JP6076760B2 - 生体シミュレーションプログラム、生体シミュレーション方法及び生体シミュレーション装置 - Google Patents

生体シミュレーションプログラム、生体シミュレーション方法及び生体シミュレーション装置 Download PDF

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Description

本発明は、生体シミュレーションプログラム、生体シミュレーション方法及び生体シミュレーション装置に関する。
分子生物学の分野では、実験事実に基づきサルコメア内のミオシン・アクチン間の架橋運動を記述した多様なサルコメアモデルが提案されている。例えば、サルコメア内のミオシン・アクチン間の結合に寄与する分子に対して複数の代表的な状態が定義され、近傍分子間の相互作用および分子のエネルギーなどが考慮されて状態間の遷移率が定義されたサルコメアモデルがある。かかるサルコメア内の分子の運動と筋肉の連続体モデルを連成させた解析を行う際には、分子モデルに対してはその平均的な挙動を想定し状態濃度を変数とする常微分方程式を導く方法が一般的である。また、サルコメアモデルの計算結果から連続体モデルでの収縮力を算出し、かかる結果をもとに連続体としての筋肉の運動を計算する方法がとられることが一般的である。
Peterson J.N., Hunter W.C., Berman M.R.: Estimated time course of Ca2+bound to troponin C during relaxation in isolated cardiac muscle, American Physiological Society, H1013-H1024(1991) Hunter P.J., McCulloch A.D., ter Keurs H.E.D.J.: Modeling the mechanical properties of cardiac muscle, Progress in Biophysics & Molecular Biology 69, 289-331(1998) Razumova M.V., Bukatina A.E., Campbell K.B.: Stiffness-distortion sarcomere model for muscle simulation. J. Appl. Physiol. 87, 1861-1876(1999) Rice J.J., Wang F., Bers D.M., de Tombe P.P.: Approximate model of cooperative activation and crossbridge cycling in cardiac muscle using ordinary differential equations. Biophys. J. 95, 2368-2390(2008)
しかしながら、上述したサルコメアモデルは、サルコメアモデル内の分子モデルの平均化した挙動を表すため、かかるサルコメアモデルを用いてサルコメアの挙動のシミュレーションを行う場合には、分子モデルの状態遷移に対するシミュレーションの結果が精緻さに欠け、結果として連続体としての筋肉の運動に対しても精緻さに欠けるという問題点がある。さらに、筋肉の運動からサルコメアモデル内の分子の状態遷移への強いフィードバックもあるので、サルコメアモデルから連続体モデルへの一方向の情報伝達に基づくシミュレーションでは、安定した解析を実行することが困難である。
1つの側面では、確率的な挙動を有する分子モデルと連続体としての筋肉の運動の精緻な連成シミュレーションの結果を得ることを目的とする。他の側面では、筋肉の連続体モデルの運動から分子モデルへのフィードバックを陰的解法に基づき連成シミュレーションに取り込むことで、かかる連成解析を適切な時間刻み幅で安定に遂行することを目的とする。
本願の開示する生体シミュレーションプログラムは、コンピュータに、生体の筋肉に含まれるサルコメア内の複数のアクチン及び複数のミオシンの複数の状態、及び、複数の状態間の遷移率が定義されたモデルを用いて、次の処理を実行させる。すなわち、生体シミュレーションプログラムは、コンピュータに、複数のアクチンのそれぞれの状態及び複数のミオシンのそれぞれの状態を計算する処理を実行させる。そして、生体シミュレーションプログラムは、コンピュータに、複数のアクチンのそれぞれの状態及び複数のミオシンのそれぞれの状態に基づいて、複数のアクチンのそれぞれの挙動及び複数のミオシンのそれぞれの挙動を計算する処理を実行させる。そして、生体シミュレーションプログラムは、コンピュータに、複数のアクチンのそれぞれの挙動及び複数のミオシンのそれぞれの挙動に基づいて、サルコメアの挙動を計算する処理を実行させる。そして、生体シミュレーションプログラムは、コンピュータに、サルコメアの挙動に基づいて、筋肉の挙動を計算する処理を実行させる。
確率的な挙動を有する分子モデルと連続体としての筋肉の運動の精緻な連成シミュレーションの結果を得ることができる。
図1は、実施例に係る生体シミュレーション装置の機能的な構成の一例を示す図である。 図2は、心筋モデルの一例の一部を示す図である。 図3は、サルコメアモデルの一例を示す図である。 図4は、T/Tユニットの状態遷移の一例を示す図である。 図5は、ミオシンヘッドの状態遷移の一例を示す図である。 図6は、SLに応じてアクチンフィラメント21のオーバラップ状態が変化することを説明するための図である。 図7は、実施例に係る生体シミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。 図8は、実施例に係るシミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。 図9は、ミオシンアームの伸びについての計算方法の一例について説明するための図である。 図10は、実施例に係るモンテカルロシミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。 図11は、実施例に係る有限要素解析の手順を示すフローチャートである。 図12は、実施例に係る受付部が受け付けるT/Tユニットの遷移情報を説明するための図である。 図13は、実施例に係る受付部が受け付けるミオシンヘッドの情報を説明するための図である。 図14は、実施例に係る受付部が受け付けるT/Tユニットの状態に関わる関数情報を説明するための図である。 図15は、実施例に係る受付部が受け付けるミオシンヘッドの状態に関わる関数情報を説明するための図である。 図16は、実施例に係る受付部が受け付けるミオシンヘッドの非結合-結合状態間の遷移を定義する情報を説明するための図である。 図17は、実施例に係る受付部が受け付けるミオシンヘッドの首振り前後の状態間の遷移を定義する情報を説明するための図である。 図18は、実施例に係る受付部が受け付ける結合解離の遷移を定義する情報を説明するための図である。 図19は、ミオシンヘッドの状態と状態間遷移の定義をもとにモンテカルロステップを実行するコード(モンテカルロコード)を自動生成した結果を示す図である。 図20Aは、心拍動のシミュレーションを実行するときの心筋の連続体モデルに関わるパラメータ指定の一例を示す図である。 図20Bは、心拍動のシミュレーションを実行するときの線維方向を指定する方法についての一例を示す図である。 図21Aは、心拍動性能に関わる緒量のシミュレーション結果の一例を示す図である。 図21Bは、左心室圧容積変化(上)と仕事率及びエネルギー消費率(下)のシミュレーション結果の一例を示す図である。 図21Cは、収縮力の分布に関するシミュレーション結果の一例を示す図である。 図22は、生体シミュレーションプログラムを実行するコンピュータを示す図である。
