JP2004224872A - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱安定性、充填性を維持したままでバリの少ない成形品を得ることができるフェノール樹脂成形材料を提供すること。
【解決手段】本発明は、ホウ酸変性フェノール樹脂、ガラス繊維、及び充填材を含有し、前記充填材の50重量%以上が粒径30〜50μmの範囲内にあり、かつ、前記充填材の80重量%以上が粒径1〜100μmの範囲内にあることを特徴とするフェノール樹脂成形材料であり、成形材料全体に対する割合は、ホウ酸変性フェノール樹脂15〜65重量%、ガラス繊維20〜70重量%、及び充填材10〜50重量%であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、ホウ酸変性フェノール樹脂、ガラス繊維、及び充填材を含有し、前記充填材の50重量%以上が粒径30〜50μmの範囲内にあり、かつ、前記充填材の80重量%以上が粒径1〜100μmの範囲内にあることを特徴とするフェノール樹脂成形材料であり、成形材料全体に対する割合は、ホウ酸変性フェノール樹脂15〜65重量%、ガラス繊維20〜70重量%、及び充填材10〜50重量%であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形時にバリの発生が少ない成形品を得ることができるフェノール樹脂成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェノール樹脂成形材料は耐熱性、電気的特性、機械的特性、寸法安定性などのバランスに優れ、電機部品を初めとして広範囲の分野に利用されている。一般にフェノール樹脂成形品は射出成形により成形されるものであるが、成形の際、溶融した成形材料が、射出圧力により厚み数μm〜50μm程度の金型合わせ面の隙間やエアベント等に入り込んで硬化しバリとなって成形不良を起こしやすい。
【0003】
フェノール樹脂成形材料は、射出成形機のシリンダー内で90〜120℃に可塑化された状態から170〜190℃に加熱された金型内に射出される際に、成形材料温度が上昇して粘度が著しく低下するために金型の狭い隙間にも流れ込みバリが発生しやすいと考えられる。
【0004】
バリの発生を抑制するためには、成形材料の硬化性を向上させて金型内での粘度を上昇させる方法が採られることが多い。従来、ノボラック型フェノール樹脂を用いたフェノール樹脂成形材料の硬化時間を短縮する方法は種々検討実施されている。たとえば、ノボラック型フェノール樹脂、ヘキサメチレンテトラミンとフタル酸、安息香酸、及びサリチル酸等の各種カルボン酸、パラトルエンスルホン酸、及びベンゼンスルホン酸等の各種スルホン酸等の酸性物質を樹脂組成物に混合する方法などが挙げられる。しかし、この方法では硬化時間の短縮することはできるが、シリンダー内での熱安定性が低下する問題が生じていた。
また、前述の酸性物質と塩基性物質の複合塩を樹脂組成物に混合する方法、通常のランダムノボラック樹脂の代わりにハイオルトノボラック樹脂を使用する方法なども挙げられる。しかしこれらの方法でも、硬化時間の短縮することはできるが、シリンダー内での熱安定性が低下する問題が未だ解決されていない。一方、成形方法として金型温度を高くして成形材料の硬化を速くする方法が検討されているが、充填不良を起こしやすいという問題がある。
【0005】
【問題が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決するために種々検討した結果なされたものであり、その目的とするところは、シリンダー内での熱安定性を維持した上で、バリの発生が少ない成形品を得ることができるフェノール樹脂成形材料を提供することである。
【0006】
【問題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)及び(2)記載の本発明により達成される。
(1) ホウ酸変性フェノール樹脂、ガラス繊維、及び充填材を含有し、前記充填材の50重量%以上が粒径30〜50μmの範囲内にあり、かつ、前記充填材の80重量%以上が粒径1〜100μmの範囲内にあることを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
(2) 成形材料全体に対する割合が、ホウ酸変性フェノール樹脂15〜65重量%、ガラス繊維20〜70重量%、及び充填材10〜50重量%である前記(1)に記載のフェノール樹脂成形材料。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフェノール樹脂成形材料は、ホウ酸変性フェノール樹脂、ガラス繊維、及び充填材を含有し、前記充填材の50重量%以上が粒径30〜50μmの範囲内にあり、かつ、前記充填材の80重量%以上が粒径1〜100μmの範囲内にあることを特徴とする。
