JP2008144067A - テープ状成形シーリング材 - Google Patents

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一博 河野
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真起 岡田
Takashi Sugiki
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Yuichi Nishida
雄一 西田
Kazuhiko Yoshizumi
和彦 吉住
Yoshio Kishimoto
芳男 岸本
Shigehisa Mori
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Abstract

【課題】 気泡による大きな膨れやその破裂による窪みの形成を防止すると共に、気泡によるシーラー層を貫く通路の形成や鋼板段差部分がシールできないという問題も解消された、優れたシーリング効果と共に優れた外観見栄えを発揮するテープ状成形シーリング材の提供。
【解決手段】 熱可塑性樹脂を含有し、120℃〜160℃での温度範囲における最低溶融粘度が2×10〜2×10Pa・sの範囲内である層を少なくとも一層有することを特徴とするテープ状成形シーリング材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、鋼板合わせ目段差やスポット溶接打痕やレーザー溶接痕(凹凸部)が存在する部分をシーリングするテープ状成形シーリング材に関するものである。詳しくは、例えば自動車のルーフ部鋼板合せ目の溝等に対して、優れたシーリング効果と共に優れた外観見栄えを発揮するテープ状成形シーリング材に関するものである。
自動車ルーフ溝部は、外観見栄えが要求される部位の一例である。ここで、当該ルーフ溝部は、ルーフパネルとサイドパネルを自動車ルーフ溝部合わせ目でスポット溶接し、当該溝を塩ビシーラー(シーリング材)で充填することにより形成される。当該プロセス(特にシーリング工程以後)をより詳細に説明すると、ロボットを使用するか又は人手で行うシーラー塗布工程、シーラーの加熱硬化工程、所定の塗装工程、自動車ルーフ溝部にあらかじめ設置されているモール固定用ピンを用いての、ゴム製カバー(モール、通常黒色)の取付工程、から構成される。
ここで、当該シーラーを使用する目的は、鋼板継ぎ目(段差部)の封止(水漏れ防止、防錆、防食)とスポット溶接打痕の被覆(打痕を見えなくする)である。しかしながら、この塩ビシーラーは、次のような欠点がある。第一の問題として、塩ビシーラーは熱によって流動しない、即ち、施工時の形態をそのまま加熱中も保持するため、表面が凹凸になっているスポット溶接打痕を被覆するには都合が良い反面、鋼板継ぎ目や段差部の細かい隙間には侵入せず、シーラー施工時に水の経路ができるとそのまま水漏れの原因となる。一方、水漏れを防ぐため、自動車ルーフ溝部溝一杯に充填する (厚く塗布する)と、自動車完成後のドアの開閉による振動で自動車ルーフ溝部側壁とシーラーの間にひび割れが生じる場合がある。第二の問題として、塩ビシーラーであるため環境負荷が大きい。第三の問題として、自動車ルーフ溝部一杯に充填するために使用量や重量が大きくなる状況下、塩ビシーラーは多量の可塑剤を含有するため、塗膜に可塑剤が経時に移行する結果、軟化や埃が付着する等の問題を生じる。そして、これを補うためにゴムのカバーで覆う必要がある結果、コストアップにも繋がる。更に、ゴムのカバーで覆うためには固定用ピンが必要であるところ、ピンの周辺部のシーリング材施工が困難な場合があることに加え、ゴムのカバーは、物性上の制約から殆どが黒色である結果、意匠上の制約になっている。
これらの問題を解決するため、過去多くのテープ状成形シーリング材についての特許出願がなされている。しかしながら、これらに共通する最大の欠点は、凹凸部上に設置又は貼付し加熱した際、凹凸部と成形シーリング材との間に閉じ込められた気泡が膨張・破裂してシーリング効果や見映えを損ねることである。通常、スポット溶接打痕は、直径約5mm、深さ1〜2mm程度もある。したがって、薄い粘着テープでも打痕の底部まで気泡を含むことなく貼付するのは困難であり、ましてや、厚さが300μm以上(更には1mm以上)である成形シーリング材を、気泡を含まない状態でスポット溶接打痕上に貼付するのは不可能である。即ち、成形シーリング材をスポット溶接打痕上に貼付すると、程度の差こそあれ必ず気泡を含むことになる。
