JP2008141822A - パイプ等の長尺部材の保持具 - Google Patents
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Abstract
【課題】締め付けバンドを用いずに、長尺部材の周面を部分変形させない、長尺部材の位置ずれ防止を確実にする保持具を提供する。
【解決手段】保持具1は、クランプ部3と蓋部5を備え、蓋部とクランプ部とがヒンジ6で旋回可能に連結され、蓋部5の第1ロック手段15がクランプ部の第2ロック手段17に係合すると長尺部材がクランプ部の中に固定保持される。第1ロック手段に隣接する位置の蓋部5にてこ片25が設けられ、第2ロック手段に隣接する位置のクランプ部にてこ片受け部27が形成され、てこ片は、蓋部が閉じるときてこ片受け部に当接してクランプ部をその受入凹部7の内径を縮径するように撓め、クランプ部に収容された長尺部材を縮径したクランプ部と蓋部とによって緊縛して固定保持する。
【選択図】図4
【解決手段】保持具1は、クランプ部3と蓋部5を備え、蓋部とクランプ部とがヒンジ6で旋回可能に連結され、蓋部5の第1ロック手段15がクランプ部の第2ロック手段17に係合すると長尺部材がクランプ部の中に固定保持される。第1ロック手段に隣接する位置の蓋部5にてこ片25が設けられ、第2ロック手段に隣接する位置のクランプ部にてこ片受け部27が形成され、てこ片は、蓋部が閉じるときてこ片受け部に当接してクランプ部をその受入凹部7の内径を縮径するように撓め、クランプ部に収容された長尺部材を縮径したクランプ部と蓋部とによって緊縛して固定保持する。
【選択図】図4
Description
本発明は、パイプやワイヤハーネス等の長尺部材を自動車のボデーパネル等の被取付部材に固定保持するのに適する保持具に関する。
パイプやワイヤハーネス等の長尺部材を自動車のボデーパネルに固定する保持具は種々のものが用いられており、保持した長尺部材が保持具から位置ずれするのを防ぐ構成を有する保持具も多く開発されている。
特許文献1に記載の保持具は、長尺部材の周面を保持具本体から延びる可撓性のバンドで締め付けることによって長尺部材が保持具から位置ずれしないように固定保持する構成を有し、バンドの締め付けを増すために、バンドを引っ張るレバーが保持具本体に設けられている。特許文献2に記載の保持具は、特許文献1の保持具と同様に、長尺部材の周面を保持具本体から延びる可撓性のバンドで締め付けることによって長尺部材が保持具から位置ずれしないように固定保持する構成を有し、特許文献2の保持具には、バンドの締め付け力を増すためにバンドに係合する突片とレバーが設けられている。特許文献3に記載の保持具は、長尺部材を2つの半円筒状体で包囲して保持し、一の半円筒状体には長尺部材の側面を弾性的に押圧する係止片が設けられ、係止片の押圧によって長尺部材の位置ずれを防ぐ。
特許文献4に記載の保持具は、長尺部材を収容して保持する受入凹部を形成したクランプ部と、受入凹部の開口を閉じて長尺部材を保持する蓋部とを備え、蓋部とクランプ部とは一端でヒンジ連結されて旋回可能に連結され、蓋部の他端とクランプ部の他端とにはロック手段が設けられて蓋部が開口を閉じた状態に固定され、クランプ部受入凹部に収容した長尺部材がクランプ部と前記閉じた蓋部とによって固定保持される。この保持具には、長尺部材の周面を保護する可撓性の保護部材が設けられ、長尺部材の保護と防振を図っている。
特許文献1及び2に記載の保持具は、長尺部材を保持するためにバンドを用いて、そのバンドを引っ張って締め付け力を増すものであるが、バンドそれ自体が撓み易く、長尺部材に長手方向へずらす外力が加わった場合には、その長手方向への位置ずれを防止するには十分ではない。特許文献3に記載の保持具は、係止片が長尺部材の周面の一部に直接強く押圧するので長尺部材の一部凹ませるおそれがあり、また、係止片による長手方向の位置ずれ防止効果は一方の方向であって、その反対の方向には十分でないおそれがある。特許文献4に記載の保持具は、長尺部材の周面に可撓性の保護部材が配設されるが、位置ずれの防止効果を目的としていないので、位置ずれの防止には十分でない。
