本発明の実施の一形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態は、例えば、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等で導入され、商品販売データを集計し管理するPOSシステム(Point Of Sales System)への適用例である。尚、以下に述べる実施形態は本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
[システム構成]
図1は、本実施形態のPOSシステムのシステム全体図である。図1に示すように、本実施形態のPOSシステムは、複数の自動釣銭機1、複数のPOS端末2、及び、POS管理サーバ3を有している。各POS端末2には、自動釣銭機1がそれぞれ通信回線4を介して接続されている。また、各POS端末2は、POS管理サーバ3と通信回線4を介して接続されている。
自動釣銭機1は、顧客への商品販売時における顧客からの預かり貨幣の入金、顧客に返却する釣銭の出金、顧客から両替要求された場合の預かり貨幣の入金、及び、両替後の貨幣の出金に利用される。また、自動釣銭機1は、自己の在高データを記憶保持して管理する。尚、本実施形態の自動釣銭機1は、自動硬貨釣銭機であるとして以下に説明を行うがこれに限られるものではなく、例えば自動紙幣釣銭機であってもよく、自動硬貨釣銭機及び自動紙幣釣銭機の組み合わせであってもよい。
POS端末2は、自動釣銭機1と共に、顧客との商品販売取引時又は両替時に利用される。また、POS端末2は、自動釣銭機1から収集した在高データを記憶保持して管理し、商品販売データの取得、自動釣銭機1の各動作条件の設定及び制御、釣銭不足、釣銭補充等の警告メッセージの表示等をする。
POS管理サーバ3は、各POS端末2から取得される商品販売データを集計し管理する。また、POS管理サーバ3は、自動釣銭機1の在高データ、顧客データ、商品(PLU)データ等を記憶保持し、これらのデータを用いて各種統計処理を行う。
[自動釣銭機1の構成、機能、及び動作]
本実施形態の自動釣銭機1各部の構成、機能、及び動作について、図2乃至図6を用いて以下に説明する。図2は、本実施形態の自動釣銭機1の外観を示す斜視図である。図2に示すように、自動釣銭機1の筐体であるハウジング5の右側手前には、貨幣である硬貨を一括して投入する上方に開口した受け皿状の投入口6が設けられている。ハウジング5の左側手前には、硬貨を排出する上面が開口した筐体状の取出口7が設けられている。また、取出口7の上方に設けられている操作部8は、各種画面を表示する液晶表示器9と、この液晶表示器9の表示部に積層配置されたタッチパネル10とにより構成されている。
図3は、本実施形態の自動釣銭機1のハードウエア構成を示した図である。自動釣銭機1は、図3に示すような自動釣銭機1各部の制御をするための制御部11を備えている。制御部11は、CPU12、RAM13、ROM14、I/Oポート15、通信I/F16、及び不揮発性メモリ18を有しており、これらはバス19を介してそれぞれ接続されている。
ここで、CPU12は、プログラムに従って計算や記憶を行い、制御信号を出力するなど、各種処理を行う。また、CPU12は、(後に詳述するが)自動釣銭機1に設けられたセンサやモータなどの各部とそれぞれ電気的に接続され、これらを制御する。
RAM13は、各種データの読み書き可能なメモリであり、CPU12にワークエリアを提供する。ROM14は、固定データを記憶する読み出し専用メモリであり、CPU12により実行される制御プログラム等の固定データを記憶する。
I/Oポート15は、CPU12側からバス19を介して自動釣銭機1各部へ情報を送り出す出力ポート、及び、自動釣銭機1各部からバス19を介してCPU12側に情報を取り入れる入力ポートとからなる。通信I/F16は、図1に示したPOS端末2との間でデータ通信をするために機能する。不揮発性メモリ18は、例えばEEPROMを例示することができ、自動釣銭機1に収納されている硬貨の金種別枚数からなる在高データ17を記憶保持する。
図4は、本実施形態の自動釣銭機1の内部構造を示す平面図である。図5は、本実施形態の自動釣銭機1の内部構造を示す縦断側面図である。以下に自動釣銭機1の構造を説明しつつ、入金動作(投入口6へ硬貨が投入された場合の動作)、及び出金動作(取出口7から硬貨が払い出される場合の動作)について説明する。この入金動作及び出金動作は、図3に示すROM14にインストールされているコンピュータプログラムの実行により、CPU12が自動釣銭機1各部を制御することにより行われる。