このような状況下、シーリング材と被着体との間に存在する気泡による影響を如何に低減させ、優れたシーリング効果と共に優れた外観見栄えを発揮させるかという研究が多くなされてきている。例えば、特許文献1には、熱溶融−流動可能な熱硬化性組成物を含むシート材料を基体(被着体)に接触させ、このシート材料を上昇した温度に加熱することにより、基体にトポグラフ的又は保護的特性を付与する方法が提案されている。ここで、鋼板の段差部分やエッジ部等に当該技術を適用した場合には、確かに、美しい仕上がり外観が達成できる。しかしながら、スポット溶接打痕のような凹部やレーザー溶接痕のような凹凸部に当該技術を適用した場合には、加熱時、閉じ込められた気泡が熱膨張しシーリング材を膨張させる。そして、当該膨張した状態でシーリング材が硬化するため、大きな膨れを形成したり、それが破裂して窪みを形成する事態を招くことがある。
そこで、このような問題を解決する手法として、特許文献2では、強力なバリア層(例えば、金属箔層や不織布)を設けることにより気泡をシーリング層に到達させない技術が提案されている。具体的に説明すると、特許文献2に係るシーリング物品は、図5(特許文献2から引用)に示すように、熱溶融−流動可能な熱硬化性のシーリング材料層と、バリア層とを含む多層構造を採っている。そして、図5(a)に示すように、例えばルーフ溝に当該シーリング物品をセットした後に加熱すると、図5(b)に示すように、シーリング材料層が溶融する結果、左右方向がシーリング材料層による接着により拘束される。この際、被着体(ルーフ溝)とシーリング材料層との間にはバリア層が介在しているので、図6(特許文献2から引用)に示すように、被着体とシーリング物品との間に捕捉された空気(気泡)はシーリング物品の最下層と被着体との間に閉じ込められる結果、シーリング物品の最上面(即ち、塗装施工面)に気泡が達することによる外観不良の発生を防止することが可能となる。このように、この特許文献2に係る発明は、シーリング材と被着体との間に強固なバリア層を設けることにより、シーリング物品と被着体との間の空気をシーリング材側に到達させないようにする、換言すれば、気泡によるシーリング材の影響を最小限にしようとする技術である。しかしながら、この特許文献2に係る技術では、抑えられた気泡がバリア層下に広がってシーラー層を貫く通路が形成されるという問題や、バリア層の剛性のため鋼板段差部分がシールできない事態を招くという、新たな問題が発生する。
特表平9−505335 特開2003−221577
そこで、本発明は、気泡による大きな膨れやその破裂による窪みの形成を防止すると共に、気泡によるシーラー層を貫く通路の形成や鋼板段差部分がシールできないという問題も解消された、優れたシーリング効果と共に優れた外観見栄えを発揮するテープ状成形シーリング材を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意研究した結果、本発明者らは、熱可塑性樹脂を含むシーリング材の「ある物性」が極めて重要であることを発見し、当該物性を好適化すれば、特許文献1のような気泡による大きな膨れやその破裂による窪みの形成を防止できると共に、特許文献2のようなシーリング材側への空気をバリア層で遮蔽するような手法を採用しなくとも、空気による外観見栄えに関する悪影響を防止することができる結果、バリア層を設けたことに起因するシーラー層を貫く通路の形成や鋼板段差部分がシールできないという問題が解決できることを見出した。
より具体的には、本発明者らは、多くの熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂の組み合わせを検討した。その結果、成形シーリング材の少なくとも一層の最低溶融粘度が2×10〜2×10Pa・s(120℃及び160℃の両温度での雰囲気投入後において)の範囲内であることが重要であることを突き止めた。当該溶融粘度がこの範囲内に設定すれば、本発明成形シーリング材施工後、自動車製造ラインの乾燥炉(温度:120〜160℃)での加熱工程に付された場合であっても、スポット溶接打痕等の凹凸面に閉じ込められた気泡は、特許文献2におけるバリア層のようには阻害されない結果、シーラー層を貫く通路が形成されることもない。即ち、当該気泡は、この膨張の結果、成形シーリング材の当該被覆部を押し上げるものの、シーリング材層を突き破ったりすることなくシーリング材層下部に留まる。そして、常温冷却後、押し上げられた当該被覆部は、元の平滑面に復元し外観上平滑な表面となる(以下、「打痕隠蔽効果」乃至は「打痕隠蔽性」といい、更には、そのような効果乃至は性質を有する層を「打痕隠蔽層」という)。以上のことを確認し、本発明を完成させたものである。
