JP2008154842A - 注射針 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚への刺入が容易であり、刺入時における痛みを軽減することができると共に、針先の加工を効率良く行う。
【解決手段】注射針1は、針管2の先端における一直径方向の一側方D1から針管2の基端側2cにおける前記一直径方向の他側方D2に向けて針管2の軸線S1に対して傾斜した刃面3を備え、前記刃面3が、前記一直径方向における前記針管2の先端の内外周面2d,2eの間の中央Cを通りかつ前記一直径方向において針管2の軸線S1を含む平面内に位置されて前記軸線S1に平行に設定された中心軸線S2を有する1つの円錐面Fの一部として形成された構成とされている。
【選択図】図1

Description

本発明は、注射器のルアー先に装着されて使用される医療用の注射針に関するものである。
従来、この種の注射針は、一般に、針先が針管の先端における一直径方向の一側方から針管の基端側における前記一直径方向の他側方に向けて針管の軸線に対して傾斜した刃面を備えている。そして、注射針の刺入時における痛みを軽減する等の目的のために、前記刃面が針管の基端側に針管の軸線に対して所定角度をなしかつ前記一直径方向の平面に直交するように形成した第一の傾斜面と、この第一の傾斜面と針管の先端を接続すると共に、針管の軸線に対する傾斜角度を前記第一の傾斜面の傾斜角度よりも大きくし、前記一直径方向の平面の両側に該平面に対して傾斜させて形成した第二、第三の傾斜面とを備えて、針先の先端を前記一直線方向の平面からずらされた位置に設定することにより、注射針の刺入時に、針先により皮膚にかかる力が分散されるようにした注射針が知られている(例えば、特許文献1)。また、前記第一の傾斜面と第二、第三の傾斜面との間に、針管の軸線に対する傾斜角度が前記第一の傾斜面の傾斜角度よりも大きく、前記第二、第三の傾斜面の傾斜角度よりも小さくした第4の傾斜面を設けることにより、前記刃面における各傾斜面間の角度差を小さくして、皮膚に対する刺入時の抵抗を低減するようにした注射針も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−290354号公報 特開2000−262615号公報
しかし、前記従来の注射針は、いずれも、前記第二、第三の傾斜面と針管の外周との接続部で刃面の外周側に形成される一対の刃部の形状が、平面視で針先の先端から基端部側に向けて外側に凸の円弧状に形成され、針先における刃部の先端側の幅が大きくなると共に、針先の先端部における前記第二、第三の傾斜面の接続部に稜線部が形成されるので、注射針を皮膚に刺入したときに、刃部がその幅方向の両側とそれに直角な一方向へと皮膚を大きく切り開くこととなり、刺入痛を生じさせるおそれがある。また、注射針の刃面に第一〜第四の傾斜面を有するために、研削による加工工程を多く必要とし、注射針の針先の加工を効率よく行うことができない難点がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、皮膚への刺入が容易であり、刺入時における痛みを軽減することができると共に、針先の加工を効率良く行うことができる注射針を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために、以下の点を特徴としている。
すなわち、本発明の請求項1に係る注射針は、針管の先端における一直径方向の一側方から針管の基端側における前記一直径方向の他側方に向けて針管の軸線に対して傾斜した刃面を備えた注射針であって、前記刃面が、前記一直径方向の一側方における針管の先端の内外周面間を通りかつ前記一直径方向において針管の軸線を含む平面内に位置された中心軸線を有する1つの円錐面の一部として形成されていることを特徴としている。
また、請求項2に係る注射針は、請求項1に記載の注射針において、前記円錐面の中心軸線が、前記針管の先端の前記一直径方向における内外周面間の中央を通り、前記針管の軸線方向に平行に設定されていることを特徴としている。