まず入金動作について説明する。図4に示すように、投入口6には、投入された硬貨の有無を検出するための投入センサ20(図4参照)が設けられている。この投入センサ20には既存の各種センサを用いることができるが、ここでは光学的変化を電気的変化に変換する光センサが複数用いられている。
まず、硬貨が投入口6に投入されると、投入センサ20は、この硬貨の投入を電気信号として検出する。この検出信号を(センサインターフェース及びバス19を介して)データとして受け取ったCPU12は、硬貨の投入を認識する。
続いて、CPU12は、上記検出信号に基づいて、硬貨を機内内部へ搬送するための投入口搬送ベルト21、投入口6から投入された硬貨を一層一列状態で繰り入れるための投入口ローラ22、及び、投入口搬送ベルト21を駆動する駆動モータなどを制御する(図4参照)。そうすると、投入口6に投入された硬貨は、投入口搬送ベルト21と投入口ローラ22との間で一枚ずつ分離され、自動釣銭機1内部に向かって投入口搬送ベルト21上を搬送される。
続いて、投入口搬送ベルト21により搬送された硬貨は、CPU12の制御の下、投入口搬送ベルト21からこれと連接され配置された搬送路搬送ベルト23、24に受け渡され、搬送されてきた硬貨を金種別に選別する複数の選別孔25まで運ばれる(図4参照)。この複数の選別孔25は、金種別に異なる硬貨の大きさを利用して選別がなされるように順次孔幅寸法が拡大するように設けられ、搬送されてくる硬貨が金種別に各選別孔25にそれぞれ落下するような構造となっている(図4参照)。
つまり、CPU12は、搬送路搬送ベルト23、24に連結された駆動モータに制御信号を送信して、硬貨の送り速度をより速め、硬貨1枚毎に所定の隙間をあけて選別孔25へ送るように駆動する。尚、図4に示すように、各選別孔25には、落下する硬貨の枚数をカウントするために収納センサ26が設けられている。そして、各選別孔25まで搬送されてきた硬貨は、金種別に選別されて(後に詳述する)収納部27へ落下する途中でそれぞれ収納センサ26により検出される。尚、収納部27は、上方開口で各選別孔25と連通し、仕切り板により金種別に仕切られた各収納領域27a〜27fを有している。
続いて、収納センサ26からの検出信号を受け取ったCPU12は、新たに投入され収納された硬貨の金種別枚数をカウントするデータ処理を行う。
図6は、自動釣銭機1の在高データ17を記憶する設定テーブルT1を示した図である。図3に示す不揮発性メモリ18には、在高データ17を記憶する設定テーブルT1が準備されており、収納部27に収納されている硬貨の金種別収納枚数が記憶保持されている。よって、CPU12は、既に設定テーブルT1に記憶保持されている硬貨の金種別収納枚数に対して、上述の収納センサ26によりカウントされた硬貨の金種別枚数を加算して在高データ17の更新処理を行う。
次に、出金動作について説明する。図5に示すように、収納部27に設けられている金種別に仕切られた硬貨の各収納領域27a〜27fの各底面部分には、駆動モータ(不図示)に連結された駆動ローラ28により駆動される繰出搬送ベルト29a〜29fがそれぞれ配置されている。各繰出搬送ベルト29a〜29fはそれぞれエンドレスベルトであって、硬貨Cの搬送方向下流に向かうに従い高さが高くなるような昇斜面が形成されるよう傾斜配置されている。
また、図4、図5に示すように、収納部27の金種別の硬貨の各収納領域27a〜27fの各底面部分には、分離ローラ30がそれぞれ配設されている。この分離ローラ30は、金種別の硬貨の各収納領域27a〜27fの各底面部分から排出される硬貨Cを一枚毎に分離するものであり、繰出搬送ベルト29a〜29fに対して硬貨一枚が通過し得る間隔を隔て、且つ、該ベルト29a〜29fを横断するように配設される。
更に、図4、図5に示すように、収納部27の出口近傍には上記繰出搬送ベルト29a〜29fを備え、所定枚数の硬貨Cを一列に整列させて待機させる硬貨待機部31が金種別に設けられている。この硬貨待機部31には、金種別に硬貨Cを一時的に停止させると共に必要枚数の硬貨Cを送り出すように(図3のCPU12により)制御される硬貨シャッタ32がそれぞれ設けられている。
また、図5に示すように、硬貨シャッタ32の直後には、金種別に払い出された硬貨Cの枚数を計数する光センサを用いた払出センサ33や、硬貨の材質を検出するための発振コイルである払出センサ34がそれぞれ設けられている。
ここでまず、払い出しの指示コマンドがPOS端末2から通信I/F16を介してCPU12に送信されると、CPU12は、払い出しの指示コマンドの指示通りに硬貨を払い出すように各部を制御する。具体的には、CPU12は、駆動ローラ28に連結された駆動モータ(不図示)を駆動して繰出搬送ベルト29a〜29fを動作させ、収納部27から所定枚数の硬貨を金種別に一列に整列させて搬送するように制御する。