従って、本発明の目的は、バンドを用いることのない、長尺部材周面を部分変形させることのない、長尺部材の位置ずれ防止を確実にする保持具を提供することにある。
かかる目的を達成するため、本発明によれば、パイプ等の長尺部材を収容して保持する受入凹部を形成したクランプ部と、クランプ部の受入凹部の開口を閉じて長尺部材を保持する蓋部とを備え、蓋部の一端とクランプ部の開口に隣接する一方の端部とがヒンジで連結されて蓋部がクランプ部に旋回可能に連結され、蓋部の他端には第1ロック手段が設けられ、クランプ部の開口に隣接する他方の端部には第1ロック手段に係合する第2ロック手段が設けられて蓋部がクランプ部に受入凹部の開口を閉じた状態に固定され、受入凹部に収容した長尺部材がクランプ部と閉じた蓋部とによって固定保持される、長尺部材の保持具であって、蓋部には、第1ロック手段に隣接する位置に、ヒンジ側に向かい且つクランプ部の第2ロック手段に向かうように延びる、てこ片が設けられ、クランプ部には、第2ロック手段に隣接する位置に、てこ片の先端が当接しててこ片先端を受け止める、てこ片受け部が形成されており、てこ片は、蓋部が開口を閉じる方向に旋回するとき、てこ片受け部に当接し蓋部の旋回とともに受入凹部の内径を縮径するようにクランプ部を撓め、第1ロック手段が第2ロック手段に係合したとき、受入凹部に収容された長尺部材は受入凹部が縮径したクランプ部と蓋部とによる緊縛によって固定保持される、ことを特徴とする保持具が提供される。
上記保持具によれば、蓋部が閉じるとクランプ部の受入凹部の内径を全体的に縮径するので、バンドを用いずに、且つ、長尺部材周面を部分変形させることなしに、長尺部材の周面が全体的に強固に緊縛され、長尺部材の位置ずれ防止を確実にする。特に、長尺部材の表面が滑りやすい場合でも、緊縛力が高く、位置ずれを防止できる。
上記保持具において、てこ片は、第1ロック手段が第2ロック手段に係合する手前において受入凹部の内径を最も縮径するようにクランプ部を撓める長さに形成され、てこ片とてこ片受け部とは、第1ロック手段が第2ロック手段に係合する手前において、受入凹部の内径を最も縮径した状態から少し緩めて第1ロック手段を第2ロック手段に引き込む作用を生成させる位置に設けられている。このように、てこ片が蓋部の閉じ動作にトグル作用を与えるので、トグル作用がない場合の押込み力に比べて、蓋部の閉じ動作を約1/8の小さな押込み力で容易に行うことができた。てこ片は、長尺部材の長手方向に沿った蓋部の両側縁に設けられ、てこ片受け部も、てこ片に対応して、長尺部材の長手方向に沿ったクランプ部の両側縁に設けられる。これによって、クランプ部の受入凹部の内径の縮径を一層確実にする。クランプ部には、てこ片受け部に隣接する位置に、パネル等の被取付部材の取付穴に挿入して被取付部材に取付けられる固定部が設けられる。これによって、ボデーパネル等の被取付部材に長尺部材を取付けることができる。蓋部には、蓋部がクランプ部の開口を閉じた状態にあるとき、固定部が蓋部から突出するための窓が形成されている。これによって、保持具を被取付部材に取付けた後には蓋部が被取付部材に押付けられるので、第1ロック手段及び第2ロック手段によるロックが破損しても、蓋部がクランプ部から外れるのを阻止できる。なお、クランプ部には、ヒンジに隣接する位置に、パネル等の被取付部材に立設された棒状スタッドに係止するスタッド固定部が形成されていてもよい。
以下、本発明の実施形態に係る、パイプ等の長尺部材の保持具について図面を参照しながら説明する。図1〜図11に、本発明の第1実施形態に係る保持具1が示されており、図12〜図14に、本発明の第2実施形態に係る保持具1Aが示されている。第1実施形態に係る保持具1も、第2実施形態に係る保持具1Aも、硬質の合成樹脂によって一体成形される。図1〜図11に示される、第1実施形態に係る保持具1について、図1〜図3には蓋部を閉じていない状態が示され、図4には蓋部を閉じる途中の状態が示され、図5〜図7には蓋部が閉じた状態が示され、図8〜図11には長尺部材2を保持固定する操作が示されている。なお、図12〜図14に示される第2実施形態の保持具1Aについては後述する。
