JP2008144392A - 消音装置 - Google Patents

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竹田唱一
Yukito Ohigata
大日方幸人
Takeshi Arai
剛 荒井
Naoki Kanbe
神戸直樹
Yoshiyuki Takizawa
滝澤義之
Sukenori Nakamura
中村祐紀
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Abstract

【課題】消音効果につながる回折現象を効果的に発生させると共に、消音装置と騒音源との相対的な位置関係に影響されることなく消音効果を得ることができる消音装置を提供することである。
【解決手段】(1)消音室を備える本体ケーシングの表面に複数の開口を設け、開口の開口縁部から消音室内側へ向かって板状部材を延設する。そして、この板状部材が取り付けられた開口縁部の形状を、鋭利な角形状あるいは丸めた角形状を備えたエッジ形状とする。(2)複数の開口の各開口縁部ごとに、消音室の内部に向かって複数の板状部材を取り付け、特にその複数の板状部材が開口縁部を頂点とした逆V字状の断面形状をなすように取り付け、開口縁部から消音室の内部に向かうにしたがって幅狭となる溝を形成して溝の底部で消音室の内部と外部とを連通する
【選択図】図2

Description

本発明は、主に壁体の上部に取り付けられ、騒音源から発生する騒音を低減させる消音装置に関するものである。
従来、自動車、工事現場、その他の騒音源から発生する騒音を防ぐ手段の一つとして防音壁が良く知られている。透光性の樹脂板や金属製の金属部材からなる壁体を道路脇や工事現場の周囲に設置し、壁の一方で発生する騒音が他方へ直接伝わらないようにするものであり、壁の高さを高くするほど遮音効果が上がるとされ、都市部では建物の高層化もあって防音壁はますます高くなる傾向にある。しかしながら、防音壁を高くすると建設コスト・維持管理コストの上昇が伴うと共に、防音壁近隣に与える日照障害や景観を損なうといった問題も発生するため、出来る限り壁の高さを上げずに遮音性を高める試みがなされている。
例えば下記特許文献1には、防音壁の上部に取り付ける消音装置であって、音波反射板と、回折抑制板と、音波干渉器とを備え、騒音源から到達する騒音音波を音波反射板と回折抑制板の両作用により音波干渉器内部に導いて音波のエネルギーを低減させる装置が開示されている。同提案は、防音壁の上部で回折し壁の裏側へ回り込もうとする音波を回折抑制板で捕らえ、回折抑制板に沿って音波干渉器内部に導くものであり、回折抑制板で捕らえられなかった音波は楕円形状の音波反射板で反射させることによって音波干渉器内部に導くものである。
特開2005−31599号
上記先行技術では、断面が楕円の一部となる音波反射板と、回折エッジを備える回折抑制板とで音波入射面を形成し、音波入射面に入り込んだ騒音音波が回折エッジに衝突することで回折現象を起こすようにしており、ここで回折現象が発生してはじめて回折抑制板は騒音音波を捕らえることができる。したがって回折抑制板の回折エッジ部で回折を引き起こすことは、消音効果を得る上で重要な要素である。しかしながら、この点に関して上記先行技術では回折エッジとあるだけで、回折現象を効果的に発生させる構造や形状についての着眼は認められなかった。
また、上記先行技術では、回折抑制板の回折エッジに衝突せず通過した音波を音波反射板で捕らえるようにしているが、その音波反射板は楕円形状の断面を備えるものであるとしており、更に音波反射板と回折抑制板との位置関係が騒音源の位置を含めて決定付けられていた。従って、音波反射板を楕円形に形成するための金型を必要とし、製造コストが嵩むという問題を抱えている上に、騒音源の位置が予め設定した設計上の理想位置から外れた場合に十分な消音効果を得ることができないという問題があった。