以下に、本願の開示する生体シミュレーションプログラム、生体シミュレーション方法及び生体シミュレーション装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施例は開示の技術を限定するものではない。
実施例に係る生体シミュレーション装置について説明する。本実施例に係る生体シミュレーション装置は、生体の筋肉に含まれるサルコメア内の複数のアクチン及び複数のミオシンの複数の状態、及び、複数の状態間の遷移率が定義されたモデルと有限要素メッシュにより表現された筋肉の連続体モデルを用いて、次の処理を行う。すなわち、生体シミュレーション装置は、筋肉の連続体モデルの各有限要素に埋め込まれた複数のアクチン及び複数のミオシンの状態遷移を計算する。また、生体シミュレーション装置は、分子モデルの状態遷移と連続体として筋肉の運動から導かれる個々の分子が生じる収縮力と分子モデルが埋め込まれた有限要素の連続体モデルでの収縮力を整合させた運動方程式を解き、次のような解析を行う。すなわち、生体シミュレーション装置は、分子の状態遷移運動と筋肉の運動を連成させた解析を行う。図1は、実施例に係る生体シミュレーション装置の機能的な構成の一例を示す図である。図1の例に示すように、生体シミュレーション装置10は、入力部11、表示部12、記憶部13及び制御部14を有する。
入力部11は、制御部14に各種の情報を入力する。例えば、入力部11は、ユーザから後述の生体シミュレーション処理を実行する指示を受け付けた場合には、受け付けた指示を制御部14に入力する。入力部11のデバイスの一例としては、キーボードやマウスなどが挙げられる。
表示部12は、各種の情報を表示する。例えば、表示部12は、後述の表示制御部14cの制御によりシミュレーション結果を表示する。
記憶部13は、制御部14で実行される各種プログラムを記憶する。また、記憶部13は、心筋モデル13a、サルコメアモデル13bを記憶する。
心筋モデル13aは、連続体である心臓全体の筋肉のモデルを複数個の要素に分割したモデルである。例えば、心臓全体の筋肉のモデルを、左心房、左心室、右心房、右心室の4個のモデルに分割し、左心房のモデル、左心室のモデル、右心房のモデル、右心室のモデルのそれぞれを心筋モデル13aとすることができる。心筋モデル13aは、有限要素解析によって、心筋モデル13aが示す筋肉のモデルの挙動を計算する際に用いられる。図2は、心筋モデルの一例の一部を示す図である。図2の例では、心筋モデル13aは左心室のモデルであり、左心室のモデルの一部が示されている。また、図2の例では、心筋モデル13aの有限要素メッシュ内の複数の要素13a_1のそれぞれの線維方向が矢印で示されている。以下の説明では、かかる線維方向のベクトルをfで表す場合がある。
また、各要素13a_1には、複数のサルコメアモデル13bが埋め込まれている。以下、各要素13a_1に、「ns」個のサルコメアモデル13bが埋め込まれている場合について説明する。サルコメアモデル13bは、構成要素である分子が確率的な挙動を示すモデルである。サルコメアモデル13bは、いわゆる協調性、及び、いわゆるサルコメア長依存性などを有するように定義される。図3は、サルコメアモデルの一例を示す図である。図3の例に示すように、サルコメアモデル13bは、アクチンフィラメント21上の複数のT/Tユニット(トロポニン/トロポミオシンのユニット)20と、ミオシンフィラメント23上の複数のミオシンヘッド22とを有する。なお、後述するが、サルコメアモデル13bには、ミオシンフィラメント23とミオシンヘッド22とをつないでいるミオシンアーム24も含まれる。また、以下、1つのサルコメアモデル13b内に、「nm」個のミオシンヘッド22及びミオシンアーム24の組が存在する場合について説明する。
サルコメアモデル13bにおいては、T/Tユニット20及びミオシンヘッド22に対して複数の状態が定義されており、予め定められた状態間の遷移率に従いモンテカルロシミュレーションが実行される。すなわち、モンテカルロシミュレーションにより、T/Tユニット20及びミオシンヘッド22の確率的な挙動が計算される。
T/Tユニット20に対しては、直下のミオシンヘッド22の状態に応じて状態の遷移率が制御される。図4は、T/Tユニットの状態遷移の一例を示す図である。図4の例に示すように、本実施例では、T/Tユニット20にカルシウムイオン(Ca2+)が結合している状態(結合状態:Ca−on)と、結合していない状態(非結合状態:Ca−off)との2種類の状態がある。図4の例に示す状態遷移において、例えば、カルシウムイオン濃度が高くなるほど、結合状態に遷移しやすくなる。また、カルシウムイオンの解離確率Koffが直下のミオシンヘッド22の状態に応じて定められる。また、Kon、offは、当該T/Tユニット20の配下にあるアクチン切片にミオシンヘッド22が結合しているかいないかによって、値が変化する。例えば、T/Tユニット20の配下にあるアクチン切片にミオシンヘッド22が結合している場合には、Koffが小さくなり、T/Tユニット20からカルシウムイオンが外れにくくなる。すなわち、本実施例のサルコメアモデル20のT/Tユニット20は、当該T/Tユニット20の配下にあるアクチン切片にミオシンヘッド22が結合している場合には、T/Tユニット20からカルシウムイオンが外れにくくなるという協調性を有するモデルである。ここで、T/Tユニット20にカルシウムイオンが結合すると、ミオシンヘッド22との結合部位を隠している紐状のタンパク質であるトロポミオシンの位置がずれ、T/Tユニット20の配下にあるアクチン切片とミオシンヘッド22との結合がより容易になる。そのため、T/Tユニット20にカルシウムイオンが結合すると、T/Tユニット20の配下にあるアクチン切片とミオシンヘッド22とが結合する確率が高くなる。そして、T/Tユニット20の配下にあるアクチン切片とミオシンヘッド22とが結合すると、さらに、トロポミオシンの位置がずれて、当該ミオシンの近傍のミオシンヘッド22が、直上のアクチン切片と結合する確率が高くなる。なお、T/Tユニット20の配下にあるアクチン切片とは図3の20の線で区切られたものを指し、近傍のミオシンヘッド22とは、あるミオシンヘッド22から所定範囲に存在するミオシンヘッド22のことを指す。