主に、図1〜図4を参照して第1実施形に係る保持具1を説明する。保持具1は、クランプ部3と蓋部5とがヒンジ6によって旋回可能に連結された、硬質の合成樹脂による一体成形品で成る。クランプ部3は、パイプ等の長尺部材2を収容して保持する受入凹部7を形成している。受入凹部7は、図示のように、パイプ等の長尺部材が収容されて保持される大きさの半円又はそれ以上の部分円を成すように形成され、入口には長尺部材を受入れる大きさの開口9が形成されている。クランプ部3の受入凹部7の部分は、硬質の合成樹脂による剛性を有するが、収容した長尺部材を締め付ける内径に縮径できる可撓性を有する。従って、図示のように、半円より大きな部分円を形成している場合、開口9の幅よりやや大径の長尺部材を収容すると開口9がその直径まで広がって長尺部材2を受入れた後、元の幅に戻って長尺部材2を受入凹部7に仮保持される。更に、クランプ部3の受入凹部7の可撓性によって収容した長尺部材2の外周面を締め付けるように撓めることができる。クランプ部3の一端には、ヒンジ6が一体成形されて、更に、ヒンジ6には蓋部5が連結されており、蓋部5は、ヒンジ6回りにクランプ部3に対して開口9を閉じるように旋回できる。
ヒンジ6は、薄肉の板形状に形成され、クランプ部3の受入凹部7の幅と同じ幅に形成されている。蓋部5は、ヒンジ6の回りに旋回してクランプ部3の受入凹部7の開口9を閉じて長尺部材を保持する。ヒンジ6に隣接するクランプ部3の上端には、蓋部5の係止穴10に形成された係止部11に係止する係止フック13が設けられている。蓋部5が閉じ状態にあるとき、係止フック13は係止穴10に挿入されて係止部11に係止し、これによって、蓋部5のヒンジ6側の固定が確実に維持され、たとえ、ヒンジ6が破断しても蓋部5は閉じ状態に維持される。
蓋部5は、クランプ部3の受入凹部7の開口9を閉じるとともに、ボデーパネル等の被取付部材に対面して、保持具1が被取付部材に安定して取付けられるように、クランプ部3の平面視より広い大きさの平板で形成される。蓋部5には、長尺部材の長手方向における両側の縁部にリブ14が形成されて、蓋部5の強度を向上させ、被取付部材への取付けの安定を図っている。蓋部5には、ヒンジ6と反対側の端に、第1ロック手段としてのロック爪15が設けられている。ロック爪15は、先端から折返すフック形状に形成されている。なお、フック形状に折返す部分を長く形成して蓋部5のロック状態の解除をするようにしてもよい。ロック爪15に対応して、クランプ部3の受入凹部7の開口9に隣接する端部には、ロック爪15に係合する第2ロック手段としての係止肩17が内側に形成されたロック穴18が設けられ、蓋部5がクランプ部3に受入凹部7の開口9を閉じた状態に固定される。蓋部5が閉じた状態では、受入凹部7に収容した長尺部材がクランプ部3と閉じた蓋部5とによって固定保持される、
第1実施形態に係る保持具1では、クランプ部3に、ロック穴18に隣接して、被取付部材の取付穴に挿入して被取付部材に取付けられる固定部19が設けられている。固定部19は、図示の例では、円筒状の軸部21と、軸部21の2つの側面に形成された弾性係止爪22とを有する。蓋部5には、蓋部5がクランプ部3の受入凹部7の開口9を閉じた状態にあるとき、固定部19が蓋部5から突出するための窓23が形成されている。固定部19は蓋部5から突出して被取付部材に取付けられるので、保持具1を被取付部材に取付けた後には、蓋部5が被取付部材に押付けられて、たとえ、ロック爪15と係止肩17との係合によるロックが解除することがあっても、蓋部5がクランプ部3から外れるを阻止できる。なお、固定部19は、被取付部材の取付穴に挿入して取付けできるものであれば、任意の形状のものでよい。例えば、細長い軸部とその先端から折返す一対の弾性係止爪とから成り、被取付部材の取付穴に挿入されて係止する錨脚形状の固定部でもよい。