続いて、CPU12は、硬貨待機部31に硬貨を一時的に停止させると共に、硬貨シャッタ32の開閉を制御して払出しに必要な硬貨を金種別に必要枚数だけ送り出し、繰出搬送ベルト29a〜29f上から取出口7へ落下させるよう制御をする。取出口7は、繰出搬送ベルト29a〜29fから硬貨を落下させる硬貨払出位置に設けられている。
そして、CPU12は、払出センサ33、34から検出された検出信号により取出口7に排出された硬貨の金種別枚数をカウントするデータ処理を行う。続いて、CPU12は、既に設定テーブルT1に記録保持されている硬貨の金種別収納枚数から、カウントした硬貨の金種別枚数を減算して在高データ17の更新処理を行う。以上説明した様に、自動釣銭機1は、上記設定テーブルT1により在高データ17を記憶保持し、その更新及び管理を行う。
続いて、顧客との販売商品取引時の入金処理、及び両替処理時における自動釣銭機1の動作について説明する。上述した入金動作及び出金動作に従って、自動釣銭機1は、顧客との販売商品取引時の入金処理において、顧客からの預かり金の入金動作と、釣銭がある場合は釣銭の出金動作をする。また、自動釣銭機1は、顧客からの要求による両替処理において、顧客からの預かり金の入金動作と、両替後の硬貨の出金動作をする。
尚、自動釣銭機1において、POS端末2から送信された制御指示コマンドの指示に従って入金処理及び両替処理を禁止する場合には、CPU12の制御の下、投入された硬貨と同額の硬貨(金種別枚数も同じ)を返却する出金動作がされる。この場合は自動釣銭機1に収納されている硬貨は変動しないので、上述した在高データ17の更新処理は行われない。
また、本実施形態の自動釣銭機1では、CPU12が、更新した在高データ17と、更新した在高データ17をPOS管理サーバ3に対して送信する旨の指示コマンドとを、通信I/F16を介してPOS端末2へ送信するよう制御する。上述の更新した在高データ17と、この更新した在高データ17をPOS管理サーバ3に送信する旨の指示コマンドとをPOS端末2へ送信するタイミングは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に設定することができる。
例えば、上記タイミングは、自動釣銭機1のCPU12が、自動釣銭機1への入金による金種別の在高のデータの変動を認識したタイミングとすることができる。また、上記タイミングは、自動釣銭機1のCPU12が、自動釣銭機1への出金による金種別の在高のデータの変動を認識したタイミングとすることもできる。あるいは、上記タイミングは、自動釣銭機1のCPU12が、自動釣銭機1への入金及び出金による金種別の在高のデータの変動を認識したタイミングとすることもできる。
以上説明したように、本実施形態の自動釣銭機1によれば、更新した在高データ17及び更新した在高データ17をPOS管理サーバ3に送信する旨の指示コマンドを、上記所定のタイミングでPOS端末2へ送信しているため、自動釣銭機1の在高と、POS端末2やPOS管理サーバ3が認識する自動釣銭機の在高とを常に一致させることができる。
[POS端末2の構成、機能、及び動作]
図7は、本実施形態のPOS端末2の構成ブロック図である。図7を用いて、本実施形態のPOS端末2各部の構成、機能、及び動作について以下に説明する。図7に示すように、POS端末2は、CPU36、RAM37、ROM38、I/Oポート39、通信I/F40、及び不揮発性メモリ41を有する制御部35を有し、キーボード46、表示装置47、プリンタ48、バーコードスキャナ49、及びカードリーダライタ50を有している。
CPU36は、RAM37、ROM38、I/Oポート39、通信I/F40、及び不揮発性メモリ41と、バス45を介してそれぞれ接続されると共に、キーボード46、表示装置47、プリンタ48、バーコードスキャナ49、及びカードリーダライタ50と、バス45及び各インターフェースを介してそれぞれ電気的に接続されている。CPU36は、プログラムに従って計算や記憶を行い、制御信号を出力するなど各種処理を行う。
RAM37は、データ書き換え自在のメモリであり、販売商品について売り上げ登録をするための売り上げ登録メモリや取引合計金額を記憶する合計金額メモリ等の各種メモリエリアが形成されている。ROM38は、固定データを記憶する読み出し専用メモリであり、CPU36により実行される制御プログラム等の固定データを記憶する。
I/Oポート39は、CPU36側からバス45を介してPOS端末2各部へ情報を送り出す出力ポート、及びPOS端末2各部からバス45を介してCPU36側に情報を取り入れる入力ポートとからなる。通信I/F40は、図1に示した自動釣銭機1及びPOS管理サーバ3との間でデータ通信をするために機能する。
