JP2008146286A - 撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデル、撚り線ワイヤの加工方法、及び撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーション方法 - Google Patents

撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデル、撚り線ワイヤの加工方法、及び撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーション方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の素線からなる線状部材の成形シミュレーションにおいて、成形条件が見つけ易く成形品形状も安定化し、安定した収束性を得ながら短時間で計算を終了させる。
【解決手段】撚り線ワイヤ13の外周面を包絡して形成した断面が円20であって、この断面をその図心Oを通る区画線21a,21bで4つに区切って4つの区画部22〜25を形成し、この4つの区画部22〜25のそれぞれに異なるポアソン比を与え、かつ断面を軸方向に延長して1本の線状部材の解析モデル13を形成する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、複数の素線を撚り合わせて形成される撚り線ワイヤを曲げ又は捩って形状を成形する際の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデル、撚り線ワイヤの加工方法、及び撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーション方法に関する。
医療機器の1つである内視鏡処置具の高周波スネア、バスケット型回収鉗子等の成形品を成形するには、複数の金属線(素線)を撚り合わせて構成される撚り線ワイヤを、手作業により所定の形状にフォーミング(成形)する方法が一般的に行われている。
一方、この種の内視鏡処置具は、市場の拡大により生産数の増大が見込まれているため、大量生産が要請されているが、この場合、例えば成形用の金型を利用しながらの自動化設備が必要になってくる。
しかし、自動化設備を製作しても、その後、成形品形状を安定化するための成形条件を模索しながら成形品を試作、評価するためには多大な時間と費用を要する。これに対し、成形条件の模索には、シミュレーション技術を利用するのが有効である。
例えば、撚り線ワイヤのフォーミング過程のシミュレーションでは、一般には、撚り線ワイヤを構成する各素線の構造、境界条件を厳密にモデル化する。しかし、厳密に撚り線ワイヤの挙動をモデル化するために、要素数、接触部位の組み合わせが増加するので、膨大な計算時間(例えば5日程度)を要している。
これを解決すべく、例えば、シミュレーションモデルを簡略化する方法として、自動車部品に用いられるワイヤハーネスの変形挙動を精度良く予測するシミュレーション方法が知られている(特許文献1参照)。この特許文献1では、梁要素を用いて変形挙動が予測できるようにワイヤをモデル化して、計算時間を短縮化している。
特開2004−362542号公報
しかし、特許文献1では、成形に用いられる金型やその他の部材及びワイヤ同士の接触を定義することはできない。また、ワイヤ自体の塑性変形を考慮できない等の問題がある。このため、いわゆるバルクフォーミング(型成形)による変形挙動を精度良くシミュレートするのは困難であった。
一方、内視鏡処置具のように金型を利用しながら撚り線ワイヤを変形させて成形品の形状を成形する場合、撚り線ワイヤを構成する各素線の構造及びその内部の接触の問題により、シミュレーションでの解の収束性が悪くなり、計算はできても短時間で終了しないという課題があった。
本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、撚り線ワイヤのような複数の素線からなる線状部材の成形シミュレーションにおいて、その挙動を精度良く安定した収束性を得ながら短時間で計算を終了させることができる撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデル、撚り線ワイヤの加工方法、及び撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーション方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1に係る撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデルの発明は、
