JP2005031599A - 反射板式消音装置 - Google Patents
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Abstract
【構成】 断面が焦点を有する楕円の一部となる音波反射板と、該音波反射板の第1の焦点を回折エッジとする回折抑制板と、前記音波反射板の第2の焦点近傍へ達する音波を集束する音波集束器と、該音波集束器を介して導入された音波の波動エネルギーを低減する音波干渉器とから成り、騒音源と前記音波反射板とを前記回折抑制板を含む平面で2分するとき、前記音波反射板側を表側とし前記騒音源側が裏側となるように前記回折抑制板を傾斜させたことを特徴とする反射板式消音装置。
【選択図】 図1
Description
音の発生源から空気粒子の運動として伝播される音波の波動エネルギーは、全方向に等しい確率で均一に放射されるものと考えられる。音波放射体から放射され側方周辺へ拡散される音波は、側方周辺に設けられた反射板式消音装置の音波入射面へ入射する。入射される音波の一部は回折エッジに衝突し、回折エッジを新たな音波発生源のようにして回折エッジ後背、すなわち回折抑制板と音波反射板で挟まれた空間内へ回り込む。回折エッジと楕円面の第1の焦点は同位置であり、第1の焦点から楕円面で成る音波反射板へ入射された音波は、反射され第2の焦点へ進む。一方、回折エッジ上方を直進して音波反射板へ直接入射された音波は、反射して第2焦点の近傍へ進む。
回折エッジを回折して進む音波と回折エッジの上方を直進して進む音波の2つのルートを進む音波は、それぞれ音波反射板で反射され、音波反射板と音波干渉器間に設けられた音波集束器によって音波の波束密度が高められ、スリット状の狭い開口から音波干渉器内へ導入される。
音波干渉器内で多重反射をくり返す音波は、伝播媒体となる空気の粘性抵抗や多孔性材料との摩擦などでエネルギーが熱変換されるとともに、音波干渉器内の任意の位置で多数の周波数成分によって構成される音波のうち、共通の同期振動の運動特性を有する同一周波数成分の音波と逆位相関係で干渉し合う位置が生じ、干渉し合うたびごとに音波の波動としてのエネルギーは波動吸収される。
音波の波動としての空気粒子の振動は、密度が小さく透過損失のきわめて小さい多孔性材料内をくぐり抜けるとき各所で散乱がくり返されるため、波動としての振動の方向性が次第に乱雑となり、ついには振動の方向性のランダムな音波となって次々と伝播していく。このように音波干渉器内では多数の周波数成分によって構成される各周波数の音波は、それぞれランダムな方向性の失われた空気粒子の振動の音波に変換される。
このように、回折エッジと音波反射板の先端エッジ部で挟まれた面に向けて放射された音波は、たとえ過渡的あるいは一過性であったり、過大なレベルであったり、コンパクトな装置ではなかなかはかばかしい効果の得られないような波長の長い低い周波数の音波のようなものであっても確実に捕捉されて、ちょうど吸音率が高く容積の大きな部材によって効率よく吸収されたような状態で、音波の波動エネルギーは効果的に低減される。
本発明の実施例1を、図1、図2,図3に基づいて説明する。
図1は、実施例1の構成および作用を示す図、図2は実施例1の作用を示す断面図、図3は実施例1の斜視図である。実施例1は、本発明を自動車道の防音壁として用いたものである。
図1,図2において、音波反射板1は、反射面を長方形の平板を曲げて第1および第2の2つの焦点を有する楕円面の形状とし、高い反射率の部材から成る音波反射板である。回折抑制板2は、音波反射板1の反射面に対向して設置され回折波の拡散を抑制する平板で、回折抑制板2の先端は回折エッジ3として音波反射板1の第1の焦点の位置に設定され、回折抑制板2の後端は回折エッジ3と音波反射板1の後端を含む面と、音波反射板1の先端と第2の焦点4を含む面との交わる交線に接している。音波集束器5は、先端となる音波導入側が広く開口し後端となる音波集束側がスリット状に狭められた筒状を成し、音波導入側の先端はそれぞれ音波反射板1の後端と回折抑制板2の後端に接続し、音波集束側の後端スリット開口部は音波干渉器6の音波導入口7に接続される。音波干渉器6は、音波集束器5の裏面と反射板式消音装置本体の背壁面とによって構成され、音波干渉器6の内部には多孔性材料8が挿入されている。9は回折抑制板2を含む平面であり、10は騒音源としての音波放射体、11は防水スクリーン、12は防音壁、Sは騒音源である。
実施例1の本発明による反射板式消音装置は、道路端両サイドに設けられた防音壁12の上部に、共通の音波干渉器6と複数個の音波入射面をそれぞれ内側に並列に並べて騒音の捕捉面積を拡大し、腰の部分からくの字に折り曲げ、上端が外側へ開くように傾斜させて、入射された騒音の捕捉効率が高まるように設置されている。