本発明によれば、以下の優れた効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る注射針によれば、針先の先端部の形状が尖鋭な円錐状に形成されると共に、該先端部から基端側に連絡する刃部が細身に形成されるので、皮膚に対する刺し込み痛が除去されると共に、刺し込み後に皮膚が徐々に押し開かれて針先が組織中に刺入されるため、刺入時の痛みを軽減することができる。また、針管の先端側を1つの円錐面の一部として砥石の姿勢を変更することなく研削加工して針先の刃面を形成することができるので、注射針の針先の加工を効率良く行うことができる。
また、請求項2に係る注射針によれば、針管の軸線と針先の刃面の円錐面の中心軸線が平行となるので、研削加工時に針管と砥石との位置設定が容易となり、針先の加工を一層効率よく行うことができると共に、針先の先端部の形状が正確な円錐面に形成されて、皮膚に対する刺し込み痛の除去効果を高めることができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る注射針について図面を参照して説明する。
図1〜図8において、1は本発明の一実施の形態に係る注射針である。この注射針1は、ステンレス鋼ないしはニッケルクロム鋼等の材料からなり、例えば外径が0.8mm、内径が0.49mmの針管2を備えている。該針管2の先端側2aには、針管2の先端2bにおける一直径方向Dの一側方D1から針管2の基端部側2cにおける前記一直径方向Dの他側方D2に向けて針管2の軸線S1に対して傾斜した刃面3を有する針先4が設けられている。
前記刃面3は、前記一直径方向Dにおける前記針管2の先端2bの内周面2cと外周面2dとの間の中央C(針管2の肉厚dの中央)を通り、かつ前記一直径方向Dにおいて針管2の軸線S1を含む平面(中心面)内に位置されて前記軸線S1に平行な中心軸線S2を有する1つの円錐面Fの一部として形成されている。前記円錐面Fの前記中心軸線S2(針管2の軸線S1)に対する傾斜角θは12°〜22°に設定されている。前記傾斜角θが下限の数値より小さい場合には、前記針先4が長くなって注射時に皮膚への刺入深さを深くする必要があり、また、前記傾斜角θが上限の数値より大きい場合には、前記針先4の先端側が太くなり、刺入痛を生じさせるおそれがある。
前記針先4の刃面3を形成するには、例えば、研削盤の砥石の回転軸線に対して、前記針管2をその軸線S1が前記傾斜角θだけ傾斜するように位置決めしてワーク回転部に把持させ、該ワーク回転部によって針管2をその軸線S1の周りに低速で回転させ、針先4よりやや幅広の幅を有する粗砥石を高速で回転させながら、該荒砥石を針管2の先端部にその半径方向に切り込んでいき、前記円錐面Fに至る手前の粗砥石の切り込み深さに達したときに、粗砥石に代えて、順次、中仕上げ、仕上げ、超仕上げ用の砥石を使用して前記円錐面Fまで切り込んで該円錐面Fを仕上げ加工する。このように、針管2に対する針先4の加工は、荒砥石による粗加工とその後の中仕上げ、仕上げ、超仕上げ用の砥石による仕上げ加工とで行うのが、加工を能率的に行えて好ましいが、前記仕上げ用の砥石だけで行うようにしてもよい。
この砥石による針先4の加工により、針先4は、図5に示すように、針管2(針先4)の先端部2fの外周が前記中央Cに頂点を有する正確な円錐面に形成され、該先端部2fから基端部側2cに行くにしたがって、図6〜図8に示すように、各横断面において前記中心面の両側に外側に凸の円弧状の刃面3が半径r1,r2,r3,・・・を徐々に大きくして幅が広がり、平面視または背面視で刃面3の外周部が傾斜角θに沿って直線状に広がり、側面視で前記刃面3側が凹の円弧状に形成され、針先4は全体として前記先端部2fから針管2の基端側2cに連絡する刃部4aが細身に形成されている。