撚り線ワイヤの外周面を包絡して形成した断面が円であって、前記断面をその図心を通る区画線で少なくとも2つに区切って複数の区画部を形成し、該複数の区画部の少なくとも2つに異なる材料物性値を与え、かつ前記断面を軸方向に延長して1本の線状部材の解析モデルを形成したことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデルにおいて、
前記断面を軸方向に延長し、かつ前記図心を中心としてスパイラル状に捩ったことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデルにおいて、
前記複数の区画部はそれぞれ等分に分割されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデル。
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデルにおいて、
前記複数の区画部はそれぞれ非等分に分割されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデルにおいて、
前記断面の図心を通る鉛直線に対して材料物性値が左右非線対称となるように、前記複数の区画部の少なくとも2つに異なる材料物性値を与えたことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデルにおいて、
前記材料物性値としてポアソン比を用いたことを特徴とする。
請求項7に係る撚り線ワイヤの加工方法の発明は、
請求項1〜6に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデルを用い、得られた加工条件で撚り線ワイヤの型成形を行うことを特徴とする。
請求項8に係る撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーション方法の発明は、
請求項1〜6に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデルを用い、コンピュータにより変形挙動解析することを特徴とする。
本発明によれば、撚り線ワイヤのような複数の素線からなる線状部材の成形シミュレーションあるいは加工において、その挙動を精度良く安定した収束性を得ながら短時間で計算を終了させることができる。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
(撚り線ワイヤの実際の変形)
図1は、シミュレーションではなく、実際に行う撚り線ワイヤのV曲げ実験に用いる成
形装置の構成を示す図である。
この成形装置は、角度αが90°又は45°のV字形の凸部11aを有する上型11と
、上型11の凸部11aに嵌合可能に対向配置されV字形の凹部12aを有する下型12
とを有している。なお、この成形装置は、上型11の凸部11aの頂部が下型12上に載置した直線状の撚り線ワイヤ13に当接した後に、下型12の凹部12aに対する撚り線ワイヤ13の押し下げ量(すなわち、上型11のストローク量)を変化させることができるようになっている。そして、この上型11と下型12との間に撚り線ワイヤ13を挟み込み、下型12に対して上型11を接近移動させる。
下型12に対して上型11を接近移動させると、図2のように、撚り線ワイヤ13の長手方向の中途部にV字部13aが形成される。その後、この撚り線ワイヤ13を、不図示
の別の成形型によりV字部13aを中心として、左右略対称にループ状の湾曲部を形成す
るように折り曲げる。
図3は、この撚り線ワイヤ13を用いて製造された内視鏡処置具の一例としての高周波スネア15を示している。この高周波スネア15は、V字部13aを先端側とし、ループ
状の湾曲部Aが形成された撚り線ワイヤ13がチューブ14に出退自在に挿通されている。このループ状の湾曲部Aの横幅(出退方向と略直交する方向)は、V字部13aの弾発
力により確保されることになる。
