JP2008150400A - ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリアミド樹脂の成形性、耐薬品性等と高温下での寸法安定性とを高度に連立させた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂100質量部と、酸溶媒で湿式処理され、不活性ガス雰囲気中で25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率が1〜20質量%であるカーボン粒子0.5〜20質量部と、膨潤性の層状ケイ酸塩0.5〜10質量部とを含有する。このポリアミド樹脂組成物は、ポリアミドモノマー100質量部と、酸溶媒で湿式処理され、不活性ガス雰囲気中で25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率が1〜20質量%であるカーボン粒子0.5〜20質量部と、膨潤性の層状ケイ酸塩0.5〜10質量部とを共存させた状態で、前記ポリアミドモノマーを重合させることにより得られる。
【選択図】なし

Description

本発明はポリアミド樹脂組成物およびその製造方法に関する。
例えば自動車の分野においては、車両本体の軽量化の要望に対応するために、金属部品の樹脂化が進められている。各種の樹脂のうちで、ポリアミド樹脂は、高温下での剛性や成形性等に優れるため、エンジンルーム内での使用にも耐える素材である。しかし、金属と比較すると、成形の自由度や軽量性等には優れるものの、長期間の高温下における樹脂の劣化に伴う機械物性の低下や、寸法変化のため、使用できる範囲に制限を受ける。この問題に対処するために、ベースとなるポリアミド樹脂を改良したり、寸歩変化を抑える各種充填材や添加剤を配合したりすることにより、これらポリアミド樹脂の欠点を改良することが提案されている。
以下に代表的な提案例を示す。特許文献1には、ベースとなるポリアミド樹脂に、低吸水性のポリフェニレンエーテルを配合すること、さらには剛性アップのためトリアジン系化合物誘導体を層間に取り込んだ層状ケイ酸塩を配合することが記載されている。特許文献2には、ポリアミド樹脂にポリオレフィン系樹脂を配合し、フィラーとしてタルクを配合することが提案されている。この特許文献2のものは、吸水時に寸法変化を起こしやすいポリアミド樹脂に、他の吸水しにくい樹脂を配合することにより、樹脂全体を低吸水化させ、加えて高剛性化を目的として無機フィラーやタルクを配合するということが骨子となっている。
別のアプローチとして、特許文献3では、成形体の内部に発泡部分を持たせることにより、寸法安定性を持たせようとする試みがなされている。低寸法変化に加えて、導電性をも付与するため、特許文献4には、ポリアミド66に、シランカップリング剤で表面処理したマイカ粉末と、カーボンブラックとを配合したものが記載されており、また特許文献5には、酸化亜鉛ウィスカと板状フィラーに加えて、炭素繊維を含有させた樹脂組成物が記載されている。
しかし、自動車のエンジンカバーのように成形体の形状が複雑になり、同時に大形化が進んできたものでは、樹脂組成物の収縮に少しでも異方性があると、例えば、経時変化により成形体に反りが発生するという現象が見られるようになってきている。従来用いられていた無機フィラーは、ポリアミド樹脂にとっては結晶核剤にもなり得るため、成形体中でのこれらの配向が、ポリアミド樹脂の収縮異方性を生み出していると考えられる。つまり、これまでのような樹脂組成物の線膨張係数を下げるといった基本物性の向上だけでは、これらの問題に対処できなくなっている。
特開2001−49117号公報 特開2002−69297号公報 特開2002−96348号公報 特開平4−323262号公報 特開平5−117447号公報
本発明は、前記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、ポリアミド樹脂の耐薬品性等と、成形性および高温下での寸法安定性とを高度に連立させた樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、特定形態のカーボン粒子と層状ケイ酸塩とを共存させた状態でポリアミドを重合させて得られる樹脂組成物が、ポリアミド樹脂の耐薬品性と、成形性および高温下での寸法安定性とを兼備することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂100質量部と、酸溶媒で湿式処理され、不活性ガス雰囲気中で25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率が1〜20質量%であるカーボン粒子0.5〜20質量部と、膨潤性の層状ケイ酸塩0.5〜10質量部とを含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)ポリアミド樹脂がポリアミド6またはポリアミド66であることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂組成物。
(3)カーボン粒子が、天然黒鉛、カーボンブラック、ケッチェンブラックの少なくともいずれかであることを特徴とする(1)または(2)のポリアミド樹脂組成物。
(4)層状ケイ酸塩が、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母系粘土鉱物の少なくともいずれかであることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかのポリアミド樹脂組成物。