不揮発性メモリ41は、例えばEEPROMを例示することができ、自動釣銭機1から受信した在高データ17を在高データ42として保有する。また、不揮発性メモリ41は、(後に詳述するが)自動釣銭機1の動作について設定するための釣銭機設定データ43、及び釣銭不足・補充設定データ44を保有する。
キーボード46は、販売商品の個数、値段等の数値データを置数するための置数キー、販売商品のコードを入力するためのコードキー、取引合計金額の出力を指示する合計キー、取引合計金額に対する預かり金額を入力するための締めキー等の各種キーが配設されたPOS端末専用のキーボードである。
表示装置47は、販売登録のために入力された商品の品名、値段や取引合計金額等の表示、釣銭不足釣銭補充の警告表示、顧客へのメッセージ表示等をするもので、キャッシャ用と客用の2種類の表示画面が設けられている。
プリンタ48は、レシート用紙及びジャーナル用紙に販売登録のため入力された商品の品名、値段や取引合計金額等を印字するもので、このプリンタ48によって印字されたレシート用紙はレシート発行口から排出され切断されてレシート発行される。また、ジャーナル用紙は内部で巻き取られるようになっている。
バーコードスキャナ49は、商品に付帯されたバーコードから商品コード等の各種情報を光学的に読み取るための読み取り装置である。カードリーダライタ50は、顧客が携帯し且つ取引時に顧客から提示される顧客カード(例えば、顧客の会員登録の際に発行される会員カードやポイントカード)から顧客ID等の顧客情報を読み取ったり、ポイントを書き換えたりする装置である。
図8は、入金及び両替時に自動釣銭機1の操作を禁止するか否かについて設定するための設定テーブルT2を示した図である。図8に示されている設定テーブルT2は、予め不揮発性メモリ41に準備されている(図7参照)。
そして、POS端末2において、POS端末2の使用者であるキャッシャによるキーボード46からのキー入力操作か、あるいは表示画面からのタッチ入力操作(表示画面がタッチパネルで構成されている場合)により、CPU36の制御の下で、表示装置47に設定テーブルT2を表示させ、この設定テーブルT2を用いて設定条件を入力することができる。この設定テーブルT2を用いて設定条件が入力されると、設定条件が入力された設定テーブルT2は、釣銭機設定データ43として不揮発性メモリ41に記憶保持される。
図9は、設定テーブルT2に記憶されている設定条件に基づいて実行されるPOS端末2の動作について説明するためのフローチャートである。図9に示すように、まずステップS101においてPOS端末2が起動すると、POS端末2のCPU36は、不揮発性メモリ41に記憶保持されている釣銭機設定データ43の中から設定テーブルT2に記憶されている設定条件を読み出す。
続いてステップS102では、CPU36は、読み出した設定条件が入金及び両替時に自動釣銭機1の操作を禁止しているか否かについて判断する。そして、自動釣銭機1の操作を禁止していない場合は、そのまま処理を終了する。また、自動釣銭機1の操作を禁止している場合は、ステップS103に進む。
ステップS103では、CPU36は、入金及び両替時に自動釣銭機1の操作を禁止する旨の制御指示コマンドを自動釣銭機1に対して送信するよう制御した後に処理を終了する。一方、この制御指示コマンドを受信した自動釣銭機1では、CPU12が、入金及び両替時に自動釣銭機1の操作ができないように各部の制御を行う。
図10は、取引締め時に自動釣銭機1の操作を禁止するか否かについて設定するための設定テーブルT3を示した図である。この設定テーブルT3は、設定テーブルT2と同様に予め不揮発性メモリ41に準備されており、POS端末2のキーボード46からのキー入力操作等により表示装置47に設定テーブルT3を表示させ、設定条件を入力することができる。
この設定テーブルT3を用いて設定条件が入力されると、設定条件が入力された設定テーブルT3は、釣銭機設定データ43として不揮発性メモリ41に記憶保持される。尚、設定テーブルT3に記憶されている設定条件に基づいて実行されるPOS端末2の動作については、上述した設定テーブルT2に記憶されている設定条件に基づいて実行されるPOS端末2の動作と基本的に同じであるため説明を省略する。
更に、図11は、自動釣銭機1において、金種別に入金を許可するか否か、許可の場合には何枚入金を許可するかについて設定するための設定テーブルT4を示した図である。図12は、自動釣銭機1において、金種別に両替を許可するか否か、許可の場合には何枚両替を許可するかについて設定するための設定テーブルT5を示した図である。設定テーブルT4、T5は、既に説明した設定テーブルT2、T3と同様に予め不揮発性メモリ41に準備されており、設定条件を入力することができる。