蓋部5には、ロック爪15に隣接する位置に、ヒンジ6の側に向かい且つクランプ部3の係止肩17(第2ロック手段)に向かうように延びる、てこ片25が設けられている。てこ片25は、蓋部5にヒンジ26を介して旋回可能に連結されている。また、図示の実施形態において、受入凹部7に収容される長尺部材の長手方向に沿った蓋部5の両側の縁部に隣接して設けられている。てこ片25に対応して、クランプ部3には、係止肩17に隣接する位置に、てこ片25の先端が当接してその先端を受け止める、てこ片受け部27が形成されている。てこ片受け部27は、クランプ部3に不動に固着されており、てこ片25の先端を受けて、てこ片25の旋回のときの支点として作用する。てこ片25がてこ片受け部27をヒンジ6に向けて押圧すると、その押圧力がクランプ部3に伝達され、受入凹部7の部分がその内径を縮径するように撓める。図示の実施形態において、てこ片受け部27は、てこ片25に対応して、長尺部材の長手方向に沿ったクランプ部3の両側の縁部に設けられる。このように、てこ片25とてこ片受け部27と一対形成することによってクランプ部3の受入凹部7の内径の縮径を一層確実にする。
てこ片25は、図4に図示のように、蓋部5が受入凹部7の開口9を閉じる方向に旋回するとき、てこ片25の先端がてこ片受け部27に当接し蓋部5の旋回とともに受入凹部7の内径を縮径するようにクランプ部3を撓めるように作用し、これによって、ロック爪15が係止肩17に係合したとき、受入凹部7に収容された長尺部材2は受入凹部7の内径が縮径したクランプ部3と蓋部5とによる緊縛によって固定保持される。かかる作用を果たすように、てこ片25の位置と長さ及びてこ片受け部27の位置が定められる。実施形態において、てこ片25のヒンジ26の位置からヒンジ6の位置までの蓋部5の長さをLとし且つヒンジ26がないとした場合、蓋部5が閉じるように旋回してこ片25の先端がてこ片受け部27に当接した後、てこ片25が蓋部5と平行な姿勢になるとてこ片25の根元部分がヒンジ26の位置より図4のαだけ押し出るように、てこ片25の長さ及び並びにてこ片受け部27の位置が定められる。実際には、ヒンジ26がてこ片25を蓋部5に連結しているため、図4に示すように、αに対応する長さだけ、開口9の大きさが狭められ、それによって、受入凹部7の内径が縮められる。すなわち、蓋部5を閉じるとてこ片25とてこ片受け部27との作用によって、受入凹部7の内径が縮径する。蓋部5が閉じるとクランプ部3の受入凹部7の内径を全体的に縮径するので、バンドを用いないで且つ長尺部材周面を部分変形させることなしに、長尺部材の周面が全体的に強固に緊縛され、長尺部材の位置ずれ防止を確実にする。従って、長尺部材の表面が滑りやすい場合でも、緊縛力が高く、位置ずれを防止できる。
また、てこ片25の位置と長さ及びてこ片受け部27の位置、とりわけ、てこ片25の長さは、ロック爪15が係止肩17に係合し始めるが係合を完了する手前において受入凹部7の内径を最も縮径するようにクランプ部3を撓める長さに形成されている。そして、てこ片25とてこ片受け部27とは、ロック爪15が係止肩17に係合するのを完了する直前において、受入凹部7の内径を最も縮径した状態から少し緩めてロック爪15を係止肩17に引き込む作用を生成させる位置に設けられている。従って、蓋部5には、てこ片25とてこ片受け部27によって、蓋部5には、その閉じ方向に押込む最後の行程において引き込み作用が与えられて、蓋部の閉じ動作にトグル作用を与える。実施例において、トグル作用がない場合の押込み力に比べて、蓋部5の閉じ動作を約1/8の小さな押込み力で行うことができた。トグル作用がない場合には、蓋部5の閉じ動作の最終行程においてロック爪15と係止肩17との係合の完了直前のとき、大きな摩擦力が発生して、作業者への押込み負荷が大きくなる。しかし、実施形態に係る保持具1において、てこ片25とてこ片受け部27とによって蓋部5にトグル作用が与えられているので、作業者には蓋部5の閉じ動作の負荷が軽減され、閉じ動作を容易におこなうことができ、閉じた後のクランプ部3の受入凹部7の縮径も確実に行われる。更に、かかる蓋部5が閉じた状態ではクランプ部3の受入凹部7の縮径するように撓んだクランプ部3の復元力がてこ片25に作用して、てこ片25に蓋部5を閉じる姿勢を維持する力が加わり、蓋部5の閉じ状態のロックが確実になされる。