(5)ポリアミドモノマー100質量部と、酸溶媒で湿式処理され、不活性ガス雰囲気中で25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率が1〜20質量%であるカーボン粒子0.5〜20質量部と、膨潤性の層状ケイ酸塩0.5〜10質量部とを共存させた状態で、前記ポリアミドモノマーを重合させることを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(6)ポリアミドモノマーとして、ε−カプロラクタムを用いるか、または、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の混合物を用いることを特徴とする(5)のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(7)カーボン粒子として、天然黒鉛、カーボンブラック、ケッチェンブラックの少なくともいずれかを用いることを特徴とする(5)または(6)のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(8)層状ケイ酸塩として、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母系粘土鉱物の少なくともいずれかを用いることを特徴とする(5)から(7)までのいずれかのポリアミド樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、ポリアミド樹脂に、特殊な処理を施した特定のカーボン粒子を含有させるとともに、膨潤性の層状ケイ酸塩を含有させたものであるため、ポリアミド樹脂が本来有している耐薬品性等と、成形性および高熱下での寸法安定性とを高度に連立させた樹脂組成物を得ることができる。よって、本発明のポリアミド樹脂組成物は、成形性および高温下での寸法安定性と、ポリアミドが本来有している耐薬品性等とのバランスに優れ、高温下でも寸法安定性を必要とする自動車部品などの分野に利用できるものである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂100質量部と、酸溶媒で湿式処理され、不活性ガス雰囲気中で25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率が1〜20質量%であるカーボン粒子0.5〜20質量部と、膨潤性の層状ケイ酸塩0.5〜10質量部とを含有するものである。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、ポリアミドモノマー100質量部と、酸溶媒で湿式処理され、不活性ガス雰囲気中で25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率が1〜20質量%であるカーボン粒子0.5〜20質量部と、膨潤性の層状ケイ酸塩0.5〜10質量部とを共存させた状態で、前記ポリアミドモノマーを重合させるものである。
モノマーは、重縮合してアミド結合を生じることにより、ポリアミド樹脂を形成するものであればよく、一般に、(i)環状モノマーの中にアミド結合が存在し、水等の開始剤で開環させて、ポリアミドポリマーとする場合と、(ii)分子内にアミド基を2個有するモノマーと、同様に分子内にカルボキシル基を2個有するモノマーとを実質的に等モル量配合し、高温下でアミド結合を生じさせてポリアミドポリマーとする場合とがある。
例えば、ポリアミド6の場合は、環状モノマーであるε−カプロラクタム(以下、「ε−CL」と略称する)と少量の水の混合物を、240℃程度まで温度を上げることにより開環重合する。これによって、ポリアミド6が得られる。なお、ε−CLを予め開環させたアミノカプロン酸を重縮合させる方法も用いることができる。この場合は、少量の酸を添加することにより、重合度や重合速度をコントロールすることができる。これ以外には、ω−ラウロラクタムや12−アミノドデカン酸からポリアミド12を得ることができ、これも本発明に用いることができる。
ポリアミド66の場合は、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸を実質的に等モル量混合し、280℃まで温度を上げることにより、重縮合して、ポリアミド66が得られる。モノマーを変えて、ポリアミド46、ポリアミド612や、成分中に芳香族を導入した芳香族ポリアミド等も本発明に適用することができる。
本発明で用いるカーボン粒子は、人造黒鉛でも天然黒鉛でもよく、物質中にグラフェンシートの積層体がある程度発達したものであることが好ましい。本発明によれば、このグラフェンシートの積層体の層間に酸イオンを挿入させることがポイントである。このようなカーボン粒子として、具体的には、天然の鱗状黒鉛や塊状黒鉛、膨張黒鉛、キッシュ黒鉛賀例示され、人造黒鉛では、カーボンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ等が例示される。これらを混合して用いることもできる。
カーボン粒子の層間へ酸イオンを挿入方させる方法としては、97%硫酸や94%硝酸あるいはその混合物と、カーボン粒子とを、室温で混合撹拌し、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄した後、通常、約100℃で24時間以上真空乾燥させる。この場合、使用される酸は、カーボン粒子に対して酸化力のあるものであればよく、硫酸、硝酸、過マンガン酸カリウム、りん酸、塩酸、酢酸などの無機酸、また有機酸を、単品もしくは混合物として使用することができる。
