JP2008150612A - 二次電池、単量体および重合体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明により、少なくとも正極、負極および電解質を有する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質が、式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体を含むことを特徴とする二次電池が提供される。
本発明により、少なくとも正極、負極および電解質を有する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質が、式(6)で表される重合体を含むことを特徴とする二次電池が提供される。
本発明により、少なくとも正極、負極および電解質を有する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質が、式(7)で表される重合体を含むことを特徴とする二次電池が提供される。
上記二次電池において、前記活物質が、正極活物質であることが好ましい。
上記二次電池が、リチウム二次電池であることが好ましい。
本発明により、式(9)で表される単量体が提供される。
本発明により、式(6)で表される重合体が提供される。
本発明により、式(7)で表される重合体が提供される。
二次電池において電極活物質は電極反応により酸化もしくは還元されるため、電極活物質は出発状態と酸化もしくは還元状態の二つの状態を取る。本発明において、前記活物質は出発状態と酸化もしくは還元された状態の何れかの状態で、式(1)もしくは式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体とすることができる。
本発明における電極の活物質とは、充電反応および放電反応等の電極反応に直接寄与する物質のことであり、電池システムの中心的役割を果たすものである。
本発明では活物質として式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体を用いることができる。
本発明において活物質として用いられる式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体の形状は鎖状、分岐状、網目状であってよい。活物質が電池用電解液に不溶であると、充放電サイクルの安定性が高くなる。この観点から、活物質は高分子化合物であることが好ましく、重量平均分子量が1000以上の高分子化合物であることがより好ましい。また製造のしやすさという観点から重量平均分子量100万以下が好ましい。
具体的には、式(10)で表される重合体は以下の合成ルートで得ることができる。1,3,5−トリブロモベンゼンを出発物質とし、t−ブチルリチウムおよび2−メチル−2−ニトロソプロパンにより3、5−ジ−(N,N−t−ブチルヒドロキシアミノ)ブロモベンゼンとし、さらにt−ブチルジメチルシリルクロリドによりヒドロキシル基を保護し、3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)ブロモベンゼンとする。これにパラジウム触媒を用いてトリブチルビニルスズとスチル(Stille)クロスカップリング反応させビニル基を構築し、3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)スチレンを合成する。これをテトラヒドロフラン中開始剤としてアゾイソブチロニトリルを用いラジカル重合により重合した後、テトラヒドロフラン中テトラブチルアンモニウムフルオライドを用いt−ブチルジメチルシリル基を脱保護し、ポリ(3、5−ジ−(N,N−t−ブチルヒドロキシアミノ)スチレン)する。このポリマーをテトラヒドロフラン中酸化銀により酸化し、式(10)で表される重合体を得る。
また、式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体は以下の方法で得ることができる。式(25)で表される化合物のヒドロキシル基を適当な保護基により保護し、これに薗頭−萩原アセチレンカップリング反応やスチル(Stille)アセチレンカップリング反応などにより式(29)で表される化合物を合成する。遷移金属触媒によりこれのみを単独重合、または他の構造の単量体と共重合し、重合体を得る。使用可能な重合触媒としてはノルボルナジエンロジウム(I)クロリドダイマーなどのロジウム触媒、五塩化タンタルなどのタンタル触媒、六塩化タングステンなどのタングステン触媒などが挙げられる。得られた重合体を脱保護し、式(31)で表される構造単位を分子中に有する重合体とする。これを、トルエン、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中で酸化銀、酸化鉛、酢酸鉛、塩化鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム等の酸化剤により酸化し、式(5)で表される構造単位を有する重合体を得ることができる。
具体的には、式(19)、式(20)で表される重合体は以下の合成ルートで得ることができる。3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)ブロモベンゼンを出発物質とし、薗頭−萩原アセチレンカップリング反応で3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)エチニルベンゼンを合成し、これをノルボルナジエンロジウム(I)クロリドダイマーで重合する。得られたポリマーのt−ブチルジメチルシリル基をテトラブチルアンモニウムフルオライドなどで脱保護したのち、酸化銀、酸化鉛、酢酸鉛、塩化鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム等により酸化する。これにより安定ラジカルを発生させ式(19)で表される重合体を得る。また、同様に、3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)ブロモベンゼンを出発物質とし、薗頭−萩原アセチレンカップリング反応で3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)プロピニルベンゼンを合成し、重合、脱保護、酸化することにより式(20)で表される重合体を得ることができる。