本発明(1)は、熱可塑性樹脂を含有する、120℃〜160℃での温度範囲における最低溶融粘度が2×10〜2×10Pa・sの範囲内である層を少なくとも一層有することを特徴とするテープ状成形シーリング材である。ここで、当該層は、熱可塑性樹脂を好適には主成分として含有する。また、「主成分」とは、当該層において配合量が最も多いことを指す。
本発明(2)は、熱可塑性樹脂が、エチレンエチルアクリレート共重合樹脂又はエチレン酢酸ビニル共重合樹脂である、前記発明(1)のテープ状成形シーリング材である。
本発明(3)は、熱硬化性樹脂を更に含有する、前記発明(1)又は(2)のテープ状成形シーリング材である。
本発明(4)は、熱硬化性樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレート又はエポキシ(メタ)アクリレートである、前記発明(3)のテープ状成形シーリング材である。
本発明(5)は、前記少なくとも一層が被着体接着層である、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つのテープ状成形シーリング材である。
本発明(6)は、前記被着体接着層と、120℃〜160℃での温度範囲における最低溶融粘度が5×10〜1.5×10Pa・sの範囲内であるカバーフィルム層とを有する、前記発明(5)のテープ状成形シーリング材である。
本発明(7)は、被着体接着層と、当該被着体接着層とは異なる層とを有する成形シーリング材であって、前記少なくとも一層が前記異なる層である、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つのテープ状成形シーリング材である。
本発明(8)は、前記異なる層は、前記被着体接着層と120℃〜160℃での温度範囲における最低溶融粘度が5×10〜1.5×10Pa・sの範囲内であるカバーフィルム層との間に存在する中間層である、前記発明(7)のテープ状成形シーリング材である。
本発明(9)は、前記被着体接着層は、120℃〜160℃での温度範囲における最低溶融粘度が10〜1×10Pa・sの範囲内である、前記発明(7)又は(8)のテープ状成形シーリング材である。
本発明(10)は、前記発明(1)〜(9)のいずれか一つのテープ状成形シーリング材を金属板継ぎ目段差及び/又は溶接打痕の凹凸部に貼付・加熱硬化する工程を含む、平滑な表面を得る方法である。ここで、「溶接打痕」とは、スポット打痕及びレーザー打痕を包含する概念である。また、「硬化」とは、熱可塑性樹脂を冷却することによる硬化の他、熱硬化性樹脂を含有している場合には、熱硬化性樹脂に基づく加熱硬化をも包含する概念である。
本発明(11)は、前記発明(1)〜(9)のいずれか一つのテープ状成形シーリング材が適用された自動車である。
まず、図1に、本最良形態に係るテープ状成形シーリング材の外観を説明する。まず、図1(a)に係るシーリング材は、一層(打痕隠蔽性・溝充填性を有する被着体接着層11)から構成される。次に、図1(b)に係るシーリング材は、二層(打痕隠蔽性・溝充填性を有する被着体接着層21及びカバーフィルム層22、又は、溝充填性を有する被着体接着層21及び打痕隠蔽性を有する層22)から構成される。そして、図1(c)に係るシーリング材は、三層(溝充填性を有する被着体接着層31、カバーフィルム層32、打痕隠蔽性を有する中間層33)から構成される。尚、本発明に係るシーリング材は、少なくとも一層(打痕隠蔽層)が所定の最低溶融粘度(2×10〜2×10Pa・s)を有している(打痕隠蔽性)ことに加え、被着体接着層が所定の最低溶融粘度(10〜1×10Pa・s)を有していればよい(溝充填性)。したがって、例に示した一層〜三層の態様には必ずしも限定されない(これ以上であってもよい)ことに加え、他の構造を採ってもよい(例えば、粘着剤層が被着体接着層に適用されている態様)。
そこで、はじめに、本発明の特徴である、「少なくとも一層」が有する最低溶融粘度について説明する。まず、本特許請求の範囲及び本明細書における溶融粘度は、下記条件で測定された値をいう。
