JP2005060412A - シーリングテープ - Google Patents
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Abstract
【課題】油面鋼板の不連続部に高い接着力で施工でき、かつ不連続部に対して良好な孔あき防止性、防水性、防錆性、防塵性などを付与できるシーリングテープを提供すること。
【解決手段】油面鋼板からなる被着体の不連続部を封止するために用いられるシーリングテープにおいて、そのシーリングテープが、加熱により自己溶融して不連続部を封止し、硬化する熱硬化性樹脂組成物からなるシール層と、シール層の自己溶融温度において軟化可能であるけれども溶融して流動することがないプラスチックフィルムからなるバリア層とを含んでなるように構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】油面鋼板からなる被着体の不連続部を封止するために用いられるシーリングテープにおいて、そのシーリングテープが、加熱により自己溶融して不連続部を封止し、硬化する熱硬化性樹脂組成物からなるシール層と、シール層の自己溶融温度において軟化可能であるけれども溶融して流動することがないプラスチックフィルムからなるバリア層とを含んでなるように構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シーリングテープに関し、さらに詳しく述べると、自動車などの鋼板部品の接合部等に施工して隙間を封止したり段差を平坦化したりするための熱硬化性シーリングテープに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車や船舶などにおいて、多くの部分が鋼板製の部品やその他の部品を接合することによって作製されており、また、したがって、部品どうしの接合部や合わせ目、継ぎ目等(以下、総称して「不連続部」という)において、生じた隙間や段差を防水、防錆、防塵などの観点から封止することが必須とされている。
【0003】
従来、上記したような自動車等の不連続部分を封止するため、シーラントが一般的に使用されている。シーラントは、施工の要求に応じて液体又は固体の材料として供給されている。例えば、自動車産業において、接合部などを例えばポリ塩化ビニル(PVC)からなる液状あるいはペースト状のプラスチゾルを用いて封止することが常法となっている。しかし、シーラントが液状の場合、接合部などの部位によってはその施工に困難を伴うことがある。また、施工に当たって作業者の熟練などが大きく影響し、外観やシーリング性能にばらつきが生じるという問題があり、さらには環境への影響の問題もある。
【0004】
一方、液状あるいはペースト状のシーラントを使用した時の上述のような問題を回避するため、例えばシート又はテープのような一定の形状を有するシーラントが使用される例がある。一例を示すと、本発明者らは、自動車の車体において金属継手といった基板に形態学的又は保護的機能を付与するのに有用な、熱硬化性のメルトフロー可能なシート材料を発明し、すでに特許出願している(特許文献1)。また、室温において半結晶質であり、熱可塑性かつ溶融−流動可能な1種以上のポリマーと、必要により実質的に非反応性の1種以上の充填剤とから本質的になる少なくとも1つの層を有することを特徴とする基体に形態学的又は保護的機能を付与するのに有用なシート材料もすでに特許出願されている(特許文献2)。これらのシート材料は、自動車車体の金属継手等の不連続部に適用された後、加熱により流動して不連続部を覆った後に硬化可能である。
【0005】
ところで、従来のシーラントは、それを自動車車体等の不連続部を封止するために使用する場合、自動車車体等に使用されている鋼板の表面に電着塗装を行った後に施工しなければならないという前提がある。しかし、電着塗装後では、シーラントを塗布する工程を組み込むことが難しいことが多く、また、たとえ塗布を実行できても鋼板に対するシーラントの密着性が十分でないことが多く、さらには、部品などが邪魔になってシーラントを施工できない場合もある。
【0006】
これらの問題を回避するため、電着塗装を行う前の鋼板にシーラントを施工してしまうことも考えられる。しかし、従来一般的に使用されている鋼板の場合、その表面に防錆油の塗布等に由来する油膜が形成されているのが普通であり(以下、このような鋼板を「油面鋼板」という)、油膜が邪魔をして油面鋼板に対してシーラントを施工できないことが多い。この種の問題は、シート状又はテープ状のシーラントにおいて特に顕著であり、十分な接着力が得られないために、後段の電着塗装の工程でシーラントが脱落してしまうことがしばしばである。
【0007】
また、油面鋼板にシーラントを施工した後に電着塗装を行う方法では、多くはシーラントの組成に原因があると考察されるのであるが、シーラントに対する電着塗料等の密着力が悪く、電着塗膜の外観不良を甘受しなければならない。また、電着塗装工程の際、シーラントの一部が電着塗装槽に溶け出してしまうといった不都合も発生する。
【0008】
さらに、シーラントの施工後に電着塗装工程を行う場合、電着塗装に使用される水分を含有する電着液や電着塗装工程中の洗浄処理などで鋼板の隙間などに水分が付着することがあり得る。鋼板に付着した水分は、電着塗料等の焼き付け工程で膨脹・揮発する結果、すでに施工されているシーラントにピンホールのような細孔を形成することもあれば、シーラ−切れを生じさせたりもする。
【0009】
【特許文献1】
特表平8−508216号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献2】
特表平9−505335号公報(特許請求の範囲、図1a及び図1b)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、油面鋼板からなる被着体の不連続部を封止するために有利に使用でき、油面鋼板に対する接着力に優れ、不連続部に対して良好な防水性、防錆性、防塵性などを付与でき、しかも電着塗装用の塗料などの密着性に優れ、電着塗装工程中の洗浄処理に原因してピンホールの形成やシーラ−切れを引き起こすこともない新規なシーラントを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、表面に油膜を備えた鋼板からなる被着体の不連続部を封止するために用いられるシーリングテープであって、
加熱により自己溶融して前記不連続部を封止し、硬化する熱硬化性樹脂組成物からなるシール層、及び
前記シール層の自己溶融温度において軟化可能であるけれども溶融して流動することがないプラスチックフィルムからなるバリア層を含んでなることを特徴とするシーリングテープにある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施の形態のみに限定されないことは、当業者ならば容易に想到されるであろう。
【0013】
本発明によるシーリングテープは、換言すると「シーラント」あるいは「シーラ−」と呼ぶことができ、それを施工する対象は特に限定されるものではない。本発明のシーリングテープは、表面に油膜を備えた鋼板(油面鋼板)からなる被着体の不連続部を封止するために使用した場合、特にその優れた作用効果を発揮することができる。なお、本発明で「シーリングテープ」といった場合、シーラント(あるいはシーラ−)がテープもしくはそれに類する形態を有することを意味し、具体的には、例えばテープ、フィルム、ロープ、ストラップ等の形態をもったシーラントを包含する。また、「被着体」とは、シーリングテープが施工されるべき不連続部を備えた任意の物品を意味し、典型的には、自動車、トラック、電車等の車両や船舶などの車体や、それを構成する部品等を意味する。また、かかる被着体の不連続部とは、先に説明したように、部品どうしの接合部や合わせ目、継ぎ目などのほかに、継ぎ手、段差部、目地部、亀裂部なども意味する。
【0014】
図1は、本発明によるシーリングテープの好ましい1実施形態を示した断面図である。図示のシーリングテープ10は、電着焼き付け工程で加えられる熱(通常、約160〜200℃)により自己溶融して被着体の不連続部を封止し、その後で硬化可能な熱硬化性の樹脂組成物からなるシール層1と、シール層1の上面に被覆されたバリア層2とからなる。バリア層2は、シール層1の自己溶融温度において軟化可能であるけれども溶融して流動することがないプラスチックフィルムから構成される。換言すると、バリア層2は、電着工程での焼き付け温度(通常、約160〜200℃)である程度軟化はするが、溶融流動を起こさないプラスチックフィルムやその他のシール層に類似した材料から構成される。図示のシーリングテープ10の場合、バリア層2はシール層1の上面に設けられているけれども、その代りに、図示しないが、シール層1の下面に設けられていてもよく、さもなければ、シール層1の上面及び下面の両面に設けられてもよい。また、図2に示すように、シール層の内部にバリア層を設けて、バリア層2が下方のシール層1と上方のシール層11とによってサンドイッチされているように構成してもよい。なお、必要ならば、シール層の内部と表面及び(又は)下面にバリア層が存在するようにシーリングテープを構成してもよい。
【0015】
本発明によるシーリングテープにおいて、シール層は、電着焼き付け工程で加えられる熱により自己溶融して被着体の不連続部を封止し、その後で硬化可能な任意の熱硬化性の樹脂組成物から構成することができる。シール層の形成に好適な熱硬化性の樹脂組成物の例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、アクリル系ポリマーとエポキシ樹脂の混合物を含む樹脂組成物(例えば、特開平2−272076号公報、特表平8−508216号公報などを参照されたい)、エポキシ樹脂を含有するホットメルト系の樹脂組成物(例えば、特表平9−505335号公報、特開2000−192013号公報、特開2002−121351号公報などを参照されたい)などを包含し、エポキシ樹脂を含有するホットメルト系の樹脂組成物がとりわけ有用である。また、上記のようなエポキシ樹脂を含有するホットメルト系の樹脂組成物に対して、−20℃〜40℃程度の環境温度で十分な可とう性を有し、かつシール層が電着焼き付け工程で焼き付けられる温度で比較的に溶融温度が高いような樹脂又は樹脂組成物を混合した樹脂材料を用いることにより、より良好な結果を得ることができる。なお、上記のような樹脂の例としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、エチレン−酢酸ビニル樹脂(EVA)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などを挙げることができる。
【0016】
さらに、上記したようなシール層を構成する熱硬化性樹脂組成物において、それに含まれるEVA、SBR等の樹脂の混合量を増やすことによって、シール層自体が油面鋼板の油面に対して良好な接着性、定着性を有するように改良を施すことができる。このような場合には、もちろん、油面定着性の改良のためにシーリングテープに対して糊剤層をさらに設ける必要はない。
【0017】
さらに具体的に説明すると、本発明のシール層の形成に好適な、例えば特開2002−121351号公報に記載される熱硬化性樹脂組成物は、好ましくは、(1)エポキシ含有材料、(2)エポキシ含有材料のための特定の硬化剤及び(3)充填剤を少なくとも含有する。以下、これらの成分について詳述する。
1.エポキシ含有材料
熱硬化性樹脂組成物の第1の成分として用いられるエポキシ含有材料は、低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂を含み、さらに、エポキシ樹脂及び必要に応じて相溶化剤を含む。
(1)低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂
エポキシ化熱可塑性樹脂は、エポキシ基を有する熱可塑性樹脂である。一般に、熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂組成物に一定の形状を付与することができる。また、エポキシ化熱可塑性樹脂は、エポキシ基の存在により熱硬化反応に寄与する。その結果、熱硬化性樹脂組成物が硬化したときに、その硬化物が耐熱性や耐久性を備えるようになる。また、自動車のルーフディッチ用シーラー用途においては、このエポキシ基により、硬化物が自動車用塗料(例えば、有機溶剤系アクリル塗料や有機溶剤系アルキッド塗料)及びカチオン電着塗装された自動車鋼板と密着しやすくなる。硬化物が自動車用塗料と密着することは、自動車の塗装工程に有利である。なぜならば、車体の塗装時に、硬化物を車体の色と同一にすることができるからであるからである。その結果、モール等のカバー材が必要とされず、車体の外観・見栄えがよくなる。また、鋼板と密着することは、シーラーの耐久性、密閉性を向上させることにもなる。
【0018】
さらに、熱硬化性樹脂組成物においては、エポキシ化熱可塑性樹脂の吸湿性ができるだけ低いこと、すなわち低吸湿性であることが必要とされる。なぜならば、かかる低い吸湿性により、熱硬化性樹脂組成物への水分の吸収を防止し、その結果、自動車の塗装工程に有利になるからである。また、熱硬化性樹脂組成物の保管等の取り扱いも簡素化される。エポキシ化熱可塑性樹脂は、通常、約9以下の溶解度パラメータ(SP)を有する。
【0019】
通常、エポキシ化熱可塑性樹脂は、成形加工時及び熱溶融時の流れ性を考慮して約1,000〜1,000,000の分子量を有する。また、エポキシ化熱可塑性樹脂は、耐熱性、耐久性、塗膜密着性及び吸水性を考慮すると、一般に、約200〜15,000のエポキシ当量を有している。
【0020】
上述したエポキシ化熱可塑性樹脂の典型的な一例は、エポキシ化エチレン系熱可塑性樹脂である。この樹脂は、エチレン部分の存在によって低吸湿性を示す。エポキシ化エチレン系熱可塑性樹脂としては、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体が好ましい。このエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体は、特開平9−137028号公報や特開平10−316955号公報において接着剤及びホットメルト組成物の一成分として開示されているように、ポリエチレンをエポキシ化したものであって、通常は、エチレンとグリシジルメタクリレートの共重合により得られる。その結果、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体は、エチレン部分とグリシジル(メタ)アクリレート部分によって構成される。このような場合、エチレン部分は熱硬化性樹脂組成物の低吸湿性に寄与し、また、グリシジル(メタ)アクリレート部分は自動車用塗料及びカチオン電着塗装された自動車鋼板の密着性に寄与する。
【0021】
エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体は、エチレンとグリシジル(メタ)アクリレートのモノマー重量比を約50:50〜約99:1の範囲にして構成されていることが望ましい。上限を超えたエチレンを含んで構成されたエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体は、硬化物に所望の機械的強度及び耐久性が付与し難い傾向にある。反対に、下限を下回ったエチレンを含むエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体は、所望の低吸湿性を得ることができない傾向にある。
【0022】
また、典型的なエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体は、約120℃以下の比較的低温でも溶融し易く、それを含む熱硬化性樹脂組成物を加熱流動させてシーリングを行う際に高流動性が得られ、結果として均一性及び平滑性の高い外観となる。また、シール層作製時の加熱混合プロセスにおいて比較的低温で混練することができるため、熱硬化成分と硬化剤の反応を混練中に起こすおそれが少なく、さらに、反応性がより高い硬化剤を選択することもできる。
【0023】
本発明の効果を損なわない限り、エポキシ化熱可塑性樹脂として、エチレン及びグリシジル(メタ)アクリレートに加えてさらに第三の成分も共重合又はグラフト重合した三元のエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体を使用してもよい。このような三元共重合体の一例は、アルキル(メタ)アクリレート及び酢酸ビニルなどを共重合したもの、また、グラフト重合体としては、ポリスチレン、ポリアルキル(メタ)アクリレート及びアクリルニトリル−スチレン共重合体などをグラフトしたものである。
【0024】
エポキシ化熱可塑性樹脂のもう一つの典型的な例は、エポキシ化スチレン系熱可塑性樹脂であり、共役ジエンの存在によって低吸湿性を示す。このエポキシ化スチレン系熱可塑性樹脂は、例えば、ポリスチレンからなるハードセグメントと、エポキシ化されたポリブタジエンからなってゴム弾性をそのエラストマーに付与するソフトセグメントと有するブロック共重合体である。あるいは、エポキシ化されたポリブタジエンの代わりに、又は、エポキシ化されたポリブタジエンと共に、エポキシ化されたポリイソプレンを使用することができる。
【0025】
通常、エポキシ化スチレン系熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、約−70〜−50℃と非常に低く、このとき、熱硬化性樹脂組成物の硬化物に約−30℃までの低温における耐久性(特に振動耐久性を)強化することができる。その結果、このエポキシ化スチレン系熱可塑性樹脂は、低温でも応力が繰り返し負荷される部分のシーリング、例えば、自動車のルーフティッチのシーリングに非常に有利である。また、自動車のルーフディッチのシーリングにおいては、エポキシ化スチレン系熱可塑性樹脂のスチレン部分及びエポキシ基により、硬化物が自動車用塗料(例えば、有機溶剤系アクリル塗料や有機溶剤系アルキッド塗料)及びカチオン電着塗装された自動車鋼板と密着することになる。
【0026】
かかるエポキシ化スチレン系熱可塑性樹脂の一例は、スチレン−エポキシ化ブタジエン−スチレン共重合体及びスチレン−エポキシ化イソプレン−スチレン共重合体である。いずれの場合も、エポキシ化は共役ジエンの不飽和結合をエポキシ化することで行なわれる。
【0027】
以上のような低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂組成物中に約10〜90重量%の量で含まれることが好ましい。10重量%未満では耐熱性、低吸湿性が低下し、90重量%超では充填剤が相対的に低下し低線膨張率が得られないことがあるからである。
(2)エポキシ樹脂
エポキシ含有材料には、前述したエポキシ化熱可塑性樹脂のほか、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂のような液状又は固体状のエポキシ樹脂を含ませ、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐久性及び自動車用塗料との密着性をさらに強化することができる。望ましいエポキシ樹脂は、例えば水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ブタジエン骨格エポキシ樹脂等の線状脂肪族エポキシ樹脂、又はダイマー酸変性エポキシ樹脂等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂のように、極性が比較的低いエポキシ樹脂である。なぜなら、前記のエポキシ化熱可塑性樹脂に含まれる低吸水成分、例えば、エチレン部分及びブタジエン部分との相溶性が優れているからである。さらに、硬化物への水分の吸収を防止し、自動車の塗装工程に有利になるからである。このエポキシ樹脂の量は、(1)の成分、すなわち低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常は0〜約500重量部の範囲、好ましくは約5〜400重量部の範囲である。
(3)相溶化剤
必要に応じて、エポキシ含有材料には相溶化剤がさらに含まれてもよい。詳細に述べると、この相溶化剤は、100重量部の低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂に対して通常は0〜約300重量部の範囲で、好ましくは約1〜100重量部の範囲で含まれており、低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂との相溶性を高めることができる。上記の相溶ができる限り、本発明で相溶化剤は特に限定されないけれども、好適にはポリエステル樹脂又はエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を含んでいる。特に、ポリエステル樹脂が、低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂と所定の割合で配合されている場合に、低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂との分離を防止するだけでなく、熱硬化性組成物の硬化温度(約100〜160℃)における流動性も大幅に向上させることができるからである。
2.エポキシ含有材料の硬化剤
硬化剤は、エポキシ化熱可塑樹脂及びエポキシ樹脂に含まれるエポキシ基を硬化させて熱硬化性樹脂組成物に架橋構造を設け、硬化物を得ることができる。
【0028】
本発明によれば、硬化物を得ることができる限り硬化剤は限定されない。したがって、硬化剤は、例えばジシアンジアミドのようなアミン化合物、分子内にカルボキシル基(酸無水物も含む)をもったアクリル化合物若しくはロジン、イミダゾール誘導体、BF3 錯体類、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル類若しくはメラミン類又はそれらの混合物を含んでもよい。また、硬化剤の極性の高低も問わない。しかし、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体のグリシジル基の硬化には、特開平9−137028号公報及び特開平10−316955号公報に開示されているように、分子内にカルボキシル基を含有するアクリル化合物やロジンを含む硬化剤の使用が要求される。極性の高い硬化剤がエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体と相溶せず、実質反応できないのと比較して、かかる硬化剤はエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体と相溶し易く、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体のグリシジル基を硬化するからである。
【0029】
硬化剤は硬化促進剤と併用してもよい。特に、カルボキシル基を有する硬化剤とエポキシとの反応には、フェノール含有物、イミダゾール誘導体又は三級アミンを含む硬化促進剤が有利に使用可能である。
3.充填剤
本発明では、例えば炭酸カルシウムもしくはシリカ又はそれらの混合物を含有した充填剤が熱硬化性樹脂組成物にさらに添加されている。充填剤は、硬化物の線膨張係数を低下させることができる。その結果、そのような硬化物は、特に低温における温度変化において、線膨張係数が低下し、低温下での収縮量が減少し、その上に自動車用塗料を塗布して形成された塗料皮膜に応力を与え難くなる。かくして、この形成された塗膜は低温でも割れ難くなる。
【0030】