また、ミオシンヘッド22に対しては、近傍のミオシンヘッド22および直上のアクチン切片をその配下とするT/Tユニット20の状態に応じて状態遷移が制御される。図5は、ミオシンヘッドの状態遷移の一例を示す図である。図5の例に示すように、本実施例では、NXBと、PXBと、XBPreRと、XBPostRとの4種類の状態がある。NXBは、ミオシンヘッド22が、T/Tユニット20の配下にあるアクチン切片に結合していない状態(非結合状態)である。また、PXBは、ミオシンヘッド22が、T/Tユニット20の配下にあるアクチン切片との結合を開始した状態(弱結合状態)である。また、XBPreRは、PXBから、ミオシンヘッド22に化学状態の変化が発生して、より強く、ミオシンヘッド22が、T/Tユニット20の配下にあるアクチン切片に結合した状態(強結合(1))である。また、XBPostRは、ミオシンヘッド22が、T/Tユニット20の配下にあるアクチン切片との結合を維持した状態で、XBPreRから、ミオシンヘッド22の回転運動(首振り運動)が発生した状態(強結合(2))である。図5中、knpは、NXBからPXBへ遷移する際の係数である。サルコメアモデル13bのアクチンフィラメント21のオーバラップが大きくなると、ミオシンヘッド22と結合することができるアクチンフィラメントの範囲が短くなる。このため、サルコメアモデル13bのアクチンフィラメント21のオーバラップが大きくなると、ミオシンヘッド22がアクチンに結合しにくくなる。本実施例では、サルコメアモデル13bのアクチンフィラメント21のオーバラップが大きくなると、knpの値は小さくなり、ミオシンヘッド22がアクチンに結合する確率を低くする。
また、kpnは、PXB、XBPreR、XBPostRからNXBへ遷移する際の係数である。また、γ及びγ−nは、ミオシンヘッド22の非結合-結合状態間の遷移に関わる協調性を示す。ここで、nは、隣接し、かつ、アクチンに結合しているミオシンヘッド22の数(0〜2)を示す。例えば、γ=80の場合、隣接し、かつ、アクチンに結合しているミオシンヘッド22の数が「1」である場合、γは「80」となる。すなわち、図5の例に示す場合において、80倍結合しやすくなることを示す。また、γ=80の場合、隣接し、かつ、アクチンに結合しているミオシンヘッド22の数が「2」である場合、γは、「6400」となる。すなわち、図5の例に示す場合において、6400倍結合しやすくなることを示す。また、γ=80の場合、隣接し、かつ、アクチンに結合しているミオシンヘッド22の数が「1」である場合、γ−nは「1/80」となる。すなわち、図5の例に示す場合において、解離のしやすさが1/80倍となることを示す。また、γ=80の場合、隣接し、かつ、アクチンに結合しているミオシンヘッド22の数が「2」である場合、γ−nは「1/6400」となる。すなわち、図5の例に示す場合において、解離のしやすさが1/6400倍となることを示す。これにより、あるミオシンヘッド22について、自身がアクチンに結合していないが、隣接するミオシンヘッド22がアクチンに結合している場合には、アクチンに結合しやすくなる。また、あるミオシンヘッド22について、自身がアクチンに結合しており、隣接するミオシンヘッド22もアクチンに結合している場合には、解離しにくくなる。
また、図5中、ミオシンヘッド22がNXB、PXB、XBPreRの状態にある場合、ミオシンヘッド22には、ATP(アデノシン三リン酸)が結合している。また、ATP→ADP(アデノシン二リン酸)+pi(リン酸)の加水分解反応でエネルギーが生じる。
また、図5中、fappは、PXBからXBPreRへの遷移によって、状態分布がボルツマン分布則に基づく平衡状態となるように定められる。gappについても、XBPreRからPXBへの遷移によって、状態分布がボルツマン分布則に基づく平衡状態となるように定められる。
また、XBPreRからXBPostRへの遷移、及び、XBPostRからXBPreRへの遷移において、ミオシンヘッド22が首振り運動を行う。図5中、h、hは、ミオシンヘッド22の首振り運動によるミオシンアームの長さの変化によって、状態分布がミオシンヘッド内の化学エネルギーとミオシンアームの弾性エネルギーの和から定まるボルツマン分布則に基づく平衡状態となるように定められる。また、図5中、gxbは、前記協調性の効果以外のXBPostRからの解離のしやすさを表す遷移率である。また、図5中、αは、強結合状態XBPreRおよびXBPostRにおいて、アクチンからのミオシンヘッド22の外れにくさを示す1以下の係数である。
ここで、サルコメア長(SL)に応じてアクチンフィラメント21のオーバラップ状態が変化することについて説明する。まず、SLは、次のような方法によって計算できる。すなわち、下記の式(1)を用いて、時刻Tにおける心筋モデル13aの各要素13a_1の線維方向の伸び(線維方向ストレッチ)λ(T)を計算する。
Figure 0006076760
ただし、F(T)は、時刻Tでの心筋モデル13aの変形勾配テンソルである。
続いて、下記の式(2)を用いて、各要素13a_1の線維方向の速度(ストレッチ速度)
Figure 0006076760

を計算する。
Figure 0006076760
そして、下記の式(3)を用いて、時刻Tにおけるサルコメアモデル13bのサルコメア長SL(T)を計算する。
Figure 0006076760
ただし、SLは、時刻T=0のときの無負荷状態におけるサルコメア長である。
そして、下記の式(4)を用いて、サルコメアモデル13bのすべり速度
Figure 0006076760

を計算する。
Figure 0006076760
図6を参照して、サルコメア長(SL)に応じてアクチンフィラメント21のオーバラップ状態が変化することについて説明する。図6は、SLに応じてアクチンフィラメント21のオーバラップ状態が変化することを説明するための図である。図6の例では、時刻T1、T2、T3のそれぞれの場合におけるサルコメア長SL(T1)、SL(T2)、SL(T3)が示されている。図6の上の例に示すように、サルコメア長(SL)が長すぎると中央部のミオシンヘッドに対して結合できるアクチンがなくなる。また、図6下の例に示すように、サルコメア長(SL)が短すぎた場合も、アクチンフィラメント21がオーバラップする部分が中央付近にでき、この部分に位置するミオシンヘッドがアクチンに結合しにくくなる。そのため、本実施例では、アクチンフィラメントのオーバラップの状態をミオシンヘッド22の状態遷移に反映するための関数χLA及びχRBを構成し、ミオシンヘッド22の結合状態への状態遷移において、関数χLA及びχRBを参照して遷移率を決定することもできる。
本実施例では、従来の常微分方程式が用いられたモデルのように平均的な振る舞いを一つの代表ユニットで記述するのではなく、個々のT/Tユニット20および個々のミオシンヘッド22の状態遷移が近傍の状態も参照しながら制御される。それゆえ、本実施例によれば、ミクロのモデルの状態遷移をより現実に近いかたちで平均化などにともなう誤差を抑制してシミュレーションを行い、以下に述べるように心筋の連続体モデルとの正確な連成解析を行うことが可能となる。
記憶部13は、例えば、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。なお、記憶部13は、上記の種類の記憶装置に限定されるものではなく、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等であってもよい。
制御部14は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。図1に示すように、複数の心筋モデル処理部14aと、複数のサルコメアモデル処理部14bと、表示制御部14cと、受付部14dとを有する。