粘度測定装置:アントンパール社製 MCR301、パラレルプレート周波数:6.28rad/s、Strain:0.2%、昇温速度:5℃/分で30℃〜X℃(Xは120又は160)でX℃に到達後、同温度で10分間維持し、その間の最低粘度を読み取る。
尚、溶融粘度は、当該「少なくとも一層」が硬化性樹脂を含有しない場合は、上記測定条件で一律に低下する一方、当該「少なくとも一層」が熱硬化性樹脂及びその硬化剤(熱反応開始剤)を含有する場合は、昇温に従い粘度が低下し、その後100℃近辺から160℃の高温領域で熱反応開始剤が活性化し熱硬化性樹脂の重合が進み粘度が上昇に転じる。したがって、前者の場合は120℃〜160℃での各温度での粘度が最低溶融粘度となり、後者の場合は昇温の過程での粘度の変曲点が最低溶融粘度となる。
ここで、図2を参照しながら、最低溶融粘度の変化に伴い、シーリング後の加熱工程等におけるシーリング材の機能がどのように変化するかを説明する。まず、本発明の範囲内の最低溶融粘度を有する層は、120℃〜160℃の温度範囲下では、たとえ層下に閉じ込められた気泡の膨張により垂直方向を中心に半球状に引き伸ばされても、常温に戻れば元の長さの100〜105%の範囲の長さに戻るだけの復元力(弾性)を有する。その結果、塗装後の表面は、全く見分けがつかないか僅かな膨れ又は凹みとしてしか認識できず、外観上許される範囲に収めることができるようになる(図2−1)。尚、本発明のシーリング材は、水平部段差や凹凸部に貼付した場合、加熱により粘度は低下し被着体表面に沿って変形はするが、貼付した部分からはみ出したりすることはなく、貼付された面積内での変形に留まる。また、垂直部段差や凹凸面に本発明の成形シーリング材を貼付・加熱しても、下方に貼付位置がずれることもない。即ち、シーリング材の垂れは生じない。
他方、まず、シーリング層の最低溶融粘度が本発明の範囲よりも低い場合には、気泡が成形シーリング材最上部を突抜ける結果、気泡跡の多数の凹みが生じる事態を招く(図2−2)。また、シーリング層の最低粘度が本発明の範囲よりも高い場合には、シーリング材層は気泡により引き伸ばされ難いためシーリング材下層内から出ることはないが、粘度が高い故に段差部分では充填が不充分なものとなってしまう結果、シーリング材としての機能を発現しない(図2−3)。
以上を踏まえ、まず、単層シーラー等のような、被着体接着層が打痕隠蔽層である場合を説明する。この場合は、打痕隠蔽効果に加えてシール性や接着性等の特性を有する必要があるために、熱可塑性樹脂を主成分とし、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を組み合わせることが好適である。以下、各成分を詳述する。
まず、熱可塑性樹脂の種類としては、特に特定されるものではないが、エチレンエチルアクリレート共重合樹脂(EEA樹脂)又はエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂)が好ましく、更に、熱可塑性樹脂の物性としては、190℃におけるメルトフローレート(以下、MFR)(JIS K7210 190℃、2.16kg荷重)が1〜275g/10minの範囲のものが更に好ましい。これより大きなMFRの場合は、加熱温度で溶融流動性が大き過ぎたり、復元力がなくなり優れた打痕隠蔽効果は望めない。一方、これより小さなMFRの場合は、溶融流動性が小さく段差充填性に劣ることになる。特に好ましくは、2.5〜100g/10minのMFRを有するEEA又はEVAである。ここで、EEAに関しては、エチルアクリレート含有量が30質量%以上のものがより好ましい。また、EVAに関しては、酢酸ビニルの含有量が30質量%以上のものがより好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂は、単独でも二種以上を組み合わせてもよい。更には、シーリング材としての諸特性を満たす目的で、熱硬化性樹脂、粘着付与樹脂、充填剤等を一種又は二種以上混合してもよい。また、後述する中間層又はカバー層との密着性を上げるために、ポリアミド樹脂やマレイン酸変性ポリエチレンやマレイン酸変性ポリプロピレン等の極性の高い樹脂を添加してもよい。尚、熱可塑性樹脂にこれら他成分を混合すると、粘度は変動することになるが、シーリング材組成物全体の最低溶融粘度を本発明の範囲内に留めることにより打痕隠蔽効果を発現させることができる。ここで、熱硬化性樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。特に、常温でできるだけ粘度が高いものが、加熱時の最低溶融粘度を本発明の範囲に収めると共に、保存時の形状保持性を良好にする観点から好適である。
