JP2008143335A - 鉄道車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑な制御が不要で、既存の空気ばね付き自然振子式鉄道車両からも簡単に改良できる複合的な車体傾斜機構を持つ鉄道車両を提供する。
【解決手段】 振子台車2と上方の車体6との間に振子梁3を設け、曲線軌道走行時に振子中心oを回転中心として車体6の重心に作用する遠心力を利用して車体6と振子梁3を振子回転中心を中心とした車体6の左右方向における自然振子運動を実現する自然振子機構と、振子梁3上の左右で車体6との間に空気ばね7R・7Lを介設し車体を左右に強制的に傾斜させる空気ばね式強制傾斜車体傾斜機構8とを備え、この車体傾斜機構8は、入口緩和曲線進入直前に車体6を内軌側へ傾斜させたのちに元の姿勢に戻す一方、出口緩和曲線進入直前には車体6を外軌側へ傾斜させたのちに元の姿勢に戻すことにより、振子梁3の振れを支援する。
【選択図】図1

Description

この発明は、台車と、この台車の上方に配置された車体と、両者の間に振子梁が設けられ、曲線軌道走行時に前記車体の重心に作用する遠心力を利用して、振子回転中心を中心として前記車体の左右方向における自然振子運動を実現する自然振子機構と、前記振子梁と車体の間に左右に配置された空気ばねによる空気ばね式強制車体傾斜手段とを備え、前記自然振子機構および前記強制傾斜手段による複合的な車体傾斜機能を有する鉄道車両に関するものである。
車両が曲線区間を走行する際に、曲線の半径方向外方へ遠心力が作用し、乗り心地を悪くしたり、外軌側線路の輪重が増加したり、横圧力が増加したりするなどの不都合が生じる。そこで、遠心力を打ち消すために、一般に曲線区間では内外軌道に高低差(カント)が設けられている。しかし、カントだけで遠心力を完全に打ち消すようにすると、車両の傾斜が大きくなり、車両が曲線上に停車した場合に乗客があまりに不快感を感じたり、また内軌側方向への強い横風を車両が受けた場合に車両が内軌側へ転覆するおそれがある。このため、通常、曲線区間におけるカント量は不足気味に設定されている。
こうした曲線区間におけるカント量の不足を補うために、車両が曲線区間を走行するときに車体を内軌側に傾斜させる車体傾斜式鉄道車両が開発され実用化されている。
この種の鉄道車両には、振子回転中心を中心として、台車の上にコロ、ベアリングローラまたリンク式等で、振子梁を遥動可能に支持し、曲線走行時に車体に作用する重力と遠心力の釣り合いの関係により車体が内軌側へ傾斜し、乗客に作用する車幅方向の遠心加速度を最小限に抑え、乗り心地を向上させる自然振子式鉄道車両がある。
その他に、自然振子の振り遅れ、特に振子梁を揺動可能に支持するコロ等の回転抵抗と車体の慣性力により、曲線軌道進入後に遠心力を受けてから急に揺動を開始する振り遅れが乗り心地を悪くするのを改善するために、振子梁と台車との間にアクチュエータ(空気シリンダ)を介設し、曲線区間への緩和曲線入口走行時にアクチュエータによって振子梁を強制的に内軌側へ傾斜させ、曲線区間から緩和曲線出口走行時にアクチュエータによって振子梁を強制的に外軌側へ傾斜させることにして、振子の振り遅れを防止するようにしたアクチュエータ付き振子台車がある(例えば、特許文献1参照)。
この種の振子式鉄道車両に関する他の先行技術として「台車上に車体を左右に傾斜可能に支持し、走行速度を検知して記憶している曲線情報に基づいて車体を傾斜すべき量を演算し、台車と車体間に設けたシリンダを作動させて車体を傾斜させるようにした車体傾斜制御装置において、該シリンダの伸縮量を検知する変位センサを設けて実際の車体傾斜角度を演算し、車体傾斜の起動時において、車体の慣性力などの影響を受けなくなる所定角度になるまでは実際の車体傾斜角度に従って車体を傾斜させる制御信号を送出し、車体傾斜の停止時は、実際の車体傾斜角度が所定の値になった後に車体傾斜を停止させる制御信号を送出するようにした」油圧式アクチュエータによる振子式鉄道車両の車体傾斜制御装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
その他の先行技術に「台車とこの上方に配置された車体とを有する鉄道車両において、曲線軌道走行時に車体の重心に作用する遠心力を利用して、所定の振子回転中心を中心とした車体の左右における自然振子運動を実現させる自然振子機構(ローラおよび振子梁)と、車体を左右に強制的に傾斜させる空気ばねを用いた強制傾斜手段とを備え、自然振子機構および強制傾斜手段による複合的な車体傾斜機能により、曲線軌道走行時に車体に発生する左右方向の加速度を打ち消して曲線走行速度を増大させる」複合的な車体傾斜鉄道車両が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、振子式鉄道車両以外の先行技術として「車体が左右の空気ばねを介して台車に支持され、曲線部通過時に、旋回方向外側および内側の空気ばねの高さ寸法を増減して車体の左右傾斜角を制御して、車体における遠心力および向心力が相互に相殺されるようにした」鉄道車両の車体傾斜角制御装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この制御装置には、曲線部通過時に空気ばねの上面部と下面部との口径の相違に因る台車に対する車体の左右方向変位力に対抗し、車体を左右方向中心位置にほぼ保持する力を発生する保持力発生手段が設けられている。