本発明はこのような点に対処してなされたものであり、その課題とするところは、防音壁等の上部に設置し、音波の回折と反射の両現象を利用することで騒音音波を捕捉して消音する装置であって、消音効果につながる回折現象を効果的に発生させると共に、消音装置と騒音源との相対的な位置関係に影響されることなく消音効果を得ることができる消音装置を提供できないかという点にある。
本発明は、上記課題を解決するために、(1)騒音源から到達する騒音の音圧を低減する消音装置において、内側に所定容積の空間を備える本体ケーシングと、前記本体ケーシングの内側空間に吸音材を収容してなる消音室と、前記本体ケーシングの表面に複数設ける開口と、該開口の開口縁部から前記消音室の内部に向かって延設する板状部材とを備え、前記開口の開口縁部の断面形状を、音波の回折現象を発生させる角を備えるエッジ形状にしたことを特徴とする消音装置を提案する。
なお上記提案の消音装置は、開口縁部の断面形状を鋭利な角形状としたり、丸めた角形状とすることが望ましい。また、上記板状部材は、その断面形状を連続した曲線形状としたり、あるいは直線を細かく連続的に折り曲げて形成した近似的な曲線としたり、少なくとも1箇所の折り曲げ部分を有する平板で構成してもよい。
また、(2)騒音源から到達する騒音の音圧を低減する消音装置において、内側に所定容積の空間を備える本体ケーシングと、前記本体ケーシングの内側空間に吸音材を収容してなる消音室と、前記本体ケーシングの外側面に複数設ける開口と、該開口の各開口ごとに、開口縁部から前記消音室の内部に向かって延設する複数の板状部材とを備え、前記開口縁部ごとに取り付ける複数の板状部材が、開口縁部を頂点とする略逆V字状の断面形状をなし、開口縁部から消音室の内部に向かうにしたがって幅狭となる溝を形成して溝の底部で消音室の内部と外部とを連通することを特徴とする消音装置を提案する。
上記(1)提案の本発明では、消音室を備える本体ケーシングの表面に複数の開口を設け、開口の開口縁部から消音室内側へ向かって板状部材を延設している。そして、この板状部材が取り付けられた開口縁部の形状を、角を備えたエッジ形状としている。したがって、騒音源から騒音音波が到達すると、開口縁部に衝突して角の部分で効果的に回折現象を発生させることができ、回折した音波を板状部材の表面に沿わせて消音室に導いて消音効果を得ることができる。特に、角の形状を鋭利にすることによって、より確実に回折現象を発生させることが可能になるが、丸めた角形状としても回折現象を発生させることが可能である。丸めた角形状とした場合には、回折現象を発生させる効率は低下するものの鋭利なエッジ部分を無くして安全性を高めることができる。
また、上記板状部材の断面形状を連続した曲線形状とすることで、開口縁部において回折させた騒音音波を消音室の内部へ効率良く導くことが可能であり、更には板状部材の断面形状を近似的な曲線としても騒音音波を消音室内へ導く効果を得ることができる。近似的な曲線とは、直線を連続的に細かく多数折り曲げることによって形成した曲線を指し、その場合、多数現れる折り曲げ部分の頂点が目的とする曲線を描くことになる。従って、板状部材の実際の断面形状は連続的な曲線ではなく、短い直線線分が角度を変えながら繋がった不連続な曲線となるが、開口縁部で回折現象を起こした音波を連続した曲線と遜色なく消音室内へ導くことができる。この場合、板状部材を板金加工機械によって折り曲げ加工処理することが可能になり、曲線形状を与えるための金型が不要になって製造コストの低減に大きく寄与することかできる。また、上記板状部材は少なくとも1箇所を屈曲させた平板で構成しても上記のような騒音音波を消音室内へ導く効果を得ることができる。この場合、板状部材に対する折り曲げ加工工程を減らすことができ、製造コストの大幅な低減が可能になる。