本発明のフェノール樹脂成形材料の特徴の一つは、ホウ酸変性フェノール樹脂を使用することである。これにより、成形時の熱安定性が優れたものとなる。本発明で用いられるホウ酸変性フェノール樹脂はホウ酸が結合したフェノール樹脂である。ホウ酸変性フェノール樹脂は成形材料全体に対して15〜65重量%で配合することが好ましい。15重量%未満であると成形材料化が困難になる傾向があり、65重量%をこえるとバリ抑制効果が小さくなる傾向がある。より好ましくは、25〜55重量%である。
ホウ酸変性フェノール樹脂は既知の方法で合成される。例えば、特公昭47−18867号公報に開示されているように、フェノールとホルムアルデヒドを酸性触媒下で反応させた後、ホウ酸またはホウ酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩を添加し、脱水し、炊き上げることで合成される。
ホウ酸による変性率は、フェノール樹脂に対して2〜20重量%が好ましい。
2重量%未満ではバリ低減効果が低下する傾向がある。また20重量%を越えると樹脂の融点が高くなり、成形材料化や成形時にシリンダー内での溶融が困難となるが、樹脂の融点を低くすると成形品の機械的特性等が低下するようになる。
本発明のフェノール樹脂成形材料においては、フェノール樹脂としてホウ酸変性フェノール樹脂を使用するが、これとともにホウ酸変性をしていないフェノール樹脂を使用することができる。
【0008】
本発明では、ホウ酸変性フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂である場合、硬化剤として通常ヘキサメチレンテトラミンを配合する。ヘキサメチレンテトラミンの配合量は、ホウ酸変性フェノール樹脂を含むフェノール樹脂全体に対して、10〜20重量%で配合することが好ましい。10重量%未満では硬化性が低下する傾向があり、20重量%を越えると熱安定性が悪化する傾向がある。より好ましくは、12〜18重量%である。
フェノール樹脂の配合量は、ホウ酸変性をしていないフェノール樹脂を配合する場合はそれを含め、ヘキサメチレンテトラミンを配合する場合はその量を含めて、ガラス繊維を配合した通常のフェノール樹脂成形材料と同様、成形材料全体に対して15〜65重量%が好ましい。15重量%より少ないと成形材料の生産が困難となることと、成形材料の流動性が低下するため成形が困難になるといった問題が生じることがある。65重量%より多いとガラス繊維及び充填材が少なくなるため、機械的強度等種々の特性が低下することがある。
【0009】
本発明で用いられるガラス繊維は特に限定されるものでなく、通常のフェノール樹脂成形材料に使用されるものを使用することができる。ガラス繊維の配合割合は、成形材料全体に対して20〜70重量%が好ましい。20重量%より少ないと機械的強度等種々の特性が低下することがある。70重量%より多いと成形材料の生産が困難となることと、材料の流動性が低下するため成形が困難になるといった問題が生じることがある。
【0010】
本発明のフェノール樹脂成形材料の第2の特徴は、充填材として、30〜50μmの粒径範囲に充填材全体の50重量%以上が分布し、かつ1〜100μmの粒径範囲に充填材全体の80重量%以上が分布するものを使用することである。このことによって成形時にバリの発生が抑えられる。その理由は、成形材料が金型内で溶融し粘度が低下して、バリが形成される金型の隙間あるいはエアベントに到達する時点でも、前記粒度分布を有する充填材が成形材料内に密に充填されていて、いわゆる石垣のような構造となるために金型の隙間やエアベントに成形材料が流れ込みにくくなるためであると考えられる。
【0011】
充填材の粒径が1μm未満のものあるいは100μmを超えるものが多くなると、充填材粒子の密な充填構造が崩れバリ低減効果を発現するだけの強固な石垣構造とすることが困難となる。さらに、粒径30〜50μmのものはバリ低減効果が大きい。従って、本発明において、バリ低減効果を最大限発現させるために、充填材は、30〜50μmの粒径の範囲に充填材全体の50重量%以上が分布し、かつ1〜100μmの粒径の範囲内に充填材全体の80重量%以上が分布するものである。30〜50μmの範囲における充填材の割合が充填材全体の50重量未満の場合、厚み30〜50μmバリが形成される金型の隙間あるいはエアベントに充填材粒子が入り込む確率が大きくなり、バリ防止効果が低下するようになる。また、1〜100μmの粒径の範囲内に粒子の80重量%未満が分布する場合も、粒子の充填性が低下するため、バリ防止効果が低下するようになる。
本発明において充填材としては、木粉、合板粉、成形品の粉砕物等の有機充填材や、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、ガラスビーズ等の無機充填材が使用できる。かかる充填材は一種類でもよく、多種類を組み合わせ、上記の粒度に調整して使用することも可能である。