特公昭60−52018号公報(第2頁〜第4頁および図3〜図5) 特開2002−67944号公報(第3頁・第4頁および図1) 特開2005−193773号公報(第3頁〜第5頁および図1) 特開平11−198806号公報(第2頁・第3頁および図1)
しかしながら、上記した従来の振子式鉄道車両や先行技術として記載の車体傾斜制御装置には、次のような点で課題が残されている。
1)自然振子式鉄道車両:
a)車体の慣性モーメントの影響により振子の振れ遅れが生じ、その際に乗客が受ける遠心力が増大するため、乗り心地が充分には向上しない。
b)振子車両の構造上、車体および振子梁が左右方向に揺動し易く、軌道の狂いやポイント通過時やカント量(角度)の不足した曲線部の通過時などに発生するローリング振れが残る傾向がある。これを解決する対策として、台車と振子梁との間にダンパを介設する方法でこのローリング振れを押える方法があるが、ダンパを取付けた場合はa)に記載の振子の振れ遅れを助長する。
2)特許文献1のアクチュエータ(空気シリンダ)付き振子式鉄道車両:
一般的には「制御付き振子」といわれているタイプであるが、この場合は、空気ばねとは別に空気シリンダが必要になるうえ、空気シリンダの作動を曲線軌道の程度に応じて、空気シリンダの作動量を制御する必要が有る。
3)特許文献2の制御装置:
a)振子式台車と車体との間に油圧や空気圧等のシリンダからなるアクチュエータを介設し、曲線区間の走行時に車体を強制的に特定方向(内軌側または外軌側)に傾斜させることにより車体に作用する遠心力を最小限に抑えることができるが、そのための専用機器を別途追加して設ける必要があり、システムが煩雑で大型化する。
b)曲線走行時に半径方向外方に作用する遠心力と、車体が内軌側に傾斜することで作用する向心力との釣り合いにより本曲線区間で最適な傾斜角度が決定する自然振子機構の場合とは異なり、アクチュエータで車体を傾斜させる場合に安全でかつ乗り心地を満足できるものにするには、正確にかつリアルタイムで車体の傾斜角度を導出しアクチュエータを的確に制御する必要がある。
4)特許文献3の自然振子機構と空気ばね式の強制車体傾斜機構を持つ複合式車体傾斜機構を持つ鉄道車両:
台車とこの上方に配置された車体とを有する鉄道車両において、曲線軌道走行時に車体の重心に作用する遠心力を利用して、所定の振子回転中心を中心とした車体の左右における自然振子運動を実現させる自然振子機構(ローラおよび振子梁)と、車体を左右に強制的に傾斜させる空気ばねを用いた強制傾斜手段とを備え、自然振子機構および強制傾斜手段による複合的な車体傾斜機能により、曲線軌道走行時に車体に発生する左右方向の加速度を打ち消して曲線走行速度を増大させる。また車体と振子梁間のエアシリンダ装置は、制御装置により駆動制御されることにより、自然振子機構を構成する振子梁の左右方向の移動範囲を制限するものである。振子梁の自然振子運動により車体が左側又は右側に傾斜するが、制御装置がこのエアシリンダ装置を駆動することにより振子梁の左右方向の移動範囲が制限される。自然振子機構による車体の傾斜角が約8°に達したことが検出されると、制御装置は、その検出信号を受けてエアシリンダ装置を駆動して自然振子運動を停止させる。その後、制御装置は、電磁弁を制御して、空気ばねに圧縮空気を供給することにより車体を強制的に傾斜させる。つまり、車体は自然振子機構によって車体が8°傾斜したのちに、空気ばねによってさらに2〜3°傾斜させられる。したがって、基本的には自然振子機構は遠心力と重力の釣り合いで傾斜を行った後に、空気ばね式車体傾斜を作動させるため、両車体傾斜機構が関連をもって同時に作動するものではない。
5)特許文献4の車体傾斜角制御装置:
空気ばねの上昇で車体を傾斜し、この傾斜角を大きくするには、空気ばねの高さをかなり高くする必要がある。しかし、空気ばねの高さを余り高くしすぎると、車体の重心位置が上方へ移動するので、車両が転覆するおそれが生じるとともに、車体傾斜の度合いを多くすると車両限界との関係から、車体上部がその度合いに応じて、上方に行くほど車体幅を狭くせざるを得ないため客室空間が狭くなるため、車体傾斜の角度の制限のある方式である。
この発明は上述の点に鑑みなされたもので、車両が曲線軌道(正確には入口緩和曲線)に進入する直前に空気ばね式強制車体傾斜装置によって車体を内軌側へ傾斜させることにより振子機構が働く前に、車体傾斜を開始し、緩和曲線に入る前より自然振子機構により振子中心を中心に車体と振子梁を遠心力と重力による振子の作用力により自然に最適な傾斜角に傾斜させることができ、出口緩和曲線進入直前に空気ばね式強制車体傾斜装置によって車体を外軌側へ傾斜させることにより振子機構が働く前に、車体を中立位置に戻し始めることで、振子梁の振れを支援して振り遅れの発生を補正するとともに、複雑な制御が不要で、既存の空気ばね付き振子式鉄道車両からも簡単に改良できる複合的な車体傾斜機構を有する鉄道車両を提供しようとする。
