型、その主型に入れて使用する中子、或いは湯道などの注湯系部材等に適用することができるが、本発明の鋳物製造用構造体が表面平滑性に優れており、良好な鋳肌の鋳物を得ることができるため、主型や中子への適用が好ましい。
本発明の鋳物製造用構造体の製造方法では、無機繊維、無機粒子、レゾール系フェノール樹脂及び熱可塑性樹脂を、溶融混練後、成形するが、熱可塑性樹脂の成形において用いられている公知の方法を採用することができる。例えば、無機繊維、無機粒子、レゾール系フェノール樹脂及び熱可塑性樹脂を、高速攪拌機または低速撹拌機などを用いて均一混合した後、充分な混練能力のある一軸あるいは多軸の押出機で溶融混練する方法を採用することができる。また、例えば、無機繊維、無機粒子及び熱可塑性樹脂を混合した後に、レゾール系フェノール樹脂を混合し、溶融混練してもよく、熱可塑性樹脂、無機粒子及び無機繊維を混合ペレット化した後に、レゾール系フェノール樹脂を混合し、溶融混練してもよく、その混合方法、溶融混練する方法に何ら制限はない。
本発明の効果が発現する理由は定かではないが、低温で溶融混練することにより、レゾール系フェノール樹脂がより良く分散した状態の構造体が得られると考えられ、その結果、鋳込み時において、構造体中でより良く分散したレゾール系フェノール樹脂が、硬化して架橋する為、鋳込み時においての十分な熱間強度を有するので形状保持性に優れる鋳物製造用構造体を得るという本発明の効果が発現するものと考えられる。従って、溶融混練の温度は、好ましくは170℃以下であり、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは155℃以下である。また、無機繊維、無機粒子、レゾール系フェノール樹脂及び熱可塑性樹脂を溶融混練温度の下限は、溶融混練できる温度であれば特に限定されるものではないが、好ましくは90℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、更に好ましくは110℃以上であある。かかる観点から溶融混練の温度は、好ましくは90〜170℃であり、より好ましくは100〜165℃であり、更に好ましくは110〜155℃である。
溶融混練温度は、熱可塑性樹脂の融点に対して5〜30℃高い温度が好ましい。また、目的に応じて、各種安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、内部離型剤、滑剤、可塑剤などを添加することもできる。本発明において、鋳物製造用構造体の製造は、公知の混練技術、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等で各原料を固体状で混合させたり、さらに押出機等を用いてポリマーを溶融させながら混練させる方法を用いることもできる。溶融混練した混合物は、通常、ペレット、棒状、粉末等の形状にして成形に供することが好ましい。かかる混合物を混合機で均一にして、通常の成形条件で射出成形、押出し成形、圧縮成形等に供することができる。
本発明において、溶融混練により得られた混合物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、およびシート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の成形方法により成形して鋳物製造用構造体を得ることができる。とりわけ、射出成形法が好ましく、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。本発明の鋳物製造用構造体に適した射出成形条件の一例を挙げれば、シリンダ温度を、鋳物製造用構造体の流動開始温度以上、好ましくは90〜170℃、より好ましくは100〜165℃の範囲とし、また、金型温度は、溶融混練により得られた混合物の流動開始温度の−20℃以下とするのが適当である。成形温度が低すぎると成形品にショートが発生するなど操業性が不安定になったり、過負荷に陥りやすく、逆に成形温度が高すぎると溶融混練により得られた混合物、特に樹脂成分が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色する等の問題が発生しやすい。
本発明の鋳物製造用構造体の製造方法の好ましい態様の一例を挙げれば、(1)無機繊維5〜30重量%、(2)無機粒子20〜40重量%、(3)150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂20〜50重量%、及び(4)融点が160℃以下の熱可塑性樹脂、好ましくはポリエチレン及びポリ乳酸から選ばれる熱可塑性樹脂10〜30重量%を、170℃以下で溶融混練後、成形する方法が挙げられる。ここで、各成分の重量%は、(1)〜(4)の合計を100重量%とした場合の数値である。