シール層の形成のための熱硬化性樹脂組成物は、必要ならば、追加の成分を添加剤として任意に含有することができる。例えば、上記のように熱硬化性樹脂組成物に充填剤が添加されていると、一般に、熱硬化性樹脂組成物が加熱−溶融時において好ましくない流動性を伴うおそれがある。従って、熱硬化性樹脂組成物は、可塑剤をさらに含むことが好ましい。可塑剤を含むことにより、熱硬化性樹脂組成物は所望の流動性が保持される。なぜならば、この可塑剤は一般的に粘度が低く、組成物の流動性の向上に寄与することができるからである。
【0031】
熱硬化性樹脂組成物に含めてもよい可塑剤は、例えば、フタル酸ジ2−エチルヘキシルもしくはフタル酸ジイソノニルのようなフタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、エポキシ化脂肪酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、液状テルペン樹脂、液状テルペンフェノール共重合体若しくは液状テルペンスチレン共重合体、アゼライン酸エステル類、セバシン酸エステル類、エポキシヘキサフタル酸エステル類又はそれらの混合物を含有した可塑剤が含まれる。かかる可塑剤は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物に可撓性を与えることができる。また、硬化物はガラス転移温度を下げて、約−20〜−40℃の低温でも弾性率を低くすることができる。その結果、硬化物がそのような低温での大きく伸びることができ、振動耐久性のような動的耐久性を向上させることができる。
【0032】
シール層の形成に用いられる熱硬化性樹脂組成物は、可塑剤以外の添加剤をさらに含有してもよい。例えば、熱硬化性樹脂組成物には、微小粒金属、無機粒子、結晶性高分子、有機顔料からなる結晶化剤が含まれてもよい。このような結晶化剤は、熱硬化性樹脂組成物にポリエステルのような結晶性樹脂が含まれている場合に、この結晶性樹脂の結晶化を促進することができ、その結果、熱硬化性樹脂組成物及びその成形品たるシーリングテープの性能の経時変化を防止することができる。
【0033】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、熱硬化性樹脂組成物が、その上に設けられる塗料皮膜との密着性を向上させるための改質剤をさらに含んでもよい。このような改質剤は、テルペン系樹脂のような粘着性付与剤又は比較的極性の高い成分を共重合したオレフィン共重合体等である。
【0034】
シール層は、いろいろな厚さで使用することができるけれども、好適な厚さは、通常、約100〜2,500μmの範囲であり、さらに好適には、約400〜1,900μmの範囲である。シール層の厚さが100μmを下回ると、それを使用した効果が十分に発現されず、反対に2,500μmを上回ると、シーラ層の特性に悪影響がでたり、シーリングテープの取り扱い性が低下したりし、膜厚の増加により外観品質も低下する。
【0035】
シール層と組み合わさってシーリングテープを構成するバリア層は、シール層の加熱・溶融中にシール箇所の不連続面よりシーリングテープ中に気泡が浸入したとしても、その気泡をシーリングテープの内部で捕捉することができる。すなわち、気泡がシーリングテープの表面に現れることを防止して、硬化後のシーリングテープやその上の塗料皮膜の好ましい外観の維持・向上を図ることができる。また、バリア層は、シーリングテープを支持して、その取り扱い性を向上させることができる。
【0036】
バリア層は、いろいろな材料から異なる手法で形成することができる。好ましくは、バリア層は、シール層の部分架橋生成物から形成することができる。すなわち、シーリングテープに電子線、紫外線等の放射線を照射するかあるいは任意の化学的処理を施すことによって、シーリングテープを構成するシール層の表面部分に架橋構造を設け、所定の厚さのバリア層をシール層そのものから形成することができる。さもなければ、バリア層は、シール層とは独立した材料から、積層、コーティングなどの任意の手法によって形成することができる。プラスチックフィルムの積層、あるいはプラスチック材料のコーティングによってバリア層を形成するのが好適である。
【0037】
プラスチックフィルムからバリア層を形成する場合、好適なプラスチックフィルムは、電着工程での焼き付け温度(通常、約160〜200℃)である程度軟化はするが、溶融流動を起こさないプラスチック材料やその他のシール層に類似した材料から構成される。バリア層の形成に好適なプラスチックフィルムは、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、特にエチレンアミノアクリレート(EAA)フィルムが有用である。なお、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルムやナイロン等の樹脂フィルムは、シール層の材質に非類似であるので、シール層との馴染みが悪く、本発明の実施に適していない。不織布や金属箔なども、バリア層の形成に適していない。
【0038】
バリア層は、いろいろな厚さで使用することができるけれども、好適な厚さは、通常、約10〜100μmの範囲であり、さらに好適には、約25〜75μmの範囲である。バリア層の厚さが10μmを下回ると、それを積層した効果が十分に発現されず、反対に100μmを上回ると、シーラ層の特性に悪影響がでたり、シーリングテープの取り扱い性が低下したりする。
【0039】
本発明によるシーリングテープは、必要ならば、糊剤層をさらに含むことができる。図3は、図1に示したシーリングテープ10において、そのシール層1の下面に糊剤層3を施した例を示した断面図である。糊剤層3は、いろいろな材料から形成することができるけれども、好ましくは粘着剤を塗布するかもしくは粘着剤を含む粘着シートあるいは粘着フィルムを積層することによって形成することができる。ここで使用する粘着剤は、特に限定されないというものの、好ましくは、油面定着性を有し、電着塗装時の焼き付け工程の熱である程度の自己溶融を生じ、しかも電着焼き付け工程の熱で反応して硬化可能である粘着剤である。電着焼き付け工程の熱で硬化することができないと、シーリングテープの溶融硬化後に油面鋼板から剥離する恐れがあるからである。このような性質をそなえた粘着剤の好適な一例として、例えば、米国特許第5708109号明細書に開示されているような極性の低いアクリル系感圧接着剤を挙げることができる。
【0040】
本発明によるシーリングテープは、必要ならば、糊剤層の上に剥離紙をさらに含むことができる。図4は、図1に示したシーリングテープ10において、そのシール層1の下面に糊剤層3及び剥離紙4を順次施した例を示した断面図である。糊剤層3は、上記したように、慣用の粘着剤から形成することができる。同様に、剥離紙4も、リリースペーパー、リリースライナーなどとしても知られた慣用の剥離紙を利用することができる。剥離紙を併用することによって、粘着性をもったシーリングテープの取り扱い性が可能となるばかりでなく、シーリングテープを迅速に施工することも可能となる。また、剥離紙は、その表面が平滑なままであってもよいけれども、その表面に微細な突起物を多数設けることもできる。剥離紙の突起面をシーリングテープの糊剤層に当接させた構成を採用すると、糊剤層の表面を部分的に排除し、エア抜け可能な微細なチャネルを形成することができるからである。なお、このような構成の剥離紙は、3M社から「EAライナ(商標)」として商業的に入手可能である。
【0041】
本発明のシーリングテープは、その施工目的や施工部位などに応じていろいろな厚さで使用することができる。シーリングテープの厚さは、通常、約0.2μm〜2.0mmの範囲であり、好ましくは、約0.5μm〜2.0mmの範囲である。シーリングテープの厚さが0.2μmを下回ると、薄すぎて十分なシーリング効果を得ることができず、反対に2.0mmを上回ると、硬化後の厚さが目立ってしまい、外観品質の低下などの問題を避けることができない。
【0042】
本発明のシーリングテープは、それを施工する場合、被着体である油面鋼板の表面から油膜を除去しないで被着体の不連続部に施工されるということが重要である。油膜除去工程を省略できるということは、シーリングテープの利用者にとって非常に歓迎すべき改良であり、製造工程に短縮、製造コストの低減を図ることができる。なお、必要ならば、油面鋼板から油膜を完全に除去するかあるいは部分的に除去した後に本発明のシーリングテープを施工してもよい。
【0043】
本発明によるシーリングテープは、いろいろな被着体の不連続部に対してシーラントあるいはシーラ−として施工することができるけれども、自動車、船舶等の車体あるいは部品等において認められる各種の不連続部、例えば部品等の接合部、合わせ目、継ぎ目、段差などに有利に施工することができる。
【0044】
図5及び図6は、本発明によるシーリングテープを用いて被着体の不連続部を封止し、シーリング構造体を作製する方法を具体的に示したものである。
【0045】
図6に示すシーリング構造体30は、図5に示すように、2枚の油面鋼板製パネル21及び22をそれぞれ直角に加工して、U字形状の溝23を備えたルーフディッチ(被着体)を形成した後、その継ぎ手Aに本発明のシーリングテープ10を施工し、さらにそれを加熱により硬化させることによって作製したものである。さらに説明すると、ルーフディッチは、一般的には自動車やトラックのような車両において見出される。このようなルーフディッチは、通常、車両のルーフパネル21の側縁部とサイドパネル22の側縁部を互いに折り曲げて重ね合わせ溶接することにより、車両の前後方向に形成される。このようなルーフディッチには不連続部分としての継ぎ手Aがあり、ここを本発明のシーリングテープで封止することによって、当該継ぎ手に水分、ほこりのようなもの及びその他の望ましくない成分が入って腐食を引き起こすことが防止される。また、自動車産業では、図示していないが、熱溶融−硬化後のシーリングテープの上に必要に応じて塗料の皮膜などが設けられる。
【0046】
詳細に述べると、図示のシーリングテープをまずルーフディッチの継ぎ手の上に載置する。その後、ルーフディッチをオーブンのような加熱装置に案内するかもしくは別の手法で加熱する。シーリングテープは、加熱により熱溶融−流動し、さらにその後に硬化し、継ぎ手部分を被覆し、封止することができる。すなわち、継ぎ手部分を被覆した状態で加熱されたとき軟化して、継ぎ手部分の表面になじみ、それにより捕捉された空気を押し出す。その後、シーリングテープは、加熱により硬化し(すなわち共有結合でもって架橋し)、引き続いて冷却及び再加熱しても流動することはない。
【0047】
ところで、ルーフディッチの継ぎ手部分に本発明のシーリングテープを施工した場合、シーリングテープは、ルーフディッチの底面のみならず側壁にも拘束される。ルーフディッチは、それを構成する鋼板パネルの偏倚や撓みにより、シーリングテープに側壁から応力を及ぼすことがあるからである。しかし、本発明のシーリングテープは、それを構成するシール層(熱硬化した樹脂組成物)の弾性により、約−30℃の比較的低い温度で側壁からの応力を受けても、柔軟に追従することができ、割れ難くい。その結果、ほこり、水分及びその他の望ましくない成分の侵入を防止することができる。
【0048】
自動車産業ではまた、ルーフディッチのシーリングテープを加熱によって溶融・流動した後の電着塗装等の塗装工程でシーリングテープの上に塗料皮膜を設ける間に、加熱工程で硬化を行う。その際、塗料皮膜は、シーリングテープと同様にルーフディッチの側壁に拘束されるほか、シーリングテープからも拘束される。その結果、塗料皮膜とシーリングテープとの間に界面応力が一般に生じる。通常、この界面応力は低温下で観察されることが多い。低温下において、典型的なシーリングテープは収縮を受け易いからである。しかし、本発明のシーリングテープの場合、応力が低減され、塗料皮膜の割れを防止することができる。
【0049】