複数の心筋モデル処理部14aのそれぞれは、心筋モデル13a内の複数の要素のそれぞれに対応し、各心筋モデル処理部14aは、対応する心筋モデル13aの挙動を計算する。また、複数のサルコメアモデル処理部14bのそれぞれは、複数のサルコメアモデル13bのそれぞれに対応し、各サルコメアモデル処理部14bは、対応するサルコメアモデル13bの挙動を計算する。制御部14は、演算処理部であるコアを複数有するマルチコアのCPU(Central Processing Unit)を1つ又は複数有する。若しくは、制御部14は、演算処理部であるコアを1つ有するシングルコアのCPUを複数有してもよい。心筋モデル処理部14a、サルコメアモデル処理部14b、表示制御部14c及び受付部14dの各部は、後述の生体シミュレーションプログラムを各コアが実行することにより、各コア上で実現される。
サルコメアモデル処理部14bは、第1の計算部15a、第2の計算部15bを有する。
ここで、制御部14で実行される処理の一例について図7を参照して説明する。図7は、実施例に係る生体シミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。生体シミュレーション処理は、例えば、入力部11から制御部14に、生体シミュレーション処理を実行する指示が入力された場合に実行される。なお、生体シミュレーション処理では、心筋モデル13aの有限要素解析が時間ΔT間隔で実行される。また、サルコメアモデルのモンテカルロシミュレーション処理では、サルコメアモデル13bのモンテカルロ法を用いたシミュレーションが、時間区分[T,T+ΔT]がn個のステップの細かい時間区分に分割された時間Δt(ΔT/n)間隔で実行される。ΔTの値としては、例えば、2.5ミリ秒を採用することができる。また、Δtの値としては、例えば、5マイクロ秒を採用することができる。モンテカルロ法では、遷移率と時間区分Δtの積が1を超えないことが要請されるので、上記のような細かい時間刻みとなる。一方で、有限要素解析も細かい時間刻みで計算した方が精度の上から好ましいが、陰解法における線形求解に時間がかかるため上記のような時間区分ΔTが適当である。
図7に示すように、心筋モデル処理部14a及びサルコメアモデル処理部14bは、シミュレーション処理を実行する(S101)。図8は、実施例に係るシミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。図8に示すように、第1の計算部15aは、時間幅[T,T+ΔT]における初期化を行う(S201)。例えば、S201で、第1の計算部15aは、変数SumLIRに「0」を設定する。また、S201で、第1の計算部15aは、変数XBDに「0」を設定する。また、S201で、第1の計算部15aは、変数XBD0に「0」を設定する。また、S201で、第1の計算部15aは、フラグflagD0に「1」を設定する。また、S201で、第1の計算部15aは、変数LS0に「L(T)」を設定する。ここで、L(T)は、時刻Tにおけるミオシンアーム24の伸びのうちフィラメント間のすべり速度による寄与分のみを抜き出したものである。この変数は、処理開始時に「0」に設定され、後述するように毎回の有限要素ステップの終了後に正しい値に更新される。
図9を参照して、ミオシンアーム24の伸びについての計算方法の一例について説明する。図9は、ミオシンアームの伸びについての計算方法の一例について説明するための図である。図9の例は、時刻tbでミオシンヘッド22がアクチンフィラメント21に結合し、時刻Tに至るまでの間、結合が維持されている場合を示す。また、図9の例は、ミオシンヘッド22が時刻tbから時刻Tまでの間で首振り運動をした場合を示す。図9の例に示す場合において、第1の計算部15aは、下記の式(5)を用いて、L(T)を計算する。
Figure 0006076760
ただし、LINITは、結合時のミオシンアーム24の初期伸びである。また、LROTは、結合後のミオシンヘッド22の首振り運動による伸びである。
図8に戻り、第1の計算部15aは、変数kの値を「1」に設定する(S202)。続いて、第1の計算部15a及び第2の計算部15bは、モンテカルロシミュレーション処理を実行する(S203)。なお、S203で実行されるモンテカルロシミュレーション処理は、時刻(T+kΔt)における処理である。図10は、実施例に係るモンテカルロシミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。図10に示すように、第1の計算部15aは、ミオシンヘッド22の状態を判定し、結合状態であるか否かを判定する(S301)。例えば、S301では、第1の計算部15aは、PXB、XBPreR、XBPostRの何れかである場合には、結合状態であると判定し、NXBである場合には、結合状態でないと判定する。
結合状態でない場合(S301;No)には、第1の計算部15aは、S303へ進む。一方、結合状態である場合(S301;Yes)には、第1の計算部15aは、各種の前処理を行う(S302)。例えば、S302では、第1の計算部15aは、変数XBDの値を1つインクリメントする。また、S302では、第1の計算部15aは、フラグflagD0の値が「1」である場合には、変数XBD0の値を1つインクリメントする。そして、S302では、第1の計算部15aは、下記の式(6)を用いて、ミオシンアームの伸びLを計算する。
Figure 0006076760
ただし、LIRは、上述したLINITとLROTとの和を示す。ここで、LINITは結合状態への遷移直後のミオシンアームの伸びであり、例えば熱揺らぎを考慮してミオシンアームの弾性エネルギーから定まるボルツマン分布をもとに計算される。
そして、第1の計算部15aは、乱数を生成し、生成した乱数を用いて、ミオシンヘッド22の状態を計算する(S303)。これにより、第1の計算部15aは、ミオシンヘッド22の確率的な挙動を計算することができる。
続いて、第2の計算部15bは、ミオシンヘッド22の状態が遷移したか否かを判定する(S304)。ミオシンヘッド22の状態が遷移しない場合(S304:No)には、第2の計算部15bは、S306へ進む。
一方、ミオシンヘッド22の状態が遷移した場合(S304:Yes)には、第2の計算部15bは、状態遷移処理を行う(S305)。例えば、S305では、第2の計算部15bは、ミオシンヘッド22の状態が、非結合状態NXBから結合状態PXBへ遷移した場合には、変数LINITの値を変数LIRに設定し、フラグflagD0の値を「0」に設定する。また、S305では、第2の計算部15bは、ミオシンヘッド22の状態が、結合状態PXB、XBPreR、XBPostRのいずれかから、非結合状態NXBへ遷移した場合には、変数LIR、変数LS0及び変数XBdのそれぞれの値を「0」に設定する。また、S305では、第2の計算部15bは、ミオシンヘッド22の状態が、結合状態PXB、XBPreR、XBPostRのいずれかの状態のままで、ミオシンヘッド22が首振り運動を行い、回転した場合には、次の処理を行う。すなわち、第2の計算部15bは、変数LIRの値と、ミオシンヘッド22の回転により伸びたミオシンアーム24の長さXSWINGとの和(LIR+XSWING)を、変数LIRに設定する。