それ以外の酸イオンの挿入方法として、電解法を用いることもできる。これは、一方の電極に目的のカーボン粒子を付着させて、酸溶媒中で電気を流すことにより、カーボン粒子の黒鉛層間に酸イオンを挿入させるものである。
本発明においては、グラフェンシートの層間に酸イオンを挿入されたカーボン粒子を用いるが、このようなカーボン粒子を用いることで、例えばポリアミド樹脂がポリアミド6である場合は、グラフェンシート中に存在する酸イオンがε−CLの重合開始剤となり、グラフェンシート間でε−CLが重合するため、グラフェンシートがへき開して、ポリアミド6中へのカーボン粒子の分散性が向上する。このとき、酸イオンの挿入量が多くなるほど、カーボン粒子の分散性がより進行する。逆に、その挿入量が少くなるほど、カーボン粒子の分散性が低くなる。
カーボン粒子のグラフェンシートの層間に挿入した酸イオン量は、窒素等の不活性ガス流通下で、25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率を測定することにより、知ることができる。本発明で用いることができるのは、この質量減少率が1〜20質量%のカーボン粒子である。質量減少率が1質量%より少ない場合は、得られる樹脂組成物の反り低減効果が期待できない。質量減少率が20質量%を超えるカーボン粒子を作製することは、本発明では現実的でない。
樹脂組成物におけるカーボン粒子の含有率は、ポリアミド樹脂100質量部に対して0.5〜20質量部である。カーボン粒子の含有率が0.5質量部よりも少ない場合は、得られる樹脂組成物の反り低減効果が期待できない。反対にカーボン粒子の含有率が20質量部を超えると、モノマーの重合が阻害されるため、ポリマーを得ることができない。
本発明においてはカーボン粒子の平均粒径に制限はなく、例えばケッチェンブラックなどの数百ナノメートルのものから、天然鱗状黒鉛などの数百マイクロメートルのものを使用することができる。
本発明における膨潤性の層状ケイ酸塩は、モンモリロナイトやスメクタイト、膨潤性フッ素雲母系鉱物などの、いわゆる膨潤性粘土鉱物がよい。これらを混合して用いることもできる。また、これらの層状ケイ酸塩に対し、あらかじめアミノシランカップリング剤などで表面を処理したものや、層間に4級アンモニウム塩等をイオン交換させて挿入させたものを用いてもよい。膨潤性層状ケイ酸塩の配合量は、0.5〜10質量部であることが必要である。膨潤性層状ケイ酸塩の配合量が0.5質量部未満の場合は、得られる樹脂組成物における実質的な反り低減効果が期待できない。膨潤性層状ケイ酸塩の配合量が10質量部を超えると、ポリマーがゲル化して、樹脂組成物を得ることができない。
本発明においては、層状ケイ酸塩の平均粒径に制限はない。一般に市場で入手可能な数百ナノメートルから数十マイクロメートルのものを使用することができる。
前記特許文献4や特許文献5に示された発明と本発明とが異なる点は、得られた樹脂組成物中でのカーボン粒子や層状ケイ酸塩の存在状態にある。特許文献4や特許文献5のものでは単に溶融混錬しているだけであるのに対して、本発明は、ポリマーとなる以前のポリアミドモノマーに、これらカーボン粒子や層状ケイ酸塩を共存させて、ポリアミドモノマーを重合させている。さらには、層状ケイ酸塩を膨潤性のものとし、カーボン粒子には、その層間が予め酸溶媒で湿式処理されたものを用いている。そのため、これらは樹脂中の分散性がよく、得られた樹脂組成物の反りの低減効果が高くなる。
以下に、本発明を実施例にもとづいて詳しく説明する。
カーボン粒子の酸溶媒での湿式処理は、表1に示した内容でおこなった。その詳細は次のとおりである。なお、以下のK−1〜K−3のカーボン粒子について、不活性ガス雰囲気中で25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率を測定するときに使用した不活性ガスは、窒素であった。
K−1:天然鱗状黒鉛5g(日本黒鉛社製、平均粒径380μm)を、97%硫酸200ミリリットルと94%硝酸100ミリリットルとの混合溶媒に投入し、室温で20分間混合撹拌させた。その後、大量の純水を洗浄液としてその内部に投入し、洗浄作業をおこなった。この洗浄作業は、洗浄液のpHが6〜7となるまで繰り返しおこなった。次いで、80℃×24hの熱風乾燥をおこない、その後、80℃×48hの真空乾燥を実施した。これによってカーボン粒子K−1が得られた。このカーボン粒子K−1は、不活性ガス雰囲気中で25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率が15.0質量%であった。
K−2:原料カーボン粒子として人造のカーボンブラック(東海カーボン社製、品番#3800)を用いた。それ以外は、K−1と同様にして、カーボン粒子K−2を作製した。得られたカーボン粒子K−2の質量減少率は6.1質量%であった。
K−3:酸溶媒を、10%硫酸200ミリリットルと25%硝酸100ミリリットルとの混合溶液に変更した。それ以外はK−1と同様にして、カーボン粒子K−3を作製した。得られたカーボン粒子K−3の質量減少率は0.5質量%であった。
Figure 2008150400
以下の実施例、比較例において、膨潤性の層状ケイ酸塩には、膨潤性の合成フッ素雲母と、モンモリロナイトとを用いた。後述する比較例8、比較例9では、比較のために、本発明において必須の膨潤性の層状ケイ酸塩に代えて、非膨潤性の層状ケイ酸塩としてのタルクを用いた。