上記(2)提案の本発明では、消音室を備える本体ケーシングに設けた複数の開口の各開口縁部ごとに、消音室の内部に向かって複数の板状部材を取り付けており、特にその複数の板状部材が開口縁部を頂点とした逆V字状の断面形状をなすように取り付け、開口縁部から消音室の内部に向かうにしたがって幅狭となる溝を形成して溝の底部で消音室の内部と外部とを連通する。それにより、開口縁部には複数の板状部材の端部を合わせた尖ったエッジ状の端部を形成し、本体ケーシングの外側に対して広い開口面積を確保しながら消音室の内部に向かうにしたがって開口面積を徐々に狭めることができる。したがって、外部から到来した騒音音波は、開口から入り込んだ後に徐々に狭まる溝の壁面で反射を繰り返しながら消音室内に入り込むことになり、騒音音波がいったん消音室内に入り込むと、本体ケーシング表面の開口面積に比べて消音室の内部から外部に対する開口面積が小さいため、外部への騒音音波の漏れ出しを抑制することができる。
そして上記提案の本発明は、騒音源と消音装置との相対的な位置関係は消音動作に一切影響しないため、騒音源の位置に関係なく消音効果を得ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明第1実施例に関わる消音装置の使用状態を示す説明図である。1は本発明の消音装置であり、この消音装置は、防音壁20の上部に壁の横幅方向にわたって載置した状態で設置する。その全体的な構成は、扇形の縦断面形状をもつ横長中空構造の本体ケーシング2と、その本体ケーシング2表面に形成された横長形状の複数の開口6とからなり、本体ケーシング2の内部にはその開口6から取り込んだ騒音音波のエネルギーを低減させる消音室が設けられている。防音壁20の上部に設置する際には、消音装置本体を横から見たときに扇形の弧の部分が騒音源の方を向くように取り付け、弧に沿って形成した複数の開口6が騒音源の発する音波を受ける方向に向ける。騒音源(図示しない)が発する騒音音波のうち防音壁20に当たったものは騒音源の方向に反射するが、騒音に含まれる低音域の音波の波長は防音壁20の高さに対して十分に長いため(防音壁の高さを約2メートルとしても、例えば100ヘルツの音波の波長は大体3.4メートル)、防音壁20の上部において回折現象を起こして壁の裏側に回り込む。このとき、防音壁20の上部には消音装置1が取り付けられているため、壁の裏側に回り込もうとする音波を捕らえて前記開口6から消音室内へと導き、そこで音波のエネルギーを低減して消音化を図るのである。もちろん、騒音源から消音装置1に直接到達した騒音音波についても捕捉して消音することが可能である。
次に図2を基にして消音装置1の構造について詳細に説明する。図2は消音装置1の縦方向の断面を示す説明図である。3は本体ケーシング2の底面を構成する底板であり、4は本体ケーシング2の背面を構成する背板である。図2には全て現れていないが、本体ケーシング2の両端には扇形の側板5a・5bを具備しており、この両側板と、底板3と、背板4とで本体ケーシング2の側面、底面、背面を形成し、上部から前部にかけての表面に側板5a・5bの弧の形に沿って開口6が複数設けられている。
ところで、開口6は異なる形状の2つの部材によって構成されている。図2に示すように、複数設けられる開口6は、反射板7(特許請求の範囲に記載の板状部材)と音波導入板8(特許請求の範囲に記載の板状部材)が取り付けられることによって横長の開口形状が形作られると共に、その開口縁(特許請求の範囲に記載の開口縁部)12が形成される。更に、反射板7と音波導入板8とで隙間を形成するようにして消音室9につながる音波導入口10を設けている。また、消音室9は、底板3と、背板4と、側板5a・5bと、反射板7と、音波導入板8とで構成される空間にグラスウール等の繊維質材やウレタン等の多孔質材からなる吸音材11を充填して構成している。こうして構成される消音装置1に到達した騒音音波は、開口6の開口縁12に衝突して回折現象を起こし、開口12を新たな音源として音波導入板8の表面に沿って回折しながら音波導入口10から消音室9に入り込むのである。消音室9に入り込んだ騒音音波は消音室内で乱反射を繰り返すことによって反射波同士がエネルギーを打ち消し合ったり、あるいは吸音材11に衝突して音波の持つエネルギーが低減される結果、騒音音波の音圧エネルギーが大幅に減少して消音効果が得られるのである。