次に、本発明により得られた鋳物製造用構造体を用いた鋳物の製造方法を、その好ましい実施形態に基づいて説明する。本実施形態の鋳物の製造方法では、上述のようにして得られた所定の鋳物製造用構造体を鋳物砂内の所定位置に埋設して造型する。鋳物砂には、従来からこの種の鋳物の製造に用いられている通常のものを特に制限なく用いることができる。なお、鋳物砂はバインダーで硬化させなくてもよいが、必要に応じて硬化させてもよい。鋳物製造用構造体が中空中子の場合には中子内に鋳物砂の充填は不要であるが、充填することもできる。
そして、注湯口から溶融金属を注ぎ入れ、鋳込みを行う。このとき、本発明の構造体は、熱間強度が維持され、鋳物製造用構造体の熱分解に伴う熱収縮が抑えられるため、各鋳物製造用構造体にひび割れが生じたり、鋳物製造用構造体自体が破損したりすることもほとんどなく、溶融金属の鋳物用構造体への差込みや鋳物砂などの付着もほとんど生じることがない。
鋳込みを終えた後、所定の温度まで冷却し、鋳枠を解体して鋳物砂を取り除き、さらにブラスト処理によって鋳物製造用構造体を取り除いて鋳物を露呈させる。この時、前記熱可塑性樹脂が熱分解しているため、鋳物製造用構造体の除去処理は容易である。その後必要に応じて鋳物にトリミング処理等の後処理を施して鋳物の製造を完了する。
本実施形態の鋳物の製造方法は、十分な熱間強度を有した形状保持性に優れる鋳物製造用構造体を用いるので、寸法精度や表面の平滑性に優れる鋳物を製造することができる。また、前記熱可塑性樹脂などの熱分解によって鋳物構造体の内部に空隙を形成して鋳込み後の当該鋳物製造溶構造体の除去を容易に行うことができるので、従来に比べて廃棄物処理を簡便に行うことができるほか、その廃棄物の発生量も大幅に抑えることができる。また、鋳物砂をバインダーで硬化させる必要がないため、鋳物砂の再生処理も簡便なものとなる。
〔実施例1〕
<原料の配合>
・無機繊維:PAN炭素繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名「パイロフィルチョップドファイバーTR03CMTR12CM」、繊維長:3mm)
・無機粒子:BP8083(Bogala Graphite Lanka Limited、平均粒径56μmの黒鉛)
・レゾール系フェノール樹脂:エア・ウォーター(株)製、商品名ベルパールS890(150℃におけるゲルタイム:3分、重量平均分子量:10000)、表中「ベルパール」と表記する。
・熱可塑性樹脂:ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックHD HS490P」)
・構造体の組成(重量%):無機繊維/無機粒子/レゾール系フェノール樹脂/熱可塑性樹脂=10/34/36/20
<鋳物製造用構造体の製造>
上記原料を、テストニーダー(ラボプラストミル40C、東洋精機(株)製)を用い、140℃で溶融混練した。得られた鋳物製造用構造体用の混合物を、厚さ1.0mmの型枠とともに金属板2枚に挟み、溶融混練温度と同様の温度にて3分間5kg/cm2で予圧した後、200kg/cm2でさらに1分間プレスし1.0mm厚のシートを作成した。得られたシートを、シートの軟化温度まで加熱し、外径30mmの円柱状の紙筒に巻きつけて、内径30mm(外径32mm)×高さ100mmの図1に示す円柱状の鋳物製造用構造体を得た。
<鋳物の鋳造>
得られたφ32mm×100mmの鋳物製造用構造体(図1に示す)を、図2のように陶管とつなぎ合わせ、バインダーで硬化させた鋳物砂内に埋設し、鋳物材質FC−200、鋳込温度1380℃で鋳物を製造した。得られた鋳物の形状保持性を以下のように評価し、それらの結果を表1に示した。
〔鋳物の形状保持性〕
鋳造前の鋳物製造用構造体の体積と鋳造後の鋳物の体積とから体積変形率を求め、鋳物の形状保持性の指標とした。鋳造前の鋳物製造用構造体と鋳造後の鋳物の体積は、構造体の内径と鋳物の直径を、それぞれノギスで10点測定し、下記の式で求めた。得られた体積から、下記の式で体積変形率を求め、下記の基準で寸法精度を評価した。この体積変形率が小さいほど、形状保持性が良好であり、設計された形状に近い鋳物が得られていることを意味し、0%のものは設計形状と同一の形状の鋳物であることを意味する。
体積=(測定した内径もしくは直径の平均値/2)2×π×100
体積変形率(%)=〔1−(鋳造後の鋳物の体積/鋳造前の鋳物製造用構造体の体積)〕×100
○:体積変形率が0〜0.5%
△:体積変形率が0.5%超〜10%以下
×:体積変形率が10%超