【0012】
本発明において、上記各成分の他に、通常のフェノール樹脂成形材料と同様に、滑剤、着色剤、硬化助剤、難燃剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。
本発明のフェノール樹脂成形材料は、通常の方法により製造される。即ち、上記の各成分を所定の配合割合で混合し、加熱ロール、コニーダ、二軸押出機を使用して加熱溶融混練した後、冷却、粉砕することにより得られる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(充填材の調製)
フェノール樹脂成形材料を射出成形または移送成形する際に発生するスプルー、ランナーをハンマーミルで粗粉砕した後、ボールミルで粉砕したものを篩分し、表1に示す粒径に調整し、充填材A、充填材B及び充填材Cを得た。
【0014】
【表1】
【0015】
実施例1、2、3
フェノール樹脂としてホウ酸変性フェノール樹脂、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン、ガラス繊維、充填材として表1に示す充填材A、充填材B及び充填材Cを使用し、硬化助剤として酸化マグネシウム、その他の添加剤として滑剤、着色剤を表2に示す割合で配合し、110℃でのラボプラストミルのトルクで2.5kg・mになるまで加熱ロールで混練し粉砕して成形材料を作製した。
【0016】
比較例1、2、3、4
フェノール樹脂としてノボラックフェノール樹脂、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン、ガラス繊維、充填材として表1に示す充填材A、充填材B及び充填材Cを使用し、硬化助剤として酸化マグネシウム、その他の添加剤として滑剤、着色剤を表2に示す割合で配合し、110℃でのラボプラストミルのトルクで2.5kg・mになるまで加熱ロールで混練し粉砕して成形材料を作製した。
【0017】
比較例5
フェノール樹脂としてホウ酸変性フェノール樹脂、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン、ガラス繊維、硬化助剤として酸化マグネシウム、その他、滑剤、着色剤、硬化助剤などの添加剤を表2の割合で配合し、110℃でのラボプラストミルのトルクで2.5kg・mになるまで加熱ロールで混練し粉砕して成形材料を作製した。
【0018】
得られた成形材料について充填性、熱安定性及びバリ発生を評価した。これらの結果を表2下欄に示す。
【表2】
【0019】
(使用した材料)
フェノール樹脂:住友ベークライト社製・「A−1080」(ノボラック型フェノール樹脂)
ホウ酸変性フェノール樹脂:住友ベークライト社製・「PR−54879」(ノボラック型)
ガラス繊維:日本板硝子製「RES03−BM38」、繊維長3mm
硬化助剤:酸化マグネシウム
滑剤:ステアリン酸
着色剤:カーボンブラック
【0020】
(特性の測定方法)
射出成形の条件:試作型(金型温度175℃、成形品形状:縦100mm、横70mm、厚み4mm)を用い、シリンダー温度約90℃、金型内樹脂圧300kgf/cm2 で射出成形した。
(1)熱安定性:上記の条件による1時間の連続射出成形の可否で判定した。連続射出成形できた場合を○、できなかった場合を×とした。
(2)充填性:上記の条件で射出したときの充填性で評価した。100%充填したときを○、しないときを×とした。
(3)バリ発生:30μm厚及び50μm厚のエアベント(いずれも幅5mm)に発生するバリの長さで評価した。
【0021】
各実施例で得られた成形材料は、比較例の場合に比べて、射出成形時において、熱安定性及び充填性を低下させずに、30μm厚及び50μm厚のバリを効果的に低減することができた。
【0022】
【発明の効果】
上記の実施例からも明らかなように、本発明のフェノール樹脂成形材料は、ホウ酸変性フェノール樹脂と特定の粒径分布を有する充填材を使用していることから、熱安定性、充填性を維持したままで、バリの少ない成形品を得ることが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形時にバリの発生が少ない成形品を得ることができるフェノール樹脂成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェノール樹脂成形材料は耐熱性、電気的特性、機械的特性、寸法安定性などのバランスに優れ、電機部品を初めとして広範囲の分野に利用されている。一般にフェノール樹脂成形品は射出成形により成形されるものであるが、成形の際、溶融した成形材料が、射出圧力により厚み数μm〜50μm程度の金型合わせ面の隙間やエアベント等に入り込んで硬化しバリとなって成形不良を起こしやすい。
【0003】