このように形成された注射針1の針先4によれば、針管2の先端部2fが尖鋭な円錐状に形成され、針先4に角張った稜線部を有していないので、皮膚に刺入時に該皮膚を切り裂く動作が加わらず、突き刺す操作で容易に皮膚に刺入することができて刺し込み痛が生じず、刺入後は細身の針先4により徐々に皮膚を押し開いて組織に容易に挿入することができ、これにより、注射時の刺入痛を軽減することができる。
以上説明したように、前記実施の形態に係る注射針1は、針管2の先端における一直径方向Dの一側方D1から針管2の基端側2cにおける前記一直径方向Dの他側方D2に向けて針管の軸線に対して傾斜した刃面3を備え、前記刃面3が、前記一直径方向Dにおける前記針管2の先端の内外周面2d,2eの間の中央を通り、かつ前記一直径方向Dにおいて針管2の軸線S1を含む平面内に位置されて前記軸線S1に平行に設定された中心軸線S2を有する1つの円錐面Fの一部として形成された構成とされている。
したがって、前記実施の形態に係る注射針1によれば、針先4の先端部2fの形状が尖鋭な円錐状に形成すされると共に、該先端部2fから基端側2cに連絡する刃部4aが細身に形成されるので、皮膚に対する刺し込み痛が除去されると共に、刺し込み後に皮膚が徐々に押し開かれて針先が組織中に刺入されるため、刺入時の痛みを軽減することができる。また、針管2の先端側を一行程ないしは二工程の研削によって一つの円錐面として加工して針先4の刃面3を形成することができるので、注射針1の針先4の加工を効率良く行うことができる。
なお、前記実施の形態に係る注射針1においては、前記針先4の先端部2fにおける円錐面Fの中心軸線S2が、前記一直径方向Dにおける前記針管2の先端の内外周面2d,2eの間の中央を通り、前記針管2の軸線S1方向に平行に設定され構成とされているので、針管2の軸線S1と針先4の刃面3の円錐面Fの中心軸線S2が平行となるため、研削加工時に針管2と砥石との位置設定が容易となり、針先4の加工が一層効率よく行うことができると共に、針先2の先端部2fの形状が正確な円錐面に形成されて、皮膚に対する刺し込み痛の除去効果を高めることができて好ましい。
しかし、本発明はこれに限らず、前記中心軸線S2を前記一直径方向Dにおけるは針管2の内外周面2d,2eの間の中央ではなく、該内外周面2d,2eの間であればいずれの位置に設定してもよく、また、前記中心軸線S2を前記針管2の軸線S1に平行ではなく、針管2の軸線S1(軸線S1に平行な軸線)に対して5°以内で刃面3側に傾斜角度βだけ傾斜させてもよい。しかし、前記中心軸線S2の傾斜角度βを5°を超えて傾斜させると、針先4の形状が細身から太身に変化するので、注射針1の皮膚への刺入痛を軽減させる効果が低下する。
本発明の一実施の形態に係る注射針を示す側面図である。 同じく平面図である。 同じく背面図である。 同じく正面図である。 図1のイ−イ断面図である。 図1のロ−ロ断面図である。 図1のハ−ハ断面図である。 図1のニ−ニ断面図である。
符号の説明
1 注射針
2 針管
2a 先端側
2b 先端
2c 基端側
2d 内周面
2e 外周面
2f 先端部
3 刃面
4 針先
4a 刃部
C 中央
D 半径方向
D1 一側方
D2 他側方
F 円錐面
S1 軸線
S2 中心軸線
θ 傾斜角
β 傾斜角度

Claims (2)

  1. 針管の先端における一直径方向の一側方から針管の基端側における前記一直径方向の他側方に向けて針管の軸線に対して傾斜した刃面を備えた注射針であって、
    前記刃面は、前記一直径方向の一側方における針管の先端の内外周面間を通りかつ前記一直径方向において針管の軸線を含む平面内に位置された中心軸線を有する1つの円錐面の一部として形成されていることを特徴とする注射針。
  2. 前記円錐面の中心軸線は、前記針管の先端の前記一直径方向における内外周面間の中央を通り、前記針管の軸線方向に平行に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の注射針。
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