尚、被着体接着層が打痕隠蔽層である場合、平面や垂直面に貼付・位置決めを可能にする観点から、通常、当該層に粘着性が求められる。ここで、粘着性の付与は、特に限定されないが、例えば、常温で水あめ状の熱硬化性樹脂を使用したり、常温で固体の熱硬化性樹脂を使用する場合は、粘着性付与樹脂を添加することにより達成される。尚、通常使用されるものとして、ロジンエステル等を挙げることができる。このように粘着性を付与することにより、自動車ボデーの移動中に位置ずれを防ぐことができる。更には、天井部分の鋼板継ぎ目段差の室内側(下面)に貼付すると加熱によりシーリング材が溶融流動して段差を埋めることができるという優れた効果も得ることができる(従来技術では、天井部段差に貼付した場合は、加熱しても段差部分は埋まらないまま硬化するか、剥がれ落ちるという問題があった)。
一方、目的によっては粘着性が無いことが要求される場合もある。この場合には、常温で固体の熱硬化性樹脂を使用する等の配合設計により可能である。
好適な被着体接着層組成物の一例は、熱可塑性樹脂が、2.5〜100g/10minのMFRを有し、エチルアクリレート含量が30〜40質量%のEEA樹脂又は酢酸ビニル含量が30〜50質量%のEVA樹脂であり、熱硬化性樹脂が25℃での粘度(B型回転粘度計で測定)が1000Pa・s以上のエポキシアクリレートであり、充填材がシリカ、タルク、炭酸カルシウムの内の一種以上であり、熱硬化性樹脂の熱反応開始剤を必須成分とし、全重量中の質量%が、熱可塑性樹脂が40〜80、熱硬化性樹脂が10〜25、充填材が5〜20、熱反応開始剤が0.5〜1.5である組成物が挙げられる。
次に、単層シーラーに係るテープ状成形シーリング材の厚さは、特に限定されず、0.5mm〜2.5mmの範囲内が好適であり、0.6mm〜2mmがより好適であり、0.8mm〜1.5mmが特に好適である。ここで、0.5mm未満では、打痕が隠れず、気泡が出来た場合貫通しやすい。一方、2.5mmを超えると、硬化時の熱膨張率が塗膜のそれと異なるため塗膜の亀裂や皺、引きつりの原因となりやすいことに加え、コストアップとなる。
次に、被着体接着層が打痕隠蔽層である場合における、被着体接着層以外にも層を有する複層シーラーについて説明する。本発明に係る成形シーリング材は、少なくとも一層(ここでは被着体接着層)が所定の最低溶融粘度である限り、他の層との複層の形態であってもよい。例えば、被着体接着層/カバー層の二層構造とすることにより、以下で述べる優れた特性を得ることができる。以下、当該二層構造に係る成形シーリング材を説明する。
まず、当該シーリング材を構成するカバー層は、未加熱の成形シーリング材表面に塗装した後それらの加熱乾燥が施される場合、設けることが特に好適である。即ち、加熱により塗料の硬化収縮が起こるが、下層であるシーリング材層も溶融流動するため、乾燥中の塗膜に割れや皺が生ずることがある。これを防ぐため、塗料の硬化収縮が起こっても割れや皺に結びつかないような加熱時の形状保持性(表面抗張力)が必要になる。特にトップコート塗料は、硬度を出すために架橋密度が高く設計されており、収縮率が大きいのでより重要となる。ここで、塗料に皺が入らない場合のカバー層の温度条件/最低粘度範囲としては、120℃〜160℃の温度範囲で少なくとも最低溶融粘度が5×10〜1.5×10Pa・sであることが好適である。
ここで、当該カバー層を構成する主成分としては、水添スチレン−ブタジエンゴム(HSBR)、スチレン・エチレンブテン・オレフィン結晶ブロックコポリマー(SEBC)、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックコポリマー(CEBC)、水添スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SEBS)の各ポリマーを挙げることができる。これらのMFRは、2.5〜10g/10min(230℃、2.16kg荷重)であるか、1.0〜10g/10minの範囲(200℃、5kg荷重)のものが好ましい。
その他、被着体接着層の場合と同様に、各種副資材や添加剤を成分として加えてもよく、被着体接着層の説明で挙げた成分から選ばれる熱硬化性樹脂を添加することが好適である。
また、カバー層厚さは、特に限定されず、0.2〜0.6mmが好適である。