図5〜図7には、蓋部5がクランプ部3の受入凹部7を閉じた状態の保持具1が示されている。図5及び図6に示すように、蓋部5が閉じると、固定部19の軸部21が、蓋部5の窓23から突出して、被取付部材の取付穴に挿入することができ、弾性係止爪22が取付穴の縁部に係合することができる。図6に図示のように、蓋部5が閉じた状態では、てこ片25はてこ片受け部27に当接した状態で蓋部5と平行な姿勢に維持され、この状態では、クランプ部3の受入凹部7の内径を縮径する。更に、図7に図示のように、蓋部5が閉じた状態においては、ロック爪15は係止肩17に係合して蓋部5の閉じ状態を維持している。また、クランプ部3のヒンジ6側に形成された係止フック13は、蓋部5の係止穴10に挿入されて係止部11に係止している。蓋部5のヒンジ6側の固定が確実に維持され、たとえ、ヒンジ6が破断しても蓋部5は閉じ状態に維持される。
図8〜図11を参照して、保持具1にパイプ等の長尺部材2を固定保持する作業を説明する。図8の初期状態において、長尺部材2がクランプ部3の受入凹部7に開口9から挿入される。長尺部材2は、受入凹部7の開口9をやや広げた後、受入凹部7に収容されると元の大きさに戻った受入凹部7に収容されて仮保持される。次に、図9に示すように、蓋部5がヒンジ6回りに旋回させられて、クランプ部3の受入凹部7を閉じる。この蓋部5の閉じ作業の途中において、ロック爪15が、ロック穴18に挿入されて係止肩17に係合し始める。また、てこ片25の先端がてこ片受け部27に接触し始める。更に、蓋部5を押込むと、図10に図示のように、ロック爪15は係止肩17に係合して蓋部5が閉じ状態に維持され、てこ片25は、てこ片受け部27に強く当接して、図10の矢印29に示すように、クランプ部3のヒンジ6に隣接する部分をてこ片受け部27の方向に引き寄せて、受入凹部7の内径を全体的に縮径して、受入凹部7に収容した長尺部材2の外周面全体を一様に強固に締め付け、長尺部材2をクランプ部3で強固に緊縛する。
図11は、クランプ部3の受入凹部7の内径が、てこ片25とてこ片受け部27の作用によって縮径する説明図である。てこ片25のヒンジ26の位置からヒンジ6の位置までの蓋部5の長さをLとし且つヒンジ26がないとした場合、蓋部5が閉じるように旋回してこ片25の先端がてこ片受け部27に当接した後、てこ片25が蓋部5と平行な姿勢になるとてこ片25の根元部分がヒンジ26の位置より長さαだけ押し出るように、てこ片25の長さ及び並びにてこ片受け部27の位置が定められている。実際には、ヒンジ26がてこ片25を蓋部5に連結しているため、受入凹部7の内径が、受入凹部7の開口9の部分においてαに対応する長さだけ狭められて縮められる。蓋部5が閉じるとクランプ部3の受入凹部7の内径を全体的に縮径するので、バンドを用いないで且つ長尺部材周面を部分変形させることなしに、長尺部材の周面が全体的に強固に緊縛され、長尺部材の位置ずれ防止を確実にする。
また、ロック爪15が係止肩17に係合し始めるが係合を完了する手前において受入凹部7の内径を最も縮径するようにクランプ部3を撓める長さに形成され、てこ片25とてこ片受け部27とは、ロック爪15が係止肩17に係合するのを完了する直前において、受入凹部7の内径を最も縮径した状態から少し緩めてロック爪15を係止肩17に引き込む作用を生成させる位置に設けられている。従って、蓋部5には、てこ片25とてこ片受け部27によって、蓋部5には、その閉じ方向に押込む最後の行程において引き込み作用が与えられて、蓋部の閉じ動作にトグル作用を与える。蓋部5にトグル作用が与えられているので、作業者には蓋部5の閉じ動作の負荷が軽減され、閉じ動作を容易におこなうことができ、閉じた後のクランプ部3の受入凹部7の縮径も確実に行われる。