上記の目的を達成するために本発明にかかる鉄道車両は、a)台車と、この台車の上方に配置された車体と、両者の間に振子梁が設けられ、曲線軌道走行時に前記車体の重心に作用する遠心力を利用して、振子回転中心を中心とした前記車体の自然振子運動を実現する自然振子機構と、前記振子梁と車体の間に左右に配置された空気ばねによる空気ばね式強制車体傾斜機構とを備え、前記自然振子機構および前記空気ばね式強制車体傾斜機構による複合的な車体傾斜機能を有する鉄道車両において、b)前記空気ばね式強制車体傾斜機構は、入口緩和曲線進入の直前に前記車体を内軌側へ傾斜させた後すぐ(通常、数秒以内)に元の姿勢に戻す一方、出口緩和曲線の直前の一定時間前に前記車体を外軌側へ傾斜させた後すぐ(通常、数秒以内)に元の姿勢に戻すことにより、前記自然振子機構の振れを支援する構成からなることを特徴とする。
上記の構成を有する本発明にかかる鉄道車両によれば、入口緩和曲線進入の直前に車体が外軌側空気ばねの上昇(あるいは外軌側空気ばねの上昇と内軌側空気ばねの下降)により内軌側へ傾斜するので車体の重心が振子中心から見て内軌側に移動するため、振子機構の振子作用により内軌側に車体傾斜が開始されたのちに、入口緩和曲線に車両が進入するため振子中心を中心として振子梁が重力と遠心力の作用力により自然に最適な振子角に傾動する一方、出口緩和曲線進入直前には車体が内軌側空気ばねの上昇等で外軌側へ傾斜するので車体の重心が振子中心から見て外軌側に移動するため、振子機構の振子作用により外軌側に車体傾斜が開始され、その後に出口緩和曲線に進入するため振子梁が振子中心を中心として重力と遠心力の作用力により自然に最適な振子角に傾動する。なお、空気ばね制御装置による傾斜角度の制御は一切不要である。また、入口緩和曲線進入直前(例えば進入する2秒前に)で車体を内軌側へ傾斜させたのちに元の姿勢に戻せばよい。そのため、本システムを制御するための地点検知装置から車両がN秒後に緩和曲線(出口・入口とも)に進入する情報と曲がりの方向に関する情報だけを出力可能な制御装置と、空気ばね式強制車体傾斜機構と接続させた構成であればよい。つまり、空気ばねに対して車体傾斜角を逐時計算出力を行うものでなく、トリガーとしての情報を出力するだけでよい。なお、地点検知装置は、予め記録された路線データ(曲線の位置データとその曲線の曲率、カント等)とATS等の地上子からの地上信号やGPS等の位置情報と車両の走行距離(例えば、地上子からの信号を受信した後の走行距離)の比較から車両が走行している位置を検知する装置である。
請求項2に記載のように、前記台車と前記振子梁との間にパッシブダンパを介設することが望ましい。請求項1記載のように、曲線軌道の入口緩和曲線部や出口緩和曲線部での走行時には、自然振子式鉄道車両の振り遅れを補正すべく、空気ばね式強制車体傾斜機構により車体を振子梁上で一方へ傾斜させる場合、質量の大きい車体が傾斜を行う力を受けて、振子梁が強制車体傾斜の反作用によって反対方向への回転を行うことを抑制するために、パッシブダンパが有効に機能する。また曲線軌道走行時以外、つまり直線軌道および極めて曲率の緩い曲線軌道の走行時にも、パッシブダンパにより台車と振子梁間の相対的な揺れ(自然振子式鉄道車両に特有のローリング揺れ)が抑制(軽減)される。
請求項3に記載のように、前記空気ばね式強制車体傾斜機構は前記空気ばねの空気量を制御する空気ばね制御装置を備え、この空気ばね制御装置は車両の地点検知装置と接続され、同地点検知装置は地上信号情報またはGPS情報等の位置情報と装置の持つ路線データ(曲線の位置データとその曲線の曲率、カント等)と車両の走行距離(例えば、地上子からの信号を受信後の走行距離)を比較することで、少なくとも入口緩和曲線と出口緩和曲線に進入するための情報を、進入の一定時間前に曲線軌道の曲がり方向とともに前記空気ばね制御装置へ出力するものであることが好ましい。
このように構成すれば、直線軌道走行から入口緩和曲線軌道に進入する直前に緩和曲線に関する位置情報とその曲線の曲がり方向とを地点検知装置から空気ばね制御装置へ出力し、空気ばね制御装置を介して外軌側空気ばねに加圧空気が供給されて上昇し(あるいは同時に内軌側空気ばね内の空気が排出されて下降し)、車体を内軌側傾斜させるので、振子遅れを空気ばね式強制車体傾斜機構で補正し、本曲線軌道走行時には出口緩和曲線軌道に進入する直前に緩和曲線に関する情報とその曲線の曲がり方向とを地点検知装置から空気ばね制御装置へ出力し、空気ばね制御装置は内軌側空気ばねに加圧空気が供給されて上昇し(あるいは同時に外軌側空気ばね内の空気が排出されて下降し)、車体を外軌側傾斜させるので、振子遅れを空気ばね式強制車体傾斜機構で補正できる。
請求項4に記載のように、前記空気ばね式強制車体傾斜機構は、前記地点検知装置により検知される入口緩和曲線進入直前で、前記空気ばね制御装置により外軌側空気ばねに空気を供給し外軌側空気ばねを上昇させて前記車体を前記振子梁に対し内軌側へ傾斜させ、入口緩和曲線走行時に前記空気ばね制御装置により外軌側空気ばね内の空気を排出し外軌側空気ばねの下降を行い、前記外軌側空気ばねの高さを元の中立位置に戻し、出口緩和曲線進入直前で、前記空気ばね制御装置により内軌側空気ばねに空気を供給し内軌側空気ばねを上昇させて前記車体を前記振子梁に対し外軌側へ傾斜させ、出口緩和曲線走行時に前記空気ばね制御装置により内軌側空気ばね内の空気を排出し、前記内軌側空気ばねの高さを元の中立位置に戻すことができる。