そして、第2の計算部15bは、後処理を実行し(S306)、処理結果を内部メモリに格納し、リターンする。例えば、S306では、第2の計算部15bは、変数SumLIRの値と、変数LIRの値との和(SumLIR+LIR)を変数SumLIRに設定する。また、S306では、第2の計算部15bは、変数SumXBの値と、変数XBの値との和(SumXB+XB)を変数SumXBに設定する。上述した処理が有限要素解析における1ステップの間にnステップ回行われることで、変数SumXBには、有限要素解析における1ステップの間における、ミオシンヘッド22の結合状態の連続回数が設定される。また、変数SumLIRには、有限要素解析における1ステップの間におけるLIRの和が設定され、後述するようにこれらの和は有限要素解析におけるアクティブ応力を計算する際に用いられる。
図8の説明に戻り、第2の計算部15bは、変数kの値が、nを超えたか否かを判定する(S204)。変数kの値がnを超えていない場合(S204;No)には、第2の計算部15bは、変数kの値を1つインクリメントし(S205)、S203に戻る。一方、変数kの値がnを超えた場合(S204;Yes)には、心筋モデル処理部14aは、有限要素解析を実行する(S206)。図11は、実施例に係る有限要素解析の手順を示すフローチャートである。図11に示すように、心筋モデル処理部14aは、1ミオシンアームの平均諸量を計算する(S401)。例えば、S401では、心筋モデル処理部14aは、下記の式(7)を用いて、有限要素解析の1ステップの間における各ミオシンアーム24の伸びの平均値LAVRを計算する。
Figure 0006076760
また、S401では、心筋モデル処理部14aは、下記の式(8)を用いて、有限要素解析の1ステップの間におけるミオシンアーム24の力の平均値FMH、及び、剛性の平均値KMHを計算する。
Figure 0006076760
ここで、Warmは、ミオシンアーム24の伸びLに対する関数として与えられたバネの弾性エネルギーである。
また、下記の式(9)は、与えられた線維方向のストレッチの変分δλに対するミオシンアームの仮想的な仕事δWMHを表したものである。
Figure 0006076760
そして、心筋モデル処理部14aは、下記の式(10)に基づき、心筋の連続体モデル上での任意の歪みの変分δEに対して、有限要素解析の1ステップにおける単位体積あたりの心筋モデル13aがした仮想的な仕事とミオシンアームの集合がした仮想的な仕事が等しくなるようにアクティブ応力Sactiveを計算する。以下、その方法の一例について説明する。
Figure 0006076760
式(10)において、imは、ミオシンフィラメント23上のミオシンヘッド22のインデックスであり、isは、要素13a_1内のサルコメアモデル13bのインデックスである。また、RSAは、筋肉に対するサルコメアが占める割合であり、SAは、1サルコメアモデル13bあたりの断面積である。また、Sactiveは、連続体モデルのアクティブ応力テンソル、δEはGreen−Lagrange歪みテンソルの変分であり、この二つのテンソルの積が連続体の仮想仕事を表す。
心筋モデル処理部14aは、式(10)に基づき下記の式(11)を用いて、単位断面積あたりの心筋モデル13aの収縮力Fを計算する(S402)。
Figure 0006076760
また、S402では、心筋モデル処理部14aは、下記の式(12)を用いて、単位断面積あたりの心筋モデル13の剛性Kを計算する。
Figure 0006076760
ここで、下記の式(13)と(14)はGreen−Lagrange歪みテンソルの変分と線維方向のストレッチλの変分の関係を示すものである。式(13)より、式(11)で計算したFを用いてアクティブ応力テンソルSactiveを下記の式(15)に示すように計算すれば式(10)が成立することがわかる。
Figure 0006076760
Figure 0006076760
Figure 0006076760
それゆえ、心筋モデル処理部14aは、式(15)を用いて、Sactiveを計算する(S403)。そして、有限要素解析をNewmark−β法のような陰解法で実行する場合には、心筋モデル処理部14aは、陰解法で用いられる剛性行列を、下記の式(16)及び式(17)を用いて計算する(S404)。
Figure 0006076760
Figure 0006076760
これらの式は、線維方向ストレッチλおよびその時間微分とGreen−Lagrange歪みテンソルEおよびその時間微分の関係式(13)および式(14)から導かれたものである。S404では、心筋モデル処理部14aは、式(10)により算出したアクティブ応力Sactiveから等価節点力を、式(16)および式(17)をもとに剛性行列を計算し、これらをすべての要素にわたって重ね合わせることによりNewton−Raphson反復における線形方程式の右辺ベクトルと係数行列を作成する。残差ベクトルに対応する右辺ベクトルが十分小さければ(S405肯定)、Newton−Raphson反復を終了して処理結果を内部メモリに格納しリターンする。そうでなければ(S405否定)、心筋モデル処理部14aは、線形方程式を解き、得られた解をもとに連続体モデルの変位ベクトル、速度ベクトル、加速度ベクトルを更新し(S406)、S401へ戻り、次のNewton−Raphson反復に移る。ただし、これらベクトルの時間ステップT+ΔTにおける初期値は、これらベクトルの時刻Tにおける値とする。式(7)にみるように各ミオシンアームの時間幅[T,T+ΔT]における平均伸びLAVRを時刻T+ΔTにおける線維方向ストレッチλの時間微分から計算しているので、収縮力の計算において連続体モデルの運動のフィードバックが強連的にかかり、剛性行列に対しても時間幅[T,T+ΔT]での架橋運動の影響が適切に反映される結果となり、安定した計算が可能となる。
Newton−Raphson反復が収束したら有限要素解析を終了し、図8に戻り、心筋モデル処理部14aは、下記の式(18)を用いて、変数Lsを次の時間ステップでの計算のために更新する(S207)。この更新によりLには時刻T+ΔTまでにバネの伸びLの中ですべり速度が寄与した分が正しく設定し直される。
Figure 0006076760
受付部14dは、サルコメアモデル13bに定義されるT/Tユニット20の状態と遷移、及び、ミオシンヘッド22の状態と遷移の定義を受け付ける。そして、受付部14dは、受け付けた内容を各種のモデルに反映させる。図12〜図18は、実施例に係る受付部が受け付ける情報を説明するための図である。図12の例に示すように、受付部14dは、ユーザ、例えば、心臓を医学的に研究している研究者などによって、入力部11から、T/Tユニット20の状態と遷移を受け付ける画面を表示させる指示が入力されると、次の処理を実行する。すなわち、受付部14dは、T/Tユニット20の状態と遷移を受け付ける画面30を表示部12に表示させる。図12の例は、画面30を介して、「Ca−off」及び「Ca−on」の2つの状態が定義された場合を示す。また、「Initial State」の横のチェックボックスにチェックを入れると、チェックが入れられた状態が、生体シミュレーション処理開始時の状態となる。図12の例は、生体シミュレーション処理開始時の状態が、「Ca−off」であることを示す。