なお、蓋部5が、図10の閉じ状態にあるとき、図7に図示のように、係止フック13は係止穴10に挿入されて係止部11に係止し、これによって、蓋部5のヒンジ6側の固定が確実に維持され、たとえ、ヒンジ6が破断しても蓋部5は閉じ状態に維持される。
図12〜図14は、本発明の第2実施形態に係る保持具1Aを示している。第2実施形態の保持具1Aにおいて、第1実施形態の保持具1と違う構成は、固定部が、ボデーパネル等の被取付部材に立設されたねじスタッドや周溝スタッド等の棒状スタッドに係止するスタッド固定部30に形成されていることである。詳細には、スタッド固定部30は、クランプ部3Aのヒンジ6Aに隣接する位置に形成されている。また、被取付部材に接面するのは、蓋部5Aの上面ではなく、クランプ部3Aの下面であり、クランプ部3Aには、固定部30に対応してヒンジ6Aと反対の側に、安定して被取付部材に接面できるように被取付部材への当接部31が形成されている。当接部31には、別の棒状スタッドに係止する係止爪33が形成されていてもよい。スタッド固定部30には、スタッドの長手方向に複数段の係止爪34が形成されており、スタッドを受入れるように押込むだけで、保持具1Aをスタッドに係合でき、ひいては、被取付部材に取付けることができる。
保持具1Aの他の構成要素は、第1実施形態に係る保持具1の対応する構成要素と基本的に同じであるので、保持具1Aの他の構成要素には、保持具1の対応する構成要素の符号に「A」を加えた符号を図面に記載して、その説明を省略する。それらの構成要素については、必要に応じて、第1実施形態の保持具1についての説明を参照されたい。
図14において、蓋部5Aをヒンジ6A回りに旋回させると、ロック爪15Aが、ロック穴18Aに挿入されて係止肩17Aに係合し始め、てこ片25Aの先端がてこ片受け部27Aに接触し始める。更に、蓋部5Aを押込むと、ロック爪15Aは係止肩17Aに係合して蓋部5Aが閉じ状態に維持され、てこ片25Aは、てこ片受け部27Aに強く当接する。保持具1と同様に、保持具1Aにおいても、矢印35に示すように、クランプ部3Aのヒンジ6Aに隣接する部分をてこ片受け部27Aの方向に引き寄せて、受入凹部7Aの内径を全体的に縮径して、受入凹部7Aに収容した長尺部材の外周面全体を一様に強固に締め付け、長尺部材をクランプ部3Aで強固に緊縛する。蓋部5Aが閉じるとクランプ部3Aの受入凹部7Aの内径を全体的に縮径するので、バンドを用いないで且つ長尺部材周面を部分変形させることなしに、長尺部材の周面が全体的に強固に緊縛され、長尺部材の位置ずれ防止を確実にする。従って、長尺部材の表面が滑りやすい場合でも、緊縛力が高く、位置ずれを防止できる。また、保持具1と同様に、蓋部5Aには、てこ片25Aとてこ片受け部27Aによって、その閉じ方向に押込む最後の行程において引き込み作用が与えられて、蓋部5Aの閉じ動作にトグル作用が与えられている。従って、作業者には蓋部5Aの閉じ動作の負荷が軽減され、閉じ動作を容易におこなうことができ、閉じた後のクランプ部3Aの受入凹部7Aの縮径も確実に行われる。
1:1A 保持具
2 長尺部材
3:3A クランプ部
5:5A 蓋部
6:6A ヒンジ
7:7A クランプ部
9 開口
10 係止穴
11 係止部
13 係止フック
14:14A リブ
15:15A ロック爪(第1係止手段)
17:17A 係止肩(第2係止手段)
18:18A ロック穴
19 固定部
21 軸部
22 弾性係止爪
25:25A てこ片
26:26A ヒンジ
27:27A てこ片受け部
30 スタッド固定部
31 当接部
2 長尺部材
3:3A クランプ部
5:5A 蓋部
6:6A ヒンジ
7:7A クランプ部
9 開口
10 係止穴
11 係止部
13 係止フック
14:14A リブ
15:15A ロック爪(第1係止手段)
17:17A 係止肩(第2係止手段)
18:18A ロック穴
19 固定部
21 軸部
22 弾性係止爪
25:25A てこ片
26:26A ヒンジ