このように構成すれば、車両は直線軌道走行から入口緩和曲線軌道に進入直前(例えば進入する2秒前)に地点検知装置が緩和曲線とその曲線の曲がり方向を空気ばね制御装置へ出力することにより、空気ばね制御装置は外軌側空気ばねに加圧空気が供給されて上昇することにより図6(b)に示すように、車体を内軌側傾斜させるので、車体重心Gが車体振子中心より見かけ上内軌側へ移動することにより振子中心を中心として内軌側に車体傾斜が始まることにより車体傾斜の振り遅れを補正し、入口緩和曲線走行時において図6(c)に示すように重力と遠心力の作用力により振子回転中心oを中心として回転し始めた後は、空気ばね制御装置は外軌側空気ばねを排気し空気ばね式強制車体傾斜機構による車体の傾斜角を0°に戻すことにより振子梁と車体を中立位置に戻し、曲率の大きい本曲線軌道の走行時において重力と遠心力の作用力(図1(b)・図6(d)参照)により自然に振子角が増大し、最適な振子角に揺動する。
本曲線走行時の自然な振子角走行時を示す図8(a)の状態において、車両は出口緩和曲線軌道に進入する直前(例えば2秒前)に緩和曲線に関する位置情報とその曲線の曲がり方向とを地点検知装置から空気ばね制御装置へ出力し、図8(b)に示されるように空気ばね制御装置を介して内軌側空気ばねに加圧空気が供給されて内側空気ばねが上昇し、車体を外軌側傾斜させるので、車体重心Gが車体の振子中心oより見かけ上外軌側へ移動することにより振子中心oを中心として外軌側への車体傾斜が始まることによって、振子梁の振り遅れを空気ばね式強制車体傾斜機構で補正する。その後すぐに外軌側空気ばねの下降が開始され(図8(c))、空気ばねを排気し空気ばね式強制車体傾斜機構による車体の傾斜角を0°に戻すことで振子梁と車体が中立位置に戻り、出口緩和曲線走行時には重力と遠心力の作用力により振子角が的確に減少し、直線区間走行時には内軌側空気ばねの高さが元の位置に戻って振子梁も自然に左右方向の中立(中間)位置に揺動し、ほぼ水平な姿勢になる(図8(d))。
請求項5に記載のように、前記空気ばね式強制車体傾斜機構は、前記地点検知装置により検知される入口緩和曲線進入直前で、前記空気ばね制御装置により外軌側空気ばねに空気を供給し外軌側空気ばねを上昇させるとともに内軌側の空気ばね内の空気を排出して前記車体を前記振子梁に対し内軌側へ傾斜させ、入口緩和曲線走行時に前記空気ばね制御装置により外軌側空気ばね内の空気を排出し外軌側空気ばねの下降を行うとともに内軌側の空気ばねに給気して、前記各空気ばねの高さを元の中立位置に戻し、出口緩和曲線進入直前で、前記空気ばね制御装置により内軌側空気ばねに空気を供給し内軌側空気ばねを上昇させるとともに外軌側空気ばね内の空気を排出して前記車体を前記振子梁に対し外軌側へ傾斜させ、出口緩和曲線走行時に前記空気ばね制御装置により内軌側空気ばね内の空気を排出するとともに外軌側空気ばね内の空気を給気し、前記各空気ばねの高さを元の中立位置に戻すことができる。
このように構成することにより、請求項4記載の鉄道車両と同様に車体の内軌側または外軌側への傾斜に伴って、自然振子機構による振子梁の振り遅れが補正されるが、本請求項の鉄道車両では、振子梁上の左右の空気ばね、いいかえれば外軌側と内軌側の両方の空気ばねが協働して車体の傾動を行うので、よりスムーズに自然振子機構による振子梁の振り遅れの補正が行なわれる。
本発明にかかる複合的な車体傾斜機能を持つ鉄道車両は、上記先行技術と比べて下記の表1に示すような優れた効果がある。
Figure 2008143335
以下、本発明にかかる鉄道車両について実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は本発明にかかる複合的な車体傾斜機能を持つ鉄道車両の一実施形態を概略的に示す正面視断面図で、曲線走行状態を表し、図1(b)は図1(a)の車両において遠心力と重力が車体に作用する関係を示す説明図である。
本実施形態の複合的な車体傾斜機能を持つ鉄道車両1は、図1(a)に示すように、振子台車2上に振子梁3を両側のコロ3cを介して左右(車幅)方向に傾動(揺動)可能に配備している。振子台車2の下方に輪軸4を備え、この輪軸4は車軸4aとこの両側に一体回転可能に取り付けられ、レールR上を走行する左右一対の車輪4bとからなっている。振子台車2上に配備された振子梁3は、下部が車体6の振子中心oを円の中心とする半円弧面3aに形成され、コロ3cを介して遠心力や重力の作用により振子中心oを中心として左右(車幅)方向に揺動する。下部半円弧面3aの周方向のほぼ中間位置に略台形状の凹所3bが設けられ、この凹所3b内の一端と振子台車2上面との間にパッシブダンパ5が介設されている。パッシブダンパ5は、振子梁3と振子台車2間の速度の速い動きを抑制するための抵抗力として機能し、振子梁3の左右方(車幅)方向の速度の速い振れ(振子運動)を抑制する。本例の場合、緩和曲線進入直前に振子梁3上の車体6を空気ばね式強制車体傾斜機構8により傾斜させることにより質量の小さい振子梁3が振子台車2に対して空気ばね式強制車体傾斜の反作用で逆回転するのを抑制するためにパッシブダンパ5が有効に働き、空気ばね式強制車体傾斜機構8の機能を発揮させることにより振子梁3の振り遅れを軽減することができる。