キー入力操作等により設定テーブルT4、T5を用いて設定条件がそれぞれ入力されると、設定条件が入力された設定テーブルT4、T5は、釣銭機設定データ43として不揮発性メモリ41に記憶保持される。よって、POS端末2が起動すると、CPU36は、不揮発性メモリ41に記憶保持されている釣銭機設定データ43の中から、設定テーブルT2、T3だけでなく、設定テーブルT4、T5に記憶されている設定条件も読み出す。
そして、CPU36は、読み出した設定条件を参照して自動釣銭機1の動作に関する制御指示コマンド作成し、作成した制御指示コマンドを自動釣銭機1に送信するよう制御する。一方、この制御指示コマンドを受信した自動釣銭機1では、CPU12が、制御指示コマンドの指示に従って自動釣銭機1各部の制御を行う。
図13は、本実施形態のPOS端末2の入金・両替モードへの移行動作について説明するためのフローチャートである。ここでは、既にPOS端末2が上記設定テーブルT2乃至T5により設定されている条件に従って自動釣銭機1に対する制御指示動作を終了し、自動釣銭機1が使用可能な状態となっていることを前提として説明を行う。
図13に示すように、まずステップS201では、自動釣銭機1の投入口6に硬貨が投入されることにより、自動釣銭機1は、投入された硬貨の金種別枚数のカウントと収納動作、在高データ17の更新動作、更新した在高データ17及び(更新した在高データ17をPOS管理サーバ3へ送信する旨の)指示コマンドの送信動作等の各動作をする。
そして、POS端末2のCPU36は、自動釣銭機1からの在高データ17及び上記指示コマンドを受信することにより自動釣銭機1の起動を認識する。続いてステップS202では、自動釣銭機1の起動の認識をしたCPU36は、POS端末2自身がいかなる状態にあるのか(バーコードスキャナ49によるバーコード読み取り等の取引操作中であるか否かなど)について確認する。
そして、CPU36が取引操作中(締め操作前)であると判断した場合は(ステップS202Y)、ステップS203に進む。ステップS203では、CPU36は、POS端末2を入金モードに移行させて移行動作を終了するよう制御する。また、CPU36が取引操作中でなく待機中であると判断した場合には(ステップS202N)、ステップS204に進む。
図14は、貨幣投入を契機とした自動釣銭機起動による入金業務を禁止するか否か、及び貨幣投入を契機とした自動釣銭機起動による両替業務を禁止するか否かについて設定するための設定テーブルT6を示した図である。設定テーブル6は、上記設定テーブルT2乃至T5と同様に予め不揮発性メモリ41に準備されており、POS端末2のキーボード46からのキー入力操作等により表示装置47に設定テーブルT6を表示させ、設定条件を入力することができる。この設定テーブルT6を用いて設定条件が入力されると、設定テーブルT6は釣銭機設定データ43として不揮発性メモリ41に記憶保持される。
続いて、ステップS204では、CPU36は、設定テーブルT6を読み出し、設定テーブルT6に記憶されている設定条件に基づいて、POS端末2を入金モードに移行させるか、両替モードに移行させるか、又はモード選択画面へ移行させるか、いずれかの動作を実行するよう制御する。
よって、例えば、CPU36が設定テーブルT6に記憶されている設定条件により入金モード、両替モードいずれのモードへの移行も許可されていると判断した場合は(ステップS204のY)、ステップS205に進む。ステップS205では、CPU36は、表示装置47のキャッシャ用の表示画面に、入金モード移行、両替モード移行、又はキャンセルのいずれかを選択させるためのモード選択画面を表示するよう制御する。
続いて、ステップS206では、表示されたモード選択画面において、キャッシャのキー入力操作等により移行モードが選択される。このとき入金モード移行が選択された場合は(ステップS207のY)、ステップS208に進む。ステップS208では、CPU36は、POS端末2を入金モードへ移行させて移行動作を終了させるよう制御する。
また、ステップS206においてキー入力操作等により両替モード移行が選択された場合は(ステップS207のN、ステップS209のY)、ステップS210に進む。ステップS210では、CPU36は、POS端末2を両替モードへ移行させて移行動作を終了させるよう制御する。
また、ステップS206においてキー入力操作等によりキャンセルが選択された場合は、ステップS207のN、ステップS209のNと進み、CPU36は、入金モード、両替モードのいずれにも移行させず移行動作を終了させるよう制御する。
一方、CPU36は、設定テーブルT6に記憶されている設定条件により入金モードへの移行のみ許可されていると判断した場合は(ステップS204のN、ステップS211のY)、ステップS212と進む。ステップS212では、CPU36はPOS端末2を入金モードへ移行させて移行動作を終了させるよう制御する。