次に反射板7の形状について説明する。図2に示すように反射板7は曲線の断面形状を備えており、具体的には楕円曲線を描くように形成されている。そして反射板7の楕円形状の焦点位置を基準にして、音波導入板8の位置決めと、図中の下側に隣接する開口6の反射板7の位置決めを行っている。すなわち、反射板7の(楕円の)第1の焦点f1の位置に音波導入板8の一端が位置するようにして開口縁12とし、反射板7の第2の焦点f2の位置に音波導入板8の他端が位置するようにして音波導入口10としている。また、上記第1の焦点位置に相当する開口縁12には、下側に隣接する開口6を構成する反射板7の一端を合わせており、楕円曲線を描きながら消音室9内側へ縁設した反射板7の他端によって音波導入口10を形成している。こうした構造とすることで、騒音音波が開口縁12に衝突してホイヘンスの原理によりそこに新たな音源が発生し、発生した音波が球面波として開口縁12から反射板7に向かったとき、反射板7で反射させて音波導入口10へと集めることができる。また、音波導入板8が取り付けられることで、開口6の開口面積に対して音波導入口10の開口面積が小さくなるため、消音室9の内部に入り込んだ音波が再び消音室の外部に向かって漏れ出す可能性を少なくすることができる。
反射板7に与える楕円形状は、図3に示すように、金型を用いるなどして平板を楕円形に形成した連続楕円曲線と(図3(a))、板金加工機械によって平板を細かく折り曲げ加工して形成した近似的な楕円曲線(図3(b))の何れを採用しても良い。連続した楕円曲線にした場合には、その焦点f1およびf2の範囲がより狭い範囲で正確になり、擬似的な楕円曲線にした場合には、焦点f1・f2の範囲が若干広がってあいまいになるものの、両者の差は消音効果を得る上で十分に許容できる程度のものである。
次に図4、図5を基にして開口縁12の断面形状について説明する。図4、図5は図2に示す開口縁12を拡大したものであり、図2に示す消音装置1の断面方向と同じ断面方向を表している。開口縁12は、反射板7と音波導入板8のそれぞれの端面の位置を揃えると共に角を持つエッジ形状を備えており、騒音源から到来した音波がこの開口縁に衝突した際に角の部分で回折現象を起こし易いようにしている。図4は角の形状として鋭利なピン角形状を与えた例であって、反射板7と音波導入板8を揃えて形成したエッジの角の部分がいわゆるピン角となっている。なお、図4の(a)(b)は何れもピン角を備えた例であるが、図4(a)は反射板7と音波導入板8を露出させて板材そのものの角を鋭いピン角に形成しており、図4(b)は反射板7と音波導入板8を揃えたエッジの部分にキャップ部材13を嵌着し、キャップ部材13の外面をピン角に形成している。図4(b)では、キャップ部材13を嵌めた分だけエッジの厚みが増すことになり、回折を引き起こすという点では若干不利となるが、キャップ部材13の材質を樹脂等にすることにより受傷事故の発生を減らすことができる。
図5は角の形状として丸めた角形状を与えた例であって、反射板7と音波導入板8を揃えて形成したエッジの角の部分に丸みを与えている。図5(a)は反射板7と音波導入板8を露出させて板材そのものの角に丸みを与えており、図5(b)は反射板7と音波導入板8を揃えたエッジの部分にキャップ部材13を嵌着し、キャップ部材13の外面を丸めた角形状としている。図5(a)は角の形状を丸めて安全性を高めながらも、エッジの厚みを反射板7と音波導入板8を合わせた板材の厚み寸法に抑えることができ、回折現象を有効に発生させることができる。図5(b)では、上記同様、キャップ部材13を嵌めた分だけエッジの厚みが増すことになり、回折現象誘引の点では若干不利となるが、キャップ部材13の材質を樹脂等にすることにより受傷事故の発生を減らすことができる。なお、この図5に示す例では角の部分に与える丸み形状として滑らかに連続する曲線形状としているが、角の部分を平面的におとすいわゆる面取り加工を施しても良い。また面取り加工を細かく連続的に施して近似的な曲線形状としても良い。