また、図13の例に示すように、受付部14dは、ユーザによって、入力部11から、ミオシンヘッド22の状態と遷移を受け付ける画面を表示させる指示が入力されると、次の処理を実行する。すなわち、受付部14dは、ミオシンヘッド22の状態と遷移を受け付ける画面31を表示部12に表示させる。図13の例は、画面31を介して、「N_XB」、「P_XB」、「XB_PreR」及び「XB_PostR」の4つの状態が定義された場合を示す。また、「Initial State」の横のチェックボックスにチェックを入れると、チェックが入れられた状態が、生体シミュレーション処理開始時の状態となる。図13の例は、生体シミュレーション処理開始時の状態が、「N_XB」であることを示す。また、図13の例に示す画面31は、4つの状態のそれぞれが「Nobinding(非結合状態)」または「Binding(結合状態)」のいずれであるかを設定するためのラジオボタンが設けられている。図13の例は、「N_XB」及び「P_XB」が非結合状態であり、「XB_PreR」及び「XB_PostR」が結合状態であることを示す。
また、図14及び図15の例に示すように、受付部14dは、ユーザによって、入力部11から、関数を定義するための画面を表示させる指示が入力されると、次の処理を実行する。すなわち、受付部14dは、関数を定義するための画面32や画面33を表示部12に表示させる。図14の例は、画面32を介して、状態が「Ca−off」である場合には、「K_NP0」を返し、状態が「Ca−on」である場合には、「K_NP1」を返すようなT/Tユニット20の状態関数knpが定義された場合を示す。また、図15の例は、画面33を介して、状態が「N_XB」である場合には、「0」を返し、状態が「P_XB」、「XB_PreR」及び「XB_PostR」である場合には、「1」を返すようなミオシンヘッド22の状態関数ngが定義された場合を示す。なお、定義された状態関数は、遷移率の定義において参照される。
また、図16の例に示すように、受付部14dは、ユーザが入力部11を操作して、「N_XB」から「P_XB」へ向かう矢印が選択されると、「N_XB」から「P_XB」への遷移率を定義するための画面34を表示部12に表示させる。図16の例は、「N_XB」から「P_XB」への遷移率を定義する場合に、get(TT,knp)によりミオシンヘッド22の直上のアクチン切片を配下とするT/Tユニット20の状態に応じた値を返す関数knpを用いる場合を示す。また、図16の例は、get(MH,ng,−1)及びget(MH,ng,1)によりミオシンヘッド22の左および右隣のミオシンヘッド22上の関数値ngを参照し、GAMMAとして1より大きなパラメータが適用された場合を示す。これにより、近傍のミオシンヘッド22間の協調性が表現される。さらに、xi_overlap()はサルコメア長からきまるアクチンフィラメント21のオーバラップ状態を反映した関数であり、先の図6の例に示す関数χRAと関数χLAとを掛け合わせた関数である。
また、図17の例に示すように、受付部14dは、ユーザが入力部11を操作して、「XB_PreR」から「XB_PostR」へ向かう矢印が選択されると、次の処理を行う。すなわち、受付部14dは、ミオシンヘッド22の回転を伴う、「XB_PreR」から「XB_PostR」への遷移率を定義するための画面35を表示部12に表示させる。図17の例では、遷移がミオシンヘッド22の回転を伴う遷移であれば、「Myosin head swing」の横に存在するチェックボックスがユーザによりチェックされる。また、図17の例では、回転にともなうミオシンアーム24の伸びの増分が、X_SWINGとしてユーザにより入力される。遷移率の定義に際しては、ミオシンヘッド22の元の状態「XB_PreR」のミオシンアーム24の伸びLが関数arm_length()で呼び出される。そして、遷移後の状態におけるミオシンアームの伸びarm_length()+X_SWINGでのミオシンアーム24の弾性エネルギーがspring_energyを呼び出されることにより求められる。そして、遷移後のミオシンヘッド22の内部の化学エネルギーE_XBPostRと足し合わせたトータルエネルギーから定まるボルツマン因子より遷移率rが定められる。
また、図18の例に示すように、受付部14dは、ユーザが入力部11を操作して、「XB_PostR」から「N_XB」へ向かう矢印が選択されると、次の処理を行う。すなわち、受付部14dは、ミオシンヘッド22の解離を伴う、「XB_PostR」から「N_XB」への遷移率を定義するための画面36を表示部12に表示させる。図18は、結合状態から非結合状態への遷移に対しては、ミオシンヘッド22からADPが解離し、新たにATPが結合するものと仮定して、「ATP binding」と、「ADP release」のチェックボックスがユーザによりチェックされた場合を示す。本実施例に係る生体シミュレーション装置10は、上述したようなユーザによる指定をもとして生体シミュレーション実行時に分子の消費量および生成量を計算することができる。
また、受付部14dは、上述の入力で定義されたT/Tユニットとミオシンヘッドの状態と状態間の遷移情報をもとにモンテカルロシミュレーションを実行するコードを自動生成する。図19は、ミオシンヘッドの状態と状態間遷移の定義をもとにモンテカルロステップを実行するコード(モンテカルロコード)を自動生成した結果を示す図である。図19に示すように、かかるコードは、最初に[0,1]間の乱数rを生成し、現状態が何であるかに応じて処理を実行する。もし、現状態が結合状態であれば処理update_XB()により、先のステップS302で説明したように、ミオシンヘッド22の変数(XB、L)を更新する。次に、コードは、N個ある状態のうち現状態に応じて、process_transition_state1、・・・、process_transition_stateNのひとつを実行する。この処理では、乱数rの値に応じてupdate_state()により状態を更新し、update_variables()により先のステップS305で説明したように、遷移の種類に応じた変数の更新を行う。
図19に示すコードと、心筋モデル13aの有限要素コードとを、図8に示す処理のように組み合わせ、心筋モデル13aとの連成解析を通して心拍動のシミュレーションを実行するときの例を図20A及び図20Bに示す。ここでは、左心室のモデルとして図20Bに示す断面を回転して得られる回転対称な連続体を採用している。図20Aは、受付部14dにより表示部12に表示された画面を介して、「# of elements in R」および「# of elements in L」で貫壁方向および長手方向の要素数がユーザにより指定された場合を示す。また、図20Aは、「# of heart beats」で、シミュレートする拍動回数がユーザにより指定された場合を示す。また、図20Aは、「α_base」および「α_apex」で、図20Bの例に示すように、線維方向の分布がユーザにより指定された場合を示す。
図21A〜図21Cは、シミュレーション結果の一例を示す図である。図21Aの例に示すシミュレーション結果は、各拍動での拍出量(Ejection)、拍出量とエネルギーの比(Ejection Fraction)、心筋モデルの成した仕事量(Muscle Work)を出力したものである。さらに、図21Aの例に示すシミュレーション結果では、血液拍出で成した仕事量(Ejection work)、ATP消費量(ATP consumption)、効率(Effeciency)が出力されている。また、図21Bの例に示すシミュレーション結果は、心室内容積と心室内圧力の時間変化および血液拍出に要する仕事率とATP消費率を加水分解エネルギーで換算したものの時間変化を出力したものである。また、図21Cの例に示すシミュレーション結果は、1拍動において、各要素が成した仕事の積算値の時間変化を示したものである。図21A〜図21Cに示すシミュレーション結果から、本実施例に係る生体シミュレーション装置10によれば、サルコメアモデル13bにおける分子レベルの現象と心臓の拍動性能の関係を解析することが可能となる。