また、CPU36は、設定テーブルT6に記憶されている設定条件により両替モードへの移行のみ許可されていると判断した場合は(ステップS204のN、ステップS211のN)、ステップS213に進む。ステップS213では、CPU36はPOS端末2を両替モードへ移行させて移行動作を終了させるよう制御する。
尚、POS端末2のキャッシャ用表示画面にパスワード入力画面を表示させ、キャッシャのキー入力操作により責任者Noを入力させるようにし、登録された責任者Noが入力された場合のみ入金モード又は両替モードに移行するようにCPU36が制御を行うステップを、ステップS203へ進む直前とステップS204へ進む直前にそれぞれ加えてもよい。
この場合は、不揮発性メモリ41には、入金モード又は両替モードへの移行が許可されている責任者Noを登録するための設定テーブル(不図示)が準備されており、この設定テーブルには入金モード又は両替モードへの移行が許可されている責任者Noのデータが記憶保持される。
CPU36は、上記設定テーブルを読み出して登録されている責任者Noの中に上記パスワード入力画面から入力された責任者Noがあるか検索し、責任者Noがあれば入金モード又は両替モードへの移行を許可すると判断して入金モード又は両替モードへ移行するよう制御する。また、CPU36は、登録されている責任者Noの中に上記パスワード入力画面から入力された責任者Noがなければモード移行を禁止すると判断してモード移行を禁止するよう制御する。
図15は、入金可能な金種別枚数を示した入金パターンを設定するための設定テーブルT7を示した図である。図16は、両替可能な金種別枚数を示した両替パターンを設定するための設定テーブルT8を示した図である。設定テーブルT7、T8は、それぞれパターンNoを入力設定できるようなデータ構造としてあり、複数の入金又は両替パターンを、設定テーブルT7、T8を用いて作成することができる。
具体的には、キャッシャによるキーボード46からのキー入力操作か、あるいは表示画面からのタッチ入力操作により、CPU36の制御の下で、表示装置47に設定テーブルT7、T8を表示させてパターンNo及び設定条件を入力することができる。設定テーブルT7、T8を用いてパターンNo及び設定条件が入力され作成された複数の入金又は両替パターンは、釣銭機設定データ43として不揮発性メモリ41に記憶保持される。
図17は、本実施形態のPOS端末2による入金及び両替の可否判定動作について説明するためのフローチャートである。尚、ここでは既に、POS端末2は入金モード又は両替モードのいずれかのモードへ移行動作を終了し、POS端末2に接続されている自動釣銭機1が動作可能な状態となっていることを前提として説明を行う。
図17に示すように、まずステップS301においてPOS端末2が入金モード又は両替モードに移行する。続いてステップS302では、CPU36は、入金処理の場合は、設定テーブルT4、及び設定テーブルT7を用いて作成された複数の入金パターンデータを読み出し、これらの各入金条件の中から実行させるべき入金条件を示すものを選択する選択画面を表示装置47のキャッシャ用表示画面に表示させるよう制御する。
そして、キャッシャのキー入力操作等により実行させるべき入金条件を示す入金パターン又は設定テーブルT4が選択されると、CPU36は、選択された入金条件と、同時に読み出した在高データ42を比較参照して入金が可能かどうかを判定する。
同様に、CPU36は、両替処理の場合は、設定テーブルT5、及び設定テーブルT8を用いて作成された複数の両替パターンデータを読み出し、これらの各両替条件の中から実行させるべき両替条件を示すものを選択する選択画面を表示装置47のキャッシャ用表示画面に表示させるよう制御する。
そして、キャッシャのキー入力操作等により実行させるべき両替条件を示す両替パターン又は設定テーブルT5が選択されると、CPU36は、選択された両替条件と、同時に読み出した在高データ42を比較参照して両替が可能かどうかを判定する。
上記ステップS302において、CPU36が入金又は両替ができないと判定した場合は(ステップS302N)、ステップS304に進む。ステップS304では、CPU36は、自動釣銭機1に対して、投入された硬貨と同額の硬貨(金種別枚数も同数)を返金するために、硬貨の出金動作が実行されるよう制御指示コマンドを自動釣銭機1に送信して動作を終了する。一方、上記制御指示コマンドを受信した自動釣銭機1のCPU12は、制御指示コマンド通りに返金するための出金動作をするように制御をする。