そして、緩和曲線走行時には、車体6の空気ばね式強制車体傾斜機構8による車体傾斜姿勢から中立姿勢に戻り、相対的に振子梁3に作用する抑制力が増大し、振子梁3の振れを抑制する。また、この抑制力は、本曲線軌道走行時に振子梁3の不要な乱動(ローリング振れ)を抑制することになる。
なお、他の実施例として、パッシブダンパ5に制御付きの可変ダンパを使用してもよい。本例の場合、図示は省略するが、例えば可変オイルダンパを使用した場合、オイルダンパ本体を構成するシリンダ内のピストンを挟んで左右の油室の連通管の中央には電磁制御の流量制御弁を設け、パッシブダンパ5内の油の流れを微妙に調節してパッシブダンパ5の減衰力を自在に変更可能にする。そして、本例のパッシブダンパ5で、後述する地点検知装置10からの情報に基づき、曲線軌道以外軌道(直線軌道や緩やかな曲率の曲線軌道)を走行するときには流量制御弁を細く絞り、振子台車2上の振子梁3の傾動を抑制する。自然振子機構の作動速度を高めるため、空気ばね式強制車体傾斜機構8が働いていない状態での曲線軌道を走行するときには、流量制御弁を開放され、本来の振子動作のための振子梁3の自由な傾動(振れ)を許容する。
振子梁3の上方に車体6が配置され、この車体6は振子梁3の上面の両側の空気ばね7(7R・7L)により支持されている。これら左右一対の空気ばね7R・7Lは従来より台車の枕ばねとして使用されている装置であるが、本実施形態では各空気ばね7R・7Lに対し加圧空気源(図示せず)から加圧空気を供給したり、各空気ばね7R・7Lから加圧空気を排出したり、そのタイミングを決定したりする空気ばね制御装置9(図2参照)により空気ばね7の圧縮空気量を増減でき、この空気ばね制御装置9を含めて空気ばね式強制車体傾斜機構8が構成されている。
鉄道車両1に搭載されている地点検知装置10は、地上信号情報またはGPS情報等の位置情報等と、地点検知装置の持つ路線データ(曲線の位置とその曲線の曲率やカント等)および車両の走行距離(位置情報受信後の走行距離)を比較することで、少なくとも空気ばね式強制車体傾斜機構8の作動のトリガーとなる。例えば「直線走行からn秒後に左曲線の入口緩和曲線に進入する」または「左曲線走行からn秒後に出口緩和曲線に進入する」との入口緩和曲線と出口緩和曲線までの走行時間と曲線軌道の曲がり方向との情報を空気ばね制御装置9に指令するものである。ただし、n秒後とは、速度や曲線形状などによって変更する。
各空気ばね7R・7Lは、例えば図示されていない電磁弁を介して加圧空気源に接続されており、上記空気ばね制御装置9により電磁弁が開閉駆動されることにより、空気ばね7R・7Lへの加圧空気の供給と、空気ばね7R・7Lからの加圧空気の排出とが適宜行われる。この結果、本例では図1に示すように外軌側の空気ばね7Lが上昇し、高さが高くなることによって車体6を内軌側へ強制的に傾斜する。なお、制御はやや複雑になるが、外軌側空気ばね7Lへ加圧空気が供給され、同時に内軌側空気ばね7R内の加圧空気が排出されて車体6を内軌側へ強制的に傾斜する制御も可能である。
すなわち、本例の鉄道車両1では、後述するように曲線軌道(入口側緩和曲線)に進入する直前(例えば2秒前)に、曲線軌道の内軌側へ車体6が傾斜する。これ等の操作により、空気ばね式強制車体傾斜機構8により車体6が比較的速い速度で回転し傾斜を始める作動時に、振子台車2上にコロ3cによって支持されている振子梁3には車体6の回転方向(傾斜方向)と逆方向へ回転力が発生するが、速い速度の変位に対して大きな抑制力のあるパッシブダンパ5により振子梁3の逆回転力の抑制が行なわれる。
入口緩和曲線進入後に、空気ばね式強制車体傾斜機構8による車体傾斜により車体6の重心Gが振子中心oより内軌側に移動する。パッシブダンパ5を備えているため振子梁3の揺動する速度は比較的遅い速度であるが、振子作用により内軌側への傾斜が始まり、車体6と振子梁3は内軌側へ傾斜する。その後一定時間後(例えば5秒後)に空気ばね7Lを中立位置にもどし空気ばね式強制車体傾斜機構8の作動を終了するが、曲線軌道走行時には何ら制御を行うことなく、振子梁3が重力と遠心力の作用力(図1(b)参照)により自然に最適な振子角に傾動する。
また、反対に出口緩和曲線に進入する直前(例えば2秒前)には、内軌側の空気ばね7Rが上昇し、高さが高くなることによって車体6を外軌側へ強制的に傾斜させる。車体傾斜により車体6の重心Gが振子中心oより外軌側に移動する。パッシブダンパ5を備えているため振子の速度は比較的遅い速度であるが、振子作用により外軌側への車体6の傾斜が始まり、車体6と振子梁3は外軌側へ傾斜する。その後一定時間後(例えば5秒後)に空気ばね7Rを中立位置に戻し空気ばね式強制車体傾斜機構8の作動を終了するが、出口緩和曲線軌道走行時には何ら制御を行うことなく、振子梁3が重力と遠心力の作用力(図1(b)参照)により自然に中立位置へ傾動する。