次に、被着体接着層が打痕隠蔽層でない場合における、被着体接着層以外にも層を有する複層シーラーについて説明する。被着体接着層に打痕隠蔽性がない場合は、別途、打痕隠蔽効果のある層を設けることで打痕隠蔽効果を達成することができる。以下では、被着体接着層/中間層/カバー層の三層構造に係る、当該中間層が打痕隠蔽層である複層シーラーを例に採り説明する。
まず、被着体接着層は、前記のように打痕隠蔽性がなく、溝充填性がある。具体的には、120℃及び160℃での最低溶融粘度範囲が、2×10〜2×10Pa・sではなく、10〜1×10Pa・sの場合である。即ち、成形シーリング材の耐水性、耐熱性、密着性といった諸特性をより向上させるためには、被着体接着層の熱硬化成分を増やすことが好適であるが、この場合、溶融粘度が高くなり打痕隠蔽効果が、相対的にみると低下する場合がある。また、作業性の面から被着体接着層の硬化前の接着性等を調整する必要がある場合には、硬化成分の添加量が制限される結果、本発明で規定した最低溶融粘度が低下するために打痕隠蔽効果が得られない。
これを補うため、中間層に打痕隠蔽効果の高い層を設けることにより、上記諸特性を保ったまま優れた打痕隠蔽効果を達成することができる。したがって、中間層の物性としては、被着体接着層が打痕隠蔽層である場合に求められる物性と同一である、120℃〜160℃での温度範囲における最低溶融粘度が2×10〜2×10Pa・sの範囲内である必要がある。ここで、中間層の主成分は、特に限定されないが、EEAやEVAの各ポリマーが好適である。より好適には、当該主成分のMFR(190℃、2.16kg荷重)が、1〜275g/10minの範囲のものである。
その他、被着体接着層の場合と同様に、各種副資材や添加剤を成分として加えることができる。
好適な中間層組成物の一例は、熱可塑性樹脂が、2.5〜100g/10minのMFRを有し、エチルアクリレート含量が30〜40質量%のEEA樹脂又は酢酸ビニル含量が30〜50質量%のEVA樹脂であり、充填材がシリカ、タルク、炭酸カルシウムの内の一種以上であり、全重量中の質量%が、熱可塑性樹脂が90〜100、充填材が0〜10である組成物が挙げられる。
また、中間層の厚さは、特に限定されず、0.5〜2.5mmの範囲内が好適であり、0.6〜2.0mmがより好適であり、0.8〜1.5mmが特に好適である。尚、被着体接着層及びカバー層は、特に限定されず、前述した厚さが好適である。
次に、本発明に係るテープ状成形シーリング材の製造方法を説明する。まず、各組成物を定量後、ニーダー等の各種混練機で混合し、これをキャレンダー、押出機等にかけて所定厚さに延展・押出し、シート状物を得る。これを所定幅に裁断し、本発明の成形シーリング材を得ることができる。また、積層タイプは、各単層シート又はその裁断物を積層して圧着するか、多層押出機を用いて得ることができる。
次に、図3及び図4を参照しながら、本発明に係るテープ状成形シーリング材の一使用例を説明する。まず、図3(上段)に示すように、自動車ルーフ溝部は、2枚の折り曲げられた鋼板がスポット溶接により接合されて断面が略四角形(幅22〜29mm、深さ17〜22mm)にへこんだ形状となっている。尚、通常、鋼板継ぎ目部が溝の端部にあり、中心部にスポット溶接部がある(図4−1)が、鋼板継ぎ目位置を図4−2及び図4−3のように略中央部になる構造にすると、成形シーリング材が更に確実に鋼板継ぎ目上部を覆うことが可能になる。これらの底部に本成形シーリング材を載置して(図3の中段)、次工程で加熱し、熱硬化性樹脂を含まない場合は流動、熱硬化性樹脂を含む場合は流動および硬化させる。室温に冷却後は、図3(下段)に示すように、当該シーリング材は、継ぎ目を充填し鋼板に強固に接着する。
以下、実施例を参照することにより、本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の説明において、塗装仕上がりの不具合については、塗膜の表面波打ち、塗膜皺(傾向)、塗膜割れ、塗膜引きつり等があるが、それらを波打ち、皺(傾向)、割れ、引きつりと表示する。
押出機にて製膜した単層テープ試験片及び多層押出機により作製したテープ試験片を、上記の一使用例の説明の欄で述べた形状をした試験板の継ぎ目及びスポット溶接凹凸部に貼付し(施工性を確認)、貼付部及びその周囲に溶剤型塗料をスプレーガンで吹付け(乾燥後の被膜厚25〜35μm)、オーブンに投入し、室温から5℃/分の速度で120℃まで昇温しそのまま30分間加熱した。その後常温に戻し、段差充填性、打痕隠蔽性、塗装仕上り、を目視にて観察した。次に160℃まで昇温の場合についても、同様に試験を行った。