また、本発明のシーリングテープは、ルーフディッチ等の単なるシーリングにのみ適用されるとは限らず、例えば車両のドア部下方にあるサイドシル下部等にも適用可能である。詳細に述べると、このサイドシル下部は車両の前輪タイヤの後方に設置されており、車両の走行中には、前輪タイヤによって跳ね上げられた路上の小石や砂利のようなチッピングの衝撃を受けやすい。しかし、本発明のシーリングテープをこのサイドシルに塗布することにより、上述のような衝撃を緩和することができる。従って、サイドシル下部に、例えば樹脂からなるカバー部材を設けてチッピングの衝撃による騒音・振動を防止する必要がなくなり、車両の軽量化を図ることができる。
【0050】
また、本発明のシーリングテープのシール層を構成する熱硬化性樹脂組成物は、加熱されても流動性に比較的乏しいという特徴を有する。従って、このシール層がサイドシル下部のオーバーハング面に施工されても、そこから垂れ落ちることはほとんどない。従って、オーバーハング面の塗布に工夫が特に必要とされなくなる。
【0051】
さらに、シール層を構成した熱硬化性樹脂組成物の硬化物には、鋼板用塗料による塗装が可能である。塗装方法としては、電着塗装などを挙げることができる。その結果、例えば車体と同じ色の塗料を硬化物に塗布することにより、車両に好ましい外観を容易に与えることができる。
【0052】
【実施例】
次いで、本発明を実施例にしたがって説明する。なお、本発明が下記の実施例によって限定されないことは言うまでもない。
実施例1
下記の手順に従ってシーリングテープを作製した。
シール層の調製:
下記の成分、すなわち
(1)30質量部の、18質量%グリシジルメタクリレートを含有するエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(商品名「CG5001」、住友化学工業製)、
(2)70質量部のエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量:45質量%、商品名「EV45X」、三井・デュポンポリケミカル製)、
(3)5質量部の、600〜700のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂(商品名「エピコート1002」、ジャパンエポキシ製)、
(4)12質量部の、240mgKOH/gの酸価を有するカルボキシル基含有レジン(硬化剤、商品名「KE604」、荒川化学製)、
(5)2質量部のイミダゾール系誘導体(硬化促進剤、商品名「2PHZ−PW」、四国化成製)、及び
(6)120質量部の炭酸カルシウム(充填剤、商品名「ホワイトンSB」、白石カルシウム製)
を軸径30mmの二軸押出機に投入し、混練によって熱硬化性樹脂組成物を調製した。得られた熱硬化性樹脂組成物を二軸押出機から押し出して、PETフィルム基材の一面上に、ホットナイフコーター(コンマコータータイプ)を用いて塗布し、0.6mmの厚さを有するシートを形成した。次いで、得られたシートを裁断して150cmの長さと3cmの幅をもったテープ(シール層)を調製した。
糊剤層の調製:
下記の成分、すなわち
(1)50質量部の2−エチルヘキシルアクリレート、
(2)50質量部のイソボロニルアクリレート、
(3)0.1質量部のアクリル系光重合開始剤(商品名「Irgacure 651」、チバガイギー製)、
(4)30質量部の、150〜200のエポキシ当量を有し、かつ分子内に不飽和結合を有しないエポキシ樹脂(商品名「RXE21」、ジャパンエポキシ製)、
(5)3質量部のジシアンジアミド(硬化剤)、
(6)0.5質量部のイミダゾール系誘導体(硬化促進剤、商品名「2MZA−Pw」、四国化成製)、及び
(7)100質量部の炭酸カルシウム(充填剤、商品名「ホワイトンSB」、白石カルシウム製)
を混合して糊剤組成物を調製した。得られた糊剤組成物をシリコン系剥離剤を塗布したPETフィルム基材の一面上にナイフコーターを用いて塗布し、0.1mmの厚さを有するシートを形成した。次いで、得られたシートを裁断して150cmの長さと3cmの幅をもったテープ(糊剤層)を調製した。
シーリングテープの作製:
上記のようにして調製したシール層と糊剤層を積層した。次いで、得られた積層テープのシール層側の表面に電子線を20Mradの強度で照射し、シール層の表面領域における架橋反応に由来するバリア層を形成した。糊剤層、シール層及びバリア層の3層構造をもった厚さ0.7mmのシーリングテープ1が得られた。
実施例2
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、シール層と糊剤層からなる積層テープを調製した後、積層テープのシール層側の表面に厚さ50μmのEAAフィルム(商品名「ユカロンA201M」、三菱油化製)を積層してフィルム状バリア層を形成した。糊剤層、シール層及びバリア層の3層構造をもった厚さ0.75mmのシーリングテープ2が得られた。
比較例1
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、比較のため、シール層と糊剤層からなる積層テープを調製した後、電子線照射によりバリア層を形成する工程を省略した。糊剤層及びシール層の2層構造をもった厚さ0.7mmのシーリングテープC1が得られた。
比較例2
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、比較のため、シール層と糊剤層からなる積層テープを調製した後、積層テープのシール層側の表面に厚さ50μmのPETフィルム(商品名「メリネックスD316」、デュポン社製)を積層してフィルム状バリア層を形成した。糊剤層、シール層及びバリア層の3層構造をもった厚さ0.75mmのシーリングテープC2が得られた。
実施例3
前記実施例1及び2ならびに比較例1及び2において作製したシーリングテープについて、それらのシーリングテープの特性:
(1)孔あき防止性、
(2)シール性、及び
(3)塗膜密着性
を下記の手順に従って評価した。
【0053】
縦15cm×横7.5cm×厚さ0.8mmで電着塗装を施す前のSUS鋼板に防錆油(商品名「プレトンR−303PX2」スギムラ化学工業製)を塗布して油面鋼板を作製した。図7に示すように、2枚の油面鋼板21及び22を重ね合わせて被着体を作製し、また、油面鋼板の重なり合った部分を、通常の場合にはスポット加工で接合しているところを、便宜的に接着剤(商品名「JA7439D」、3M社製)で固定した。次いで、2枚の油面鋼板が重なり合った部分に、通常のスポット接合加工に似せるため、合計3個の円形窪み(直径5mm及び深さ1.5mm)25を加工した。
【0054】
次いで、図8に示すように、各例で作製したシーリングテープを被着体に貼り付け、電着塗装工程の模擬のため、40℃の温水中に1時間浸漬し、その後、水滴等を拭き取らないままの状態で恒温オーブンに入れ、180℃の温度で30分間にわたって加熱した。
(1)孔あき防止性の評価
被着体をそれに貼付したシーリングテープと共に恒温オーブンから取り出し、シーリングテープにおいて、下地の油面鋼板から貫通している細孔やテープの欠損があるか否かを目視により観察した。下記の第1表に記載するように、比較例1で作製したシーリングテープC1においてのみ、油面鋼板21に加工した窪み25に対応する個所において、テープを貫通した穴のあることが認められた。
(2)シール性の評価
被着体をそれに貼付したシーリングテープと共に恒温オーブンから取り出し、被着体とシーリングテープを図8に線分IX−IXで示すように切断した。重ね合わせた2枚の油面鋼板21及び22の段差の部分(図9及び図10の矢印Bを参照されたい)について、段差部分が溶融後のシーリングテープ10で埋められているか否かを目視により観察した。実施例1及び2のシーリングテープ1及び2、そして比較例1のシーリングテープC1の場合には、図9に示すように、段差部分Bが溶融後のシーリングテープ10で完全に埋め尽くされていることが認められた。これに対して、比較例2のシーリングテープC2の場合には、図10に示すように、段差部分Bが溶融後のシーリングテープ10で埋められておらず、空隙26が残存していることが認められた。
(3)塗膜密着性の評価
縦15cm×横7.5cm×厚さ0.8mmの電着塗板を用意し、各例で作製したシーリングテープを貼り付けてサンプルとした。それぞれのサンプルを恒温オーブンに入れ、180℃の温度で30分間にわたって加熱した。
【0055】
次いで、サンプルの全面に自動車用のメラミンアルキッド系塗料(メーカー提供品;組成不明)を塗装し、180℃の温度で30分間にわたって焼き付けを行った。サンプルを24時間にわたって放置して冷却した後、シーリングテープ上の塗装面にナイフでゴバン目(格子状の切れ目)を入れた。格子の間隙は2mm、切れ目の数は縦横とも11本であり、合計100個のゴバン目が完成した。
【0056】
シーリングテープに付与したゴバン目の部分にスコッチ(登録商標)ブランドの片面粘着テープ(3M社製)を貼り付け、十分圧着した後にテープを引き剥がした。それぞれのサンプルについて、ゴバン目を入れた塗膜に剥がれが生じているか否かを目視により観察した。塗膜密着性の評価に当っては、それぞれのゴバン目において面積で50%以上塗膜が残っている場合を「剥がれなし」とみなし、剥がれなしのゴバン目が100個中いくつ残っているかをカウントした。下記の第1表に示すように、比較例2のシーリングテープC2において塗膜密着性の不良が確認された。
【0057】
【表1】
【0058】
上記の評価試験の結果から理解されるように、本発明に従って作製したシーリングテープの場合には、孔あき防止性とシール性を両立させ、さらには満足し得る塗膜密着性を得ることができるけれども、従来の方法に従って作製したシーリングテープの場合には、その層構成に原因して、孔あき防止性、シール性、そして塗膜密着性を同時に満足させることができない。
【0059】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、油面鋼板からなる被着体の不連続部を封止するために有利に使用でき、油面鋼板に対する接着力に優れ、不連続部に対して良好な防水性、防錆性、防塵性などを付与でき、しかも電着塗装用の塗料などの密着性に優れ、電着塗装工程中の洗浄処理に原因してピンホールの形成やシーラ−切れを引き起こすこともないシーリングテープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシーリングテープの好ましい1実施形態を示した断面図である。
【図2】本発明によるシーリングテープのもう1つの好ましい実施形態を示した断面図である。
【図3】本発明によるシーリングテープのもう1つの好ましい実施形態を示した断面図である。
【図4】本発明によるシーリングテープのさらにもう1つの好ましい実施形態を示した断面図である。
【図5】図1のシーリングテープをルーフディッチのシーリングに使用する方法を示した断面図である。
【図6】図5の方法で得られたシーリング構造体を示した断面図である。
【図7】実施例3の評価試験で使用した油面鋼板の接合体を示した斜視図である。
【図8】図7の油面鋼板の接合体に供試シーリングテープを貼付した後の状態を示した斜視図である。
【図9】実施例3の評価試験において得られた結果を示した断面図である。
【図10】実施例3の評価試験において得られた別の結果を示した断面図である。
【符号の説明】
1…シール層
2…バリア層
3…糊剤層
4…剥離紙
10…シーリングテープ
11…シール層
21…油面鋼板パネル
22…油面鋼板パネル
23…U字形溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、シーリングテープに関し、さらに詳しく述べると、自動車などの鋼板部品の接合部等に施工して隙間を封止したり段差を平坦化したりするための熱硬化性シーリングテープに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車や船舶などにおいて、多くの部分が鋼板製の部品やその他の部品を接合することによって作製されており、また、したがって、部品どうしの接合部や合わせ目、継ぎ目等(以下、総称して「不連続部」という)において、生じた隙間や段差を防水、防錆、防塵などの観点から封止することが必須とされている。