図4は、撚り線ワイヤ13の断面図を示している。この撚り線ワイヤ13は、中央側の1個の素線束(「ストランド」ともいう)130と、その周囲の6個の素線束130と、の全部で7個の素線束130を撚りあわせて形成されている。また、中央側の1個の素線束130と周囲の6個の素線束130との間には、6個の空孔140が形成されている。
図5は、1個の素線束130の拡大図を示している。すなわち、素線束130は、中央側の1本の素線(芯線)131と、その周囲の6本の素線131と、の全部で7本の素線131を撚りあわせて形成されている。このように高周波スネア15として、撚り線ワイヤ13を用いたのは、特にループ状の湾曲部Aがしなやかに弾性変形してほしいからである。これに対し、撚り線ワイヤ13に代えて1本の単線を用いた場合は、この湾曲部Aが変形しにくくなるからである。
(シミュレーションモデルの作成)
図6〜図10は、本実施形態のシミュレーションモデルの作成工程を示す。本実施形態では、シミュレーションモデルを医療用の処置具(例えば高周波スネア)に適用する場合について説明する。
図6は、スパイラル状に捩られた一般的な撚り線ワイヤモデル13’の外観を示している。このように、撚り線ワイヤモデル13’を7本の素線束130'で構成し、実際の撚り線ワイヤに近づけるように忠実に再現しようとすると、CADの操作も熟練を要し、モデルを構築するにも相当の時間を要する。
このため、本実施形態では、撚り線ワイヤの微細構造を忠実にモデル化することなく、簡略化したモデルでありながら、実際の撚り線ワイヤ13を成形(フォーミング)したときの捩れ、回転、平面度を必要十分な精度で計算できるようにした。
すなわち、本実施形態では、図7に示すように、第1工程において、シミュレーションモデルの対象となる実際の撚り線ワイヤ13の外周面を包絡し、断面が円20の包絡線を形成する。この包絡線で形成された円20を包絡線形成円という。
第2工程では、図8に示すように、この円(包絡線形成円、以下では円という)20の2次元断面(XY平面)をその図心Oを通る区画線21a,21bで少なくとも2つ(本実施形態では4つ)に区切って各区画部22〜25を形成する。本実施形態では、この区画部22〜25をそれぞれ等分に分割した。但し、これに限らず、例えば区画部の大きさを変えるように中心角を異ならせて非等分に分割しても良い。更に、分割された各区画部22〜25に異なる材料物性値を入力する。この材料物性値としては、後述するように、ポアソン比を用いた。
次に、図9に示すように、この円20の2次元断面(XY平面)を、実験に用いる撚り線材料と同等の長さに軸方向(Z方向)に延長して、第1解析モデルとなる1本の線状部材113'を形成する。なお、この状態の線状部材113'も、後述する図18に示すように解析モデル113’(3次元モデル)となり得るが、ここでは説明を省略する。
第3工程では、図10に示すように、円20の2次元断面(XY平面)を軸方向(Z方向)に延長して形成した1本の線状部材113'(図9参照)を、実際の撚り線ワイヤの撚りピッチと同じピッチで図心Oを中心としてスパイラル状に捩って、第2解析モデルとなる解析モデル113(3次元モデル)を形成する。
そして、この解析モデル113の各区画部22〜25(図8参照)に、異なる材料物性値をスパイラル状に配置する。なお、この場合、円20の断面を軸方向に延長してスパイラル状に捩ることと、各区画部22〜25ごとに異なる材料物性値を入力することとを同時に行っても良い。
更に、この異なる材料物性値に関しては、一般的な材料物性値であるヤング率E(ここでは固定値とする)とポアソン比ν(ヤング率Eと横弾性係数Gから算出する)を、実際の撚り線ワイヤのV曲げによる実験結果と一致するように、その補正値を入力する。
次に、上記で作成した1本の線状の解析モデル113を用い、シミュレーションによる90°のV曲げを実施した。すなわち、図11に示すように、角度が90°のV字状に形成された上型111と下型112との間に、スパイラル状に捩った1本の線状の解析モデル113を配置する。そして、上型111を下型112の方向に接近移動させて、1本の線状の解析モデル113の軸方向の中間点をV字状に曲げる。
図12は、V字状に曲げることにより、解析モデル113の断面の外周上の1つの節点20aが、時計方向に微小角度回転して節点20bに移動した状態を示している。
すなわち、所定長さの1本の線状の解析モデル113を軸方向の両端で支持し、中間に集中荷重を作用させた場合に、解析モデル113の軸方向の両端間には捩れモーメントが作用し、円断面の外周上の節点20aが、矢印方向の節点20bに移動して所定角度捩られる。