図3で示す自動車道より沿道周辺へ拡散される騒音の主たる発生源の一つに路面とタイヤから発生する騒音が挙げられる。路面とタイヤから発生する騒音を騒音源Sとし、この騒音源Sを音波放射体10としたとき、音波放射体10より全方向に等しく放射状に放射された騒音による音波のうち、音波反射板1の先端と回折抑制板2の先端で挟まれた音波入射面に入射し、音波反射板1と回折抑制板2で挟まれた空間に入り込む音波は、大別すると、回折エッジ3を回折して入射する音波と回折エッジ3の上方を直進して入射する音波の2つに分けられる。
回折エッジ3を回折して入射された騒音による音波は、回折エッジ3が音波反射板1の第1の焦点上に設定されているため、音波反射板1で反射され、第2の焦点4へ集められる。回折エッジ3の上方を直進して入射された騒音による音波は、音波反射板1の第1の焦点をわずかにずれた方位から入射された音波であるため、音波反射板1で反射されたのち、音波集束器5の壁面で反射、集束されて第2の焦点4近傍へ進む。第2の焦点4および第2の焦点4近傍へ集められた音波は、スリット状の音波導入口7より音波干渉器6内へ導入される。
音波干渉器6内にとじ込められた音波は、密度が小さく透過損失の小さいグラスウールなどによる多孔性材料8内を次々に伝播し、さらに音波干渉器6の背壁面あるいは回折抑制板2の裏面などでいく重にも反射、伝播をくり返す。音波干渉器6内で散乱、反射をくり返しながら拡散する音波は、空気の粘性抵抗などでエネルギーが熱変換されるとともに、音波干渉器6内の各所でさまざまな異なる経路を伝播してきた音波と干渉し合う。これら干渉し合う音波の伝播性状が逆位相関係であり、空気粒子の振動の方向性がランダムであると、騒音による音波の波動としてのエネルギーは広い周波数帯域にわたって大きく低減される。
実施例2を図4に基づいて説明する。
図4は、実施例2の断面図である。実施例2は、本発明を回折音低減装置として用いたものである。図1,図2,図3と共通の部分は、共通の符号を付してある。
実施例2の本発明による反射板式消音装置は、防音壁12の上部に複数個の音波反射板1を、それぞれの音波反射板1の先端がたがいに平行で、かつ、それぞれの先端を含む面が円筒の一部となる曲面の形状とし、防音壁12の上部をつつみ込むように設置して、防音壁12の上端部を新たな発音源のようにして裏側へ回り込む回折音の伝播エネルギーを低減するものである。
騒音源Sとなる音波放射体10から全方向に等しく放射された音波のうち、防音壁12の先端に取り付けられた反射板式消音装置の方向へ放射された音波は、それぞれの音波反射板1の先端と回折抑制板2の先端で挟まれた音波入射面に入射し、それぞれの音波反射板1と回折抑制板2で挟まれた空間に入り込む。
以下、それぞれの回折エッジ3を回折して入射された騒音による音波と、それぞれの回折エッジ3の上方を直進して入射された騒音による音波とが、共通の音波干渉器6内へ導入され、騒音による音波の波動としてのエネルギーが粘性抵抗などで熱変換され、音波干渉によって波動吸収されるまでの各部の動作は、上述の実施例1の場合と同様であり、回折音の伝播エネルギーは、本発明の回折音低減装置の上端部を回折して裏側へ回り込む直前に、捕捉されて弱められる。
実施例3を図5に基づいて説明する。
図5は、実施例3の断面図である。実施例3は、本発明を送風機騒音低減装置として用いたものである。図1,図2と共通の部分は、共通の符号を付してある。
13はダクト、14は軸流ファンの開口面、15はダクトの開口面、16はウインドスクリーンである。
実施例3の本発明による反射板式消音装置は、共通の音波干渉器6と軸流ファンの軸を回転軸とする回転楕円面を用いた複数個の音波反射板1をたがいに平行に重ね合わせたものとから成り、ダクト13の内壁面を音波干渉器6の背壁面とするとともに、軸流ファンの開口面14に接合されている。
軸流ファンの開口面14が主たる騒音の発生源として音波放射体10とするとき、音波放射体10の面をごく小さな面に分割して着目すると、細かく分割された各面からは、それぞれ全方向に等しく音波が放射される。ダクト13の内壁面に取り付けられた反射板式消音装置の方向へ放射された音波は、それぞれの音波反射板1の先端と回折抑制板2の先端で挟まれた音波入射面に入射し、それぞれの音波反射板1と回折抑制板2で挟まれた空間に入り込む。
以下、それぞれの回折エッジ3を回折して入射された騒音による音波と、それぞれの回折エッジ3の上方を直進して入射された騒音による音波とが、共通の音波干渉器6内へ導入され、騒音による音波の波動としてのエネルギーが粘性抵抗などで熱変換され、音波干渉によって波動吸収されるまでの各部の動作は、上述の実施例1の場合と同様である。