【0003】
従来、上記したような自動車等の不連続部分を封止するため、シーラントが一般的に使用されている。シーラントは、施工の要求に応じて液体又は固体の材料として供給されている。例えば、自動車産業において、接合部などを例えばポリ塩化ビニル(PVC)からなる液状あるいはペースト状のプラスチゾルを用いて封止することが常法となっている。しかし、シーラントが液状の場合、接合部などの部位によってはその施工に困難を伴うことがある。また、施工に当たって作業者の熟練などが大きく影響し、外観やシーリング性能にばらつきが生じるという問題があり、さらには環境への影響の問題もある。
【0004】
一方、液状あるいはペースト状のシーラントを使用した時の上述のような問題を回避するため、例えばシート又はテープのような一定の形状を有するシーラントが使用される例がある。一例を示すと、本発明者らは、自動車の車体において金属継手といった基板に形態学的又は保護的機能を付与するのに有用な、熱硬化性のメルトフロー可能なシート材料を発明し、すでに特許出願している(特許文献1)。また、室温において半結晶質であり、熱可塑性かつ溶融−流動可能な1種以上のポリマーと、必要により実質的に非反応性の1種以上の充填剤とから本質的になる少なくとも1つの層を有することを特徴とする基体に形態学的又は保護的機能を付与するのに有用なシート材料もすでに特許出願されている(特許文献2)。これらのシート材料は、自動車車体の金属継手等の不連続部に適用された後、加熱により流動して不連続部を覆った後に硬化可能である。
【0005】
ところで、従来のシーラントは、それを自動車車体等の不連続部を封止するために使用する場合、自動車車体等に使用されている鋼板の表面に電着塗装を行った後に施工しなければならないという前提がある。しかし、電着塗装後では、シーラントを塗布する工程を組み込むことが難しいことが多く、また、たとえ塗布を実行できても鋼板に対するシーラントの密着性が十分でないことが多く、さらには、部品などが邪魔になってシーラントを施工できない場合もある。
【0006】
これらの問題を回避するため、電着塗装を行う前の鋼板にシーラントを施工してしまうことも考えられる。しかし、従来一般的に使用されている鋼板の場合、その表面に防錆油の塗布等に由来する油膜が形成されているのが普通であり(以下、このような鋼板を「油面鋼板」という)、油膜が邪魔をして油面鋼板に対してシーラントを施工できないことが多い。この種の問題は、シート状又はテープ状のシーラントにおいて特に顕著であり、十分な接着力が得られないために、後段の電着塗装の工程でシーラントが脱落してしまうことがしばしばである。
【0007】
また、油面鋼板にシーラントを施工した後に電着塗装を行う方法では、多くはシーラントの組成に原因があると考察されるのであるが、シーラントに対する電着塗料等の密着力が悪く、電着塗膜の外観不良を甘受しなければならない。また、電着塗装工程の際、シーラントの一部が電着塗装槽に溶け出してしまうといった不都合も発生する。
【0008】
さらに、シーラントの施工後に電着塗装工程を行う場合、電着塗装に使用される水分を含有する電着液や電着塗装工程中の洗浄処理などで鋼板の隙間などに水分が付着することがあり得る。鋼板に付着した水分は、電着塗料等の焼き付け工程で膨脹・揮発する結果、すでに施工されているシーラントにピンホールのような細孔を形成することもあれば、シーラ−切れを生じさせたりもする。
【0009】
【特許文献1】
特表平8−508216号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献2】
特表平9−505335号公報(特許請求の範囲、図1a及び図1b)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、油面鋼板からなる被着体の不連続部を封止するために有利に使用でき、油面鋼板に対する接着力に優れ、不連続部に対して良好な防水性、防錆性、防塵性などを付与でき、しかも電着塗装用の塗料などの密着性に優れ、電着塗装工程中の洗浄処理に原因してピンホールの形成やシーラ−切れを引き起こすこともない新規なシーラントを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、表面に油膜を備えた鋼板からなる被着体の不連続部を封止するために用いられるシーリングテープであって、
加熱により自己溶融して前記不連続部を封止し、硬化する熱硬化性樹脂組成物からなるシール層、及び
前記シール層の自己溶融温度において軟化可能であるけれども溶融して流動することがないプラスチックフィルムからなるバリア層を含んでなることを特徴とするシーリングテープにある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施の形態のみに限定されないことは、当業者ならば容易に想到されるであろう。
【0013】
本発明によるシーリングテープは、換言すると「シーラント」あるいは「シーラ−」と呼ぶことができ、それを施工する対象は特に限定されるものではない。本発明のシーリングテープは、表面に油膜を備えた鋼板(油面鋼板)からなる被着体の不連続部を封止するために使用した場合、特にその優れた作用効果を発揮することができる。なお、本発明で「シーリングテープ」といった場合、シーラント(あるいはシーラ−)がテープもしくはそれに類する形態を有することを意味し、具体的には、例えばテープ、フィルム、ロープ、ストラップ等の形態をもったシーラントを包含する。また、「被着体」とは、シーリングテープが施工されるべき不連続部を備えた任意の物品を意味し、典型的には、自動車、トラック、電車等の車両や船舶などの車体や、それを構成する部品等を意味する。また、かかる被着体の不連続部とは、先に説明したように、部品どうしの接合部や合わせ目、継ぎ目などのほかに、継ぎ手、段差部、目地部、亀裂部なども意味する。
【0014】
図1は、本発明によるシーリングテープの好ましい1実施形態を示した断面図である。図示のシーリングテープ10は、電着焼き付け工程で加えられる熱(通常、約160〜200℃)により自己溶融して被着体の不連続部を封止し、その後で硬化可能な熱硬化性の樹脂組成物からなるシール層1と、シール層1の上面に被覆されたバリア層2とからなる。バリア層2は、シール層1の自己溶融温度において軟化可能であるけれども溶融して流動することがないプラスチックフィルムから構成される。換言すると、バリア層2は、電着工程での焼き付け温度(通常、約160〜200℃)である程度軟化はするが、溶融流動を起こさないプラスチックフィルムやその他のシール層に類似した材料から構成される。図示のシーリングテープ10の場合、バリア層2はシール層1の上面に設けられているけれども、その代りに、図示しないが、シール層1の下面に設けられていてもよく、さもなければ、シール層1の上面及び下面の両面に設けられてもよい。また、図2に示すように、シール層の内部にバリア層を設けて、バリア層2が下方のシール層1と上方のシール層11とによってサンドイッチされているように構成してもよい。なお、必要ならば、シール層の内部と表面及び(又は)下面にバリア層が存在するようにシーリングテープを構成してもよい。
【0015】
本発明によるシーリングテープにおいて、シール層は、電着焼き付け工程で加えられる熱により自己溶融して被着体の不連続部を封止し、その後で硬化可能な任意の熱硬化性の樹脂組成物から構成することができる。シール層の形成に好適な熱硬化性の樹脂組成物の例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、アクリル系ポリマーとエポキシ樹脂の混合物を含む樹脂組成物(例えば、特開平2−272076号公報、特表平8−508216号公報などを参照されたい)、エポキシ樹脂を含有するホットメルト系の樹脂組成物(例えば、特表平9−505335号公報、特開2000−192013号公報、特開2002−121351号公報などを参照されたい)などを包含し、エポキシ樹脂を含有するホットメルト系の樹脂組成物がとりわけ有用である。また、上記のようなエポキシ樹脂を含有するホットメルト系の樹脂組成物に対して、−20℃〜40℃程度の環境温度で十分な可とう性を有し、かつシール層が電着焼き付け工程で焼き付けられる温度で比較的に溶融温度が高いような樹脂又は樹脂組成物を混合した樹脂材料を用いることにより、より良好な結果を得ることができる。なお、上記のような樹脂の例としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、エチレン−酢酸ビニル樹脂(EVA)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などを挙げることができる。
【0016】
さらに、上記したようなシール層を構成する熱硬化性樹脂組成物において、それに含まれるEVA、SBR等の樹脂の混合量を増やすことによって、シール層自体が油面鋼板の油面に対して良好な接着性、定着性を有するように改良を施すことができる。このような場合には、もちろん、油面定着性の改良のためにシーリングテープに対して糊剤層をさらに設ける必要はない。
【0017】
さらに具体的に説明すると、本発明のシール層の形成に好適な、例えば特開2002−121351号公報に記載される熱硬化性樹脂組成物は、好ましくは、(1)エポキシ含有材料、(2)エポキシ含有材料のための特定の硬化剤及び(3)充填剤を少なくとも含有する。以下、これらの成分について詳述する。
1.エポキシ含有材料
熱硬化性樹脂組成物の第1の成分として用いられるエポキシ含有材料は、低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂を含み、さらに、エポキシ樹脂及び必要に応じて相溶化剤を含む。
(1)低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂
エポキシ化熱可塑性樹脂は、エポキシ基を有する熱可塑性樹脂である。一般に、熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂組成物に一定の形状を付与することができる。また、エポキシ化熱可塑性樹脂は、エポキシ基の存在により熱硬化反応に寄与する。その結果、熱硬化性樹脂組成物が硬化したときに、その硬化物が耐熱性や耐久性を備えるようになる。また、自動車のルーフディッチ用シーラー用途においては、このエポキシ基により、硬化物が自動車用塗料(例えば、有機溶剤系アクリル塗料や有機溶剤系アルキッド塗料)及びカチオン電着塗装された自動車鋼板と密着しやすくなる。硬化物が自動車用塗料と密着することは、自動車の塗装工程に有利である。なぜならば、車体の塗装時に、硬化物を車体の色と同一にすることができるからであるからである。その結果、モール等のカバー材が必要とされず、車体の外観・見栄えがよくなる。また、鋼板と密着することは、シーラーの耐久性、密閉性を向上させることにもなる。
【0018】
さらに、熱硬化性樹脂組成物においては、エポキシ化熱可塑性樹脂の吸湿性ができるだけ低いこと、すなわち低吸湿性であることが必要とされる。なぜならば、かかる低い吸湿性により、熱硬化性樹脂組成物への水分の吸収を防止し、その結果、自動車の塗装工程に有利になるからである。また、熱硬化性樹脂組成物の保管等の取り扱いも簡素化される。エポキシ化熱可塑性樹脂は、通常、約9以下の溶解度パラメータ(SP)を有する。
【0019】
通常、エポキシ化熱可塑性樹脂は、成形加工時及び熱溶融時の流れ性を考慮して約1,000〜1,000,000の分子量を有する。また、エポキシ化熱可塑性樹脂は、耐熱性、耐久性、塗膜密着性及び吸水性を考慮すると、一般に、約200〜15,000のエポキシ当量を有している。
【0020】