次に本発明の消音動作について説明する。まず、図示しない騒音源から発生して消音装置1に到達した騒音音波は、本体ケーシング2の前部から上部にかけて設けられた複数の開口6において、開口縁12のエッジに衝突してホイヘンスの原理による回折現象を起こす。回折現象が発生した開口縁12では、そこが新たな音源となって音波導入板8の表面に沿って音波が回折しながら開口の奥に向かって進行し、音波導入口10に達して消音室9の中に入り込む。消音室9の内部に入った音波は吸音材11に衝突してエネルギーを消耗したり、あるいは消音室内で乱反射を繰り返すことで互いにエネルギーを打ち消し合う位相のずれた波同士が出会い、結果として騒音源が放った騒音エネルギーが低減される。なお、複数の開口6が本体ケーシング2の前部から上部に連続して並んでいるため、騒音源から到達した騒音音波は最初に本体ケーシング前部に位置する開口に達し、開口縁に衝突した音波が回折するのであるが、回折を起こさずに進んだ音波は1つ上の開口に達しそこの開口縁に衝突して回折を起こし、以降同様にして各開口で回折を起こさずに漏れた音波は1つ上に位置する開口に達して回折現象の発生動作を繰り返す。またこのとき、各開口の音波導入板8で回折を起こさずに通過した音波の一部は反射板7に当たって焦点f2である音波導入口10に向かって反射する。その結果、回折の作用だけでなく反射の作用によっても音波を消音室内に導くのである。
本発明の第1実施例は以上のように構成されるが、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内で種々の実施が可能である。例えば、反射板7に与える曲線形状は上記実施例では楕円としているが、他にも円、放物線、双曲線といった曲線を採用することもできる。その場合、曲線の焦点を音波導入口10の位置に合わせることが望ましい。
次に本発明の第2実施例について図6を基に説明する。第2実施例は、第1実施例に対して反射板7の断面形状の点で異なっており、その他は第1実施例と同じ構造を採用している。この第2実施例では、反射板7を平らな板材で構成しており、その平板を屈曲部14で折り曲げて略「く」字状の断面形状を与えている。反射板7をこうした形状としても、開口縁12に発生した新たな音源から届く騒音音波や、騒音源から直接到来する騒音音波を音波導入口10に導くことができる。この場合、反射板7は焦点を持たないため、開口縁12の取付位置や音波導入口10の取付位置との間に特に関係は存在せず、比較的自由な設計を行うことが可能である。なお、屈曲部14は1箇所に限定されるものではなく、複数箇所でまた適宜位置で折り曲げても良い。
次に本発明の第3実施例について図7を基に説明する。第3実施例は、上記の第1実施例、第2実施例に対して反射板7の断面形状と取付構造の点で異なっており、その他は同じ構造を採用している。この第3実施例では、反射板7を平らな板材で構成すると共に、各開口6の開口縁12に対して2枚の反射板7を逆V字状に取り付けている。特に開口縁12の部分で2枚の反射板7が鋭角をなすように固定し、隣接する開口の開口縁12から延設される反射板7と相俟って消音室9に向かって徐々に幅狭となる溝構造を形成し、溝の底部分に相当する反射板7の消音室9側の端部において音波導入口10を形成している。こうした構造により本体ケーシング2の表に現れる開口6からケーシング内側の音波導入口10に向かって開口面積が徐々に小さくなるようにすると共に、開口縁12のエッジを尖ったくさび状に形成している。