なお、出口緩和曲線部における空気ばね式強制車体傾斜機構8によるが逆車体傾斜に対しても、自然振子の空気ばね式強制傾斜による車体傾斜の動きに対する反作用による逆回転を抑制する場合においても、パッシブダンパ5は有効に逆回転を抑制する。また本例の場合、パッシブダンパ5に対する制御は一切必要としない。
図2(a)は空気ばね制御装置9の論理回路の一例を示す説明図、図2(b)は図2(a)の制御装置9の論理回路に関する内容を説明する線図である。
本実施形態の空気ばね制御装置9は、図2に示すように論理回路で構成されている。
鉄道車両1に設置された地点検知装置10はATS地上子等からの地上信号情報またはGPS情報等の位置情報と同装置の持つ路線データ(曲線の位置データとその曲線の曲率、カント等)と車両走行距離を比較することにより前方の入口緩和曲線軌道まで走行するのに必要な鉄道車両1の走行時間の検知を行う。
その上で、地点検知装置10から空気ばね制御装置9へ、鉄道車両1の前方に曲率が設定値以上の曲線軌道がないか、あるいは直線軌道が連続して存在する場合はフラグ0が出力されるため、空気ばね式強制車体傾斜機構8が稼動しない状態である。
鉄道車両1が直線走行時には、前方に曲率が設定値以上の曲線軌道がある場合は、入口緩和曲線に入る一定時間前に、地点検知装置10から空気ばね制御装置9へ、前方における緩和曲線軌道の有無が0以外の値である±1のフラグ信号で入力され、また緩和曲線の曲線方向が±で区別され(例えば、右方向に曲がった場合はフラグ+1、左方向に曲がった場合は−1)出力され、空気ばね式車体傾斜機構8が稼動される。
空気ばね式強制車体傾斜機構8が稼動され、例えば、傾斜角度が一定値(設定値)以上となると、空気ばね車体制御装置9による車体6の傾斜角が0°となるように、空気ばね式強制車体傾斜機構8が稼動される。
同様に鉄道車両1が本曲線走行時にも、地点検知装置10は、路線データ(曲線の位置データとその曲線の曲率、カント等)と実際の走行距離を比較することで、車両1が連続した本曲線走行時においては、空気ばね制御装置9へフラグ0が出力されるため、空気ばね式強制車体傾斜機構8が稼動しない状態である。
本曲線軌道から出口緩和曲線へ移行する時は、出口緩和曲線へ進入する一定時間前に、地点検知装置10から空気ばね制御装置9へ、前方における緩和曲線軌道の有無が0以外の値である±1のフラグ信号例えば、右方向に曲がった場合はフラグ−1、左方向に曲がった場合は+1)で入力され、また緩和曲線の曲線方向が±で区別され、出力され、空気ばね式強制車体傾斜機構8が稼動される。なお、本曲線走行時から出口緩和曲線に進入する場合の±1のフラグ信号は、直線走行時から入口緩和曲線に入る場合の±が反対となっている点が重要である。
空気ばね式強制車体傾斜機構8が稼動され、例えば、傾斜角度が一定値(設定値)以上となると、空気ばね車体制御装置9による車体6の傾斜角が0°となるように、空気ばね式強制車体傾斜機構8が稼動される。
制御装置9は、図2(a)に示すように、(2)保持ロジック9a、(3)出力判定ロジック9b、(4)PIDなどの制御演算器(パラメータ乗算・微分)9cを備えている。
保持ロジック9aでは、緩和曲線進入直前の実傾斜角(実際の傾斜角)を保持する指令を発するが、地点検知装置10からフラグ0が入力されると、実傾斜角の保持値がリセットされる。
つまり、地点検知装置10からあらかじめ記憶された路線データ(曲線の位置データとその曲線の曲率、カント等)と車両走行距離に基づき入口緩和曲線および出口緩和曲線の進入の一定時間前に、曲線の方向を表すフラグ(±1)を出力する。このフラグ(−1,0または1)が保持ロジック9aに入力されるが、図2(b)の中段に示すように矢印の出力開始点では保持ロジック9aには0°が記憶される。出力判定ロジック9bでは、図2(b)の下段に示すように出力開始点において空気ばね式強制車体傾斜機構の「実傾斜角−保持ロジック9aで保持されている傾斜角」<設定値であるので、1が出力される。続いて地点検知装置10からのフラグ信号値(−1・0・1)との乗算処理9fで車体6の傾斜方向が決定される。そして、制御演算器9cで車体傾斜角が演算され、車体傾斜角指令(空気ばねの高さ指令)が空気ばね式強制車体傾斜機構8へ出力される。一方、図2(b)の下段に示すように出力終了点では「実傾斜角−保持ロジック9aで保持されている傾斜角」>設定値であるので、0が出力され、車体6の傾斜角が元の状態(0°)に戻される。なお、9dは加算処理、9eは絶対値処理である。
図2に示す空気ばね制御装置9のロジックでは、鉄道車両1が緩和曲線に侵入する直前で車両1側の地点検知装置10から出力されるフラグ(−1または+1)により曲線の内軌側へ車体6を傾斜させる指令が空気ばね制御装置9へ発せられ、空気ばね式強制車体傾斜機構8により車体6が傾斜するが、車体6は傾斜すると、一定時間後に元の姿勢に戻される。このため、非常に簡単なロジックによって制御し得る。
以上のようにして本実施形態の振子式鉄道車両1が構成されるが、次に曲線軌道走行時の車体傾斜機構および自然振子機構の動作について図面に基づいて説明する。