上述したエポキシ化熱可塑性樹脂の典型的な一例は、エポキシ化エチレン系熱可塑性樹脂である。この樹脂は、エチレン部分の存在によって低吸湿性を示す。エポキシ化エチレン系熱可塑性樹脂としては、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体が好ましい。このエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体は、特開平9−137028号公報や特開平10−316955号公報において接着剤及びホットメルト組成物の一成分として開示されているように、ポリエチレンをエポキシ化したものであって、通常は、エチレンとグリシジルメタクリレートの共重合により得られる。その結果、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体は、エチレン部分とグリシジル(メタ)アクリレート部分によって構成される。このような場合、エチレン部分は熱硬化性樹脂組成物の低吸湿性に寄与し、また、グリシジル(メタ)アクリレート部分は自動車用塗料及びカチオン電着塗装された自動車鋼板の密着性に寄与する。
【0021】
エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体は、エチレンとグリシジル(メタ)アクリレートのモノマー重量比を約50:50〜約99:1の範囲にして構成されていることが望ましい。上限を超えたエチレンを含んで構成されたエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体は、硬化物に所望の機械的強度及び耐久性が付与し難い傾向にある。反対に、下限を下回ったエチレンを含むエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体は、所望の低吸湿性を得ることができない傾向にある。
【0022】
また、典型的なエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体は、約120℃以下の比較的低温でも溶融し易く、それを含む熱硬化性樹脂組成物を加熱流動させてシーリングを行う際に高流動性が得られ、結果として均一性及び平滑性の高い外観となる。また、シール層作製時の加熱混合プロセスにおいて比較的低温で混練することができるため、熱硬化成分と硬化剤の反応を混練中に起こすおそれが少なく、さらに、反応性がより高い硬化剤を選択することもできる。
【0023】
本発明の効果を損なわない限り、エポキシ化熱可塑性樹脂として、エチレン及びグリシジル(メタ)アクリレートに加えてさらに第三の成分も共重合又はグラフト重合した三元のエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体を使用してもよい。このような三元共重合体の一例は、アルキル(メタ)アクリレート及び酢酸ビニルなどを共重合したもの、また、グラフト重合体としては、ポリスチレン、ポリアルキル(メタ)アクリレート及びアクリルニトリル−スチレン共重合体などをグラフトしたものである。
【0024】
エポキシ化熱可塑性樹脂のもう一つの典型的な例は、エポキシ化スチレン系熱可塑性樹脂であり、共役ジエンの存在によって低吸湿性を示す。このエポキシ化スチレン系熱可塑性樹脂は、例えば、ポリスチレンからなるハードセグメントと、エポキシ化されたポリブタジエンからなってゴム弾性をそのエラストマーに付与するソフトセグメントと有するブロック共重合体である。あるいは、エポキシ化されたポリブタジエンの代わりに、又は、エポキシ化されたポリブタジエンと共に、エポキシ化されたポリイソプレンを使用することができる。
【0025】
通常、エポキシ化スチレン系熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、約−70〜−50℃と非常に低く、このとき、熱硬化性樹脂組成物の硬化物に約−30℃までの低温における耐久性(特に振動耐久性を)強化することができる。その結果、このエポキシ化スチレン系熱可塑性樹脂は、低温でも応力が繰り返し負荷される部分のシーリング、例えば、自動車のルーフティッチのシーリングに非常に有利である。また、自動車のルーフディッチのシーリングにおいては、エポキシ化スチレン系熱可塑性樹脂のスチレン部分及びエポキシ基により、硬化物が自動車用塗料(例えば、有機溶剤系アクリル塗料や有機溶剤系アルキッド塗料)及びカチオン電着塗装された自動車鋼板と密着することになる。
【0026】
かかるエポキシ化スチレン系熱可塑性樹脂の一例は、スチレン−エポキシ化ブタジエン−スチレン共重合体及びスチレン−エポキシ化イソプレン−スチレン共重合体である。いずれの場合も、エポキシ化は共役ジエンの不飽和結合をエポキシ化することで行なわれる。
【0027】
以上のような低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂組成物中に約10〜90重量%の量で含まれることが好ましい。10重量%未満では耐熱性、低吸湿性が低下し、90重量%超では充填剤が相対的に低下し低線膨張率が得られないことがあるからである。
(2)エポキシ樹脂
エポキシ含有材料には、前述したエポキシ化熱可塑性樹脂のほか、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂のような液状又は固体状のエポキシ樹脂を含ませ、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐久性及び自動車用塗料との密着性をさらに強化することができる。望ましいエポキシ樹脂は、例えば水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ブタジエン骨格エポキシ樹脂等の線状脂肪族エポキシ樹脂、又はダイマー酸変性エポキシ樹脂等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂のように、極性が比較的低いエポキシ樹脂である。なぜなら、前記のエポキシ化熱可塑性樹脂に含まれる低吸水成分、例えば、エチレン部分及びブタジエン部分との相溶性が優れているからである。さらに、硬化物への水分の吸収を防止し、自動車の塗装工程に有利になるからである。このエポキシ樹脂の量は、(1)の成分、すなわち低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常は0〜約500重量部の範囲、好ましくは約5〜400重量部の範囲である。
(3)相溶化剤
必要に応じて、エポキシ含有材料には相溶化剤がさらに含まれてもよい。詳細に述べると、この相溶化剤は、100重量部の低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂に対して通常は0〜約300重量部の範囲で、好ましくは約1〜100重量部の範囲で含まれており、低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂との相溶性を高めることができる。上記の相溶ができる限り、本発明で相溶化剤は特に限定されないけれども、好適にはポリエステル樹脂又はエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を含んでいる。特に、ポリエステル樹脂が、低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂と所定の割合で配合されている場合に、低吸湿性エポキシ化熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂との分離を防止するだけでなく、熱硬化性組成物の硬化温度(約100〜160℃)における流動性も大幅に向上させることができるからである。
2.エポキシ含有材料の硬化剤
硬化剤は、エポキシ化熱可塑樹脂及びエポキシ樹脂に含まれるエポキシ基を硬化させて熱硬化性樹脂組成物に架橋構造を設け、硬化物を得ることができる。
【0028】
本発明によれば、硬化物を得ることができる限り硬化剤は限定されない。したがって、硬化剤は、例えばジシアンジアミドのようなアミン化合物、分子内にカルボキシル基(酸無水物も含む)をもったアクリル化合物若しくはロジン、イミダゾール誘導体、BF3 錯体類、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル類若しくはメラミン類又はそれらの混合物を含んでもよい。また、硬化剤の極性の高低も問わない。しかし、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体のグリシジル基の硬化には、特開平9−137028号公報及び特開平10−316955号公報に開示されているように、分子内にカルボキシル基を含有するアクリル化合物やロジンを含む硬化剤の使用が要求される。極性の高い硬化剤がエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体と相溶せず、実質反応できないのと比較して、かかる硬化剤はエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体と相溶し易く、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体のグリシジル基を硬化するからである。
【0029】
硬化剤は硬化促進剤と併用してもよい。特に、カルボキシル基を有する硬化剤とエポキシとの反応には、フェノール含有物、イミダゾール誘導体又は三級アミンを含む硬化促進剤が有利に使用可能である。
3.充填剤
本発明では、例えば炭酸カルシウムもしくはシリカ又はそれらの混合物を含有した充填剤が熱硬化性樹脂組成物にさらに添加されている。充填剤は、硬化物の線膨張係数を低下させることができる。その結果、そのような硬化物は、特に低温における温度変化において、線膨張係数が低下し、低温下での収縮量が減少し、その上に自動車用塗料を塗布して形成された塗料皮膜に応力を与え難くなる。かくして、この形成された塗膜は低温でも割れ難くなる。
【0030】
シール層の形成のための熱硬化性樹脂組成物は、必要ならば、追加の成分を添加剤として任意に含有することができる。例えば、上記のように熱硬化性樹脂組成物に充填剤が添加されていると、一般に、熱硬化性樹脂組成物が加熱−溶融時において好ましくない流動性を伴うおそれがある。従って、熱硬化性樹脂組成物は、可塑剤をさらに含むことが好ましい。可塑剤を含むことにより、熱硬化性樹脂組成物は所望の流動性が保持される。なぜならば、この可塑剤は一般的に粘度が低く、組成物の流動性の向上に寄与することができるからである。
【0031】
熱硬化性樹脂組成物に含めてもよい可塑剤は、例えば、フタル酸ジ2−エチルヘキシルもしくはフタル酸ジイソノニルのようなフタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、エポキシ化脂肪酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、液状テルペン樹脂、液状テルペンフェノール共重合体若しくは液状テルペンスチレン共重合体、アゼライン酸エステル類、セバシン酸エステル類、エポキシヘキサフタル酸エステル類又はそれらの混合物を含有した可塑剤が含まれる。かかる可塑剤は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物に可撓性を与えることができる。また、硬化物はガラス転移温度を下げて、約−20〜−40℃の低温でも弾性率を低くすることができる。その結果、硬化物がそのような低温での大きく伸びることができ、振動耐久性のような動的耐久性を向上させることができる。
【0032】
シール層の形成に用いられる熱硬化性樹脂組成物は、可塑剤以外の添加剤をさらに含有してもよい。例えば、熱硬化性樹脂組成物には、微小粒金属、無機粒子、結晶性高分子、有機顔料からなる結晶化剤が含まれてもよい。このような結晶化剤は、熱硬化性樹脂組成物にポリエステルのような結晶性樹脂が含まれている場合に、この結晶性樹脂の結晶化を促進することができ、その結果、熱硬化性樹脂組成物及びその成形品たるシーリングテープの性能の経時変化を防止することができる。