フェノール樹脂成形材料は、射出成形機のシリンダー内で90〜120℃に可塑化された状態から170〜190℃に加熱された金型内に射出される際に、成形材料温度が上昇して粘度が著しく低下するために金型の狭い隙間にも流れ込みバリが発生しやすいと考えられる。
【0004】
バリの発生を抑制するためには、成形材料の硬化性を向上させて金型内での粘度を上昇させる方法が採られることが多い。従来、ノボラック型フェノール樹脂を用いたフェノール樹脂成形材料の硬化時間を短縮する方法は種々検討実施されている。たとえば、ノボラック型フェノール樹脂、ヘキサメチレンテトラミンとフタル酸、安息香酸、及びサリチル酸等の各種カルボン酸、パラトルエンスルホン酸、及びベンゼンスルホン酸等の各種スルホン酸等の酸性物質を樹脂組成物に混合する方法などが挙げられる。しかし、この方法では硬化時間の短縮することはできるが、シリンダー内での熱安定性が低下する問題が生じていた。
また、前述の酸性物質と塩基性物質の複合塩を樹脂組成物に混合する方法、通常のランダムノボラック樹脂の代わりにハイオルトノボラック樹脂を使用する方法なども挙げられる。しかしこれらの方法でも、硬化時間の短縮することはできるが、シリンダー内での熱安定性が低下する問題が未だ解決されていない。一方、成形方法として金型温度を高くして成形材料の硬化を速くする方法が検討されているが、充填不良を起こしやすいという問題がある。
【0005】
【問題が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決するために種々検討した結果なされたものであり、その目的とするところは、シリンダー内での熱安定性を維持した上で、バリの発生が少ない成形品を得ることができるフェノール樹脂成形材料を提供することである。
【0006】
【問題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)及び(2)記載の本発明により達成される。
(1) ホウ酸変性フェノール樹脂、ガラス繊維、及び充填材を含有し、前記充填材の50重量%以上が粒径30〜50μmの範囲内にあり、かつ、前記充填材の80重量%以上が粒径1〜100μmの範囲内にあることを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
(2) 成形材料全体に対する割合が、ホウ酸変性フェノール樹脂15〜65重量%、ガラス繊維20〜70重量%、及び充填材10〜50重量%である前記(1)に記載のフェノール樹脂成形材料。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフェノール樹脂成形材料は、ホウ酸変性フェノール樹脂、ガラス繊維、及び充填材を含有し、前記充填材の50重量%以上が粒径30〜50μmの範囲内にあり、かつ、前記充填材の80重量%以上が粒径1〜100μmの範囲内にあることを特徴とする。
本発明のフェノール樹脂成形材料の特徴の一つは、ホウ酸変性フェノール樹脂を使用することである。これにより、成形時の熱安定性が優れたものとなる。本発明で用いられるホウ酸変性フェノール樹脂はホウ酸が結合したフェノール樹脂である。ホウ酸変性フェノール樹脂は成形材料全体に対して15〜65重量%で配合することが好ましい。15重量%未満であると成形材料化が困難になる傾向があり、65重量%をこえるとバリ抑制効果が小さくなる傾向がある。より好ましくは、25〜55重量%である。
ホウ酸変性フェノール樹脂は既知の方法で合成される。例えば、特公昭47−18867号公報に開示されているように、フェノールとホルムアルデヒドを酸性触媒下で反応させた後、ホウ酸またはホウ酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩を添加し、脱水し、炊き上げることで合成される。
ホウ酸による変性率は、フェノール樹脂に対して2〜20重量%が好ましい。
2重量%未満ではバリ低減効果が低下する傾向がある。また20重量%を越えると樹脂の融点が高くなり、成形材料化や成形時にシリンダー内での溶融が困難となるが、樹脂の融点を低くすると成形品の機械的特性等が低下するようになる。
本発明のフェノール樹脂成形材料においては、フェノール樹脂としてホウ酸変性フェノール樹脂を使用するが、これとともにホウ酸変性をしていないフェノール樹脂を使用することができる。
【0008】
本発明では、ホウ酸変性フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂である場合、硬化剤として通常ヘキサメチレンテトラミンを配合する。ヘキサメチレンテトラミンの配合量は、ホウ酸変性フェノール樹脂を含むフェノール樹脂全体に対して、10〜20重量%で配合することが好ましい。10重量%未満では硬化性が低下する傾向があり、20重量%を越えると熱安定性が悪化する傾向がある。より好ましくは、12〜18重量%である。