上述してきたように、本実施例に係る生体シミュレーション装置10は、生体の筋肉に含まれるサルコメア内の複数のアクチン及び複数のミオシンの複数の状態、及び、複数の状態間の遷移率が定義されたサルコメアモデル13bを用いて、次の処理を行う。すなわち、生体シミュレーション装置10によれば、複数のアクチンのそれぞれの状態及び複数のミオシンのそれぞれの状態を計算する。そして、生体シミュレーション装置10は、複数のアクチンのそれぞれの状態及び複数のミオシンのそれぞれの状態に基づいて、複数のアクチンのそれぞれの挙動及び複数のミオシンのそれぞれの挙動を計算する。それゆえ、生体シミュレーション装置10によれば、複数のアクチン及びミオシンのそれぞれの確率的な挙動を計算することができる。したがって、生体シミュレーション装置10によれば、精緻なシミュレーション結果を得ることができる。
また、本実施例に係る生体シミュレーション装置10は、複数のアクチンのそれぞれの挙動及び複数のミオシンのそれぞれの挙動に基づいて、サルコメアの挙動を計算し、サルコメアの挙動に基づいて、筋肉の挙動を計算する。それゆえ、本実施例に係る生体シミュレーション装置10によれば、筋肉の挙動を計算するシミュレーションと、サルコメアの挙動を計算するシミュレーションとを連成させることができる。
また、本実施例に係る生体シミュレーション装置10は、Δt間隔で、複数のアクチンのそれぞれの挙動及び複数のミオシンのそれぞれの挙動を計算する。そして、生体シミュレーション装置10は、Δtよりも長いΔT間隔で、ΔTの間に計算された複数のサルコメアの挙動に基づいて、筋肉の挙動を計算する。このように、本実施例に係る生体シミュレーション装置10は、ΔTの間に複数回計算された複数のアクチンのそれぞれの挙動及び複数のミオシンのそれぞれの挙動を用いて、筋肉の挙動を計算する。そのため、生体シミュレーション装置10によれば、筋肉の挙動を計算する時間刻みΔTを有限要素解析の都合に合わせて選ぶことができ、心臓の拍動のような秒オーダーの現象を適度な時間で実行することが可能となる。このような時間間隔のギャップがあるにも拘わらす、式(10)に示したようにサルコメアモデルと心筋モデルで仕事量を一致させているので精度の良い連成解析が可能となる。さらに、式(7)で示しているように、時刻T+ΔTでのストレッチ速度から時間幅[T,T+ΔT]でのミオシンアームの平均伸びLAVRを算出しているので、サルコメアモデルと心筋モデルの仕事量が強く連成され適度な大きさの時間ステップΔTでの安定した解析が可能となる。したがって、本実施例に係るシミュレーション装置10によれば、精緻なシミュレーション結果を適切な計算時間内で得ることができる。
また、本実施例に係る生体シミュレーション装置10が扱うサルコメアモデル13bは、アクチンにミオシンが結合している場合には、当該ミオシンの所定範囲内に存在する他のミオシンが、アクチンに結合する状態となる確率が高くなるように定義されている。さらに、直上にあるアクチンフィラメントのオーバーラップ状態に応じて、個々のミオシンヘッドの状態遷移を定義している。すなわち、現実のサルコメアに類似する挙動を示すようにサルコメアモデル13bが定義されている。そして、シミュレーション装置10は、かかるサルコメアモデル13bを用いて、複数のアクチンのそれぞれの状態及び複数のミオシンのそれぞれの状態を計算する。それゆえ、シミュレーション装置10は、現実のサルコメアと類似するような状態を計算することができる。
また、生体シミュレーション装置10は、ミオシンがアクチンに結合した際にミオシンアームが伸びた長さ、ミオシンヘッドの回転によってミオシンアームが伸びた長さ、ミオシンのすべり速度の積分値に基づいて、ミオシンが伸びた長さを計算する。
また、本実施例に係る生体シミュレーション装置10は、サルコメアモデル13bに定義される複数のアクチンの複数の状態及びアクチンの状態間の遷移、並びに、複数のミオシンの複数の状態及びミオシンの状態間の遷移を受け付ける。そして、生体シミュレーション装置10は、受け付けた内容をもとに、モンテカルロステップを実行するモンテカルロコードを生成する。それゆえ、例えば、医学的に心臓の研究をしているがプログラミングが苦手な研究者などのユーザであっても、プログラミングを行うことなく、任意のサルコメアモデルのシミュレーションを行うことができる。
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
また、実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。また、本実施例において説明した各処理のうち、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
また、各種の負荷や使用状況などに応じて、実施例において説明した各処理の各ステップでの処理を任意に細かくわけたり、あるいはまとめたりすることができる。また、ステップを省略することもできる。
また、各種の負荷や使用状況などに応じて、実施例において説明した各処理の各ステップでの処理の順番を変更できる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的状態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
[生体シミュレーションプログラム]
また、上記の実施例で説明した生体シミュレーション装置10の各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することもできる。そこで、以下では、図22を用いて、上記の実施例で説明した生体シミュレーション装置と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図22は、生体シミュレーションプログラムを実行するコンピュータを示す図である。
図22に示すように、コンピュータ300は、マルチコアの複数のCPU310、ROM320、Hard Disk Drive(HDD)330、RAM340を有する。これら310〜340は、バス350を介して接続される。
ROM320には、OSなどの基本プログラムが記憶されている。また、HDD330には、上記の実施例1で示す心筋モデル処理部14a、サルコメアモデル処理部14b、第1の計算部15a、第2の計算部15bと同様の機能を発揮する生体シミュレーションプログラム330aが予め記憶される。なお、生体シミュレーションプログラム330aについては、適宜分離しても良い。
そして、CPU310が、生体シミュレーションプログラム330aを、HDD330から読み出して実行する。
なお、上記した生体シミュレーションプログラム330aについては、必ずしも最初からHDD330に記憶させておく必要はない。