このときの挙動を解析するために、図12に示したように、円20の断面を複数の三角形要素で区切り、多数のメッシュ(30a〜30l)を生成する。そして、それぞれのメッシュ(30a〜30l)に所定の捩れモーメントが作用することで、円20の外周上の節点20aが節点20bに移動してズレが生じる。そして、このズレにより、解析モデル113の軸方向の両端間に捩れ角となって現れる。
ここで、1本の線状の解析モデル113の材料物性値(物理的特性値)については、実際に撚り線ワイヤ13を引張試験の結果から算出した。そして、本実施形態では、ヤング率E=11500kgf/mm2,ポアソン比ν=0.3,0.2%耐力=18kgf/mm2を使用した。但し、この材料物性値を、そのまま解析モデル113の各区画部22〜25に入力するのではなく、その補正値を入力するのである。
例えば、ポアソン比νの値の入力方法として、図8に示したように、円形状の断面を4つの区画部22〜25に等分割し、それぞれのポアソン比νを、反時計回りに順番に0.36、0.29、0.36、0.29と入力した。これについては次述する。
ここで、ヤング率をE=11500kgf/mm2に固定した場合のポアソン比νの補正値について説明する。
まず、実物の撚り線ワイヤ(7本撚り)13を用い、1ピッチ分の長さで金型により予めV曲げしたときの軸方向の両端間に生じる捩れ角を調べておく。図13及び図14は、上型11と下型12の角度をそれぞれα=45°とα=90°に設定した場合、実物の撚り線ワイヤ13に形成されるV曲げ角度(横軸)と捩れ角度(縦軸)との関係を示している。
図13に示すように、45°V曲げの場合、角度αが45°のV字形の凸部11a(図
1参照)を有する上型11と下型12を用いる。そして、下型12に対する上型11の上下方向のストローク量を変更して、そのストローク量に応じた捩れ角度を測定した。このようにして、撚り線ワイヤ13の曲げ角度としてストローク量が大きい順に、45°、65°、85°、105°、125°を設定し、それぞれの位置における撚り線ワイヤ13の捩れ角度を測定した。
その結果、実際の実験において、例えばV曲げ角度が45°の場合は捩れ角度は略45°となり、また、V曲げ角度が105°の場合は捩れ角度は略30°となった。よって、これらV曲げ角度と捩れ角度とは比例関係を有している。
同様に、図14に示すように、90°V曲げの場合、角度αが90°のV字形の凸部1
1a(図1参照)を有する上型11と下型12を用いる。そして、下型12に対する上型11の上下方向のストローク量を変更することで、撚り線ワイヤ13の曲げ角度としてストローク量が大きい順に、90°、110°、130°、150°、170°を設定し、それぞれの位置における撚り線ワイヤ13の捩れ角度を測定した。
その結果、例えばV曲げ角度が90°の場合は捩れ角度は略70°となり、また、V曲げ角度が130°の場合は捩れ角度は略40°となった。この場合も、V曲げ角度と捩れ角度とは比例関係を有している。
ここで、発明者は、ポアソン比νの補正値を決定するにあたり、撚り線ワイヤ13の軸方向の両端間に生じる捩れ角度θと、撚り線ワイヤ13のヤング率E及びポアソン比νの間には、下式に示されるような相関関係があると考えた。
捩れ角度θ=F(E、ν)
一方、撚り線ワイヤ13のヤング率Eとポアソン比ν、及び横弾性係数Gの間には、2(1+ν)G=E の関係があることが知られている。そこで、ヤング率Eとポアソン比νを指定すれば横弾性係数Gが得られ、捩れ角度が計算できることになる。
こうして、本実施形態では、実際の撚り線ワイヤ13の実験結果とシミュレーション解析結果とが合致するように、材料物性値としてのポアソン比νの補正値を設定した。この場合、1本の線状の解析モデル113のポアソン比νとして、断面を4つに分割した各区画部22〜25に、例えばヤング率Eを固定し、補正値を実際のポアソン比ν(=0.3)の±20%の範囲(0.24〜0.36)で設定した(図8参照)。
次に、本実施形態のシミュレーション解析結果について説明する。
上記で作成した解析モデル113を用いて、角度90°及び45°のV曲げのシミュレーション解析を実施した。すなわち、図11に示したように、上型111と下型112の間に解析モデル113を配置して、上型111のストローク量をA〜Dの4種類に変化させて上型111を下型112の方向に接近移動させた。そして、解析モデル113を、上型111の凸部の頂部で曲げた。なお、ストローク量の大きさはA>B>C>Dの関係になっている。