ポリアミドモノマーとしては、重合してポリアミド6となるε−CLと、重合してポリアミド12になる12−アミノドデカン酸と、重合してポリアミド66となるヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸とを用いた。また比較例9では、比較のために、本発明において必須であるポリアミドモノマーに代えて、重合後のポリアミド6を用いた。
反りの測定は、得られた樹脂組成物をφ100mm×t1.6mmの円板状に射出成形してサンプルとした。そして、得られたサンプルとしての円板を平坦な水平方向の板の上に静置し、円板において水平方向の板から垂直方向に反っている最大点の高さを測定し、成形体すなわち円板の厚み1.6mmとの差を求めることによりおこなった。反りの測定は2段階でおこなった。すなわち、まず、射出成形後、25℃×湿度50%下に24h放置した後に、第1回目の反りの測定をおこなった。この時の値を、「成形後の反り」とした。さらに、このサンプルを120℃中に48h放置した後、再度、同様にして反りを測定した。この時の値を「熱処理後の反り」とした。
成形性の評価は、以下のようにして行った。すなわち、実施例1〜5、比較例1、4、5、8、9においては、東芝機械社製のEC100型成形機を用い、成形温度260℃、金型温度80℃、射出および保圧時間10秒、冷却時間15秒の条件で、上記の反り測定用の円板を20枚成形した。そのときに20枚全部が金型から正常に離型した場合を成形性良好(○)と評価した。金型から正常に離型した本数が19枚以下の場合は、成形性不良(×)と評価した。
実施例6、比較例2においては、成形温度を220℃、金型温度を70℃に変えた。それ以外の成形条件は上記の通りとして評価した。
実施例7、比較例3においては、成形温度を290℃、金型温度を100℃に変えた。それ以外の成形条件は上記の通りとして評価した。
層状珪酸塩量の測定は、樹脂組成物を空気中において500℃×3時間で焼成して、ポリアミドおよびカーボンを除去することにより行った。
カーボン粒子量は、樹脂組成物を6N塩酸中で還流させてポリマーを除去し、カーボン粒子量と層状珪酸塩量の合計量を求め、この合計量から層状計算塩量を減じることにより算出した。
実施例1
ε−CLを100質量部、K−1を8質量部、膨潤性フッ素雲母を3質量部、さらに純水を10質量部準備して、これらをオートクレーブに投入し、窒素置換後、液温を260℃まで上昇させて、ε−CLを重合させた。次いで、得られた重合物中の未反応モノマーを熱水中で抽出して除去し、その後、乾燥させて、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の反りの測定を、前記の方法によりおこなった。その結果を表2に示す。
実施例2
K−1の配合割合を15質量部とした。それ以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、反りを測定した。その結果を表2に示す。
実施例3
膨潤性フッ素雲母の配合量を7質量部とした。それ以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、反り測定した。その結果を表2に示す。
実施例4
膨潤性の層状ケイ酸塩としてモンモリロナイトを用いた。それ以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、反りを測定した。その結果を表2に示す。
実施例5
カーボン粒子としてK−2を用いた。それ以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、反りを測定した。その結果を表2に示す。
実施例6
ポリアミドモノマーとして、12−アミノドデカン酸を用いた。熱水中での抽出は行わなかった。それ以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、反りを測定した。その結果を表2に示す。
実施例7
ポリアミドモノマーとして、ヘキサメチレンジアミン44質量部と、アジピン酸56質量部(実質的にヘキサメチレンジアミンと等量)とを用いた。熱水中での抽出は行わなかった。それ以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、反りを測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2008150400
実施例1〜実施例7の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、酸溶媒で湿式処理され、不活性ガス雰囲気中で25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率が1〜20質量%であるカーボン粒子0.5〜20質量部と、膨潤性の層状ケイ酸塩0.5〜10質量部とを含有したものであったため、成形性が良好であるとともに、成形後の反り、熱処理後の反りともに小さく、高温下での寸法安定性に優れたものであった。このような特性は、本発明にもとづき、ポリアミドモノマーの重合時に、カーボン粒子と膨潤性の層状ケイ酸塩とを共存させていることにより表れたものであった。
比較例1
カーボン粒子を用いなかった。それ以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、反りを測定した。その結果を表3に示す。カーボン粒子を用いた実施例1と比較すると、成形性は同様に良好であったが、成形後の反りおよび特に熱処理後の反りが大きかった。
比較例2