【0033】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、熱硬化性樹脂組成物が、その上に設けられる塗料皮膜との密着性を向上させるための改質剤をさらに含んでもよい。このような改質剤は、テルペン系樹脂のような粘着性付与剤又は比較的極性の高い成分を共重合したオレフィン共重合体等である。
【0034】
シール層は、いろいろな厚さで使用することができるけれども、好適な厚さは、通常、約100〜2,500μmの範囲であり、さらに好適には、約400〜1,900μmの範囲である。シール層の厚さが100μmを下回ると、それを使用した効果が十分に発現されず、反対に2,500μmを上回ると、シーラ層の特性に悪影響がでたり、シーリングテープの取り扱い性が低下したりし、膜厚の増加により外観品質も低下する。
【0035】
シール層と組み合わさってシーリングテープを構成するバリア層は、シール層の加熱・溶融中にシール箇所の不連続面よりシーリングテープ中に気泡が浸入したとしても、その気泡をシーリングテープの内部で捕捉することができる。すなわち、気泡がシーリングテープの表面に現れることを防止して、硬化後のシーリングテープやその上の塗料皮膜の好ましい外観の維持・向上を図ることができる。また、バリア層は、シーリングテープを支持して、その取り扱い性を向上させることができる。
【0036】
バリア層は、いろいろな材料から異なる手法で形成することができる。好ましくは、バリア層は、シール層の部分架橋生成物から形成することができる。すなわち、シーリングテープに電子線、紫外線等の放射線を照射するかあるいは任意の化学的処理を施すことによって、シーリングテープを構成するシール層の表面部分に架橋構造を設け、所定の厚さのバリア層をシール層そのものから形成することができる。さもなければ、バリア層は、シール層とは独立した材料から、積層、コーティングなどの任意の手法によって形成することができる。プラスチックフィルムの積層、あるいはプラスチック材料のコーティングによってバリア層を形成するのが好適である。
【0037】
プラスチックフィルムからバリア層を形成する場合、好適なプラスチックフィルムは、電着工程での焼き付け温度(通常、約160〜200℃)である程度軟化はするが、溶融流動を起こさないプラスチック材料やその他のシール層に類似した材料から構成される。バリア層の形成に好適なプラスチックフィルムは、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、特にエチレンアミノアクリレート(EAA)フィルムが有用である。なお、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルムやナイロン等の樹脂フィルムは、シール層の材質に非類似であるので、シール層との馴染みが悪く、本発明の実施に適していない。不織布や金属箔なども、バリア層の形成に適していない。
【0038】
バリア層は、いろいろな厚さで使用することができるけれども、好適な厚さは、通常、約10〜100μmの範囲であり、さらに好適には、約25〜75μmの範囲である。バリア層の厚さが10μmを下回ると、それを積層した効果が十分に発現されず、反対に100μmを上回ると、シーラ層の特性に悪影響がでたり、シーリングテープの取り扱い性が低下したりする。
【0039】
本発明によるシーリングテープは、必要ならば、糊剤層をさらに含むことができる。図3は、図1に示したシーリングテープ10において、そのシール層1の下面に糊剤層3を施した例を示した断面図である。糊剤層3は、いろいろな材料から形成することができるけれども、好ましくは粘着剤を塗布するかもしくは粘着剤を含む粘着シートあるいは粘着フィルムを積層することによって形成することができる。ここで使用する粘着剤は、特に限定されないというものの、好ましくは、油面定着性を有し、電着塗装時の焼き付け工程の熱である程度の自己溶融を生じ、しかも電着焼き付け工程の熱で反応して硬化可能である粘着剤である。電着焼き付け工程の熱で硬化することができないと、シーリングテープの溶融硬化後に油面鋼板から剥離する恐れがあるからである。このような性質をそなえた粘着剤の好適な一例として、例えば、米国特許第5708109号明細書に開示されているような極性の低いアクリル系感圧接着剤を挙げることができる。
【0040】
本発明によるシーリングテープは、必要ならば、糊剤層の上に剥離紙をさらに含むことができる。図4は、図1に示したシーリングテープ10において、そのシール層1の下面に糊剤層3及び剥離紙4を順次施した例を示した断面図である。糊剤層3は、上記したように、慣用の粘着剤から形成することができる。同様に、剥離紙4も、リリースペーパー、リリースライナーなどとしても知られた慣用の剥離紙を利用することができる。剥離紙を併用することによって、粘着性をもったシーリングテープの取り扱い性が可能となるばかりでなく、シーリングテープを迅速に施工することも可能となる。また、剥離紙は、その表面が平滑なままであってもよいけれども、その表面に微細な突起物を多数設けることもできる。剥離紙の突起面をシーリングテープの糊剤層に当接させた構成を採用すると、糊剤層の表面を部分的に排除し、エア抜け可能な微細なチャネルを形成することができるからである。なお、このような構成の剥離紙は、3M社から「EAライナ(商標)」として商業的に入手可能である。
【0041】
本発明のシーリングテープは、その施工目的や施工部位などに応じていろいろな厚さで使用することができる。シーリングテープの厚さは、通常、約0.2μm〜2.0mmの範囲であり、好ましくは、約0.5μm〜2.0mmの範囲である。シーリングテープの厚さが0.2μmを下回ると、薄すぎて十分なシーリング効果を得ることができず、反対に2.0mmを上回ると、硬化後の厚さが目立ってしまい、外観品質の低下などの問題を避けることができない。
【0042】
本発明のシーリングテープは、それを施工する場合、被着体である油面鋼板の表面から油膜を除去しないで被着体の不連続部に施工されるということが重要である。油膜除去工程を省略できるということは、シーリングテープの利用者にとって非常に歓迎すべき改良であり、製造工程に短縮、製造コストの低減を図ることができる。なお、必要ならば、油面鋼板から油膜を完全に除去するかあるいは部分的に除去した後に本発明のシーリングテープを施工してもよい。
【0043】
本発明によるシーリングテープは、いろいろな被着体の不連続部に対してシーラントあるいはシーラ−として施工することができるけれども、自動車、船舶等の車体あるいは部品等において認められる各種の不連続部、例えば部品等の接合部、合わせ目、継ぎ目、段差などに有利に施工することができる。
【0044】
図5及び図6は、本発明によるシーリングテープを用いて被着体の不連続部を封止し、シーリング構造体を作製する方法を具体的に示したものである。
【0045】
図6に示すシーリング構造体30は、図5に示すように、2枚の油面鋼板製パネル21及び22をそれぞれ直角に加工して、U字形状の溝23を備えたルーフディッチ(被着体)を形成した後、その継ぎ手Aに本発明のシーリングテープ10を施工し、さらにそれを加熱により硬化させることによって作製したものである。さらに説明すると、ルーフディッチは、一般的には自動車やトラックのような車両において見出される。このようなルーフディッチは、通常、車両のルーフパネル21の側縁部とサイドパネル22の側縁部を互いに折り曲げて重ね合わせ溶接することにより、車両の前後方向に形成される。このようなルーフディッチには不連続部分としての継ぎ手Aがあり、ここを本発明のシーリングテープで封止することによって、当該継ぎ手に水分、ほこりのようなもの及びその他の望ましくない成分が入って腐食を引き起こすことが防止される。また、自動車産業では、図示していないが、熱溶融−硬化後のシーリングテープの上に必要に応じて塗料の皮膜などが設けられる。
【0046】
詳細に述べると、図示のシーリングテープをまずルーフディッチの継ぎ手の上に載置する。その後、ルーフディッチをオーブンのような加熱装置に案内するかもしくは別の手法で加熱する。シーリングテープは、加熱により熱溶融−流動し、さらにその後に硬化し、継ぎ手部分を被覆し、封止することができる。すなわち、継ぎ手部分を被覆した状態で加熱されたとき軟化して、継ぎ手部分の表面になじみ、それにより捕捉された空気を押し出す。その後、シーリングテープは、加熱により硬化し(すなわち共有結合でもって架橋し)、引き続いて冷却及び再加熱しても流動することはない。
【0047】
ところで、ルーフディッチの継ぎ手部分に本発明のシーリングテープを施工した場合、シーリングテープは、ルーフディッチの底面のみならず側壁にも拘束される。ルーフディッチは、それを構成する鋼板パネルの偏倚や撓みにより、シーリングテープに側壁から応力を及ぼすことがあるからである。しかし、本発明のシーリングテープは、それを構成するシール層(熱硬化した樹脂組成物)の弾性により、約−30℃の比較的低い温度で側壁からの応力を受けても、柔軟に追従することができ、割れ難くい。その結果、ほこり、水分及びその他の望ましくない成分の侵入を防止することができる。
【0048】
自動車産業ではまた、ルーフディッチのシーリングテープを加熱によって溶融・流動した後の電着塗装等の塗装工程でシーリングテープの上に塗料皮膜を設ける間に、加熱工程で硬化を行う。その際、塗料皮膜は、シーリングテープと同様にルーフディッチの側壁に拘束されるほか、シーリングテープからも拘束される。その結果、塗料皮膜とシーリングテープとの間に界面応力が一般に生じる。通常、この界面応力は低温下で観察されることが多い。低温下において、典型的なシーリングテープは収縮を受け易いからである。しかし、本発明のシーリングテープの場合、応力が低減され、塗料皮膜の割れを防止することができる。
【0049】
また、本発明のシーリングテープは、ルーフディッチ等の単なるシーリングにのみ適用されるとは限らず、例えば車両のドア部下方にあるサイドシル下部等にも適用可能である。詳細に述べると、このサイドシル下部は車両の前輪タイヤの後方に設置されており、車両の走行中には、前輪タイヤによって跳ね上げられた路上の小石や砂利のようなチッピングの衝撃を受けやすい。しかし、本発明のシーリングテープをこのサイドシルに塗布することにより、上述のような衝撃を緩和することができる。従って、サイドシル下部に、例えば樹脂からなるカバー部材を設けてチッピングの衝撃による騒音・振動を防止する必要がなくなり、車両の軽量化を図ることができる。
【0050】
また、本発明のシーリングテープのシール層を構成する熱硬化性樹脂組成物は、加熱されても流動性に比較的乏しいという特徴を有する。従って、このシール層がサイドシル下部のオーバーハング面に施工されても、そこから垂れ落ちることはほとんどない。従って、オーバーハング面の塗布に工夫が特に必要とされなくなる。
【0051】
さらに、シール層を構成した熱硬化性樹脂組成物の硬化物には、鋼板用塗料による塗装が可能である。塗装方法としては、電着塗装などを挙げることができる。その結果、例えば車体と同じ色の塗料を硬化物に塗布することにより、車両に好ましい外観を容易に与えることができる。
【0052】
【実施例】
次いで、本発明を実施例にしたがって説明する。なお、本発明が下記の実施例によって限定されないことは言うまでもない。
実施例1
下記の手順に従ってシーリングテープを作製した。
シール層の調製:
下記の成分、すなわち
(1)30質量部の、18質量%グリシジルメタクリレートを含有するエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(商品名「CG5001」、住友化学工業製)、
(2)70質量部のエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量:45質量%、商品名「EV45X」、三井・デュポンポリケミカル製)、