例えば、コンピュータ300に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に生体シミュレーションプログラム330aを記憶させておく。そして、コンピュータ300がこれらから生体シミュレーションプログラム330aを読み出して実行するようにしてもよい。
さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ300に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに生体シミュレーションプログラム330aを記憶させておく。そして、コンピュータ300がこれらから生体シミュレーションプログラム330aを読み出して実行するようにしてもよい。
10 生体シミュレーション装置
13a 心筋モデル
13b サルコメアモデル
14a 心筋モデル処理部
14b サルコメアモデル処理部
15a 第1の計算部
15b 第2の計算部

Claims (6)

  1. コンピュータに、
    生体の筋肉に含まれるサルコメア内の複数のアクチン及び複数のミオシンの複数の状態、及び、該複数の状態間の遷移率が定義されたモデルを用いて、それぞれの前記アクチンについて、前記アクチンに前記ミオシンが結合しているか否かに基づいて前記アクチンの状態を算出し、それぞれの前記ミオシンについて、前記アクチンとの結合状態に基づいて前記ミオシンの状態を算出し、
    算出したそれぞれの前記アクチンおよび前記ミオシンの各状態に基づいて前記ミオシンが伸びた長さを算出し、前記ミオシンが伸びた長さに基づいて、それぞれの前記アクチンおよび前記ミオシンの各状態間の状態遷移を算出し、
    算出したそれぞれの前記アクチンおよび前記ミオシンの各状態間の状態遷移に基づいて、前記サルコメアの仕事を算出し、
    算出した前記サルコメアの仕事に基づいて前記筋肉の収縮力および剛性を算出し、算出した前記筋肉の収縮力および剛性に基づいて、前記筋肉の変位ベクトル、速度ベクトルおよび加速度ベクトルを算出する、処理を実行させ
    前記状態遷移を算出する処理は、前記ミオシンが前記アクチンに結合した際に該ミオシンに含まれるミオシンアームが伸びた長さ、該ミオシンが該アクチンに結合してからの該ミオシンに含まれるミオシンヘッドの回転によって該ミオシンアームが伸びた長さ、及び、前記ミオシンが前記アクチンに結合してから現在までの前記ミオシンのすべり速度の積分値に基づいて、該ミオシンが伸びた長さを算出する、
    とを特徴とする生体シミュレーションプログラム。
  2. 前記状態遷移を算出する処理は、第1の時間間隔で、前記それぞれの前記アクチンおよび前記ミオシンの各状態間の状態遷移を算出し、
    前記変位ベクトル、前記速度ベクトルおよび前記加速度ベクトルを算出する処理は、前記第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔で、該第2の時間の間に算出された複数の前記サルコメアの仕事に基づいて、前記筋肉の収縮力および剛性を算出し、算出した前記筋肉の収縮力および剛性に基づいて、前記筋肉の変位ベクトル、前記速度ベクトルおよび前記加速度ベクトルを算出する、
    ことを特徴とする請求項1記載の生体シミュレーションプログラム。
  3. 前記アクチンの状態及び前記ミオシンの状態を算出する処理は、アクチンにミオシンが結合している場合には、該ミオシンの所定範囲内に存在する他のミオシンが、アクチンに結合している状態となる確率が高くなるように定義された前記モデルを用いて、前記アクチンの状態及び前記ミオシンの状態を算出する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の生体シミュレーションプログラム。
  4. 前記コンピュータに、
    前記モデルに定義される前記複数のアクチンの複数の状態及び該アクチンの状態間の遷移、並びに、前記複数のミオシンの複数の状態及び該ミオシンの状態間の遷移を受け付ける
    処理をさらに実行させることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の生体シミュレーションプログラム。
  5. コンピュータが、
    生体の筋肉に含まれるサルコメア内の複数のアクチン及び複数のミオシンの複数の状態、及び、該複数の状態間の遷移率が定義されたモデルを用いて、それぞれの前記アクチンについて、前記アクチンに前記ミオシンが結合しているか否かに基づいて前記アクチンの状態を算出し、それぞれの前記ミオシンについて、前記アクチンとの結合状態に基づいて前記ミオシンの状態を算出し、
    算出したそれぞれの前記アクチンおよび前記ミオシンの各状態に基づいて前記ミオシンが伸びた長さを算出し、前記ミオシンが伸びた長さに基づいて、それぞれの前記アクチンおよび前記ミオシンの各状態間の状態遷移を算出し、
    算出したそれぞれの前記アクチンおよび前記ミオシンの各状態間の状態遷移に基づいて、前記サルコメアの仕事を算出し、
    算出した前記サルコメアの仕事に基づいて前記筋肉の収縮力および剛性を算出し、算出した前記筋肉の収縮力および剛性に基づいて、前記筋肉の変位ベクトル、速度ベクトルおよび加速度ベクトルを算出する、処理を実行し、
    前記状態遷移を算出する処理は、前記ミオシンが前記アクチンに結合した際に該ミオシンに含まれるミオシンアームが伸びた長さ、該ミオシンが該アクチンに結合してからの該ミオシンに含まれるミオシンヘッドの回転によって該ミオシンアームが伸びた長さ、及び、前記ミオシンが前記アクチンに結合してから現在までの前記ミオシンのすべり速度の積分値に基づいて、該ミオシンが伸びた長さを算出する、
    とを特徴とする生体シミュレーション方法。
  6. 生体の筋肉に含まれるサルコメア内の複数のアクチン及び複数のミオシンの複数の状態、及び、該複数の状態間の遷移率が定義されたモデルを用いて、それぞれの前記アクチンについて、前記アクチンに前記ミオシンが結合しているか否かに基づいて前記アクチンの状態を算出し、それぞれの前記ミオシンについて、前記アクチンとの結合状態に基づいて前記ミオシンの状態を算出する第1の算出部と、
    算出したそれぞれの前記アクチンおよび前記ミオシンの各状態に基づいて前記ミオシンが伸びた長さを算出し、前記ミオシンが伸びた長さに基づいて、それぞれの前記アクチンおよび前記ミオシンの各状態間の状態遷移を算出する第2の算出部と、
    算出したそれぞれの前記アクチンおよび前記ミオシンの各状態間の状態遷移に基づいて、前記サルコメアの仕事を算出し、算出した前記サルコメアの仕事に基づいて前記筋肉の収縮力および剛性を算出し、算出した前記筋肉の収縮力および剛性に基づいて、前記筋肉の変位ベクトル、速度ベクトルおよび加速度ベクトルを算出する第3の算出部と、を有し、
    前記第2の算出部は、前記ミオシンが前記アクチンに結合した際に該ミオシンに含まれるミオシンアームが伸びた長さ、該ミオシンが該アクチンに結合してからの該ミオシンに含まれるミオシンヘッドの回転によって該ミオシンアームが伸びた長さ、及び、前記ミオシンが前記アクチンに結合してから現在までの前記ミオシンのすべり速度の積分値に基づいて、該ミオシンが伸びた長さを算出する、
    とを特徴とする生体シミュレーション装置。
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