フェノール樹脂の配合量は、ホウ酸変性をしていないフェノール樹脂を配合する場合はそれを含め、ヘキサメチレンテトラミンを配合する場合はその量を含めて、ガラス繊維を配合した通常のフェノール樹脂成形材料と同様、成形材料全体に対して15〜65重量%が好ましい。15重量%より少ないと成形材料の生産が困難となることと、成形材料の流動性が低下するため成形が困難になるといった問題が生じることがある。65重量%より多いとガラス繊維及び充填材が少なくなるため、機械的強度等種々の特性が低下することがある。
【0009】
本発明で用いられるガラス繊維は特に限定されるものでなく、通常のフェノール樹脂成形材料に使用されるものを使用することができる。ガラス繊維の配合割合は、成形材料全体に対して20〜70重量%が好ましい。20重量%より少ないと機械的強度等種々の特性が低下することがある。70重量%より多いと成形材料の生産が困難となることと、材料の流動性が低下するため成形が困難になるといった問題が生じることがある。
【0010】
本発明のフェノール樹脂成形材料の第2の特徴は、充填材として、30〜50μmの粒径範囲に充填材全体の50重量%以上が分布し、かつ1〜100μmの粒径範囲に充填材全体の80重量%以上が分布するものを使用することである。このことによって成形時にバリの発生が抑えられる。その理由は、成形材料が金型内で溶融し粘度が低下して、バリが形成される金型の隙間あるいはエアベントに到達する時点でも、前記粒度分布を有する充填材が成形材料内に密に充填されていて、いわゆる石垣のような構造となるために金型の隙間やエアベントに成形材料が流れ込みにくくなるためであると考えられる。
【0011】
充填材の粒径が1μm未満のものあるいは100μmを超えるものが多くなると、充填材粒子の密な充填構造が崩れバリ低減効果を発現するだけの強固な石垣構造とすることが困難となる。さらに、粒径30〜50μmのものはバリ低減効果が大きい。従って、本発明において、バリ低減効果を最大限発現させるために、充填材は、30〜50μmの粒径の範囲に充填材全体の50重量%以上が分布し、かつ1〜100μmの粒径の範囲内に充填材全体の80重量%以上が分布するものである。30〜50μmの範囲における充填材の割合が充填材全体の50重量未満の場合、厚み30〜50μmバリが形成される金型の隙間あるいはエアベントに充填材粒子が入り込む確率が大きくなり、バリ防止効果が低下するようになる。また、1〜100μmの粒径の範囲内に粒子の80重量%未満が分布する場合も、粒子の充填性が低下するため、バリ防止効果が低下するようになる。
本発明において充填材としては、木粉、合板粉、成形品の粉砕物等の有機充填材や、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、ガラスビーズ等の無機充填材が使用できる。かかる充填材は一種類でもよく、多種類を組み合わせ、上記の粒度に調整して使用することも可能である。
【0012】
本発明において、上記各成分の他に、通常のフェノール樹脂成形材料と同様に、滑剤、着色剤、硬化助剤、難燃剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。
本発明のフェノール樹脂成形材料は、通常の方法により製造される。即ち、上記の各成分を所定の配合割合で混合し、加熱ロール、コニーダ、二軸押出機を使用して加熱溶融混練した後、冷却、粉砕することにより得られる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(充填材の調製)
フェノール樹脂成形材料を射出成形または移送成形する際に発生するスプルー、ランナーをハンマーミルで粗粉砕した後、ボールミルで粉砕したものを篩分し、表1に示す粒径に調整し、充填材A、充填材B及び充填材Cを得た。
【0014】
【表1】
【0015】
実施例1、2、3
フェノール樹脂としてホウ酸変性フェノール樹脂、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン、ガラス繊維、充填材として表1に示す充填材A、充填材B及び充填材Cを使用し、硬化助剤として酸化マグネシウム、その他の添加剤として滑剤、着色剤を表2に示す割合で配合し、110℃でのラボプラストミルのトルクで2.5kg・mになるまで加熱ロールで混練し粉砕して成形材料を作製した。
【0016】
比較例1、2、3、4
フェノール樹脂としてノボラックフェノール樹脂、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン、ガラス繊維、充填材として表1に示す充填材A、充填材B及び充填材Cを使用し、硬化助剤として酸化マグネシウム、その他の添加剤として滑剤、着色剤を表2に示す割合で配合し、110℃でのラボプラストミルのトルクで2.5kg・mになるまで加熱ロールで混練し粉砕して成形材料を作製した。