また、本シミュレーション解析では、上記により求めたポアソン比νの補正値を用いて、解析モデル113をV曲げした後の捩れ角度の計算を行った。
図15は、V曲げ角度をα=90°に設定した場合、ストローク量(横軸)とワイヤの曲げ角度(縦軸)とのシミュレーション解析の結果と実際の実験結果とを示す図である。なお、ワイヤの曲げ角度とは、図2に示した撚り線ワイヤ13のV字部13aの曲げ角度のことである。また、図中の×は実験結果を、○はシミュレーション解析結果を示している。
図15によれば、例えば、ストローク量がAの場合、ワイヤの曲げ角度は略85°〜100°となっており、ストローク量がBの場合、ワイヤの曲げ角度は略120°となっている。すなわち、ストローク量が大きいほどV曲げ後の角度(戻り角度)は小さく、また、ストローク量が小さいほどV曲げ後の角度(戻り角度)は大きくなっている。また、同じストローク量において、×と○が接近しており、解析結果と実験結果とが近似していることから、両者にはほとんど差がないことが明らかである。
また、図16は、V曲げ角度をα=90°に設定した場合、ストローク量(横軸)とワイヤの捩れ角度(縦軸)とのシミュレーション解析の結果と実際の実験結果とを示す図である。なお、図中の×は実験結果を、○はシミュレーション解析結果を示している。
例えば、ストローク量がAの場合、ワイヤのV曲げ後の捩れ角度は略60°〜70°となっており、ストローク量がBの場合、ワイヤのV曲げ後の捩れ角度は略50°〜60°となっている。すなわち、ストローク量が大きいほどV曲げ後のワイヤの捩れ角度は大きくなっている。また、同じストローク量において、×と○が接近しており、解析結果と実験結果とが近似していることから、両者にはほとんど差がないことが明らかである。
以上から、90°V曲げにおける上型のストローク量とV曲げ後の角度、及び90°V曲げにおける上型のストローク量と捩れ角度の傾向は、解析結果と実験結果とが略一致しており、本実施形態のシミュレーション解析モデルは、実用の範囲内で問題ないレベルであるといえる。
また、シミュレーション解析の解を得るまでの工程において、若しも撚り線ワイヤ13を忠実に再現してシミュレーション解析を行おうとすれば、図4に示したように、7×7=49本の素線131を対象としなければならない。しかし、本実施形態によれば、撚り線ワイヤ13の外周面を包絡して形成した円20を複数の区画部22〜25に区切り、各区画部22〜25に異なる材料物性値をスパイラル状に入力して解析を行うようにしたので、安定した収束性が得られ、現実的な解析時間で解を得ることができた。
更に、図17は、V曲げ角度をα=45°に設定した場合、ストローク量(横軸)とワイヤの捩れ角度(縦軸)とのシミュレーション解析の結果と実際の実験結果とを示す図である。なお、図中の×は実験結果を、○はシミュレーション解析結果を示している。
例えば、ストローク量がAの場合、ワイヤのV曲げ後の捩れ角度は略40°〜45°となっており、ストローク量がBの場合、ワイヤのV曲げ後の捩れ角度は略30°〜40°となっている。すなわち、ストローク量が大きいほどV曲げ後のワイヤの捩れ角度は大きくなっている。また、同じストローク量において、×と○が接近しており、解析結果と実験結果とが近似していることから、両者にはほとんど差がない。
同図から、本実施形態のシミュレーション解析モデルを用いることで、45°のV曲げにおいても、上型のストローク量と捩れ角度の傾向は概ね一致しており、本実施形態のシミュレーション解析モデルは、実用の範囲内で問題ないレベルであるといえる。また、本実施形態によれば、シミュレーション解析の解を得るまでの工程においても、安定した収束性が得られ、現実的な解析時間で解を得ることができた。
(第2の実施の形態)
図18は、第2の実施の形態の解析モデル113’を示している。この実施形態では、断面の各区画部122〜125(図19参照)に異なる材料物性値を入力して軸方向に延長し、スパイラル状に捩らずに1本の線状の解析モデル113’としたものである。