図3は曲線軌道入口側の軌道を示す平面図(上段)と同軌道に対応して曲線検知信号を時間の経過(横軸)との関係で表した説明図(中段)と前記軌道に対応して外軌側空気ばねの圧縮空気量を時間の経過(横軸)との関係で表した説明図(下段)、図4は曲線軌道出口側の軌道を示す平面図(上段)と同軌道に対応して曲線検知信号を時間の経過(横軸)との関係で表した説明図(中段)と前記軌道に対応して外軌側空気ばねの圧縮空気量を時間の経過(横軸)との関係で表した説明図(下段)である。図5は曲線軌道入口側を示す軌道と車両の位置とを示す平面図、図6(a)〜(d)は図5の車両の状態1〜4に対応する車両を概略的に示す後方視(後方より見た)断面図である。図7は曲線軌道出口側を示す軌道と車両の位置とを示す平面図、図8(a)〜(d)は図7の車両の状態1〜4に対応する車両を概略的に示す後方視断面図である。
本実施形態の空気ばね式強制車体傾斜機構8と自然振子機構を持つ複合車体傾斜式鉄道車両1では、図3や図5(の状態1)に示すように直線軌道を走行中の車両1は振子梁3および車体6が傾斜しておらず、重心が振子台車2の中心軸線s上に位置する(図6(a))。そして、図5(の状態2)に示すように、入口緩和曲線進入直前に一定時間前(例えば2秒前に)に、車両1側の地点検知装置10から車体6の傾斜角と傾斜方向とが制御装置9へ出力される。なお、傾斜角速度は車体仕様により決定される。ここで、空気ばね式強制車体傾斜機構8の空気ばね制御装置9により外軌側空気ばね7Lへ圧縮空気が供給され、空気ばね7Lの高さが上昇し、振子梁3上の車体6は、曲線軌道の内軌側へ傾斜する(図5の状態2・図6(b))。車体6が傾動する際の反力による無用な車体1と振子梁3の車体傾斜の反対方向への振子回転は、パッシブダンパ5により抑止される。そして、入口緩和曲線進入前に車体6が内軌側へ傾斜することにより、図6(b)に示すように車体重心Gが振子台車2の振子中心oを通る中心軸線S−Sに対し内軌側へ移動を開始し、緩和曲線に進入したときには車体重心Gが振子中心oから見て内軌側へ移動しているため、振子梁3の内軌側への振れは、遠心力と重力の作用により車体1と振子梁3の振子傾斜が容易になる。これにより、従来の一般的な振子式鉄道車両に特有の振り遅れが解消される。
そして、空気ばね式強制車体傾斜機構8によって強制的に内軌側へ傾斜した車体6は、一定時間後(例えば車体傾斜の指令が出て5秒後に)に、図5の状態3や図6(c)に示すように再び空気ばね式強制車体傾斜機構8の空気ばね制御装置9からの指令によって外軌側の空気ばね7Lから圧縮空気が排出され、元の高さに戻されることにより、車体重心Gは振子台車2の中心軸線S−Sに対し外軌側へ移動し、車体6は振子梁3に対し平行な中立位置である元の非傾斜姿勢に戻される。この結果、本曲線軌道の走行時には、図5の状態4(図7の状態1)や図6(d)(図8(a))に示すように振子中心oを回転中心として、車体重心Gにかかる重力と遠心力とが釣り合う最適な傾斜角度に車体1と振子梁3が傾斜する。
こうして本曲線軌道を走行し、出口緩和曲線に進入する直前の一定時間前(例えば2秒前に)に、車両1側の地点検知装置10からの線路データに基づく指令信号で、図7の状態2や図8(b)に示すように入口緩和曲線進入前とは逆の方向、すなわち外軌側へ車体6は傾斜する。これにより、車体重心Gが振子中心oから見て外軌側へ移動を開始し、緩和曲線に進入したときには車体重心Gが振子中心oから見て内軌側へ移動しているため、振子梁3の外軌側への振れは、遠心力と重力の作用により車体1と振子梁3の振子傾斜が容易になり、これにより、振子式鉄道車両に特有の振り遅れが解消される。一定時間後(例えば車体傾斜の指令が出て5秒後)に、車体1と振子梁は、出口緩和曲線走行時には、図7の状態3や図8(c)に示すように再び空気ばね式強制車体傾斜機構8の空気ばね制御装置9によって内軌側の空気ばね7から加圧空気が排出され、元の高さまで下降することにより自然振子状態に戻り、安定した走行が遂行される。
なお、直線軌道走行時には、パッシブダンパ5による振子梁3の振れに対する抑制力(抵抗力)にて、振子梁3の不要なローリング振れは抑制される。
上記のように、本実施形態の振子式鉄道車両1によれば、入口緩和曲線進入直前に車体6が空気ばね式強制車体傾斜機構8により内軌側へ傾斜し、入口緩和曲線走行時には車体6が空気ばね式強制車体傾斜機構8にて中立位置に戻り、出口緩和曲線手前で車体6が空気ばね式強制車体傾斜機構8により外軌側へ傾斜し、出口曲線走行時に空気ばね式強制車体傾斜機構8にて車体6が中立位置に戻ることにより、自然振子動作の振り遅れを空気ばね式強制車体傾斜機構8により補正することで振り遅れが解消する。また上記したとおり、本実施形態の複合車体傾斜式鉄道車両1では、車体6は入口緩和曲線手前で一度内軌側へ強制車体傾斜し、緩和曲線走行時には強制車体傾斜が中立位置に戻されるなど、車体6と振子梁3が曲線軌道通過時に生じる遠心力と重力の作用で振り子中心oを回転中心として自然に内軌側へ傾斜したり元の中立状態に戻ったりする前に、車体6を自然振子動作の振り遅れを空気ばね式強制車体傾斜機構8により補正することで振り遅れが解消するため、複雑かつ緻密な制御は一切不要である。また、上記した空気ばね制御装置9(図2参照)は、上記した車体6の傾斜制御をロジックで表した一例に過ぎず、これに限定されるものでないことは言うまでもない。