それにより、外部の騒音源から本装置に到達した騒音音波は、開口縁12に衝突してホイヘンスの原理による新たな音源を発生し、同時にそこを回折点として反射板7の表面に沿って伝わり、音波導入口10から消音室9の内部に入り込む現象を起こすと共に、開口縁12に衝突せずに開口6に直接飛び込んだ騒音音波は、音波導入口10に近づくにつれ徐々に狭まる(向かい合った2枚の)反射板7の表面で反射を繰り返しながら消音室9の中に導かれるようにして入り込み、そこで消音が行われる。また、開口6に直接飛び込んでくる騒音音波は、向かい合った2枚の反射板7の間隔が徐々に狭まっているために音波導入口10に近付くにつれて音圧が高まり、音波導入口10に達したところで高まった音圧の作用で一気に消音室9の中に入り込む現象が発生し、高まった圧に付勢された状態で音圧を開放しながら吸音材11に衝突するので、消音室内における騒音音波の乱反射を促進して消音効果が高まる。ところで、この第3実施例においても、本体ケーシング2の表に現れる開口6の開口面積に対して音波導入口10の開口面積が小さくなっているため、消音室9の内部に入り込んだ音波が再び消音室の外部に向かって漏れ出す可能性は少ない。
なお、図示しないが、この第3実施例でも開口縁12のエッジ形状については第1実施例と同じように鋭利な角形状や丸めた角形状とすることが望ましい。
本発明第1実施例に関わる消音装置の使用状態を示す説明図である。 本発明第1実施例に関わる消音装置の縦方向断面を示す説明図である。 本発明第1実施例の反射板7に与える曲線形状についての説明図である。 鋭利な角形状を備える開口縁を示す説明図である。 丸めた角形状を備える開口縁を示す説明図である。 本発明第2実施例に関わる消音装置の縦方向断面を示す説明図である。 本発明第3実施例に関わる消音装置の縦方向断面を示す説明図である。
符号の説明
1 消音装置
2 本体ケーシング
3 底板
4 背板
5a、5b 側板
6 開口
7 反射板(板状部材)
8 音波導入板(板状部材)
9 消音室
10 音波導入口
11 吸音材
12 開口縁
13 キャップ部材
14 屈曲部
20 防音壁

Claims (7)

  1. 騒音源から到達する騒音の音圧を低減する消音装置において、
    内側に所定容積の空間を備える本体ケーシングと、
    前記本体ケーシングの内側空間に吸音材を収容してなる消音室と、
    前記本体ケーシングの表面に複数設ける開口と、
    該開口の開口縁部から前記消音室の内部に向かって延設する板状部材とを備え、
    前記開口の開口縁部の断面形状を、音波の回折現象を発生させる角を備えるエッジ形状にしたことを特徴とする消音装置。
  2. 前記開口縁部の断面形状に鋭利な角形状を含むことを特徴とする請求項1記載の消音装置。
  3. 前記開口縁部の断面形状に丸めた角形状を含むことを特徴とする請求項1記載の消音装置。
  4. 前記板状部材の断面形状が連続した曲線であることを特徴とする請求項1記載の消音装置。
  5. 前記板状部材の断面形状が、直線を連続的に折り曲げて形成した近似的な曲線であることを特徴とする請求項1記載の消音装置。
  6. 前記板状部材が少なくとも1箇所の屈曲部を有する平板であることを特徴とする請求項1記載の消音装置。
  7. 騒音源から到達する騒音の音圧を低減する消音装置において、
    内側に所定容積の空間を備える本体ケーシングと、
    前記本体ケーシングの内側空間に吸音材を収容してなる消音室と、
    前記本体ケーシングの外側面に複数設ける開口と、
    該開口の各開口ごとに、開口縁部から前記消音室の内部に向かって延設する複数の板状部材とを備え、
    前記開口縁部ごとに取り付ける複数の板状部材が、開口縁部を頂点とする略逆V字状の断面形状をなし、開口縁部から消音室の内部に向かうにしたがって幅狭となる溝を形成して溝の底部で消音室の内部と外部とを連通することを特徴とする消音装置。
JP2006330242A 2006-12-07 2006-12-07 消音装置 Pending JP2008144392A (ja)

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