カーボン粒子を用いなかった。それ以外は実施例6と同様にして樹脂組成物を作製し、反りを測定した。その結果を表3に示す。カーボン粒子を用いた実施例6と比較すると、成形性は同様に良好であったが、成形後の反りおよび特に熱処理後の反りが大きかった。
比較例3
カーボン粒子を用いなかった。それ以外は実施例7と同様にして樹脂組成物を作製し、反りを測定した。その結果を表3に示す。カーボン粒子を用いた実施例7と比較すると、成形性は同様に良好であったが、成形後の反りおよび特に熱処理後の反りが大きかった。
比較例4
膨潤性の層状ケイ酸塩を用いなかった。それ以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、反りを測定した。その結果を表3に示す。膨潤性の層状ケイ酸塩を用いた実施例1と比較すると、成形性は同様に良好であったが、成形後の反りおよび特に熱処理後の反りが大きかった。
比較例5
カーボン粒子としてK−3を用いた。それ以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、反りを測定した。その結果を表3に示す。カーボン粒子としてK−1を用いた実施例1と比較して、カーボン粒子(天然鱗状黒鉛)中の酸イオン量(不活性ガス雰囲気中で25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率)が少なかったので、得られた樹脂組成物は、成形性が不良であるばかりか、成形後の反りおよび特に熱処理後の反りが大きかった。
比較例6
K−1の配合割合を、本発明の範囲を超えた30質量部とした。それ以外は実施例1と同様にして、表3に示した各成分をオートクレーブに投入し、窒素置換後、液温を260℃まで上昇させた。しかし、ε−CLの重合度が低くポリマーとして回収できなかった。
比較例7
膨潤性フッ素雲母の配合割合を、本発明の範囲を超えた20質量部とした。それ以外は実施例1と同様にして、表3に示した各成分をオートクレーブに投入し、窒素置換後、液温を260℃まで上昇させた。しかし、ポリマーがゲル化し、樹脂組成物として回収できなかった。
比較例8
膨潤性の層状ケイ酸塩に代えて、非膨潤性の層状ケイ酸塩であるタルクを用いた。それ以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、反りを測定した。その結果を表3に示す。膨潤性の層状ケイ酸塩を用いた実施例1と比較すると、成形性が不良であるばかりか、成形後の反りおよび特に熱処理後の反りが大きかった。
比較例9
ポリアミドモノマーではなく、ポリアミド6ポリマーを用いて、表3に示した各成分を溶融混錬し、樹脂組成物を作製した。ポリアミドモノマーを用いた実施例1と比較すると、成形性が不良であるばかりか、成形後の反りと熱処理後の反りが大きかった。
Figure 2008150400

Claims (8)

  1. ポリアミド樹脂100質量部と、酸溶媒で湿式処理され、不活性ガス雰囲気中で25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率が1〜20質量%であるカーボン粒子0.5〜20質量部と、膨潤性の層状ケイ酸塩0.5〜10質量部とを含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. ポリアミド樹脂がポリアミド6またはポリアミド66であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. カーボン粒子が、天然黒鉛、カーボンブラック、ケッチェンブラックの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 層状ケイ酸塩が、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母系粘土鉱物の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. ポリアミドモノマー100質量部と、酸溶媒で湿式処理され、不活性ガス雰囲気中で25℃から600℃まで昇温させたときの質量減少率が1〜20質量%であるカーボン粒子0.5〜20質量部と、膨潤性の層状ケイ酸塩0.5〜10質量部とを共存させた状態で、前記ポリアミドモノマーを重合させることを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  6. ポリアミドモノマーとして、ε−カプロラクタムを用いるか、または、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の混合物を用いることを特徴とする請求項5記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  7. カーボン粒子として、天然黒鉛、カーボンブラック、ケッチェンブラックの少なくともいずれかを用いることを特徴とする請求項5または6記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  8. 層状ケイ酸塩として、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母系粘土鉱物の少なくともいずれかを用いることを特徴とする請求項5から7までのいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
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