(3)5質量部の、600〜700のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂(商品名「エピコート1002」、ジャパンエポキシ製)、
(4)12質量部の、240mgKOH/gの酸価を有するカルボキシル基含有レジン(硬化剤、商品名「KE604」、荒川化学製)、
(5)2質量部のイミダゾール系誘導体(硬化促進剤、商品名「2PHZ−PW」、四国化成製)、及び
(6)120質量部の炭酸カルシウム(充填剤、商品名「ホワイトンSB」、白石カルシウム製)
を軸径30mmの二軸押出機に投入し、混練によって熱硬化性樹脂組成物を調製した。得られた熱硬化性樹脂組成物を二軸押出機から押し出して、PETフィルム基材の一面上に、ホットナイフコーター(コンマコータータイプ)を用いて塗布し、0.6mmの厚さを有するシートを形成した。次いで、得られたシートを裁断して150cmの長さと3cmの幅をもったテープ(シール層)を調製した。
糊剤層の調製:
下記の成分、すなわち
(1)50質量部の2−エチルヘキシルアクリレート、
(2)50質量部のイソボロニルアクリレート、
(3)0.1質量部のアクリル系光重合開始剤(商品名「Irgacure 651」、チバガイギー製)、
(4)30質量部の、150〜200のエポキシ当量を有し、かつ分子内に不飽和結合を有しないエポキシ樹脂(商品名「RXE21」、ジャパンエポキシ製)、
(5)3質量部のジシアンジアミド(硬化剤)、
(6)0.5質量部のイミダゾール系誘導体(硬化促進剤、商品名「2MZA−Pw」、四国化成製)、及び
(7)100質量部の炭酸カルシウム(充填剤、商品名「ホワイトンSB」、白石カルシウム製)
を混合して糊剤組成物を調製した。得られた糊剤組成物をシリコン系剥離剤を塗布したPETフィルム基材の一面上にナイフコーターを用いて塗布し、0.1mmの厚さを有するシートを形成した。次いで、得られたシートを裁断して150cmの長さと3cmの幅をもったテープ(糊剤層)を調製した。
シーリングテープの作製:
上記のようにして調製したシール層と糊剤層を積層した。次いで、得られた積層テープのシール層側の表面に電子線を20Mradの強度で照射し、シール層の表面領域における架橋反応に由来するバリア層を形成した。糊剤層、シール層及びバリア層の3層構造をもった厚さ0.7mmのシーリングテープ1が得られた。
実施例2
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、シール層と糊剤層からなる積層テープを調製した後、積層テープのシール層側の表面に厚さ50μmのEAAフィルム(商品名「ユカロンA201M」、三菱油化製)を積層してフィルム状バリア層を形成した。糊剤層、シール層及びバリア層の3層構造をもった厚さ0.75mmのシーリングテープ2が得られた。
比較例1
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、比較のため、シール層と糊剤層からなる積層テープを調製した後、電子線照射によりバリア層を形成する工程を省略した。糊剤層及びシール層の2層構造をもった厚さ0.7mmのシーリングテープC1が得られた。
比較例2
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、比較のため、シール層と糊剤層からなる積層テープを調製した後、積層テープのシール層側の表面に厚さ50μmのPETフィルム(商品名「メリネックスD316」、デュポン社製)を積層してフィルム状バリア層を形成した。糊剤層、シール層及びバリア層の3層構造をもった厚さ0.75mmのシーリングテープC2が得られた。
実施例3
前記実施例1及び2ならびに比較例1及び2において作製したシーリングテープについて、それらのシーリングテープの特性:
(1)孔あき防止性、
(2)シール性、及び
(3)塗膜密着性
を下記の手順に従って評価した。
【0053】
縦15cm×横7.5cm×厚さ0.8mmで電着塗装を施す前のSUS鋼板に防錆油(商品名「プレトンR−303PX2」スギムラ化学工業製)を塗布して油面鋼板を作製した。図7に示すように、2枚の油面鋼板21及び22を重ね合わせて被着体を作製し、また、油面鋼板の重なり合った部分を、通常の場合にはスポット加工で接合しているところを、便宜的に接着剤(商品名「JA7439D」、3M社製)で固定した。次いで、2枚の油面鋼板が重なり合った部分に、通常のスポット接合加工に似せるため、合計3個の円形窪み(直径5mm及び深さ1.5mm)25を加工した。
【0054】
次いで、図8に示すように、各例で作製したシーリングテープを被着体に貼り付け、電着塗装工程の模擬のため、40℃の温水中に1時間浸漬し、その後、水滴等を拭き取らないままの状態で恒温オーブンに入れ、180℃の温度で30分間にわたって加熱した。
(1)孔あき防止性の評価
被着体をそれに貼付したシーリングテープと共に恒温オーブンから取り出し、シーリングテープにおいて、下地の油面鋼板から貫通している細孔やテープの欠損があるか否かを目視により観察した。下記の第1表に記載するように、比較例1で作製したシーリングテープC1においてのみ、油面鋼板21に加工した窪み25に対応する個所において、テープを貫通した穴のあることが認められた。
(2)シール性の評価
被着体をそれに貼付したシーリングテープと共に恒温オーブンから取り出し、被着体とシーリングテープを図8に線分IX−IXで示すように切断した。重ね合わせた2枚の油面鋼板21及び22の段差の部分(図9及び図10の矢印Bを参照されたい)について、段差部分が溶融後のシーリングテープ10で埋められているか否かを目視により観察した。実施例1及び2のシーリングテープ1及び2、そして比較例1のシーリングテープC1の場合には、図9に示すように、段差部分Bが溶融後のシーリングテープ10で完全に埋め尽くされていることが認められた。これに対して、比較例2のシーリングテープC2の場合には、図10に示すように、段差部分Bが溶融後のシーリングテープ10で埋められておらず、空隙26が残存していることが認められた。
(3)塗膜密着性の評価
縦15cm×横7.5cm×厚さ0.8mmの電着塗板を用意し、各例で作製したシーリングテープを貼り付けてサンプルとした。それぞれのサンプルを恒温オーブンに入れ、180℃の温度で30分間にわたって加熱した。
【0055】
次いで、サンプルの全面に自動車用のメラミンアルキッド系塗料(メーカー提供品;組成不明)を塗装し、180℃の温度で30分間にわたって焼き付けを行った。サンプルを24時間にわたって放置して冷却した後、シーリングテープ上の塗装面にナイフでゴバン目(格子状の切れ目)を入れた。格子の間隙は2mm、切れ目の数は縦横とも11本であり、合計100個のゴバン目が完成した。
【0056】
シーリングテープに付与したゴバン目の部分にスコッチ(登録商標)ブランドの片面粘着テープ(3M社製)を貼り付け、十分圧着した後にテープを引き剥がした。それぞれのサンプルについて、ゴバン目を入れた塗膜に剥がれが生じているか否かを目視により観察した。塗膜密着性の評価に当っては、それぞれのゴバン目において面積で50%以上塗膜が残っている場合を「剥がれなし」とみなし、剥がれなしのゴバン目が100個中いくつ残っているかをカウントした。下記の第1表に示すように、比較例2のシーリングテープC2において塗膜密着性の不良が確認された。
【0057】
【表1】
【0058】
上記の評価試験の結果から理解されるように、本発明に従って作製したシーリングテープの場合には、孔あき防止性とシール性を両立させ、さらには満足し得る塗膜密着性を得ることができるけれども、従来の方法に従って作製したシーリングテープの場合には、その層構成に原因して、孔あき防止性、シール性、そして塗膜密着性を同時に満足させることができない。
【0059】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、油面鋼板からなる被着体の不連続部を封止するために有利に使用でき、油面鋼板に対する接着力に優れ、不連続部に対して良好な防水性、防錆性、防塵性などを付与でき、しかも電着塗装用の塗料などの密着性に優れ、電着塗装工程中の洗浄処理に原因してピンホールの形成やシーラ−切れを引き起こすこともないシーリングテープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシーリングテープの好ましい1実施形態を示した断面図である。
【図2】本発明によるシーリングテープのもう1つの好ましい実施形態を示した断面図である。
【図3】本発明によるシーリングテープのもう1つの好ましい実施形態を示した断面図である。
【図4】本発明によるシーリングテープのさらにもう1つの好ましい実施形態を示した断面図である。
【図5】図1のシーリングテープをルーフディッチのシーリングに使用する方法を示した断面図である。
【図6】図5の方法で得られたシーリング構造体を示した断面図である。
【図7】実施例3の評価試験で使用した油面鋼板の接合体を示した斜視図である。
【図8】図7の油面鋼板の接合体に供試シーリングテープを貼付した後の状態を示した斜視図である。
【図9】実施例3の評価試験において得られた結果を示した断面図である。
【図10】実施例3の評価試験において得られた別の結果を示した断面図である。
【符号の説明】
1…シール層
2…バリア層
3…糊剤層
4…剥離紙
10…シーリングテープ
11…シール層
21…油面鋼板パネル
22…油面鋼板パネル
23…U字形溝
Claims (10)
- 表面に油膜を備えた鋼板からなる被着体の不連続部を封止するために用いられるシーリングテープであって、
加熱により自己溶融して前記不連続部を封止し、硬化する熱硬化性樹脂組成物からなるシール層、及び
前記シール層の自己溶融温度において軟化可能であるけれども溶融して流動することがないプラスチックフィルムからなるバリア層
を含んでなることを特徴とするシーリングテープ。 - 前記バリア層が、前記シール層の上面、内部及び(又は)下面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシーリングテープ。
- 前記熱硬化性樹脂組成物が、エポキシ含有材料、前記エポキシ含有材料用の硬化剤、及び充填剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のシーリングテープ。
- 前記熱硬化性樹脂組成物がさらに可塑剤を含むことを特徴とする請求項3に記載のシーリングテープ。
- 前記バリア層が、前記シール層の部分架橋生成物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシーリングテープ。
- 前記バリア層が、エチレンアミノアクリレート(EAA)フィルムからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシーリングテープ。
- 糊剤層をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシーリングテープ。
- 前記糊剤層に剥離紙が積層されていることを特徴とする請求項7に記載のシーリングテープ。
- 前記被着体の表面から油膜を除去しないで前記不連続部に施工されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のシーリングテープ。
- 前記被着体が自動車の部品等であり、かつ前記不連続部が、前記自動車の部品等の接合部、合わせ目、継ぎ目、段差などであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のシーリングテープ。
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- 2003-08-08 JP JP2003206794A patent/JP2005060412A/ja active Pending
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