また、ステップS302において、CPU36が入金又は両替ができると判定した場合は(ステップS302Y)、ステップS303に進む。ステップS303では、CPU36は、自動釣銭機1における入出金動作が実行されるよう制御指示コマンドを、自動釣銭機1に送信して動作を終了する。一方、上記制御指示コマンドを受信した自動釣銭機1のCPU12は、制御指示コマンド通りに入出金動作が実行されるよう制御する。
ところで、本実施形態の自動釣銭機1は、更新された在高データ17と、更新された在高データ17をPOS管理サーバ3へ送信する旨の指示コマンドとを、上記所定のタイミングでPOS端末2へ送信しているため、自動釣銭機1の在高とPOS端末2やPOS管理サーバ3が認識する自動釣銭機の在高とを常に一致させることができる。よって、本実施形態のPOS端末2は、上述した入金及び両替の可否判定をより正しく確実に実行することができる。
図18は、自動釣銭機1の釣銭不足を判断するための金種別の釣銭不足基準枚数を設定するための設定テーブルT9を示した図である。設定テーブルT9は、予め不揮発性メモリ41に準備されている。
そして、キーボード46からのキャッシャによるキー入力操作か、あるいは表示画面からのタッチ入力操作により、CPU36の制御の下で、表示装置47に設定テーブルT9を表示させて金種別の釣銭不足基準枚数を入力することができる。設定テーブルT9を用いて釣銭不足基準枚数が入力されると、設定テーブルT9は、釣銭不足・補充設定データ44として不揮発性メモリ41に記憶保持される。
つまり、本実施形態のPOS端末2は、不揮発性メモリ41に釣銭不足・補充設定データ44として、金種別の釣銭不足基準枚数のデータを記憶保持している。POS端末2のCPU36は、自動釣銭機1の在高データ17が送信されてくる毎に、設定テーブルT9を読み出し、設定されている金種別の釣銭不足基準枚数と、受信した在高データ17の金種別収納枚数とを比較参照するよう制御をする。
そして、CPU36は、受信した在高データ17の金種別収納枚数が釣銭不足基準枚数以下になった場合は釣銭不足と判断し、速やかにキャッシャ用表示画面51において釣銭不足の警告表示を表示させるよう制御する。
図19は、POS端末2の表示装置47のキャッシャ用表示画面51に表示される釣銭不足の警告表示を示した図である。上記釣銭不足の警告表示は、図19に示すように、例えば、表示画面背景に「釣銭が不足しています。」と表示させ、インジケータに「釣銭不足」と表示させるものである。更に、CPU36は、上述の釣銭不足の警告表示を表示させると同時に、表示装置47の客用表示画面において、「他のレジにお廻りください。」というようなお客様誘導表示(不図示)を表示させるよう制御する。
また、上記釣銭不足の警告表示及びお客様誘導表示を閲覧したキャッシャ等が、自動釣銭機1に硬貨を補充した場合には、上述したように、自動釣銭機1に収納されている硬貨の金種別枚数が変動するため、自動釣銭機1は、補充後の硬貨の金種別収納枚数をPOS端末2へ送信する。
これを受信したPOS端末2のCPU36は、受信した在高データ17の金種別収納枚数が釣銭不足基準枚数以下になっていない場合には釣銭不足解消と判断し、速やかに上記釣銭不足の警告表示及びお客様誘導表示を解除するよう制御する。また、CPU36は、釣銭不足と判断した場合と釣銭不足解消と判断した場合のいずれの場合にも、在り高レポートとして最新の在高データ17をPOS管理サーバ3に送信するように制御することもできる。
図20は、自動釣銭機1の釣銭補充を判断するための金種別の釣銭補充基準枚数を設定するための設定テーブルT10を示した図である。設定テーブルT10も設定テーブルT9と同様に、予め不揮発性メモリ41に準備され、キー入力操作等により金種別の釣銭補充基準枚数を入力することができる。釣銭補充基準枚数が入力されると、設定テーブルT10は、釣銭不足・補充設定データ44として不揮発性メモリ41に記憶保持される。
つまり、本実施形態のPOS端末2は、不揮発性メモリ41に釣銭不足・補充設定データ44として、金種別の釣銭補充基準枚数のデータを記憶保持している。POS端末2のCPU36は、自動釣銭機1の在高データ17が送信されてくる毎に、設定テーブルT10を読み出し、金種別の釣銭補充基準枚数と、受信した在高データ17の金種別収納枚数とを比較参照するよう制御をする。そして、CPU36は、受信した在高データ17の金種別収納枚数が釣銭補充基準枚数以下になった場合は釣銭補充と判断し、速やかにキャッシャ用表示画面51において釣銭補充の警告表示を表示させるよう制御する。
図21は、POS端末2の表示装置47のキャッシャ用表示画面51に表示される釣銭補充の警告表示を示した図である。この釣銭補充の警告表示は、図21に示すように、例えば、表示画面背景に「釣銭を補充してください。」と表示させ、インジケータに「釣銭補充」と表示させるものである。更に、CPU36は、上述の釣銭補充の警告表示を表示させると同時に、表示装置47の客用表示画面において、「他のレジにお廻りください。」というようなお客様誘導表示(不図示)を表示させるよう制御する。