[{L2+(D/2)2}1/2×L]
: [L2+(D/2)2−{L2+(D/2)2}1/2×L]
で表される。
たとえば、ダクトの長さLと、軸流ファンの開口面14およびダクトの開口面15の内径DとをL=Dと等しくすると、軸流ファンの開口面14の中心部から放射される騒音の波動としてのエネルギーは、89%がダクト13の内壁面へ向かい、残り11%が直接ダクトの開口面15へ向かうという結果が得られる。
仮に、放射された騒音の全エネルギーの89%近くが確実に捕捉されてその大部分が消滅するものとすれば、騒音の発生源と一体とみなせるほど近接させた位置で、騒音のエネルギーをおおむね1/10近くにまで低減できることになる。言うまでもなく、各部の動作機能や効率の劣化があることを考慮したとしても、ダクトの開口面15から大気中に放射される騒音の大きさは、ダクト13の内壁面に設けられた反射板式消音装置の機能や性能の優劣によって大きく影響されるものとなる。
実施例4を図6に基づいて説明する。
図6は、実施例4の断面図である。実施例4は、本発明を指向性スピーカとして用いたものである。図1,図5と共通の部分は、共通の符号を付してある。
17はフード、18はスピーカ音放射面である。
実施例4の本発明による反射板式消音装置は、共通の音波干渉器6と、長方形の平板を曲げて楕円面とする音波反射板1を複数個たがいに平行に重ね合わせたものとで反射板式消音ユニットを構成し、四角形の筒状フード17の各内壁面をそれぞれ共通の音波干渉器6の背壁面とし、フード17はスピーカ音波放射面18に接合されている。
実施例4は、実施例3のダクト13および軸流ファンの開口面14が、フード17およびスピーカ音放射面18に置き換えられたものと同様のものであり、指向性を有するスピーカ音を放出すものである。
スピーカ音放射面18の近傍を主たる音波放射体10とするとき、音波放射体10から放射された音波は、フード17の内壁面に設けられた反射板式消音装置の方向へ向かう音波と、フード17の開口面の方向へ向かう音波とに分けられる。音波放射体10より放射されフード17の内壁面の方向へ向かう音波の波動エネルギーは、上述の実施例1の場合と同様に、側方に設けられた反射板式消音装置によって捕捉され、フード17の開口面の方向へ向かう音波の波動エネルギーは、音波伝播の媒体を担う空気粒子の振動がおおむね共通の方向性を有する波束となり、伝播方向がフード17の開口面に対して垂直方向へほぼ均一化された波面となって直進する。
本発明の反射板式消音装置の取り扱うことのできる音は、高低いずれの音でもよく、特に低い周波数の低減効果は他に例を見ないほどであり、音量レベルの大小についてはまったく制限はなく、一過性の衝撃音のような音であっても瞬時に、確実に処理できる。また、騒音の位置や距離については遠近いずれでもよく、騒音源からの音波の進行方向が特定されさえすれば、どのような騒音源であっても対応は可能である。
さらに、吸排気用マフラーのような空洞消音構造の必要な場合は、通気路の長さを短縮化し、圧力損失によるロスを軽減することができるため、エンジンなどのエネルギーの変換効率が改善され、省エネ対策としても大いに期待できる。
なお、音の拡散を抑制する機能を利用して、指向性スピーカを得ることができるため、ハウリングのない双方向同時通話機器などへの応用も可能である。
2 回折抑制板
3 回折エッジ
4 第2の焦点
5 音波集束器
6 音波干渉器
7 音波導入口
8 多孔性材料
9 回折抑制板を含む平面
10 音波放射体
11 防水スクリーン
12 防音壁
13 ダクト
14 軸流ファンの開口面
15 ダクトの開口面
16 ウインドスクリーン
17 フード
18 スピーカ音放射面
S 騒音源
Claims (2)
- 騒音を音波反射板と音波干渉器とによって波動吸収する反射板式消音装置において、断面が焦点を有する楕円の一部となる音波反射板と、該音波反射板の第1の焦点を回折エッジとする回折抑制板と、前記音波反射板の第2の焦点近傍へ達する音波を集束する音波集束器と、該音波集束器を介して導入された音波の波動エネルギーを低減する音波干渉器とから成り、騒音源と前記音波反射板とを前記回折抑制板を含む平面で2分するとき、前記音波反射板側を表側とし前記騒音源側が裏側となるように前記回折抑制板を傾斜させたことを特徴とする反射板式消音装置。
- 複数個の音波反射板と共通の音波干渉器とから成ることを特徴とする請求項1記載の反射板式消音装置。
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