【0017】
比較例5
フェノール樹脂としてホウ酸変性フェノール樹脂、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン、ガラス繊維、硬化助剤として酸化マグネシウム、その他、滑剤、着色剤、硬化助剤などの添加剤を表2の割合で配合し、110℃でのラボプラストミルのトルクで2.5kg・mになるまで加熱ロールで混練し粉砕して成形材料を作製した。
【0018】
得られた成形材料について充填性、熱安定性及びバリ発生を評価した。これらの結果を表2下欄に示す。
【表2】
【0019】
(使用した材料)
フェノール樹脂:住友ベークライト社製・「A−1080」(ノボラック型フェノール樹脂)
ホウ酸変性フェノール樹脂:住友ベークライト社製・「PR−54879」(ノボラック型)
ガラス繊維:日本板硝子製「RES03−BM38」、繊維長3mm
硬化助剤:酸化マグネシウム
滑剤:ステアリン酸
着色剤:カーボンブラック
【0020】
(特性の測定方法)
射出成形の条件:試作型(金型温度175℃、成形品形状:縦100mm、横70mm、厚み4mm)を用い、シリンダー温度約90℃、金型内樹脂圧300kgf/cm2 で射出成形した。
(1)熱安定性:上記の条件による1時間の連続射出成形の可否で判定した。連続射出成形できた場合を○、できなかった場合を×とした。
(2)充填性:上記の条件で射出したときの充填性で評価した。100%充填したときを○、しないときを×とした。
(3)バリ発生:30μm厚及び50μm厚のエアベント(いずれも幅5mm)に発生するバリの長さで評価した。
【0021】
各実施例で得られた成形材料は、比較例の場合に比べて、射出成形時において、熱安定性及び充填性を低下させずに、30μm厚及び50μm厚のバリを効果的に低減することができた。
【0022】
【発明の効果】
上記の実施例からも明らかなように、本発明のフェノール樹脂成形材料は、ホウ酸変性フェノール樹脂と特定の粒径分布を有する充填材を使用していることから、熱安定性、充填性を維持したままで、バリの少ない成形品を得ることが可能となる。
Claims (2)
- ホウ酸変性フェノール樹脂、ガラス繊維、及び充填材を含有し、前記充填材の50重量%以上が粒径30〜50μmの範囲内にあり、かつ、前記充填材の80重量%以上が粒径1〜100μmの範囲内にあることを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
- 成形材料全体に対する割合が、ホウ酸変性フェノール樹脂15〜65重量%、ガラス繊維20〜70重量%、及び充填材10〜50重量%である請求項1に記載のフェノール樹脂成形材料。
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JP2003012943A JP2004224872A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | フェノール樹脂成形材料 |
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JP2003012943A JP2004224872A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | フェノール樹脂成形材料 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003012943A Pending JP2004224872A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | フェノール樹脂成形材料 |
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JP (1) | JP2004224872A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103965424A (zh) * | 2014-05-22 | 2014-08-06 | 陕西太航阻火聚合物有限公司 | 一种高残碳热固性硼酚醛树脂及其制备方法和应用 |
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2003
- 2003-01-22 JP JP2003012943A patent/JP2004224872A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103965424A (zh) * | 2014-05-22 | 2014-08-06 | 陕西太航阻火聚合物有限公司 | 一种高残碳热固性硼酚醛树脂及其制备方法和应用 |
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