図1(a)は本発明にかかる複合的な振子式鉄道車両の一実施形態を概略的に示す正面視断面図で、曲線走行状態を表し、図1(b)は図1(a)の車両において遠心力と重力が車体に作用する関係を示す説明図である。 図2(a)は本発明の振子式鉄道車両1に用いられる制御装置9の論理回路の一例を示す説明図、図2(b)は図2(a)の制御装置9の論理回路に関する内容を説明する線図である。 曲線軌道入口側の軌道を示す平面図(上段)と同軌道に対応して曲線検知信号を時間の経過(横軸)との関係で表した説明図(中段)と前記軌道に対応して外軌側空気ばねの加圧空気量を時間の経過(横軸)との関係で表した説明図(下段)である。 曲線軌道出口側の軌道を示す平面図(上段)と同軌道に対応して曲線検知信号を時間の経過(横軸)との関係で表した説明図(中段)と前記軌道に対応して外軌側空気ばねの加圧空気量を時間の経過(横軸)との関係で表した説明図(下段)である。 曲線軌道入口側を示す軌道と車両の位置とを示す平面図である。 図6(a)〜(d)は図5の車両の状態1〜4に対応する車両を概略的に示す後方視断面図である。 曲線軌道出口側を示す軌道と車両の位置とを示す平面図である。 図8(a)〜(d)は図7の車両の状態1〜4に対応する車両を概略的に示す後方視断面図である。
符号の説明
1 複合車体傾斜式鉄道車両
2 振子台車
3 振子梁
3a下部半円弧面
3b凹所
3cコロ
4 輪軸
4a車軸
4b車輪
5 パッシブダンパ
6 車体
7(7R) 空気ばね
7(7L) 空気ばね
8 空気ばね式強制車体傾斜機構
9 空気ばね制御装置
9a保持ロジック
9b出力判定ロジック
9c空気ばね制御演算器
10 地点検知装置
R レール

Claims (5)

  1. 台車と、この台車の上方に配置された車体と、両者の間に振子梁が設けられ、曲線軌道走行時に前記車体の重心に作用する遠心力を利用して、振子回転中心を中心とした前記車体の自然振子運動を実現する自然振子機構と、前記振子梁と車体の間に左右に配置された空気ばねによる空気ばね式強制車体傾斜機構とを備え、前記自然振子機構および前記空気ばね式強制車体傾斜機構による複合的な車体傾斜機能を有する鉄道車両において、
    前記空気ばね式強制車体傾斜機構は、入口緩和曲線進入の直前に前記車体を内軌側へ傾斜させた後すぐに元の姿勢に戻す一方、出口緩和曲線の直前に前記車体を外軌側へ傾斜させた後すぐに元の姿勢に戻すことにより、前記自然振子機構の振れを支援する構成からなることを
    特徴とする鉄道車両。
  2. 前記台車と前記振子梁との間にパッシブダンパを介設することを
    特徴とする請求項1記載の鉄道車両。
  3. 前記空気ばね式強制車体傾斜機構は前記空気ばねの空気量を制御する空気ばね制御装置を備え、この空気ばね制御装置は車両の地点検知装置と接続され、
    前記地点検知装置は、地上信号情報またはGPS情報等の位置情報と前記地点検知装置の持つ路線データ(曲線の位置データとその曲線の曲率、カント等)および車両の走行距離を比較することにより、少なくとも前記空気ばね式強制車体傾斜の作動のトリガーとなる入口緩和曲線と出口緩和曲線とに進入する直前に少なくとも曲線軌道の曲がり方向を前記空気ばね制御装置に出力するものであること
    を特徴とする請求項1または2記載の鉄道車両。
  4. 前記空気ばね式強制車体傾斜機構は、前記地点検知装置により検知される入口緩和曲線進入直前で、前記空気ばね制御装置により外軌側空気ばねに空気を供給し外軌側空気ばねを上昇させて前記車体を前記振子梁に対し内軌側へ傾斜させ、入口緩和曲線走行時に前記空気ばね制御装置により外軌側空気ばね内の空気を排出し外軌側空気ばねの下降を行い、前記外軌側空気ばねの高さを元の中立位置に戻し、出口緩和曲線進入直前で、前記空気ばね制御装置により内軌側空気ばねに空気を供給し内軌側空気ばねを上昇させて前記車体を前記振子梁に対し外軌側へ傾斜させ、出口緩和曲線走行時に前記空気ばね制御装置により内軌側空気ばね内の空気を排出し、前記内軌側空気ばねの高さを元の中立位置に戻すことを特徴とする請求項3に記載の鉄道車両。
  5. 前記空気ばね式強制車体傾斜機構は、前記地点検知装置により検知される入口緩和曲線進入直前で、前記空気ばね制御装置により外軌側空気ばねに空気を供給し外軌側空気ばねを上昇させるとともに内軌側の空気ばね内の空気を排出して前記車体を前記振子梁に対し内軌側へ傾斜させ、入口緩和曲線走行時に前記空気ばね制御装置により外軌側空気ばね内の空気を排出し外軌側空気ばねの下降を行うとともに内軌側の空気ばねに給気して、前記各空気ばねの高さを元の中立位置に戻し、出口緩和曲線進入直前で、前記空気ばね制御装置により内軌側空気ばねに空気を供給し内軌側空気ばねを上昇させるとともに外軌側空気ばね内の空気を排出して前記車体を前記振子梁に対し外軌側へ傾斜させ、出口緩和曲線走行時に前記空気ばね制御装置により内軌側空気ばね内の空気を排出するとともに外軌側空気ばね内の空気を給気し、前記各空気ばねの高さを元の中立位置に戻すことを特徴とする請求項3に記載の鉄道車両。
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