27:27A てこ片受け部
30 スタッド固定部
31 当接部
Claims (6)
- パイプ等の長尺部材を収容して保持する受入凹部を形成したクランプ部と、該クランプ部の受入凹部の開口を閉じて長尺部材を保持する蓋部とを備え、前記蓋部の一端と前記クランプ部の前記開口に隣接する一方の端部とがヒンジで連結されて蓋部がクランプ部に旋回可能に連結され、前記蓋部の他端には第1ロック手段が設けられ、クランプ部の前記開口に隣接する他方の端部には前記第1ロック手段に係合する第2ロック手段が設けられて前記蓋部が前記クランプ部に受入凹部の開口を閉じた状態に固定され、該受入凹部に収容した長尺部材がクランプ部と前記閉じた蓋部とによって固定保持される、長尺部材の保持具であって、
前記蓋部には、前記第1ロック手段に隣接する位置に、前記ヒンジ側に向かい且つ前記クランプ部の第2ロック手段に向かうように延びる、てこ片が設けられ、前記クランプ部には、前記第2ロック手段に隣接する位置に、前記てこ片の先端が当接して該てこ片先端を受け止める、てこ片受け部が形成されており、前記てこ片は、蓋部が前記開口を閉じる方向に旋回するとき、前記てこ片受け部に当接し前記蓋部の旋回とともに前記受入凹部の内径を縮径するように前記クランプ部を撓め、前記第1ロック手段が前記第2ロック手段に係合したとき、前記受入凹部に収容された長尺部材は該受入凹部が縮径した前記クランプ部と前記蓋部とによる緊縛によって固定保持される、ことを特徴とする保持具。 - 請求項1に記載の保持具において、前記てこ片は、前記第1ロック手段が前記第2ロック手段に係合する手前において前記受入凹部の内径を最も縮径するように前記クランプ部を撓める長さに形成され、前記てこ片と前記てこ片受け部とは、第1ロック手段が第2ロック手段に係合する手前において、前記受入凹部の内径を前記最も縮径した状態から少し緩めて前記第1ロック手段を前記第2ロック手段に引き込む作用を生成させる位置に設けられている、ことを特徴とする保持具。
- 請求項1又は2に記載の保持具において、前記てこ片は、長尺部材の長手方向に沿った前記蓋部の両側縁に設けられ、前記てこ片受け部は、前記てこ片に対応して、長尺部材の長手方向に沿った前記クランプ部の両側縁に設けられている、ことを特徴とする保持具。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の保持具において、前記クランプ部には、前記てこ片受け部に隣接する位置に、パネル等の被取付部材の取付穴に挿入して該被取付部材に取付けられる固定部が設けられている、ことを特徴とする保持具。
- 請求項4に記載の保持具において、前記蓋部には、該蓋部が前記クランプ部の開口を閉じた状態にあるとき、前記固定部が該蓋部から突出するための窓が形成されている、ことを特徴とする保持具。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の保持具において、前記クランプ部には、前記ヒンジに隣接する位置に、パネル等の被取付部材に立設された棒状スタッドに係止するスタッド固定部が形成されている、ことを特徴とする保持具。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20200010068A (ko) * | 2018-07-18 | 2020-01-30 | 요도가와 휴텍 가부시키가이샤 | 배관 연결구의 장착 확인구 |
JP2020020472A (ja) * | 2018-07-18 | 2020-02-06 | 淀川ヒューテック株式会社 | 配管連結具の装着確認具 |
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2006
- 2006-11-30 JP JP2006323647A patent/JP2008141822A/ja active Pending
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