残留伸長の測定方法:打痕上部の膨れたあるいは凹んだシ−リング材の中心部をカッターナイフで直線状に切断、シーリング材切片を平面に押し当て、断面直線長さをマイクロスコープで、約300倍に拡大し実測する。
残留伸長率:(断面直線長さ−打痕中心部の直線長さ)/打痕中心部の直線長さ×100%
Figure 2008144067
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本発明の効果を列記すると以下の通りである。(1)常温(5〜35℃)で形状保持性があり、熱で溶融流動して鋼板隙間・段差部を充填するが、スポット溶接打痕は目立たないように隠蔽することができる。(2)成形シーリング材の厚みも小さくてすみ、また従来型の黒色ゴムのカバーやそれの固定用ピンが不要になるので低コストである。(3)成形シーリング材は直接塗装可能なため、塗装により自由に着色できる。(4)成形シーリング材の厚さが小さいため、ドアの開閉による振動による自動車ルーフ溝部側壁とシーリング材とのひび割れも生じない。(5)従来の塩ビシーラーのような、表面に塗装すると、経時で塩ビシーラーから可塑剤が塗膜に移行し、塗膜が軟化、ごみや埃が付着し汚染される、といった欠点を解消することができる。(6)テープ状で表面粘着性を付与することができるので、短時間で容易に施工することができる。
図1は、本発明に係るシール状成形シーリング材の断面図である。 図2は、最低溶融粘度が変化した場合における、シーリング材の機能の相違を概念的に示した図である。 図3は、シーリング材の一使用例である。 図4は、シーリング材が使用される、異なるパターンの自動車ルーフ溝部の断面図である。 図5は、従来のシーリング材をルーフ溝に適用した例である。 図6は、従来のシーリング材を被着体に適用した後の、空気の保持状況を概念的に示した図である。

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂を含有する、120℃〜160℃での温度範囲における最低溶融粘度が2×10〜2×10Pa・sの範囲内である層を少なくとも一層有することを特徴とするテープ状成形シーリング材。
  2. 熱可塑性樹脂が、エチレンエチルアクリレート共重合樹脂又はエチレン酢酸ビニル共重合樹脂である、請求項1記載のテープ状成形シーリング材。
  3. 熱硬化性樹脂を更に含有する、請求項1又は2記載のテープ状成形シーリング材。
  4. 熱硬化性樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレート又はエポキシ(メタ)アクリレートである、請求項3記載のテープ状成形シーリング材。
  5. 前記少なくとも一層が被着体接着層である、請求項1〜4のいずれか一項記載のテープ状成形シーリング材。
  6. 前記被着体接着層と、120℃〜160℃での温度範囲における最低溶融粘度が5×10〜1.5×10Pa・sの範囲内であるカバーフィルム層とを有する、請求項5記載のテープ状成形シーリング材。
  7. 被着体接着層と、当該被着体接着層とは異なる層とを有する成形シーリング材であって、前記少なくとも一層が前記異なる層である、請求項1〜4のいずれか一項記載のテープ状成形シーリング材。
  8. 前記異なる層は、前記被着体接着層と120℃〜160℃での温度範囲における最低溶融粘度が5×10〜1.5×10Pa・sの範囲内であるカバーフィルム層との間に存在する中間層である、請求項7記載のテープ状成形シーリング材。
  9. 前記被着体接着層は、120℃〜160℃での温度範囲における最低溶融粘度が10〜1×10Pa・sの範囲内である、請求項7又は8記載のテープ状成形シーリング材。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項記載のテープ状成形シーリング材を金属板継ぎ目段差及び/又は溶接打痕の凹凸部に貼付・加熱硬化する工程を含む、平滑な表面を得る方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項記載のテープ状成形シーリング材が適用された自動車。
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