また、上記釣銭補充の警告表示及びお客様誘導表示を閲覧したキャッシャ等が、自動釣銭機1に硬貨を補充した場合には、上述したように、自動釣銭機1に収納されている硬貨の金種別枚数が変動するため、自動釣銭機1は、補充後の硬貨の金種別収納枚数をPOS端末2へ送信する。
これを受信したPOS端末2のCPU36は、受信した在高データ17の金種別収納枚数が釣銭補充基準枚数以下になっていない場合には釣銭補充解消と判断し、速やかに上記釣銭補充の警告表示及びお客様誘導表示を解除するよう制御する。また、CPU36は、釣銭補充と判断した場合と釣銭補充解消と判断した場合のいずれの場合にも、在り高レポートとして最新の在高データ17をPOS管理サーバ3に送信するように制御することもできる。
尚、釣銭補充基準枚数は釣銭不足基準枚数よりも少なく設定するのが通常であるため、POS端末2のCPU36は、釣銭補充と判断した場合には同時に釣銭不足と判断することになる。この様な場合、CPU36は、上述の釣銭不足と判断した場合に実行する処理はせずに上述の釣銭補充と判断した場合に実行する処理をする。
[POS管理サーバ3の構成、機能、及び動作]
図22は、本実施形態のPOS管理サーバ3の構成ブロック図である。図22に示す本実施形態のPOS管理サーバ3各部の構成、機能、及び動作について説明する。図22に示すように、POS管理サーバ3は、CPU53、RAM54、ROM55、I/Oポート56、通信I/F57、及び不揮発性メモリ58を有する制御部52を有し、キーボード64、表示装置65、及びプリンタ66を有している。
そして、CPU53は、RAM54、ROM55、I/Oポート56、通信I/F57、及び不揮発性メモリ58と、バス63を介してそれぞれ接続されると共に、バス63及び各インターフェースを介して、キーボード64、表示装置65、及びプリンタ66とそれぞれ電気的に接続されている。
CPU53は、プログラムに従って計算や記憶を行い、制御信号を出力するなど各種処理を行う。RAM54は、各種データの読み書き可能なメモリであり、CPU53にワークエリアを提供する。ROM55は、固定データを記憶する読み出し専用メモリであり、CPU53により実行される制御プログラム等の固定データを記憶する。
I/Oポート56は、CPU53側からバス63を介してPOS管理サーバ3各部へ情報を送り出す出力ポート、及びPOS管理サーバ3各部からバス63を介してCPU53側に情報を取り入れる入力ポートとからなる。通信I/F57は、図1に示したPOS端末2との間でデータ通信をするために機能する。
不揮発性メモリ58は、例えばEEPROMを例示することができ、在高データ59、売り上げデータ60、商品(PLU)データ61、顧客データ62を保有する。売り上げデータ60は、各POS端末2から送信されてくる販売商品の取引により取得された商品販売データが集計されたものである。商品(PLU)データ61は、商品コードで関連付けられた商品名、価格等の商品情報からなるデータである。
顧客データ62は、POS端末2のカードリーダライタ50により顧客カード(会員カードやポイントカード)から読み取られた顧客ID情報等の顧客情報やポイント情報が集計されたものである。POS管理サーバ3は、売り上げデータ60、商品(PLU)データ61、及び顧客データ62を管理し、必要な統計処理や分析を行い、更なる販売促進のために役立てる。
在高データ59は、CPU53が、各自動釣銭機1から(POS端末2、及び通信I/F57を介して)収集した在高データ17である。CPU53は、収集した各在高データ17を、各POS端末2の識別を可能とするためのPOSID情報により関連付けて記憶保持するよう制御する。
上述したように、本実施形態の自動釣銭機1は、更新された在高データ17及び更新された在高データ17をPOS管理サーバ3に送信する旨の指示コマンドを、上記所定のタイミングでPOS端末2へ送信しているため、自動釣銭機1の在高と、POS端末2やPOS管理サーバ3が認識する自動釣銭機1の在高とを常に一致させることができる。
よって、本実施形態のPOS管理サーバ3では、CPU53の制御の下、常にシステム内の各自動釣銭機1の在高を確認することができ、必要に応じて表示装置65の表示画面に在高データ59(収集された在高データ17)を表示させたり、プリンタ66により在高データ59を用紙に印字出力させたりすることができる。また、POS管理サーバ3は、釣銭を補充する必要があるPOS端末2を確認して補充されるように処置することができ、システム全体の釣銭管理を効率的に行うことが可能となる。