すなわち、前記第1の実施の形態の第1解析モデルに相当するものであり、図19に示すように、撚り線ワイヤ13の外周面を包絡して形成した円(包絡線形成円、以下では円という)120の断面を、その中心Oを通る区画線121a,121bで少なくとも2つ(本実施形態では4つ)に区切って、形成された各区画部122〜125に異なる材料物性値(ポアソン比)を入力する。
次に、この円120を、実験に用いる撚り線材料と同等の長さに軸方向に延長して1本の線状の解析モデル113’を形成する。
ここで、1本の線状の解析モデル113’の材料物性値(物理的特性値)については、前記と同様に、実際に撚り線ワイヤ13を引張試験した結果から算出した。そして、本実施形態では、ヤング率E=11500kgf/mm2,ポアソン比ν=0.3,0.2%耐力=18kgf/mm2を使用した。
また、図19に示したように、ポアソン比νの入力方法は、円形状の断面を4つの区画部122〜125に等分割し、材料物性値としてのポアソン比νを、反時計回りにν=0.2、0.3,0.2、0.3と順番に入力した。ただし、本実施形態では、スパイラル状に捩らずに、異なるポアソン比νを軸方向に一様に入力した。また、本実施形態では、円形状の断面を中心角を同じにして等分に分割したが、これに限らず、区画部の大きさを変えるように中心角を異ならせて非等分に分割しても良い。
更に、本実施形態では、1本の線状の解析モデル113’を、円断面の図心Oを通る鉛直線V−Vに対して材料物性値(物理的特性値)が左右非線対称となるようにして線状の解析モデル113’の軸方向の両端支点により支持する。材料物性値が左右非線対称としたのは、若しも円断面の図心Oを通る鉛直線V−Vに対して左右線対称である場合は、線状の解析モデル113’の軸方向の中間に集中荷重が作用しても、軸方向の両端において捩れが生じないと考えられるからである。
次に、本実施形態のシミュレーション解析結果について説明する。
上記で作成した解析モデル113'を用いて、角度90°のV曲げのシミュレーション解析を実施した。すなわち、図11に示したと同様に、上型111と下型112の間に解析モデル113'を配置して、上型111のストローク量をA〜Dの4種類に変化させて上型111を下型112の方向に接近移動させた。
こうして、解析モデル113'を、上型111の凸部の頂部で曲げた。なお、上型111のストローク量の大きさは、A>B>C>Dの関係になっている。
図20は、V曲げ角度をα=90°に設定した場合のストローク量(横軸)とワイヤの捩れ角度(縦軸)とのシミュレーション解析の結果と、実際の実験結果とを示す図である。なお、図中の×は実験結果を、○はシミュレーション解析結果を示している。
例えば、ストローク量がAの場合、ワイヤのV曲げ後の捩れ角度は略60°〜70°となっており、ストローク量がBの場合、ワイヤのV曲げ後の捩れ角度は略45°〜60°となっている。すなわち、ストローク量が大きいほどV曲げ後のワイヤの捩れ角度は大きくなっている。また、同じストローク量において、×と○が接近しており、解析結果と実験結果が近似していることから、両者にはほとんど差がないことが明らかである。
同図から、本実施形態のシミュレーション解析モデルを用いることで、90°のV曲げにおいても、上型のストローク量と捩れ角度の傾向は概ね一致しており、本実施形態のシミュレーション解析モデルは実用の範囲内で問題ないレベルであるといえる。また、本実施形態によれば、シミュレーション解析の解を得るまでの工程においても、安定した収束性が得られ、現実的な解析時間で解を得ることができた。
撚り線ワイヤのV曲げ実験に用いる成形装置の構成を示す図である。 撚り線ワイヤにV字部を形成した状態を示す図である。 高周波スネアの平面図である。 撚り線ワイヤの断面構成を示す図である。 素線束の断面構成を示す図である。 一般的な撚り線ワイヤモデルの外観を示す図である。 撚り線ワイヤの外周面を包絡して断面が円を形成した図である。 円の断面を区画線で区切って区画部を形成した状態を示す図である。 円の断面を軸方向に延長して形成した1本の線状部材を示す図である。 円の断面を軸方向に延長し、断面の図心を中心としてスパイラル状に捩って形成された解析モデルを示す図である。 上型と下型との間にスパイラル状に捩った解析モデルを配置した状態を示す図である。 解析モデルの円の断面の外周上の節点が移動した状態を示す図である。 実物の撚り線ワイヤの実験による45°V曲げ角度と捩り角度との関係を示す図である。 実物の撚り線ワイヤの実験による90°V曲げ角度と捩り角度との関係を示す図である。 