〔実施例2〕
無機粒子を炭酸カルシウム(三共精粉(株)製「エスカロン#800」)、成形時の原料混練温度を160℃に変更した以外は、実施例1と同様にして鋳物製造用構造体を得た。この構造体を用いて実施例1と同様に鋳物を製造し、体積変形率を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
熱可塑性樹脂をポリ乳酸(三井化学(株)製「LACEA H−280」)、成形時の原料混練温度を150℃に変更した以外は、実施例1と同様にして鋳物製造用構造体を得た。この構造体を用いて実施例1と同様に鋳物を製造し、体積変形率を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
原料の配合を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして鋳物製造用構造体を得た。この構造体を用いて実施例1と同様に鋳物を製造し、体積変形率を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
原料の配合及び混練温度を表1の通りに変更した以外は、実施例2と同様にして鋳物製造用構造体を得た。この構造体を用いて実施例1と同様に鋳物を製造し、体積変形率を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
レゾール系フェノール樹脂をAVライトレジンSP400(旭有機材工業(株)製、150℃でのゲルタイムが1.3分、表中「AVライトレジン」と表記する。)に変更した以外は、実施例1と同様にして鋳物製造用構造体を得た。この構造体を用いて実施例1と同様に鋳物を製造し、体積変形率を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
熱可塑性樹脂をポリスチレン(PSジャパン(株)製「ポリスチレンH−9152」)、成形時の原料混練温度を220℃に変更した以外は、比較例1と同様にして鋳物製造用構造体を得た。この構造体を用いて実施例1と同様に鋳物を製造し、体積変形率を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
無機粒子を炭酸カルシウム(三共製粉(株)製「エスカロン#800」)、原料の配合を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして鋳物製造用構造体を得た。この構造体を用いて実施例1と同様に鋳物を製造し、体積変形率を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
原料の配合を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして鋳物製造用構造体を得た。この構造体を用いて実施例1と同様に鋳物を製造し、体積変形率を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2008155256
表1に示すように、実施例1〜5は、体積変形率が小さく、形状保持性が良好であり、寸法精度よく設計通りの形状の鋳物が得られていることがわかる。これに対し、比較例1〜4では、鋳込み時の構造体の形状保持性が悪く、得られた鋳物の寸法精度が悪いことがわかる。
実施例、比較例で製造した鋳物製造用構造体を模式的に示す斜視図である。 実施例、比較例で、鋳造用に鋳物製造用構造体を陶管に接続した状態を模式的に示す図である。

Claims (6)

  1. 無機繊維、無機粒子、150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂及び熱可塑性樹脂を含有する鋳物製造用構造体。
  2. 無機繊維を1〜50重量%、無機粒子を5〜70重量%、150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂を1〜70重量%、熱可塑性樹脂を5〜60重量%含有する請求項1記載の鋳物製造用構造体。
  3. 無機繊維が炭素繊維である請求項1又は2記載の鋳物製造用構造体。
  4. 無機繊維、無機粒子、150℃におけるゲルタイムが1.5分以上であるレゾール系フェノール樹脂及び熱可塑性樹脂を、溶融混練後、成形する鋳物製造用構造体の製造方法。
  5. 溶融混練温度が170℃以下である請求項4記載の鋳物製造用構造体の製造方法。
  6. 請求項1〜3の何れか1項記載の鋳物製造用構造体を用いる鋳物の製造方法。
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