本発明の二次電池において活物質は固体状態であっても、また、電解質へ溶解または分散した状態であってもよい。ただし、固体状態で用いる場合、電解液への溶解による容量低下が少ないため、電解液に対し不溶性または低溶解性のものが好ましい。また、本発明の電池の一つの極において、活物質である式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体は、単独で用いることができるが、二種類以上を組み合わせて用いても良い。また、他の活物質と組み合わせて用いても良い。
前記式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体を用いて電極を形成する場合に、インピーダンスを低下させる目的で、補助導電材やイオン伝導補助材を混合させることもできる。これらの材料としては、補助導電材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子が挙げられ、イオン伝導補助材としては高分子ゲル電解質、高分子固体電解質等が挙げられる。
電極の各構成材料間の結びつきを強めるために、結着剤を用いることもできる。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、各種ポリウレタン等の樹脂バインダーが挙げられる。
電極反応をより円滑に行うために、酸化還元反応を助ける触媒を用いることもできる。このような触媒としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子、ピリジン誘導体、ピロリドン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、アクリジン誘導体等の塩基性化合物、金属イオン錯体等が挙げられる。
負極集電体、正極集電体として、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス、炭素等からなる箔、金属平板、メッシュ状などの形状のものを用いることができる。また、集電体に触媒効果を持たせたり、活物質と集電体とを化学結合させたりしてもよい。一方、上記の正極、および負極が接触しないようにポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質フィルムや不織布などのセパレーターを用いることもできる。
本発明において、電解質は、負極と正極の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、20℃で10-5〜10-1S/cmのイオン伝導性を有していることが好ましい。電解質としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。電解質塩として、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(CF3SO2)3C、Li(C2F5SO2)3C等の従来公知の材料を用いることができる。
本発明において、電池の形状は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。電池形状としては、電極積層体、あるいは巻回体を金属ケース、樹脂ケース、あるいはアルミニウム箔などの金属箔と合成樹脂フィルムからなるラミネートフィルム等によって封止したもの等が挙げられ、円筒型、角型、コイン型、およびシート型等で作製されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
電池の製造方法としては特に限定されず、材料に応じて様々な方法を用いることができる。例えば、活物質に溶剤を加えスラリー状にして電極集電体に塗布し、加熱もしくは常温で溶剤を揮発させたのちに、対極、セパレータを挟んで積層または巻回して外装体で包み、電解液を注入して封止するといった方法である。スラリー化のための溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン等のアミン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素等が挙げられる。
1,3,5−トリブロモベンゼン10gを乾燥エーテル318mlに溶解した。これをドライアイスーメタノール浴にて冷却し、tert−ブチルリチウムを徐々に加えた。冷却浴をとり、室温になるまで放置した後、再びドライアイスーメタノール浴にて冷却し、2−メチル−2−ニトロソプロパン6.7gのエーテル溶液67mlを加えた。冷却浴をとり、室温にした後、10時間攪拌した。塩化アンモニウムを加え反応を終了した後、分液ロートに移し、水洗を3回行った。エーテル層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、エバポレーターにて溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒(ヘキサン/酢酸エチル=1/3(体積比))を溶出液としたフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカラム)により分離精製し、3、5−ジ−(N−t−ブチルヒドロキシアミノ)ブロモベンゼンを1.78g得た。
ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン](式(A)で表される化合物)300mg、グラファイト粉末600mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢を用い10分間混練することにより乾式混合した。なお、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]の分子量をGPCにより測定した結果、重量平均分子量は820(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.12だった。得られた混合体を、圧力を掛けてローラー延伸することにより薄膜とした。これを、真空中80℃で一晩乾燥した後、直径12mmの円形に打ち抜き、コイン電池用電極を成型した。なお、この正極の質量は18.1mgだった。
ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン](式(A)で表される化合物)の粉末600mg、アセチレンブラック粉末225mg、人造黒鉛粉末548mg、スチレン・ブタジエンラテックス粉末の40重量%水溶液160mg、メチルセルロースの2重量%溶液3.19g、水1.5mlを混ぜ合わせ、さらにホモジナイザーを用い均一化することによりスラリーを得た。スラリー15mgをドクターブレード法によりアルミニウム箔表面において薄膜とした。これを直径12mmの円形に打ち抜き電極とした。得られた電極を電解液に浸して、電極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、1mol/lのLiN(C2F5SO2)2を含有するエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(混合体積比3:7)を用いた。電解液を含浸させた電極上に、その上に同じく電解液を含浸させたポリプロピレン多孔質フィルムセパレータを積層した。さらに負極となるリチウム金属板を積層し、絶縁パッキンで被覆された銅箔(負極集電体)を重ね合わせた。こうして作られた積層体をかしめ機によって圧力を加えることにより、密閉型のコイン型電池とした。
実施例1と同様にして、ただし、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]の代わりに、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)−α−メチルスチレン](式(B)で表される重合体)を用いて、コイン電池を作製した。このコイン電池の正極の質量は20.2mgであった。なお、用いたポリ(3,5−ジ−t−ブチルニトロキシル−α−メチルスチレン)の数平均分子量は、1280(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.32だった。
実施例1と同様にして、ただし、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]の代わりに、ポリ[3,5−ジ−(N−t−トリフルオロメタンニトロキシル)スチレン](式(C)で表される重合体)を用いて、コイン電池を作製した。このコイン電池の正極の質量は20.4mgであった。なお、用いたポリ[3,5−ジ−(N−t−トリフルオロメタンニトロキシル)スチレン]の数平均分子量は、930(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.24だった。
実施例1と同様にして、ただし、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]の代わりに、ポリ[3,5−ジ−(N−p−メトキシフェニルニトロキシル)スチレン](式(D)で表される重合体)を用いて、コイン電池を作製した。このコイン電池の正極の質量は22mgであった。なお、用いたポリ[3,5−ジ−(N−p−メトキシフェニルニトロキシル)スチレン]の重量平均分子量は、7800(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.85だった。
実施例1と同様にして、ただし、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]の代わりに、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)エチニルベンゼン](式(E)で表される重合体)を用いて、コイン電池を作製した。このコイン電池の正極の質量は19.6mgであった。なお、用いたポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)エチニルベンゼン]の重量平均分子量は、802000(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.74だった。
実施例1と同様にして、ただし、ポリ[3,5−(N−tブチルニトロキシル)スチレン]の代わりに、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン−alt−無水マレイン酸](式(F)で表される重合体)を用いて、コイン電池を作製した。このコイン電池の正極の質量は19.1mgであった。なお、用いたポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン−alt−無水マレイン酸]の重量平均分子量は、24000(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は2.35だった。
実施例1と同様にして、ただし、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]の代わりに、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン−co−アクリロニトリル)(共重合比3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン/アクリロニトリル=3/1)(式(G)で表される重合体)を用いて、コイン電池を作製した。このコイン電池の正極の質量は19.1mgであった。なお、用いたポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン−co−アクリロニトリル)の重量平均分子量は、42000(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は2.12だった。
実施例1と同様な方法で、ただしポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]を用いず、代わりにグラファイト粉末を1.8gに増やして、コイン電池を作成した。さらに、作製した電池に対して、実施例1と同様にして充放電を行った。その結果、放電時に電圧平坦部はみられず電圧は急速に低下し、電池として十分に動作しなかった。
実施例1と同様な方法で、ただしポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]を用いず、代わりにLiCoO2を0.3g用いて、コイン電池を作製した。作製した電池に対して、実施例1と同様にして50回充放電を繰り返した。その結果、活物質あたりの容量を計算したところ、94mAh/gであった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は87%だった。
2 絶縁パッキン
3 負極
4 セパレータ
5 正極
6 正極集電体
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