90°V曲げを行ったときの、上型のストローク量とワイヤの曲げ角度とのシミュレーション解析の結果と実際の実験結果とを示す図である。 90°V曲げを行ったときの、上型のストローク量とワイヤの捩り角度とのシミュレーション解析の結果と実際の実験結果とを示す図である。 45°V曲げを行ったときの、上型のストローク量とワイヤの捩り角度とのシミュレーション解析の結果と実際の実験結果とを示す図である。 第2の実施の形態の解析モデルを示す図である。 円の断面を区画線で区切って区画部を形成した状態を示す図である。 90°V曲げを行ったときの、上型のストローク量とワイヤの捩り角度とのシミュレーション解析の結果と実際の実験結果とを示す図である。
符号の説明
11 上型
11a 凸部
12 下型
12a 凹部
13 撚り線ワイヤ
13’ 撚り線ワイヤモデル
13a V字部
14 チューブ
15 高周波スネア
20 円(包絡線形成円)
21a 区画線
21b 区画線
22 区画部
23 区画部
24 区画部
25 区画部
111 上型
112 下型
113 解析モデル
113’ 解析モデル
120 円(包絡線形成円)
121a 区画線
121b 区画線
122 区画部
123 区画部
124 区画部
125 区画部
130 素線束
131 素線
140 空孔
A部 湾曲部
O 図心

Claims (8)

  1. 撚り線ワイヤの外周面を包絡して形成した断面が円であって、前記断面をその図心を通る区画線で少なくとも2つに区切って複数の区画部を形成し、該複数の区画部の少なくとも2つに異なる材料物性値を与え、かつ前記断面を軸方向に延長して1本の線状部材の解析モデルを形成した
    ことを特徴とする撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデル。
  2. 前記断面を軸方向に延長し、かつ前記図心を中心としてスパイラル状に捩った
    ことを特徴とする請求項1に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデル。
  3. 前記複数の区画部はそれぞれ等分に分割されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデル。
  4. 前記複数の区画部はそれぞれ非等分に分割されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデル。
  5. 前記断面の図心を通る鉛直線に対して材料物性値が左右非線対称となるように、前記複数の区画部の少なくとも2つに異なる材料物性値を与えた
    ことを特徴とする請求項1に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデル。
  6. 前記材料物性値としてポアソン比を用いた
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデル。
  7. 請求項1〜6に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデルを用い、得られた加工条件で撚り線ワイヤの型成形を行う
    ことを特徴とする撚り線ワイヤの加工方法。
  8. 請求項1〜6に記載の撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデルを用い、コンピュータにより変形挙動解析する
    ことを特徴とする撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーション方法。
JP2006331587A 2006-12-08 2006-12-08 撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーションモデル、撚り線ワイヤの加工方法、及び撚り線ワイヤの変形挙動解析シミュレーション方法 Withdrawn JP2008146286A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106844817A (zh) * 2016-11-04 2017-06-13 南方科技大学 一种能够调节零部件形变的亚表面结构设计方法

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